令和元年11月20日(水曜日)知事定例記者会見

司会:
 おはようございます。
 それでは、ただいまより知事定例記者会見を始めさせていただきます。
 本日は、発表案件はございませんので、ご質問のほうから始めさせていただきたいと思います。では、ご質問あります方はよろしくお願いします。


奈良県内における政治意識調査について

毎日新聞:
 当社も含めて幾つかの社が報道していた政治意識調査に関連する質問ですけども、国政選挙や県知事選などで、誰に投票していたか自治体が調べるなんて問題ではないかということですけど、その問いを県の担当課にしたところ、「回答者個人が特定されないように処理しているので全く問題はございません」と、返事をいただいたんですけども、知事は同じ考えなのか、それとも別の見解をお持ちなのか、そのあたりご意見をお聞かせください。

知事:
 同じですね、一言で言うと。その至った経緯を説明していいですか。

毎日新聞:
 よろしくお願いします。

知事:
 かねてからのテーマなんですけども、地方政治がよくなれば、地域は元気になるというテーマを勉強してきたわけです。国政だけではなく、地方政治がよくなれば、地域が元気になるのではないかというテーマに関心を持っていたわけです。とりわけ地方政治というのは地方分権の時代だから、より大事な分野になってきていると思ってきているわけです。

 地方政治は、中央政治と違って、大統領制、首長と議会は、車の両輪とも言われますが、車の両輪の上に、車の座席に住民の方が座っているということです。ハンドルを誰がとるかというのが課題ですよね。首長が形式的にはとるわけですけども、座席に座っている住民の方の声を聞きながらハンドルをとるというのが民主主義ではないかと私は思いますけども、それが地方政治の構造ということですので、地方行政だけではなく、地方政治はより政治の決定機構ですので、大事かと、そういう意識でした。それは地方政治がどのようなものかということについて、私の見解ということです。

 その地方政治の課題、地方行政の課題でもありますが、その中の一つは地方の、奈良県の市町村の財政が全国で一番悪いということがずっと続いています。私の推論ですが、それは地方政治の財政規律が低いからではないかという、推論ですから当たっているかどうかわかりませんけども、地方政治をよくして市町村の財政規律が上がる道はないかというテーマを、それは国だけではなく、私の関心事項で追求していたわけです。

 ご案内だと思いますが、地方行政の論考は本も多いですが、地方政治の論考は少なかったように思います。私が余り目につかなかったというか、勉強不足だったかもしれませんが、国の政治などは多いですけども、地方政治の論考、本が少なかったように思います。ところが最近、地方政治の本が随分出てきているんですよね。地方政治の民主主義や、地方政治のあり方などいろいろ出てきたので、それをあさって読んできたわけです。

 その先生方の中には、関西在住の方が結構いらっしゃることがわかってきました。地方政治のそのような意識がありましたので、地方政治の勉強会をしたいので参加してくれませんかと呼びかけて、その中の2人に呼びかけたら、他を含めて3人反応していただいて、4月に行いましたけども、県・市町村サミットというのをいろんなテーマで勉強会をしておりますが、地方の首長、知事と市町村長、それと、この4月の勉強会には議員の人も大分参加されました。市町村の議員の人が結構多かったんですが、地方政治の勉強会をしました。その先生方にも講演してもらったり、パネルディスカッションをしました。それは4月で終わった、一つ済んだんですけども。それで地方政治がわかったというわけでもない、大きなテーマですので、引き続き勉強会をしませんかという話が両方から、私も声をかけましたけども、先生からも「したいんですが」という話がありました。ではどのようにするかということになって、議論の中で2回ほど集まってもらって。そのときは先生方の人数がもう少し増えましたね、集まっていただいた、関西在住の、日本でもトップクラスの地方政治の先生方ですよと、若い先生も含めてとおっしゃっていただいたので、とても心強く思いました。

 地方政治は、地方ごとに違いがあるのではという観点があって、そのようにも思って、奈良県の中でも市町村ごとの政治というのは違いがあるように思いますし、県単位であっても違いがあるのではと思ったことがありますので、その点はどのようにわかるんでしょうかというようなものがテーマの一つになったように思います。日本の地方制度、政治は、制度は同じだけど、地方の政治意識は違う。そうすると地方政治の内容が違うのではないかと推論するわけです。そのようなことを余り探求されていないように思いましたので、政治意識の違いというのは地方政治の内容を随分決めていくんじゃないかというような推論も、当然そういう学問がありますし、また思う人もいますから、その政治意識というのに取りつくのが大事かと。思えば国だけではなく、ほかの国もそうだし、その地方政治の政治意識というのは他国でも随分研究されているテーマでもあるように知っております。

 政治に対する意識は、地方・地域、奈良県では市町村を北部とか南部とか、地方・地域でどう違うのか意識調査が必要ではないかというのが、先生方と県との勉強会の中で出ました。意識調査が必要ではないかというような話が出て、アメリカの政治意識調査というのはすごく発達してますけども、先生の中で、アメリカの政治意識調査に詳しい先生がおられて、その先生に設計してもらったらどうかという話が出て、お任せしたというのが今までの動機と、地方政治における政治意識の調査をするきっかけです。動機はそのようなことです。動機のもとは、出発点は、地方政治がよくなれば地域が元気になるのではという関心から始めたというのが、この場で何度も言ったことがあったと思いますが、その延長で始めたということです。

 そのような政治意識調査の中で、今年は選挙がたくさんありましたので、政治意識が行動にあらわれるのは投票ということで、投票が一番の政治行動、住民の政治参画というのは当然ですけど、「政治参画はどのような政治意識のもとで行われたのか。今年はチャンスだから調査しましょう」という声が上がりまして、ではぜひ調査してくださいということで調査を始めた。そのようなことですので、私ども自治体は、政治意識調査の設計のノウハウや能力がありませんので、先生方にお任せしますよというのでスタートした。費用は県で持ちましょうというものです。そのような動機だということを思い出して述べております。

 調査、内容について、いろいろ議論がありますけれども、先生方に委ねた、お任せした調査内容ですので、調査内容の項目について点検すべきだったかという、むしろ点検すると、調査設計が行政調査になります、研究調査ではなく行政調査。行政調査は、先ほどあったように地方政治全般の関心から行政の関心が発生しておりますので、研究調査というのは先生に任せるのがいいのではないかと今でも思っております。だから調査内容については、介入というか、意見を言ったことはございません。

 そのときに、勉強会の中で先生が投票行動の調査というのはとても重要だよということをおっしゃっていました。アメリカは行動経済学から始まっていると思いますが、投票行動の意識調査はとても重要だよと、こうおっしゃっていて、大事なのは、誰が誰に投票したのかということがわかると、後のはね返りが、おまえはあれに投票したのか、わかってしまうといけないわけですので、そういうことがないようにお願いをしました。調査の中にも多少書いていますけど、書いてあったと記憶してますが、後の統計処理についても統計の、意識調査ですから大事なのは割合や数ですので、誰がということは研究対象にならないわけですが、回答者の名前の秘匿はとても大事です。

 受託事業者は、調査票の発送を2,000名ほど発送されて、850名ほど返ってきてますけども、調査票の名宛てがありますから特定できるわけです。返ってきた人の調査は、分けてしていると。このような調査を慣れておられるからだと思いますけども、発送と、返却処理は部局を分けて情報交流がないようにされていると、それは望ましいことですので、名寄せができないということを聞いております。名寄せが調査会社にもできないわけですので、当然私どもが、誰がどこに調査したか、あんたは誰に投票したらしいなということは全くわからないようになっていると聞いております。それは確保されているように聞いております。

 それから、調査業務が終了したら、個人情報がその調査票の中には、発送した人と調査票自身は個人情報が入ってますので、発送者と、それはどこかで切って、分離して統計処理するのがその処理班というのが組織が分かれているわけですけど、それがまた情報が名寄せされる機会が少しでもあるといけないので、廃棄する、復元できない処理するということが契約の中に入っています。名前の悪用がないようにしているというのが2つ目のポイントです。

 最初おっしゃったのは、何かおかしいのではないかということをおっしゃっているマスコミの方がおられるということですが、私は今のような観点で思っていますので、その意見を聞いていただいて、それでもおかしいことがあれば、また論評していただければと思う次第です。

毎日新聞:
 違和感があったのが、県は問題がないと言う割には、この事業と同時並行で進めていた地方政治研究会の実施について、最初8月に実施されたということですけど、次回の期日はいつなんだということをご質問したら、報道各社からいろいろご指摘を受けたので、次回期日は決められないことになっていますと。

知事:
 ああ、そう。それは聞いてなかった。

毎日新聞:
 聞いてないですか。で、違和感があったんですよ。問題がないのであればそんなに周りからの声など気にせずに、次の期日を決めて研究会をすればいいじゃないですか。なぜそこで躊躇があるのかと。

知事:
 いや、僕は知らないと言ってますので。

毎日新聞:
 ご存じじゃないと思って。

知事:
 だからどうしてそういうことを言ったのかわからないけど、地方政治研究会を中止したとか、中断したという意識はありません。

毎日新聞:
 依然継続してるけども、次回期日だけ決まってないという認識だと。

知事:
 そういうことだと思いますね、解釈するとそういうように。この調査票の後に、また先生方と議論しないといけないじゃないですか。ほったらかしにして終わりということはあり得ないと私は思います。だから調査結果がいつ出るかわからないから決まってないとかということなのか、よくわかりません、どのように言われたのかというのがね。

毎日新聞:
 そうですか。あともう一つ、先ほどのおっしゃった内容の中で、一字一句一緒ではないかもしれないですが、質問内容に介入することは行政の調査みたいになってしまうという見解、これは行政の調査ですよね、学術的な調査じゃなくて。質問者は学術的なメンバーが作成しているかもしれませんが、この調査というのは県の調査ですよね。

知事:
 県は、お金を出してスポンサーをしてますけども、例えば考古学の調査するときに、考古学も行政の分野ですが、文化財の保存ということで、調査内容は考古学の専門家に委ねたりすることが多い。比較対象としていいのかどうかわかりませんけども、行政と学術という言葉で、その違いは何かというご質問のように思いましたので、学術と行政の調査の主体というのは、スポンサーは行政がします、そういう意味では行政の調査です。対象が、内容が学術的調査ですという意識ですということですね。それをどのようにとられるかと、一緒じゃないかと、こう言われても、そうかなあという感じがしますけども、他でも学術の調査内容と、学術、考古学の調査内容に、例えば私が行政の長として、それはこのように掘るべきだという見識もないし、能力もないというように、比較の対象としていいのかわかりませんが、学術の調査といったのは、それは行政の調査だよと、こうおっしゃったものですから、行政の調査と学術の調査は、スポンサーとして財政的には行政が支えているわけですけど、文化財の調査もそうですが、文化財の調査はやはり学術専門家に委ねなければいけないと。しかも能力がないと思っていますから、そのようなのと類似かどうかはまたご判断願いたいと思いますけども、学術調査と行政調査はある程度は段階があるのではないでしょうか。

毎日新聞:
 質問を作成する能力はなくても、その質問が、自治体が調査するにふさわしい内容かチェックする機能は備わってしかるべしだと思いますけども。

知事:
 それは学術調査だから、全体の調査設計がどのようにされているか、わからないですよね。この調査は聞かれたときに、ある調査で聞かれたら、調査の結果が分析されるかわからない、それはこのように分析しようと思って聞いたんだよとおっしゃるかもしれないから、私はそのようなことは十分あろうかと思いますけどね。

 何かこう、まず大事なのは、個人情報が秘匿されるようにということですから、今は結果がどのように出るのかについて、チェックが要るのではないかという類かもしれませんが、入口の、誰が誰の選考、政治意識が投票選考という調査だと思いますけども、投票選考の、投票した者の秘匿は、私は一番大事だと思ってましたから、調査設計はそうしてくださいと。調査内容が出てきたときの分析をして発表するというのがどのようなものになるのか、これは意味があるのかという調査、あれはどちらかというと、先生で、最初に勉強した際に、こういう調査の、日本でもトップクラスの専門家ですとおっしゃいましたので、まして私どもが言うような内容ではないなというのが最初からありました。そのような状況ですから。何か聞いてはいけないというのは世の中にあるんですか。

毎日新聞:
 逆に質問されているということですか。

知事:
 はい、そういうことです。

毎日新聞:
 私個人としては、ええ。

知事:
 何か聞いてはいけないことをチェックしなかったとおっしゃっているようにも聞こえたものですから。そういうことはよくあるのはね、人権のことはそんな聞いてはいけないよと言われることありますけども、それは発信者というか、調査対象者が特定されなくても、人権とかヘイト的な調査では、人権的なことは聞いてはいけないよということは従来からありましたので、チェックは設計者にもお願いしていますし、設計者に基本から行政が関与するというか、財政支援する調査は、そのような調査はやめてくださいねということは通常ありますので、政治調査でチェック項目が何たるべきかというのは余り議論されてませんでしたよね、今まで。そういう例もなかったから。その違和感がある第一感(=直感)と、こうおっしゃったので、それはそうかと思って聞いてるわけですけども、また深掘りされて、調査内容がどういう意味で違和感があったのかということを、また論考を発表していただくと勉強になると私は思っています。

毎日新聞:
 今回の調査が妥当だったかについて、検証するおつもりはないんでしょうか。

知事:
 今のところ妥当だと思っていますが。だから具体的にこれはおかしかったというのがね、「俺のことを聞きやがって」ということはあるんだろうけど、選挙というのは外に出て、俺はこういう者だと投票行動するわけで、政治とはそういうものでしょうね。個人とか党が特定されないと投票行動にならないから、投票では数が出て結果が出るわけですが、その意識はどういうところにあったのかというのをクロス分析するというのは日本であまりなかったのかもしれません。アメリカでは常時あるように聞いておりますが、このようなことも含めて、地方政治だけでなく、政治行動の中での投票行動についての意識の所在というのが、あまり日本では深掘りされなかったのかなという感じがご質問を聞いていて思います。それはおかしいじゃないかという意見も含めて、深掘りされたらいいんじゃないかと改めて思います。

毎日新聞:
 例え話になりますが、また同じような調査があった場合、今回の調査内容を妥当とするならば、同様の内容で調査する可能性というのも否定しないと。

知事:
 今の段階だと、どこが悪いのかがわからないと、やらないとは言えないじゃないですか。だからこういうふうにおかしいんだということが議論の過程で出てくれば。おかしいという人が多いからやめるということは私の流儀にはないんです。意味があればやめますし、意味がなければしますので、それがどのようなところにあるのかまた教えてください。勉強して教えてくださいよということ。最初、第一感ではと何度か言われたので、第二感、三感、四感をぜひ出してくださいよとお願いします。

毎日新聞:
 今の段階では、県はこの調査について問題があるという意識は一切ないという結論ですか。

知事:
 何か教えていただければ。将来問題がもっと明確にわかるかもしれないけれども、今出てきた「俺のことを聞きやがって」というような、そういう言い方はされてないですけどね。しかし選挙というのは、俺に投票しろといって行動する人ばかりだから、どういう意識で投票したんですかと切り返されても、それ自身は普通のことじゃないかなと私は思います。私のことも含めてね。私のことでネガティブなことも当然出てくると思いますが、それは自分のためだけではなく、もう選挙は終わってますから、政治意識をどのようにされたのかなというのは興味おありではないですか、皆さん方も。それに資するための調査ですから、個人のために資する調査じゃないということだけは強調しておきたいと思います。政治の意識調査ですから、もう政治というのは集合で大きな意思決定をする、民主主義だから、民主主義の中で意識というのはすごく大事ですから、その研究がされていないので、意味がある、人権とかあまりセンシティブマター(=取扱に注意を要する事柄)を入れていると何かおかしいなというのが私はよくわかるんですが、そのようなことが入ってますか、それを論拠におかしいなと言っておられるんですかということを聞き直しているんですよね。論拠がなるほどと思えばそれを修正するのも当然やぶさかではございませんが、今のところはまだわかりませんと。まだ頭が敏感じゃないだけかもしれませんが、今のところではよくわかりません。それはこういう政治意識調査というのが日本ではあまり進んでなかったからかなと思うところもあります。

 いや、進んでいるよとおっしゃる人もいるかもしれません。あるいはこちらのほうがそういうことに配慮が足りないとおっしゃる方もおられるかもしれませんが、このような配慮をして政治意識調査をして、政治意識のあり方を共有化して、地方政治のあり方、パフォーマンスをよくしようという努力自身は否定しないでいただきたいと思います。そのような意識が前提になっているということは、あまり書かれていません。現象的にこういう聞き方はおかしいというご質問が多いように思うんですが、その根っこは地方政治をよくしたいという思いから始まっていますということは説明させてください。理解されるかどうかは別にして、それが私の言いたいところです。

毎日新聞:
 恐らく質問内容に大阪府の質問が多かったからだと思うんですが。

知事:
 ああ、なるほど。

毎日新聞:
 大阪府の吉村知事がツイッターで、この調査を県の主催で、県の税金でやるってある意味すごいというようなつぶやきをされていましたが、他の都道府県の首長からそういう非難の声があったことについては、どういうご見解でしょうか。

知事:
 大阪府の、大阪都構想や大阪維新の会について調査の対象になっています。大阪への通勤者が多いことが政治意識にどう反映されているのかという設問意図かなと感じて、別にだからどうこう議論しませんでしたが、その勉強会の中に、勉強会に参加された学者さんの名前もそのうちわかるんじゃないかと思うんですが、若いけれど立派な先生がおられて、その先生が「大阪」という新書を書かれた。ご存じですかね、「大阪」という新書で。

毎日新聞:
 すみません、存じ上げてない。

知事:
 おもしろいですよ。それは大阪維新の動向を書いたもので、すごく肯定的に書いてあるんですよ。大阪出身の先生なんです。今、関西在住なんですが、そのような先生も入ってもらって、地方政治の民主主義のテーマですごく活躍されている若い先生なんですが、その先生の著書に何冊か触れて、ああこういうテーマで勉強する人が関西におられるんだなというのが一つのきっかけです。

 だからその人の地方政治の民主主義の著書を読むと、アメリカの投票行動の分析を随分勉強されているんですよね、アメリカの投票行動のあり方というような。投票行動の勉強は、逆に立候補者の行動にも、行動経済学の影響を受けておられるのかもしれませんが、今、世界中の投票行動は行動経済学が随分侵入してきているように私は思うんです。それは分析にはいいんだけど、それを利用するのは私個人はどうかと思う点がありますが、ちょっと話が若干それたかも。大阪というのを聞かれたのは、奈良に大阪へ通勤の方が多いということが反映されているのかなと思いました。もう一つは、大阪維新の会のことを肯定的に書かれた先生の意識も反映されているのかなと、決してネガティブで調査されているわけじゃないなと、私はその調査票を見て思ったところです。

 それはおもしろい本ですよ、「大阪」というの。大阪の政治意識も独特だから、それを政治意識的に分析して、とてもおもしろく、わかりやすく書いておられる新書なんです。中公新書だったか、ちくま書房だったか忘れたけれど、とてもいい本です。その若手の政治学者が入っておられるので、その人のこともとても信頼しています。そのような背景があることなので、吉村知事がどのように思われて発言されたかわかりませんので、その言葉尻であまり意見を言っても、反応しても、言葉尻に反応しろよと言われているんじゃないんだと思いますが、大阪維新の会や大阪都構想をとり上げられたのは、通勤者が多いことと、大阪都構想や大阪維新の会のことにむしろ積極的・肯定的興味を持っておられる先生がいるからかなと私は受け取ってますというのが、気持ちの表明です。

毎日新聞:
 わかりました。ありがとうございます。

知事:
 どうもありがとうございました。ぜひまた勉強して教えてください。もちろん書かれてもいいですけども、これはとても大事な話だと私は思っていますので、目新しいことだったかもしれませんが、いろいろそうして意見が出るのはありがたいことだと思っています。地方政治がどうでもいいんだと思われるとちょっとむきになってしまいますが、地方政治はやっぱり大事だと思う上で議論が進むといいなと思います。追加、余計なことを言いました。ご質問ありがとうございました。

NHK:
 先ほど投票行動についての調査がとても重要だということをおっしゃっていましたが、具体的に知事のイメージとして、奈良県の県民の投票行動を調べて、どういった県政の課題だとか施策に生かしていくようなお考えがあるか、現時点でのイメージを伺います。

知事:
 いや、行政がサポートした調査ですけども、出てきたアウトプットはもう共有財産なんです。皆さんにも、学者の方にも、あるいはほかの地域の政治家にとっても、共有財産だと私は思っています。そのような調査の仕方というのは日本ではあまりなかったので、結局政治参加というのは、今の民主主義では投票というのが一番大きな政治参加じゃないですか。それがどういう意識のもとで行われたのかというのはとても関心があります。自分のためにとか、今の奈良県庁行政のためには何も反映することはないですよね。政策のことをああだこうだと聞いていくと多少あるかもしれませんが、政策のコミュニケーションというのは別のプラットホームでどんどんやっています。それは利害が対立するものもありますので、それとこういう意識調査というのは全く別物だと私は思っています。行政利用の余地があまりないように今も考えていて、動機からもそういうつもりです。その出てきた結果を分析してアウトプットを出していただくこと自身を学者さんにお任せしていますので、それにもタッチしちゃいけないと私は思っています。設計も分析も、クロス分析をされるのも、アメリカの投票行動とかの勉強された方が中におられるということをとても心強く思っていますので、どのような分析をされて出てくるのかは、ある面楽しみなんです。

 それは、地方の政治意識、政治行動、地方の制度は同じだけど、政治意識が違うと地域ごとに地方政治が違うというテーマで役に立てばということですので、もし全国でいろんなタイプの意識行動が出てくれば、日本の政治全体が、国中心じゃなしに雁行(がんこう=先になり後になりして進むこと)、フライングギースと言われる雁行型が、地方雁行型とか、地方をもとに沸々と出るというような国の形というものの議論があります。地方はどうして出るところと出ないところとの違いがあるんだろう。私どものテーマでは、地方財政が悪いところが奈良県にそろってるんだけど、どうしてだろうかというのが最も大きい動機でした。地方政治の財政規律が、意識が低かったんじゃないかということから始めて、すると地方政府、市町村の財政状況が住民の方に届いてないんじゃないかというので、県ができることとして財政の状況をお届けしてるわけです。

 そんなに反応はないですが、それが市町村ごとの政治の中で、その材料がエビデンスとして使われると、EBPMと言われ、エビデンス・ベースト・ポリシー・メイキング(=証拠に基づく政策立案)の一つのやり方になるんじゃないかとかねてから思っていますので、それが留保されていないのは、何か政治意識の基本のところでどうなっているんだろうかというのが興味の中心だと。だから今の県政とかに活かすきっかけも何もアイデアはありません。そんな意識も動機もないと申し上げたいと思います。

朝日新聞:
 今、今回の調査は奈良県政のためには反映することは何もないとおっしゃってましたが、そこに県の税金を使うというのは違和感はないですか。

知事:
 ないです。

朝日新聞:
 なぜ。

知事:
 地方政治がよくなるのは全体の底上げですから。これは政治のインフラじゃないですか、投票というのは。とても大事な、そのインフラが立派になっているかどうかというのは我々がチェックしなきゃいけない大きなテーマですから、そのための税金の投入というのは違和感ありますか。

朝日新聞:
 県民のためにならないのなら、何か納税者としては。

知事:
 大分違うなという感じがします。大きく県民のためになりますよと私は思いますけどね。すぐにならないとだめですか。

朝日新聞:
 長期的に見れば。

知事:
 そういうことですね。だからショートサイトに政治がなってきているのか、ロングサイトで未来志向になっているのかという、その見方の違いもあるわけで、そういう意識の違いはないですが、今の議論を踏まえますと、本気で短く、あした役に立たない調査に税金を使うのはおかしいよと、極端に言えばね、言っておられるとすれば、そういう行政だけじゃないでしょうと思ったり、将来役に立つことも税金を使ってやるべきじゃないですか。というのは、インフラだって防潮堤とか堤防とか、雨が降らないと意味がないじゃないか、そんなことないでしょうと。雨が降るときもあるかもしれませんよというのでインフラ整備するというのが、国の行政の役割ですから、変な言い返し方をして変ですが、そのようなタイプの議論かなと思いました。

朝日新聞:
 関連でもう1点だけ。先ほどの話だと、知事は質問には事前に目を通されてなかったんですか、お任せして。

知事:
 うん、通してないですね。報告は、資料は届いたんですけど、中はあんまり見なかった。あんまり意見言う気がなかったからという。

朝日新聞:
 先生方に任せていたからと。


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歴代最長在任期間となった安倍政権について

時事通信:
 別件で、国政の話なんですけれども、安倍首相が本日、憲政史上、通算在職日数が最長になるということを受けまして、知事としてこれまでの安倍政権の働きぶり、もしくは課題、あと今後の期待なども含めて、ご所見を伺えればと思います。

知事:
 先週、安倍さんに会う機会が二度あったのかな、全国知事会の総理懇と、柿の贈呈で身近に会った。在職年数の印象としては、安倍さんは、晋太郎さんの秘書時代からつき合いがあって知ってたもんだから感慨はあります。晋太郎さんが総理になれなかったから、余計、またそういうおつき合いの観点から感慨があります。総理を2回された、お父さんの分もされたのかなと思ったりもするんですけれども。

 だから在職年数、余りこう論理的じゃないですけど、秘書のときに政治に出られるときに励ましたことがあって、お父さんがなれなくて亡くなられたから、お父さんの分も頑張ってしてくださいねというような励まし方をした記憶もありますので、お父さんの分もされてるのかなという、これは全く個人的な印象ですけれども。晋三さんの在職は、お父さんの分もお仕事をされてるのかなというふうな、全くセンチメンタルな印象ですけども、そんな印象もあります。

 その上で、国政の長期政権の課題、期待といいますか、評価する立場にはないですけれども、地方政治の立場から言えることは、安定してきたことだと思いますね。政権が安定するというのは、地方政治にとっても、国が地方の財政を支えるという構造になっていますので。地方分権になりましたから地方政治はできるだけ、地方創生と言われますように、日本で必要なことと思うことをどんどんしろよというのがメッセージで来ているように私は思います。チャレンジしろよというイノベーションですね、地方政治の場でのイノベーションしろよと。

 財政に、もちろん大きな財政を使ってということはありますけども、今の国は、雁行型で国が引っ張るというだけじゃいけないよというメッセージが中央から、私の受け取り方では、来ているように思いますので、その中での安定政権というのはいい面のほうが圧倒的に多かった。地方政治は、長期政権で圧倒的にいい面が多かったというふうに思います。

 それと、課題の取り組み方ですね。課題の取り組み方が、よく言われますように、安全保障が右寄りだ、民生は中道左派だというのもあると思いますが、もし中道左派で、働き方改革とか全世代社会保障とかというふうになるのは、これは地方の現場に近いところはそのような課題を抱えていますので、そのようなテーマで国のほうの政治が動かれることはよかったと思います。今までそういうようなものも新経済総合思想というのか、マーケットのことはマーケットに任そうという、昔のアメリカのミルトン・フリードマン流の政治が、一時経済思想が出始めたときがありました。それが経済の分野でいくと右寄りと言われる分野ですけれども。

 もう一つ社会保障の充実、これは財政も要るわけですけども、アメリカの民主党と共和党で比べれば極端によくわかります。民生的には財政出動してでも支えたらどうかと。全く民主党的な、野党が顔なしのようなテーマを内政ではとってこられているように思いますけれども、これは現場に近いテーマ設定だと思いますので、我々にとってはそういう全世代型社会保障とかというのは歓迎しておりましたし、それがまだ成果という面では見えておりませんけれども、そういう政治テーマの設定は歓迎してきました。

 安全保障のスタンスというのは、地方のテーマから離れていきますので評価はいたしませんが、地方政治から見ると、そのような今の現場で起こっていることを、右とか左とか関係なく、行政の積極姿勢で民生の課題に対処しようと、これは民生も含めて経済は民間に任そうというフリードマン派の新経済、ちょっと名前忘れたけれど、そういう思想と離れておられるなという感じがいたしました。そのスタンスは、私はよかったと思います。

 課題・期待はそのような、高齢化社会を迎えてますので。もう一つの課題は国をどのように発展させるか、発展形態の議論はあるように思うんですけれども、形としては地方創生の時代、地方がそれぞれ頑張れよという時代に入ってきて、国の形も制度も随分変わってきているんです、実は。この奈良みたいに、奈良モデル的なものは頑張れよと、市町村集約して数を減らして大きな市町村つくろうというのはもう一段落して、1,700でとまって、あとは地方が協力したり、地方が独自性を発揮して頑張りなさいというふうになってきているような傾向があります。それは地方分権の傾向ですけども、これは歓迎すべき傾向だと私は思っています。

 すると、それは国全体として頑張る地方が伸びるんだよということをエビデンスで出したりして、医療にしろ、教育にしろ、国が横で、ピッチの外でコーチとして、スコアラーとして評価して、そこを走ってるな、こちらは走ってないなというようなことを言うと。その中に入って俺の後をついてこいというのは雁行型ですけど、ピッチの外で言うのが地方主体型というふうに分けると、後者のようになりつつあるので、地方が頑張ればその地方はよくなるよというパターンの、本当の地方分権型の国の発展形態が私は望ましいというふうに思っています。国が主導的にしないといけない分野もあると思いますけれども、それだけじゃないということがわかってくると日本はよくなってくるなという期待をいたします。安倍政権の中ではそのような動きがずっと続いてましたので、その動きが続けばいいなと思います。

 繰り返しになりますが、全世代型の社会保障、それから地方分権的な発展形態というのは歓迎することです。それは安定した国の中で政争が余りなかったから、安定した思想が定着してきているのかなというふうに評価しています。以上です。


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三宅町長の育休取得について

朝日新聞:
三宅町の森田町長が、期限を定めずにフレキシブルに時短の育休をこれからとっていきますという表明をされたんですけれども。首長の育休って以前にもございましたけれども、数日間とか2週間ぐらいで短かったように思うんですけれども、町長も、三宅町長としては、こういうところから、小さな町から新しいイクメンのあり方が広がっていけばいいなというふうにおっしゃってたんですけれども、同じ首長として何か所感はありますか。

知事:
 三宅町の森田さんは、もう本当に若いんだけども、すごく感覚がよろしいんですよね。新しいことにもチャレンジしようというようにされてるので、その姿勢は高く評価しています。三宅町というのは日本でも相当小さい面積で。町の中にあるから人口はそれほど小さくないけども、古い町ですのでしがらみもあるんじゃないかと推察いたします。そのような中で非常に斬新な発想で展開されてます。森田さんは何か、評価されようという気があんまりないようにお見受けするんですよね。現場に立っておられるような気がいたしますので、総じて森田さんがおっしゃることは大丈夫だなと従来から思ってきましたので、今の試みは、初めて聞きましたですけれども、先ほどの第一印象では、いいんじゃないかなと思います。

朝日新聞:
 可能ですか、同じ首長として、そういう首長の業務をしながら、一日数時間、時短にしたりして育児を分担するというのは。

知事:
 そうですね、首長はこのように行事もありますけれども、大部分はぼおっとしながら、あれも課題だな、これも課題だな、あしたの定例会見ではこんなふうに責められるのかとか心配したり楽しんだり、先を楽しんだりする時間が多いので、みんなと一緒でなくても仕事とも言えるようなことの時間がほとんどなんで。もうほとんどそればっかりなもんですから、関心を町政とか県政にずっと集中して、その情報ばっかり集めて所信を決めるというのが首長の役割ですので、多分十分できると思います。

 行事は代替性があるんですよね。ここはあんまりないかもしれませんけれど、行事とも言えないから。ほかの行事は代替性があるので、ただ、方針決めるのは自分の頭で考えて、人の意見も聞きながら、ああじゃないか、こうじゃないかという意見ができるだけ頻繁に出るのが、いい行政につながるように私は思います。そのような風土を森田さんは雰囲気からしてつくろうとされているように思いますのでいいんじゃない。仕事ができないんじゃないかというようなことは、人にもよると思いますけどね、それが育児だからできないというんじゃなしに、皮肉で言うと、できない人はもとからそうだったんじゃないのという皮肉を飛ばす人もいるかもしれない。

 だから首長の仕事は、しょっちゅういろいろ考えてないかんというようなタイプの部分が多いように思いますので。育児というのも、育児に忙殺はされるけど、ほかの作業はできないけど、赤ちゃんの顔見てると何かいい発想が出るかもしれませんし、この子の将来はどうしたらよくなるんだろう、就学前教育はどうすればいいだろうかというような発想で、いい発想を出されるのも、それも仕事の一つかなと。勝手なこちらの推察の印象ですけども。そう否定的には思いませんので、仕事できないんじゃないかというような心配は皆無と言ってもいいですけど、森田さんの場合はですね。印象だけですけどね。


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地方財政について

毎日新聞:
 前回の知事定例でも話題になった地方財政の話なんですが、2018年の市町村の決算を詳しく見ると、歳入のことなんですけども、知事の肝いりでされた地方消費税清算金、清算基準の見直しで、その清算金の入りはふえたんですけども、結果的に2018年度で見ると、その分、地方交付税が減らされて、トータルで11億円のマイナスになっているという結果なんですね。1年だけで見るのは妥当かどうかという意見は置いといて、結果的にトータルで見ると11億円の収入が減っているという状況が出ているんですけども、自主財源の割合がふえているので、その分、足腰が強くなっているということは言えるかもしれませんが、とはいえ、そこら辺、知事はどういうふうに見ておられるのかという点と、あと、今後さらに市町村の財政の足腰を強くするために、前回は地方消費税清算金の働きかけをされましたけど、国に対するさらなる働きかけについて、お考えがありましたらお聞かせください。

知事:
 今の地方財政、特に市町村、県もね。今のところは県債残高は、バランスシート的に見るとパフォーマンスはいいんですが、これからまだ油断できない。市町村の財政がずっと悪いと、年々の経常収支比率が悪いということが続いている。その中で、結局歳出を下げるか歳入を上げるかで、歳出を下げちゃいかんという地方政治圧力が当然あります。下げると不人気になるというのが通常ですので。すると歳入を上げるとなると、歳入は自主財源か国からのお金か、借金か。借金は、結局は自主財源か国からのお金かで還元されるということになります。その自主財源の比率が少ないのが奈良県の特徴でありますので、国から来る交付税はやっぱり自主財源、一般財源と称して当然のものだと、こう地方団体は主張するんですけどね、交付税は地方のものだと言うんですけど。しかし、やっぱり国が配分するものだから、譲与税とか交付税というのは国から来るものだというふうに思います。公正にやってほしいと思いますし、公正におおむねなっていると思いますけど。

 すると、今の財政のバランスをとるには、自主財源を上げていくのが必要だと思います。先ほどの議論で地方政治の一番大きな課題は、財政規律で自主財源を確保すること。歳出を抑制するという規律と、自主財源を上げて永続性を保つというのがとても大きな課題だと思います。そのため、歳入のマークを注目していただくのは、うれしいと思います。自主財源をもっとふやすというのが大きなテーマです。

 自主財源で大きなものに、住民税というのがあります。大阪に依拠しているところは住民税の比率が高くて税収も多い。だから地方財政も若干好調だったという傾向があります。それは大阪に通勤する人の給与が高かったからという構造的な面があるんですけど。

 もう一つは固定資産税ですね。市町村の自主財源の固定資産税の値打ちを上げるには、地価が上がらないとだめだということにもなります。けれども、地価がどんどん下がってきて、上がっているのは大都市だけだというのは、固定資産税に影響する。だから固定資産税が上がって東京に税収が集中する。東京の地価が上がるのは別に何も悪いことないじゃないかと東京都知事が言うのは当然のことで、税収は自主財源の最たるものであります。奈良で自主財源を上げるというのは、経済活性化ということになると思いますけれども、大阪で稼いで住民税払うだけじゃなしに、奈良で稼いで住民税を払ってもらうようにする。住民税は、奈良で稼ぐという点でいろんな経済効果が発生してますので、事業税とかいろいろな小さなことが寄せ集めで出てくる。工場があると固定資産税も入るよというようなことで、その努力が奈良県は少なかったのかなというので、もう必死に経済活性化し、税源涵養の観点から自主財源につながるように、歳入につながるようにと思っています。

 それは時間がかかりますけども、徐々にそういう傾向が出てきてると数字の上で思っていますが、それとともに譲与税の分野になりますけれど、消費税でもいろんな法人の税でも、国が吸い上げて配分するというタイプの税収がありますけれども、それをどのように配分するのか。地方の観点からは公正にというと、結局人口割みたいになってくるわけですけれども、その還元の仕方はいつも政治的な議論を呼ぶとこであります。地方消費税の清算基準というのはいかにも悪かったから、それに突っ込んで是正してもらったということはありましたが、税収のためだけではないんですね。うちは、知事会でも言いましたけど、奈良がこれで税収がふえるから要求するんだということは余り言いませんでした。全体として不公平な設計になっているから、いかにもおかしいじゃないかということを訴えて成功したと思っています。

 だから税収がふえたという成果にはそれほどつながってない面もありますが、その程度だというふうには思っています。法人の譲与税もそうですけど。しかし、それは自主財源を税源涵養しなきゃいけないということに当然つながるわけであります。そのほかの、東京都に集まっている日本の経済は東京都中心で回ってますので、東京に集まっているのを地方税源としてどれだけ配分するかというのは、国のあり方、地方に何をさせるかというのから始まると思うんですけどね。地方に何をさせるかという大きな議論が中央の政治でも起こると、配分のあり方というのがもう少し哲学的に出てくるんじゃないかなというふうに個人的には考えています。

 奈良の事情から多少離れてしまった考え方に聞こえるかもしれませんけれども、奈良の課題は自主財源の涵養というのが最も大事な課題であります。税制の不公正さを是正して、奈良の税収をふやす。

 自主財源の涵養の中で、もう一つ構造的なのは、消費税の配分を、半分は人口になりましたけど、半分は売り上げですので、大阪で消費されている率がやっぱり圧倒的、一番高い。県外消費の率が一番圧倒的に高い。不思議なことで奈良は、流動資産の保有額は東京に次いで2番目、ほとんど同じ額なんですね。2,600万円程度で同じなんですよね。流動資産の保有額、預金額ですね。現金預金額で、消費額も全国トップクラスぐらいに入って、消費税の配分額は全国最下位クラス、どうしてこういうことが起こるんだろうかというのが消費税の配分基準のきっかけですけど。

 すると、半分は人口基準で戻ってきましたけれども、まだ半分は県外消費、県内消費で、県外に流出すると地方消費税の配分基準は低いよということが反映されている。これは消費行動そのものが悪いよと言われてもしようがない面がありますので、奈良でもっと消費しましょうと、お金は奈良で使いましょうというようなキャンペーンとかで、そういう経済行動になればと願ってます。これは経済行動ですので強制はできませんけれども、そのような地域になればという方向で思考するのが政治判断ですので、やっぱりまとまった地域として持続力を持つ観点から、自主財源涵養、歳入涵養は必要かなと思います。

毎日新聞:
 そうすると、そのまだ半分の人口割の分をさらにふやすように県として働きかけていくというお考えはお持ちなんですか。

知事:
 もうちょっとしばらく無理かなと思います、半分まででとにかく勘弁してくれというようなことでしたから。

毎日新聞:
 そうすると、ほかのやり方といいますか、対策といいますか。

知事:
 制度的にはまだちょっとアイデアがありません。譲与税の分野ということになりますけどね。

毎日新聞:
 来月の頭にね、また県の税制調査会あると思うんですけど。そこら辺でも何かそういった話をされていかれますか。

知事:
 税制調査会の課題は、今度は何かな。森林環境税の使途かな。税制調査会で、そういう発信をしたのは、その分野では高く評価されてますので、うれしいと思っています。理屈を立てて税制をする。うちに金が回るようにしてくれというだけじゃ、ちょっとレベルが低いかなと思います。税制は理屈だと思いますので。

司会:
 ほかにご質問はどうでしょうか。よろしいですか。
 それでは、これで本日の知事定例記者会見を終了させていただきます。どうもありがとうございました。


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(発言内容については、読みやすくするために、広報広聴課で編集しています。)

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