令和2年7月21日(火曜日)知事定例記者会見

司会:
 ただいまより知事定例記者会見を始めます。
 最初に、本日の報告案件といたしまして、新型コロナウイルス感染事例発生を受けての県民への注意喚起について、知事から発言させていただきます。
 それでは、知事、よろしくお願いいたします。


新型コロナウイルス感染事例発生を受けての県民への注意喚起について
《資料》(新しいウィンドウが開きます。)(pdf 1490KB)

知事:
 新型コロナウイルスの注意喚起ですが、奈良県の流儀として、感染経路を追及してきております。パターンは、1次、2次、3次、4次、と分かれております。1次は、最初に感染された方ですが、感染経路を調べてきまして、今日はその概略の説明になります。それとその感染経路の推定から分かりました注意の喚起をさせていただきます。この1次、2次、3次、4次の感染経路を見てみますと、第1次はほとんど全て大阪での感染です。もう一つは1名は調査中ですが、東京での感染がないというのが特徴です。
 また、最初の6月までの感染の状況と、今回の感染の状況を比べますと、最初は大阪の職場での感染が多かったのですが、今回は大阪の職場での感染が少ないです。1次感染では大阪等での、飲食、買物、カラオケ、勤務と入っておりますが、今回はこの勤務の割合が随分少なくなってきているというのが特徴です。最初の6月までは、職場での感染が多かったということです。
 もう一つは2次感染で、奈良での感染ということになります。奈良での感染の特徴である、A、B、C、Dと書いている中の、Aの友人宅訪問ですが、友人との飲食で3名感染されました。そこからそれぞれ家庭と友人に3次感染しました。このウイルスはこのように連鎖して感染するものですので、それをクラスター、幹と言っております。その幹を追求するのが奈良県の流儀です。
 このA、B、C、Dは、その類型のA、B、C、Dです。奈良での2次感染の特徴は、この類型でほとんど全て初期の段階で分かってきてます。最初の波のときは、経路の探索を流儀に取り入れていなかったのでほとんど分かりませんでした。調査して分かってきたということです。今、大都市は感染者数が多いから、その類型すらも分からないのが特徴だと思いますが、奈良のような地方になりますと、その類型が判断できるようになってきています。類型が分かると、発生した感染経路の遮断ができますし、注意すべきパターンを想定できます。今のこの時点では、感染経路がほとんど推定できるということです。
 それから、この特徴である大阪での感染、奈良での感染類型と書いていますが、奈良の飲食の場での感染はありません。いわゆる、夜の街感染という言い方で言えば、奈良での夜の街感染はありません。そのような感染経路はまだ発見できてないということです。
 その感染経路のまとめに、A、B、C、D、Eで類型を取っておりますが、この表では34名の2次感染、2次感染のうち、1次感染が大阪での感染からと判断できます。大阪での感染は、職場感染よりも、飲食等の会合による感染が多かった。奈良に来て、友人と会食した2次感染者から、職場での感染と、3次感染が続いていっています。今のところ4次感染まで続いています。4次感染が発生しましたのは、この高校の例です。2次感染は家庭内での感染で、3次感染では部活動の感染となり、4次感染は部活動部員の家庭での感染というように連鎖となっています。
 その2次感染以降の経路の分析をしていますのが、AからFまでです。2次感染である、奈良での感染ということになります。友人宅を訪問したり、友人と飲食された方が7名おられます。車に同乗して感染したと思われるかたが4名おられます。職場内感染が8名おられます。家庭での感染が9名おられます。6月までの感染においては、2次感染は全て家庭での感染でした。今度の感染は、家庭での感染はそれでも9名おられるわけですが、それ以外の感染に多様性があるようになってきています。さらに病院での感染が3名、部活動による感染が3名あります。
 このように感染経路を分析したのは、このAからFまでの類型を分析して、類型ごとの注意事項を発見しようということが唯一の目的です。1次感染者に、どうしてうつってきたんやという非難中傷が殺到する傾向があります。その1次感染者は思わぬ感染が常ですので、その感染者をあげつらうことはいたしません。大阪で感染されました、気をつけてくださいね、というのが趣旨ですが、奈良の行政主体として、その1次感染から発生する2次感染のこの類型を発見して、友人宅訪問、友人の車に同乗、職場A、B、C、家庭というような類型を発見して、注意することを今の最大の作業としています。
 繰り返しになりますが、これまで発生しました2次以降の感染、34名のほとんどの感染状況は分かってきています。それに基づいて県民の皆様に注意を申し上げたいと思います。特に気をつけていただきたいのは、Aの類型である、友人宅訪問や、友人との飲食になりますが、そのうつされ方、うつし方には注意事項が2つあります。多人数や、長時間は避けましょう。長い時間をかけて会食されるとうつされる、うつす可能性が高まってきます。相手が感染者とは思わないで会食されるわけですので、長時間になる傾向は当然ありますが、友人との会食で34名のうち7名出ていることを踏まえて、長時間、多人数の会食は避けましょう。
 2つ目の注意事項は、車同乗の方が4名おられます。車に同乗されてうつられたのではないかと推定されるケースです。車に同乗したときも、マスクをつけて換気を徹底してください。開けっ放しというのも暑い時期ですから、時々入れ換えてという注意で随分リスクが減ると思います。また、長時間のドライブは、密室、密閉状況になります。長時間のドライブを避けていただけたらと思います。
 次に、職場のC類型ですが、佐川急便はじめ8名の感染がありました。職場での注意喚起ですが、職場での同じフロアでうつられたケースが多かったのですが、その同じフロアでもうつっていない人もたくさんおられます。近くに来て対面を避けて、うつるようなシチュエーションをつくらないように、あるいは換気を徹底するように注意してください。職場に行ってうつすかもしれないというような症状がある時、或いは予感がした時は、勤務を休んで、また、外出自粛をしてください。
 4つ目の注意喚起です。家庭内感染が多いのですが、今回でも34名中9名おられます。家庭内での注意は大事です、家庭での感染を防ぐと随分域内での感染が違ってきます。帰宅後すぐに手洗い、着替え、シャワー、或いは入浴など、習慣化し励行していただくのが有効かと思います。また、日頃から、大阪勤務のご家族、大阪に通学のご家族がいらっしゃいましたら、大阪でうつされて帰るというケースがありますので、ご家庭での感染防止を徹底することができたら、随分違ってくると思います。タオルの共用は避け、小まめな洗濯など、毎日の習慣ですが、そのようなことをしていただけたらと思います。
 病院内の感染と、部活動の感染について、県からは、今回申すまでもないと思って入れておりません。病院内や部活動の現場ではこういうこともあるんだということで対応していただいています。家庭内での感染は、家庭で一度うつると、その後そのご家庭ではなかなか発生しないわけですが、うちの家庭ではと思われるところがありますので、このような類型を提示させていただいて、類型ごとの注意事項をお伝えしました。
 また、感染が判明したときには、どこでうつされたのか、ほかの人にうつさないようにと、行動履歴調査を保健所でしていますので、ぜひご協力をお願いします。感染経路をそれぞれ潰していくのが、コロナへの対応で一番有効だと思っています。
 そのほかの報告ですが、1つは入院体制です。当初は64床しかない時期があり、7割を超える占有率でした。4月以降64名の発生がありましたが、既に退院者は15名おられ、現在の入院者は49名です。病床の確保は434名分なので、占有率は11%程度で十分余裕があります。また、軽症の方の宿泊療養は東横INNで108室確保をしており、7月22日に3名移られる予定です。
 まとめになりますが、5月までの事例では、感染者の半数の経路が不明でした。後ほどほとんど分かってきましたが、時間がかかりました。今回は、当初から感染経路をほぼ推定できていますので、そのような経路に特徴的な注意事項を発するようにしています。全面自粛じゃなく、特定自粛あるいは特定注意という流儀にしています。
 今回は、1回目の感染である5月までの事例と違うのは、家庭内の感染、職場、特に友人との行動というタイプの2次感染が増加しています。そのようなタイプの2次感染が奈良には増えてきているということをお知りおきいただければと思います。また、入院隔離についてのご心配は、現在ございません。
 このような状況ですが、若者の方あるいは病院の方の感染が増えておりますが、自粛疲れといいますか、今まで自粛した、或いは職場のストレスがあるのではないかと、推察になりますが、そのような事項が全国的にある社会学的な仮説になりますので全部当たっているわけではないかと思いますが、そのような仮説が成立するのであれば、ご本人あるいは健康のためにも社会経済活動を適切に行っていただく必要があると思っております。適切な感染予防をしていただいた上で、社会経済活動を行っていただきたいというのが締めくくりになります。
 私からのご報告は、以上になります。


GoToトラベルキャンペーンの東京都除外への受け止めについて

日経新聞:
 GoToトラベルキャンペーン(以下、GoToトラベル)の東京都外しについて、改めて知事のお考えを伺えればと思います。

知事:
 GoToトラベルが間もなく開始されますが、奈良から見たGoToトラベルということになります。今までのご報告をいたしますと、奈良から東京に行ってうつされて帰ってこられたという人が、1名調査中ですが、そのほかはないような状況です。また、随分自粛がありました第1波では、東京から来て奈良でうつされた、職場内でもうつされたケースはありません。また、奈良でうつされて帰られた方もございません。奈良は2次感染地ですので普通はないわけですが、大阪から来た人でも、奈良でうつされたというケースはございません。
 そのような状況の奈良からの発信、考え方ですが、これまでもいろんな調査に答えておりますが、社会経済活動は適切な感染防止をした上で行うのが望ましい。withコロナ時代の社会経済活動というのはそういうものかと思っております。GoToトラベルというのも、経済活性化が注目されておりますけれども、withコロナ時代の新しい生活流儀のスタンスをつくり上げていくという意味のキャンペーンではないかと私は期待をしておりました。したがって、GoToトラベルは、地域によっても違うと思いますが、今までのような全面自粛というよりも、多少知恵を出して適切な行動を小まめに考えながら、社会経済活動とコロナとの両立が望ましいと考えております。

日経新聞:
 今回、東京都を外したことについては、どのように受け止めていらっしゃいますか。

知事:
 東京を外された意味はよく分かりません。奈良としてはあまり外す必要はなかったかと思いますけども、何かほかに心配されるところもおありになったかと思います。事情は分かりませんが、お国の事情だと拝察をしております。

日経新聞:
 奈良に対しては、あまり影響はないという受止めですか、それとも奈良にとっては大きな影響があると受け止めですか。

知事:
 奈良からの発信ということで申し上げましたが、奈良のこれまでの実情からいたしますと配慮される必要はなかったかと、奈良からという特徴から見ると、そのように思えます。

NHK:
 今の関連ですが、GoToトラベルの開始、あと4連休も控えてますけれども、奈良県としては、対策をきっちり取った上で多くの方に来てもらいたいということなのか、その辺りの知事のメッセージお願いします。

知事:
 繰り返しにもなるかと思いますが、第1波が各地を襲って多少の学習は各地域しております。全然発生しないところも大量に発生したところもありますが、新型コロナウイルスがいるということを前提に社会経済活動をあまり抑え込まないことが必要かと思いますし、そのような動きにはなってきていると思います。その両立をどのように折り合うかという知恵がまだまだ要ると思います。GoToトラベルもその一つですので、実施する場合でも、もう全然大丈夫だという言い方ではもちろんないように思いますので、どんどんやるよというように伝えられた面もあるのかもしれませんが、用心をしながら社会経済活動を徐々にリオープンといいますか、開いていくというのが望ましいかと思います。奈良でも用心をしながら、まず健康のために、気持ちは伸び伸びとしていただくのが何よりです。
 私の仮説になりますが、自粛のストレスが発生して、若者などが外で伸び伸びとすると何か自粛要請に逆らっているみたいだから、見えないところで自粛に逆らおうという傾向がもしあるとすれば、逆に感染が広がってしまう可能性もあるのではないかと。心配性からの仮説であります。伸び伸びとしていただくのは、大道で目立つところで伸び伸びとしていただくほうがいいかなと思っております。用心を徹底してということです。

NHK:
 旅行、観光に関しては、なるべく近場でという考えをおっしゃっている首長もいらっしゃいますが、知事は、特に距離とか近場ということではなく、対策を取っていれば大丈夫だというお考えでしょうか。

知事:
 先ほどGoToトラベルの件で、東京都除外についてというご質問が、「東京都から来ないのは残念か」というご趣旨もあったかもしれませんが、奈良は東京から来てうつされた方が今のところないということもありますが、今までの用心しながら社会経済活動を広げるというスタンスからしますと、奈良県内の人が奈良の観光を知らないという側面もありますので、奈良の人に奈良を知ってもらう効果も追求しながら県内での観光振興をしよう、これはずっと続けていきたいと思っています。これは何といっても安心な観光展開ということになりますので、用心しながら身近な観光からやろうというスタンスを取っております。そのようなスタンスから、東京から来てほしいよということを直接言うような、距離からしても立場にもないということです。
 一昨日の全国知事会で、私の前に山梨県の知事が発言されていましたが、山梨県は東京からの観光に、大分距離もありますが期待があったので、「GoToトラベルの東京都除外はとても残念だ」と、こう言っておられました。奈良は離れておりますので、山梨と違うように思いますが、東京へのプロモーションとか誘客は直接せず、身近なところから始めて、さらに近隣、和歌山、三重などから来てもらう、また、行ってもらうということをしていくにあたり、徐々に用心しながらというのは当然のことですので、そのような観光振興のスタイルを取り始めております。そのような一環として、とご理解願えたらありがたいと思います。


修学旅行への奈良県の感染症対策について


産経新聞:
 今後、修学旅行等もGoToトラベルの対象になり、かつ奈良県は非常に修学旅行生もたくさんいらっしゃる地だと思います。個人旅行と違って修学旅行ですと、1人感染者が出た場合、濃厚接触者が多数発生するというリスクがあるかと思います。県の対策ですとか、例えばPCR検査待ちの濃厚接触者の隔離場所等、何か対策は考えておられますでしょうか。

知事:
 1つは、修学旅行はとても安全な旅行集団です。修学旅行生、生徒さんたちも用心されて来られますので、普通はあまりありません。旅行先、仲間の感染はほとんどないのが、旅行集団としてとても安全な旅行集団です。もう一つは、行ったところでうつされるかどうかということでありますが、今まで奈良に旅行に来てうつされたケースは皆無なんですよね。用心はしてもらわないといけませんけれども。奈良に来て、大仏殿とか仏様を見学されるというのが普通であります。大都市への観光というのはむしろ危ない、夜は開放するとどこに行ってうつされるかどうか分からない。仏像とか文化財を見てうつされるケースはゼロですので、その点は強調したいと思います。修学旅行生にとっても、いいデスティネーションだということを強調したいと思っております。
 それでも、万が一発生したときにはどうするのかという備えは必要だと思っております。修学旅行集団が奈良に滞在中、感染者が出たら、移動されますので感染者がすぐに分かりますけども、感染者を隔離、療養、治療するということは当然病院もそろっておりますので、できます。他の方は、滞在、留め置くのではなく、集団で旅行されていますので、早くご帰宅されるというのが通常ですので、私は全く心配ないと、特に奈良では心配ないと思っております。そのための備えも十分しております。

産経新聞:
 例えば、今回、県内でも学校内での感染が不運にも起きてしまっていますが、例えば遠隔地から奈良に来られる前に感染していたけど、気づかなくて奈良で発症してしまうという可能性が僅かですけどあるかと思います。そういうときに、濃厚接触者は、多分県内でPCR検査をすることになるんですか。

知事:
 いや、ほとんどないと思いますよ。修学旅行は一番少ないパターンですので、それほどご心配されることではないと思います。修学旅行の方が危なければ、一般旅行の人はとても旅行できないというぐらい安全な旅行集団だと思います。修学旅行の安全性は、観光業界みんな注目してますから。

産経新聞:
 基本的に、もし濃厚接触者が出た場合の隔離施設とかを事前に用意しておくほどの必要性はないということですか。

知事:
 濃厚接触者は、学校の中でですか。

産経新聞:
 そうですね、修学旅行集団の中で発生した場合に、当然遠隔地なので、すぐに帰宅ができないケースもあると思いますが。

知事:
 いや、発生したときは、できるだけ早く戻られるのが普通だと思います。学校の方針になりますけれども、そのまま旅行を続けられるケースはあまりないのではないかと思っています。

産経新聞:
 ということは、濃厚接触者の方は、そのままバス等で地元に。

知事:
 濃厚接触者というのは、どういう方ですか。

産経新聞:
 例えば感染者がクラスメートで出たとします。すると、同室の子ですとか、あるいは…。

知事:
 学校の中の話ですか。

産経新聞:
 そうです。集団で移動していた、同じバスで移動していたような子は濃厚接触者になり得ると思いますが。

知事:
 想定ですが、学校の判断になりますけれども、学校内の集団の話ですよね、今は。どこに行こうと発生する可能性はありますので、それは学校の判断ですけれども、普通は皆さん一斉に戻られるのではないかと思います。

産経新聞:
 分かりました、ありがとうございます。

知事:
 例えば、地元でまた感染者が発生しましたと。この人は一緒に戻れないから別途隔離して、そのまま戻って治療される前に奈良で入院治療してください、当然それは受けることになろうと思います。その準備は十分ございますので、ご心配はないと思います。

産経新聞:
 分かりました、ありがとうございます。


JWマリオットホテル開業への期待について


朝日新聞:
 マリオットのオープニングセレモニーが明日開催されて、知事もご出席されると伺っています。その際にもまた話されると思うんですが、改めてマリオットへの期待をお願いします。

知事:
 先日、レセプションルームや施設内を見せていただきました。すばらしいです。奈良になかった立派なホテル。この時期ですが、宿泊予約が絶好調と聞いております。ありがたいと思います。
 ふふの場合もそうですが、ふふも絶好調なんですね。ハイエンドの旅行需要というのはコロナに負けないということが証明されているようです。量的には少ないと思いますが、奈良にとっては、今までのパターンでない旅行需要になります。そのような旅行需要を受けられる場所、施設がなかったんですが、初めてこのような施設ができて、開業をとても喜んでいます。また、予約が絶好調ということも大変喜んでいます。

朝日新聞:
 今まで奈良は、その宿泊者が少ないというのが課題でしたが、マリオットを皮切りに改善につながっていくだろうという思いはありますか。

知事:
 うん、マリオットのほか宿泊施設、分かっているだけで、ここ数年で1,200室ぐらい建っていくわけですが、今までにない宿泊、一つ印象的なのは、ふふができて、最初は奈良の人の宿泊が多かったんですね。奈良の人は、ああいうところで泊まったことがなかった。朝あの辺りを散策されて、奈良を見くびっていたと奈良の人が言っておられた。奈良の人がやっと自覚をし始めていただいたのかなというのも、うれしいことでございます。奈良のいいところを知らなかったということを、ふふに泊まって述懐されていたので、やっぱり地元の人が奈良のいいところを知らないといけないと。今後の奈良のGoToトラベルの趣旨は、奈良の人に奈良の観光のよさを知ってもらうというのが大きな要素になっております。そのような奈良の宿泊というか観光の、景色を変えていくきっかけにマリオットホテル、ふふもそうですけれども、なるんじゃないかなと思っています。

朝日新聞:
 コロナで今、インバウンドが見込めない中、地元の方が泊まっていくというスタイルもこれから強くなっていくだろうということですか。

知事:
 地元の人もね、外でゆっくりと泊まる。奈良の人は世帯別の貯金額が全国一高い、多いんですよね。世帯主が65歳以上の世帯(世帯主が無職で2人以上の世帯)の貯金額は全国2番目というような、非常に隠れたデータがあります。それから、消費額も奈良の人は多いんです。消費額、旅行も多い。(平成29年の人口100人当たりの)パスポートの発行件数も全国6位とか有数なんです、不思議な県です。だから、世界の観光地を巡っておられる奈良の人にとっては、奈良はそういう世界にあるような観光地ではなかったねということが実情です。ほかの普通の観光地にある宿泊施設、食事施設が奈良になかったというのも事実です。それが世界の標準に達するような施設ができてくると、世界の味を味わっておられる奈良の消費者の方も、奈良の発見につながることになればと願っています。奈良の消費率、消費額、その裏にある貯金額、極めて高いわけですので、それを奈良の観光業も一つのターゲットにするというのも大きなことかと思っています。

朝日新聞:
 分かりました。ありがとうございます。


診療報酬について

NHK:
 先日の全国知事会議で、コロナで収入が落ちた医療機関への支援として、地域別の診療報酬制度の活用ということを言及されたかと思うんですが、改めてどういった狙いなのかというところをお願いします。

知事:
 知事会議の発言、注目していただいてありがとうございます。知事会議で、医療機関の疲弊が課題になっておりまして、国への提言の原案の中にもパラ5というところに入っておりましたので、そのパラ5で国に要請されるのが、交付金をもっと拡充してほしいということでございますが、交付金を拡充して適用するのは、コロナ対策をされている医療機関には費用を償うという意味の交付金はありますが、収入減のところにはなかなか対策の効果がないわけです。収入増の対策には、地域別診療報酬のアップというのが適切だと思って、奈良県ではその対応を取ろうかと思っております。提言の中にそのような文言を入れてくださいとお願いしましたら、早速そのような文言を入れていただきました。正確に覚えておりませんが、地方の意見を反映した地域別診療報酬のアップに対応する施策を国も考え検討してくださいというような文言でしたが、十分その意を知事会の中で酌んでいただいた一幕でございました。
 このような状況、またこれまでの考え方で、地域別診療報酬の奈良県知事意見を、この8月にでも出そうかと思っております。年内にでもということを知事会で申し上げましたが、できるだけ早くこのコロナ時代での収入増を図る手だてを出したいと思っております。
 診療報酬は今1点10円ですが、1点11円にするとか、1点12円にするとかということになります。高確法(高齢者の医療の確保に関する法律)第13条に基づく意見ということになります。14条では、厚生労働大臣は、その意見を検討して、意見に対する応答をしなければいかんということになっておりますので、厚労大臣の14条の対応を期待するわけですが、その際に、原資はどうなるのか。そのようなことができるマジックといいますのは、都道府県ごとの医療費適正化計画は各知事がつくることになっております。高齢化社会が進みますと医療費が増嵩いたしますので、その医療費の増嵩に合わせて、保険料を取ることになっています。今、医療機関に患者さんが来ないということは、医療費が少なくなってきているということであります。しかし、保険料は今までの流れに合わせて取っておりますので、余剰という言い方は変ですが、実は保険の中で余剰が発生するわけで、その余剰を診療報酬の1点単価10円を、11円、12円にする財源に充てようという思想でございます。だから、国の補助金とか財政ではなく、保険の中で始末しようという考えです。
 全国医師会も点数アップを要望されているように聞きますが、全国一律でなくて、地域独自というのはどういうことかというと、コロナ対策ということであれば、例えば岩手県はコロナ感染者は発生しておりませんので、岩手県もアップするんですかというような議論が必ず起こると思います。コロナの対策でいろいろ困難に向かっておられる地域と、コロナ感染者が発生していない岩手県も含めて全国一律アップというのは合理的ではないと思います。
 今申し上げましたのは、医療費適正化計画の中にその財源はありますということと、全国一律でない、岩手県などが含まれない、あるいは地域の医療機関のダメージの違いを見て、各地域が意見を言うのが合理的だということ。そのような仕組みは高確法の13条に法定されているということ。また、4つ目になりますが、歴史的に見ても、昭和38年までは甲地、乙地、丙地と、大都市と地方で点数が違っていたという事情もあります。その地域の事情が違うということが歴史的な経緯としてもあります。そのようなことを勘案して、奈良県独自の地域別診療報酬アップの意見を、この8月にも申し述べようかと思っています。

NHK:
 奈良県内の、地域によって違うということですが、県内の医療機関のダメージの状況をどう見ていらっしゃるのかということと、その上げ幅については現状どういうお考えですか。

知事:
 医療機関のダメージは、今、調査をしていますが、医療機関にも種類があります。それを受けて、1点11円にするのか、12円にするのかということを申し述べると思います。保険者協議会というのがありますが、そこにかけて意見を言うことになっていますので、その保険者協議会にも間もなく諮るようにしたいと思っています。調査をちゃんとするということと、保険者協議会にその調査の結果をかけて、保険料の財源もこの際、大丈夫かということも確認するという、その2つの作業を地元でして、国へ意見を述べることになると思います。

奈良テレビ:
 先ほどのコロナの件に戻って申し訳ないんですけれども、確認なんですが、今、入院されている方のうち、3名が明日22日に宿泊療養施設に移行予定と書いてあるんですが、やはり3名が移動されるというのは、今、入院者の数が増えてきているということが理由なんでしょうか。

担当部局:
 ホテルはもともと108室確保できておりましたので、そのホテルも活用しながら感染者の方に対する治療、また療養というのをしっかり提供したいということで、今回の3人の方は特に軽症の方で、ホテルでの療養も可能であるということをお医者さんが見立てた方になりますので、我々としてはホテルもしっかりと活用しながら、県民の方への療養、治療を提供していきたいと考えております。

奈良テレビ:
 ありがとうございます。

知事:
 ホテルでの宿泊療養も、隔離という点では確保されていますのと、重症化を予防するという措置もその宿泊療養施設では確保されていますので、入院先でも同じことですが、外出はできませんけれども、気持ちが軽くなるのではないかなということです。
 もう一つ、宿泊療養施設をつくりましたのは、入院施設が満杯になると、その予備といいますか、軽症の方はそちらに移ってもらうというのが一つの当初の目的でしたが、今はそういう状況にもございませんので、入院病床が逼迫するまで要らないのではないかという意見ももしかしたらおありになるかもしれませんけれども、宿泊療養という一つのやり方もありますよと、軽症にもちろん限るわけですので。特に大都市なんかは宿泊療養も併せて措置しないと、入院治療というだけではなかなかその病床の確保、それから他の患者さんとの折り合いというのは大変です。奈良は、他の患者さんとの折り合いも気をつけてやっていただいておりますので、今のところ患者さんの混在感染というタイプの病院クラスターは発生しておりませんが、このような宿泊療養も準備をして、いざというときの備えの確保は引き続きしていきたいと思っております。


近鉄奈良線の移設について

読売新聞:
 近鉄奈良線の移設についてですが、近鉄側にお話を伺うと、絶対条件が二つあって、一つが、移設に関しては行政側の費用で、つまり近鉄は一銭も出しませんよということと、あともう一つがサービスの水準、ダイヤですね。今のルートだと西大寺駅からぐっと曲がって大宮通りに入るルートなので、スピードが出ない。ということは、時間もかかるようになってくると。この二つは絶対条件だとおっしゃっているんですが、その二つの要望に対してはどのように対応されるおつもりでしょうか。

知事:
 近鉄の絶対条件というのは間違いだと思います。国土交通省近畿地方整備局長の総括を読んでいただくと、これに近鉄も合意されたんですが、近鉄の絶対条件や、それを前提に、とはどこにも書いていません。よく読んでくださいと近鉄に伝えてください。前提条件として合意しますという発言をされているのは意見としてはありますが、総括では触れられていません。前提条件がある交渉はないじゃないですか。それを報道機関の皆さんがどうですかと言われるのには違和感を感じますね。前提条件ではないようになっています。交渉条件だと思います。前提条件というのを報道機関の皆さんはそのまま受け止められたんでしょうかと、こう言いたいぐらいです。合意されたことの前提にはなっていないと私は思います。
 もう一つ、サービスの水準を低下させないというのは、これも一つの交渉といいますか、意見だと思います。国営公園からの移設と、踏切道改良というのが、これは法定義務として近鉄にもかかっているんですね。踏切道は近鉄のためにある踏切道ですので、それが混雑していることにどう対応するんですか。前提条件とおっしゃっていることは、お金を全額出してくれないと俺は移らんよと言っているに等しい、そのようなことを言う鉄道事業者は全国どこにもいないですよ。踏切道改良促進法に対して、俺、金出さないからねということを、前提条件だという会社はどこもいないですよ。私は鉄道行政に携わってきたので、ものすごく違和感を感じて強い反発をしているわけですが。交渉条件ではあるかもしれませんが、お金は出したくないと、いつも言っておられることだからそれは分かるんだけど、この合意の前提条件と言われるのは、それは社内の言い訳じゃないかなと思います。

読売新聞:
 あと、県の計画で線路が大宮通りに入ってくる場合、路面か地下か、どちらなんですか。

知事:
 移設の詳細については近鉄と奈良県で協議しなさいよということです。近鉄は、県の案の詳細はこれから協議しますということに合意されたのと、駅の新設、新大宮駅の移設についてはまだ白紙で別途協議したいと。だから反対というのでもないわけですが、そのように言っておられます。県が近鉄の駅についての案を出したのには経緯があります。近鉄の前社長と私が折衝した感触を踏まえての県の意見ということになりますので、当然それについて近鉄の意見はあると思いますが、それはそれとして、どのように走るのかということになります。県の意見の概略ですが、平城宮跡の中を流れている水を大事にしようと。木簡が水を欲していると気を遣って、文化財と言えるかどうか分かりませんが、木簡の保護というのは大きな要素として県は考えています。
 したがって、現線の地下化というのは普通はあるんですが、それを避けたのが県案です。すると、南へ移して地下にしても水への影響はあるだろうと。木簡というのは広くあるかもしれませんが、ほとんどが平城宮跡の中だと。その平城宮跡の中にある木簡を大事にしようという観点であれば、その北東から南西へ流れる水の流れ、佐保川と並行するような水の流れを大事にするには、大宮通りを渡る場合も地下にしないということは前提になると思います。少なくとも平城宮跡を渡るときには、南であっても地下にしない、地上ということに県の案ではなっています。また、道路との折り合いと、平城宮跡を過ぎた辺りからは、大宮通りの真ん中へ戻して、掘り割りまたは地下化する案を工学的には考えています。
 しかし、鉄道線路の移設ですから、それはいいとか悪いということを近鉄から具体的に意見を言ってもらわないと、県の案は単なる県の案です。それを今度の合意では、鉄道工事の移設案について、道路当局の県と鉄道管理者の近鉄は協議しなさいよというのが、合意文書の大きな点です。近鉄は、協議しましょうということに合意されたと。鉄道がどこをどのように走るべきかについては、これから協議が進むということです。今、県案はどういうものかというご質問でしたので、水の流れを配慮した案にはなっています。それが決まったわけでもありませんので、近鉄と協議をして合意に至るように、この年度末までに合意に至らないといけないという踏切道改良促進法の義務がありますので、それを念頭に置いて協議を進めたいと思っています。

読売新聞:
 今のお答えだと、地下は基本的になくて、地上か高架になるか。

知事:
 少なくとも平城宮跡の範囲、水の流れの範囲ではと県では考えています。

読売新聞:
 となると、大宮通りを一部または全部になるかもしれませんが、車線を潰さないと。

知事:
 大宮通りとの折り合いは、県案の中では工学的なことも考えて提示をしていますが、協議はこれから始まりますので、具体的なやり方というのは、協議の中で情報公開していきたいと思います。まだ県案で、一方的にこうです、ああですと言っても、それで固まるわけではないという出発点ですので、まだ出発のための県から出した素材です。それを基本にして協議しなさいねということに近鉄は合意されたわけです。移設案を基本にして近鉄は協議されると。これも大変大きなことです。移設案自体に反対されていたのを、移設案を基本にしてやると。移設案はいいですねというところから始めますよと。あとは負担の話が残ります。負担するのは嫌だから協議をしないと言っていたのが、それはそれとして協議しなさいねということに合意されたのが実情ではないんですか。それを前提というのはおかしいと、繰り返しになりますが思いますよ。

読売新聞:
 近鉄の駆け引きというか、費用負担したくない、なるべく低く抑えたいというのは当たり前だと思うので。

知事:
 例えば、あまりお金を出したくないということは当たり前ですが、前提というのはよくある近鉄内の言い訳かなと思ったりします。それを皆様が、そのとおりだとあまり思われないことを希望します。


奈良県独自の宿泊キャンペーンについて

読売新聞:
 GoToトラベルの話が出ましたが、奈良県独自の7割引のお話があったかと思いますが、スタート時期の目処や制度設計について、大分詰まりましたでしょうか。

知事:
 奈良県内GoToトラベルと言ってもいいかもしれません。5億円の予算ですが、委託をして割引をしてもらうと。最高7割引で県民が宿泊施設等を利用でき、県民に奈良観光の味わいを知ってもらうという追加の目的もありますよと。その委託者の公募を間もなくやると聞いています。審査をして、今のところ8月からになるのではないかと聞いています。予約をしていつ行こうかというご家庭や消費者の方の予定もありますので、先ほど聞いた話では、8月中にでもその割引キャンペーンの開始ができるのではないかと聞いています。すると、秋からの旅行という感じになるのかなと思います。夏には間に合わないかもしれませんが、ばたばたとして国のように、ばたばたが繰り返しになってもいけませんので、なるべく落ち着いて、この奈良県版GoToをしていきたいと思っています。

司会:
 ほかにご質問はよろしいでしょうか。
 それでは、これで定例記者会見を終了させていただきます。ありがとうございました。

(発言内容については、読みやすくするために、広報広聴課で編集し、質疑テーマごとにまとめています。)

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