考古学調査が解明する大豪族・葛城氏

金剛・葛城山麓一帯には30ヶ所以上の古代の屋敷や工房、導水設備などの遺跡が確認されている。その範囲は南北約1.7km、東西約1.1kmに及び、主体は古墳時代中期以降の集落遺跡。総称して南郷遺跡群というが、各遺跡の特徴は実に個性豊かだ。

遺跡群南端の南郷大東遺跡は「水辺の祭祀」遺跡。小川を改修し、貯水池から木樋で水を下方へ流す構造は、儀礼の場を想像させた。

四面に庇が付く大型掘立柱建物跡が見つかったのは、極楽寺ヒビキ遺跡。奈良盆地を一望する好立地で、石葺きの護岸を持つ濠で区画されていた。柱痕跡は火災での焼失を提示。『日本書紀』が語る「葛城円(つぶら)大臣の居館か」と話題になったが、政治や祭祀を行う公共施設という説が有力視されている。

その他、カマドを持つ竪穴住居、工房や倉庫群などが確認された遺跡も。各遺跡は機能分化し、有機的に関連を持っていた可能性が極めて高い。

皇后を輩出し、天皇の外戚として勢力を誇った葛城氏。室宮山古墳の築造時とも重なる遺跡群は、古代豪族の姿を明らかにしつつある。

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考古学調査が解明する
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