奈良新聞掲載記事集

令和6年度 奈良新聞掲載「農を楽しむ」

令和5年度 奈良新聞掲載「農を楽しむ」

令和4年度 奈良新聞掲載「農を楽しむ」

令和3年度 奈良新聞掲載「農を楽しむ」

令和2年度 奈良新聞掲載「農を楽しむ」

お茶の成分と淹れ方

  煎茶を飲んでみると、渋味や苦味、旨味、甘味など様々な味を感じることができます。この味にはカテキン、カフェイン、アミノ酸などの成分が関係しており、お茶の栽培方法や淹れ方によって変化します。お茶の成分の中で含有量が多いのがカテキンです。カテキンは健康効果などで注目されている成分で、お茶の渋味・苦味に関係しています。水には溶けにくく、お湯の温度が低いとなかなか溶け出さないという性質があります。カフェインはお茶の苦味に関係する成分で、覚醒作用や利尿作用があります。お湯の温度が高い場合には容易に溶け出しますが、温度が低いと溶け出しにくい性質があります。テアニンなどのアミノ酸は高級茶に多く含まれる成分で、旨味や甘味に関係しています。アミノ酸は水に溶けやすく、やや低温のお湯にも溶け出します。
 緑茶の中で最もよく飲まれている煎茶は、露天の茶園で栽培したお茶の新芽を摘んだ後、すぐに蒸して製造します。一方、かぶせ茶、玉露、碾茶(抹茶の原料)は茶を摘採する前に茶園に覆いをして栽培します。お茶の旨味成分であるアミノ酸は日光によって渋味や苦味に関係するカテキンに変化する性質があります。このため、覆いをして日光を遮ることにより、アミノ酸を多く含むお茶を作ることができます。
 これらの成分はお茶を淹れる時のお湯の温度によって、溶け出し方が変わり、味も変化します。熱いお湯でお茶を淹れると、カテキンやカフェインをたくさん含んだ渋味や苦味が多いお茶になります。ぬるめのお湯で淹れると、カテキンやカフェインが少なくなり、アミノ酸の旨味や甘味を楽しむことができます。このことから、渋味を楽しむ際は熱めのお湯で、旨味成分を多く含む玉露やかぶせ茶などの高級茶はぬるめのお湯で淹れると良いとされています。お茶の種類や淹れ方の違いで味の変化を楽しんでみてはいかがでしょうか。

茶園が覆われている様子

【豆知識】

急須でお茶を淹れる際のポイントを紹介します。急須に茶葉をいれてお湯を注ぐのですが、急須に直接熱湯を注ぐのではなく、茶碗にお湯を注ぎます。こうすることで、お湯の量を量ることができ、茶碗を温めることもできます。また、茶碗から別の茶碗にお湯を移すと、お湯の温度が下がるので、温度調節ができます。お湯が適温になれば、茶碗から急須に注ぎます。煎茶は70~80℃、かぶせ茶は50~60℃を目安にしてください。抽出時間はお茶の種類によって違いますが、1分程度待って急須から茶碗に注ぎます。複数の茶碗がある場合、それぞれのお茶の濃さが均一になるよう注ぎ分け、最後の一滴まで残さず注ぎきってください。2煎目以降は少し高い温度のお湯を使い、抽出時間を短くしてください。お湯の温度や抽出時間は調節できるので、お好みの味になるよう様々な淹れ方を試してみてください。

平成31年度 奈良新聞掲載「農を楽しむ」

平成30年度 奈良新聞掲載「農を楽しむ」



奈良新聞で第2日曜日に連載中の「農を楽しむ」に掲載されたものです。
(平成20年まで「みどりのミニ百科」)
※過去に掲載されたトピックスは時間が経過し、現下と異なる点もございますのでご了承下さい。