出会う 奈良県歴史文化資源データベース

奈良の瓦作り用具 ならのかわらつくりようぐ

記入年月日 2017/09/15

軒平瓦の紋様型
役物作り用具(型)
瓦下絵
所在地
大和郡山市矢田町545番地
区分
民俗 | 有形民俗文化財
指定内容
県指定有形民俗文化財

※各歴史文化資源へのご訪問の際は公開日・公開時間・料金等を別途ご確認ください。

歴史文化資源の概要
奈良市西新在家町の瓦宇工業所が収集整理された瓦作り用具及びこれに関連する資料群です。伝統的な瓦作りにおいて、各工程で使用された用具類のほか、雇用、経営関係資料、瓦屋生活用具などをあわせ網羅的、体系的に収集整理されています。 【内訳】 1土取り用具:原料となる土の採取用具 2土打ち用具:粘土を足で練り、これを直方体に積み上げ、瓦の厚さに切りそろえていく工程で使用。 3地瓦作り用具:屋根の平面に使用する各種の型と成形用具類。 4役物作り用具:軒瓦、妻瓦、谷瓦、棟瓦など各種各様の形態の木型、丸瓦を作る用具、成形用の道具類など 5干し物用具:成形の完了した瓦を乾燥させるための用具類 6窯焚き用具:伝統的なダルマ窯で瓦を焼く工程で使用された用具 7瓦下絵:377枚におよぶ鬼瓦などの下絵類 8道具作り用具:カイカタ、チキリオシなど、道具を作るための道具 9瓦屋生活用具:住み込み職人などのための瓦屋での生活用具 10その他雇用、経営関係の文書、帳簿類 【時代】明治時代~昭和  
地域にとって大切な歴史文化資源である、その理由
我が国への瓦の伝来は崇峻元年(588年)に百済から4人の瓦博士が渡来し、飛鳥寺を建立したことに始まる(『日本書紀』)といわれ、その後日本の瓦工により国産瓦が製造されるようになり、日本独自の瓦文化が寺院建築を中心に展開します。室町期は瓦の技術が大きく進歩した時代ですが、法隆寺の瓦大工であった橘吉重は軒瓦の考案者として「日本瓦の中興の祖」とも称されます。勿論、無名であっても優れた瓦工が数多く存在し、今日も遺る本県の数々の貴重な寺院建築の屋根は、各時代の瓦職人の手仕事によって支えられてきたのです。その後、安土桃山期、瓦屋根の一般への普及の契機となった城下町の建設とダルマ窯による燻瓦の製造が始まり、17世紀後半には瓦の大衆化の契機となった桟瓦の発明など、技術の進歩、工夫を重ねながら江戸~明治期に瓦屋根が庶民住宅にまで本格的に普及し、ついに「甍の波と雲の波」とうたわれる日本を象徴する風景を生みました。 本資料は、こうした1400年以上にわたり連綿と承け伝えられた日本の伝統的手作業による瓦作りの最晩期の姿を伝える資料です。各工程の用具が網羅的、体系的に収集されており、第二次大戦後に進んだ機械化や大規模産地の大量生産の影響などにより、全国的にも伝統的な瓦作りが変容、消滅しつつある現状にあって、瓦製造の先進地域であった郷土奈良の瓦作りについて具体的に知ることができる大変貴重な資料です。 
当資源と関連する歴史上の人物とその概要
当資源と関連する文献史料
小林章男、山本脩二『瓦 歴史とデザイン』淡交社 2001年 山本清一『めざすは飛鳥の千年瓦』草思社 2006年 山崎信二『中世瓦の研究』雄山閣出版 2008年  山崎信二『近世瓦の研究』同成社 2008年 森郁夫『ものと人間の文化史100 瓦』法政大学出版会 2001年
他地域の関連する歴史文化資源
京都府指定有形民俗文化財「山城の瓦製作用具 附 製作瓦」391点 京都府(京都府立山城郷土資料館保管)
問い合わせ先
奈良県立民俗博物館
電話番号
0743-53-3171

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