平成29年4月12日(水)知事定例記者会見

司会:
 おはようございます。
 ただいまから知事定例記者会見を始めさせていただきます。
 本日は発表案件がございませんので、その他の質問がある方はよろしくお願いいたします。


質疑応答

吉城園周辺及び高畑町裁判所跡地のホテル誘致について

奈良テレビ:
 奈良公園の委員会が10時から甍~I・RA・KA~で開かれていますが、改めて吉城園が森トラスト、高畑がヒューリックに優先交渉権者が決まったことについて、一言お願いできますでしょうか。

知事:
 宿泊施設誘致の反対運動があるのは、もちろん承知をしております。県議会でも話題になりましたので、その反対の理由をずっと分析してきました。たくさんの反対署名がありますが、コメントがある意見2,843件を、県職員が分析してくれました。割合の大きな部分は景観が阻害されるということです。何かすごく大きいものが建てられるというようなイメージで反対されていたように思いますが、ヒューリックのパースが出てまいりましたら、吉城園もそうですが、今の景観よりもよくなると私は思います。今の景観は荒れておりますので、整備された庭といった感じになりますので、景観の問題は、余りご心配にならなくても良いと私は思います。

 コメントの中には県外の人がたくさん投稿されておりますけれども、これも県議会でもご報告いたしましたが、原始林を壊す、森は失うと戻れない、鹿に影響がある、安っぽい現代建築のホテルなんて愚の骨頂、というような、たくさんその類いの、よく知っていただければ多分出ないような意見も随分あります。2,843件のうち、この反対の署名を集められたホームページに、賛成の投稿もありました。6件ありますが、勇気のある方だと思います。反対の署名を集められているところに賛成の投稿をされて、それも見させていただきましたが、その方は「実はこの場所を見に来ました」と書いておられます、県外の方ですけれども、「かなり興味深く遺構を見ました。遺構を活用して土地の雰囲気を壊さないようなデザインの建築を建てるなどということで、原始林の一部をぶち壊すなどというようなこととはわけが違うようです」ということを賛成の意見と、「当該地に住んでいない私には、それが一概に良い悪いと言う立場にはありませんが、ただ、見て、聞いたことを書いておきます」といったような、私から見れば賛成のご意見かなと思われるようなご意見もありました。内容が大事ですので、そのような分析をしながら、このヒューリックの提案された庭園と一体の数寄屋風というコンセプトが選ばれたわけですが、奈良公園のこの一角がよくなるという印象を持っております。

 文化庁の許可が要りますので、それを粛々と説明して、お願いをしたいと思っています。

奈良テレビ:
 今後ヒューリック、森トラストと、そういった意見を含めましていろんな話を詰めて、最終的にホテルブランドが決まっていくという、そういう流れなんでしょうか。

知事:
 そうですね、吉城園もそうですが、ホテルブランドは、許可が出ないとブランド交渉が最終的にならないのが、県営プール跡地でも同じですので、投資者の方は大分絞って交渉されていると思います。具体的にはわかりませんが、上質な宿泊施設と聞いておりますので、その運営についてもリゾートホテルというイメージではないように私は思っています。リゾートホテルというイメージもよくわかりませんけれども、余りリゾート地でもないので、そのようなホテルはなかなか奈良にありませんけれども、上質なホテル、宿泊施設だと思います。

奈良テレビ:
 そういったホテルがこの吉城園や高畑のところに出てくると、奈良にとってはかなりプラスになるということですか。

知事:
 奈良の観光地としては、そのような上質なホテルがなかった。今、各地の、都市の中にしろ、田舎にしろ、とても上質なホテルを建てておられる傾向があります。桜井に建てたオーベルジュも、かなり上質だという評判が立ってきております。そういう良質なホテルを求められるお客さんがふえているように聞いております。そういう上質なホテルは、世界にはあるが、奈良にはなかった。県営プール跡地にJWマリオットというブランドが発表されて、それはやはりすごいホテルだということは多くの人が認知をされておりましたので、多分吉城園も高畑も、そのレベルに対する期待があります。奈良にはないような上質なホテルが来ていただけると、奈良自身のブランドが上がると思います。それが一番私ども観光行政をしている者にとりましては、地域のブランドが上がることが一番ありがたいことだと思っております。

奈良テレビ:
 ありがとうございました。

毎日新聞:
 関連しますが、反対されている方あるいは市民含めて、県としてはどのように理解してもらうような活動を展開し、情報発信されるお考えでしょうか。

知事:
 これだけ情報を出しているわけですから、実際をよく理解して、県外の人も含めて理解をしていただきたいと思います。

 今までの例からいうと、納得されるというのは可能かどうか私はわからないと思っています。反対の方の中心は、隣地にご自身の保養所を持っておられる方であります。皆様よくご存じだと思いますけれども、それと政党の共産党の方々が反対されております。それは、そういう方が反対してはいけないということではなしに、そういう方々が反対して、私どもはその理由が大事だから、今申し上げましたように、その理由でとるべきものがあればもちろん耳を傾けなければいけないのは当然でありますので、それを分析しているところであります。

 私の経験からすると、同じようなことが近鉄奈良駅の屋根問題で、景観が阻害するといって同じように共産党と関係の方が反対されてデモをされました。当時、記者のお一人が、反対が8割も9割もあるのに、どうしてやるのかといってここで質問されたんですけれども、すると署名の集め方が、駅前で何かすごいものを建てるんだ、反対でしょう、反対でしょうといって集められた割合が8割、9割だったということで、当時、定例記者会見の時に8割、9割も反対しているのに強行するんですかといって質問された。

 ところが、屋根が出来てみると、東向きの商店街の人も私のところに、あれはいいからぜひやってくれと、表明されないが、そう言ってこられた。そういう地域だという経験がありますので、共産党など反対されている方々は、マスコミの人にそういうようにアピールされて、またマスコミの人が反対どうするんですかと、こう言われるパターンにはある。悪いと言っているわけではないのですが、私の経験では、近鉄奈良駅の屋根については、もう反対運動は起こらないんですかと、共産党の人を時々冷やかすのですが。あれだけデモされたわけですからと言ったりする。そのほかにも県庁屋上庭園というものもありますが、これも反対された。反対の中身、一度やると本当に取り返しがつかないという面もあるので慎重にしなければいけないが、そのための議論は重ねているつもりであります。

 だから私の数少ない経験をそのように偏らせることになってはいけないわけでありますけれども、ちょうど今のご質問で思い出すことは今までのそういう経験は、政治の経験でやはり貴重でありますので、一つ一つ慎重にやるというのは、当時もそうでありましたけれども、今もそうであることは変わりはありません。良いことであると思って近鉄の屋根もやりましたけれども、今、あの辺りで、反対された会派の人も演説されたり、集会があったり、待ち合わせ場所に使っておられますので、この高畑についても、景観の内容のほかに、実は荒廃しているということもありますし、保養所というのはプライベートでありますが、あのあたりはプライベートな保養所が今まで別荘として建てられていたが、それをパブリックにしようというのが一つの県の方向であります。パブリックというのは、いろんな人がそこに訪れることができます。奈良公園の一隅になりますというのが設計の基本的な要求でありましたので、その点も理解をしていただきたいと思います。反対される人の理屈によるわけですけれども、そのような分析をいたしますと、理解をしていただきたいなと改めて思う次第です。

関西テレビ:
 同じ件で、反対している皆さんは、法律的にその場所にホテルを建てるのはいいのかという話をされているんですけれども、その点に関して知事はどのようにお考えでしょうか。

知事:
 法律的にも大丈夫だと私は思っています。法律的なことは、どのように違法だとおっしゃっているんですか。

関西テレビ:
 国の名勝地に指定されているということをおっしゃっています。

知事:
 それは大丈夫だと思います。名勝地の指定があれば、手続を経て建てることになりますが、名勝地だといったら何も建てられないということはないと思います。根拠があるかどうかということだと思います。そのすぐに道が離れたところに反対されている方の保養所がある。その区域はそれで分かれているんですが、周り一帯の風情は、こちらは公園に入って、公園に入ってないというだけです。公園の中のほうは規制が厳しいので、規制の厳しいところをしっかりと手続を踏もうというように私は理解をしております。

関西テレビ:
 反対の声がおさまっていくとお考えなのか、反対があるものはしようがないというようにお考えなのか。

知事:
 おさまることを期待しております。どのような方がどのように反対されているのかという、いろんな例を引きました、私の経験の中の例を引きましたが、理解をしていただくと、先ほどの賛成意見にありますように、現場を見て、それが良いか悪いか判断していただくと、世の中の人は間違うことはないと思います。反対意見の多くの方が、現場を見ないような、見ないままの意見が多いように今のところ分析しております。そのような方たちはどのように説得するか、見ていただかないと、見た上での説得ということになろうかと思いますけれども、見に来なさいというような言い方もなかなかできません。今は、署名をウェブで集められる、ホームページで集められるわけですから、そういう意見の意向表明と、またその意見というのは、現実の事象をよく理解した上で述べられるのが意見だと思います。

 世の中一般的にかくあるべしというのは、現実を見なくても意向ということで、私はこういう意向を持っているんだということは、もちろんホームページで同じ意見の方が集うことは往々にあるわけであります。我々行政は、現実のこの事象に対してどういう角度の意見なのかなということを判断しなくてはいけないと思いますので、そういうことは当然続けていきたいと思います。その上で、景観が破壊されるというようなことはありませんとか、自然のムササビが破壊されるということもありません。それから、安っぽい現代建築のホテルではありませんと、意見を一々見ていますと、そのように思う次第です。

 賛成意見を書かれた勇気ある方は、いろいろと反対運動が起こっている現地を、県外の方ですが、見に来ましたというような方もおられるわけですけれども、そういう方は勇気がおありになる。反対のホームページに投書されたわけでありますので、勇気がおありになると思う。やはり世の中いろんな事態を、現実の現場を見ていただくのが何よりだと私は思います。

関西テレビ:
 宿泊者の、ホテルの数が足りないということの解決よりも、ブランド価値の向上というのが主な目的という形でよろしいですか。

知事:
 これまで奈良には上質なホテルがなかったと思います。大きなホテルをこの場所で建てるべきだとは思っておりません。大体大きなホテルだと喧伝されましたけれども、規制上、2階以上建てられないということは申し上げていたわけであります。しかし、そういう報道もあまりなく、ホームページのほうが優先して、大きなホテルを建てるというイメージで反応された方も多かったかなと思います。現実にパースが出てきますと、2階建てでありますし、景観の中で、吉城園もそうですが、森の中に隠れて、全然今と変わらないじゃないかというように私は見えました。パースが、このような建物だということがわかりますと、どかんとしたホテルなんて愚の骨頂だというような意見はなくなっていくのではないかと思います。そのように期待いたします。

 今、ご質問ありましたように、このキャパはそんなに大した部屋数ではないと思いますけれども、このような上質のホテルというのは本当に奈良でなかったわけでありますので、そういうホテルがあるということは、ブランド化のプロセスですけれども、上質な客が来られますと、その人の発信力、口コミ発信力というのはすごいんです。だからその口コミ発信力でブランド化が進んでいくというプロセスを期待しているわけです。


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奈良県の人口減について

日経新聞:
 明後日、総務省が人口統計を発表します。恐らく奈良県は17年連続のマイナスということで、人口減に歯どめがかからないんですけれども、これについてはどうお考えですか。

知事:
 奈良県の人口ですけれども、明治の初めは全国3,000万人のところ、40万人だった。そこから90年後になりますと、全国は1億人を超えたと思いますが、80万人になった。80万人になった後、30年間で60万人増えて、140万人になった。これは大きなところは社会増だと思います。高度経済成長の後、大阪に職を求められて住まわれたけれども、大阪はなかなか住環境が高いし住みにくいということで、大阪の都市の発展形態としては、宝塚とか阪神のほうへ行かれるとともに、近鉄線がキャパシティーが増えたので、生駒山を越えて住居を求められ、80万人の人口が、プラス60万人になったという経緯があります。それで140万人になって、それが減り出したということでありますので、日本全体の人口減より、さらに加速、減速が激しいのが奈良県だと思います。今申し上げたのは、人口増のときの加速が、国全体の中よりも大きかったということです。国全体の人口の割合で、0.07ぐらいだったと思いますけれども、それが増えた時は0.08か9になっていたように思うんですけれども、それがまたもとに戻りかけていると認識をしております。

 奈良の人口減にどう対処するかということですが、ほかの地域よりも厳しい面がありますけれども、それは今申し上げましたように社会増でふえた人口は、一挙に高齢化するということ。ある年齢の人、働き盛りの人が一挙に来られるので、それが一挙に退職して、実は納税が減るという恐怖もありますけれども、高齢化されるので、その高齢者としての医療・介護の手当てが重要になってくるという、ベッドタウン特有の現象が奈良ではとても深刻になってくるという事情があります。それが対策の奈良にとっての大きなこと、高齢化が一挙に加速するので、それに対策が必要なことと思います。

 また一方、国の人口減対策と奈良の人口減と共通しているところがございますのは、それは少子化ということです。高齢化とともに少子化が進むということです。お子様が生まれないということが大きな人口減の自然増の国全体の大きな課題であります。自然増をどう達成するかは、国のとても大きな課題だと思います。奈良県も大きな課題です。合計特殊出生率が全国でも最も低いほうでしたので、その原因は何かなと思ってやってきました。ところが、27年の調査では、22年国調から27年国調の伸び率だったと思いますけれども、その合計特殊出生率の伸びが全国の倍あった。今全体で1.4ぐらいですか、それが、奈良県は伸びが0.07、8ポイント程度あった。全体の伸びは0.03、4ポイント程度だった。伸びが倍だった。伸びだけ倍で、ランクはまだ下のほうなんですが、なぜこの期間伸びたんだろうかということを分析しています。奈良でも出生率を上げるのに何かやればできるのではないかといって職員を励ましているところです。

 そのヒントで、まだ確たる実証は進んでおりませんけれども、ヒントになるものはいろいろ分かってきています。結局お子さんを増やしてもらうには、結婚していただいて、出産をして、晩婚・晩産よりも早目の結婚、早目の出産をする、そうすると、第2子、第3子が続くということがわかってきております。早目の結婚をしていただくためには、何といっても若者の雇用と思います。ジョブ・クリエーションということでありますが、若者の就業を促進しようということで、今まで経済活性化のために企業誘致をしておりましたが、これはやはり最も大事かなということが一つのヒントです。

 企業誘致をして、立地件数は10年間伸びてきておりますので、その影響が、若者の雇用と、子育て環境、保育所とか幼稚園、就学前教育の環境だと思います。奈良は割と教育の熱心な県ですので、割と教育環境はいいように思っておりますけれども、子育て環境はそれとまたさらに違う面がありますので、就学前の保育、幼稚園の教育ということになりますが、これも保育所に行けないという量的なものとともに、質も大事かなと私は思いますので、就学前教育の質というのはお子様を産んでいただくのに大事な環境かと思います。

 最初の若者の就職は経済的な面だと思いますが、あとの子育ては、子育ての質を充実していかなければいけない。日本全体がそのようなことを取り組んでいけば、外国の例を見ても出生率が上がってくる可能性はあろうかと思いますので、労働力が不足するのに外国人労働力を招くのか、内在的な内国労働力で頑張るのかという選択があると思いますが、日本人のメンタリティーとして、内国労働力で頑張るだけ頑張ろうと思っておられる方が多いように思いますので、外国の労働力も随時入れようかということはあろうかと思いますけれども、奈良県も同じパターンで、出生率を上げて、子育て環境を良くして、高齢者の割合がベッドタウンで増えてまいりますが、それに若い世代が定着するように、若者が高校を出ると進学、就職で随分出ていかれますので、それを止めるということは大きな課題です。ほかの県よりも、より深刻で重要な課題だと思っておりますので、国の方向と県の特殊な立場の施策ということを大事なポイントと認識して、進めたいと思っております。

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県立明日香養護学校敷地内の小山田遺跡について

朝日新聞:
 文化財の件についてお伺いしたいと思います。3月に県立明日香養護学校で、小山田遺跡が古墳であるということがわかって、飛鳥時代の最大級の方墳となったということで、それについて率直なご感想と評価をいただきたい。もう一つは、古墳の現地保存のために、かつての記者会見の中で明日香養護学校を県立医大跡地に移転する案を検討するという話も出ていたと伺っています。その考え方にお変わりがないのかということと、ほかに移転案があるのかという、2点お伺いします。

知事:
 遺跡はいろんな種類の遺跡がありますけれども、古墳、中の石棺の部分もありますし、古墳全体、もう少し広い古墳というものもありますが、奈良県はとても豊富な古墳地帯でありますので、大事な文化資源、文化財だというように思っています。古墳以外の寺社等の遺跡も大事なんですけれども、遺跡の発掘をできるだけして、仕分けをして、全部現物保存というわけにいかないので、記録保存もとても大事な保存の仕方でありますので、その中で現物保存、現地保存をするものを、現物保存と現地保存、多少違う面もありますけれども、保存に努めたいと思います。どういうものかということを、さらに学問が進めばいいなと思います。これは誰の古墳だ、どういう時代の古墳だ、何のための古墳だというようなことが、古墳から歴史がわかるということが進めばいいなというように思います。

 その中で、今、小山田遺跡、古墳が明日香養護学校の下にあった、どうしてこんなところに養護学校をつくったんだと、こんな大事なものがあるのをわかっていたのではないかと今言ってるんですけれども、幸いにもといいますか、養護学校は大変古くなってきています。だから建てかえなければいけないという時期でもありますので、養護学校の建てかえは、現地建てかえをしないで、移設建てかえをしたらどうかということを職員に言っております。移設建てかえの移設場所はどこがいいんだろうかということを、先ほど医療の近い県立医大の学校が移るあたりはまだ地面がありますので、そのあたりはどうかということを一つの候補として私から職員に示唆したことはありますけれども、まだもちろん決まっておりませんけれども、それも一つの候補だと私自身は思っております。だから、移設建てかえということを実現したいなという気持ちには変わりはありません。

 その後の古墳の保存の仕方は、もう少し進んで、現地保存か現物保存か記録保存かというのはよく検証してもらわないといけないと思いますが、周りの環境との折り合いになると思いますけれども、大事な古墳であれば、現物、現地の保存ということも十分考えなければいけないと思っております。遺跡の保存の仕方は、その内容に応じて分別されるべきものだと思いますので、文化財保存課という、これは行政ですけれども、やっぱり橿原考古学研究所が随分能力ありますので、橿原考古学研究所に十分検討してくださいということをお願いしている次第であります。

 ほかもたくさんありますので、楽しみといえば楽しみなんです。力が要りますというのは、お金と人力が要りますので、結構大変なんですけども、上に都市計画で開発して埋められてしまうと、建物なんかで押さえられてしまうと、民間の建物の開発があるともうとてもひっぺがすことはできませんので、元興寺とか大安寺とか奈良市にある大寺の跡はもうちょっと難しい。例えば教育大学の校庭の中で新薬師寺の境内遺跡というのが一部発見されましたが、全部めくるかというと、なかなか難しいと思いますが、めくってみたいなとは思ったりもしますが、現地の様子を見ながら、大事だということだけはしっかりと認識していきたいと思っています。

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奈良公園の鹿の餌づけの問題について

NHK:
 奈良公園の話で、奈良を象徴する鹿の問題、鹿の餌づけの問題なんですが、今、観光客にいろんなものを餌として与えられたり、地元の人にもらったりして、鹿が体調を崩したり、病気になったり、そんな話もある中で、餌づけの規制という動きがあって、その今後の道筋と、知事自身の鹿への思いをあわせてお聞かせください。

知事:
 一部新聞に、鹿せんべいしかだめだと、条例改正という記事が出ました。今の状況をご報告申し上げますと、条例化を検討した経緯はありません。一方、奈良の鹿がいろんなものを食べている、これは鹿の生態として良くないという話は、かねてから議論の対象にしています。どうすればいいのかということになりますが、まだ、では何を食べて困るのかということになるわけですけれども、一つは、菓子とかパンを食べると、鹿がおなかを壊すと、体が悪くなる。あるいは、食べ物が変わってくると嗜好が変わって、鹿せんべいしか食べてはいけないというわけではないんですが、他のおねだりをするのではないか。お菓子を持っていて、鹿せんべいを持っていたら、お菓子の方へつっつきに来るかもしれない、鹿も賢いところがありますので、といったような心配があるように聞いております。

 それから、ドングリですが、彼らはあるものを食べて、何でも食べますけれども、ドングリは、奈良新聞に出ましたが、それ自身は悪くないということなんですが、ドングリを外から持ち込まれる方があるように聞きます。そういたしますと、ドングリの中にほかの菌や余計なものがまざっており、それが鹿のふんになって、違う生態系を展開するということを生態学者の人は心配されているということでありますので、奈良公園に適したドングリというのはどんなふうに考えられるのかわかりませんが、生態が場所を移動すると生態系に変化を与えますので、ある面いい変化であればいいんですが、樹木でも餌から生態に入って、ふんでいろんな生態を悪くする変化があると、いっときは必ず変化がありますので、それを心配しているということが2つ目であります。

 もう一つは、キャベツなどが与えられますが、キャベツの残りとかご家庭からでも与えられますけれども、何かおいしく思うと、どういうわけかキャベツ畑を探して食べに行くんだそうです。この近くでキャベツを植えていた方があって、キャベツがちゃんと食べられるようになると鹿が出てくるんだと、こう言っておられましたので、やはりおいしくなりそうなものがどこかでわかる、その3つが餌の与え方で心配だというふうに聞きました。

 さて、ではどのようにすればいいのかということでありますので、何がよくて何が悪いのかという、その理由を分析していかなければいけない。条例化などは、まだ先の先ぐらいの話かと思いますので、その分析、今申し上げましたようなことは割と話題になって議論しておりますが、さてどうすればいいか。お客様が増えて、しかも外国からのお客様が増えて、持ってこられたお菓子をあげて帰ろうと言われる方も増えるかもしれませんので、さてどんなふうに観光客の方と鹿とのフレンドシップを確立していただくのかということが課題であると思います。

 ほかの地域の勉強もするようにと、この記事が出た後の報告でありますけれども、猿についての餌づけの禁止条例をされている市もあるようでございますので、他ではどんなふうな行為あるいは物を対象にしてされているのか、猿と鹿とは違いますけれども、勉強はするようにと指示をしましたけれども、今おっしゃいましたように、何が困ったもので、どうすればいいのかということをまず正確な認識をして、ではどのようにすればいいのか。

 条例については、私のところまで条例としたらどうかという報告も来ておりませんし、検討した経緯はないんですけれども、先の先であるかもしれませんけれども、その前に、奈良公園に来られる方と鹿との、餌の与え方と食べてもらい方の友好提携協定ができればいいなと思います。

NHK:
 鹿は、外国人が、ものすごい喜んで、それ目当てに来る人もいるぐらいですが、知事は鹿のことをどのぐらい大事に思っているんですか。

知事:
 大事だと思います。こう言っては皮肉に聞こえますが、奈良の旅館の愛想がないのを鹿がカバーしてくれているのかなと思います。サービス精神、餌を欲しいための挨拶ですが、それだって自然に愛嬌になっていますので、同じように人間もぺこんぺこんすれば、いい観光地になるのかなと思います。おもてなしの気持ちが出れば、観光地も雰囲気、この観光地は歓迎の意が強いなというように感じていただけると思います。

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鹿の管理計画における餌づけ規制について

朝日新聞:
 それに関連して、A地区、B地区、C地区、D地区で鹿の管理計画というものがあります。その計画にも、餌をやることを規制の方向で進めるということで、A地区のほうでは上がっているようです。紙面を読むと方針を固めてやっているように見えるんですが、そういうものは全く検討もないですか。

知事:
 まだ、この鹿の問題は、むしろ報道を見て、ああ、こういうことを検討しているのかというような状況です。余り目の前で鹿、鹿と検討をしてないですが、課題はいろいろあります。関係者の人が心配して、奈良公園事務所や奈良公園室に来ているように聞いておりますが、多分方向性がなかなか出ないので、私のところに、こういうようにしたいがどうかというところまでの煮詰まった案が来ていないのかなというように思っています。

 今おっしゃいましたA地区、B地区、C地区でいろいろな、特に離れたところは鳥獣害と同じ被害が発生して困っておられる方がたくさんおられる。奈良公園の鹿というのは、どこまで奈良公園の鹿と言うのかという課題もありますので、そういたしますとなかなか難しい課題のように、生態系とどう折り合うかというのはものすごく大事なことでありますので、生態との折り合いというのは観光政策とまた違う大事な点のように私は思っておりますので、その点は少し、科学的なアプローチがうまくできればということですけれども、鳥獣害被害というものが今、社会的な事象として先行していますので、奈良公園は割とその点はまだ、鹿せんべいということでむしろそちらのほうへ流れていっているような気がしますが、少し離れると問題があることは認識しております。それをどのように、先ほどのご質問の、奈良公園内の鹿の餌づけと、外の餌づけというのは、なかなか難しいと思っておりますけれども、大事な課題だと思います。議論を進めたいと思います。

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監査委員制度の改革について

奈良新聞:
 1つは、2月の県議会でも話題にもなりましたが、地方自治法の改正ということも伴っているようですけれども、監査委員制度のことで、県は今度条例化もして、監査委員の充実ということで、知事からの方向だと思うんですけれども、まだ議論の余地というか残っているようなので、その監査委員制度の改革ということについて、議会の選出をどうするかこうするかという問題も地方自治法上あるようですけれども、理想的にというか、どういうようにまだこれを改革していくべきかみたいなことで、お話を聞かせていただければ。

知事:
 監査委員は、今ご質問ありましたように、議員監査委員と識見監査委員のうち、常勤監査委員をふやせるということを条例で提案して、それと会計検査院の現役の局長が奈良県の監査委員に来て、これは各地でめったにないことで、斎藤さんという方に来ていただきまして、この前、辞令を渡しましたが、とっても立派な方で本当に喜びました、ああ、こんな立派な方が来ていただいてというので。斎藤さんに辞令時にお願いいたしましたのは、監査制度というのはとても大事だと私は思っているので、県の監査だけじゃなしに、市町村の監査マインドを増すことを含めて活躍してくださいといったようなお願いをしました。

 監査制度というのは、ガバナンスの形として外部の目を行き渡らせようと。外部の目を、透明性と客観性を増そうという一連の流れで、地方自治法だけじゃなしに、社福法、社会福祉法のガバナンスの評議員会を必置にするとか、NHKでは経営委員会という独立した大きな権限のある組織があるとか、というのは株主ガバナンスじゃない、公益法人のガバナンスというのはとても大事な制度で、そのガバナンスの一環として監査という意味があって、監査の意味は、合規性だけじゃなしに、経済性、効果性といったような広い監査マインドを持つことが今のはやりになってきておりますので、地方自治法の改正もその流れに乗ったものだというように思いますので、それはいい方向で、大事な流れだというように思いますので、監査、それを先取りしたような形で条例改正をお願いした。

 議会では、地方自治法の改正を待てばいいじゃないかという議論がありまして、しかし、こういうようなことは早くやっちゃいけないということはないでしょうということでお願いして、条例を通していただいた経緯があります。

 その待てばいいじゃないかという地方自治法の内容でのポイントは、議員監査委員をどうするかということが一つ大きな点だったと思います。議会は監査の館でありますので、議会として監査をすればいいのではないか。監査委員という役職につかなくてもいいんじゃないかというのが地方自治法改正の趣旨のように思いますし、申し上げにくい面ではありますが、議員が監査委員になりますと、監査委員の報酬が出るわけですね、非常勤でありますけれども。それでというわけじゃないですけども、むしろ議員としての本来の役目というのが監査というのは、議会にあるんじゃないですかという。議会の決算委員会というのもありますので、監査の資料をちゃんと出せよというのは、議会の請求権もありますので、議会の監査機能を強化したらどうかというのは本筋の議論として前からあったのが、地方自治法の改正案として提案されており、法案が成立すると今度は議員監査委員というのはやめるかどうかという現実の問題が発生してきて、それが今、おっしゃったポイントだと思いますけれども、これは来年に予定している地方自治法改正の施行があったときまでに議論を詰めていかなきゃいけないというように思います。

 私のほうから、議員監査委員は要らないということをなかなか言う立場にはないように思います。調整が要ると思いますけれども、監査制度というのは大事だというのと、議会の監査の監査能力の充実というのには理事者側として協力していかなければいけないというように思っております。監査委員の中で立場を得られないと監査できないのかというと、それはちょっと困るので、本来の議会監査ということを充実させるというのが本来の方向じゃないかと。今の総論的な意見としては、そのように思っております。具体的には、これからしばらく議会との議論を進めるという形になると思います。

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教育勅語についての知事の考え

奈良新聞:
 もう1点は、最近話題になったりしています、例えば教科書で、パン屋さんは良いけれども、和菓子屋さんに変えたら等出ていました。教育勅語という話が最近よく出てきますけれども、教育勅語が表に出てくるということに関して、教育勅語そのものに関して何かご感想、思い、考え方はありますか。

知事:
 教育勅語自体は立派な勅語だったと思います。それまでの徳川時代の教育というのは身分制に基づく教育で、これも立派なものだったと思いますが、農民の教育、二宮尊徳のような教育、町人に対する石田梅岩のような教育、それから侍の朱子学、藩校の教育、寺子屋という形で村落の教育が生き残っていました。それが明治時代になり、身分制を外したときの教育をどうするということになりました。国民教育ということになりますが、国民教育がいまだに根を生やしてないように私は思っております。

 そのときに意欲のある国民教育、身分制をなくした四民平等の教育をしようというので教育勅語が発せられたように私は理解していますが、それは大変歴史的意義があったと思います。ただ、教育勅語をその後大変かたくなに利用して戦争まで行った面もあると思いますので、その歴史的な文脈の中で言えば、明治の初志を、教育勅語が出た環境をどのように考えて、今、意味をどのように考えるかというと、間のその環境で国家神道を彷彿とさせるようなことを復興でするということは、これは時代錯誤じゃないかと思います。今の教育は、教育振興大綱を県知事が作って良いという、国家教育から、それぞれ地域でも知恵を絞りなさいというのは、大変意義のあることだと私は思います。

 昔の藩校は、殿様が本当に侍教育に力を入れたわけでありますので、その地域なり学校が建学の精神を持つほうが、国家の指導のもとに教育を振興させるよりもはるかにいい形ではないかというように思います。教育勅語の歴史的な位置からすれば、身分制のもとから四民平等に入った教育という意味はよかったが、国家主導の教育体制ということを強調した面が否めませんので、それは今、時代はそちらのほうに向いていないのではないかと思います。地域、地域で、あるいは学校、学校で、教育・建学の精神を練りなさい、それが日本の教育を振興する一番大事な点だといったことに、私は論として賛成するものです。

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衆議院小選挙区の区割りについて

日経新聞:
 衆議院選挙の区割りで3区を南北に二分する案が有力なんですが、この点については今どのように思われますか。

知事:
 衆議院の区割りは、区割り審の発表が近々あるように聞いております。それを待つしかないわけでありますけれども、奈良は減1区だということは決まっておりますので、分割をされ、また併合されるということになると思いますので、4が3になるときは、どこが分割されて、どこに何がくっつくのかということが区割りのポイント。区割りの考え方として、人口の有権者のおおむね3等分になるようにと、余り格差が出ないようにというのと、有権者の方が誰をこの地域の代表にするかという、地域がある程度まとまっていないと誰に陳情するのかと、この地域の衆議院の先生は誰に陳情するのかという密接な、身近な関心がありますので、それに対して一度知事は意見を言うことはありましたが、その内容は今後区割り審のほうで発表されることになると思いますので、控えるようにと、こう言われておりますが、そう大した意見は言った覚えはありませんが、原則がありますので、その原則に従って区割り審が知恵を絞られているように思いますので、昔言われたゲリマンダーのように、俺の選挙区はこちらとこちらだという政治家ももういないと思いますので、区割り審で理屈の立つように設定されるように思っております。

 その内容は、3区を分割という記事は出たように読みましたが、そうなるのかどうかよくわかりません。感想としてもよくわかりません。人口の割合が3分の1ずつに近いようになっていないといけないということは一つ確かですので、すると大きな市はどちらに行くのかで随分違ってくると思います。それ以上なかなか申し上げにくいと思っております。

司会:
 ほかにありませんでしょうか。
 幹事者様、よろしいですか。
 それでは、これで知事定例記者会見を終了させていただきます。ありがとうございました。

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(発言内容については、読みやすくするために、広報広聴課で編集しています。)

お問い合せ先: 奈良県広報広聴課 報道係 TEL 0742-27-8325 hodo@office.pref.nara.lg.jp

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