平成30年2月21日(水) 平成30年度奈良県当初予算案・平成29年度2月補正予算案記者会見

司会:
 おはようございます。
 それでは、ただいまより平成30年度奈良県当初予算案及び平成29年度2月補正予算案に係ります記者会見を始めさせていただきます。

 まず、荒井知事より、平成30年度奈良県当初予算案等につきまして発表いただきます。その後、記者の皆様からご質問いただきたいと存じます。

 それでは、荒井知事、よろしくお願いいたします。


平成30年度奈良県当初予算案・平成29年度2月補正予算案(資料はこちらをご覧ください)

知事:
 それでは、時間も限られていますので、お手元のこのA3判の資料がございますが、それに従いましてご説明申し上げます。

 1ページ目を開いてください。県政に当たっての考え方でございます。いつも言っていることを書いてございますが、将来の奈良県の礎を築く予算にしたいという、シーズ的な予算も入れ込んだつもりですと書いてございます。それから、2パラから4パラは今まで言っていたことでございますが、4パラ目のリニア中央新幹線の全線開業は20年後でございますので、それに向けた戦略的観光施策を実行するということを特記しております。それから、次のパラが、奈良モデルが進展しており、それにも力を入れるというようなことを書いてございます。

 2ページ目をお開きください。予算のフレームでございますが、左に額が書いてありますが、5,067億円の規模でございます。その内容について右にポイントのコメントがございます。まず、歳入につきまして県税が1,224億円で、前年に比べて79億円の増でございます。その下の地方消費税清算金は450億円でございますが、前年に比べて55億円増となっております。そのうち清算基準の見直しの増収額は36.7億円でございます。半分を市町村に交付するということでございます。

 交付税と臨財債の合計額でございますが、県税等が増加すると増加分の75%が減るということでございますので、49億円の減少ということでございます。以上が、歳入の特徴でございます。

 歳出ですが、人件費など義務的経費でございますが、2,519億円で、76億円の増でございます。うち人件費は17億円の減ということでございます。もう一つは、公債費ですが、93億円プラスと書いてますが、県債管理基金からの繰入金を財源に臨財債を100億円繰り上げ償還するということをいたしますので、その分の増加というのが額的に大きなインパクトがあるということでございます。

 投資的経費ですが、751億円で、133億円の増でございます。その要因でございますが、主要プロジェクトの支出が山場を迎えるという面がございますが、もう一つ、名目的な増加でございますが、国営農業用水再編対策事業の完了に伴い、受益者負担金が市町村などから返ってきて、それを国に支払う通過予算が53億円あるというのがございます。それから、災害復旧事業費が43億円プラスの要素がございます。

 一般施策経費は1,797億円で、78億円の増でございます。これには、先ほどの観光プロモーションあるいは教育予算の充実がございますが、最後の行にございますように、もう一つの通り抜け予算の要素として県税収入の増加を反映して、県税交付金は70億円増加するというのがございます。

 3ページ目をお開きください。収支調整が毎年要るわけでございますが、一般財源ベースでの歳入が3,282億円で、うち地方交付税と臨時財政対策債の合計額が1,770億円ということでございます。一方、一般財源を充てる歳出が3,302億円になっております。その差額が20億円となっておりますので、財政調整の目的でつくられております財政調整基金の残高が235億円ありますので、それを取り崩して充てたいと思っております。時系列的な特徴では、県税が過去10年間で一番多くなって、1,224億円ということでございます。

 4ページ目をお開きください。県債残高でございますが、27年度から少しずつ減少をさせてまいりましたが、30年度は208億円の減少の見込みでございます。その中では臨財債の100億円の繰り上げ償還というのも大きなインパクトになっております。一方、県民の直接の将来負担になります交付税措置のない県債残高の減少にも努めてまいりました。10年前の4,580億円から3,742億円と、838億円10年間で減らしてまいりました。これは将来の県税収入で負担するものでございますので、県税収入との比率をずっと一つの目標指標にしておりました。平成23年、24年が4倍を超えておりましたので、これを4倍にしようと思っておりましたが、それがどんどん減り、県税が少しふえた面もありまして、来年度は3.1倍の見込みでございます。このような状況を堅持していきたいと思っております。

 続いて取組の主な項目でございます。5ページ目でございますが、8項目に分けております。「住んで良し」「働いて良し」「訪れて良し」の3項目をさらに項目を細かくしたということでございます。6ページ目でございますが、健康寿命日本一の分野でございます。7ページ目ですが、健康寿命を延ばす計画をこのように予算的にもまとめたものです。健康寿命を延ばす歯車を右回りで真ん中に置いておりますが、健康づくりには左回り、時計と逆回りの歯車が幾つも必要だという認識を図示しております。黄色の部分が健康増進で、水色の部分が医療部分、それから紫色が介護部分の健康増進要素ということで、それぞれKPIを決めて実行しようという体系になっております。

 8ページ目でございますが、健康と関係いたしますが、スポーツ施設のあり方と、まほろば健康パークの検討プロジェクト。スポーツ施設は国民体育大会がしばらく先ではありますが、第2回目が回ってまいる予定でございますので、それを見据えた中長期的なスポーツ施設のあり方を来年度予算で検討しようということでございます。まほろば健康パークは、県のスイムピアをつくった場所でございますが、まだ空き地がございますので、その空き地を利用した運動公園としての機能強化を検討するという予算でございます。

 9ページ目でございますが、新奈良県総合医療センターが5月に移転をいたします。30年度の予算として医療機器の整備予算が36億4,900万円計上されております。総合医療センター全体といたしましては、約420億円の整備費になっております。

 10ページ目でございますが、新しく気合を入れて取り組もうという項目で、医療の見える化を徹底しようというものでございます。地域医療構想が具体的にはいろいろ進展しておりますが、それを実現するためにも医療の実績を見える化して、病院の方々に、それを見ていただき、どのような診療をすればその病院がはやるのか、地域にとっていいのかということを判断してもらうための資料をつくろうということでございます。その中で、断らない病院というのは県立病院を中心に整備をしてまいりましたが、300床前後の中小病院については、どちらかといえば面倒見のいい病院にしてもらったらウインウインで連携の関係になるだろうという考えでございます。

 右のほうは、がん診療の見える化でございます。がんの死亡率が奈良県は10年間で日本で一番削減された県になっておりますが、がんの診療、死亡率の低下にさらに力を入れようということでございます。11ページ目でございます。国民健康保険の県単位化は全国で行われますが、奈良県でも市町村ごとの運営から県単位での運営になります。県内どこに住んでも同じ所得、世帯構成であれば保険料は同じという、負担の公平化を目指すという試みでございますが、国からの交付金などを利用いたしまして激変緩和の予算などを計上しております。

 12ページ目は、今まで特記いたしました項目をこのようなカテゴリー別に再掲、またその他のものを追加掲載しておるものでございます。13ページ目も同じ資料でございます。14ページ目に参りますが、安全・安心の暮らしづくりの項目でございます。15ページ目でございますが、未就学児の医療費助成、31年8月から現物給付方式の導入をすることにしておりますが、そのために市町村のシステムを改良するための県の支援予算でございます。右のほうが、病児保育の必要性がございますので、奈良市、香芝市の新設病児保育施設のための予算でございます。

 16ページ目でございます。県産材を提供しておいしい食事を色々なところで提供しようというプログラムを続けておりますが、それをまとめたものでございます。学校給食への支援、子ども食堂への支援、病院・介護施設への普及、また県全体への普及ということで、県産食材をなるべく使っていただいて、おいしい食事を提供しようという試みの予算をまとめたものでございます。

 17ページ目は防災・減災対策でございます。広域防災拠点が県としてございませんので、それを自衛隊駐屯地誘致とあわせて同じ場所につくろうという運動をしておりますが、そのための予算でございます。陸上自衛隊誘致については引き続き努力したいと思います。

 それから、防災・減災のインフラ整備でございますが、大和川流域の総合治水対策、脆弱ですので、国にやっていただいております直轄遊水地整備とあわせて、内水対策を徹底していこうということ、土砂災害対策として、レッドゾーンを確認して危ないところを避けるというようなための予算をまとめた資料でございます。

 18ページ目でございますが、なら四季彩の庭づくりです。四季彩の庭が54ございます。10年、20年と時間かかりますが、だんだんきれいにしようというものです。奈良公園も54のうちの1つの庭ということになっております。19ページ目は、この分野での予算項目をまとめたものでございます。20ページ目も同じようにまとめたものでございます。

 21ページ目は、経済の好循環ということでございます。22ページ目をお開きください。企業誘致が大変進んでおりますが、産業用地の確保が必要になってきておりますので、そのための予算ということでございます。御所の産業集積、なかなか最後の用地買収がもう一息というところでございます。京奈和自動車道、西名阪自動車道周辺の工業用地創出、市町村と一体になって工業ゾーンをつくるとともにその買収した農地の代替として特定農業振興ゾーンをつくって、その近所で農業振興を図るプロジェクトでございます。

 23ページ目でございますが、販路拡大の努力を何年か続けておりますが、海外への販路拡大に引き続き取り組む中で、ジェトロの奈良県事務所が誘致できることになりましたので、その予算を計上しております。それから、国内につきましては、様々なグッズ、また食、木材などの販路拡大のプロモーションを引き続きしていきたいと思っております。

 24ページ目でございますが、研究開発支援は大事ですし、大きな事業所が奈良県にはございませんので、県も細々ではありますが、研究開発への支援に力を入れていきたいと思います。新しい項目として、奈良県では研究組織が6つありますが、それを組織統合ではなく、統合本部をつくって連携統合しようということを開始したいと思います。

 右下ですが、研究開発の金融支援は制度融資の中でございませんでしたので、このたび貸付枠を設けて研究支援の制度融資を新設したいと思っております。

 25ページ目でございますが、離職者の再就職支援でございます。右ですが、離職者には、このように高卒離職者等々種類がございます。その特性に応じて個別の支援を心がけようということでございます。左は再就職支援の窓口を充実しようということでございます。ハローワークが県庁でもできるようになりましたので、離職者が奈良県だけではありませんが多いので、離職者支援に力を入れていきたいということから関連予算をまとめたページでございます。

 26ページ目でございます。民間事業所でも言われておりますが、まず県職員の働き方改革を推進しようと取り組んでおりますが、そのメニューを上げたものでございます。パーソネルマネジメントということで数年来やってきておりますが、まとめますと、多様な働き方、また超過勤務の縮減、またアウトソーシング、定型的業務はできるだけ外部委託しようということを進めておりますが、そのための予算。またメンタルヘルス対策を徹底しようという予算。それから、教職員の働き方改革にも取り組もうということで、部活指導の負担を減らそうというもの、県立医大の働き方改革など、県職員の周辺も含めた働き方改革を推進する予算をまとめて提示しております。

 27ページ目でございます。地方消費税の清算金が増になりますが、それを使い、教育予算を充実させようということでございます。清算金の増加は全て教育に使い、従来からの課題であります空調設置、また耐震化、私学の授業料の軽減、またその他の教育にかかる新規の取組など、教育予算を充実させようというものです。それから、市町村の取組に対しては、市町村振興基金の貸し付けで後押ししたいというプログラムです。

 28ページ目でございますが、県立大学には頑張っていただいておりますが、施設整備の面でクラブハウスとコモンズ棟を新設する予算を計上しております。

 29ページ目は、この分野での予算項目をまとめたものでございます。30ページ目も同じ資料でございます。

 31ページ目でございますが、農畜水産業、林業の分野でございます。32ページをお開きください。農業の担い手対策といたしまして、かねてからの懸案でございますが、ノウハウの取得、農地の確保、経済的支援などのメニューをそろえて、段階を踏んで対策をしようと、体系化をして提示しております。NAFICで若い担い手が奈良県でも出始めております。若い担い手さんに、農業経営に定着してもらうための支援メニューを体系化したものでございます。

 33ページ目でございます。NAFICは学校、レストラン、オーベルジュという組み合わせでございますが、周辺の土地がございますので、NAFICの一段上の土地で国補正予算を活用してセミナーハウスをつくろうという予算でございます。セミナーハウスとオーベルジュ、レストラン、学校と相性がいいという面でございます。さらにその上と下に利用可能地がございますので、下の銘木協同組合との間の土地には、農と林の直売所を桜井市と共同してつくることを、一番上は漢方・薬草をテーマとした集客施設を誘致することを目指した基本計画をつくる予算も計上しております。

 34ページ目でございますが、食の拠点としての中央卸売市場の整備です。左の下の図にありますが、中央卸売市場は、築40年たっており、大変古くなってきております。その更新という面もございますが、卸売機能がどちらかというと縮小している面と、機能の高性能化を求められているという面もございます。敷地はそのような新しい卸売機能を入れるには大変広いので、目指すべき姿に書いていますが、BtoBの卸売機能の効率化・高性能化を図るというのと、BtoCを新しく入れ、県民や観光客が訪れる華やかでにぎわいのある食の拠点づくりを目指した施設整備を行いたいと思っております。EATALY(イータリー)という、ニューヨークで大変はやっております食と食材と学びという、ファリネッティという人のコンセプトですが、それをまねて、この中央卸売市場のBtoC機能を充実させたいということです。民間活力を導入できるように、PFI事業で進められるように研究したいと考えており、そのための基本計画をつくる予算でございます。基本構想は、この2月議会に報告をしたいと思っております。

 35ページ目ですが、県産材の販路拡大のプロジェクトでございます。右の4、5、6は、今までやってきておりまして大変効果がございました。これを引き続き、続けるとともに、新たな利活用ということで、奈良の木を使ったイベント用施設、つまりムジークフェストなどのイベントで建てたものを翌年も再利用できる木の施設、日本には余りなく、ドイツにございますが、そのような施設の検討予算です。それから、県産杉材を使ったバイオリン、東京藝大に使ってもらうように交渉を始めておりますが、チェロのようなものも吉野スギでつくれないかというための予算です。一番左は家具等の職人養成の支援をしたいというものでございます。

 36ページ目でございます。新たな森林環境管理の体制の推進ということで、スイスの森林環境管理制度を見習って、和歌山県、三重県と連携をして合同の条例をつくれないかという検討を始めております。そのような検討を30年度にできるだけ完結するための予算でございます。37ページ目は、今まで申し上げましたような事項やほかの項目を整理したものでございます。

 38ページ目以降、観光でございます。39ページをお開きください。39ページ目は、最初の取組のところで特記いたしておりましたが、20年後、リニア中央新幹線の「奈良市附近」駅設置ということが確実になってまいりましたので、それを見据えた奈良県のインバウンド観光戦略20年ビジョンをつくり、開始したいと思います。「泊まる奈良」では、なるべく上質なホテルが必要ですが、量的にも奈良県のホテル客室数は本当に少なく、なかなか増えないですけれども、良質なものが増えると中質なものも増えるという傾向がございますので、引き続き質と量の充実を推進したいと思います。また、民泊でございますが、宿泊施設の少ない奈良県では、民泊も助けになりますので、そのための対応予算でございます。(2)は、滞在環境、基本インフラの整備でございますが、Wi-Fiや、案内、バリアフリーなどいろいろございますが、アメニティーもおくれている観光地ですので、引き続き力を入れていきたいと思います。

 それから、(3)の食の魅力向上ですが、NAFICや、「ときのもり」など、色々な手を打つ中で、民間の人がいいレストランを奈良で展開していただいているということもあり、ありがたいことだと思っております。この分野にも力入れていきたいと思います。

 40ページをお開きください。奈良の弱点である移動・周遊環境でございますが、この20年戦略の中でポイントを見つけ出して、効率的なアクセス体系の整備をしたいと思います。また、リニア中央新幹線「奈良市附近」駅についてどのようなコンセプトの周辺整備や駅活用をするかといった検討予算も計上しております。それから、歴史文化の保存活用、観光のアトラクションという奈良の一つの売りでございますが、国際芸術家村の施設もそのような歴史文化資源を活用した観光施設という面もございますので、ここに記載しております。

 それから、アミューズメントと書いてございますが、イベントも大事で、温泉とか定番がない奈良県においては、イベントをつくって新しい魅力を創設するというものです。先日、デービット・アトキンソン氏が言っていましたが、とにかくつくらなければだめだということです。右はプロモーションですが、ジャポニスムへの出展、ギメ美術館への仏像の出展などは新しい項目でございます。また、コンベンション施設が3年後にできますので、MICEの誘致も開始したいというもの。奈良は国際性というのが一番抜きん出ている歴史がございますので、東アジア地方会合も続けて開催したい。それから、人材育成ですが、アメニティーとも結びつきますが、そのような予算も充実したいということです。

 41ページ目は、ジャポニスム2018のプロモーションでございます。公式企画への出展として、おん祭りの出展、河瀬直美さんの映画と連携した奈良の紹介、それから奈良の伝統工芸の紹介があり、そのほか伝統文化の紹介などを、実行したいと思っております。

 42ページ目は、一部ジャポニスム2018と関係いたしますが、仏像の海外展示でございます。ギメ美術館はジャポニスム2018と連携して、来年の1月に出展をいたします。大英博物館については、来年の10月から20点程度、国宝・重文を出展していただく予定です。奈良県にとって、あるいは奈良の仏像にとって、大変珍しいことでございますので、インパクトがあることを期待しております。

 43ページ目は、大宮通りの新ホテル・交流拠点の整備でございます。奈良県が主体的にやっておりますのはコンベンション施設などでございますが、ホテルも着工しましたし、NHKも間もなく着工されるように聞いております。2020年春のまち開きを目指した工事の予算です。これから工事・事業としては山場になってくるということでございます。

 44ページ目ですが、奈良公園とその周辺の魅力向上ということで、吉城園、高畑の整備でございます。書いてございますように土塀の修景、また庭園、築地塀、茶屋等の整備は、県が行います。その他の施設は調和を保った上で指定された交渉権者が整備をするということで進めたいと思います。

 45ページ目でございますが、今、工事が進んでおります(仮称)登大路バスターミナルは、30年度末、約1年後の開業を目指しています。その予算を24億円程度計上しております。

 46ページ目は、奈良市の北にあります旧奈良監獄の活用でございます。法務省の施設ですが、コンセッション制度を活用して重要文化財に指定されました旧奈良監獄の保存とホテルへの活用というプログラムが進んでおります。周辺整備などを奈良市と県がすることを協定上、約束をしておりますので、その支援の予算を計上しています。

 47ページ目でございますが、平城宮跡周辺です。この3月24日に朱雀門ひろばが開園いたします。国の施設もございますが、朱雀門大路西側地区と呼んでいる施設が開園いたします。また、新たに東側地区の事業化が認められましたので、東側地区の利用検討の予算も新たに計上しております。また、西側地区は指定管理になりますので、そのための予算を計上しております。また、イベントの展開場所にもなりますので、従来から続けておりますお祭りの予算もあわせて計上したものでございます。

 48ページ目を見ていただきますと、平城宮跡の南側、今、積水化学の工場でございますが、撤退をして建て売り住宅を建てるという構想が伝わってまいり、それが入ると全く開発ができなくなりますので、積水化学と折衝いたしました。その結果、県の意向に従って跡地活用については協働で検討してもよいという返事でございました。また、このような予算を計上して発表することについても内諾を得ております。積水化学と奈良市と、できれば近い将来、開発の協力協定を結んで、跡地開発・活用についての協議をしたいと思います。県としては、朱雀大路を三条通りまで広げられないかという意向を持っております。とりあえず三条通りまでの西側地区は積水化学の所有地ですので、そこは県が買収して朱雀大路の西側をつくれないかということです。また、北側は、近鉄が移設しますと朱雀門駅設置の構想が奈良県の案としてございます。その駅用地の確保という面もございますので、北側も県が確保して駐車場などで当面利用できないかという構想を提示しております。さらに南側、民有地の検討は、県のイメージを提示しておりますが、これは積水化学所有地でございます。ホテルや商業地といったようなイメージについては、その方向でもいいようですが、具体的な検討を協働して進めるというための予算でございます。

 49ページ目です。奈良市西部の中町にある県有地は、平城遷都1300年祭のときの駐車場として購入したものですが、第二阪奈と枚方大和郡山線が交差する要衝の地でございますので、そこに道の駅をつくるというプロジェクトを検討しておりました。その具体的な予算を来年度計上いたします。右の図にありますように、道の駅を囲んでバスターミナルのような公共交通拠点、それから駐車場、左は防災拠点のようなもの、真ん中には新しいイメージの道の駅をつくっていこうという構想・計画でございます。また、この地域は新しい病院の周辺の道が整備されましたので、郡山城址へのアクセスがよく、また、県施設の大和民俗公園、矢田山遊びの森などへのアクセスもありますので、それを視野に入れた整備検討プロジェクトにしたいと思います。

 50ページ目でございます。奈良の魅力向上のイベントに努めておりましたが、それをまとめたものでございます。四季折々のイベントがスポーツのイベントも含めましてそろってまいりました。比較的新しいイベントが多いわけでございますが、これを定着させて奈良県の魅力向上につなげていきたいという予算をまとめたものです。

 51ページ目ですが、(仮称)奈良県国際芸術家村を核とした文化芸術の振興の予算でございます。施設の整備イメージがだんだん固まってまいりました。また、活動のイメージも固まってまいりました。いよいよ施設をつくって活動の組織をつくるという段階に入ってまいりました。色々な施設がありますが、基本コンセプトは学ぶ、遊ぶ、食べる、買うというように観光的な施設の面もございます。地域振興に資するということも念頭に入れた施設として開業・開村に向けて進んでいきたいと思います。2021年度の開村を目指したプロジェクトになっております。

 52ページ目でございますが、国民文化祭・障害者芸術文化祭の一体開催を、奈良で初めて進めることができました。この考え方を延長して、奈良県の大芸術祭・障害者大芸術祭にもつなげていきたい、一体開催を奈良県内でも続けていきたいという予算です。今年9月1日から11月30日まで3カ月は芸術の3カ月となります。

 53ページ目は、観光予算のまとめをしております。54ページ目も、同じものでございます。

 55ページ目ですが、県土マネジメントでございます。56ページをお開きください。安全・安心のまちづくりとして、主な道路整備箇所ですが、京奈和自動車道の大和御所道路と大和北道路の整備促進、国道168号は王寺、香芝、そして南の宇宮原、十津川まで、国道169号の伯母峯峠の道路など、国への要望の中心となっているところでございます。また、大和北道路の奈良インターから西九条佐保線、鉄道を高架にして新駅をつくるというプロジェクトでございます。さらに、中町工区、先ほど道の駅のプロジェクトをご紹介いたしましたが、その東側、富雄川を渡る橋梁の整備を進めていきたいと思っております。

 左側の下が、奈良の宿泊と周遊観光にかかるインフラ整備、観光の分野で紹介したものを上げております。右の上は、周遊観光の中で移動手段にも力を入れたいというものです。右下は、農地・農林の基盤整備を計上しております。

 57ページをお開きください。国土強靱化の推進ということでございますが、長寿命化、無電柱化、治山の項目を上げております。右は南部・東部の振興のプロジェクトの項目紹介です。このようなプロジェクトの額的なものは58ページに書いてございますように大きな額を計上しております。また、にぎわいのまちづくりについては、右に掲示しております。

 59ページ目ですが、南部・東部の項目でございます。60ページをお開きください。奥大和の魅力発信のプロジェクトをずっと進めております。徐々にではございますが、雇用の創造、または交流の創出などで効果が上がってきております。それを続けさせていただきたいと思います。また、奥大和の中で店舗を展開していくというようなことについても、新しく予算を計上したいと思います。基本的な目標でございます移住定住の促進については、引き続きこのような予算で南部・東部振興監所管の組織の中で実行したいと思っております。61ページ目は、項目を再紹介したものでございます。

 62ページ目でございますが、奈良モデルとして進展してきているものの予算をまとめたものです。63ページ目では、奈良モデルで大きく発展してまいりましたまちづくりプロジェクトでございます。23市町村との包括協定が実現しておりますが、さらに包括協定から基本協定、個別協定、個別事業の進展と進んでまいります。事業が進展いたしてきておりますので、左の下にありますように市町村への支援として2億円規模の予算を計上しております。また、関連して県が整備する道路予算として2億円を計上していますが、どんどんこれからふえてくるイメージでございます。

 64ページ目ですが、その中の一つの具体的な例として、近鉄郡山駅周辺のまちづくりプロジェクトでございます。駅移転、駅前の整備、近鉄と郡山市と県で協定を結んで検討しておりましたが、先日、県の案を市に提示いたしました。市が同意をされまして、県・市の検討プロジェクトとして市議会に最近提示されたところです。その推進のための予算です。また、駅周辺でございますが、北西にあります郡山城跡公園につきましても、郡山高校城内学舎について、敷地は柳沢文庫ですが、その跡地活用を提言したプロジェクトがございます。それをまとめて近鉄郡山駅周辺まちづくりプロジェクトの予算として計上しております。

 65ページ目は、桜井市にあります近鉄大福駅周辺のプロジェクトでございます。県営住宅跡地活用プロジェクトということで、一つのプロトタイプ・モデルとして掲示をしております。県営住宅を第1期工事と書いてあります周辺に集約いたしまして、空き地に色々なまちづくりに役に立つ施設を導入していこうというコンセプトでございます。いよいよ実行をする予算を計上しております。

 66ページ目でございますが、医大周辺のまちづくりです。医大自身は手狭でございますので、教育研究部門を新キャンパスとして農業試験場に移すというものです。農業試験場の移転はすでに完了いたしましたので、そこに教育部門、研究部門、グラウンド、体育施設などを移すことを開始する予算でございます。大変大きな事業ですので、先行整備と継続整備に分けております。先行整備は、教育部門、また体育施設などをピンク色で書いております北部分に移していこうというものです。移した跡地には、病院の関連施設、患者用駐車場などの整備を並行して進めようという計画になっております。また、グラウンドを移転した跡地で遺跡の発掘などが進みますと、近鉄線の新駅の移設、新設ということを視野に含めたまちづくり構想を橿原市と進めることになってまいります。

 67ページ目でございますが、県域水道の一体化です。奈良モデルで県域水道を部分的な連携のプロジェクトとして進めてきておりますが、個別の効果が出てまいりました。そして、それを全地域統合的に進めようという案まで出るようになりました。一番下に書いてございますように、新県域水道ビジョンを策定して、38年度に上水道経営統合を目指す案まで出るようになりました。各市町村水道との連結、連携、また経営統合ということでございます。これがうまくいきますと、消防などの広域連合に例がありますように、部分的に大きな経営統合ができるだけでも行政が効率化し、すごい効果がありますが、この経営統合が実現いたしますと、真ん中の欄に書いてございますが、投資・運転の経費削減額が約800億円ということです。市町村水道が設備更新を続けるよりはダウンサイズして施設共同化をする、また運営共同化することによる効果は、水道では大変著しいということでございます。奈良モデルの一環として、県営水道一元化のプロジェクトに力を入れたいと思っております。

 68ページ目でございますが、市町村ごとの業務であるごみ処理について、その広域化が奈良モデルとして幾つか進んでおります。やまと広域は、右の写真にございますが、既に実現をしております。さくら広域、山辺・県北西部広域についても、いよいよ実現に向けたステージが目についてまいりましたので、市町村が負担する調査費の2分の1や設備費の4分の1を負担するスキームでごみ処理広域化奈良モデルへの支援を推進したいと思っております。69ページ目は、奈良モデルをまとめたものでございます。

 最後に、このA4版の資料ですが、補正予算案は74億3,900万円を計上しております。主な事業内容ですが、大きな額となっておりますのは、5の基盤整備と県土マネジメントの推進です。国の補正予算を活用すると、交付税の措置率が高く、得をする補正予算債を発行できますので、補正でできる事業は計上しようということから、5の予算がございます。また、5の予算と内容的には重複いたしますが、南部・東部の地域の振興にかかる予算も35億円計上しております。1の中には、国民健康保険財政調整基金の積み立て等の予算として5億円がございます。また、NAFICのセミナーハウスの整備も国補正予算として国からの交付金がございますので、補正予算として計上しております。

 大変長く説明いたしまして恐縮でございます。私からの説明は、以上でございます。ご清聴ありがとうございました。

司会:
 知事、ありがとうございました。

 それでは、これより記者の皆様からのご質問をお受けさせていただきます。質問される方にはマイクを回しますので、挙手をお願いしたいと存じます。その際、社名とお名前をお知らせいただきますようお願い申し上げます。それでは、よろしくお願いいたします。

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質疑応答

平成30年度奈良県当初予算案・平成29年度2月補正予算案

奈良テレビ:
 よろしくお願いします。今回の予算、一般会計でいうと5,000億円を超える大変大きな予算組みだったわけです。今回の予算に込められた知事の思い、それから今回の予算はこんな予算だ、簡単に一言、テレビ用に頂戴できたらと思います。お願いします。

知事:
 額が大きいということでございますが、それで積極予算と言えるのかどうかちょっとわかりません。先ほどご紹介いたしましたように、県債の繰り上げ償還が100億円、国営農業用水再編対策事業の負担金の国への償還が50億円、また県税が増加することで県税交付金が増えるなど、通り抜け予算の部分もございます。各年度色々なタイプの項目も入っておりますので、ボリュームを見て積極予算かどうかというのはわかりません。

 昔は、経済振興のための国の予算は積極予算とか、名づけられることがありました。地方の予算は、そんなに余裕がありませんので、とにかく着実にお金の回る範囲でやるべきことをやるというような予算編成しかできません。国では、経済が停滞したときは財政で経済振興しようというような手法はありますが、地方予算は財政で経済がおくれているから振興しようとしても、なかなかそうもいかず、そういうタイプの積極予算というのはできません。

 一方、奈良県でおくれている分野、例えば今までおくれていた医療や観光は取り返そうということで必死でやってまいりました。おくれている分野を回復しようという積極予算ということはずっと続けておりましたので、そのような部分をさらに充実させようという意味の積極性は含まれているように感じております。10年間、例えば医療について、おくれていたので、何とかしようというのでやってきたことが芽が出るような状況になってきたというのは大変うれしく思っております。

 観光施設についても、ホテル誘致、民間の投資を誘引するというタイプの仕事ですが、県有地を活用するという仕事が功を奏してきている面はございます。本当に上質のホテルがなく、量も少ないので、これを何とかしないとという思いで取り組んできました。やはり10年ぐらいかかるものでございましたので、来年度急に積極というよりも、その分野ごとに積極性のあるポイントがありますよという気持ちです。

 そのどこに力を入れるのか、積極性を求めているのかというふうに質問を解釈いたしますと、様々な玉込めということもありますが、それぞれ気になる点を重点的にしていきたいと思っております。今まで成果が出ている面もございますし、これからさらに考えなければいけないということもございますが、やはり経済が弱いということで、工場誘致や事業所誘致に随分進展がありましたが、レベルとしてはまだ弱い。しかし、工場誘致の誘致額や、今のいっときの経済の温度を有効求人倍率ではかると、近畿の中では大変高く、しかも近畿全体が全国の中ではそんなに高くないという状況ですが、それを見据えた経済活性化というのがやはり積極分野だと思います。

 また、医療は随分よくなってまいりましたが、国保の県単位化というのは国全体として大きなことですが、国保の県単位化の中で実現したいのは健康づくりでございます。医療だけで健康になれるのかというと、最初の歯車にありますように、医療も一部分でありますが、健康づくりというのは地域の努力で随分違ってきているということを統計上認識しております。県のようなレベルの組織が一生懸命やると、先ほどのがん死亡率が10年間で削減率が全国一になった、34位から9位まで死亡率が下がったというような実証が出ておりますので、同じように今度は高血圧で下げようと、高血圧だけでは死なないわけですが、心筋梗塞や糖尿病など色々な面で悪影響がありますので、高血圧の治療レベルを上げようと考えております。高血圧で脳梗塞になると介護が必要となり、医療費だけでなく介護費がかかるということとなりますので、できるだけ要介護期間がなくなるよう、健康づくりを積極項目として取り組もうと思っております。

 3つ目は、20年後のリニア中央新幹線「奈良市附近」駅というのはとても大きなインパクトですので、それを見据えたインバウンド観光戦略です。ホテルも入りますが、やはり環境整備が重要で、四季彩の庭づくりも一つの大きなポイントです。奈良に来ると四季、花木がすごいなというのも大きなアピールです。仏像だけではないということをアピールしたい。景色をアピールしていきたいなど、観光も力の入れどころです。

 それから、奈良モデルには行政効率化と地域振興と2つの面があるのですが、行政効率化の奈良モデルの効果がものすごく大きくなってきているということが認められてきているように思います。これは力の入れどころだと思っております。先ほど健康づくりは奈良モデルでしたほうが効果が上がるのではないかと思っております。

 それと、まちづくり。奈良県は本当に鉄道駅の周辺整備というのがとても遅れております。近鉄郡山駅が一つの例でありますけれども、近鉄奈良駅もそうです。駅の周辺整備を市と一緒にやるととても効果があります。奈良市新駅もそうですが、そのようなプロジェクトが具体的に目につくようになってきたところです。

 種をまくだけではなく、芽が出てきて、花がもう数年で咲きますよというプロジェクトも出てきております。こういう項目を積極的に展開したいと思っております。額というよりも、積極的に展開したい分野と思っております。

奈良テレビ:
そういう意味では、今回の予算はちょっと節目になる予算であり、またこれからの奈良の将来につながっていく予算となりますが、荒井さんとしてはこれからの奈良の将来像というのを簡単に言うとどういう形で描いていらっしゃいますか。

知事:
 奈良の将来像ですが、簡単に言うのがいつも下手でございますが、1つは、奈良のポテンシャルを十分発揮してないような面がございますので、それを生かす。ベッドタウンとしてここ40年、言い方は悪いですけれども、ぬくぬくとしてきた奈良県ではないかなと思っております。私の言葉で言えば、脱ベッドタウンしましょうというのが奈良の将来像です。ベッドタウンというのは同じ年代の人が来て、30年たつと子供はいなくなる、家もすかすかになってくる、近くに昔は保育園があったけれども、介護難民と言われますが、介護施設がなくてうろうろするというのはベッドタウンの悪い典型ですので、ベッドタウンの中にそういう新しいニーズの施設を置こうかというのが、先ほどの大福のプロジェクトの志向でございます。

 脱ベッドタウンというのを達成するにはどのようにすればいいのかということですが、住宅ばかりつくっていたのを多少反省して、それを抜け出した新しいまちを、地域をつくろうということでございます。高齢化が進み、人口減少が他県より進んでいます。ベッドタウンはほかの地域よりも多世代がまざってないため、とりわけ若い世代が抜けていき、老いた鳥が鳥の巣に巣くっているというようなイメージになります。それでは困るので、若いひな鳥、若い鳥が元気であたりで生活しているというようなイメージにしたい。これは各県皆同じような願いでございますので、奈良はほうっておくと他県よりもおくれをとるよとというのが大きなコンセプトでございます。それを抜けよう、新しいまちをつくろうということで、色々なことに力を入れてきたつもりでございますが、生まれて、ここで住まれる方が、この地域で、途中ちょっと抜けられてもいいんですが、とにかくこの地域で人が循環するように、そのためには雇用が現地にあって、若者の魅力、働く者の魅力があるといったようなイメージです。

 余りしゃべり過ぎると、短く言うイメージがまたなくなりますので、とりあえずうまく伝えたかどうかわかりませんが、そのように申し上げます。

奈良テレビ:
 ありがとうございました。

朝日新聞:
 かなりべたですけれども、私は新聞ですが、テレビ向けぐらいにぎゅっと要約してもらいたいんですが、この予算についてのネーミングを一つお伺いします。

知事:
 本当はあまり考えてなかった、最後に思いついたら言いますので。

朝日新聞:
 わかりました。

時事通信:
 伺っていると、先ほど奈良モデルの進展とか、経済だとか、企業誘致ですとか、観光・インバウンドの話、あと医療・健康の話、5点上げられたと思うんですが、しいてこの中で特に3項目ぐらい、特に知事ご自身が、思いを持って重点的にやってらっしゃるというものがありましたら、教えていただけますでしょうか。

知事:
 プロジェクトのステージという面で見ますと、もうほとんど工事が始まって花開くというようなものは、予算額は多いです。例えばバスターミナルの予算ですが、私の立場からは、完成を、花の咲くのを待っている花壇だよということになります。客観的にはもうできるのですごく予算額も多いのでというような見立てもありますけれども、私はもう少し苗木とか種に力を入れたいと考えております。バスターミナルでも、平城宮跡でも、病院でも、県営プール跡地でも、10年前は私のイニシアチブで種をまいて力を入れてた部分が今こうなったということでございます。今、私の立場で力を入れなければいけないと思ってますのは、シーズ予算ということになります。シーズ予算はあまり形がないから目立たないので、アピールしにくい面がございますが、岩嶋さんから何に力入れるのかという直截的なお問い合わせですので、シーズ予算には力を入れたいと思っております。シーズ予算という、種をまいてそれを育てるのに力を入れたいと思っております。

 では何なのかと言われると、あまり考えてなかったのですが、シーズでも来年度芽が膨らむもの、シーズは芽が膨らむというのがとても楽しいですし、芽が膨らまないけれど土の中で育っているような感じがするというのがあります。来年度、私の立場で力を入れたいのは、例えば森林環境管理制度をどう構築するかということ、中央卸売市場のレイアウトや設計をどのようにするかということ、これは大分芽がもう膨らんできている予算であります。中町のプロジェクトをどのようにやるかというような、形が見えてきているような予算もございます。

 まだ種で、どのような方向、どのような花の種かわからないというような種もございます。例えばリニア中央新幹線の中間駅のビジョンをつくろうというもの。どういう駅になるのかということですが、リニア中央新幹線は、大都市間を結ぶ新幹線ではなく、中部も長野県や岐阜県、岐阜の中でも田舎を通りますので、田舎を通る新幹線だという、その意味を「奈良市附近」駅と関係づけて勉強したいというよう予算でございます。私が力を入れなくても全面展開している健康づくりの中で高血圧について、がんがとてもよくなってきましたので、力を入れたいと考えています。

 思いつくのを上げてますと数が多くなってきて、そんなことまで聞いていないとおっしゃるかもしれないので、とりあえずこのあたりでちょっと打ち切っておきたいと思います。

時事通信:
 額が大きいハード面の整備はさておき、知事がお考えになっているのは、先を見据えて種をまいていくような、まだ小さい額の予算のほうであると。例えばリニアをどうしていくのかや、森林環境管理制度、それから高血圧をどうしていくのか、こういった、まだ小さいけれども、10年後、20年後を考えていくというような、種をまくような予算であるということでよろしいでしょうか。

知事:
 そうですね、プロジェクトの、種を植えてちょっと苗床をつくるといったような予算、そして苗が育ってきたから、ここで木を育てるんだという予算。苗床はどこにあってもいいわけですが、花木を育てるときは、ここで花を咲かせようという場所が要るわけですので、場所を選ぶというステージがあると思います。国際芸術家村などは種を植えて、コンセプトの勉強を随分しておりましたが、今度は天理の杣之内に花を咲かせようというところまで来ております。しかも花が咲くようになってきたら、今度は花の咲く段取りを、花壇のレイアウトをしようというところまでステージが来ているということでございます。種の部分は私が力を入れてやったほうが、後の育ちがいいんじゃないかという思いで、大変主観的ではございますけれども、10年後、20年後を見据えた場合にはそのようなことが大切だと思います。奈良市西部に大きな病院施設ができますが、もう今から思うと様々な段取りがありました。最初のここで咲かすつもりで勉強する、これはリーダーが一生懸命しないとなかなかそのようにならないという思いがございます。大変主観的でございますが、そのような思いでございます。

 あと、実学教育や、就学前教育について割と研究が進んでおりますけれども、実学教育の理工系学部を奈良でつくれないかというようなことは、余り表現されておりませんが、学と職の接続というものについて何か力入れたいと思っております。ふわふわしている部分を固めるというのが私の主観的な意識レベルでありますが、力を入れるとあと10年後によく育つんじゃないかと思っており、力を入れるのは何かという問い合わせに対しては、そのように答えさせていただきます。

奈良新聞:
 今回、先ほど教育の話が出ましたけれども、地方消費税清算基準の見直しによる地方消費税清算金収入の大幅な増加の中で、増加分を県立高校の空調整備や耐震化に充てるとされています。この前の総務部長の会見の中でも、それを計画的にやっていきたいという話が出ましたが、例えば知事が退任された後もこれを継続していきたいという思いがあるのか、県が提案して実現し獲得した予算ですので、その思いと、これを持続的にやるのかという点に対する思いを一度聞かせてほしいです。

知事:
 消費税についての使途の変更については、国のほうで教育にも使おうというような動きが一つあります。消費税の清算金がふえたのをどのように使うかという、それは収入の性格上、自由に任されているわけでございますが、県としては、教育の空調整備と耐震化等に使おうと考えました。特に、耐震化については一生懸命やっているけれども、やはりちょっと遅れぎみだという意識がございます。恒常的に市町村含めてお金が回ってきますので、使い道としてはどこがいいだろうかということで考えましたが、ロット感といいますか、金額的には公共事業の道の整備に使うということでもできるのですが、埋没してしまい、それに使ったという輪郭が見えないという思いもありました。教育に使うというのは、国の動きとサイズ感でちょうどいいじゃないかと判断しました。しかも空調と耐震化、そのほか実学教育など、教育では様々な新しいメニューが出ておりますので、これを使うことによって教育の予算の実行、継続性がより強くなるのではないかという思いはございます。

 教育のパフォーマンスが奈良県おくれているという面もあるのですが、力を入れるととてもよくなる分野じゃないかと思っております。教員の人たちと向き合わなければいけないわけでありますけれども、教育委員会と会話を進めていこうと考えております。このように意思、意欲がとても高まってまいりましたのは、数年前の法律改正により、教育振興大綱を知事がつくることができるようになり、一生懸命教育振興大綱をつくったのがあります。さらに、就学前、実学、大学教育、いろいろ埋めていこうとしておりますが、県レベルでできる実行力というのは国の制度の中でそんなに大きくないように思っておりますけれど、それでも力を入れると市町村の保育料など就学前の動き、私学の動き等、様々な動きの中で県がいい動きをすれば奈良県の教育パフォーマンスが上がってくるのではないかと思っています。教育については、私学の予算が額的には大きいですけれども、私学助成費を、はい、お財布ですよといって投げるのを喜ばれるのですが、そうはせず、教育内容を改善してもらうための予算ですからといって出しています。具体的には、私学助成等については交付税算入等されていますが、その1割は積極政策に使って、ばらまきませんよというのをしております。60億円ぐらいの私学助成ですけれども、その1割は積極政策予算に使っている県でございます。

 私学でそれだけ出して、公立は予算の中で埋没してちょっとおくれぎみだったような気がいたしますが、地方消費税清算金増があるということをきっかけに、おくれているところを回復していきたいという予算が、27ページ目でございますが、計上しているという背景でございます。

奈良新聞:
もう1点ですけれども、今回、取組項目の中で、一番初めに医療・健康が入ってきていますが、この意味とその思いを教えてください。

知事:
 全体の並べ方ですけど、今まで「住んで良し」「働いて良し」「訪れて良し」と、この順番に並んでいました。5ページ目の8項目で、「住んで良し」が2つ、「働いて良し」が2つ、「訪れて良し」がその次、住みよいまちづくりというのは「住んで良し」のほうに入れてもいいわけでございますが、あとは南部・東部とインフラといったように並べております。その「住んで良し」で並べていったので、最初に来たという感じがいたします。強調の順番でもないような感じはいたします。

 ただ、その順番ではありませんけれども、健康づくりというのはとても力を入れているという意味では、ここに置いたからトップではなく、並びかえてもトップランクになる項目の一つだと思います。国民健康保険の県単位化というのはとても大きな制度の変更でありますので、それをきっかけに県のレベルで、医療の地域構想実現や、健康づくり、これは奈良モデルにとても適しているように私は思いますので、健康寿命を日本一にしようと思います。男性3位で女性18位ですけれども、がんの削減率と同じように、どんどんどんどん上がっていかないかなと思っております。

 要介護期間を減らすというのはとても大事なことで、それには高血圧や食事、運動、みんな関係します。奈良マラソンも健康のため、ムジークフェストも健康のためと内心思っておりますけれども、奈良に来て楽しく暮らしていると、生活費は安いし健康になる。死ぬときも奈良で死にたいと、思っていただけるよう、終末期の医療というのも大事かと思っております。日本全体の願いでもありますが、奈良県ができる範囲、リーチのかかる範囲というのは、国の設計でそのようなことは県がしなさいよと分権の過程で広がってきているように思いますので、そういう意識をなるべく明確に持って、県の努力をしようと思ってきています。

読売新聞:
先ほどからお話を伺っていると、やはり金額ありきではないと。事前にやっていたことが今、形になって出てきているだけだということはよくわかるのですが、どうしてもやはり一般の県民の方からすると、金額に目が行きがちなんだろうと思います。そのあたりの説明、県民の方に理解を得ることについてどのようにしていきたいと思われますか。今伺っていたらよくわかったんですけれども。

知事:
 ご指摘ありがとうございます。どうすればいいですかね。ご指導ください。

読売新聞:
 基本的に丁寧なんですが、説明をすることに尽きるかと思いますけれども、そのあたりがなかなか、特に取材をしていても、うまく伝わっているのかなと思うところがよくあるので。

知事:
 紙面の量も少ないし、難しい。紙面の量が制約されているから、それでおさまるようにうまく言えと、こういうことだと思うんですが、なかなか難しいです。このようにだらだら説明しないとわからないというのが実態でもあろうかと思います。政治とこの伝わり方というのは難しいです。だから皆さんは限られた紙面でわかるように書こうとされているのはよくわかるのですが、なかなか難しい。それ自身も難しいし、伝え方も難しいと。言いわけみたいですけれども、このような説明の機会もありがたいですし、これを議会でも説明し、質問があればより説明しやすい。あるいは地域フォーラムで説明し、また個人的な県政報告会で説明するというようなことを、これを元手に色々なバリエーションで、一年中説明すると。

 県民の方は、全体ではありませんけれども、市町村行政もそうですが、よく見ておられると思います。ほかの首長とも話すのですが、ほかの知事さんも奈良県でやっていること、ほかの県は知らないだろうと思っても、あるレベルの人はよく知っておられます。ここで頑張っているなという言い方をされると、とてもうれしいですね。市民の方も、ああいうふうに頑張っているなということを、岡本さんが紙面でちょっとしたことを書かれても、それを目ざとく見て、ああ、そうかと思って合点いく人からこちらに伝え返していただくと、我々の立場の者は、うれしいです。ほかの首長も反応があるとうれしいなと、おっしゃっています。

 全体としてイメージを与えるという、僕から言えばポピュリズム的なアピールが下手だと自覚しておりますけれども、このように一つ一つをするので、なかなか思いつかないんです。フレーズで言えといっても、アピールをどうすればいいかというのを思いつかないんです。僕から言えば、いい意味でのポピュリズム的なフレーズがなかなか出ないなと、言いわけみたいにしておりますけれども。しかし、全体がすごくいい、点の部分もいい、そんなことはあんまり政治にはないです。ほかの公共団体を見てもそうだし、ほかの国の政治を見ても必ずこうなります。個別にたくさん種をまいて育つかどうか見てもらうというのは、政治で一番大事なことかと自分のコンセプトでは思っていますので、わざと避けているわけではない、単に思いつかないだけです。わかりにくいと、もう10年前から言われています。皆さんがこれはおもしろいなと、ちょっと書いていただくと、ああ、そうかといってわかっていただく県民もおられます。まとめてわかりやすく言うというのが、一番難しい質問です。

 ちょっと言いわけになりましたけれど、先程の朝日新聞さんの質問にも、結局答えられないということの前ぶれみたいな感じになってきました。難しいなと、思ったように、これはいい、これは悪いと書いてもらって、真実が出ていくのが情報伝達で一番いいと思います。こしらえてつくるのは下手だし、あまりうまくいかないと思っています。それはポピュリズムセンスの先駆け、きっかけだと。真実はこうだ、こうだということを説明して、それがじんわりでも伝わるのが政治では一番いいんじゃないかと、私のコンセプトですので大変主観的ですけれども、ずっと世の中の流れを見ているとそのように思います。それが政治的にいい結果になるかどうかはわかりませんけれども。

 政治的ということは、人気が上がるとか、政権基盤が安定するとかということですけれども、支持率だって、安倍さんの話ですけれども、ずっと上がったり下がったりする。いいフレーズ重ねるとまた下がってしまう。何か信用できないとか、そういうふうになる傾向もあるように感じておりますので、国民の方、県民の方は反面よく見ておられるのではないかということを信じて、このような訴えをするのが流儀かなと考えています。開き直りみたいに申し上げましたけれど、10年前から、何かうまく言えんじゃないか、おまえはと、こう言われっ放しなので、10年たってもうまく言えないなという感じは確かにありますがうまく伝えるよう、また工夫はいたします。しかし、膨らませて伝えるという気持ちには、なかなかそうもならないということを、ちょっと変わり者だからかもしれませんが、そのように多少ご理解願えたらと思います。

毎日新聞:
 先ほどおっしゃられたリニアの新駅のビジョンのことで少し伺いたいのですが、20年後に来るということは決まっているので、それに向け将来的に奈良を、どういうふうにしていくかというビジョンなんだろうと。常々知事おっしゃっておられる奈良の玄関口といったようなものも含めたものなんだろうという感じはするのですけれども、新年度の予算も立てられて、1年後にどういう成果というのを期待されておられるのかということと、インバウンド観光戦略のビジョンともリンクするようなビジョンになるのでしょうか、教えていただけますか。

知事:
 2つ目は、そのように思っています。インバウンド観光戦略、20年戦略と言っていますのは、リニアの完成を見据えたビジョンということでございます。リニア中央新幹線を考えれば、中間駅の位置や機能ということに当然なりますので、観光戦略と結びつくとこは確実です。最初の質問のどういう成果かということになりますと、このようなビジョン形成を思いついたのは、国交省の研究会で、メガリージョンとリニア中央新幹線というテーマでプレゼンをさせていただいたのがきっかけです。メガリージョンというネーミングがついておりますが、東京圏、名古屋圏、大阪圏をリニア中央新幹線で1時間で結ぶとすごいメガリージョンになるというイメージですけれども、田舎を通りますよとそれに多少違うプレゼンをしました。

 その中で、ハイデッガーを引用しました。ハイデッガーは森を出なかったと。森であれだけの「存在と時間(Sein und Zeit)」という本を書いて世界の思想界を揺るがしたというのは、意味があるよということをアピールしました。日本の国の形の中で大都市が反映すればいいよと、メガリージョン、メガリージョンといっていると、そのようなイメージもあったので、大都市繁栄だけではだめだよと、リニア中央新幹線は昔の田園都市構想ではありませんけれども、国土をバランスよく発展させようという思考が入らないとだめじゃないかと発言しました。それに反応して、後の検討会で荒井発言の意味をどのようにとればいいのかという発言が幾つかあったんです。文化や、森、農業、田園ということに注目したリニア中央新幹線の意味、地域の文化にも意味を考えたらどうかという小さな発言が委員の中であったのを目にとめました。それで、奈良は文化、田園、森林というようなテーマでリニア中央新幹線の意味を考える立場にもあるのかと思い、人を呼んできて勉強しようということでの検討予算です。そういうタイプの切り込みはあまりなかった。目先の観光振興だとか、売り上げがどうだこうだとかいう予算が充満していますので、そういう思想的な、思考的な予算です。人を呼んで会議をして、それでシンポジウムするといったタイプの予算しか計上しておりません。200万円の予算ですので、私が項目特記されていないものをこんなふうに言うのも変ですけれども、当面それに僕が力を入れないと会議はなかなか進行しないという主観的な思いでリニア中央新幹線の地方における意味というようなことをコンセプトワークにしたいと考えています。だから成果は、コンセプトでおもしろいことを言い出したかどうかというふうに見ていただくしかないと思います。

毎日新聞:
 もう一つですが、これは直接今回の予算にはかかわらない話ですが、昨日、G20が大阪に決まりました。世界に向けて奈良を発信する非常にいい機会なので、それに合わせて何らかのイベントなどを今後考えていかれるとは思うのですが、そこら辺どのようにお考えですか。

知事:
 APEC首脳会議自身を奈良に持ってこようとずっと思っておりました。応募したのですが、簡単にけられてしまいました。それはホテルがないから。横浜であったときかな、意気込んで提案しました。ホテルないのでだめだと、コンベンション施設がないとだめだと言われました。しかし、古都でコンベンション施設があれば必ずできます。私はその点は確信しております。G20が大阪かと、どういう歴史的意味があるのかというぐらいに思っています。来年度どう利用するのかということですが、G20を奈良にというほうに反応したいと思います。コンベンション施設が2020年春にできますが、ぼつぼつコンベンションの誘致をしなければいけません。世界的にも大きな2,000人も来るコンベンションは3年前、4年前から準備されますので、ぼつぼつコンベンションホールを使いたいという引き合いもあります。このぐらいの大きなコンベンションが、奈良でやっとできるなと思っております。予算ではMICEと書いてございますが、誘致予算を計上しております。新コンベンションホールでの誘致の引き合いもあるので、今から来年度予算で誘致に拍車をかけよう、G20も含めてということであります。G20はまた順番が先ですので、G20を実現するにはどういう条件が要るのかということを勉強しに行かせたいと思います。新宮さんのご質問を積極的に受け取って、G20をどう利用するのか勉強させたい。将来の誘致につなげる勉強をしに行かせたいとまず思います。

毎日新聞:
 わかりました。

朝日新聞:
 先ほどの種をまくのもこの中では大事で、いろいろ盛り込んでますよというお話があったと思うのですが、それこそポピュリズムの感覚で、素人目でこの予算を見ると、主要なプロジェクトにすごいお金を使っている、何億円もすごい額があるなと。これも建設、これも建設、これも建設だと。知事は建設が好きなんだなと、そういうふうに思ってしまう。素人目で見たらそういうふうになります。

 だからこそ、先ほどの話ではないのですが、こういうふうに10年後、20年後にこういうビジョン、こういうことをやりたい、そのためにこういう種をまいているんです、ただ、予算額では小さいけれども、こういうのを目指すために事業を入れているんだというのを説明するためにも、先ほどの説明はぜひ聞きたいです。いや、それがないと、本当に大型プロジェクトばかりになっちゃいます。やっぱり建設お好きなんだ、それで終わってしまうので、ぜひ額は小さいけれども、こういうのをするために今回はこういうのに取り組んでいる、種をまいているんだということについて、ぜひご説明をしっかりいただければと思います。

知事:
 ありがとうございます。では、ネーミングは「種まき予算」と、私からの回答にならないかもしれませんが、そのようにしたいと思います。気持ちの正直なところでございます。

 今おっしゃいましたが、まちで会った女性が、荒井さん、箱物ばっかりつくってと非難されたんです。なぜこんな結果になったのかと考えますと、奈良になかったから。逆に、過剰になったのは市町村の公民館。いっときにわあっとつくったので市町村財政を圧迫した。そのときに奈良県は余りつくらなかったため、財政を安定化させることになりましたけれど。例えば先ほどのコンベンションホールがありませんので、奈良でMICEといっても、みんなやり始めているのにコンベンション施設がないと会議もできない。そこで、新しくつくると額が膨らみますが、それが箱物ですかというふうに反論するわけです。

 あったほうが絶対いいだろうということで、最初からないもので必要なものに目をつけて種をまいて取り組んできました。ホテル誘致もそうでしたが、やはり私の考えは、ホテル3,000室しかないというのは、本当に少ない。それだと国際会議もできない。5,000人来るような国際会議では、ホテルにみんなが泊まれない。皆、大阪に行くわけです。大阪でも先ほどのG20等が開催されると、流れてくる面もありますが。パリで大きな会議があると、パリのホテルは、何万室もありますけれど、みんな満室になる。お客さんは100キロ離れたホテルしかとれなくて、そこまで送り迎えしたことがあります。シャルル・ド・ゴールよりも遠いところへ泊まる必要があり、空港に着かれたら逆方向に、ここがホテル、何、どこへ連れていくんだと言われたことがります。それがパリのコンベンションマーケット。それほどではないですけれど、コンベンションというのはインバウンド観光戦略の大きな一つです。奈良は施設がないと何もできない、元首さんが来られても何もできないということです。

 この後、インドのビハール州の首相、すごく若手の成長株の首相が訪ねてきて、奈良にもちろん泊まられます。しかし、おもてなしの場所もそうないというのが実情。とても国際性豊かな歴史があるのに、それを生かし切ってないというのはずっと最初から思っていました。それを実現するには、箱がたまたま要りますというのが事実。そういうコンセプトで地域発展を考えていなかった。先ほどの言葉へ戻りますと、住宅、住宅、住宅ということでやってきたということのツケとは言いませんが、その結果が今あらわれていて、バランスをとる必要がある。観光やコンベンションで働く人は奈良に働き場がない、通訳の働き場もないということですので、そういうことが進めば、通訳の人もだんだん来られて高度化する、観光産業もレベルが上がるというような循環が必ずあります。経済面ではっきりしていますので、産業おこしということにもなりますけれども、観光産業というのは奈良にとって成熟する大きな産業だというふうに今もくろんでいます。

 交流人口をふやして、それを産業化するというプロジェクトということになりますが、このように説明しないとなかなか理解していただけない。箱、箱という時代は確かに過ぎています。だからほとんどアピールするつもりはなかった。額に目がついて、これはおかしいとおっしゃると、思われる県民の方もおられるかもしれない。しかし、私の言いたいのはそういうことではなく、ないところをつくっただけですよと言いたい。その意味はこういうことですよというところまで、じかにそういう人から聞かれたら言いたいということであります。今までないので、あったほうが県民の雇用にもつながりますよと、箱をそれぞれを見るとそのように言いたいところはあります。

 病院も箱ですけれども、ホテルと病院が違うのかというと、医療の対象は県民で、自分たちがサービスするホテルはいらなと、県民の人はまず思われるのですが、ほかから来た人にサービスして、雇用を確保するというのも物すごく大事だということを県民の人にはアピールしたい。雇用を確保しないと、若者がいなくなりますと。病院は老人のために大変役に立つのですが、老人のためだけの地域にするんですかというふうに反論したい。若者が働けるような地域にしなければ、子供さんたちが逃げていってるのではないですかと強く言いたい気持ちはあります。

朝日新聞:
 もう一つ。個別の事業になりますけれども、国保の県単位化ですが、会議も終わり、しっかりとした資料ももらって、勉強させてもらっているところですけれども、県のつくっている資料を見ていると、県民1人当たりの保険料や、県単位化の仕組みはこうありますというようなことは、わかりやすく書いてあります。グラフも激変緩和措置で角度を緩やかにしていますよというのもとてもわかりやすく書いてありますが、自分の立場で考えて、加入者1人はどれだけふえるのか、どこそこに住んでいる人はいくらふえるという視点がないと思います。設計者の目線でつくられているから当然のことだと思うのですが、加入者1人から見るとどれぐらいふえるのかというところの説明があまりないように感じたので、これはちょっと改めてご説明いただく、この場でなくてもいいのですけれども、どれぐらいふえるのか、どうなるのかというのを少し簡単に説明いただきたいです。しっかりとした資料もできればつくっていただければ、もちろん議決は市町村の議会にあるので、出しにくいのは十分承知しているのですが、お伝えしておきます。

知事:
 大事なポイントです。国保を県単位化すると、保険料が上がる人と下がる人とがある。これだけ上がる上がるとなると、みんな絶対上げちゃいかん、皆下げろということとなり、国費をものすごくつぎ込まなければならなくなる。そのような設計は無理だということをまず皆さんにも認識していただきたい。そのような設計であれば、国費をものすごくつぎ込むと、国費といいますか税金をつぎ込むというわけですが、そのような国柄はもうなくなっています。お金を持っていて病気にかからない人と、お金がないのに病気にかかる人とがいます。お金がないと病気にかかりやすいという傾向もあるわけで、金のある人は栄養をとって病気にかかりにくい、医療費が少ないという傾向があります。保険という機能で、これをミックスしないといけない。

 しかし、病気にもかからないのに保険料を上げるのはけしからんという声があります。それは一部の声ですが、設計の中で反映されるべきではない声です。保険ということを前提にして健康・医療を確保するという観点からはそうもいかないということです。市町村単位の保険だと、設計が個別になり、それほど上げなくてもいい市町村もあります。しかし年齢構成などにより、差が出てきています。保険として維持できない、健康全体の皆保険が維持できないという状況が、もうそこまで来ているというのが私の認識であります。国保の県単位化は、ものすごく大事で、これから持続力、持続性を確保する唯一の今の道だと思っています。

 保険料が上がる人もあるし、下がる人もあるということを、こちらの希望ですけれども、前提にして書いていただきたい。上がる人ばかりではない。設計者としての視点だからとおっしゃっていただいたのはちょっとほっとしますけれども、しかし、真実は上がる人も下がる人もいる。私の感じでは、これ6年かかってずっと上げていく、また下げていくということですので、その過程でいろいろ出てきて、その中で医療費適正化や、健康増進の努力も一緒にしなけらばいけないと私は思っています。県がそのような志向で三位一体でしたほうがいいかと思っております。それに取り組もうと、その過程で理解を得続けるというのはとても大事だと思っております。

 スタートでくじけないように、しかし、スタート段階ではこういう設計は完璧ではない。でき上がると、そうかと言われるタイプのプロジェクトだと思っておりますので、出し惜しみしているわけではないですが、うまく出せるようにと思っております。隠しているわけでも全くないのですが、おっしゃるのは当然ですけれども、上がる人もあれば下がる人もいる、どこかで、上がる人というのもいるし、上がる市町村もあるし、下がる市町村もある。下がる市町村の数は多いですが、とても喜んでおられます。上がる市町村は、市民に説明しなければならないので嫌だなと思っておられるけれども、全体の構造について首長は理解されている、一緒にやろうというところまで来たということですが、市民の方の理解はまだ十分いかないところもあります。

 副知事からありましたが、いずれ説明してくださいということでございますので、3月末の定例記者会見で情報をできるだけ出して説明したいと思います。お約束をさせていただきたいと思います。とても大事な、至当なポイントのご質問だと受けとめております。どのように説明するかについては、少しやり方には工夫が要ると思っておりますが、3月末の定例会見で説明の資料をつくって説明したいと思います。

朝日新聞:
 ありがとうございます。

日経新聞:
 知事、今回法人関係税や地方消費税清算金がふえて、一般財源がせっかく増えるのにもかかわらず、また財政調整基金を20億円取り崩すということですが、財政健全化への取組について一言いただけますか。

知事:
 地方の財政健全化と国の財政健全化とは大きく意味が違います。きのうも税制調査会で少し議論がありましたが、地方は、東京都以外は財政的には自立できないので、国が吸い上げて平等に公正さを保ちつつ配分する、いわゆる交付税は大変進んだいい制度だと思います。それでも格差は出ますけれども、格差が出ないような仕組みです。その中での財政健全化ということになります。だから国の財政健全化には大変関心があります。

 言葉の言い方はありますけれど、奈良県の市町村は財政状況がとても悪いのですが、県は前知事をはじめ、すごく節約志向でされてきた、財政健全化に物すごく気を使ってこられたように私は思います。私も気を使いたいと思います。無駄なことをしないということと、やるべきことは努力してしなければならないということが、財政運営ということになると思います。十数年前の小泉内閣の三位一体の改革の中で地方交付税が激減した時期があります。それで皆が困ったのですが、そのとき乗り越えるために、人員削減や給与を減らしたりなど、とても大きな出来事でした。その影響でまだ私の給与が10%減ったままですけれど、余計なことを言いましたが、そのような歴史的な背景があります。

 その後、バランスがとれてきて、その中で生きているというところです。地方の財政健全化の努力は、基本的にとてもとても大事だと思っております。国の財政措置があって生きていく。その中で努力の要諦は自主財源をふやすということが一つ、そのためには、経済がよくならないと自主財源がふえません。国から地方に交付される交付税以外の大きな一般財源は県税等で、3ページ目にございますように、1,438億円。一方国から来る一般財源である交付税と臨財債の合計額は1,770億円。私の個人的な気持ちですが、この県税等が交付税と臨財債の合計額を超えないかなと、奈良県ではとても無理かもしれませんが、こう思っております。一つのメルクマールです。まだマニフェストしていませんが、言ってもなかなか難しいかなという思いがありますけれども、10年間で県税が最大となって、わずかでございますがふえ、地方消費税の清算金も増加したということですので、県税等が国からいただくのを超える日があれば財政健全化が達成したと思います。

 借金のやりくりですが、4ページ目にございますように、交付税措置のない県債残高を4倍以下にしようと、交付税措置のない県債はできるだけ発行せず、交付税措置のある債権の発行にできるだけ振りかえるようとここ10年努めてまいりました。その結果、交付税措置のない県債残高は800億円減ったということなので、これは将来の県税負担という県民負担が、これだけ減ったということですので、大変うれしく思っています。これは将来負担についての減でございますので、現実の財政運営の中では自主財源がふえると、交付税と臨財債の合計額はもちろん減るわけですが、そのバランスをとるというのがここまで来たので、肩を並べられないかなというのを財政健全化の一つのメルクマールにする、まだちょっと自信がありませんが。県債残高は工夫に工夫を凝らしてきて、多少うれしく思うところまで来ましたということでございます。

 その一方で、支出には先ほどの、今は箱物ですが、経済の活性化による税源涵養のための支出があります。税源を養うには税金を納めてもらう土台を増やす必要があり、そのためには経済活性化、所得の安定ということが大切になります。所得税や法人税、消費税でありますが、それが地域でバランス良く回るように、これはどの県のどの知事さんも願っていることです。これに対し、東京都はほっといても集まってきます。全然タイプが違うわけです。県税収入をどれだけふやすかということを貧乏な県の知事ほど必死で腐心されていて、奈良県もそのタイプの地域になりますけれども、できるだけ経済が活性化して税金が回り、支出をバランスよくして、財政健全化を地方で達成するという、この心構えは要ると思います。国のほうが多少心配しておりますけれども、それと一地方の財政健全化は別でありますけれども、ご紹介しましたように財政健康度が回復しているように思っております。

 奈良県は、市町村の財政健全化が大変おくれているくので、奈良モデルの中でてこ入れできるところはてこ入れしたいという思いもございます。県もそれ程余裕があるわけではございませんので、助けてやるぞと言うほどの立場にはないとも思っております。

司会:
 申しわけございませんけれども、あと一方のご質問ですみませんが終了させていただきたいと思います。よろしいでしょうか、どうでしょうか。

産経新聞:
 県職員の働き方改革についてですが、昨年5月に県職員の方が自殺されました。それで知事も彼の死を無駄にせずに働き方改革に努めるというような発言をされていたかと思うんですが、今回の予算、いろいろ拡充されてますけれども、そういった思いを反映した予算となっているのかということが1点。

 あともう一つ、県庁として具体的にどういう部分に力点を置いた働き方改革を目指していらっしゃるのかというのを教えてください。

知事:
 働き方改革は、一般的にはずっと大事だと思って何年も取り組んできました。ほかの組織もそうですけれども、県の中での残業が多いよと、よく議会で言われております。それが西田さんの自死にもつながったという意見も出ておりました。それをきっかけに始めたわけではございません。その前からずっと取り組んできたわけでございますけれども、働き方改革を、職員の管理、健康管理を含めてやるということは、どの公共団体でもすごく今、大事になっています。中央でも働き方改革を裁量労働制で進めようとして、政治的な話題になっておりますが、地道に働く者の転職を支援するという観点もあります。職場で我慢しなくていいんだと、職場を探すように県は応援するよというメッセージですが、それは少し違う話です。

 この中の働き方改革については、様々な努力ができます。特に大きなのはメンタルヘルスの対策で、今までなかなか進まなかったのですが、今、庁議で総務部からこの働き方改革について毎週のようにメッセージを出してくれています。超過勤務が多いところは縮減しようというメッセージが多かったのですが、多様な働き方やメンタルヘルスなど、メッセージの内容が非常に厚くなってきているように私は感じます。それを県の職員レベルで続けようと、これもポピュリズム的じゃなしに、事件が起こったからさっとやるというものではなく、地道に続けるしかないタイプのことだと思っています。

 もう何年か前からパーソネルマネジメントということでやり始めていましたけれども、さらに職員のコンディショニングをどのようにするかが大切です。オリンピックでもコンディショニングに成功した人は金メダルを獲得されています。職員に金メダルとってもらう必要はないですけれども、日本には労働力が減ってきておりますので、限られた希少価値になっている労働力をうまくコンディショニングして働いてもらうという国家目標が私はあると思います。地域でも実践をできたらという思いはございます。

 内容、その思いという質問として受けとめて、日本の中で働くコンディショニング、職員のコンディショニングというのはとても大事になってきています。職員の健康管理については今までスキルが十分ではなかったという思いがありますけれども、個別の健康管理まで手を伸ばす必要があるのではないかという呼びかけを総務部、人事課にずっとしてきておりました。それに対して、ちょっと踏み出してきているような印象はございます。超勤管理という組織の時間管理だけではなく、個別で少し弱ってきた人を見つけ出して、クリニック措置をするというようなことが組織の中で必要な状況になってきているように私は思っております。それは事件とは全く関係なしに、今までやろうと思っていたことがだんだん形になってきているように思っております。事件が拍車をかけて、より真剣にやろうというような気持ちになっていることは確かでございます。

司会:
 よろしいでしょうか。
 それでは、これをもちまして当初予算記者会見を終了させていただきます。ご出席の皆様、どうもお疲れさまでございました。ありがとうございました。

知事:
 どうもありがとうございました。

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(発言内容については、読みやすくするために、広報広聴課で編集しています。)

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