奈良県感染症情報センター

令和5年3月13日からマスクの着用は個人の判断が基本となります

― 梅毒が拡大しています ―

☆梅毒とは

   梅毒は、梅毒トレポネーマという病原体が原因の感染症で、主に性的接触により感染します。オーラルセックス(口腔性交)やアナルセックス(肛門性交)などでも感染します。梅毒に感染すると、性器や口の中に小豆から指先くらいのただれができたり、手のひらや体中に痛み、かゆみのない発疹ができたりします。自然に症状が消えても、体の中で病原体が潜伏していることがあるため、注意が必要です。治療に有効な抗菌薬がありますが、治療をしないまま放置していると、数年から数十年の間に心臓や血管、脳などの複数の臓器に拡がり、死に至ることもあります。

   2011年頃から全国的に報告数が増加傾向になり、2019年、2020年にはいったん減少したものの、2021年以降は大きく増加しています。男性は20代~50代、女性は20代で報告が多い状況です。

   多数の人と性的接触を持つと感染する(または感染させる)リスクが高まります。また、一度完治しても生涯にわたる免疫(終生免疫)は得られず、再感染する可能性があります。

   予防には、性交渉時のコンドームの適切な使用が重要ですが、コンドームで覆わない部分で感染が起こることもあるため、完全に感染を防ぐことはできません。皮膚や粘膜に異常がある場合は性的接触を控え、医療機関を受診して下さい。

妊娠中の梅毒感染は特に危険です

 妊娠している人が梅毒に感染すると、母親だけでなく胎盤を通じて胎児にも感染し、先天梅毒になることがあります。先天梅毒になると、死産や早産になったり、生まれてくるこどもの神経や骨などに異常をきたしたりすることがあります。生まれたときに症状がなくても、遅れて症状が出ることもあります。

   近年、先天梅毒の報告が多くなっており、2022年には県内での報告もありました。

奈良県の状況

   奈良県も全国同様に梅毒患者の報告は増加しており、2023年は、報告数の多かった2022年を上回る勢いで報告数が増加しています。男性は20代~40代の報告数が増加傾向、女性は10代・20代の報告数が特に増加しています。

症状があるときや不安なときは早めの検査を

   梅毒は、早期発見・早期治療で治る病気です。

   男女ともに、親となる年齢層からの報告が多くなっていますので、注意が必要です

   症状があるときや、不安なときは、パートナーと一緒に必ず検査を受けるようにして下さい。

 

お知らせ

ダニ媒介感染症に係る注意喚起について(ダニ媒介脳炎)UPDATE

 ダニ媒介脳炎は日本ではあまり知られていませんが、日本国内では、北海道でこれまで4例(平成5年(1993年)に1例、平成28年(2016年)に1例、平成29年(2017年)に2例)の発生が報告されています。(北海道の一部地域ににおいてダニ媒介脳炎ウイルスが分布していることが明らかにされています。)
 
 ウイルスを保有するマダニに刺咬されることによって感染します。(逆に言えば、ウイルスを保有したマダニがいない地域では感染がおきません。)また、感染した山羊や羊等の未殺菌の乳を飲んで感染することもあるとされています。
 通常、人から人に直接感染することはありません。
 なお、一般的に、マダニは、沢に沿った斜面や森林の笹原、牧草地などに生息し、家の中や人の管理の行き届いた場所にはほとんど生息していません。
 
 潜伏期間は、通常7~14日。「中央ヨーロッパ型脳炎」「ロシア春夏脳炎」などいくつかの種類があります。
 ロシア春夏脳炎では、高度の頭痛、発熱、悪心などの後、髄膜脳炎に進行し、発症した場合、致死率は20%といわれており、回復しても数割の方で神経学的後遺症が残るとされています。

 予防としては、病原体を保有するマダニに咬まれないようにすることが最も重要です。
 草の茂ったようなマダニの生息する場所に入る場合には、長袖、長ズボンを着用すること。(サンダルのような肌を露出するようなものは履かない。)
 忌避剤(虫除けスプレー等)を長袖、長ズボンの上から吹きかけるのも、予防効果が上がります。

 さらに、野外活動後は入浴し、マダニに刺されていないか確認すること、マダニの咬着が認められた場合は、皮膚科などでマダニの頭部が残らないように丁寧に除去してもらうことも重要です。
 
 また、世界では、ダニ媒介脳炎の患者は、毎年、6,000人以上発生し、多い年には1万人前後発生しています。中央ヨーロッパおよび東ヨーロッパの多くの国々で流行しています。なお、平成13年(2001年)に、オーストリアに滞在した日本人が滞在中に田舎で感染してお亡くなりになった事例も報告されています。
 ダニ媒介脳炎の流行国では、マダニが生息する森林地帯に入るなど、感染する危険性のある方に対して、不活化ワクチン(我が国では未承認)の接種が行われることもあります。日本から流行地に行って野外活動を予定されている場合は、全国の検疫所で渡航前の健康相談を行っておりますので、ご利用ください。また、帰国時に発熱などの症状がある場合は、検疫所の検疫官にご相談ください。


 ダニ媒介脳炎について(厚生労働省)
http://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000133077.html


 ダニ媒介脳炎に関するQ&A (厚生労働省)
http://www.mhlw.go.jp/bunya/kenkou/kekkaku-kansenshou18/mite_encephalitis.html



 ダニ媒介感染症に係る注意喚起について(2017年08月08日事務連絡)
http://www.mhlw.go.jp/file/06-Seisakujouhou-10900000-Kenkoukyoku/0000174219.pdf
(患者情報が掲載された札幌市のプレス記事も含んでいます。)

2022/2023年のインフルエンザ

 2022/2023シーズンのインフルエンザ定点あたり報告数グラフ

お問い合わせ

奈良県感染症情報センター  (奈良県保健研究センター内)

〒633-0062 桜井市粟殿1000
電話番号 0744-47-3183