平成30年3月15日(木)知事定例記者会見

司会:
 お待たせいたしました。
 それでは、ただいまより知事定例記者会見を始めさせていただきます。

 本日は、3件の発表案件があります。人事異動について、それから平城宮跡歴史公園オープンについて、それから急遽本日発表することになりました、旧優生保護法の関係の案件です。

 それでは、知事、よろしくお願いいたします。


平成30年4月1日付け人事異動について

知事:
 人事異動について、例年このような発表をさせていただいております。お手元の資料が概要ですが、かいつまんでポイントを申し上げます。

 全体の異動規模を書いておりますが、例年とあまり変わらないように思います。数字的に少し変わっておりますのは、2ページ目の課長補佐、女性の昇任ですが、30年度、女性の登用がやや加速されているように思っております。女性の登用については、一つの人事管理の重要目標にしてきておりますので、それが姿になって現れたかなという点が、数の上での一つのポイントに思っております。

 もう一つは、組織体制の整備です。県政の重点課題に組織的に対処しようということが組織に現れていると考えております。組織体制の整備で主なものと書いてありますが、一つは部局の再編で、健康福祉部、こども・女性局、医療政策部を統合いたしまして、2部1局を1部3局にするということ、1部にするということが大きなことです。福祉医療部という部にいたします。福祉医療部の中で重点的な項目は、長寿・福祉人材確保対策課の設置や、保険指導課を医療保険課に改組する、長寿社会課を介護保険課に改組するというようなことが、課レベルでの重点事項です。医療政策局の中では健康推進課に改組する、また疾病対策課にするといったことが大きなことです。

 この背景ですが、国民健康保険の県営化がこの議会で各市町村で行われますが、それとともに奈良県では医療費適正化、医療提供体制の整備を一体的に進めようということを、全国的にも先端的というと自分で言うのは変ですけれども、一体的にやろうということをやってきております。そのためには、もう一つは医療提供体制の中にも入りますが、医療と介護の一体化確保ということがテーマです。今、世の中の大きなテーマになっております、それを県の仕事として、国保の県営化にあわせて一体的にしようということが奈良県の目標として掲げておりますので、そのために組織も統合的にしようということです。

 医療提供体制、医療費適正化、健康増進ということになりますが、それを支える保険と、四位一体といっておりますけれども、四位一体を推進するための統合的組織を作ろうという意気込みです。組織の改編の最重要事項と考えております。

 もう一つの改組、官房機能の充実という字がありますが、総務課を分けて、総務的な従来の組織と、法務文書課に改組、法務文書課というものを作るということが大きいわけです。行政文書対応にやや弱いところがあったと私は思いますので、このような法務文書課を作って、行政文書の管理を充実させようということです。

 3つ目に書いてありますのは、行政経営課という課がありましたが、ファシリティマネジメント室等、いろいろマネジメントシリーズを随分出しておりますが、マネジメントは行政経営と同じ分野ですので、とりわけファシリティマネジメント室を行政経営課にくっつけて、行政経営・ファシリティマネジメント課に統合するということが一つです。マネジメントシリーズに伴う組織改正ということです。

 4つ目は、インバウンド観光戦略20年ビジョンを作り始めておりますけれども、これはリニア中央新幹線が奈良市附近駅に来るということを見越して全体の観光戦略を作ろう、20年間の戦略を作ろうという試みですけれども、それの推進体制としてインバウンド・宿泊戦略室を設置するというものです。

 それから、公園整備運営の推進体制の一環として中和公園事務所、公園の整備も大きなことです。

 そのほか、この中に書いておりませんが、廃止というものもあります。口で申し上げますと、新総合医療センターがこの5月1日にオープンいたしますので、その建設室の廃止、それから国民文化祭・障害者芸術文化祭課というものがありましたが、イベントが終わりましたので廃止。その2つが廃止ということです。人事組織については、以上でございます。

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平城宮跡歴史公園のオープンについて
《資料》 (新しいウィンドウが開きます。)

知事:
 3月24日にオープンするということは既報でしたが、この際、改めて報告させていただきます。国交省と合同の発表ということになります。国交省と合同の発表という意味は、このたび平城宮跡歴史公園が大極殿から朝堂院、朱雀門と、この3つのエリアを全部初めて国営公園としてオープンするということです。上のほうは大極殿がありましたが、国営公園というステータスがありませんでした。このたび初めて大極殿院、朝堂院前、それから朱雀門という3つのパートを合同的に行います。県は、朱雀門ひろばの西側が管理対象です。その他は国、朱雀大路含めまして、朝堂院前、大極殿院は国の管理になります。それが一つです。

 それと、県のパートである朱雀門ひろばの西側ですが、朱雀門の南エリアの西側ということになりますが、もう大分でき上がっておりますが、復原遣唐使船をランドマークにするということと、学習、飲食、物販、ターミナル機能を設けるということです。史跡の国営公園の中では設けられない機能を、県営の施設として設けるということです。

 今日の発表のもう一つは、24日、25日に開園記念イベントを行いますということです。 
 もう一つは、今回初めて国営公園として利用していただくということですが、公園の今後について、国管理の大極殿院、一番北ですが、大極殿のあるところの大極殿院は、築地塀、また南門の復原にも着手をしていただいております。少し時間がかかりますが、大変迫力のある大極殿院が復原されるものと期待しております。

 県におきましては、朱雀門南の東側地区の事業化が始まりました。今、蛸庵というお好み焼き屋のある部分ですが、あの部分が0.9ヘクタール、50億円の事業費の予定で県の事業として事業化を認定していただきましたので、これから用地買収、復原の構想、どのようなものをするかということに向かっていく段階になります。流れを申し上げました。

 最後に、記者クラブの皆様、関係者の皆様には、朱雀門ひろばをご覧いただくための内覧会を、直前になりますが、22日と23日に開催させていただくということもあわせてご報告申し上げたいと思います。一部内装工事中のところもあるように聞いておりますが、自由にご覧いただけるということです。平城宮跡については、以上です。

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旧優生保護法による不妊手術について
《資料》 (新しいウィンドウが開きます。)

知事:
 人数等が今までの調査でわかってまいりました。今日の報道資料になっておりますが、後で事務的に報道すると聞いておりましたが、記者会見の日と重なりましたので、私から記者会見資料として用意させていただきました。調査の内容ですので、詳しくは担当課のほうから後ほど、必要であればレクをさせていただきたいと思います。また、今日、担当が来ておりますので、この資料でご質問がありましたら、この場で担当課からお答えさせていただきたいと思います。

司会:
 ありがとうございました。
 それでは、発表案件に係るご質問をよろしくお願いいたします。

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質疑応答

旧優生保護法による不妊手術について

NHK:
 今の旧優生保護法の不妊手術の件で、これだけの人数がいらっしゃったということの受けとめと、今後この資料をどうされようとしているか教えて下さい。

知事:
 この旧優生保護法は国の施策であります。全国一律、一体的に施策されて、当時は、県の立場は国の執行機関という立場が色濃かったわけです。地方分権一括法で国の執行機関という立場はなくなりました。受動的な法の施行主体、ロー・エンフォースメント主体ではなくなりました。そのような時代での知事の答弁はなかなか難しい。任されてやったわけではない。言いわけに聞こえてはいけないですけれども。基本的には法の執行、国法の執行ということですので、人道的なものにかかわるという点では関心は深いものですけれども、国の対処をまず一番に出さなければいけない。そのための調査は十分しないといけない。執行機関としていろいろしたものです。何をしたのかという問い合わせに、書類は県が持っておりますので、そのかつての書類、個人情報が含まれておりますが、この情報の開示もお求めがあればしたいと思いますけれども、対処についての考え方というのは、人道的な立場からの関心はあり、意見もありますけれども、法の執行を当時委ねられていたという立場からは、法の執行機関だから、執行に際して、もとのそれが良かったのか悪かったのかというのは、執行させた側がはっきりと言わなければいけないという気持ちはあります。県の裁量に任せて、県の条例でやりました、とか、県の考え方でやりました、というのは、前任だった知事と変わっていても所見を言わなければいけないと思いますが、今、地方分権一括法の前の立場は、執行機関の立場であるように思います。だからよくこのように聞かれるんですけれども、国が前に出て一括対処、地方の意見も聞きながらということが望ましいと思います。

NHK:
 一部報道では、今日、政府・与党が、この問題について全国調査を方針転換してやるというような話もありましたが、そこの受けとめなり、今後の協力というところはどうでしょうか。

知事:
 調査については、まず中央の、先ほど旧優生保護法の後始末ということになりますので、中央の政治主体が積極的対処をしてもらうことが望ましいと、先ほどの裏返しの言い方でありますが、思います。その際に、執行機関であった地方は何をしたのかということをお調べになるのであれば、詳細な調査協力というのは当然だと思います。執行機関としての立場は現にあったわけでありますので。これで、今回報告を受けましたが、昔の書類もある、保存期間内の書類が残っておりますので、それは誰かということを除いて、こういうことをしたんだ、という情報も開示できると思います。また、まとめて全体を国へ報告して、国の対処を待つということも当然できると思いますし、どういうことであったのかということは国のイニシアチブがあれば全面的に協力したいと思います。

共同通信:
 この資料に対して、もしお答えいただければ担当課に教えていただきたいのですが、実際に手術が行われた件数が20件、今回資料によると、手術を受けたかどうかわからない人物が36人いる。人物として重複があるかどうか教えてください。

担当課:
 今回調べました36件につきましては、優生手術適否決定通知というものを、県で設けました優生保護審査会に諮った結果、この通知書が発行されるのですが、それが36件だったということになります。20件は、ここに書いております衛生年報と、それから優生保護統計報告が20件ということで、国に確認いたしましたところ、実際に手術が行われた件数、単に報告された統計の数字として出ているだけで、個々の氏名は分かっておりません。私どもで調べて36件は個々の氏名が分かっておりますが、突合ができなくて、含まれているかどうかまで分からないということです。

共同通信:
 最高年齢と最低年齢が出ておりますが、通知書を送られた段階での年齢になりますでしょうか。

担当課:
 申請書の段階での年齢です。

知事:
 今となってはということで、強制性が人道的な問題となっているように思います。今は出産前健診があって、産みますか、産みませんか、みたいな優生保護法との関係がありますけれども、旧優生保護法と新しい優生保護法は随分違っているというように思います。そう詳しく勉強しておりませんが、そのようなことが問題になっているなという感じはあります。

 また、先ほどのご質問のとおりですけれども、調査で実態を明らかにするということは、対処することが大事で、そのために前提として主体のイニシアチブ、積極的姿勢が必要だと、少し傍観者的に聞こえてはいけませんが、そのように思います。

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平成30年4月1日付け人事異動について

NHK:
 人事異動に関して、この中に文化庁というものがあって、これは文化財の活用へ舵を切るに当たっての対応になるんですか。組織というか、人材派遣・人事交流の中に入っています。

担当課:
 これは例年やっておるものでして、前年度までは国文祭の関係で文化庁への派遣があったのですが、今度は文化庁の記念物課へ派遣します。毎回というか、文化庁と人事交流はこれまでもやっております。

NHK:
 それでは、定期的なもので、文化財活用というところの対応ではないということですか。

担当課:
 そうです。

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旧優生保護法による不妊手術について

毎日新聞:
 不明として何らかの記載のある人数が4人とありますが、どういった内容なのかということを教えていただきたいのと、いろいろ資料が残っているようですが、他府県では残っていない所もかなりあるのですが、なぜ残っていたのかも教えてもらえますか。

担当課:
 まず、この不明の4人ですが、この優生手術適否決定通知に載っておらず、申請書だけとか、それ以外の書類で名前だけが残っていたということで、推定はできるが不明だということです。

毎日新聞:
 この推定というのは申請しただろうけれども、事実がとれないということですか。

担当課:
 わからないということです。

時事通信:
 この不明4人と36人で最大で40人ということになる可能性もあるわけですか。

担当課:
 この不明は、それ以外の書類が見つかればいいのですが、見つからないので、まだ不明としか言えないということです。

時事通信:
 可能性のレベルでは、36人にこの4人がまた付されて、計40人になる可能性もありますか。

担当課:
 さっきと同じことを言いますが、見つかればということです。決定がされたという事実をあらわすような書類がないです。

 なぜ書類が残っていたのかというご質問ですが、文書の管理規定上は30年が最長だったのですが、当初は永年という形の保存をしておりました。平成13年に県の行政文書の管理規則が変わりまして、そこから30年が文書の保存期間の最長になりました。今現在、30年保存になっておりまして、2032年までの書類の保存期限になっております。

時事通信:
 関連しまして、鳥取県さんが同じように調査されて発見された後に、実態解明をするために庁内でワーキンググループを立ち上げるなど、そういった対策をとられているようなんですけれども、奈良県は特にそういう考えはないですか。

知事:
 必要があれば作ります。

担当課:
 今は、保健予防課で調査しております。

知事:
 直轄調査ということです。他の資料が出てきて、もっと吟味しようとなれば、ワーキンググループ設置も、作業目標が明確になれば、そのためのそういう類いの人を集めてワーキンググループということはあり得ると思います。これは一般論であります。まだそういう報告ではないので、今後ずっと作らないかどうかは別にして、今のところはありませんということです。

時事通信:
 必要性が見えてくればということですか。

知事:
 そうですね、先ほどの県の協力の対応姿勢ということになると思います。積極的に協力したいと思いますけれども、どのように協力すればいいのかという、文書をちゃんと読み解いて資料、歴史文書を供するということが大きな役割だと思います。保存主体でありますので、それが大きな役割だと思います。どういうことだったのかということがまず第一だと私は思います。

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平成30年4月1日付け人事異動について

時事通信:
 今回、例えば福祉医療部を作ったり、また観光機能を強化したり、インバウンド・宿泊戦略室といった、アグレッシブな、前向きな組織改革のように見たんですけれども、今回どのように力を入れられた改革とお考えでしょうか。

知事:
 組織はその時の県政の姿勢を組織面で表現すると、予算面で、金額面で重点の予算とかというのと、組織面も大事だと。組織は、継続的に限られた人材・資源をそれに集中して投入するよということのマニフェストでもあろうかと思っております。県の組織はずっとその都度のニーズを探りながら、方向を決めながら、やはり戦略性があったほうがいいと、長期的な視野を持った組織対応が必要かと個人的には思っておりました。例えば、土木部を、名前だけと言われたかもしれないですが、県土マネジメント部と、マネジメントという概念が大事だということでそういう表現にしました。地域デザイン推進課も、地域デザインが大事だということを、気持ちを表現した面もありますけれど。それと一般論になりますが、国の形というものがいろいろ憲法上も言われておりますが、国の形は中央は分散的で、各省大臣が所管している、各局長が所管しているのがそれぞれすだれ状におりてきているというように、地方分権の現場では思っております。地方は、包括的な組織体制にしなければいけない。

 地方分権で国の執行機関ではなくなったのだから、包括行政主体だと観念を変えると、組織はもう少し弾力的に、包括的に組織を作っても良いのではないかと。国の執行機関ですと、農林部や建設部など、そういう国の執行機関的な名前が多かったですが、包括的だと組織の名前も所掌のくくり方も違ってくるというので、今度の組織の福祉医療部というのは、国でいえば福祉をされている局と、医療は医政局、介護は老健局と、これ分かれているのですが、国はなかなか統合できないと思います。ただ、国でも医政局と老健局など3局担当の審議官が去年か一昨年、やっと初めて置かれたというようなことですが、県はこうして統合という組織ができるわけなんです。すごく良いことだと思っております。

 包括的な組織を作るということは、この中間地方公共団体の県などがもっとしてもいいかなと、これは一般論で思っております。その時にどういう組織にするのかということは、地域の現場に近い者の知恵ということを反映させ、それと課題の認識ということになると思いますが、今の課題の認識は、先ほど申し上げましたように国保の県営化ということが進むという時に、エポックでやることは医療提供体制、地域包括ケア、それと健康増進、医療費適正化ということは、計画として3つ一緒に国が指定するばらばらの計画が一斉にスタートする年であります。それを包括的に実行しようということが奈良県の意思。こういう包括性を持っているのはあまりないと聞いておりますけれども、自慢げに聞こえてはいけませんが、そのように言われているように思いますので、意欲的だという面の背景ということにもなりますが、そのようなことだと認識をしております。

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平城宮跡歴史公園のオープンについて

日経新聞:
 平城宮跡なのですが、以前、大立山まつりの時に、来年から会場を朱雀門ひろばにしたら良いんだみたいなことをおっしゃっていましたが、朱雀門ひろばを改めてどのようにしていきたいかということと、平城宮跡の年間入場者数、こういうものはとっているのでしょうか。今回、伸びがどうなのかなという、その2点です。

知事:
 平城宮跡、今、公園となった部分の入場者数は、どこかで、百何十万というとり方もあるんです、日ごろ散歩される方も、犬を連れてこられる方もいろいろとありますので、イベントの時には一応数えて、それも正確ではない面もあると思いますが、広く、入り口がたくさんありますので、それを公園入園者という形で調べて、そのトレンドを見るということも一つですが、調べ方にコストがかかりますし、不正確な面も出てくるので、そう重要視してもいけないと思いますけれども、見込みですけれども、28年の来場者の推計ですが、140万人前後です。

 とり方も少し難しい面がありますが、大体100万人を超えるオーダーであのあたりに人が来られるというような感じです。

 大規模イベントの時はその都度来場者数をとっておりますが、5万や10万とか、一番大きい来場者は航空ショーでして、8万人と言われましたが、大極殿院に8万人来たと、もう見るからにすごい人だということでしたが、これも平城宮跡来場者として、さっき140万人という中に8万人が入っているなと思い出しましたが、今のご質問の趣旨から考えますと、また管理者からしますと、朱雀門ひろばの今後のご利用者というのはどのくらいになりますかということが関心事項ですので、これが伸びることには間違いないと思いますが、どのような来られ方をするのかは、やはりフォローすべきと思います。大幅に伸びるという予感はいたします。

 今度は国営公園になりましたので来園者ということになりますが、来園者の捉え方は少し研究しないといけないと改めて思います。

日経新聞:
 ひろばの活用について、やっぱり大立山まつりとか。

知事:
 そうですね、あれだけ広いですので、お祭り広場としてもいいかと私は思いますが、北でやっていたときは、国営公園になりましたが、公園内での飲食は史跡であるので禁止されていた。朝堂院の前、朝堂院は昔、接待する場所でしたから、あそこでお酒を飲んでたんじゃないかと、こう言いたいんですけれども、今はだめだと、こう言われますので、どうしてだめかというと、水をこぼすと木簡が傷む、と言われる方もいる、そう傷むかなと内心思ったりしておりましたが、それの論争をする以前に、朱雀門ひろばができると南のほうはお祭りができる広場になりますねということは、国営公園の国の管理者のほうも認めていただいておりますので、そこを活用したいと思います。今の大立山を含めまして、お祭り広場的に活用できたらと思います。

司会:
 それでは、その他の質問を含めましてよろしくお願いいたします。

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近鉄線の移設案について

朝日新聞:
 平城宮跡の歴史公園オープンまでに、近鉄の移設の関係の案ができたらいいなと昨年の会見の中で思いをおっしゃっていました。その件について、あれからどうなったんでしょうかということお尋ねです。開園までにはできるのでしょうか。

知事:
 もちろん早いほうがいいから、それに完成はしないけども、これで行こうということは、近鉄が同意すれば、そのようになる希望があったことは確かです。

 その後の状況ですが、難踏切といいますか、渋滞踏切の箇所が西大寺駅の西側4カ所だけだったのが、東側、平城宮跡をまたぐ新大宮の踏切も含めて4カ所が追加になりました。難踏切を解消するのに、平成32年度までに計画を出さないかんという、努力義務かもしれませんが、国のほうからの要求です。

 すると、次の目標は32年までに、難踏切解消をどうするのかということを返事をしなければいけません。まだ曖昧ですが、返事の主体は誰なのかということがあります。難踏切ですので、近鉄は主体の一つであることは間違いないと思います。市や県で、とりわけ市が関与するのもあると思いますが、難踏切解消の姿勢を示さないといけないと思います。32年に向けて、近鉄さん、あなたの義務ですよ、国の要請がありますよということを、もう一度明言したいと思います。

 そのときに、県は難踏切解消のアイデアは今まで示した、移設、西大寺の高架化という案があります。しかし、施設保有者の近鉄がうんと言わないと実行できない関係にあります。難踏切解消というのは、地元住民の方への説明責任があると私は思います。近鉄が、もし難踏切はこのままでいいとおっしゃるのであれば、多少僕は社会的な問題かと思います。

 そういう見解ですので、県の権能とかは限られております。しかし、県の考え方をさらに深めるということはしたいと、個人的に思っています。こうすれば解消できますよということは、近鉄が反対されている実態、事情が続いていますが、解消する方策もあることは、もう少し形になるような案を詰めていきたいと思います。

朝日新聞:
 県の出している案、たたき台に近鉄は反対しているんですか。

知事:
 移設に反対です。県と奈良市と近鉄が検討課題にするということには渋々同意されました。検討もしないのかといって強談判しました。検討もしないと居座りみたいに見えませんか。難踏切を持っている、道路でもあるけど、近鉄の踏切でしょと、何もこのままでいいと言う立場はないでしょうとこう強く言ったりしました。

 すると違う案が出てくるかもしれないと思います。道路を上に上げる案かもしれませんが、どちらがいいのかを吟味する必要があります。普通なら鉄道を上げるほうが各地で行われているのを見ると優勢なわけです。しかし検討もしないというのはサボりじゃないかと、こう言いたいのです。県は、そういう検討もしないでサボっていたと言われるのは嫌だから、案を練って出してきたわけです。もう少し具体的になるように、県としての案だけですが、深めていきたいなと改めて思います。難踏切の解消ということであります。フォローしていただいてありがとうございます。

朝日新聞:
 4つの踏切の東側の踏切ってありますね、前の会見で鉄道局長に荒井さんがお会いになって、その話をされたということを聞いております。因果関係はわかりませんが、移設だけだと話は進まないので踏切でという、その近鉄包囲網ではないかと邪推をしているのですが。

知事:
 今度の近鉄の西大寺駅の東だけが難踏切に指定されたわけでなく、全国237の難踏切を指定された中に4カ所が含まれました。私は鉄道局にもおりましたので、鉄道局の風習として、特に施設課というところは、鉄道会社がうんと言わなければ、鉄道会社を困らせるような指定はしないという風習が昔からありました。そういうことはないだろうねということを念押しに行ったというのが実情です。

 そういうことで防御してるんじゃないだろうね、近鉄が嫌がっているから難踏切に指定しないというような、昔みたいな姿勢はとらないだろうね鉄道局長さん、ということは言いに行った。それの返事として、そうすると言いようがないし、それでも動かないかと心配していたんだけど、さすがに動いたようです。

朝日新聞:
 それはやはり、念押しの効果があった。

知事:
 普通、その念押しじゃなしに、今の時代だからそういう、鉄道会社がうんと言わないのは難踏切に指定しないなんていうことは、もう通用しなくなっていると思います。念を押さなくてもやってくれたのでないかと思います。

毎日新聞:
 近鉄は移設を反対と言っていますが、この1年間で、協議会ができてから近鉄さんはそういう意思表明をされているんでしょうか。近鉄から何らか文書なり、あるいは口頭で、うちは反対ですということはずっと言われているんですか。

知事:
 私の前で反対と言いました。県、奈良市、近鉄の協議会、つくる前に検討協議会をつくろうと言ったときです。

 協議会がつくられてからの意思表示はされておられないから、そのままだという認識だということ、反対のままだということを今言っているわけです。

毎日新聞:
 協議会そのものは続けていかれるお考えなんですか。

知事:
 今続いてますよ。上のレベルでは行われていませんが、事務的にはやってくれてます。1年たちますが、真剣にやってくれております。協力度は心配していますが、地域デザイン推進課長ですが、私は時々どうなのって報告受けております。態度は変わりませんが、協議は進めてますという報告でありますので、今、変わったかというのを聞くまでもないというのが先ほどの感じです。反対だけども協議には応じるということを約束したわけですから、協議には応じているということです。協議には応じるということを約束したわけですから、反対だけども協議はする。

毎日新聞:
 協議の回数は、たしか3回ぐらいでしたか。

知事:
 また報告しますが、割と事務的には随分やっております。

毎日新聞:
 事務的にはやってると。

知事:
 何度も私、聞くもんですから、どうなのと。随分やってるように聞いてます。上に上がるほどの成熟度はないように思いますが、その後、例えば難踏切の指定のあった後はどうなのと聞けば、やった、やらないというような報告はあろうかと思います。だけど、基本的な姿勢変わってないから、消極的だというふうに私は受けとめてます。それは正直困ったという感覚はありますが、えいやというわけにいかないと感じております。

読売新聞:
 その関係で、もうあと3年しかないということですよね。平成32年ですから、2020年度ですけど、そろそろもうちょっと強めていかないといけないかなという感じがあります。例えば協議のレベルを上げるとか、何かそのようなお考えはございますか。

知事:
 平成32年にどう対処するのかと、どのような答えだったら義務を果たしているのかは心配しています。その報告書の中に、32年までに案を、方針を示さないといけないと担当からの報告なんですけど、それはどういう要請が法的にあるのかをまだ確かめておりません。それを確かめながら、どういうふうに段取りをつけるかが課題だとおっしゃるように思います。それは近鉄が意識しているのかどうかもまだ確認しておりませんが、32年にどう返事するのかということを、内心そう思っています。

 県は案をさらに進めないかんというのは、先ほど申し上げました。32年に対して、県が独自でできることでこういう案があると考えてますよということを言う立場はもう少し強化しておこうとは思います。

 近鉄は反対、反対、反対と、三十何踏切反対ということを言い続けられるのかなと心配しております。そこら辺はもう少し返事の仕方というのは詰めないといけないように思います。

読売新聞:
 その状況を打開するために、もうちょっと県からの働きかけもしていきたいというところですか。

知事:
 それはどのように作戦つけるのか教えてください。

奈良新聞:
 近鉄側が移設案に反対する理由は、知事はどういうことで反対するとお考えですか。

知事:
 私は、前から関心持ってて、何とかできないかと参議院時代から研究はしておりましたが、はっきり明言されておりません。

奈良新聞:
 知事自身も鉄道に関して昔から詳しいので、例えば近鉄の財政面の問題なのかとか、もしくは技術的なことなのかとか。

知事:
 あんまり聞いたことはありません。推察は、お金の話かなという感じもします。東京のほうは連続立体交差どんどん進んでます。連続立体交差するときの街路予算なんですけど、これは余りないから、街路予算の予約をしないといけない。何千億という予算の半分ぐらい出るんだから、その大きなイベントを、高架化の予約を何年か先の計画をつくって、次はうちですよということを登録するのが普通なんです。

 東京では羽田に行く京浜急行の難踏切の高架化、今は京葉の高架化、小田急の連続立体交差は30年かかって、この3月17日に開業しました。30年かかりましたが、高架の案を地下化にして開業しました。しかし、東京では実行しているんですよね。京浜急行も実行した、小田急も実行した、で、京葉がやるというような事情でありますので、関西のこの奈良市付近は、奈良の平城宮跡は西大寺はもう東京の事情よりも難航といいますか、渋滞道路へのダメージは大きな駅だとは、もう全鉄道関係者が認めている対象であります。地域としては困ったもんだと正直思ってます。

毎日新聞:
 近鉄上層部に一度話、筋通したほうがいいと思います。何か社内事情のような気がします。話しが行っていないということではないか。

知事:
 近鉄上層部にはもう耳タコみたいに言っております。もし何か働きかけしていただけるなら、お願いします。

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民泊について

NHK:
 今日から民泊の営業の事前受け付けが全国的にスタートしました。奈良県としては期待もあるので、非常に全国から見れば規制が緩目の内容だと思います。一方で殺人事件という恐ろしい事態の現場になっていて、そのあたりの課題も踏まえて、期待とともに、お考え聞かせてください。

知事:
 各地の民泊の条例は各地に委ねられていますので、県及び保健所設置市ということでありますけども、おっしゃったように県は宿泊施設が不足している県であるので、なるべく良い民泊は歓迎しようという姿勢です。

 大阪の事情をおっしゃいましたが、今度の住宅宿泊事業法の大きな目的の一つは、ヤミ民泊を解消するという目的があるように感じています。ヤミ民泊を解消して、公式民泊といいますか、適正民泊にしようというのが法の大きな目的にあるように思います。それは今であると、旅館業法の登録をしていない宿泊事業というような定義になると思いますが、旅館業法でない宿泊事業を新しいステータスの公式民泊、それは届出をしようという法制になっているように思います。

 適正な民泊というのは何かということになりますが、適正な管理が行われる担保があるということになります。今度は民泊の業の定義が出ますので、届出をしないで、適正な管理をしているということを証明しないでやるのは、ヤミ民泊ということになります。ヤミ民泊の取り締まりは、旅館業法の違反だということで取り締まるということに法制上はなっています。

 その旅館業法の取り締まりの権限は県のほうの民泊業法の主体におりてきていますので、旅館業法の立入検査などはできるようになっています。ヤミ民泊の取り締まり、今はそういう規制がないのでヤミ民泊とも言われてはいないが、いわゆる不適正民泊を適正民泊にしようというのと、その届出をしてないヤミ民泊を取り締まるという、2つが出ているように思います。権限強化を県ではしていきたいと思っています。

 届出をきちんとしてもらって、その適正な民泊を育てるというような政策課題に県は向かうというふうに思います。ヨーロッパはそういうインディビジュアルの宿泊、個別宿泊は普通はやって、大きな館を個人で借りるという業態もありますし、マンションのような個別、パリのようなアパートは、大体夏はみんなバカンスに2カ月行ってしまう。自分のアパートをそのまま、家具も置いたままで貸すよというのが普通の家ですので、それを、そういう業として貸す業者もある。すると外国の人が、2カ月パリで夏に住もうかという人が出てくる。日本人なんかは夏バカンスをとれないから公営プールに泳ぎに行っていると、顔ぶれががらっと変わります。近所の子供がいなくなって、外国人の顔がどっと増える。夏のバカンスで働きに来る人の子供さんというのが、公営プールにわさっと増えるのと、場合によっては観光、そこに住んでいる人の顔が、その近所の公営プールに顔ぶれががらっと変わったのを覚えています。そういうマーケットの需要があって、それがパリのようなシーズンの交代ということで適正に行われている。スペインもそうです。

 2カ月、家を空けると、会員制リゾートクラブのような形はありますが、個人の館、部屋をそのようなマーケットに貸しに出すということはなかなか日本ではないのを、今度はそういう形で、日本の民泊も評判いいですから、古民家を貸すとかいうタイプの民泊はもっとあってもいいかと思う。

 個人の部屋を借りているものを貸すと又貸しになりますが、所有を貸すと今度は民泊に業としてなるのは、どういうところであるのかなということはこれからだと思います。スタートの考え方は今みたいなことですが、これからどのようにこの業態が進むのかということは、若干注視してモニターしたらいいかと思います。いい民泊が育つ地域と、闇に隠れる地域と、余り育たない地域とが分かれるような気がします。それは既存の業態の人との関係にもよると思う。たくさんそういうなのがあるところはあまり育たない。ないところは割と育つかもしれないし、いずれにしても良い民泊をつくるという、この行政努力が必要なことは間違いないと思います。

時事通信:
 今回のニュースを聞かれた際の知事の率直なご感想というか、そういった推進する立場として危機感のようなものは感じられていますか。

合法民泊であっても目の届かないところもあるので、犯罪とかに対する危機感は。

知事:
 みな各県の知事さんとか心配されているような雰囲気の慎重なスタートのような感じもあろうかと思います。それが一つは既存の宿泊業があって、邪魔されるんじゃないかという政治的な風向きがあったのかもしれないというふうに感じるところがある。民泊というのは値段が安いですから、既存の宿泊の価格を下げるという、冷やし玉みたいな、下げ玉みたいな効果があることは間違いない。

 しかし、キャパシティーが全体として少ない。業者さんの考えとしては、キャパシティーを絞って需要がふえたら値段が上がると、これは当然の経済人としての期待でありますけど、それでいいのか。インバウンドでたくさん観光客が来る時に、適正なサービスの提供を考えなければいけないのではないかということが普通の観光立国では考えます。官邸主導かもしれませんが、国のほうが、このような業態で一つは実態的にはびこってきてたわけです。良い民泊というのと、ヤミ民泊と、ちょっと分かれていたように思います。良い民泊を育てて、悪いのを取り締まろうという法体系を作って地方に執行させようということなので、うまくいけば、良質な供給力のもとになるというふうに思います。

 危機感というのは、業界の危機感という意味ではなく、犯罪の場所になるかどうかというような危機感ということであれば、それは普通のホテルでも起こり得るので、だからいいというわけでもないが、犯罪がむしろ、場所は宿泊施設だけど、あるいは民泊のマンションだけども、外国人の方あるいは様々な人が周りにいるというのに日本人はあまり慣れていない。危険な人もそばにいるかもしれないという状況に生活感覚としてなれてないのが一つあると思います。

 周りに外国から悪い人がたくさん来てるという感覚がすごく強いです。彼らが悪いんだと、移民の排斥とか難民の排斥とか、そういう右翼の伸長とか、そういうものにつながっているところがある。日本人はそういったものは水際で抑えているからいいと思っている。今度は水際を越えて様々な人が、外国人が来るというのに、これが増えてくるのは社会的に大きな意味があるのかなというふうに思います。意味というのは、経済的に稼ぐには、外国人のインバウンドの量的な増嵩にも慣れなくてはいけないということが実態としてはあると思います。

 社会生活とどう調和するかという社会技術が要るという意味では、そのように思います。危機感というほどではない、克服しなくてはいけない課題のように思います。外国人労働者も同じことだと思います。お金使う人と稼ぐ人が水際を越えて必要だという時代になっていると思います。

時事通信:
 権限強化をしていきたいということをおっしゃいましたが、具体的に教えていただけますか。

知事:
 立入検査ができるというようなことや、罰則が強化されるということが入っているように思います。旅館業法の改正、無許可営業者の立入検査。届出をしていないが商売していると、近所の人が言いに来るかもしれません。

 すると、立入検査ができ、証拠が発見できると、旅館業法で罰則をかけるというようなことが今の法体系で予定されています。それを実行するということになると思います。

朝日新聞:
 法の改正以外でも、良い民泊を育てるのが県の政策課題ですが、育てる方法が、口コミサイトだとか、そういういわゆる受身的に見えたので、積極的にこう育てるような方法というのは、県はどういう政策のメニュー、パッケージを考えているのかというのをもう一つ質問させてもらっていいですか。

知事:
 考えていますのは、良い民泊というのはこんなものだということを目に見えるようにする。これを見習うようにという、普通ノーマルな手法です。良い民泊というのは何なのかということは、安心できる、サービスがいい、情報サービスがいいなどです。安かろう悪かろうが一番いけない。適正な価格で安全なサービスを提供しなくてはいけないと思います。

 大変評判が良いのは、紀寺町で藤岡さんという人がやっておられる民家民泊です。1棟貸しというものをされていますが、1棟貸しで1泊4万円、何人か泊まれますというようなもので、すごく程度が高くて、もっと宣伝したいなと思います。

 個別民泊というもので、住宅のあちらこちらに、外国の人がいるということがどうなのかということになりますが、大都市と奈良市であっても大分違いますので、人気のある民泊は、やはり、ならまちに近いこと。歩いて一番の人気はまち歩き、「まちぶら」というものがとても大きな魅力の提供になりますので、「まちぶら」ができる民泊というのは、奈良市だけでなく、ほかの御所市でも葛城市でも、神社があって、「まちぶら」ができるまちをつくる。まちづくりは、まだ十分ではないですが、まちづくり協定で奈良モデルのまちづくりをしようといっているときに、それも視野に入れて、インバウンドの取り組みも視野に入れて、ホテルだけではなく民泊も視野に入れて、まちぶらのできるまちづくりをしようよというようなことを言っています。

 そのときに、「まちぶらができるまち」というのは、まちがきれいだとか、広告を降ろすとか、案内が整備されているとか、植栽がきれいだとか、ヨーロッパのまちはきれいで安心して歩けるということがとても良いところです。アメリカと随分違うところがあるので、日本は安全・安心なのは総じてレベルが高いが、それをあらゆるところを安全・安心だといってぶらぶらしないので、このまちを歩くのはいいよと。歩くということは観光の大きな要素になって、人と言葉を交わすとか、笑顔を交わすというのは、とても大きなこと。笑顔で返すというような雰囲気が、外国の方は、インバウンドなれすると、笑顔が出ると思います。うさん臭く見る目と、笑顔とでは全然違います。そういう国にこれからなり得るように思います。

朝日新聞:
 聞いたのは、笑顔とか、きれいとか、そういうのではなく、システムとして、制度として、条例とかではなくて、運用のレベルだったりとか、これは事業者に求めるとかなんとか、良い民泊を育てるための仕組みです。届出だと、僕のようなものがやろうかなといったらやれる。ノウハウもないけれども。そうすると安かろう悪かろうが発生する可能性がある。緩くはしているけれども、高い品質、良い品質のサービスを提供するためには、県が放置するわけにいかないですよね。

知事:
 良い民泊が育つための行政対応で、一番大事だと思っているのは、特にインバウンドであると、大体口コミサイトでよかった、悪かったというのが毎日のように出る。ここは悪かったということが名指しで出る、これを十分注視するというのがとても大きな作業だと思います。

 こういうふうに良いと言われたら、それを検証する。こういうふうに良いと言っているよと。名指しをすると宣伝になるかもしれないので、今のマーケットは、そういう口コミを見てそこに集中する。そんなサイトで調べないで行く人はいないです。そのときのランクとか、だんだんそういう商売も出てきて、そういうマーケットになっているから、それを行政でランクつけるという手法も伝統的にはありますが、それ以前に、こういうのは良いと言われていますよ。どういうふうに良いと言われていますかというのは商売の実態が出ないと、こちらからは言えないのがマーケットだと思っています。

 良いものは、こういうのがあるよということは後で検知できるというふうに思いますので、それを行政としては検知して、どことは言わないけども、こういうような評判立ってますよと。

 そして届出があった人に、こういうことをしてますかと言って、実行してもらえたらと思います。それは民泊だけではなく、既存の旅館も同じですね。奈良の旅館は、口コミサイトで随分悪口も言われたり、褒められたりもしていますが、それを見ない人のほうが多いというのがすごく残念です。見ようよ、見ようよと言っているんですよ。努力をしている人は、毎晩、口コミサイトを見ています。あれは、名指しで書いてあります。全部かどうかは分かりませんが名指しで書いてあるので、うちの従業員のどこが悪かったのかということを検証している。これは業者努力ですが、そういうことは民泊で、安かろう悪かろうで来ればいいというのは淘汰される可能性が随分強いと思います。

 だから淘汰を、民間の口コミサイトで淘汰されるというのを放っておかないで、うちはやり出したのに流行らないといって騒ぐわけです。政治的にも騒ぐので、それはサービスが悪いのではないかと言い返したいぐらいです。口コミサイトを見て、単純なことなんですが、布団が湿っぽかった、ほこりが落ちてた、こういう備品がなかったという、気をつければ直すことがたくさんあるのに、それをほったらかしにしていたら、お客は来ないですよねというのが、今の行政の基本的な姿勢であります。

読売新聞:
 確認ですが、県として、例えば眺めのいいレストランという事業が前にありましたが、ああいったような感じで、その申請があったところを認証して、ここの部分がいいねとか、何かそういうような優良認証制度みたいなのはないのかということをお聞きしたいのです。

知事:
 農産物でね、プレミアムセレクトというのをいたしました。これは客観的に、オレイン酸が5以上とか、イチゴの糖度が12以上とかいうのをセレクトしてやるというのを、これ個別選果の過程でできるんですよね。宿泊業のランキングですけれども、行政でできたらとは思う。

 観光部長のときにしようかと思ってやったが、行政は嫌だと、旅館組合がみんな同じだと、みんないいサービスだと、こう言うんですよね。そうではないのだけれどもというのを経験していますので、行政的にはとても無理な感じはします。チャレンジしてもいいかもしれない。それは口コミサイトで、こういう評判の良いところがあるよというので、デファクトのセレクト、プレミアムセレクトをわかるようにすると、見える化するという行政手法はあり得るかと思います。公式の認定というような、評判が良いところはこんなにありますよということをざっと並べるとか。それは業界ではできないことです。違う業界が、ミシュランとかランキングを、独自の独立した業界がやり始めています。

 それは旅行の案内する人は、いいところを紹介しなくてはという宿泊の提供業と案内業と、これ業態が違うわけです。案内業の仕事のように思います。案内業の人は、良いとこですと。それは県が認証した良いところだというのも一つ箔づけになるが、なかなかこちらでは、俺は入ってないけどいいというところも実際はあり、食事もそうですけども、それは案内業の人が、良いところですよといって保証してあげればいい。この商売は、関係が深いからなかなかできにくい。案内業の、旅行業の子会社とか関係会社が、タイヤ業者みたいな全く関係ないところが格付をするというのが中立的だという、格付の今の作業です。行政はなかなか難しいところがあるように思いますが、そういう格付業界というのは今はやっています。

 アマゾンとかグーグルでやっているのは、「いいね」があると、事実上の格付になっている。いいねと言われたところに行ってみようかなというふうに消費行動が動くが、消費行動をどうして動かすかというテクニックがすごく、行政がやるべきというのは、なかなか困難もあるし難しい。今そういう情報を集積して、これだけいいねが多いよというので誘導するという消費行動の格付の一つのあらわれだと思います。それをもっとダイナミックにしてほしいなとは思いますけど、淘汰しなくてはいけない。悪いものも残る世の中ではないし、地域の評判にかかわりますので、いいものもあるよということを、食事でも証明したい、証明したいと思って、ミシュランが多少してくれましたけども、宿泊でも、今度は民泊のミシュランが出るかどうかということにもなると思います。

 先ほどの、どういうふうに良いものを育てるのかという質問と同じことでありますが、これは地域が頑張ったらできる可能性もある。そういう気持ちで何かできることはないかというふうに探して努力をしなくてはいけません。何をするのかと言われてもまだ具体的にはないが、多少のアイデアはありますがというような程度であると思います。そういう努力をする気が強いところとそうでないところが、旅行業、宿泊業の圧力に押されて消極的対応と、それを多少ブロックして積極的に育てるのでは、多少差が出るかもしれないというような期待もありますけれども、良いものを育てるのは大事かと思います。

 まだ、その事前妙案はありませんが、事後妙案が発生するような期待と、また努力も続けたいということでございます。

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「クマノザクラ」について

NHK:
 ちょっと季節の話題なんですが、知事はクマノザクラって耳にされたことはありますか。今週、国の森林総合研究所が100年ぶりに桜の新種が見つかったという発表したんですが、クマノザクラというので紀伊半島の南部に生えていますと。よくよく聞くと、和歌山と奈良県と半々ぐらいで生えていますという話なんですが、クマノザクラという名前もとられちゃってて、その森林総合研究所は、和歌山と組んで、和歌山の林業試験場がいろいろ調査をして、これからソメイヨシノよりちょっと早目に咲き、花も非常にきれいだということで観光振興にもなるといって売り出そうとしているらしいんですが、奈良県はその過程に加われず、名前もとられて、でも生えてはいますという状態なので、ここから何か巻き返しができないのかなと思ったんですが、もし何か所感があれば。

知事:
 吉野桜はもう先行していたから、クマノザクラがそろってもいいのかなと。今のとっさの感じですが、クマノザクラもいいんじゃないかと思います。実際熊野古道も奈良県にありますしね。熊野古道がすごくはやってますが、熊野というネーミングはむしろ歓迎です。1つは歓迎です。

 もう一つは、「桜」ということで「植栽」を売りにすると。「仏像」か「桜」か、昔は「芸者」しかないんじゃないの、それじゃだめだよとデービッド・アトキンソンに冷やかされているわけなんですが、「桜」だけじゃなしに「植栽」というのは物すごく迫力あるんですよね。日本列島の観光魅力に、「植栽」というのはものすごく大きいと思います。オランダなどヨーロッパの緯度が高いところでは、木がそんなにあでやかに咲かないので、チューリップとか、球根とか、そういうなので草花をぱっと咲かすという、その威力はすごいんです。そういうふうに花が咲くと、みんな生命をもらうようにどっと行くんですよね。「植栽」というのはものすごく威力がある。だから馬見丘陵公園の植栽というのも一つ大きな魅力です。奈良県の植栽計画をやる上で10年たつと、量的にも、色的にもすごく違うようになってくると思います。

 植栽計画の戦略を立てようと今言っているんです。希少種・珍しいというのも一つですが、量も少ない傾向があります。希少種としての値打ちはあると思うんですが、もっときれいなのを圧倒的に見せたいというのが奈良県の植栽計画の大きな目標です。

 奈良県だけじゃなく日本全体が、ヨーロッパと違って樹種が豊富なんです。もう桁が違うほど樹種が豊富なんです。それを杉一辺倒にしたという国の過ちがあった。花粉を今まき散らしてということですので、もっといい色の木をたくさん植えたい。こんなに観光が商売になるとは思わず、木材栽培が商売になると思っていたからそういうのに走って、経済に走ったツケが何十年後の今、方針転換を迫られているというふうに思います。あと、森林環境管理制度の勉強会をスタートさせますけれども、紀伊半島とおっしゃったので、森林のこの植栽と合わせた森林環境の管理ということをうまく調和できる方向になればという野心があります。

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財務省文書改ざん問題について

時事通信:
 国政の問題で、森友学園の文書の関係で財務省が公文書を改ざんしていたとありまして、知事のそれに対する率直なご感想を一つ。

 また、奈良県は公文書管理に関しては無関係ではないと思うんですが、どのようにされていくのか。折しも今回、組織改編でそういう課を立てられるということですので、その辺の対策をお伺いします。

知事:
 森友関係文書と、奈良県の場合、月ヶ瀬文書とこう呼びますね、この関係と所感ということです。一つ目は、違いという点では、森友の場合は決裁文書の一部削除という改ざんなんです。決裁文書というのは公文書ですし、随分大層なことをされたなという印象があります。奈良の月ヶ瀬のほうは、決裁文書ではもちろんないわけですが、行政文書該当性というのは後で答申が出て、行政文書だと言われたんですが、行政文書該当性の認識がなかったということは繰り返し報告していますし、捜査の回答時に7行削除したというのは、行政文書じゃないからというような認識です。なぜ行政文書じゃないというのかは、課長補佐がつくった書類ですが、共有ドライブに入っていたけども個人作業領域に入っていたと。個人作業領域に入っていたというのが審査会へのこちらの主張、後でわかったんですが、そういうことを言っていると。組織的に用いる文書であれば行政文書になるということは明確で、そのようなものであったのかどうかというのが答申上、審査請求があって争われた点です。

 ところが、森友のほうは決裁文書として、これは行政文書であることは誰も疑いを持たないけども、大胆に決裁文書を改ざんした。奈良県の場合は、これは行政文書じゃないんだというふうに思って、捜査当局に削除して提出したというのが実態です。その中で、あんまり本質的には関係ないと思いますが、議員の名前とかは月ヶ瀬文書には入ってなかった。そんたくの対象はなかったというようなことは、本質的には関係ないですけれども、そのように思います。

 個人の文書か組織の文書かというのが争われたけど、行政文書という答申が出て開示したわけですが、その後、時系列で追うと、7行削除して捜査回答を出したのが平成28年3月29日。ところが、同年6月6日にNHKの問い合わせがあって、その削除した部分も含めて閲覧に供しているんですね。これは行政文書じゃないからといって閲覧に供したという事実があるので、そういうステータスの認識がはっきりしてなかった。行政文書に該当しないということで、問題ないと思って出したというように今聞いています。

 だからそういう点、森友文書の改ざんとちょっと違うように思いますが、共通しているのは、後で、いつから行政文書になったかということはまだちょっと確認してない。答申後は行政文書で、そのときから行政文書だと、後追いで遡及的に判断されるものかどうかという点は、ちょっと法的なことなんですが、多少違うなという印象であります。

時事通信:
 今、森友文書と月ヶ瀬文書の関係性がなかったとお話だと思うんですけども、森友文書そのものへのご感想はどうでしょうか。

知事:
 ああ、森友文書だけ切り取ってというか。

時事通信:
 行政としてはあり得ない話ではないと思うんですけど、特にもともと中央省庁のご出身でいらっしゃいますし、そのあたりも含めてちょっと。

知事:
 正直、行政官経験者としては、普通ないなと思います。よく大胆なことをされたなというのが、行政官経験者としての第一印象です。とりあえずそんなことですが、あと政治的な動きもあるから、どうなるのかなというふうには見てます。今、報道されるようなことについてコメントを求められているわけじゃないと思いますが、私の立場からは、政治で、麻生さんがやめるべきか、やめるべきじゃないとか、官邸がどうだこうだと、そういう所感や所見というのは持ち合わせていません。どんなふうな責任問題とか、監督責任とかはあんまり、その行為自身がどういうことだったのかということは、何か佐川さんが証人喚問か参考人招致があるということならば、もう少し実態がわかってくると思います。

 それと、これ関係するのかどうかわからないですが、大臣の身分とか内閣のステータスというのは、「戦前日本のポピュリズム」という本で、筒井清忠さんという方が書いているんですが、その中でいろんな事件のことが書いてあって、大きな影響があったのはね、何事件だったかな、それは検察事件だったんですが、当時の大蔵事務次官も逮捕され、その検事がすごく功名に走ってやったという結果になったんですが、3年間15人の逮捕者が出て、全員無罪だったケースがあるんです。それは逆に、マスコミの攻勢にさらされて、齋藤内閣だったかな、総辞職したんです。僕の感じは、マスコミの攻勢で内閣が倒れるのではなく、院内の議論で倒れるかどうかを決めないと、何のための国会かというのが、その戦前ポピュリズムの本の大きな反省点。院外活動で政治が動いちゃいかんというのがポピュリズムの一つのこと。エビデンスに基づくかどうかという点が、戦前では、日比谷焼き討ち事件からずっとそういうことが書いてあったので、多少耳が痛いかもしれませんが、それを今、ポピュリズムが世界的にはやっているので、森友と政治については、「戦前ポピュリズム」という筒井さんの本と、あまり似ているといかんなというのが一つ感覚です。

 それは国会で証人喚問したりするのが政党、国会の仕事だというのがあれですね。国会が機能しないと外が騒ぐというのは当然あるんですが、外が騒いで国会の機能が落ちるというのは、これは悪いパターン。これは戦前のポピュリズムの反省で、それはいかんなという感覚はあるんです。国会がもっと糾弾にしろ、国会が機能して、国会が糾弾して、おかしいというのが国会の機能だというのは、ご質問の中に入ってなかったかもしれませんが、つけ加えたいと思います。

時事通信:
 国会が、より主体性を持ってこの調査なり開示なりやると。

知事:
 そうですね、国政調査権というのは発動すべきかどうかとということじゃなく、そういう権能もあるのは、政権にかかわることは国会で勝負つけろよというふうに体制がなっているわけだから、幾らマスコミの方が騒がれても、国会で勝負するんだというのが与党の姿勢じゃないかという、「戦前ポピュリズム」の本を読んでちょっと感化されている時期で、ちょっとお聞き苦しいかもしれませんが、そのように思います。「戦前ポピュリズム」にかえっちゃいかんというふうに思います。

 それは何事件だったのかな、ちょっと事件の名前はもう忘れるぐらい全く無名になった事件なんで、当時、大蔵事務次官と政治家も15人逮捕されて、全員無罪になった。そのときに言われたのは、マスコミも最初は悪い悪いと言っていたのが、無罪になったら、証拠不十分、犯罪が存在しなかったんだと。3年たったらそんなことをけろっと言うのが日本の戦前ポピュリズムだった、これじゃあなというのが一つ。

 今度のケースは、それと違うように思います。改ざんというれっきとした事実がありますので、存在しないのではないんですが、犯罪かどうかは別にして事実は存在するんだから、それはどういうことかというのは国会で究明されるべきだと、これは民主主義の政治の根幹だというふうに思います。幾ら騒いでいただいても国会で糾弾をすべきだと、国会の機能というのはそういうものだと。戦前の反省からもというのが、その本を読んだ後の影響を受けた感想です。

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マイナス金利の長期化について

日経新聞:
 マイナス金利の長期化で、奈良周辺の金融地図が物すごく激変していまして、大正銀行の合併や、3行合併もスタートします。南都銀行と3つの信金について、知事は今どのようなご所見ですか。

知事:
 地銀の再編にもつながるような金融庁、地銀のあり方、マイナス金利、金融緩和が続くんじゃないかということが前提であると思います。金融緩和が続くと、金利もマイナスということを是認しているという政治状況です。これは経済的にどうかというと、金融機関にダメージを与えていることは確かなんですが、だからまとまって再編、効率化、体質強化のきっかけにしなさいというのが金融庁、森長官の意図だと思います。

 奈良県ではどうかということですが、こういうような時期になりますと、多少弱い経営しているところはターゲットになるんです。この弱いところ、強いところというのがあって、弱い中小金融機関はどうするのかということを個別に追及されて、いや、この際、合併しようかというふうになってくる傾向は当然あります。それがいいのかどうかというのはよくわかりませんが、例えば、メガバンクがグローバル競争に勝とうというかけ声のもとで統合に走って、これは必要だったと思いますが、地方の金融機関の意味ということになると、話が長くなって恐縮なんですが、経済が動くための要素は、技術と人手と資本。今、資本がもう緩和されているから、経済がちょっと伸びたときに指標として反応があるのは有効求人倍率ですよね。人手不足ということになってきて、これも構造的な問題で、外国人をどれだけ使うのか、働き方改革をどうするのかという政治行動にあらわれてきていると思います。

 金融はずっと緩和しっ放しだから、経済ももっと売り上げ伸ばしたいんだけど、金融機関に駆け込むというような企業はもういないですよね。内部留保がたまりっ放しだから。企業にたまるのか、金融機関にたまるのかっていうのは、結局稼ぎはみんな金融在庫として残っている。この活用というのが大きな課題だと思います。金融機関の在庫あるいは企業での在庫、金融資産の在庫というものの活用が、本質的なところはそういうことだと思います。

 金融機関の経営の目先だけから考えると、奈良はかたい経営されているので安定しているように聞いていますが、県は金融機関の監督機能は全くありませんので、単に評論家立場ですが、そのときに経済が活性化するということは、雇用にもいい影響を与えますし、地方での働き口を確保するためには経済が回らないとということは、県の仕事として強く思っています。

 そのための機動する要素は、金融というのはもう緩和しているから、トリガーといいますが、きっかけにはならないだろうなと。すると結局消費ですよね。どれだけ売れるかということに、それが効率的な人の配置と働き方をして売れるかということになる。消費というのは物を外国に輸出することも含めて、そのマーケティングというのが大きな要素だと。それは金融機関も助けるわけですが、これだけ貯蓄体質が強いとね、奈良県は特にもうちょっと金を貯めないで使ったらという気はあります。奈良県の資産家に言いたいのは、土地は早く手放すこと、お金はもっと使うこと、ということを強く言いたいと思います。土地を手放すと公共事業がうまくいくんですよね。奈良は土地執着が強くてかなわないなというのが、県政の立場ですね。土地がよければもっと経済活性化しますよ、奈良は。ちょっと話外れまして、すみません。

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財務省文書改ざん問題について

産経新聞:
 さっきの文書の管理の話に戻るんですが、新しく法務文書課をつくられるのは、言い方としてはその月ヶ瀬文書の問題を受けてと言っていいですか。

知事:
 いやいや、それもないわけではなく、あると思いますが、月ヶ瀬文書を始めとしてということで、実は何年か前から官房機能の強化ということを言ってました。官房機能は統合的機能ということなんですが、中央官庁は国会対応というのがあるから、官房機能はとても強い。あとは文書管理。僕は文書課長というのをしてましたので、それは文書管理課長ではないんですが、法律の担当。(奈良県は)そういうなのはあんまりで、法務は、総務課があるんだけども、官房機能が弱いなと。それは人事の働き方改革、職員の管理、時間外勤務のマネジメントという点で弱いなと。総務のほうは法務というのが弱いなと。地方が国の執行機関だと国のガイドラインを見て条例つくるというメンタリティーになって、県の事情に合わせて条例、規則をつくるというメンタリティーやパワーは薄いなと。それをどんなふうに考えるのかというのが官房機能の一つなので、何年か前から官房機能の強化と言ってたんです。

 それが今度の、月ヶ瀬文書とか文書の管理ということで、開示請求が出たときに、現場に任せてきて私のところにもあまり上がってこなかったという一つの反省があります。文書管理について現場どまりで上がってこなかったという反省がありますので、いつも文書の管理を判断するときは、少なくとも総務課に上げて、総務課に上げるとその判断が僕まで届くんじゃないかということもあって、この法務文書課というのをつくろうと。だからこれだけのことじゃないということですが、(月ヶ瀬文書が)大きなきっかけですかと言われたら、そうですねというふうにも思います。

産経新聞:
 この間のその問題のときに、総務課長を責任者として一元化するっておっしゃったんですが、この改編によってどうなるんでしょうか。

知事:
 総務課の改編ですので、文書管理は、この法務文書課にしてもらうということになります。総務課長と言っていたのが、この新しい課の課長ということになります。

産経新聞:
 法務文書課の課長をトップとしてという。

知事:
 ああ、そうですね。ミッションを明確にすると。総務というのは何でもという感じだから、法務文書課は、それをメーンのミッションだというように認識をして、課の名前をつけたということです。だからその文書管理についてのきっかけですかとおっしゃったのは、ある面そのとおりですねというふうにも返事できると思います。そのとおりですねと。ただ、それだけじゃなく、前から思ってましたということを、つけ加えたかったので、そのとおりですねということで、言い直してもいいと思います。

NHK:
 関連してです。さっき時事通信さんが質問した月ヶ瀬文書の中で、NHKにも行政文書とは思ってない、そういうものとして示したというご発言ありましたけれども、NHKの信用にかかわるので申し上げますが、その際、担当課長には、これは行政文書ですと、情報公開しているので公開してくださいという抗議をしています。その内容は、情報公開審査会と同じような理屈で、その場で申し上げているので、それを万が一にもそう思わなかったんだという、NHKにも見せていることを、何か県がその当時思わなかったという補強材料にされたら、それはちょっと違う話です。

知事:
 それはおっしゃるとおりです。

NHK:
 ぜひそこは明確にしておきたくて、そのためにも発言させていただきます。

知事:
 おっしゃるとおりです。6月6日にNHKに閲覧したというのも、ずっと知らなかったんですね。これは言いわけに聞こえちゃいけないのですけれども、そういうことを言ったということはずっと知らなかった。だから行政文書該当性ということになるんですけども、その判断が現場に任されてたというのが大きな反省点だという、産経新聞さんの質問とも関係するんですが、それを組織的に判断しようよというのが一つの大きなきっかけです。

 それは先ほど行政文書じゃないと思ってたというのは、そういうふうに思ってたという報告を受けたというだけなので、それが至当だとは、今の時点で至当だというふうには言えないと思います。NHKさんがおっしゃったように、行政文書ですよと言われたということは、ちょっと初めて知りましたが、よく読むと書いてあったかもしれないですが、そういうやりとりの中で、行政文書かどうかと関係なく閲覧してもいいんだと、行政文書じゃないから閲覧してというほどのことでも意識はなかったようにも読めるんですが、問題ないから閲覧してもらってもいいんだというふうな感じの報告を受けています。要は、文書のステータスについての認識が低かった、薄かったということは明確になっていますので、それは行政文書の扱いということで明確にすべきじゃないかと、今としては当然ですけど、思います。

 その当時の言いわけみたいになるかもしれませんが、フォルダーの位置とか、保存の状況とか、多少まだ論点はあろうかと思うんですが、もう一つの論点は、行政文書というのは、いつから行政文書になったのかという、今総務課長に聞いているんですけど、その答申では、当時から行政文書だと認められると、こう後で言うんですが、情報開示の行政文書として判断しろよと、こう言われたから、判断した時点から行政文書になるのかなとも思われるんですが、さかのぼって行政文書というステータスが与えられるものかと。すると、それを改ざんしたときには、公文書偽造罪になるのかどうかという構成要件に、それだけで全てではないけども、当たるかどうかという点にも関係する。

 ところが、森友のほうは、決裁文書だから公文書ということは、その時点でもう明らかだと。こちらのほうは、そういう認識をしてなくて、後で行政文書だと言われました。そのとおりですねと後でわかったんだけど、その当時の行為が公文書の扱いにさかのぼってなるのかどうか、これはちょっと研究しないといけないというふうに今思うんですけれども。だから行政文書ですよとおっしゃったことは正しかったと、今ではもちろん認識をしております。

司会:
 よろしいでしょうか。
 これで定例記者会見を終了させていただきます。ありがとうございました。

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(発言内容については、読みやすくするために、広報広聴課で編集しています。)

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