果樹の育種・栽培に関する研究

カキを中心とした果樹の新品種育成や品種選定を行っています。また、高品質・省力・生産安定技術を開発しています。

新たな高品質甘柿品種の育成

10月下旬~11月上旬に収穫できる優良な甘柿品種がないため、この時期の県オリジナル甘柿の品種の育成に取り組んでいます。具体的には、渋柿と甘柿を交配してできた個体のうち「遺伝子解析」により甘柿と判別した個体を高接ぎし、早期に着果させて品質評価を行っています。また、食べやすい「種なし」品種の育成も始めています。

交配系統A  交配系統B 
交配系統A 交配系統B

ワインに適したブドウ品種の果実品質研究

近年、国産ワインの生産が盛んになりつつありますが、現状、県内にはワイナリーがありません。しかし、奈良県は海外からたくさんの観光客が訪れており、県産ブドウを用いたワインが消費される可能性があることや、県内にワイナリーの創設希望者がいることから、県内の気象条件のもとで栽培可能なワイン醸造用品種の検討を行っています。

モンドブリエ  メルロー 
 モンドブリエ メルロー

脚立を使わないカキの低木栽培技術の開発

カキは樹高が高くなりやすいため、栽培に脚立が必要で作業性が悪く、危険を伴います。近年、カキのわい性台木やジョイント栽培法が開発され、脚立を使わない低木栽培ができるようになりましたが、それぞれ専用苗が必要です。しかし、現状では専用苗は入手しづらいうえ、低木栽培の生産性や省力性は、一部の品種においてしか明らかとなっていません。そこで、奈良県で開発したカキの幼苗接ぎ木や大苗育苗技術を利用した低木栽培専用苗の育成方法や、県内主要品種の低木栽培における収量性、省力性の検討を行っています。

ジョイント栽培  わい性台木による栽培 
 ジョイント栽培  わい性台木による栽培

カキでのチャノキイロアザミウマの効率的防除方法の開発

主に「刀根早生」などの渋柿の果皮に、チャノキイロアザミウマにより帯状の模様が出る被害が平成27年に多発しました。そこで、発生ピーク予測に基づく適期防除の方法について研究しています。

チャノキイロアザミウマ被害果  粘着トラップ 
チャノキイロアザミウマ被害果

粘着トラップによる

発生源・発生消長の調査


ハウス柿の収穫時期予測法の開発

本県のハウス柿栽培は市場シェア約8割を誇りますが、収穫時期を予測・制御する方法がないため、市場から求められている時期に、出荷できていないことがあります。逆に、出荷が集中して単価が下落するといった問題も生じています。そこで、ハウス柿の計画生産・計画出荷を実現するため、収穫時期予測法の開発に取り組んでいます。

ハウス柿果実計測

イチジクの早期出荷のための品種検討

本県のイチジクは県北西部を中心に産地があり、国内第7位のシェアですが、秋果品種の露地栽培が主体です。夏果専用品種は7月から収穫でき、市場での有利販売につながると考えられますが、奈良県に合う品種や仕立て方などは明らかになっていません。そこで、夏果専用品種の適応性や仕立て方、収量性などを調査しています。

イチジクイチジク栽培にかかる調査

ドローンの利用によるカキ傾斜地における防除の省力化

奈良県のカキは傾斜地での栽培が多く、病害虫防除に危険が伴うとともに、大きな労力がかかっています。病害虫の早期発見や農薬散布をドローンから行うことによる防除の効率化・省力化を検討しています。

傾斜地ドローンによる薬散

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