奈良新聞掲載記事集

令和6年度 奈良新聞掲載「農を楽しむ」

令和5年度 奈良新聞掲載「農を楽しむ」

令和4年度 奈良新聞掲載「農を楽しむ」

令和3年度 奈良新聞掲載「農を楽しむ」

令和2年度 奈良新聞掲載「農を楽しむ」

平成31年度 奈良新聞掲載「農を楽しむ」

果菜類の受粉

 トマトやスイカ、カボチャ、イチゴなどの果実を食べる野菜は果菜類と呼ばれます。これら果菜類を収穫するためには雄しべで作られた花粉が雌しべに付着する受粉が重要です。受粉により果実の肥大が始まります。では、その受粉の方法にはどのようなものがあるのでしょうか。受粉の方法は花の持つ特徴によって変わります。花の種類には両性花と単性花の2つがあります。両性花とは雄しべと雌しべの両方を持つ花です。ナスやトマトは両性花を咲かせ、同じ花の雄しべと雌しべで受粉します。単性花には、雄しべだけを持つ雄花と、雌しべだけを持つ雌花があります。ウリ類のスイカやカボチャはこの単性花です。単性花では雄花の花粉が雌花の雌しべに運ばれなければ受粉が行われません。主な花粉の運び屋は昆虫で、花粉媒介昆虫と呼ばれます。スイカやカボチャでは蜜や花粉を求めて花に寄ってきたアリやハチなどが受粉を行います。ただ、これらの野菜は花が1日しか咲かないため、天気が悪く昆虫の活動が鈍くなると受粉が行われないことがあります。そこで、確実に受粉するために人の手による人工受粉を行います。人工受粉は花が咲いた日の朝に、雄花を雌花に付けることで行います。花粉の寿命が短いので受粉はできるだけ朝早くに行います。両性花でありながら花粉媒介昆虫の手を借りる野菜には、イチゴがあります。イチゴはナスやトマトと違い、1つの花にたくさんの雌しべがあり、全てが受粉しなければ奇形果と呼ばれるいびつな果実になってしまいます。奇形果の発生を防ぐためには雄しべが雌しべの近くにあるだけでは不十分です。そこで、ミツバチが受粉を手伝います。ほぼ全てのイチゴの栽培施設内にミツバチの巣箱が置かれています。イチゴ生産において、美しい果実を収穫するためにミツバチはなくてはならない存在なのです。

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【豆知識】

 イチゴの生産現場で利用されているミツバチですが、低温や日照不足が発生する厳寒期には活動が鈍くなり、奇形果が発生しやすくなることがあります。そこで、奈良県農業研究開発センターではミツバチ以外の花粉媒介昆虫としてヒロズキンバエ(商品名「ビーフライ」)に注目しました。ビーフライは日本全国に生息するハエです。ミツバチの活動温度帯が15~25℃なのに対してビーフライは10~35℃で活動し、日照不足による影響も受けにくいため、厳寒期にミツバチの役割を補完できます。また、ビーフライはイチゴの栽培施設内で蛹から羽化し、施設内で一生を終えるので衛生上の問題はありません。農業研究開発センターでは、ビーフライの蛹を生産・販売する(株)ジャパンマゴットカンパニーとともに、平成24年度よりビーフライ導入のための試験研究を行ってきました。現在、ビーフライは低温や日照不足に悩む全国のイチゴ栽培施設で導入が進んでいます。

平成30年度 奈良新聞掲載「農を楽しむ」



奈良新聞で第2日曜日に連載中の「農を楽しむ」に掲載されたものです。
(平成20年まで「みどりのミニ百科」)
※過去に掲載されたトピックスは時間が経過し、現下と異なる点もございますのでご了承下さい。