はじめての万葉集

 

 



 『万葉集』には数多くの植物名が詠みこまれていますが、そのなかでもっとも多く詠まれているのがハギです。百四十一首みられます。
 「萩」という文字は、中国ではカワラヨモギやヒサギをしめす語として使われており、日本でいうハギとは植物が異なります。ハギに「萩」の文字が使われるのは『播磨国風土記(はりまのくにふどき)』が早い例とされていますが、唯 一 の伝本である平安末期の写本では「荻」(禾ではなく犭)となっているため再考の余地があるという指摘があります。『万葉集』でも「萩」の文字は使用されておらず、「芽子(はぎ)」という文字が多く使われています。これは刈りとった根からでも、毎年のように新たな芽が出るという性質をあらわした用字であると考えられています。ちなみに若い葉や茎は栄養価が高く、食べることができるそうです。
 右の歌には「故郷(ふるさと)の豊浦寺(とゆらでら)の尼(あま)の私房(しぼう)にして宴(うたげ)せる歌」という題詞(タイトル)が付いています。甘樫丘(あまかしのおか)の北麓にある豊浦寺にいた尼と交わした歌のひとつです。「明日香川 行き廻る丘」については、雷丘(いかずちのおか)や甘樫丘とする説があり定まっていません。ハギは低木で花弁の小さな植物ですが、万葉びとは高円(たかまど)や春日野などの郊外でも花を観賞しそれが散るのを惜しんでいます。ウメやモミジだけではなく、ハギに強い関心が寄せられているところに、当時の美意識を感じることができるのではないでしょうか。
(本文 万葉文化館 小倉 久美子)


 今回の歌が詠まれた甘樫丘は、大和三山を望む絶好の展望台。その展望台へ続く「万葉の植物園路」という散策コースがあります。この散策コースでは、万葉集や古事記、日本書紀などに出てくる植物をクイズ形式で楽しみながら学ぶことができます。まだまだ暑いですが、万葉の時代の植物を楽しみに行きませんか。
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