流行性耳下腺炎

流行性耳下腺炎について

流行性耳下腺炎は、耳下腺(唾液腺の一つで、耳の前下方にある)が腫脹する感染症です。

耳下腺などの唾液腺が腫脹する1~2日前からウイルス排泄があることから、予防が難しく、集団生活の場で拡がりやすい感染症です。

原因と症状

【原因】

流行性耳下腺炎の原因は、ムンプスウイルスです。

唾液腺が腫脹する1~2日前から腫脹5日後までが最もウイルス排泄量が多いとされています。

【症状】

感染後2~3週間の潜伏期を経て発症します。

主症状は、片側あるいは両側の頬や、あごの下あたりの腫れ、発熱などです。

自然に軽快することから、病原性が低いと思われてしまうことがありますが、無菌性髄膜炎やムンプス難聴、膵炎、睾丸炎、卵巣炎などの合併症を引き起こし、後遺症が残ることもあります。

特にムンプス難聴は治療効果も認められず、聴力が戻らないため注意が必要です。

また、感染しても症状の出ない不顕性感染が3割ほどいるとされています。

感染経路

患者のせき、くしゃみなどでウイルスを含んだ飛沫が飛び散り、周囲のヒトが鼻や口から吸い込み感染します。

また、ウイルスが付着した手で口や鼻に触れて感染することもあります。

予防方法

有効な予防方法は、ワクチン接種です。 任意接種で1歳以上で接種可能です。

現在のワクチン接種率は、決して高いとは言えません。

ワクチン接種による効果は、流行性耳下腺炎の発症率を低下させるだけでなく、発症した場合の症状を軽減させます。

また、ワクチンの副反応として心配されるのが無菌性髄膜炎ですが、頻度は約1000~2000人に一人で、予後は良好と言われています。

治療方法

特別な治療方法はなく、対症療法が行われます。

ものを噛むときに顎に痛みがでることがあります。食事は刺激が少なく、のどごしの良いものをとるようにしましょう。

登園・登校について

耳下腺、顎下腺または舌下腺の腫脹が発現した後5日を経過し、かつ全身状態が良好になるまで出席停止。

お問い合わせ

奈良県感染症情報センター  (奈良県保健研究センター内)

〒633-0062 桜井市粟殿1000
電話番号 0744-47-3183