ダニ媒介脳炎は日本ではあまり知られていませんが、日本国内では、北海道でこれまで4例(平成5年(1993年)に1例、平成28年(2016年)に1例、平成29年(2017年)に2例)の発生が報告されています。(北海道の一部地域ににおいてダニ媒介脳炎ウイルスが分布していることが明らかにされています。)
ウイルスを保有するマダニに刺咬されることによって感染します。(逆に言えば、ウイルスを保有したマダニがいない地域では感染がおきません。)また、感染した山羊や羊等の未殺菌の乳を飲んで感染することもあるとされています。
通常、人から人に直接感染することはありません。
なお、一般的に、マダニは、沢に沿った斜面や森林の笹原、牧草地などに生息し、家の中や人の管理の行き届いた場所にはほとんど生息していません。
潜伏期間は、通常7~14日。「中央ヨーロッパ型脳炎」「ロシア春夏脳炎」などいくつかの種類があります。
ロシア春夏脳炎では、高度の頭痛、発熱、悪心などの後、髄膜脳炎に進行し、発症した場合、致死率は20%といわれており、回復しても数割の方で神経学的後遺症が残るとされています。
予防としては、病原体を保有する
マダニに咬まれないようにすることが最も重要です。
草の茂ったようなマダニの生息する場所に入る場合には、長袖、長ズボンを着用すること。(サンダルのような肌を露出するようなものは履かない。)
忌避剤(虫除けスプレー等)を長袖、長ズボンの上から吹きかけるのも、予防効果が上がります。
さらに、野外活動後は入浴し、マダニに刺されていないか確認すること、マダニの咬着が認められた場合は、
皮膚科などでマダニの頭部が残らないように丁寧に除去してもらうことも重要です。
また、世界では、ダニ媒介脳炎の患者は、毎年、6,000人以上発生し、多い年には1万人前後発生しています。中央ヨーロッパおよび東ヨーロッパの多くの国々で流行しています。なお、平成13年(2001年)に、オーストリアに滞在した日本人が滞在中に田舎で感染してお亡くなりになった事例も報告されています。
ダニ媒介脳炎の流行国では、マダニが生息する森林地帯に入るなど、感染する危険性のある方に対して、不活化ワクチン(我が国では未承認)の接種が行われることもあります。日本から流行地に行って野外活動を予定されている場合は、全国の検疫所で渡航前の健康相談を行っておりますので、ご利用ください。また、帰国時に発熱などの症状がある場合は、検疫所の検疫官にご相談ください。
ダニ媒介脳炎について(厚生労働省)
http://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000133077.html
ダニ媒介脳炎に関するQ&A (厚生労働省)
http://www.mhlw.go.jp/bunya/kenkou/kekkaku-kansenshou18/mite_encephalitis.html
ダニ媒介感染症に係る注意喚起について(2017年08月08日事務連絡)
http://www.mhlw.go.jp/file/06-Seisakujouhou-10900000-Kenkoukyoku/0000174219.pdf
(患者情報が掲載された札幌市のプレス記事も含んでいます。)