活かす 歴史を活かす地域の取組

歴史を活かす地域の取組

達磨寺 北葛城郡王寺町

王寺町に伝わる片岡飢人伝説の舞台となった寺です。伝説では、聖徳太子と出会った飢人が達磨大師の化身であったとされています。このような聖徳太子とゆかりのある達磨寺には、木造聖徳太子坐像や木造達磨坐像などの国指定重要文化財をはじめとして、多数の歴史文化資源があります。

聖徳太子伝説の舞台として、観光誘客が実現しています 聖徳太子伝説の舞台として、観光誘客が実現しています

童話執筆から講師まで、達磨寺の魅力発信に幅広く取り組む 岡島永昌氏に聞く
王寺町教育委員会事務局係長(学芸員)。主に奈良の歴史研究に携わり、関連著書多数。最近では、童話「聖徳太子と愛犬雪丸のものがたり」を執筆。観光ボランティアガイド養成講座の講師としても活躍中。 
2017年2月
資料展示室(本堂)

地元のボランティアガイドの方々が、達磨寺の聖徳太子伝説を解説しています

達磨寺は、聖徳太子伝説(片岡飢人伝説)に登場する飢人が達磨大師の化身とされたことから、片岡の地に“達磨”寺として開基されました。本堂の中に資料展示室があり、本尊である木造聖徳太子坐像や、達磨寺にかかわる文化財を見ていただくことができます。原則として土日には、境内で観光ボランティアガイドの方々が解説をしてくれます。観光ボランティア養成講座を実施しており、多くの地元の方々がガイドとして活躍しています。地域の方々が自ら歴史文化資源を広めていこうという取り組みですね。

観光ボランティアガイド

達磨寺の活用により、王寺町=観光地というイメージが広がりました

従来、王寺町には観光地というイメージはありませんでした。しかし、達磨寺を活用することによって、観光誘客が実現しています。例えば、節分の豆まき、4月の達磨会式、11月の燈花会、大晦日の除夜の鐘といった、さまざまなイベントを実施しています。その結果として、今では町外からもたくさんの観光客が訪れるようになりました。

王寺町公式マスコットキャラクター「雪丸」

ゆるキャラや童話を通じて、達磨寺は子どもたちにとって身近な存在となっています

達磨寺には聖徳太子の愛犬雪丸の像がありますが、王寺町の公式マスコットはその雪丸です。雪丸が幼稚園や小学校の運動会に登場すると、子どもたちは大歓声で迎えてくれます。また、2014年には童話「聖徳太子と愛犬雪丸のものがたり」を制作し、これは中学校の読書感想文の課題図書にもなりました。このように、雪丸や聖徳太子ひいては達磨寺は、子どもたちにとって身近な存在となっています

達磨寺のさらなる充実と認知度向上をめざしていきます

達磨寺方丈は江戸時代に建てられましたが、ほぼ当時のままの姿を保っています。今後は修理事業を行い、歴史的な味わいを活かした取り組み、発信を実現したいと考えています。現在、北葛城の4町で「北葛城移住プロジェクト」を実施していますが、歴史文化資源を足がかりとして、住む人にも、訪れる人にもいい町だと思っていただけるように努力していきます。