令和2年4月9日(木曜日)知事定例記者会見

司会:
 ただいまより知事定例記者会見を始めさせていただきます。
 本日は、まず新型コロナウイルスに対する県の対応等につきまして、荒井知事よりご説明いたします。知事、よろしくお願いいたします。

 


新型コロナウイルスに対する県の対応状況について《資料》 (新しいウィンドウが開きます。)

知事:
 こんにちは。説明いたします。余り離れているとちょっと寂しいですね。
 おととい、国のほうで緊急事態宣言が出まして、その日のうちに声明は出しましたが、きょう会見がありますので、それをフォローする形で奈良県のコロナ対策をご説明申し上げたいと思います。
 まず、全般的なことですが、大都市・海外への往来自粛をお願いしたいと思います。これは、今までの奈良県の感染状況を判断しますと、大都市でうつされたというケースが多い、それから海外からの帰国者がうつされて帰ってこられた方が多いということを踏まえてのことでございます。後ほどそのような事情もご説明申し上げます。
 2枚目になりますが、先ほど言いましたように、4月7日に政府より、7都府県を対象地域とする緊急事態宣言が出されましたが、奈良の近隣府県では、大阪府、兵庫県が入っております。それと関東圏の往来がある土地でございます。このような都市では感染が急増しているというのが緊急事態宣言の根拠でございますが、奈良はそのような状況にはまだありませんけれども、用心するにこしたことはない状況でございます。
 したがって、最初に申し上げましたように、大都市・海外への往来自粛、特に緊急事態宣言が出されました大都市については、更にケアをしていただきたいというふうに思います。基本的なことになりますが、次の、一人一人がうつらないという行動パターンをとる、それからうつさないという行動パターン、それの連続に尽きるように思っております。うつらないというためには、みずからの防御、往来自粛も含めまして、その周りの環境整備をしていただくというのが大事でございます。うつさないというのも、そのような配慮が必要かと思います。そのような取組を個人個人の皆様にお願いを申し上げ、それが一番感染が拡大しない基本的なことだというふうに思っております。
 このようなことをお願いするに至った経緯、また事情をご説明申し上げたいと思います。奈良県の感染者の状況ということになりますが、3月28日からほぼ毎日発生している状況でございます。この13日間で合計21名の発生状況でございます。
 次のグラフを見ていただきますとよくわかりますように、1月28日から4月8日までの日計でございます。1月28日に中国武漢市からのツアー客を乗せたバスの運転手が、奈良県在住の方で1名発生いたしました。その後、約一月強、発生はございませんでした。3月6日になりまして、大阪のライブハウスへ行って帰ってきた方がうつされてきたのがわかりました。それから、クルーズ船で下船された方が、奈良県在住の方もおられまして、この間の感染者が8名になりました。その後、3月12日から27日までは1名の発生で推移をしております。3月27日からほぼ毎日患者が発生いたしまして、感染者の累計は30名となります。特にこの最後の上り坂が急でございますので、やはり用心をしていただきたいと思います。このような、特にこの最後の上り坂、3月31日からのこの上り坂の感染経路になりますが、次のテロップでは、21名の感染経路は、大まかに言って4つに分かれます。
 1つ目の、21名のうち10名の方は、感染経路不明でございますが、大阪等への来訪歴がほぼ全ての方にございます。推察になりますが、大阪のどこでうつされたかというのが不明だということでございます。感染経路は一応不明でございますが、大阪等の来訪歴がほぼありますので、第1枚目の大都市への往来自粛の要請につながっています。それから、4名の方は県外大都市での感染ということになりますが、具体的には大阪ということでありますけども、県内での二次感染の方がこのうち2名だったと思いますが、大阪から帰ってこられた方のご家族とか、濃厚接触者の方がおられて感染されたケースでございます。もとは県外大都市、大阪での感染ということになります。それから、海外からの帰国者の方の感染が、奈良県の場合も5名ございます。それから、4番目のケース、2名ございますが、これは勤務者でございます。大阪で在住されている方で県内勤務者の方が、県内の勤務地でうつしてしまったというケースでございます。
 今のところの感染経路はこのように判明をしています。したがいまして、東京のような、大都会のように感染経路がほとんどフォローできないというものではございませんが、これからその感染経路不明の方がふえることにならないようにと願っております。
 その最初のお願いに戻るわけでございますが、このような感染経路の事情から判断いたしますと、大都市との往来自粛、海外渡航自粛をしていただくのが、うつらないためには大事かと思います。それから、うつらないための2つ目でございますが、この感染経路4番目になりますけれども、大阪在住の方で県内勤務の方からうつしたケースに備えてということになりますが、大阪府、兵庫県から奈良県への通勤者の方が約4,600名かな……。

担当課:
 4,000名は通学ですね。通勤はわからない。

知事:
 わからない、大分おられます。通学者はわかっておりますが、県の職員で約220名、通勤者も大分おられると思いますけども、ちょっと実数はわかりませんが、大阪府、兵庫県から奈良県への通勤者はできるだけ在宅勤務をお願いしたいと。これは、お願いする相手は県内の事業者の方でございます。大阪府、兵庫県から来られる方は、できるだけ在宅勤務にしていただけたらというふうにお願いしたいと思います。県庁の中での通勤者、県外からの通勤者、京都府の南なんか多いんですけど、大阪府、兵庫県に限りますと約220名。県庁勤務で通勤されております。そのような方々は、昨日このような判断をいたしましたが、極力在宅勤務に移行するよう調整を始めたいと思っております。
 その次ですが、奈良県内の入院者の対応、病床が足らなくなるかもしれないというおそれが大都市にはありますが、奈良県の情勢についてご報告を申し上げます。基本的には、必要な病床を極力確保したいと思います。また、今のところ確保できる見込みでございます。今後、感染者が爆発的に増加した場合に備えまして、軽症・無症状の方に自宅・宿泊施設などで療養していただけるような準備を進めたいと思います。具体的には、自宅の環境の整備、感染者の方が帰られたときの指導、あるいは宿泊施設の確保の調整などでございます。これによりまして、重症の方が数多く出た場合に備えて、病床の確保につなげたいと思います。
 現在の病床と入院者数の状況でございますが、次のグラフになりますが、感染者は全て入院をしていただいております。感染者の状況、それと発生の状況と退院の状況でございます。退院の状況の方は、その下のグラフの黄色い線で書いてございます。緑の線がその当日の発生状況でございます。その差し引きの合計が入院患者数ということになります。現在、21名の方が入院されているという状況でございます。
 その次のグラフになりますが、21名の方に対しまして、24床の病床でございましたが、3月18日から64床まで病床を確保しております。64床の病床確保になっております。さらに、4月末、ちょっと期限はまだはっきりしないんですけども、できるだけ早く確保病床数を231床プラスアルファにしていきたいと思っております。これは県の医大とか県総合医療センターを重点医療機関に対して調整を図っております。赤い色が実績でございます。入院患者数が今後増えたらどうなるかということを想定して点線にしておりますが、これが増えないようにということで感染抑制を努めたいと思っております。このように増えた場合の重症者の割合ということを判断いたしますと、その下の青い線になる予定でございます。いずれにしても、その増えないように、増えた場合に感染病床を確保するということを図りたいと思っておりますし、爆発的に増えて、今は重症も軽症も感染した方全て受け入れておりますけれども、重症の方を中心に受け入れる方式に移行することも検討するということになります。
 その次は、PCR検査でございます。検査の必要な方は、確実に検査を受けていただけることにしております。次のテロップを見ていただければと思いますが、県の保健研究センターで県が直接実施をすることを基本にしておりまして、4月12日までは1日最大30件でございます。13日以降は最大45件になります。4月20日以降は最大60件になっております。3月31日までは大体20件以内で推移をしておりました。4月1日以降は、毎日急増しているという状況も反映いたしまして、毎日ほぼ30件のPCR検査ということになっております。今のところのPCR検査の体制不十分ということにはなっておりませんが、民間検査会社への委託も調整を始めております。3月19日から3医療機関で民間のPCR検査も可能となっておりまして、現在、9医療機関での検査も可能となっております。PCR検査は、いろいろなおそれのある方中心にしてきている日本の実情がございますが、それに沿って今後とも進めることになると思います。
 次の項目になりますが、教育活動でございます。学校でございますが、まず県立学校につきましては、在宅での教育の実施を検討するよう教育委員会に、一昨日、私から教育長に要請いたしました。教育長は、そのようなことを考えますよと。このような在宅での教育の充実というのは、通常でありましても、過疎地における在宅での教育、またはこのような状況、あるいは災害が起こったときの在宅での教育という新しい教育のシステムにつながる可能性もございますので、この際、このような事情でございますが、積極的に取り組んでいただきたいというふうにお願いをいたしました。教育委員会では、きょうの午後、委員会が開かれて、このような方向での決定をされるというふうに聞いております。教育委員会から、この実行については、またご報告、発表があると思います。
 現在までの教育活動、学校の再開延期の状況でございます。県としてまとめた表がございます。昨日の午後5時現在でございます。ここに書いてありますように、公立、私立で分けておりますが、右のほうに細かく何日までと書いて、おおむね4月17日まで、場合によっては連休明けまでということになっております。このように、開いている学校もありますが、公立では75%が延期、私立では93%が延期という状況でございます。この中で県立の高等学校は再開というふうに入っております。この再開ということでございますが、在宅での教育をするということをお願いしたということでございます。
 その次は、介護施設、障害者施設、保育施設においてのお願いでございます。これらの施設は閉じるわけにはいきません。学校と違いまして閉じるわけにはいきませんので、開けていただかないと困るわけでございますが、感染予防に最大限の配慮をお願いしたいと思っております。介護施設、障害者施設、保育園の配慮事項、これまで言われてきたことでございますが、不要・不急の面会の抑制をお願いしたい。これは施設だけでなくて、訪問者の方にもできるだけ抑制をお願いしたいと思います。施設におきましては、手洗い・マスク着用・アルコール消毒、この3原則を、3行動を徹底していただきたい。それから、体温計測というのもその判断のもとになりますので、していただきたい。それから、物品の受け渡しはしょっちゅうございますが、玄関でお願いしたいというふうに思っております。
 その次の項目ですが、イベントなどについてでございます。中止、延期または規模縮小等の検討をお願いしたいと思います。いろいろご事情もあろうかと思いますが、この際でございますので、中止、延期または規模縮小等の検討をお願いしたいと思います。
 次に、開いている会館がございます。文化会館等の会議場は開いております。会議を行われる場合についても中止、延期または規模縮小等の検討をお願いしたいと。これは借りられる方へのお願いということでございます。
 県の状況、次のテロップでございますが、中止、延期をしたイベントが約232件がございます。その中で、この季節の県としてのビッグイベントでございましたムジークフェストなら2020は、全公演中止にしております。それから、展示等を行う県有施設は、12施設を休館しております。今のところ万葉文化館は4月24日、または県立図書情報館は4月27日まで休館予定でございますが、また休館延長については情勢を見ながらということになると思います。
 最後に、情報提供の形でございますが、このような形でもいいんですけれども、「ナラプラス」という県のスマホアプリを出しております。本県の最新情報をそのスマホアプリの特出しでこれから掲載をしていきたいと思っております。このような発表案件、また感染者の発生、また入院状況、今、刻々変化する状況にもありますので、ナラプラスの中にその特出しの項目を入れていきたいと思っております。

 私からのご報告は、以上でございます。ご清聴ありがとうございました。

司会:
 それでは、これから新型コロナ感染症対応につきましてご質問を受けさせていただきます。会場がちょっと広いですので、挙手の上、ご指名させていただきますので、マイクが行きましたらご質問のほうをよろしくお願いしたいと思います。それでは、挙手をお願いいたします。

 


質疑応答


産経新聞:
 産経新聞の川西です。うつらないためにという対策で、1と2、ページ数がないのですけども、真ん中よりちょっと手前ぐらいのページなんですが、1のほうが、大都市との往来自粛、それから海外渡航自粛、これは今回初めて呼びかけるということでよろしいでしょうか。

知事:
 そうですね、今までは自粛と言わない、気をつける、今まで言ってきたパターンは、うつらないようにしましょう、うつさないようにしましょうと個人個人に呼びかけておりましたので、具体的にいくと、うつらないためには、うつるところに行かないようにしましょうということになります。さっきのグラフを見ていただきますと、最初に出たのは、大阪ライブハウスでありましたので、そのような所に行かないようにしましょうというのが具体的な要請になるわけでございますけども、うつらないようにしましょうということを申し上げて、その個人のご判断に委ねていたということでございますので、言い方が多少具体的に絞ってきたという状況にあるというように思っております。

産経新聞:
 わかりました。イのほうでは、大阪とか兵庫から県内のほうへの通勤者は、できるだけ在宅勤務をお願いしますというところなんですけども、奈良県内から大阪、兵庫に勤めている方に対しての呼びかけというのはありますでしょうか。

知事:
 これもうつらないためにということになりますけれども、この感染経路の中で、そのライブハウスに行ってうつられた方のほかに、大阪への勤務者で勤務地でうつされたという方が1名か2名おられます。そのような方の用心の仕方、うつらないための用心の仕方ということになりますけれども、なかなかそのような会社の、それは大阪の会社になりますので、大阪の会社の事業主が奈良県からは来なくていいよと、あるいは大阪の中で在宅勤務をするよと言っていただくのはいいんですけど、大阪の事業者への呼びかけになりますので、奈良県としては大阪の事業者への呼びかけという直接的な形はとっていないということになります。大阪への勤務者についての呼びかけと、県民への呼びかけということになりますので、うつらないように用心してくださいねということになります。会社の中でも、奈良県の知事は大阪で、その会社でうつった人もごくわずかだけどおられるので、話をするのをちょっと離れてするよというようなことからでも結構でございます。それでも随分違いますので。大阪に通勤しないようにということまでは申し上げません。

産経新聞:
 ありがとうございました。あと1点だけ、うつらないための2のところで、大阪、兵庫から奈良県への通勤者はできるだけ在宅勤務をお願いしますということなんですが、これは具体的にはどのような要請をされるでしょうか。

知事:
 これは、県内の事業主の方への要求、お願いということになります。県内の事業主の方で、大阪の在住の人で県内勤務者の方がうつしたというケースも少数ですけども発生しておりますので、そのようなケースがあるということはわかってきております。したがって、事業主の方に、大阪からの勤務者について特段の注意をしてくださいという呼びかけになると思います。県内の事業主、一般の方への呼びかけ。県も事業主でありますので、県では、大阪、兵庫になりますけども、両県から来る方が221名ですから、220名超える方がおられますので、その方がなるべく在宅勤務に移行できるようならば移行するようにという調整を始めたばかりでございますので、同じようなことができるならばお願いしたいということでございます。

産経新聞:
 わかりました。ありがとうございます。

日経新聞:
 保健所の体制、今かなり皆さん厳しいと思いますが、コロナシフトというか、職員の方の再配置など検討されているか、それについてお聞きします。

知事:
 申しおくれましたが、実は医療機関、県の対策本部含めまして、大変頑張っていただいております。また、介護施設、障害者施設、保育園などうつると大変だという施設については、緊張の中で頑張っていただいております。改めて感謝を申し上げたいと思います。本当に頑張っていただいてありがとうと思います。そんな中で、保健所というのは最初から主役でした。どんどん増えてくると、PCR検査から療養の体制あるいは健康指導など大変な事業が発生しています。それについて保健所の体制を強化することを始めました。9名の職員を増員します。今日からになりますが、兼務発令を行っています。郡山3名、中和3名、保健研究センター1名、疾病対策課2名になります。また今後の様子をみて人員投入を行っていきたいと思います。

日経新聞:
 保健師さんのOG、OBとか、その方に呼びかけはまだされていないでしょうか。

知事:
 まだ、この方たちにはそこまでいってません。

日経新聞:
 ちょっと耳にしたんですが、福井県は昨日、知事が経営安定化資金を、融資枠を県独自で広げるという策を発表されているんですが、奈良県としても企業に対しても融資枠の拡大は検討されていますか。

知事:
 経営の安定、経済対策ですね。

日経新聞:
 はい。

知事:
 最初に、割と早く無利子、無担保の融資という、つなぎ融資の対策を出しました。その後、大体無担保の融資が43億ぐらいきております。あと、その資金繰りの、とにかく無利子・無担保で借りられるようになりますよというのを、現在、43億最近出ています。その資金で何をするかということですが、資金は貸し出しの資金か補償の資金かということで随分使い方が違ってきますので、補償についてはまだ議論の途中だと思います。線引きが難しい面がありますので。金詰まりで倒産しないようにという面では無利子・無担保の貸し出しをしていきたいと思いますが、43億のレベルですので、資金的にはまだ大丈夫です。経済的なことになりますので、経済の動向をよく見ながら対処します。これは割とすぐにできると思いますので。

朝日放送:
 先ほど事業主について注意してくださいと呼びかけるとおっしゃいましたが、具体的には大阪府や兵庫県に奈良からなるべく行かないように、もしくは来られないようにという、府や県への呼びかけのご予定はありますか。

知事:
 今の奈良県のスタイルは、感染経路を見ながら、その感染経路にあたるところに身を置かないようにとの呼びかけを具体的にしていますので、それ以外のところは、今のところ発生してないので大丈夫ですよということになるんですけれども。例えば大阪から来られる方で、奈良県内勤務者がうつしたということは1名、2名あるんですが、観光客がうつしたというケースはまだないんです。だからどうするかというのは判断が要るわけです。可能性はありますが、観光客の方の行動パターンを見ていますと、うつす確率がまだ今のところ低いように思いますので、来ないでくださいという呼びかけまでは今のところはしません。しかし、大丈夫だから来てくださいというまで自信を持って言えるわけでもありませんので、そのような事態の推移を見ながら、今のところは観光客の方が来てうつしたことはありませんということは申し上げられると思います。
 逆に、勤務で向こうに行くときに、大阪に行ったら、今のところ発生源は奈良からよりも大阪からというような状況です。そのため、うつらないようにということです。うつされかたは、向こうのライブハウスに行ってうつされたとか、会社でうつされたとかというケースですので、そのようなケースをご紹介して、特にそうならないように用心してくださいよという呼びかけになっています。全面的に往来を自粛と言っていますが、後で具体的に事例を示して、このような状況ですので、そのようなケースはリスクが多少高いというように申し上げたいと思います。

朝日新聞:
 病床数の確保のところでお尋ねします。64床から231床プラスアルファを確保される見込みとのことで、具体的に4月末頃とおっしゃいましたが、どんな所から確保するのかという内訳を教えてください。

知事:
 主に県立医大と、県の総合医療センターが中心になります。それがほとんどを占めます。例えば県立医大は、今の病床を他の病床に移して、そこを感染者の病床にするといったことが可能で、しかも医師も割とおられる病院です。感染症対策に今、転換してもらえる可能性が高いのは県立医大と総合医療センターということになりますので、ほとんどはそちらの病床になる予定です。

朝日新聞:
 今、コロナ以外で入院している方にちょっとどいてもらうということですか。

知事:
 そういうことでありません。今、入院されている方を他の病床に移転していただくことになる可能性はあります。

朝日新聞:
 入院されている方というのは、コロナで。

知事:
 例えば腎臓病とか他の病症状で入院されている方は、院内の他の病床に移ってもらって、感染者だけの病床を確保するといったことをすることになります。大病院ですのでそういうことが可能です。しかし、その場所を確保する通路とか機械の配置とかを調整しなきゃいけませんので、そのようなことをやっていくことになります。

朝日新聞:
 時期としては4月末ごろには確保できる見込みと。

知事:
 具体的にいつまでということは今申し上げられませんが、4月末ぐらいを目途にと聞いております。

朝日新聞:
 わかりました。あと、プラスアルファというのはどんなことを検討しているんですか。

知事:
 県立医大と総合医療センター以外の病院でも、協力していただける病院が出てくる可能性があるという面です。不定ということですが、プラスアルファでそれが200出るとか、そのような状況ではもちろんないですが、多少何十何床というところまで。まだ量的なことも調整中、特に関係するのは設備と医師、医師が扱う人工呼吸器とか、ECMOという機械があります。それは技術が要りますので、医師がいないとできません。そのような医師が確保できるかどうかになりますと、大病院が重症患者を扱うということになりますので、そのような病院を中心に確保したいと思います。今は軽症の方も全て受け入れていますので病床数が必要ですが、重症と軽症に分かれるということがわかってきましたので、やはり重症の方は、まだ死者はおられませんが、死につながらないようにということは最大限配慮しなきゃいけませんので、重症になりそうな方は最大限の医療の手当てをするということを基本にしたいと思います。

朝日新聞:
 奈良市の仲川市長がこの前の記者会見で、奈良市としても今、軽症者や自宅待機の人の避難先として宿泊施設に部屋を確保できないか検討しているとおっしゃっていたんですが、県としてそういう現在の宿泊施設に何か協力を呼びかけるとか、逆にオファーが来ているとか、そういう状況はあるんですか。

知事:
 軽症者の方の身の置き場となりますが、自宅ないし宿泊施設ということになります。今、21人の方が入院で、64床確保されていまして、これが爆発的な傾向になると、そのような場所の確保を急がなければいけませんが、まだ具体的に確保しなきゃいけないという状況には今日現在ではなっていません。しかし、そのような可能性もあるということで検討に入っております。具体的に宿泊施設をどこというところまではまだやっておりません。それで大丈夫だと思います。

朝日新聞:
 わかりました。あと、資料で入院者数の点線が書いてありますが、これは県の現段階での、このペースで増えた場合の見立てですか。

知事:
 これはあまり根拠はありません。大都市の東京のようになるかどうかというのはわからないですよね。だからそのようなことになっても、ここまでは確保したいと。これが急激に東京状態に奈良県がなってくるような兆候があらわれたら、この231床でも足らないかもしれないというか、医療崩壊には絶対につながらないようにしようとは思っていますが、今の日本の状況では、医療崩壊という厳しい状況になるのは、やはり大都市、急増している東京都などだと思います。地方でこれから予測されるのは、大都市で引き受けられないから地方でとってくれよと移送される方があるかもしれません。東日本大震災でも受け入れましたが、大都市の病院が病床が足りないからということはあるかもしれませんが、それは余裕があればそういうことになると思いますので、病床数の確保というのは怠らないようにしたいと思います。
 奈良県発症だけではなくということも視野に入れますが、これは奈良県発症のケースが大都市並みになればこのようになる可能性があるということです。今の状況をずっと見ていますので、やはり抑制の社会活動で横倒しといいますか、前倒しになる可能性が強いですので、これは自動的に発生するわけではなく社会活動で発生するか、横倒しになるかということがわかってきております。がんではロジックモデルというのが確立されています。
 このようにロジックは幾つか可能性がありますが、このロジックにならないように、ここで薬を投与しよう、これで療養しようというロジックモデル。感染症のロジックモデルってまだないんですが、そのようなことをそのような思考回路で、この感染経路はこれだけだから、そのロジックに落ちるところはストップしましょうねという呼びかけを、ロジックモデル風に呼びかけるのを奈良県の流儀に今しているところです。それは受け入れ体制というところのロジックモデルになりますが、奈良県の発症数の予測と受け入れる必要が出てくることも可能性としてはありますので、それは当然視野に入れておりますが、これだけ用意しなきゃいけないという状況にはまだ立ち入ってないと認識をしています。

朝日新聞:
 ありがとうございます。もう1点だけ、PCR検査の体制の拡充対応ということで、県保健研究センターでも30件から45件、ひいては60件になるということですが、これは検査の機械の数を増やせる見込みが立ったんですか。

担当課:
 1人技師を追加したためです。

知事:
 保健センターの人員増員、増強で確保したということです。具体的な設備を置いたとか、そういうことではありません。

朝日新聞:
 では、人員増で20日からは60件までできるということですか。

知事:
 そういうことですね。

朝日新聞:
 ありがとうございます。

毎日新聞:
 先ほどの融資が大体43億ということですが、どういう業種が多いんですか。

知事:
 調べます、大事なことですので。まだ私のところに業種の報告までは来ていません。そのような、今後にもあるから、その状況を調べるようにということで。制度融資ですので、保証協会がやって金融機関が融資するという段階になっていますので、どのような方がどのような状況で借りに来られたかというのはフォローする値打ちがありますので、フォローするようにと指示をしています。経済状況はまだよくわかりません、悲鳴は上がっておりますが。具体的に、日ごろ店を閉めると売り上げが減ることは確かですので、まだ今の時点で私のところまでは報告が上がってきておりません。調べるように指示はしております。

毎日新聞:
 職員220名ということですが、兵庫と大阪それぞれの内訳と、これは直接知事が所属長にそういう通知をしたということですか。

知事:
 昨日担当に、在宅勤務移行の検討をしてくれと指示しました。県庁の職員220名のうち、例えば防災担当で今働いているとちょっと無理だなと、交代で休むぐらいはしなさいよというような勤務体制の変更という可能性はあると思いますが、在宅にできる職種もあると思いますので、それはそのような検討をするように指示しました。

毎日新聞:
 それは知事から所属長に対して指示したということですか。

知事:
 県庁には組織の担当があります。具体的には総務部になります。昨日両副知事を含めて、検討対策本部会議としては立ち上げなかったですが会議をしていましたので、そこで指示しました。県庁の担当者に指示をしたということですね。
 220名が何部に何名ということが私のところに来るのはこれからです。所属長に人事の勤務の意向を指示するのは、県庁の中でいいますと総務部がほとんど所管していますので、総務部長に直接というよりも、昨日は対策本部のこのような資料をつくるときに、県外から来ている人がいますねと。県庁でも県外から勤務、大阪、兵庫からの勤務者が何名いるの、220名ですね。では、それに対して在宅勤務に移行するように検討してくださいというように、その場で指示をしたということです。

毎日新聞:
 大半は大阪府ですか。

知事:
 割合はまた後で言いますが、大阪府のほうが多いということは想像されますがその内数は聞いていません。

日経新聞:
 大阪はまだ営業自粛、具体的に指示してないですけれども、例えば生駒のカラオケ店などはもう自粛をしていたりするんですが、個別の店舗に対して休業要請はまだしていらっしゃらないですね。

知事:
 していません。

日経新聞:
 今後そういう事業者に営業自粛を、西部地域だけなんですけれども、呼びかけるお考えというのはありますか。

知事:
 今はないですね。うつさないように用心してください、うつらないように用心してくださいということです。営業自粛というのは業種によると思いますが、そういうことを申し上げますと、うちはどうしても密接営業になるんだよということになると、気をつけてくださいねということになりますので、広く自粛要請するというパターンもあると思いますが、奈良県の場合は、できるだけ、なるべくこういう場合は危ないからということを理屈立てて言おうとしておりますので、それでは危ないなと思われるかもしれませんけども、全面自粛というよりも、こういう場合が発生しているし、こういうケースがあるからということを説明して、そのような轍を踏まないように呼びかけを徹底していきたいと思っています。経路を明確にして、そのようなケースが発生していますからと思っています。

日経新聞:
 どのような事業者であっても自粛を、例えば夜の繁華街なんかを含めてなんですけども。

知事:
 今のところ、奈良県の感染経路というと、大阪でうつされて帰ってきたということですので、その勤務地で、奈良の勤務地でうつした、うつされた方もいますけれども、一般店舗でうつしたという、これは感染経路がなかなか難しいのでわからないですけども、そのような方はなかなかいないんです。すると、大阪へ行ってうつして帰ってきたかもしれない人が、店へ行ってうつすということは可能性がありますので、それは、店でそういう人は来ないでと言うわけにはいかないですよね。大阪に、あんた帰ってきたの、ちょっと困るよと、そういうことはできませんので、うつるパターンを分析してますと、大阪に行ってうつって帰ってきた人が何人かおられますよと、そういうケースが割と多いですねと、今のところはですね。だからこれは県内でそういう人がたまってきて、県内からわっとうつるという可能性はこれからなきにしも、大都市だとそういうことが起こりますから、それは用心しましょうねと。そのようになる兆候があれば、全面的に県内の活動自粛ということまで要請しなければいけない状況になるかもしれませんが、県内の状況をよく判断したいと思っています。

日経新聞:
 広島はきょう出してますけれども、全国でコロナ疎開というのがあって、コロナ疎開、要するに指定された地域の周辺自治体に、首都圏、あるいは大阪、兵庫なんかに、学生も含めて帰省したり、保養所があるところに移ったりするような動きがあって、近辺の知事や群馬県の知事などはアピールしてるんですけれども、その点について奈良の知事としてはどういうふうなお考えなんですか。

知事:
 疎開。

日経新聞:
 要するに、事前に流入しないように呼びかけているということなんですが。

知事:
 疎開をしないように、あるいはするように。

日経新聞:
 自分たちの県に来ないように呼びかける。

知事:
 ああ、沖縄とかのケースですかね。

日経新聞:
 いや、栃木県とか、要するに東京の周辺の自治体の知事が呼びかけているんですけれども。

知事:
 疎開というのは大げさなような気もするんですけども、可能性があるのは、休みになると、京都産業大学のケースを想定しますと、学生などが休みで散らばるときに、帰ると、まず家でごろごろされると、ご家族にうつすかもしれないということが予想されます。もっと冷静に考えますと、ウイルスの保有者でないとうつそうにもうつせないんですよね。保有者の方だけは疎開しないでくださいということをもし言えたら、社会活動で言えたらとてもいいわけですけど、すると空港に来るときに体温をはかりますよというので、高熱の人は来ないでくださいと社会的な選別・排除、スクリーニングというのを、やる国とか社会も、日本はそういうようにあまりまだしたことがないので、一般的な呼びかけが大きくなる傾向があると私は思っています。
 もし検査結果が全部わかって、うつってる人、保有者と非保有者わかって、非保有者はどんどんどんどん行ってくださいと、保有者は自粛してください、外出しないでくださいということがトリアージ(仕分け)ができればとてもいいわけですけども、そのような社会システムがありませんので全体的に言われるわけで、やはり感染経路をよく判断をして、ウイルスを持ってないとうつらないんだけども、持ってる可能性があると用心しなさいねと、それはうつさないほうの用心ですから、それを持ってると多少思って行動してくださいねというのがエチケットになろうかと思います。まだ抑制という強い要請ではなく、エチケットレベルで日本は来ている流儀でありますので、エチケットを割と徹底する傾向もありますけども、エチケットを守らない人がうつすという結果にもなる流儀もあります。だから日本の流儀がうまくいけば、上品な流儀だなということになるけども、それでは暴れるよと、ウイルスはそういう国を狙って暴れるよと思っているかもしれないので、もちろん用心をしなければいけないと。
 だから、そのうつり方、うつさせ方をよく見てということが、まず我々の立場で一番しなければいけないというので、感染経路の把握は徹底するようにと思っていますが、今のところは大都市へ行ってうつされたということが多いわけですので、大都市から来てうつすよということがあるかどうかということになりますので、疎開自粛というのは大げさな言い方のように思いますけども。だから来ていいよというわけでもないですけども。

日経新聞:
 鳥取県は、県外から来た人に2週間ぐらいは外に出ないように県知事が発言されてますけれども、そこまで知事はお考えにならないですか。

知事:
 そうですね、なるべく冷静にと思っていますので、冷静にということで大丈夫かというようなご心配ももちろんあろうかと思いますけども、まず、個人個人が冷静にということと、我々は情報を統轄して、なるべく情報を知ってもらって、今、世の中のウイルスの動きをできるだけ把握したいと思っています。ウイルスがいろいろ発信してくれるとありがたいですけど、ウイルスの行動パターン多少わかってきてますけども、まだ新しくおつき合いの始まったものですのでなかなかそういうわけにいかない。ウイルスを撃退するには、とにかくその中で2週間いれば鎮静化しますので、そこでウイルスをある固体に、生物に閉じ込めて鎮静化を図って、その間生き延びてくださいねというのが基本的な疫学の要請になっております。それは個人の行動パターンでできるわけですけども、この社会現象の中でウイルスは人間が活動すると俺たちも活躍できる場だからと、どんどんうつっていくよと、こう言っているように思いますので、そうさせないようにするという人間の行動パターンとの戦いのように思います。ウイルスの行動パターン、人間の行動パターンとの戦いというように思っていますので、知恵を出して抑制行動をして、ウイルスをはびこらさないようにするという知恵を学習しながら出していきたいと思っています。

時事通信:
 今回4月7日でしたか、政府が緊急事態宣言を出されましたけれども、これは早いだの遅いだの、私権制限もあり得るだの、さまざまな批判もありますけども、荒井知事として今回政府が緊急事態宣言を出されたことに対する評価を教えてください。

知事:
 緊急事態宣言の意味あるいはタイミングということになりますけども、いろんなお考えはあろうかと思いますが、全て国の中枢も現場も、新しい見えない敵に対峙しているような状況だと思います。そのときに日本の流儀というのが、社会活動に関係するので日本の流儀というのはあるようにも感じています。ロックダウンは日本で余りしたことがありませんので、交際・交流という自粛を徹底的にしたことは、戦争中を除いてということになりますれども、日本の流儀で、緊急事態宣言の内容も外国の緊急事態宣言と大分様子が違っております。
 だから、そのようなタイミングというのは、社会的な影響、行動に影響を与える政府の発信というようなことで捉えると、タイミングが早かったか遅かったかというのは見方次第のように思いますので、私の個人としては、後になってみないとわからないなと、こういうもののタイミングの適否はわからないなという感じがします。早くやっていれば抑えられたのにとか後でわかることでありますので、今時点でご担当になっておられます政府の中枢の方の立場に立つと、なかなか難しい面があっただろうなと推察をします。
 緊急事態宣言の内容の強弱ということになりますと、日本のようなやり方ですと、なるべく要請を強くするというようなタイプだと思います。日本の方々はエチケットを守るような風習が強いですので、それでも十分抑制行動につながってきた面があろうかと思います。エチケットを守らない人がいるのを、外国は違反で罰金を取るという、エチケットを守らない人がいるのを想定してできている、性善説か性悪説かということになりますけど、日本はそういう分類でいくと、どちらかというと性善説をとって、エチケットを守りなさいと言ってきている気がします。
 このようなエチケットを破ると人に迷惑かけますね、あるいは自分も迷惑かかりますねということをなるべく具体的に示そうというのが、奈良県で努めているポイントです。国でも、感染経路不明者が出てますので、量が多くなってますので、どのようなエチケットが望ましいかというのは徹底的にはできないですけども、うつされた場所が夜のライブハウスとか交流の場所であるとすれば、そういうところがわかってきていますので、具体的にそういう場所に行かないようにしましょう、また、営業の自粛もしましょうとなってきてるように理解しています。
 日本の流儀だから、やりながら考えていくしかないのかな。そのときに何がいいかわからない、それぞれが力を合わせ合って向かっていくのが望ましいと思います。そのときにいろんな考え方が出るわけですが、それもよく聞きながら、できるだけ負けない行動というような、抽象的な言い方ですけども、やはりウイルスに負けてはいけませんので、できるだけ早く撃退するための行動ということをそれぞれ心がけ、我々もそのような方向での発信を続けたいという気持ちです。

時事通信:
 中長期的な話も伺いたいんですが、この新型コロナウイルス、長期戦になりそうであるので。例えば、もしもの話ですが、今後、奈良県が緊急事態宣言を出される地域に追加された場合に、知事は、外出の自粛の要請ですとか、施設の使用とか、イベント中止の要請・指示を出すことができます。そういったことを行う考えがあるかとか、どういった場合だったらやるとか、そういった具体的な想定はされているんでしょうか。

知事:
 日本の緊急事態宣言は、都市・地域を指定して、知事が所管している行政区域を指定して発声されました。ところが、奈良県もそうですけども、大都市でも、よく見ると発生してる地域と発生してない地域に分かれると思います。例えば、東京都に出されましたけども、最近は出てますけど、発生している23区に限られるとか、大阪でもわかりませんがそういうことになって、兵庫県も南のほうに限られて、もう具体的に但馬地域は除外というところまではっきりしました。
 もし奈良県の場合であっても、今、南のほうでは発生しておりませんし、学校も休校されておりませんので、南のほうは今のところ大丈夫な状況で推移していると断言してもいいかと思います。そのときに緊急事態宣言は奈良県に対して発令するわけですけども、地域の感染経路発生状況をよく見て対応を考えなければいけないと思っています。
 だからこれまでの状況を随分観察、分析をして対処したいと思っておりますけれども、だんだんその知恵が重なってきておりますので、そのときの知恵というのはどのようなものになるかということは、やはり知恵を絞って見えない敵に勝つというのが一番の基本的な動作だと奈良県では思っています。具体的には、感染経路を絶つというのが基本的な今の動作になっています。
 国では、薬の開発ということも視野に入れて行動されておりますけども、まず第一の作業であります感染経路を絶つ、ウイルスにはうつっていかないようにするというのが基本の今の作業になっております。それを徹底すれば爆発的な緊急事態を出すまでに至らないと思っておりますけども、そのときの想定は、いろいろそのときの知恵を重ねて備えたいと思っています。

時事通信:
 政府の支援等に頼らずとも、奈良県単体でできる民間への支援も多いと思いますが、例えば奈良県は、ふだんは6月補正予算を組んでおりませんが、今度の6月補正予算で何か新しく組まれたりして、民間支援なり対策を打つなりといったお考えはありますか。

知事:
 経済面になりますと、今の状況で、経済が、事業者が、あるいは立ち直れなくなる、あるいはもっと大きなのは雇用者でありますけども、雇用者の、フリーターを含めて給料が入らなくなる方々に対する支援というのが切実な事項だと思います。それは、世の中、県あるいは地域独自でそういう状況でなしに、日本の経済体制の中で動いておりますので、基準が要るような、線引きが要る作業になると思います。独自性というのは、東京などで休業補償出すよというのと、うちは出さないようにというのは分かれていることを念頭に置いてのご質問だと思いますけども、なるべく標準化して公平感が出るようにというのが望ましいと私は思っています。公平な感じというのは、どのようなところに線が引けるのかというのは、その事態の様子を見てみないといけないと思っております。いろんな事情で政治的な判断よりも、公平さというような基準で政治が判断するというのが大事かと思っています。奈良県の場合は、そのような様子を判断しながら、公平さを確保できるような事業支援をしていきたいと思っています。

時事通信:
 それは補正予算を組む、6月補正予算といった考えはないということですか。

知事:
 国の補正予算が出ましたので、それを受けての補正予算ということは考えています。それはこれから県の補正予算をつくりますと、6月議会に出すことになりますので、6月議会への補正予算準備を始めています。それがどのような形になるのかという内容については、国の線引き、あるいは事業の様子を見て、また、この事態の推移を見て6月補正予算に備えるということになると思います。国のほうの補正予算の県執行でも、タイミングとしては臨時補正を出すか6月補正予算にするかというので判断分かれますが、6月補正予算に作業的にはなるのではないかと思っています。

時事通信:
 県のさまざまなイベントですね、中長期的なものにも影響を与えてくると思うんですが、例えば奈良県が毎年やっている東アジア地方政府会合など、あれはかなり海外との関わりが強いイベントですので、あちらの準備がもう多分そろそろ始まってくるころかと思いますが、いかがでしょうか。

知事:
 東アジア地方政府会合は、11月にインドネシアのバンドンで開くことになっています。バンドンがそのころどうなっているのか、あるいは参加者であります中国、韓国、日本の状況がどうなっているのかは、オリンピックと同じようなことがありますので、今の段階では予測がつきません。延期とか中止という検討はまだ始めておりません。

時事通信:
 わかりました。ありがとうございます。

NHK:
 先ほどのイベント関連なんですけど、これはイベントの大小、種類問わず、人が集まるものを対象にということでしょうか。

知事:
 イベントの、その自粛というのを……。

NHK:
 中身ですね、はい、対象というのは。

知事:
 自粛というのは、そういうことですね、人が集まってイベントをするときに室内でやるときは殊さらですけども、ウイルスの伝わり方というので、接触か、飛沫か、マイクロウイルスという感染して漂って落ちるまでの間に付いてどっかから体内に入るという、今のところ3つのケースが想定されていますけども、そういうイベントがあるとそういうケースが発生しやすくなるということを心配しての自粛をお願いしたい。それだったら、離れてやるからいいじゃないかということはあり得ると思いますが、例えば自動車の中で映画を見るというようなことも考える方もおられるようですので、そのようなことはあり得ると思いますけれども、従来のパターンでイベントをやるというのは自粛して、中止をしたり延期をしたりになってきているということですが、それは人が集まって、横にいるとか、出るときに話をして、横から声がかけられるとか、飛沫が飛んでくるっていう可能性が高いわけですので、飛沫も含めた接触感染の可能性は、やっぱりイベント参加とか交流があるとうつるということが通常のパターンでわかってきてますので、主催者の方にも自粛してほしい、参加の場合も自粛されたらどうですかという呼びかけを始めて、随分自粛は進んでいるように思います。

NHK:
 自粛を求めるイベントの期間はいつごろまでを想定していますか。

知事:
 今あるので例えば開催が延期または自粛されているのは、主に連休をめどの自粛が多いと思います。その後というのは様子見ないとちょっとわからないと思いますので、県の場合ですと、ムジークフェストは5月の連休後なんだけども、もう中止を決定しました。それは、オリンピックと同じだけども、今しないと出演者と来られる方だけだと、行くのやめたでいいんですけど、準備があるので中止を決めたということで、そのときはもう世の中おさまっているんだけどもという事態になるかもしれない。それはそれでしようがないと思っています。イベントが大きくなれば、その準備がありますので、そのことも踏まえて5月連休後までの自粛が入っているということで、いつまでということは様子見ながらになると思いますけども。

NHK:
 わかりました。あと、学校の休校の状況なんですが、今回、緊急事態宣言が出される前後で、県内各市町村の対応がかなり分かれたところもありまして、県立学校もきょうまた最終決定をされるということなんですけども、結構ばらばらに対応が分かれていて、県民の方もどうしたらいいのかということを考えていらっしゃる期間が長かったように思いますし、この辺をどう県としては考えて、今後、状況も二転三転するので難しい、状況を見なければというところもあるとは思うんですが、その辺はいかがですか。

知事:
 学校の教育活動の休園・開校の判断は、学校の管理者に委ねられています。登校者の健康・安全を守るのは具体的には校長先生の責任ということになっています。じゃあ勝手に判断できるのかというと、なかなかこういう状況での判断は難しいので、ガイドライン的なものを国が発信して、県も発信する状況だと認識しています。だから、ばらばら感があっても、制度自身ではおかしくないんですよと。誰かがだめと言えばみんなだめになる国柄じゃないからということですので、そのこと自身は、いうほどばらばらじゃないんですけども、おかしい制度ではないと思いますけども、そのときに合理的な判断を校長先生がされるのか、判断の中には開校・休校という判断と、開校した場合のやり方という判断と、登校者、先生も含めて、そこにいる人の安全を守るという配慮は管理者の責務ですので、それをどのように合理的にされているのかを追ってみたいと思います。
 今、むしろ分かれて、開校・閉校の状況があって、保育園は開園、幼稚園は閉園というケースも、幼稚園も開園されている方も多いんですけど、小学校も放課後児童保育みたいなことはおおむねされています。大体されているんですけども、預ける状況はどうなのかということをフォローして調べようかと思っています。やっぱりフォローがものすごく大事だと思っていますので、一斉でやると、みんな一斉にやったから、以上終わりになるので。ばらばら感があると、こういう言い方は変ですけど、元手にもなりますので、こういう状況は新しい状況ですので、どうすると守れたか、どこかで破られたかということがもう少し繊細にわかってくるので。次に備える人類の最大の武器は、記録だと私は思っています。どのように推移したか記録をするのが、同じ敵がまた襲来するかもしれませんので、次の敵に備えるのは今回の記録を最大限とっておく、分析しておくというのが一番大事かと思っていますので、ばらばら感があること自身は、制度的には不思議には思っていないということと、それをきっかけに学習はしたいと。
 一斉でないから困るよという方があるというご指摘ですけども、その学校に通っておられる方の管理者はあなたでしょうと、どういう判断されてましたかという対話が発生する可能性もありますから、誰か責任者がわからないのが日本の社会の特徴でもありますので、責任者は校長先生ですねと、どのようにして開校しましたか、休校しましたか、説明してくださいねということは、今の発想だと、お上のお達しですという返事がよくあるんですけども、それじゃあ日本は成長しないからと。現場現場で判断していただくのが基本的にいい、そのときの判断が合理性があるかどうかは、いつも知恵を出して、こういう場合の敵にも備えないとと思っていますので、決して悪いだけの面ではないと思っています。

NHK:
 わかりました。あと、細かい話ですが、PCR検査が先ほど1日大体30件検査されているということだったんですけど、検査待ちという状況が生じているかどうか、そのあたりはいかがですか。

知事:
 検査をどのような人にすべきかという論点がずっとあります。韓国などのように、もうとにかくたくさんしましょうと。たくさん検査をすると、検査は病原菌を、ウイルスを遮断する効果はありません。その人が効果があるとすれば、保有者であることはわかるので、あなた入院しなさいねというので、スクリーニングができるという効果で検査することに意味があると思います。それともう一つは、重症化を防ぐ。感染していることがわかったら、入院して隔離というのと、入院したときは重症化を防ぐための手当てというのと、2つの要素が病院に入院される効果であると思います。だからその兆候が必ずありますので、志村けんさんがすぐに亡くなられたのでショックですけども、発熱したらその場で亡くなるというケースはむしろ少なくて、だるくて発熱して、検査でわかって、それが重症化のケースになる。致死率というのはまだ低い状況ですけど、重症化を防ぐというルートでの検査というのは大事だということですけども、最初から皆全数をするということには、重症化を防ぐための検査は重点を絞ってでも十分だと思います。
 もう一つは、わかっていると、その人をなるべく人前に出さないようにしようというための検査は効果があると思います。そのときに、誰でも検査しなさいよと、その人たちはここに来てはいけませんよという、スクリーニングという社会活動の要請をできるかどうかになりますが、日本の流儀がそこまで、ハンセン病の場合でそういうことをしたというトラウマが日本にはあるように思いますけども、あれは根拠なしに、ハンセン病は表に現れるので、それで判断したわけですけども、そのような隔離はしないようにという民間の人のメンタリティーがあると思います。それは一つの流儀ですので、それでも感染者はうつさないように、感染させる可能性がある人も自粛しましょうと、全面的にこうやるという流儀に今、日本はなっていると思います。
 だから、日本の流儀でPCRテストというのを重点化して、重症化を防ぐためのテスト中心にやってきたように見ています。その人を特定して行動自粛につなげるようなテストというのはあり得ると思いますけども、そのような流儀になかなか日本はまだなってないんだなと思います。そのように転換するかどうかは大きなポイントになりますけども、私は、奈良の場合はそんなに広げなくても、感染経路をできるだけ判断して、感染経路を絶つことを徹底することで抑制できたらいいなと思っています。

NHK:
 検査に対する考え方はよくわかりました。毎日これまで30件最大でキャパだったのが、30件ぐらいやられているということなので、日によっては検査しようと思ったけども、30件以上検体があって翌日に繰り延べてということが起こっている日があったりするのかなと思うんですが、そういうことは起こっていますか。

知事:
 検査の停滞ということですね。

NHK:
 はい。それで、今後ふやしていくということかなと。

知事:
 停滞までは至ってないと。

担当課:
 検査に関しては、順番にやっているわけですけども、朝検査しようと思ったら30件いっぱいになって、その分を夕方検査するということは実態としては起きていますが、ただ、余り停滞する場合は、職員に負荷がかかるんですけども、3回回すとかして、はけるような形での工夫を今させていただいています。来週の月曜日からは、安定して1日45件回せるように、今体制を整えているところです。

NHK:
 じゃあ、現状無理をしてでも、その日中に何とかやっている状況だということですか。

担当課:
 はい。なるべく停滞しないように、そういった工夫をさせていただいております。

NHK:
 わかりました。ありがとうございます。

知事:
 今まではそういうキャパシティーの不足ということが一般的に言われてましたけど、そこまで停滞が発生するようなキャパ不足はないですけど、これから発熱者が伸びてくるとPCR検査、それと接触があると、同じ勤務者の方全部を検査しましょうというケースもありますので、これは累積で随分伸びる可能性がありますので、キャパを増やしとくにこしたことはないと思っていますが、今のところ停滞という状況は起きてないということですけども、将来に備えていきたいと思います。
 また、これがどんどん倍、倍、倍になるタイプの感染者の散らばりになりますので、そのような兆候が出始めたら、PCR検査の拡充ということはまた視野に入れていきたいと思います。しょっちゅう考えてますけども、今までのところ、渋滞はあったかもしれませんが、停滞というところまでいってないように聞いています。

奈良テレビ:
 今後爆発的に患者がふえた場合には、自宅だったり宿泊施設を確保していくということですけど、奈良県の宿泊施設、ホテルって決して多いわけではないと思うんですけども、具体的にどういった施設をお考えでしょうか。

知事:
 感染者で軽症な方がそこで療養できるようにということですが、ほかの今の宿泊施設で転換される場合の施設は、外部との接触なしに生活できるというパターンが望ましいと思います。そのような状況にある施設が中心になると思います。具体的にはホテル、トイレ、洗面所などは個室の中にあるということが最低限の条件になると思います。そのような場合に、食事とかはそこに運び込まれて、室内でのルームサービスができるようなところになると思います。そのような施設を順次、また希望もないといけませんので、募って選んでいくことになると思います。
 そのような場合は、病床代わりですので当然補償します。補償のパターンはまだ決まってませんが、これだけの補償するから、お客さんとして扱ってくださいねとも言える面もあろうかと思いますので、無償でやりますよという企業者の方も出ていますけども、県が要請するときはある程度補償することになると思いますので、そのような条件の整ったところで、希望者とマッチングをして実行していく。それは、軽症者は自宅でも可能だと、要は接触さえ絶っていれば重症化しないですからというところまで来てる患者さん、重症化する兆候があれば手当てしますよという観察が要ることになりますので、その2つが生活の維持と経過観察ができれば、そのような場所を居場所として用意することになると思います。自宅でも経過観察ができるようにということは、訪問の観察ができるようにということにもなると思います。宿泊施設も、同様のサービスは付加した宿泊施設になりますので、まだ具体的にここに当たってるところまでは来ていません。

奈良テレビ:
 そういった個室で、トイレとか洗面所とかが全て整っているような施設を、希望者を募って今後考えていくところですか。

知事:
 そういうことですね。病床自身は、お医者さんが常時いるところは、重症、中等症の患者さん用になるべくキャパをとっておきたいと思ってます。だんだん退院が間近になると、軽症が確定、安定してきますので、安定したら完治するまで病床にいるのではなしに、自宅へ戻ってください、あるいは自宅へ戻ったらお子さんがいるならば、避難宿泊施設に行ってくださいと要請するという、トリアージをすると想定しています。

奈良テレビ:
 ありがとうございます。もう1点聞きたいんですけども、自宅だったりそういう施設での治療になりますと、市町村との連携がこれから必要になってくるとは思いますが、患者の市町村を、きのう県内で30人の患者が出てからの発表になったと思うんですけども、それに対して知事のお考えというのはどうでしょうか。

知事:
 市町村でばらばら感が出ないようにと願っています。先ほどのご質問ありましたが、市町村立の小学校、中学校で、休校するところとしないところとばらばら感があったということですけども、先ほど申し上げましたように、多少のばらばら感があってもいいような状況であります。それは市町村に、設備管理者に、具体的には校長先生に委ねてられるからということです。
 もう一つは、介護施設、障害施設など、市町村管理のところもあります。また、市町村主催のイベントなどもあります。いろんな同じようなことにかかわり合いを持っているのが実情であります。
 このようなときの行動パターンですけども、県と市町村はそれぞれ独自の分立した政治行政主体ですので、それぞれの守備範囲をしっかり守ることが大事だと思います。守備範囲を守っていれば、その中でやるべきことが見えてくると思いますので、誰かの言うことを聞いていればいいという事態ではないと私は思っています。だから、協調というのはその中で発生するものですので、協調の要素が確実にいろいろありますので、お互いの言っていることの妥当性をよく判断して、それぞれの立場を守っていただければ、十分なことができると思います。

産経新聞:
 奈良テレビさんの関連なんですけども、その場合は、今後、軽症・無症状の方には自宅・宿泊施設などで療養していただける準備を進めていくということなので、市町村との連携が必要になっていくと思うんですけども、濃厚接触者に関する情報とか、そういうことの共有も今後必要ではないかなと思うんですが、いかがでしょうか。

知事:
 意味のある情報共有をしていきたいと思ってます。意味のないのはあまりする必要もないかと、そういう言い方も変だけども、というように思ってきてます。それを説明して、納得をしていただいてます。
 市町村、市長会から要望が出ました、一緒にやりましょうねと。抽象的なので、具体的にはどういうことをと言ったら、濃厚接触者を全部言えということで、それは言う人には言うけどもと返事をしてます。それで納得されてますので、大丈夫かと思いますが。政治的なアピールをされた市長さんがおられたということですけども、我々、実務的に対処していきたいと思ってますので、実務的な困難が発生しないようにということを心がけています。正直言うと、けんかしてる場合じゃないでしょうと。様子を見て、協力する姿勢を常にしてないかんでしょうと思いますね。

産経新聞:
 ただ、市町村が情報を求めている。情報がないことには動きづらいということもあると思うんですね。

知事:
 それが合理的かどうかを判断してますということで、合理的だと思われますか、内容次第ですよ。

産経新聞:
 だから、自分のところの市や町がどの程度感染が広がっているのかは、推察するためには、そういった情報は非常に重要になってくるので。

知事:
 いや、市町村ごとの在住を発表するようにしました。どこの誰かということを、保健所はそれぞれわかっておりますけれども、市長さん、あるいは私が具体的に知ってるわけでもありません、私が具体的にどこの誰ということを知ってるわけでもありません。それがなくても行政はできますので、具体的な名前まで言えというのは意味がよくわからなかったということなんですね。どうされているか言わないと、そんな個人情報を伝えるわけにいかないでしょうという返事をしておりますので。

産経新聞:
 大事なことは、県内での濃厚接触者あるいは感染者が出たときに、そこから広がらないようにするっていうことだと思うんですけども、その際は、やはり市町村の協力というのがすごく大事になると思うんですけど。

知事:
 そうかな、やり方次第だと思いますね。市町村長のやり方次第だと思います。こういうことをしたいから、こういう情報を欲しいと具体的に言ってほしいということです、一言で言えば。それが出てこないから、何ですかということを聞いているという、そのように追及しなきゃいけない、けんかしてるわけじゃないんだけども、何か騒ぎ立てるための情報というのは余り必要ないんですよね。具体的なアクションにつながる情報を欲しいから、このような場合だと、このようにしたいからということを言ってくれれば、それに適した情報があれば準備しますよということ。それは公表と、また具体的にその方に、個人情報につながるという点で線引きがあるということになります。個人情報保護法との接触をどうするかという兼ね合いのマッチングということになりますので。

産経新聞:
 いずれにしても、今後自宅とか宿泊施設の療養となると、経過観察の要員とか、これは県の人員だけではもう無理だと思うので、市町村の協力が必要になると思うんですが、そのための何か一緒になって会議をするとか、何かプロセスみたいなものは。

知事:
 それは必要だと思います。先ほど言いましたように、軽症者の自宅待機になると経過観察を市町村の保健師にお願いするということは十分あると思います。そのときに保健所で知っているのか、首長まで知らなければいけないのかということの、それは線引きでちょっと微妙なところです。私も知らないことでありますので、市町村長が知らなきゃいけないのかというところはまた検討を要しますが、保健所の方、訪問される方がこのような方に具体的に訪問される、それは公表されなくても保健師の方がこの家を訪れるということは当然あります、市町村の保健師の方が訪れることは十分あると思います。そのための情報共有というのは、誰のレベルでのどういう情報共有か、ということは当然必要になると思います。それが首長、政治レベルで情報共有する必要があるのかどうかということは、多少よく用心しないといけないと私は思っています。私は具体的にどこの誰がうつっているか、私自身も知りません。その方を知ってやることは別にないからですね。

産経新聞:
 情報共有も含めて、いろんな協力をこれから市町村と県はやっていかれると思うんですが、そのための何かプロセスみたいな、今考えていることはありますでしょうか。
知事:
 市町村との協働ということですね。だから、こういう場合は具体的に何をするからこういうようにしようよという発案が、それぞれ知恵を重なるのが一番いいと思っています。それはやみくもな、見えないとこで皆それぞれ守りを中心とした格闘をしているんですから、自分が何か言いたいからというのは一番いけないことだと思いますね。だからどういうことをしないといけないなと想定をして、このようなケースがあるから皆住民の方が不安に思われるという社会心理が発生してますので、それを安定化する、ウイルスの蔓延状況よりも、社会心理の不安状況、不安心理の蔓延状況というのも、一つの課題ですね。社会心理の不安状況の蔓延というのをどう防ぐかというのは新しい課題なんだけれども、そのために情報をどんどん出さなきゃいけないということか、どこまで出すかというのは大きな判断の要るところです。私は正確にわかったものをどんどん出していこうというふうに思っています。それには、正確さというのはエビデンスということになりますので、それと個人情報との兼ね合いということの線引きをして出していこうかと思っています。

産経新聞:
 その情報の出し方というのは非常に難しい部分もあるのは承知していますけども、今後、市町村と連携しているという姿を見せることが、またその不安の解消にもつながると思うので、ちょっと目に見える形でやっていただければありがたいかなと思います。

知事:
 そうですね、例えば教育の分野の連携ということはあり得ると思うんですけども、校長先生に任されているので、日本の流儀だと、市町村の学校の休校というのは、指示することも、要請することももちろんございませんでした。一般的に児童さんにうつらないように、閉校する、閉校するときも遺漏ないようにということを願ってお願いベースではしておりますけれども、じゃあ県はどうしてくれるのということが具体的にありましたら、連携を強めていきたいと思います。県のイニシアチブということになりますが、まちづくりとかほかでいろいろ奈良モデルでやっておりますが、県のイニシアチブのとれる分野があれば積極的にしていきたいというふうに思っています。
 そのようなものが出れば、具体的に発見してやれば、イニシアチブのとれるところはやっていきますし、要請が具体的にあれば応じていきたいというように思っています。やはり具体的に地に足をついた行動・思考パターンが必要だというふうに思っています。

産経新聞:
 ありがとうございます。何しろ県がエビデンスというか、情報を持っていますので、ぜひそのイニシアチブのほうをとってやっていただければと。

知事:
 ちょっと一般的な感じがしますけどね、言われること。

朝日新聞:
 次の総合対策本部会議はいつ開くという、何かめどはありますか。

知事:
 そうですね、できればこんな状況ですので、急変があると当然開きますけれども、そうでない場合も定期的に開くようにしようかということを相談しています。そのときに、対策会議をちょっとオープンに、前段オープンにしてますけどもああいうやり方でいいのか、ナラプラスで出しますけれども、こういうやり方のほうがいいのか、対策本部会議の後のレクチャーというほうが落ちつくのか。対策本部会議のプレスオープン化は実はいいんですけども、あまりご質問もできない状況でありますので、対策本部会議はフルオープンにして、その後このように会見するという事態も必要になってくるかもしれませんので、それよりももし、アドバイスがありましたら、定期的にやれよということなら、それも考えたいと思います。
 例えば毎週1回この報告、あんまりなくてもしろよと、急変するということでなくても、やっぱりある程度しろよということなれば、個人的にはもうしてもいいのかなと思っていますので、もし広報とちょっと相談して、そのやり方についてご示唆ありましたら、アドバイスいただけたらと思っています。

朝日新聞:
 会議のフルオープン化というのは個人的にはぜひお願いしたいところでもあるんですけれども、逆に関西を見ていても、緊急事態宣言が出ていない地域を見ていても、他県ですと緊急事態宣言を受けてそれこそ大きな動きがあった後で、緊急の対策本部会議なり緊急の会見なりをきのう、おとといのうちに開いていたところは複数あるんですけれども、奈良県もそういう面、ちょっと県民の方々に安心していただくという意味では、もうちょっと早い対応もできたんじゃないですかね。

知事:
 早いと思いますけれどね。きのうも会議してましたし、ずっと毎日ほど私のところでは会議してますので。

朝日新聞:
 じゃ、わかりました。内部でされているのはもちろん推察するんですけど。

知事:
 目立つようにしろということですか。

朝日新聞:
 目立つというか、見える形でということです。

知事:
 見えるようにしろという要望がある。お聞きしておきます。見えるようにしたほうが安心になるということであれば、それも一つの効果だとは思いますので、考えたいと思います。
 実質的にはしておりますので、こんな資料も出るようになってますので、やはり分析、考えるのが大事だと思ってしておりますので、今の段階での出た知恵ということになりますが、それが安心につながればいいと思って発表しておりますけれども、それをもう少し頻繁にするというのか、見えるようにしろというのは、ご示唆があればちょっと検討したいと思います。どのようなやり方がいいのかということをまた教えていただければ、ちょっと相談したいと思います。

朝日新聞:
 例えばですね、おととい往来自粛を呼びかけるコメント文を発表されてましたけれども、ちょっと、お忙しいでしょうけど、10分ぐらい出てきてテレビの前で働きかけるような形で言ってもよかったんじゃないかなと。

知事:
 ああ、別にしてもよかったんだけれども、事務方がそれでやりますよと言うから、ああそうかと言った。いや、嫌だと言った覚えはないんだけど。

朝日新聞:
 こちらは、事務方には会見を要請していたと思うんですけど。

知事:
 いや、そのようなことも、私も含めて余り広報センスないほうだから、教えていただければそのようにしますよ。言っていただければ。別に行ってもいいなとは思ってたんだけども、行かなくてもいいよと言うから、ああそうかというふうにしたんだけど。

朝日新聞:
 そうですか。

知事:
 うん、そんな感じなんです。だからそれがいい効果あれば、そのぐらいでも出ても別に差し支えない状況にありますので。

朝日新聞:
 ぜひ、はい、そのほうが安心する方が多いかと思います。

知事:
 安心になりますかね。なるべく安心していただくようにと思っていますので。

朝日新聞:
 ありがとうございます。

毎日新聞:
 知事ご自身はどういう感染しないような対策をとっているのかということと、あとふだんの生活も含めてですね。あと庁外での公務も多いかと思うんですけども、公務にかなり大きな影響が出ているのかという、この2点を教えてください。

知事:
 この時期、年度末から年始にかけて行事がたくさん入っていたものが、ほぼ全てキャンセルになりまして、すごく時間の余裕が私自身はできております。その分いろんなことを、仕事の書類の整理、また仕事の資料を読み解くことに今傾注しています。それは空き時間を利用した仕事の仕方ということで、これは本を読むのは在宅でもできることなので、そういうことに、もし民間の方なれば在宅でできることというのをお勧めできますけど、私自身は書類を持って帰ったりということ、重たいのを持って帰ったり持ってきたりというような日常になります。
 それから、うつさない、うつらないというのは、やはり接触がないというのが一番の大きなことで、会合が、行事がほとんどなくなりましたので、トランプさんなりにしろ、ジョンソンさんにしろ、やっぱり仕事でこううつってますので、きょうもこのように座っていただきましたですから、なるべくうつらない、うつさないような工夫は多少同じようなことをしている程度でありますけれども、仕事は会合、打ち合わせは年度当初ということもあって配属が決まったばかりで、来週からは配属の決まった人の新しいメンバーでの会議がどんどん入ってくると思います。そのような状況ですね。

産経新聞:
 県立図書情報館の本の貸し出しというのが、いつになったらできますでしょうか。

知事:
 ああ、今の関係でもあるのを。

産経新聞:
 関係でもあります、はい。

知事:
 本の貸し出しは、今休館してるから借りに行ってはできないんだけど、発注して貸し出しができるかどうかということですね。

産経新聞:
 そうです、予約の貸し出しとか。奈良市なんかはやってますけども。

知事:
 本の貸し出しの。

担当課:
 他県でも閉館しておりまして、本の貸し出しを停止しております。今後、接触しない形で、どういう形でできるか検討させていただきたいと思っております。

知事:
 貸し出しじゃないけど、蔦屋書店は開きましたので、書店、割とたくさん来ておられるんですね、蔦屋にはね。

産経新聞:
 うん、そうですね。だから本に対する需要というのは結構高まっているので、特に図書情報館というのは、何というか各市町村の図書館にはないような本がここにあるんで、必要な人は必要だったりするので、結構困っている人がいるんではないかなというふうにも思うので、ぜひその感染対策をしっかりした上で、貸し出しができるようにしていただけるとありがたいと思います。

知事:
 そうですね。貸し出しぐらいはできるように、そこに来なくてもということはちょっと検討します。


【奈良県内における政治意識調査について】

毎日新聞:
 昨年実施した県の政治意識調査の結果はいつ公表されるんですか。

知事:
 政治意識調査の報告書は届きました。県会議員にもお届けしています。私も読み始めておりますが、とてもいい本ですので、皆さん読みたいということであれば今日、この後でも、その報告書自身をお渡ししたいと思います。議会にはその報告書自身を届けております。
 一般公表については、その報告書そのものを出しても良いのですが、概要版をつくって公表しようかと思っています。
 今日届いているんですけれども、著作者の人にチェックをしていただいております。もう間もなく、これでいいよということになりましたら、概要版を県のホームページで公表して、その報告書も公表するという段取りをしています。それは間もなくできると思います。
 私の読み始めた印象では、とてもいい報告書です。というのは、視点が明確になっているということと、視点は投票行動、政治参加への有効度の意識がどのようにあるのかと。その一つの最初のほうに出ている報告内容ですけども、奈良県では南部のほうの政治への働きかけの意識が極めて高いと。想像されたことですけども、高いということがその調査で、エビデンスでわかってきております。そのような政治意識について、それともう一つの視点は、奈良の誇り、プライドはどのようなとこにあるのかということを、政治意識の中で調査されています。これはまだ具体的にこれといったエピソードに到達しておりませんが、この調査の結果でそのような2つの視点があるということも興味津々です。
 どうしてそういうことが分かるのかというのは、調査の仕方が随分進んできております。外国、日本でも進んできておりますけれども、サーベイ調査とか、いろいろサンプリング調査の共通性が出るような調査方法だというふうなことも書いております。そのような調査手法でありますので、それをもう少し読み解いて、私自身読んでいきたいと思っていますが。参加していただいた政治学者さんは、日本でも有数の新進気鋭の政治学者さんですので、それがよくわかりました。そこには、意識の高い大変先進的な調査であると、アメリカとかヨーロッパでは常に行われている調査手法を活用しているということでありますので。北村先生が来られて述懐されていましたが、日本はまだ、関西は慣れてなかったのかなとかということを言っておられましたけど、これを機会にそういう調査の意味を、もしその報告書で多少感じていただくことになれば、大変効果があったなと思います。

 

(発言内容については、読みやすくするために、広報広聴課で編集し、質疑テーマごとにまとめています。)

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