花きの育種、栽培流通技術に関する研究

枝物の輸出拡大に対応する短期育苗と品質保持技術の開発

奈良県は生産量で全国第8位の枝物産地で、近年は海外需要が急増しています。なかでも需要の多いアセビは自生株を採取(山採り)するため、供給が追い付かず、資源枯渇も懸念されています。そのため、栽培化による安定供給が求められています。さらにスモークツリー等、人気種の産地導入も求められており、これらの樹種の短期育苗技術の開発に取り組んでいます。あわせて、海外輸送を見据え、長時間輸送に対応した品質保持技術の開発も行っています。

    アセビ増殖試験      スモークツリー発根苗   ヒメミズキ品質保持試験

                  (挿し木1ヶ月後) 

キク白さび病の感染環を断ち切る技術体系の確立

奈良県は全国有数の小ギク産地ですが、薬剤抵抗性が発達したキク白さび病の発生が問題となっています。薬剤のみに依存しない対策として、採穂時および定植前の高温処理技術の確立、UV-B照射による防除技術の開発、抵抗性品種の育成に取り組んでいます。これらを組み合わせ、5~12月までの様々な作型に対応した、キク白さび病の感染環を断ち切る技術体系の確立を目指します。

  

  キク白さび病の病斑  温湯消毒機による高温処理 UV-B照射による防除

需要期に安定して開花する小ギク新品種の育成

奈良県は生産量で全国第6位のキク産地ですが、近年は異常気象の影響により高需要期(7~8月)の出荷が不安定になっています。そこで、開花時期の変動が少ない品種の育成に取り組み、これまでに3品種(赤色2、黄色1)を育成しました。市場では赤・白・黄3色の安定供給が求められているため、現在は白色品種の育成に力を入れています。また、冬春産地と競合する5月上中旬に開花し、十分な切り花長が得られる茎伸長性に優れた品種の育成にも取り組んでいます。これまでに育成したキク品種はこちら→一覧

   

      現地試験圃場        生産者・関係機関と連携して選抜を実施

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