平成30年9月12日(水)知事定例記者会見

司会:
 おはようございます。
 それでは、ただいまから知事定例記者会見を始めさせていただきます。
 まず、本日の発表案件です。特定農業振興ゾーンの設定ということで知事から発表させていただきます。よろしくお願いします。


特定農業振興ゾーンを設定します
《資料》 (新しいウィンドウが開きます。)

知事:
 特定農業振興ゾーンというものを奈良県では作りたいと考えております。そのゾーンの設定の発表です。

 農地は自家農業が日本では基本になってきましたけれども、農地を持っている人があるゾーンを形成して、そこで担い手に働いてもらって効率的な農業をしようという発想です。所有者はばらばらでも、ゾーン化することによって効率的な農業ができるのではないかという発想です。川西町、田原本町、広陵町で実現することができます。

 奈良の農業はばらばらして、細かい区域で農業をされている実情がありましたが、そうでありますと、間に後継者がいないと農業ができなかったり、まだらになってしまう。田んぼにしろ畑にしろそういうことでありますので、効率的な農業、良い作物を、特定作物を作って農業の効率性を上げようということです。そのような地域が、地権者の農地を集めることがまず大前提ですが、設定することができました。町と共同してやってきましたが、この地域でしようということになりました。

 ゾーンが設定されますと、整備実施計画を町が策定します。整備実施計画は、どういう作物をどういう人にやってもらうのかということになりますので、できますと地元の代表、土地管理組合のような方と町と県で協定をして事業を実施することになります。この次の段取りは整備実施計画になりますが、それぞれの地域で10月下旬から11月上旬に締結することで調整を進めたいと思います。

司会:
 ありがとうございました。
 それでは、発表案件に関するご質問をよろしくお願いいたします。

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質疑応答

特定農業振興ゾーンを設定します

毎日新聞:
 この時期にこのようなことを実施される狙いをもう少し教えていただきたいことと、将来的に奈良の農業をどのようにしていきたいか、思いを含めてお願いします。

知事:
 大事な質問であります。この時期とは、この季節というよりも、このずっと流れの中でと理解いたしますが、奈良の農業はいろんな課題がありますが、1つは農業の産出額がなかなか上がらない。その背景には、耕作放棄地率が高いといったような事情があります。神奈川県の経営耕地面積と同等だけれども、産出額は半分ぐらいという事情があります。それは効率が悪いというか、高く売れる農業をやってない。野菜などです。近郊にもかかわらず野菜を作って、担い手が、野菜を作ると畑にしなければいけないとか、手間がかかるとかということでありますが、それを振興するためにリーディング品目、チャレンジ品目、特定作物をやりましょうと、こう言ってきたわけですけれども、それは今の農地を前提にして農業振興ということなんですけれども、農地を集約化しないと効率的にならないという事情がどこでもあります。

 奈良県では、農地を集約しようということをずっと数年間進めてきました。それがこういう形で結実したというのがこの時期ということでありますので、突如出てきたことではなく、今まで格闘の結果やっとできたといったような思いです。相当の格闘でありました。奈良県の農地持ちの人は、農地を貸さないという大きな特徴があるのが分かってきました。どうして貸さないんだと、それとともに、貸さないでほったらかしにすると耕作放棄地になりますけれども、耕作放棄地、固定資産税重課制度というものができまして、固定資産税が1.8倍になります。それを実行している市町村が奈良県では桜井市だけなんです。農地としていろいろな投資をしたり、農地の税金はこんなに安いのに耕作放棄にするのは許せない、こういう姿勢だったんですけれども、農地を貸せばそれで済むわけなんです。貸し代のほうが自分で稲を植えるよりも収益が高いということも分かっているんですけれども、土地執着心が強くて貸しもしないというのが奈良県の農地持ちの実情でありました。それを貸してくださいという形でこのゾーンに集積しようということがこの試みであります。もう大変な努力が要ったわけでございますが、それがやっと結実したということであります。

 狙いというのは、そのような農地を集合化して、所有を集合化ではなく、その作業の現場を集合化して、効率的な農業をしようというのが狙いであります。担い手は、いい集合化した農地なら、若い就農者が奈良県でも出てきております。そういう背景もありますので、奈良県の農業非効率のもとは農地であると断定いたしまして、努力をしてきた結果であります。とにかく放棄地になると重課になりますということをもっと意識して、浸透すればいいかと思っています。

毎日新聞:
 そうすると、若い新たに農業される方をこれに従事してもらって、いわゆる後継者育成みたいな背景もあるんですか。

知事:
 そうです。後継者って、その家の方でなくても、何十人も奈良県で農業就農者が出始めているんですけれども、半分ぐらいは非農家のご出身です。今、世の中農家だから農業しなきゃ、嫌々でも、あるいは楽しみながらでもというのと違って、農業好きだよという若者が出てきていることを実感しています。そのような方に農地を与えないと、というようなことを強く思います。農地を自分で持ってほったらかすというのは、私はこれは問題だと思います。農業したい人がいるから、それに貸してくれればいいのにと。まとめて集めるから貸してくださいということを努力してきました。で、この地域でやっとまとまって、町長さん頑張っていただいたと思っています。

毎日新聞:
 川西町、田原本町、広陵町の3町で始まりますが、県内全域に広げていきたいという思いもお持ちですか。

知事:
 上(北)のほうはなかなか、中山間地を借りるとなると難しいところもあるんですけれども、農地がまとまったり平地であったり、ちょっとした上り地であるところはいい畑になる可能性がありますので、そのようなところは高く買ってくれないかなという農地持ちが奈良県多いんですけれども、そういう気持ちは放棄してもらって、必要なところは遊水地に売るか、道路に売るか、農業者に貸すか、割り切って欲しいです。こんな言葉が出るくらい、とても入れ込んでやってきた農業政策、農地政策です。

時事通信:
 報道資料の丸囲みに書いてある26戸、95戸、124戸、これはもう交渉が済んでいるところでしょうか。農家の戸数、土地持ちの戸数だと思うんですけれども。

担当課:
 ここで耕作されている農家数です。

知事:
 今その現状で、耕作されている方あるいは放棄されている方かもしれませんけれども、これだけの戸数の農家がおられるということです。

時事通信:
 26戸、95戸は、交渉済みで納得してもらっているんですか。

知事:
 そういうことで設定ができたということです。内々の内諾を得ているので設定にこぎつけましたということです。この方がもちろん農業を一緒にしてもらうのが一番望ましいわけですが、同じ作物を共同で作ろうとか、そういうことが望ましいので特定作物と言ってますけれども、特定作物を、イチゴとかナスとか、大和野菜、果物のような類いですけれども、それには県が農業試験場とかいろんな応援の仕方がありますので、農地がないと応援の仕方がなかったのでというように今の奈良県の農業の実情がありましたので、とてもうれしいことだと思っています。

時事通信:
 新しく農業を始められる方は応援してもらわないと大変だと思いますが、例えば、応援の方法としてどんなことをお考えですか。

知事:
 農業研究開発センターもありますし、農業大学校で2年間学ばれて、就農したいという若者も出ている。先ほど半数ぐらいは非農家の方だと言っても、農業大学校を出た人で、農地を持たないと、どこか農地のある別の土地へ行ってしまわれますので、奈良の農地で栽培してくださいということを引き合いにしております。

 担い手農地サポートセンターというものがあります。農業のハローワークみたいな所ですけれども、就農希望と土地希望と、そのマッチングということですが、こういうものがあると、ここで農業したいという人をここで農業してもらうことが可能でありますので、そういう就農団体に丸ごとやってもらうということもこれから出てくる可能性もあります。

 そのようなことも効率的であって、すると農地を持っている方は全部貸すんだと、この26戸の人が全部貸すんだという借家農家であっても別におかしくないわけなんです。フランスの農地はそのようになっていますから。農地の形状がすごく大事だということです。

司会:
 発表案件につきまして、ほかにご質問どうでしょうか。よろしいですか。
 それでは、その他の案件も含めましてご質問ございましたら、よろしくお願いいたします。

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ふるさと納税について

時事通信:
 ふるさと納税の件で、野田総務大臣が返礼率が3割を超えるものに規制というか、改正を考えていらっしゃるそうですが、それに対する知事の受けとめはいかがでしょうか。

知事:
 ふるさと納税の返礼、豪華返礼とか競争とか、あるいはふるさとの産品をお返しするわけではなく、他地の産品をお返しするといったことを問題だとおっしゃっているわけで、ふるさと納税の本来の趣旨は納税地を自分で選択できるということでありますけれども、地方税の納税地を選択するのは税制の例外になると思います、そのことを野田大臣は言っておられると思います。所在地に納税しなさいよということが基本だと思うんですけれども、例外的にふるさとというのはどこなのか、あるいは例えばこれをやると地方税の納税場所はどこでもいいんだというように弾力的になるかもしれませんけれども、地方税でなくなりますね。国税の一変形みたいになるという、基本的にふるさと納税は地方税としての制約があると私自身も思っていました。

 それが、ふるさとに納税することは、住居地に納税することと同じ効果があります、そんなに損しませんというのが売りでありました。多少の手間がかかりますが。そのお礼ということで出てきたわけですが、本当は納税だからそんなにお返ししなくても、どうせ税金はどっかに納めるんだから、お返しというのはあまりなくてもいいんじゃないかなと思っておりました。だから奈良県としてはあまり返礼品で頑張らなかった県かもしれないんですけれども、するとあまり集まらないとか、商品につられてそこに納税するというのもちょっと行き過ぎかなと、その本来の趣旨からして、私は思います。

時事通信:
 そうすると、今まであまり力を入れていなかった。

知事:
 奈良県があまり伸びなかった原因かもしれません。

時事通信:
 物はなくても、例えば生駒市はエアコンに使うということですごくたくさん入ってきたとか。

知事:
 そうですね。

時事通信:
 それと、今回の地震とか台風の被災地です。そこに寄付の形で募集したらいっぱい入ってくるとか、そのような形で寄付を募るということはできないでしょうか。

知事:
 テーマを決めてふるさと納税を募る。奈良公園の観光振興、あれはいつの時だったかな、イベントの時だったかな、テーマを決めて寄付の募集をしたら非常に多く集まった経緯があります。事業のテーマを決めて、そこに寄付していただけませんかといったことがありまして、それは大きく伸びたことがあります。一般納税ではなく、テーマに沿った寄付のほうが気持ちにかなうから、してあげるというようになるような感じはいたしました。それが一つだと思います。返礼品競争するよりも、そのテーマ性でお願いしますというほうがまだすっきりするような気がいたします。

時事通信:
 県としても、そちらのほうが良いですか。

知事:
 ええ、今まで多少してきましたですけどね。

時事通信:
 曽爾村・三郷町・明日香村では3割を超える原価のものを送っていたそうで、知事としては望ましいとは思っていらっしゃらないですか。

知事:
 見直しますという感触は伝わってきています。こんなのはふわっとした制度、気持ちの制度ですので、気持ちが通じ合うような税制というのも変なことですが、納税は義務でありますので、どこにするかという選択が今生じているわけですけれども、あまり競争で納税を促進するというのも、何をしているかということにもなりますし、それぞれの市町村の資質にもなりますので、7割でいいですと言っているようなことにもなりますから、5割返品すると、納税5割でいいですということを言っているようになり、納税という観点では行き過ぎだと思います。寄付だと、お礼は5割でもいいかと思うんですけれども。納税ですからと私は思います。

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9月補正予算について

NHK:
 補正予算で9億円をエアコンの整備で県負担することについて込めた思いをお聞かせください。

知事:
 学校のエアコンは、県立学校と市町村とでエアコンの設置義務者、主体が違います。県立あるいは県立養護学校は県でやります。エアコン設置は遅れていましたが、消費税の清算基準が変わったことをきっかけに、この際100%、2校残りますが、しますということをやった。市町村にもお勧めしていましたが、大変暑い夏でありましたので、もう待ったなしという状況になってきました。

 それとまた、奈良市やほかの市から、県に応援要請がありました。基本的には市町村のお役目だとは思います。しかし、緊急性という観点から、県が財政発動すると、緊急な要請に、緊急な事情に応えられるんじゃないかという思いで、やり方として9億円の債務負担をこの9月議会でお願いすることにいたしました。

 債務負担というのは、将来支出の要請があれば、その範囲で出させてもらいますという意味の債務負担の議会議決ということになります。補正予算が国でつけば、それを使ってやるのが一番効率的です。事業費のうち、国の補正予算が3分の1、残りが補正予算債100%充当で5割交付税措置です。残りは市町村負担で、市町村負担の4分の1、奈良モデルの基本スキームである4分の1を県が負担ということになれば、通常、市町村の負担が2分の1になるのが、4分の1になるという試算が出ております。それを使っていただくと大変市町村の負担が軽減されます。そのため補正予算債を使ってしませんかということ、国の方の補正予算はまだこれからですので、3分の1の予算が補正でつくかによると思います。補正がつけばそのように、大変国の財政支援を当てにできることになります。

 この際、たとえば国の補正予算がついても市町村の財政がついていけないからできませんと、こうお手挙げされるとこもあるかもしれません。そこで県が応援するからこの際、補正予算で全部したらということが念頭にあります。

NHK:
 上限9億であれば、100%賄えるということでしょうか。

知事:
 そんな計算だと思っています。今までの事業費が、小・中学校の普通教室で全部で60億程度だと聞いております。3分の1国の助成と、交付税措置と、市町村負担と、この9億で60億の整備ができる計算と聞いております。

NHK:
 じゃあ、来年の夏は、市町村の子供たちはエアコンの効いた教室で過ごせそうでしょうか。

知事:
 あとは工事のタイミングです。工事は単純にエアコン設置というだけでなく、外の工事が要ります。学校の長期休みのときにしますという話なので、春休みでできたらいいんですけど春だと工事者が集中するので夏に間に合わないかもという話は聞いております。すると、夏休み前が今年みたいに暑かった場合、この7月の暑さ過ぎた夏休みに工事が始まるということが場合によりあるかなと心配はしています。

NHK:
 あと、災害関係でも補正予算、台風12号までは対応がありましたが、20号、特に21号でものすごい被害が出ていて、ここへの財政的な補正予算の追加提案とか、そのあたりはどのようにお考えですか。

知事:
 そうですね、台風被害はいつもあります。台風被害が出ますのは道路、河川の被害、それと文化財の被害、それと農業被害、それとライフラインの被害、電気、停電などが発生しています。

 そのうち停電などのライフラインは、今の日本の仕組みだと関西電力が復旧しますということが基本になっていますので、基本的に財政発動は余りないのが実例です。

 農業被害については、農産物の収穫量の減少による損失などは共済でカバーすることが基本になっています。農家の方が共済保険に加入されておられれば、一定の被害額が補てんされますので、おおむねそれでいくという事情が多いように聞いてます。今回もその2つはそのような範囲だと聞いております。

 あと文化財と道路、河川、公共施設ですが、それについては国庫の補助も出ますし、県の補助も出すことが多いです。また国庫の補助が出るということは、その災害査定があるということです。被害の実情と、それを国の執行者に査定してもらいますので、その観点からいうと、9月の議会には間に合わないと聞いてます。

 だから12月議会の補正で文化財と道路、河川の必要な復旧は12月の議会の補正で要求できたらと思っています。

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台風21号被害のインバウンドへの影響について

時事通信:
 台風21号で関西国際空港がちょっとまだ復旧していないというところで、奈良もインバウンド等さまざま影響があると思いますが、知事のちょっとご懸念とか、どういうお考えかお聞かせください。

知事:
 インバウンドの中で、関空の玄関口としての比重はとても大きいように思います。日本は島国だからインバウンドの玄関口として、関空は便利だから集中しておりました。

 すると関空がだめなときにインバウンドの人はどこに行くんだろうか。これは旅行会社の人はとても器用なので、世界中こんなことはしょっちゅうあるので、どこからどう回ってというのは、旅行の作成というのはすごく迅速に、器用にされると聞いております。実際どうなっているのかは業界の話でもありますのでわかりません。

 だからインバウンド全体が、どうですか、衰えてきたという状況なのかどうかわかりません。ニュースは関心持って見てるんですが、関西に入ってくる人はすごく関空がないと大変だとおっしゃる。

 しかし、関空以外から来て回る人がいれば、京都、奈良は、ほかから回る人で間に合うかどうかということだと思います。だから、すると成田や羽田から来て、関西まで来て、また東京から帰られるというようなケースがより多くなるのかどうかというので、インバウンド全体はそんなに減らないよというようなことなのか、やっぱり減るよということなのかだと思います。

 どこか関空以外に着けば、日本に行く計画をキャンセルする率のほうが少ないと見るのは甘いのかな。関西空港に着きたいのに着けなかったからやめたという人が相当いるのかどうかというようなことになります。関空着から羽田着に変更になりますけどいいですかといったら、うん、いいよというような旅行者の動向・行動であればインバウンド全体としてはそれで済むと思っております。

 関西空港に着かないと、大阪にはなかなか来なくなったというようなことになるかもしれないですね。

 インバウンド全体と、もう一つは万博が大丈夫かという風評にならないかと感じております。ことしの11月に万博が決定しますので、余り口で言って風評にならないかと心配すること自身、あんまりいいことじゃないと思っています。どう心配してるのかと、こうお問い合わせだったので、実はインバウンド自体の心配もあるけども、万博への影響を大丈夫かなと思ってました。

毎日新聞:
 関連しますが、インバウンド対策として、さらに取り組むために県として何か仕掛ける工夫とか、お考えの部分はありますか。

 関空がね、とりあえずしばらく使えなくて、一部伊丹なり神戸に振ったとしても一部なので、全体としてはやっぱり減る方向なんでしょう。それでね、成田から入ってくる人たちがふえるのかもしれないですけども、奈良県としては、インバウンドの取り組みのために何か施策なりをお考えの部分って、何かあるんでしょうか。

知事:
 奈良のインバウンドは通過型と言われております。ずっと朝でも見てますと、朝から大仏殿前駐車場に行くバスが、季節がよくなるとひっきりなしで、しばらくするとまた第二阪奈へ帰られます。そうなると奈良は大仏殿だけの滞在かというふうに見えるわけなんですね。

 これをもう少し奈良をゆっくり見てもらおうというのが、かねてからの奈良のインバウンド観光の課題であります。それは時間はかかってますが、滞在型の観光にするというのが宿願、悲願です。

 それを着実にできるようにというのが大要で、一番要るのは宿泊施設だと思います。

 ホテルがあれば、それに伴った宿泊メニュー、観光メニューができます。最近ではね、混んでいるのはうれしいんだけども、ないから、混んでるからというふうに言われますので、やはり施設の整備が必要かと思います。

 これは今までも自業自得で、施設の整備を、これは県の仕事だけじゃないんだけど、民間が全体に投資先になってなかったというのが大きなことであります。これは地域の競争ですので誰も責められません。しかし地域としてそういう観光地に育てるという強い意思が奈良県の地元では薄かったということになると思います。

 インバウンド観光ということを控えて、観光振興しようということであれば、宿泊地、宿泊施設の整備にほとんど尽きると私は思っています。

毎日新聞:
 そうすると、関空、電車は4週間ほどで復旧するという見立てもあります。関空がもとどおりになったときにまたふえるのに備えて、今のうちからそういった宿泊設備なんかを短期的に、整備していくと、特に何かされるというのは、特にお考えないですか。

知事:
 関空の復旧を踏まえてということはありません。宿泊施設と、あと中の移動ですね、文化財中心にたくさん見どころはありますけれども、移動の便を容易にするというのが大きな課題ですね。観光地としてのグレードを上げるということに尽きるんですけれども、今までのおざなりにしていた観光地、恥ずかしながらの観光地だと私は思っております。このため必死で観光グレードアップを図ってきてますが、まだまだだと思っています。

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旧奈良監獄周辺の運用について

NHK:
 きのう上川法務大臣が旧奈良監獄の訪問されて、私も初めて行って、すごい見応えがあり、存在感があるなと思って期待をしたところです。懇談の中で知事は大臣に対して、監獄ホテルと、その隣のドリームランドとを一体的に運用したいという構想を披露されていましたが、何か具体的に進んでいるところがあれば伺いたいんですが。

知事:
 あの地域、鴻ノ池地域ですが、上川法務大臣が来られるというので、きのう東京で陳情活動をしていたんですが、朝終わって帰って表敬に行きました。あの地域、仲川市長も力を入れてくれていますので、全体として盛り上がるような地域になってくると思います。その中で、新しいホテルと鴻ノ池の運動場と、ドリームランドがどのようになるかで、これは民間の開発ですが、いい組み合わせになればと願っています。

 そのいい組み合わせってあんまりコントロールできないですが、願っている内容というのは、ホテルがあって、上のほうが、例えば運動公園的になれば、鴻ノ池のグラウンドの施設とも親和性があって、高台ですので、そこに泊まった人がその上でいろいろレクリエーションするといったことも考えられます。希望としては、アリーナなんかがあり、そこでイベントがあれば、ホテルに泊まってそのイベントを見るという人など、それは相乗的にホテルへ泊まる人とアリーナ業というか興行がマッチするということも考えられると。これは私がこうしようと言ってできるわけじゃありませんが、そうなればいいなと願っているアイデアの一つです。

 上のほうは、市の権限ですが、市の規制上、大きく派手なものは建てられないと思いますが、静かな運動公園、あるいはアリーナのようなもの、運動のアリーナあるいはイベントのアリーナというようなものであれば、新しくできるホテルとマッチするような施設になるんじゃないかなと希望している段階であります。

NHK:
 具体的に何か動き出しているということではなく、希望を披露されたということですか。

知事:
 希望ですね。実際にオーナーと事業者がどのように動かれるか。時々情報が入ってくるんですが、確たるところまではまだ行ってないように見えます。こちらにホテルがあれば、それと親和性のある施設を、と。上のほうも民間事業であると、ある程度経営というのも要りますので、それが調和してくればいいのになと。ぐるっとバスを延伸して、街の方へ来る足の便を図るということもできたらなと、仲川市長とぐるっとバス延伸を一緒にやりましょうかという会話がありました。そのような足の便というのは我々の役目でありますが、新しいホテルだけ、あるいはドリームランドだけというのでなしに、鴻ノ池といろいろイベントができるような地域であれば、ぐるっとバスのルートにもなり得るのかなと個人的には思っています。

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日米知事フォーラムについて

奈良新聞:
 8月の末に、日米知事フォーラムに知事が出席されましたが、具体的に知事がどういうことをお話しされたか、それからそこで知事としての成果がございましたら。

知事:
 日米知事フォーラムって、日米知事会議と言っていたのを知事フォーラムといって、これはダイアログ(対話)しようという会議でしたので、3つのテーマでそれぞれ発表、プレゼンがありました。まず、印象からですが、向こうの知事は、前全米知事会長がラスベガスのネバダ州の知事、それからニューメキシコ州の女性の知事、それからネブラスカ州の副知事、それとケンタッキー州の知事、グアム州の長官その5人が来られました。こちらは鳥取県の知事と私などで、意見交換した印象は、アメリカの知事ってすごく迫力あるなという印象でした。テーマは、それぞれの地域の紹介と、産業・雇用のテーマと人材育成。向こうの関心分野です。

 紹介の内容はともかくとして、産業分野で各知事が言うのは、「私の在任中は雇用を何人確保した、このようにして確保した」というのをすごくアピールしていました。各々そういう仕事は各州の知事の仕事だということをすごく意識されて、こうした、ああした、こうするということを言って、そのために日本の企業を、トヨタでもパナソニックでも誘致したいと、外資導入している。日本の知事は外資導入までそんなに働いたことないなと思って聞いていました。

 もう一つは、人材育成で、例えば印象的だったのは、ケンタッキー州の知事は、牢屋に入っている人をワークフォース、労働力にするためにこういう教育しているんだと、これはすごく印象的だった。日本の知事はそういう権限はないですから、そういうことができたらいいのになと思っています。国の文科省が教育は仕切るということですので、地域の努力というのは余りできない。教育委員会があるし。向こうは知事がほとんど権限を持っているので、こういう教育するよと言ったら実行しているというのはすごくうらやましかったですね。

 ケンタッキー州の知事に、受刑者にどのような教育するんですか、教育する目的は何ですかと言ったら、ライセンスのクレジット(信用)を与えると。「手に職をつけるのは、何かライセンスを与えるということと同義だ」と、こう言う。どういう分野のライセンスですかと聞いたら、建築業のライセンスや農業のライセンス、ケンタッキー州だから田舎のほうだと思いますが、建築とか農業、家を建てたりするのは、手に職があると受刑者も稼ぎがあるから、稼ぎを与えるというのはものすごく大きな仕事だと。移民も多いし。貧乏だと犯罪に向かうのを、それを阻止するためには、雇用して稼ぎを与えるというのはものすごい大きな仕事、もうそればっかり言われているような感じがしました。日本は全体の社会保障があるので、生活保護とかセーフティネットで賄われています。地方創生は、そういうことを地方でせないかんよということに国が変わろうとしているような印象を受けました。

 すると、そういう知事たちがいて、ああ、すごいなと。権限も違うんだな、責任も違うんだなと。受刑者の教育というのはこちらもしたいなと思っていたところなので、きのう上川法務大臣に、「再犯防止の教育をしたいんだけども、こういうことがありました」と言ってたんですが、「それは今度再犯防止法ができて、条例でそういうことができますよ」と上川法務大臣から言われたんで、ああ、そういえばそうだったかと思って。その条例をつくったら教育、再犯防止のための理念的じゃなしに、教育まで知事ができるのかどうか。教育委員会の権限をちょっととる可能性もあるので。しかし、教育委員会が再犯防止の教育をしているわけではありません。障害者の教育はしているんだけど、再犯防止教育とか日本のどこもやってないというのが実情で、県は雇用するということまで踏み込んで、上川法務大臣が知事会で奈良の真似をしなさいと何度かおっしゃっていただいた関係もあるので、割と熱心な知事になっているんですが、まあ頑張りなさいということになるんですが、それを条例でできて、教育ができるような権限があれば、予算つけてでもしたいなと思います。

 どのようにすれば受刑者が再犯防止につながる就労ができるのかということの何かスキルが、教育スキルが要ります。ケンタッキー州知事にどんなふうにしているのか情報頂戴よと言いに行って、あげるよと言われています。あと、誰かフォローしているかどうかということを、確認せないかんですけどね。ケンタッキー州まで行くか、資料送ってもらうかして、米国に先進州があるから、真似しに行かないとと思います。

奈良新聞:
 特に何か成果を感じられましたか。

知事:
 成果というのは、ネバダ州の知事が何度も言ってたんですけど、学び合いだと思うんです。we have learned(私たちは学んだ)と何度も言ったけどね。そういう意味では成果というのは、学ぶこと、今、申し上げたようなことも一つですが、学ぶことは随分ありました。

奈良新聞:
 向こうは何かに感銘を受けたか、知事がおっしゃったことに対して学べたということですか。

知事:
 僕だけじゃなく、ほかの知事もいろいろプレゼンしましたので、それを総合的に学びましたとおっしゃっていたと思います。相互の学び合いですよね。違うことをやっているから、ああ、そういうこともやっているんだということから、じゃあどのようにすれば地域がよくなるか。こちらの学んだことは、今の受刑者だけじゃなしに、マイク・フォーリーというネブラスカ州の副知事と前の晩から会話して、アメリカはトランプ大統領みたいなのが出るのになかなか国が壊れないで、経済も成長しているじゃないのと。何かその仕組みとか強いところがあるんじゃないのというような聞き方をしたんですね。すると、国の役割が、その仕組みが、権限というか、やる分野が分かれていると。ディビジョン(分割)、州の役割が分かれているから、例えば経済における州の役割というのはすごく大きいんだなと。トランプ大統領の経済の役割は、ああいうふうに経済、経済と言っておられますけれども、州の役割が大きくて、その上にアメリカは立っているんだというふうな印象を受けました。

 日本は、中央にトランプ大統領みたいな人が来るとね、日本の経済ががたがたするんじゃないかなと想像しました。中央政府に経済体制が依拠しているところが日本はとても強いと。アメリカは、中央政府に、ワシントンに依拠するんじゃなしに、州知事に経済体制を依拠しているような、依存しているような傾向がすごく大きいと。だから地方地方で頑張ると経済がもつのかなという印象を受けました。

 トランプ大統領があれだけ言われているのに経済が好調なのはどうしてですかということを聞いたんですが、仕組みが違うということを多少学んだことと、もう一つは、先ほどのネバダ州の知事、ネブラスカ州の副知事に「トランプさん支持ですか」ということを聞くと、「そうです」とおっしゃってました。

 だからマスコミでいろいろ報道されているような、トランプ批判もあると思いますが、来た地域の人たちはトランプ派だと言っておられたので、中間選挙がどんなふうに出るかということは、また州によって随分違う。彼らの言い方は、赤い州、青い州と言っていました。両岸は青い州だと、これは民主党系の州だと。真ん中は赤い州だと。これはリパブリカン(共和主義者)の州だ。我々は赤いと、こう言っておられたので、そういう政治的な意識も鮮明ですけど、そんな意識が鮮明であっても、教育・経済は州の責任でやっているのが、中央が向こうは青になったり赤になったりするけれども、それでももつのかなという印象を受けました。

 日本は、中央が変わると経済政策まで随分変わってしまいますよね。すると、経済の振興は何か違うようになるという、そういう意味の脆弱性があるのかなという印象を持ちました。当たっているかどうかわかりませんが、皆さんも関心あるような分野だと思いますけれども、経済を安定させるには、違う安定のさせ方という仕組みがあるのかなという印象を受けました。もう少し調べないとわからないところがありますが、アメリカの知事たちとの接触では、そんな印象を持ちました。

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県立高校再編計画(奈良高校耐震整備)について

関西テレビ:
 県立高校の再編計画についてお聞きしたいんですが、9月の議会にも関連の議案が出てくると思うのですが、端的に言うとこの計画は奈良高校を移転させることが目的じゃないかと言う人がいまだに根強くいます。教育は政治的な中立性が担保されないといけないと思いますが、知事ご自身は、この計画というのはどのようなものだというふうにお考えでしょうか。

知事:
 これはずっと最初から教育委員会の作業を見ていました。前回の再編もそうですが、教育委員会が頑張ったりして調整するしかないと、そういう権能になってます。報告を受けたことはありますが、意見を言ったことはありません。だから教育委員会が全責任をもってやっておられるんだなと思っています。その感想とか、どう見ているかということも含めて、教育委員会がご苦労されているなというふうに見ています。今までの流れは、前回の再編もそうだったのですが、学校の再編というのは教育委員会の活躍の場所というか、やらなければならない一番大きなことなので。施設が要る要らないというのは、それは県が施設の財政を見るので、どうなってもちゃんとみるようにはもちろんなるということを、こんなことまで言ったことはありませんけれども、そのように見てましたということに尽きます。

関西テレビ:
 例えば奈良高校に限って言いますと、夏休み中に奈良市が避難所指定を解除したりとかいう動きもありました。今後それにとどまらず、奈良市が奈良県に対して行政指導を行う可能性も言われているのですが、ここに関しては教育という観点ではなくて、そこに通う人たちの命を守るという立場から、何か耐震性が脆弱なので何らかの対策をとるということもできるのかなと思うのですが、その辺いかがでしょうか。

知事:
 施設については、県の財政が発動するという点があって、施設についての責任は少しあると思います。しかし、どのような施設にするのかというのは、県の教育委員会が明確にしないと、どういうふうにあるべきかというのは、こちらから言うことはありません。耐震化あるいはエアコンも同じですが、教育委員会の要請があって財政支援しましょうか、お金つけましょうかというのが基本ですので、この建物をこうしろよという権能はないと思っています。だから、どういうふうに危ないのかということ、生徒を守るのも教育委員会の大きな役目ですので、それについての意見が出てきた上での調整ということになると思います。

関西テレビ:
 他方、地教行法が改正されて、例えば総合教育会議といった公の場で首長が教育施策に関して意見する場というものはあると思うんですけど、今後そういった場で意見なりをされる考えというのはありますか。

知事:
 施設についての意見ですか。

関西テレビ:
 再編を含めてですけれども。

知事:
 再編は、さっき言ったみたいに教育委員会の専管ですので、それ以上のものはないと思います。

関西テレビ:
 意見はできると思うんですけど。意見もしないと。

知事:
 知事は何も言うことはないですから。

関西テレビ:
 もう全ては教育委員会が考えることと。

知事:
 そうだと思います。

 それでないと教育委員会の値打ちがないじゃないですか。

関西テレビ:
 もちろんそうですけど。

知事:
 アメリカみたいに知事が権限をもっていれば、ああだこうだ……。

関西テレビ:
 ただ、教育長の任命権限は知事にあるわけですから。

知事:
 任命権限と仕事の指示権限は分離されているのが普通ですから。

関西テレビ:
 もう教育委員会に全て任す。

知事:
 ご存じのことだと思いますけれども。

 任命したら全部言うのだったらすごいパワーだけど、そうではないのが普通ですから。

関西テレビ:
 もう教育委員会に任せると。

知事:
 そうですね。

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北海道地震関連

奈良テレビ:
 この前の北海道の地震に関連してなんですけれども、厚真町で大規模な土砂崩れであったり、液状化であったり、あと停電も全ての場所で起きたりと、大変なことになっていました。そういう状況も踏まえて、奈良県内で何か新しく対応なりを考えたり、どこか見直したりとか、そういったことを何か考えていらっしゃることはありますか。

知事:
 県は台風の被害も多少ありましたし、西日本の台風の被害、それと今度の北海道の被害も含め、とりわけ西日本の真備町の被害を受けて、大和川があのようになったら困るという戦慄が走りました。緊急防災大綱をつくるように指示をしています。緊急防災大綱も、北海道の地震前には指示をしていたのですが、西日本のような水害がないようにということで、緊急防災大綱の指示の前に、緊急内水対策をしようということを、今年の6月に指示をして動き出しています。

 緊急内水対策は、大和川が氾濫するのではなく、これは西日本でも改めて出ましたが、真備町の川が逆流して流れ出したというようなことも、余計内水対策が必要だということを確認いたしました。緊急内水対策はやり出して、そこから緊急防災大綱をつくろうということがあって、それは内水中心ですけれども、今度は土砂崩れももちろん緊急防災対策の中に入ってくるので、その項目を整理して、奈良県でやることを列挙して、緊急の対策をつくろうとしている。それはできれば年度内にでも固めて、次のステップにしていきたいと思っています。

 実際に緊急内水対策とか、補正予算でも出れば実行しようというふうに進んでいますので、個別的にはいろいろやっているところはありますし、復旧の段階でより堅固な災害対策にしようということもしております。それをまとめた大綱にしようということですので、個別にはいろいろやっております。

 それは、北海道地震の、あの意味は、インフラの話、ライフラインの話とか地震の液状化という心配とか、いろいろ心配あります。心配ごとが少しでも減災されるように、あるいはカバーできるようにというのが大綱の目的ですので、知恵を絞って、これだけは確保しなくてはいけない。一番大事なのは、大綱をつくったからって、安心が一番いけないと思います。災害に対してはいつもある程度の心配をしてなければいけないと思っていますので、いつも心配しようと。災害というのは思わぬとこで起こるというのが教訓の第一だと思います。岡山の真備町でも、今まで大丈夫だったというのがすごく大きなハザードになって起こってしまった。人命を奪われたというようなことがあるので、安心はしてはいけない。しかし、できるだけリスクを下げるというのが我々のできる最大の分野だというふうに思ってますので、それを防災大綱に、形にまとめて実行していきたいというふうに思っています。

奈良テレビ:
 災害に対しての訓練も、県のほうでもよくされていると思いますが、何かあったとき、やっぱり県とかほかの自治体の役場の方もしんどいのは皆さん同じだと思うのですが、やっぱりそういった役場の方がほかの住んでいる方の避難所を建てたりとか、そういう役割を担ってくると思うんですが、そういった訓練を増やすだとか、そういったことを考えていますか。

知事:
 アイデアの一つですけど、今回の災害を見て、空からの救難とか、物資の補給というのは、これからドローンなんかを使ってやるというのは必要になってくるというのと、もう一つは、避難の仕方で随分助かったところと助からないところ。避難の仕方で助かったところは、自主防災組織が随分機能してきたところである。自主防災組織を整備してくださいと市町村にこう言って、大分、数はふえてきましたが、実際に機能するかどうかということを確認していかなくてはいけないというふうに思います。

 自主防災組織は、防災は防犯にもつながるということを言っておりますが、それを助けるために県の地域防災支援担当者というのを任命しようかと思っています。それは影のコーディネーターというか、そんな感じです。何かのときにはよく使い走りができるような、県の職員あるいはOBを、その地域をいつも見守るように、地域の気遣い役というような意味、名づけておりますけども、防災の知識や経験のある職員が望ましいと思います。これは珍しいやり方ではあろうと思いますが、県の職員を市町村の防災担当とのリエゾンで使っていこうということです。権限はないが、気遣い役だから災害のときは走り回る。走り回れるように日ごろのネットワークをつくっておくというようなことを、このような県の職員あるいは職員OBにお願いしていきたいと思っています。

 その背景には、避難というのは市町村がやることだと、こう決めつけるとうまくいかないことがあるからです。避難も防災のいろんな訓練も含めて、防災の奈良モデルという言い方をしておりますけれども、県と市町村が協働してやることで、漏れこぼしがなくて人命が1人でも救うことになれば、それにこしたことないよという言い方をしています。そのようなネットワークをつくることで人命が救えたら働きがいがあるだろうというふうに、県の職員に対しては、そういう防災に向かうようにということを知恵を絞っています。これをしたから絶対安全だということは、この世界本当にないというように経験しています。これもあれも、あれもこれもやった上で対応する。それやっているところは非常に被害が少ないということになっていることは目に見えてますので、やらないところは被害があったという言い方はちょっとつらい言い方ですけれども、そうなる可能性もありますので、これはサボっちゃいけないからというふうな言い方で、力を入れるようにしています。

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道路の整備について

奈良新聞:
 9月県議会の事前委員会で出てたのですが、今回のいろんな被害も含めてなのでしょうけども、奈良県の知事のお得意分野かもしれませんが、「道路の東西軸を考えたとき、西のほうは第二阪奈があり、南阪奈があり、これから京奈和もできということで関空のほうに向いたのがあるが、東側が基本的には国道25号、名阪国道ぐらいしかないんじゃないかと。名古屋の空港なんかも意識して東西軸というときに、国道163号は津まで行ってますけど、国道165号ぐらいしかないんじゃないかと。もう少し中部圏というのも意識した奈良県の東西交通軸というのは」というような意見がちょっと出てたように聞いてたんですけども、その辺、それから冗談みたいな話ですけども、かつてまぼろしで出てました、「東部山間地域に空港つくったらどうや」というようなことを昔の国会議員やってましたけども、それも関連して、それは冗談みたいに言ってましたけども、東西軸の西が充実の割に、東のほうがちょっと弱いんじゃないかというのはどうですか。

知事:
 インフラとして道路と空港の話が出ましたが、道路は、平時は大変役に立ちますが、地震なんかになると壊れてしまう対象でもあるので、そう当てにならない面もあるというふうに思います。そのときは救援・救難ということになれば、空からの救難・救援がより大きな役目を果たすのではないかというような感覚は持ちます。その観点で、広域防災拠点を五條、自衛隊誘致の延長というか、前段で広域防災拠点をつくったらというふうに共産党さんも言っておられるので、広域防災拠点をしっかりつくるのも一つの大きなポイントかなというふうに、東部かどうかは別にして、空だったら別に川が、ドクターヘリと同じようにどこに拠点があっても、安全なとこに拠点があるというのが大前提で、救難・救助に行けるというような観点でありますので、一つあればもちろんいいかと思いますが、東部もカバーできると思います。

 そのようなことも緊急防災大綱の中に入ってくるかどうかは、ちょっと検討していきたいと思います。

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自民党総裁選について

時事通信:
 自民党の総裁選が今まさにやっているところですが、知事としてどのような議論を総裁選では期待されるでしょうか。

知事:
 議論と結果ということになりますが、日本は経済が安定しないと、いろんな政治が悪くなっていくというふうに思います。これまで安倍さんのおかげかどうかは別にして、経済が非常に安定してきている。デフレ脱却とか、伸びない経済でありますが安定してきているというようなことは、地方の我々行政にとってもありがたいことです。リーマンショックのときは本当に資本が見えなくなって、ホテル誘致に走り回ってましたけども、その地平線に資本の影がないというようなことを実感しましたので、今はわりとインバウンドが出てきて、経済が伸びていくような、伸び率はともかくとして、安定しているというような気がいたします。

 これは政治が経済安定させるか、あるいは地方がするのか、民間がするのか。やっぱり何といっても民間の方の投資ということになると思いますけれども、民間の人の利潤の蓄積が随分たまってきています。たまっても企業は労働分配するのか、投資に配分するのか、CSR(企業の社会的責任)に回すのか、何かしないと企業は常に動いてないといけないので、金を貯めるだけじゃ意味がない主体ではあろうかと私は見ていますが、経済がうまく回るのは、結局資本と資金がどれだけよく回るかということに尽きると思います。政権を担う方は、とにかく日本の場合は経済第一に考えていただきたいなというふうに思っています。

 それは、政権の観点からは、中央官庁に対する指揮ということにもなりますし、アメリカ流に言えば、地方でも経済振興、地方創生という観点になると思います。地方でも経済を伸ばして、地方の雇用ということです。地方の雇用が発生するには、地方に資本が回るようにということ。そのときだけ回るのかって、それも変だから、民間の企業の方が地方創生本部みたいなものを作っていることがよくわかりました。資本が地方を回ると、民間のシンクタンクだとか事業家が、地方にもそういう投資先とか、地方創生の事業を助けてやるよというような気配がありましたので、東京の一極集中を防止するだけではなく、地方が元気になるような政策、これは大きな構造政策になると思うのですが、分権と規制緩和と言っていましたが、分権のほうが大事かなと思います。分権がもっとあると、もっと日本の国が元気になるのかなと、私の立場はそういう立場でもあるということで、その吟味は要ると思います。アメリカの人たちを見ると、トランプさんでもアメリカ経済が元気なんだからということで言えば、誰になっても日本の経済が元気になればいいやというふうにも聞こえるかもしれませんが、とにかく日本の経済が元気になることが外交にも影響あるし、防衛にも影響がある。日本の強みは、経済力の強みだと思います。

 それに文化力の強みというのは本当はあると思います。やはり、皆さんも含めて知的な活動が世界に認められてきている面はあろうかと思います。そのような国柄を東京オリンピックの開会式で存分に発揮できるのかどうかと私個人は思っています。伝統的な、変わった珍しい国だよというふうにプレゼンするのか、文化でも経済でも進んだ国だよということがプレゼンできるのかどうかというのが、今ちょっと試されているような気がします。ある程度自信を持って、日本の持ち味を伸ばすというふうに思ってもらえたらというふうに思います。

 アメリカとかヨーロッパほど日本は、政治的な対立軸はありません。外交でもそんなに差はありません。どちらの候補とも、今申し上げました経済を、経済環境、元気づける環境を維持して、また育てていただくのが、我々の仕事上、また日本の全体にとって望ましいんじゃないかなというふうに私は思っています。

毎日新聞:
 今の所見と絡みますが、知事は自民党員、党籍もお持ちだと思うんですけども、今回、いわゆる投票権があるということなんですが。

どういう観点で、どちらに投票される、あるいはされたのでしょうか。

知事:
 もう自民党じゃなくなっています。

毎日新聞:
 あっ、ないんですか。

知事:
 自民党員を外れました。元自民党員で、週刊自民党とかいうのは来るけどね、元党員だから来るが、党員の資格はない。もう党員はやめました。

毎日新聞:
 いつやめられたんですか。

知事:
 党費を納めてません。あまり発表しなかったですけどね。もう8年も前かもしれません。知事になって1期目で党員をやめたんじゃないかと思います。無所属で出たこともあったかと思いますけれども、今もう党費は払っていません。

司会:
 ほかにご質問はよろしいでしょうか。
 幹事社さんもよろしいでしょうか。
 それでは、これで知事定例記者会見を終わらせていただきます。ありがとうございました。

知事:
 どうもありがとうございました。

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(発言内容については、読みやすくするために、広報広聴課で編集しています。)

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