児童自立支援施設における虐待事案の発生について
県内の児童自立支援施設である県立精華学院において、職員による入所児童への虐待事案が発生したとの通告があったため、施設の職員及び児童等への聞き取り調査等を実施しました。調査内容等をもとに、奈良県社会福祉審議会被措置児童等虐待審査部会(3月27日開催)で審議された結果、以下の2件について、被措置児童等虐待(施設内虐待)であると判断されました。概要は以下のとおりです。
1 虐待事案の概要
事 案 1
(1)発 生 日 平成26年2月7日(金)
(2)場 所 精華学院女子寮内
(3)通告者等 2月13日(木)、精華学院施設長が県こども家庭課へ通告。
(4)加害職員 児童自立支援専門員(40歳代 男性)
(5)被害児童 中学生 女児
(6)概 要 被害児童が加害職員の指導に不満な態度を示し部屋を飛び出たため、
加害職員が連れ戻そうと胸ぐらを掴んだ。その際に爪が本児の体に当
たり首下に裂傷を負わせた。
事 案 2
(1)発生日時 平成26年3月3日(月)
(2)場 所 精華学院本館2階(空き教室)他
(3)通告者等 3月5日(水)、精華学院施設長が県こども家庭課へ通告。
(4)加害職員 児童自立支援専門員(50歳代 男性)
(5)被害児童 中学生 男児4名
(6)概 要 被害児童4名の問題行動が確認されたため、加害職員が被害児童を空き
教室に連れ出し、平手打ちや正座をさせて足蹴りをした。
2 通告日以降の対応
(1)精華学院の職員及び入所児童に対する聞き取り調査
県こども家庭課により、以下の調査を実施
・施設長:虐待の事実確認、虐待通告に対する認識や体制整備の確認
・加害職員:虐待の事実確認、職場環境(施設の体制、入所児童の状況)に対する意識調査
・被害児童:虐待の事実確認、人権侵害の有無の確認、施設生活の満足度調査
・その他職員:虐待の事実確認、職場環境(施設の体制、入所児童の状況)に対する意識調査
・その他の児童:人権侵害の有無の確認、施設生活の満足度調査
(2)「奈良県社会福祉審議会被措置児童等虐待審査部会」(3月27日開催)における審議
・児童福祉法第33条の15第2項の規定により、上記審査部会に報告。
・審議の結果、「事案1」及び「事案2」については、被措置児童等虐待であると判断。
3 今後の対応等
(1)精華学院における職員全体の児童虐待への理解・認識を深めるための研修の定期的な開催や施設全体
の運営体制の見直しを実施
(2)県内の各児童養護施設等に対して、「被措置児童等対応ガイドライン」(H21年3厚生労働省通知)等を
再度配布・説明し、各施設における施設内虐待防止体制の確認と職員の意識強化について指導。