深める 歴史文献で訪ねる奈良

大和名所図会で見る
今昔
立田新宮(現:龍田神社)

図会の左に描かれている川が、もみじの名所として有名な立田川(現・龍田川)です。
左端の小さな橋は、現在では多くの車が行き交う龍田大橋です。立田新宮(現・龍田神社)は右下に描かれています。
構図的に見ると、立田川と一緒に描こうとしたため、神社は小さく描かれていますが、当時の人々の往来の様子が
よくわかります。神社の前を左右に延びる道は龍田越奈良街道で、沿道には多くの民家が描かれ、
名所図会本文には「民家軒をつらねて、龍田町といふ。」と記されています。
現在も、交通量の多い国道25号線の北側に並行し、名所図会当時の名残を今に伝えています。

奈良県立図書情報館所蔵 大和名所圖會より

ここが見所

推古14年(606年)、聖徳太子が法隆寺を建てる際に、龍田明神の
お告げを受けて法隆寺の場所を決めたとされます。
法隆寺の守護神として龍田明神を祀ったことが龍田神社の始まり
とされ、現在も、図会に描かれているとおり、往来に面して
鳥居が立っており、往時を偲ぶことができます。