令和元年12月13日(金曜日)知事定例記者会見

司会:
 おはようございます。
 それでは、知事定例記者会見を始めさせていただきます。
 本日の発表案件は、ロンドン大英博物館での「奈良-日本の信仰と美のはじまり」展閉幕についてでございます。
 それでは、知事さん、よろしくお願いいたします。


ロンドン・大英博物館での「奈良-日本の信仰と美のはじまり」閉幕について
《資料》 (新しいウィンドウが開きます。)

知事:
 大英博物館の展覧会が最近終了いたしました。その総括的な報告でございます。
 11月24日に終了いたしました。53日間、大英博物館で開催されました。2つの会場がありまして、一番奥の6階にあります三菱商事日本ギャラリーのRoom93という展示室でした。もう一つは、大英博物館の入口すぐ右手にあります朝日新聞ディスプレイでありました。

 奥のほうのRoom93というのが遠いのでなかなか行ってもらえないかなと思いましたが、そこに8万8,915人来られたということでございます。1階は、朝日新聞ディスプレイ、法隆寺の特集でありましたけど、そこが7万1,734人来られたということでございます。2つの展示室合わせて16万649人が来られたということでございます。

 日本の方、青柳さんとかいろんな方に聞きますと、これだけの方が来られるというのはすごいことだとおっしゃっていただきました。6階の奥までよく9万人近く来られたなというふうに私も思います。

 前回、行く前に東京でプレスの方を集めて記者発表会をしたんですけれども、そのときに会場のプレスの方の一人から「帰国報告をしてください」という意見が出まして、その場で「じゃあ、します」と答えてしまった経緯がありますので、2月7日に東京で特別展示の報告会をしたいと思います。またご案内いたします。前回はプレスの方だけ、それでも東京で100名ぐらい来られたですかね、会場はいっぱいでしたが、今度は一般の方にも参加いただけるシンポジウム形式にしたいと思っております。シンポジウムに特別参加者がおられまして、大英博物館の今回の展覧会の責任者で、日本セクション長をされておられましたティモシー・クラークさん、日本語がお上手ですけども、その方に基調講演、報告をしていただくのと、前回は青柳橿考研所長のコーディネーターのパネルディスカッションがありましたので、同じようなパネルディスカッションもさせていただきたいと思っております。

 なお、ロンドンのジャパンハウスという立派な、まちの中にある展示室で、奈良の伝統工芸品を展示いたしましたけれども、今日13日から県の中小企業会館1階の「きてみてならSHOP」でも展示をすることにしております。
 ご報告は、以上でございます。

朝日新聞:
 大英博物館展について、改めて振り返って、終了してどんな思いかというところと、今後海外での文化財の展示、パリ、ロンドンと、第三弾を考えておられるのかお伺いしたいです。

知事:
 振り返りと、これからというご質問だと。今回、かれこれ四、五年前から、奈良県で奈良の仏像を海外へ展示しようということを発意いたしまして関係者と調整に入っていたわけですけれども、最近、東京の外務省と奈良県との合同のレセプションがありました。いろんな方が来られており、県がよくしましたねということをいろんな方に言っていただきました。文化交流というのは、日本は地方政府があんまりしない傾向がありましたけれども、各国とも、中国は特にそうですけど、地方が文化交流とか文化を発信するケースが増えてきております。奈良県は文化財には恵まれておりますので、これは文化財は奈良県の文化財、奈良に所在する文化財ですけれども、日本を代表する文化財でありますので、それを地元の宝として、歴史もそうですけども、発信するというのは、地域の誇りにもなりますし、地域の振興の一つのやり方だというふうに改めて思いました。関係の方との調整、担当者は苦労してくれましたけれども、やってよかった結果になったと思います。

 これからはということになりますけれども、ほかの地域、例えばアメリカやあるいは中国などからも、同じようなことできませんかというようなお誘いもございますけれども、文化財を持っておられる方は社寺が多いですので、その総括をしながら、この2月7日に総括といいますか、報告会がありますので、そこでも関係者の方からどんな意見が出るかというふうにも思いますし、そのようなご意見をよく聞きながら、次のことも考えていきたいなと思っております。まだ何も決めておりませんけれども、今後もあり得るようにも思います。

 また、苦労はありましたけれども、この大英、ギメの反応を見ておりますと、やはり奈良の歴史、文化財、日本の文化財がとても国際交流の中でもたらされたということはよくわかりますし、それを評価される方が世界におられるということがよくわかりました。ロンドンにもおられますし、アメリカの大学から大英博に招かれたモース教授のお話がとても印象的でした。日本の文化財、特に飛鳥から随分詳しく歴史の背景も含めてよく知っておられたので感銘いたしましたですけど、世界にはそういう目きき、コネッサーという呼び方されるらしいですけども、目ききがおられるということがわかりましたので、そのような方々の目に触れて我々も学ぶというのも、一つのやり方のパターンかなというふうに理解いたしました。関係の皆様のご協力にはとても感謝をしております。以上でございます。

朝日新聞:
 ちょっと関連で。16万人という数字は、例えばほかの日本関連の展覧会と比べてどうなんでしょうか。

知事:
 どうですかね、ちょっと手元には比較して持っておりません。またちょっと調べられたら、調べて報告いたします。関係者からとても多かったんだよと言っていただいたので、そのまま鵜呑みにしておりますけれども。

時事通信:
 今回、東大寺から法隆寺から薬師寺から、たくさんのお寺さん等々来ていただきまして、その間の調整ですとか、またそもそも仏像を海外に持っていくこと自体が結構難儀なことだと思いますけれども、今回知事の感じられたそういった苦労話ですか、一つ何かあればお願いします。

知事:
 奈良の仏像、ほかの美術品もありますけども、そのお寺にとってはかけがえのないものでありますので、やはり一ヶ月でも二ヶ月でも行くのは大変だということでございました。苦労話というとあれですけど、一つは、文化財はその所有者のもとを60日離れてはいけないという国の規則がありまして、60日ルールと言われるものですけど、それを、壊れやすい紙など、仏像などと、鉄でできた、金属でできたものも同じ扱いするのはおかしいじゃないかという意見も出ておりまして、ルールを改訂する議論が進みました。それも一つの今回の思い出話であります。

 それと、所有者の方が、かけがえのないものを持っていくのは許してくださいというようなお話がありました。ご本尊を持っていくということにもなると大変だということはありましたけど、しかし、海外に行って説明したのは、まだまだ奈良には持ってこれなかった立派なものがありますよと、それは奈良に来て見てくださいという言い方をいたしました。

 持っていったものも立派なものでございますけども、奈良には同等またはそれ以上のものがございますので、そのことを申し上げました。ご本尊に近いものを持ち出すというのはなかなか大変だなとは思いますので、これからも大変だなと思いますけれども。仏像はそれほど価値の高いもの、そもそも信仰の対象でございます。一方で、例えば大英にはいろんな人が来るわけですよね。16万人もの人、日本人がどっと行くという風情じゃなしに、もうアフリカの人も中東の人もアメリカの人も来られるわけですから、そのような世界中からの人々に触れてもらうチャンスというのはなかなかないわけであります。多くの人々が、あそこで見たからまた日本に行こうとか、奈良に行こうとか、その経験が重なると日本文化の味わい方がまた違ってくるということは容易に想像できましたので、文化財というのはすごく威力がある。奈良にお客さんが来るというだけじゃなしに、日本への理解が深まるという、また深めたいと思っておられる人が世界におられるということがよくわかりました。

 苦労話じゃなしに、よかったなの結果の話ですけど、出陳される側の方のご苦労を思いますと、出していただいて感謝しています。大変な面もおありになったと思います。かけがえのないものですので、無事に帰ってこられたのでよかったという面もありますけれども。

 苦労話は何かというご質問でありましたけども、多少あったように思うんですけども、よくできましたという気持ちに押されてちょっと忘れてしまった面もございます。今のところはそんな感じの印象ですね。

NHK:
 朝日新聞さんの質問に重複してしまい、大変恐縮なんですけれども、期間中、延べ16万人を超える方が来られたということで、これからの比較する数字については見ていかれるということと、関係者からよく来られたなというふうに言っていただいたということなんですけれども、知事ご自身は、この数字自体を率直にどう受けとめていらっしゃるのか、どう評価していらっしゃるのかとを、改めてお伺いしたいなと思います。

知事:
 数字は数字ですから、たくさんですよと言われたらありがたいと思いますけども、数字で勝負しているわけじゃありませんので、与えた感動がどうなのかなというふうに気にしております。それには反響があったように思いますので、人々に与えた反響とかというのは、どこでどのように現れるか、たどってみると楽しみなことがあります。どのようにあのとき見たんだよという思いは、文化財のインパクトってすごいですから。大英は毎日いろんな人が無料で出入りされますので、たくさんある文化財の中でどこに行っても自由なわけですから。特別展というか、これだけやっている、全館これだけじゃないんですよ。毎日ものすごいたくさんの文化財がある中で、この奥に訪れられたなという感慨があります。数字の評価は皆さんお得意だから、どうぞしていただけたらと思いますけれども、私はそんなことよりも、これほどの数字分だけ受けた感銘が掛け合わされるということになればすごいことだなというふうに思いますですね。どんなふうに感銘を与えたのかなというふうに想像いたします。きっとすごいインパクトを与えたように思いますですよね。

 それは、もう一つの言い方で、青柳さんとか日本の関係者に言っていただいたんですけれども、これだけ素晴らしい文化財を持っていったことに対して、大英博物館のフィッシャー館長を始め、本気になって向こうのコレクションも展示していただいたと。大英が持っております展示物もあったんですね。例えば、金堂壁画の昔の模写を1階のギャラリーの奥に飾ってありました。これも初めて、彬子殿下が発見されて、これ素晴らしいじゃないのとおっしゃっいました。今回表装されて初めての公開となりましたけれども、そんなものも感銘を与えたんじゃないかなと思います。やっぱり見るとすごいですよね。私も見て、すごかったですけれども、そんな感じですね。

毎日新聞:
 先ほどお話の中で、アメリカとか中国とかで同じことできませんかというお誘いがあったということなんですけど、同じような仏像の展示していただけませんかというお誘いを受けられたということなんですか。

知事:
 大英、ギメに行ったので、奈良にいろんな文化財があるじゃないですかというふうにちょっとお誘いが届いております。美術館をされているような方々ですけどね、それはまだ非公式というか、こういうような行事を聞かれてそんな話があったという程度ですので、まだそんなに、いつ来るんだとか、そんな詰めた話ではまだ伝わってませんけども、そのうちまたいろんなことが出るかもしれません。

毎日新聞:
 その来年2月の総括のときも踏まえてというお話がありましたけども、今後も海外で、大英博物館にて展示されたわけなんですけども、こういった仏像の展示をしていきたいという思いが知事としてあるのかということと、あとは、今回インパクトを与えられたわけなので、奈良のほうに今度来てもらうという、その仕掛けづくりについてどのようにお考えか、お聞かせ願えますか。

知事:
 文化財は奈良にありますよということを宣伝するわけですけども、これは日本の歴史を代表するような文化財ですので、奈良に来てもらうのはうれしいですけれども、日本の理解がすごく広まる、このような1000年以上もたった文化財を、奈良というところは、あるいは日本の一隅は大事に持っているんですよというのが、一番大事なメッセージだったのかなと私は思っています。

 もとは仏像も仏教とともに到来したものでありますけれども、ずっと跡をたどろうかという文化財探訪の動きにもつながってくると思います。シルクロードということになりますけども、ずっと同じような仏像、壁画が敦煌とかガンダーラにあるんですけども、美術史の人がおっしゃるのは、日本に来ると、後でできたということかもしれないけど、どんどん造形の質が上がっているらしいんですね。遠くへ行くと下がるんじゃなしに、美術は遠くに行くと上がってくることもあるというふうに美術史の学会ではおっしゃるものですから、その一番高まりをみせたのが奈良にたまたま残っているというのはすごいことかなと、改めて私みたいな素人ですから余計に思いましたですね。だからそのようなものを、やはり世界の多くの人に見てもらうのが大変貴重なことだなというふうに思いますね。

 カタログで見るのと実物で見られるのとやっぱり随分違いますし、大英のようなところは、ほかの美術品がもうわんさかとある中で、相応の感銘を与えているような気がいたしましたので、ほかのギャラリーの、その途中とか横にたくさんあるんですけども、私の感じだと全然引けを取らない、メッセージ性がすごいですよね。例えばエジプトのツタンカーメンみたいな、すごくゴージャスな仮面が途中のとこにあるんですけど、その手前に夢違観音があってほほ笑んでおられるというのはすごいメッセージですよね。また違うタイプの美術品が大英に並んだというのは、大英のフィッシャー館長も評価されておられましたね。青柳さんの言葉だと、大英が本当に本気になっておつき合いしてくれたという言い方されてましたので、ああ、それほどに意義があったのかと、改めて私なんかは思った次第です。

毎日新聞:
 ご質問に余り答えられてなかったと思うんですけど。

知事:
 精いっぱいいつも答えてます。

毎日新聞:
 海外でも同じような展示をしていきたいというようなお考えがあるのかということと、奈良の誘客についてはどのようにお考えですか。

知事:
 だから後のほうは、奈良へ来ていただいてもありがたいけども、理解を深めるほうはもっと大事ですよというお答えになる。そういうストレートに言わなかっただけですので、ぜひ忖度していただき、また出すかというと、そのように評価してますので、機会があればというふうに思いますですけどね。その程度ですので、先ほどみたいに具体的に次はいつ、どこというわけにはまだなっていませんがということです。

毎日新聞:
 わかりました。

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平城宮跡南側の公園整備について

産経新聞:
 平城宮跡の南側の積水の土地ですけども、4.9ヘクタール全体を公園化するというふうにもう決められたんでしょうか。

知事:
 それで調整に入ってます。

産経新聞:
 ちょっと前までは、その3分の2だか半分だかという一定の部分は民間の活用というのを考えられていたと思うんですけども、そこから方向が転換したということなんですか。

知事:
 そうですね、民間の活用で商業施設かホテルかとかというふうに、奈良市役所でもと提示したこともありましたけれども、相当広大ですので。一方、朱雀大路は三条通りまで延ばしたいということで、スミソニアンという大通りがワシントンにあり、それを想像してという提案だったんですけれども。南のほうはまだ引き合いもありますけれども、あそこは積水化学の工場が撤去されるとすごい見晴らしですよね。平城宮跡の意味が余計にわかったのかなという、そういう意見の方もおられました。

 一方で、朱雀大路にする東側の一部と、北のほう、平城宮跡歴史公園の一部にしてもらうという交渉を国のほうに続けておりました。国のほうは、公園にしてもらうと、整備費、取得費も含めて、国の補助が出るんですね。一部だけじゃなしに、多分向こうのほうから、国のほう、都市局のほうですけれども、全部公園でもいいじゃないかという話が途中で出たかもしれません。ちょっと確認していませんけれども。全体を平城宮跡歴史公園を拡大するというような意向が、国のほうから割と温かいメッセージがあったと思われます。それは、むしろ平城宮跡歴史公園の拡張というのはなかなかできないだろうと思って商業施設と思っていたところもあったんですよね。ところが、三条通りまで平城宮跡歴史公園になったら、それのほうがいいんじゃないかと、国のほうもそういう意向であればというようなのが、最近の転換の一番大きな理由であります、私にとりましては。

 だから、それが調整中になっていますのは、平城宮跡歴史公園の国庫補助がどこまで出るのかというのとも関係しております。調整中というのは、それも含めて調整中ですけれども、国は補助を出すよと言ったけどそれ取得できるのかということにもなりますので、両方調整しなければいけないと。調整は、国の公園当局、それから持ち主の積水化学、それから奈良市ということになりますが、積水化学には全部公園として取得できますかということを申し入れましたところ、前向きな姿勢です。最近前向きで、いいじゃないですかというような反応があったというふうに聞いています。あとは奈良市がそれでいいかということを調整しなきゃいけませんので、今、調整に入っているというふうに聞きます。だから、国の公園当局、それから持ち主の積水化学、奈良市が公園でいいじゃないのというふうになれば、大変いいパターンになるというふうに思っています。今日の時点では、今申し上げたように調整中であります。割と前向きな方向での調整になっているというふうに思いますが、来年度予算の策定までにはけりがつくと思いますので、その良い調整の結果になりましたら、来年度予算に反映できたらと思います。

産経新聞:
 すみません、関連で。そうしたら、最初からあそこの積水化学の土地は国営公園指定を目指すということですか。それとも一旦県営公園にしておいて、協議をして国営にするか。

知事:
 県営公園なんですけど、平城宮跡歴史公園の一部ということで、国営公園は北の朱雀門までですけど、南西の施設、あれが一応県営公園になっているんです。ただ、国の補助が出ますので、国営公園隣接、バッファゾーンと呼ばれるところですけれども、バッファゾーンはある程度あったほうが世界遺産にとってもいいかという面もありますので、国の公園ご当局も、そのような整備であればという感触が出始めたのかなと理解しています。それは平城宮跡の値打ちが上がる方向だと思います。

 最初の積水化学の工場跡地のいきさつは、全体を子会社の建売住宅にしようと、そうなってしまうとそれで終わってしまうので、急遽ちょっと待ってくださいと申し入れたら、積水化学は大変温情的なご理解がありまして、よく考えましょうと言っていただいた経緯があります。

 しからば、建て売りよりもホテルとか、公園隣接という意味でもいいんじゃないかと思ってホテルなんかに物色したら、結構反応はあるんですけど、まだちょっと不便かなという、まだコンベンションとかホールとかホテルがあのあたりまで進出してきたり、さらに積水化学の周りの北の方も整備途上ですので、姿がはっきり見えない。南門とか朱雀大路の東側とか、今、事業進行中ですけど、まだはっきり見えないので、南の方にホテルとか商業施設の、周りには大きな三条通りがありますから、関心はそれなりにあったと思います。けれども、それに決めるのを慎重に構えていたわけです。そのような中で、あそこをとれると、南から見ましたけど、朱雀門、南門、大極殿と一直線に見られるのですが、これはすばらしい眺めだなと見晴らしがよくなってと私も最近思いました。

 すると、国の公園のほうは、バッファゾーンということもありますし、公園にするならば補助対象にもなり得る可能性がありますよとメッセージが多少来て、決定的じゃないですけど、そのような中で公園としてずっと突き抜けるのもいいんじゃないかと思い至ったという経緯です。

産経新聞:
 4.9ヘクタールのうち、一番東側の部分が朱雀大路が重なるわけですね。

知事:
 そうですね。

産経新聞:
 で、西側というか、朱雀大路が重なる部分は東の一部というか、大部分はそれ以外になるので、その部分の整備というのは、まだこれからの話し合いですけど、どうするのかなというのは。

知事:
 これからですね。例の近鉄線の移設に伴いまして、北のほうは朱雀門前駅の用地として確保できるかというためにも、県は取得しておきたいと前から積水化学には申し入れていました。だから北の方と東側は県が自ら取得したい意向ですよと申し入れてましたので、東のほうは朱雀大路の延長、北の方はその一時駐車場、バスターミナルの駐機場あるいは大宮通りの駐車場、朱雀門のにぎわいの駐車場、あそこは駐車場が余りありませんのでという活用も可能じゃないかと、県が取得してそのような活用をしようということを積水化学に申し入れてました。市も、その方向でいいでしょうということでした。

 南の方はまだ決まっていなかったわけですね。商業施設にするか、ホテルにするか。真ん中に東から来ている細い道路があるんです。それを延長して、朱雀門前の駅のにぎわいの通路にするという構想も一応伝えてましたけど、それがもしできたら、一つの区切りにしてと思ってましたけど、今度はそのにぎわいの通路、天平小路と勝手に名前つけてますけど、天平小路のような昔の館の間の通路みたいにもなりますけど、あるいは市井のにぎわい、天平時代のにぎわいというような商業的なにぎわいも可能かと思っておりました。それは構想として市とか積水化学にも言ってました。国の公園当局にもアイデアとしては言ってました。

 で、南の方がまだ決まっていなかったわけですけど、今回折衝の詳細はよく報告聞いてないんですけど、国のほうでも南まで公園の対象にしてもというご示唆もあったとも聞きますので、それだったら公園全部にしても、これは立派な公園になるなと確信しましたので、その方向で調整に入っている段階です。

産経新聞:
 そうすると、民営としてやるのがうまくいかなそうだとか、そういうことでもないですか。

知事:
 そういうことでもないです。私の考えじゃ、あそこの横にまだ、空き地じゃありませんけれど、商業地がたくさんありますから、商業地はいろんなのに変わっていきますので、朱雀大路はずっと突き抜けても、その横をいろんな商業施設になっても、立派なまちになるんじゃないかと私は思っています。それはまちの使途を調整せないかん、三条通りと大宮通り、朱雀門あるいは平城宮跡の南がどんな風情にすればいいかという議論になりますけれど、その真ん中の朱雀大路はずっと見晴らしがよくて、その横は商業施設、ホテルなどが建っても眺望を阻害しないんじゃないかという感覚ですよね。

産経新聞:
 これまで、平城宮跡はほぼ丸々残っていますけども、平城京というエリアがね。

知事:
 それは相当広いですね。

産経新聞:
 おっしゃるとおり、市井などという、そういうのがあれだけ大きく残る場所はほかにない。

知事:
 現にないですよ。しかも現地ですから。長安の都も平安京も、現地がわからないですから。

産経新聞:
 そうなると、その復原というものが一つの可能性としては大きいんですか。

知事:
 いや、これも議論になると思いますが、復原というのは、映像で出てますけど、あのあたりは貴族の館が並んでいますよね。それでいいのか、それを想像して公園という形で見晴らしがいいのか。ここは貴族の館でしたということを、今はバーチャルで見れるようになっていますね。こういう朱雀大路があると、外しても朱雀大路が見えるとね。これはすごく迫力あると思いますよね。これだけ大きな大路を710年につくったというのは、すごいなと思いますよね。そんな大路自身は、長安でも大きな門はありますけど、大路というのはあまりないですよね。新しくつくったのは、北京でも天安門広場とかありますけど、ああいう今の首都の道路ですから、昔のところに昔の様子を復原するというのは余りないように思いますので、それなりに値打ちかなと思います。

産経新聞:
 だから面的に、豪族の屋敷があったのか、あるいは官庁街の一部だったのか、入り組んでのことはしないですけど、そういうものを全体的に復原する可能性というのは。

知事:
 それもあるんだけど、議論しなければいけないと思います。塀とか立って、屋敷自身はなかなか分からないところがあるんですよね。塀は想像して、映像にはありますけど、そんな塀だったかどうかも分かりませんしね。瓦がみんな貴族の塀に乗っていたかも正直まだわかりませんので、屋敷があったことは確かですよね、その屋敷跡はありますから。イトーヨーカドー(現ミ・ナーラ)の地下も貴族の遺構がありますから、相当の位の人の屋敷が平城宮の周りにあって平城京を構成してたことは書物で分かりますけど、大概ビルが建ったりしているわけで、三条大路や大宮二条や一条があったりというのが、大極殿があったというのは不思議な残り方だと思いますけど、現地に残っているというのは一つの貴重なことだと思っています。

産経新聞:
 繰り返しになりますけど、この全体を公園化するというのは、初めからできたらいいなという思いはあったんですか。

知事:
 そうですね。

産経新聞:
 だけど、それは難しいだろうかと。

知事:
 難しいと思ってました。

産経新聞:
 思っていたら……。

知事:
 積水化学さんが、壊すよと。セキスイハイムに建売住宅を建てるよと、それは所有権ですからできるんですけど、いや、もったいないからといって申し込んだら、じゃあ、辞めましょうとおっしゃっていただいたのがすごい温情だったと思います。そこから話が始まって、朱雀大路南進構想というのが、気持ちの上でも進んできた経緯だと思っています。

産経新聞:
 そこは確認しないといけないんですけど、国のほうがそこの価値というのを認めて。

知事:
 折衝の経緯は詳細には知らないんですけど、あそこを国営公園の隣接県営公園になりますけど、という方向でも何かいいんじゃないかという感触が出てるという報告を受けた結果、そうなるならと転換したのが実際の経緯、それはごく最近のことですので。

産経新聞:
 最後に1点、先ほど県営とか国営という話がありましたけど、あれは4.9ヘクタール全体が国営というイメージか、それとも。

知事:
 国営公園の部分は10分の10、100%国が整備します、南門もそうですけど。

産経新聞:
 ああ、そうか、これはそういうことですね。

知事:
 ええ。朱雀大路、朱雀門の東側にいざない館というのを国が100%整備されています。その西のほうは国営公園に続く県営公園になっています。それは予算的には県営公園に対して大体5割補助が出ます。それが大変ありがたい。蛸庵というお好み焼き屋のある東側ですけど、これは体験学習館、どのように整備するかという構想は国と調整してやりましょうということで絵ができてきているということです。

 それに沿ってやっているわけですけど、その東の蛸庵のほうは、体験学習館にしましょうと。これは実物大正倉院殿を置いたらどうですかという議論が進んで、まだ決まってないと聞いてます。そういう議論が検討委員会で進んでると聞いてます。(大宮通りから)南の方はまだ何も決まってなかったんですけど、県営公園として南のほうも、朱雀大路があったところですから、朱雀大路の今まで東側だけだったんですけど、同じような発想で西側だけでもまず復原したいと希望は伝えておりましたし、積水化学にも、そこは用地買収してでもつくりたいと言って、それには積水化学も賛同していただいていたわけですけど。

産経新聞:
 大体その4.9ヘクタールというのは、土地の形でいったら大体正方形の感じですよね。そのうち県営と国営が分かれて。

知事:
 そうですね、中心部は国営。

産経新聞:
 中心部が国営。

知事:
 明日香もそうですけど、国営公園ですけど、国営でなっている部分と明日香村が管理というか所有している部分もあります。

担当課:
 すみません、南側の4.9に限っての話でいえば、全て県営で。

産経新聞:
 あ、そうなんですか。

知事:
 そうです。

担当課:
 北側の朱雀大路とかがある部分については、今、知事がおっしゃったように真ん中が国営で、県営が挟んでいる形になります。

知事:
 中心部は国営って、いざない館が国営と。

産経新聞:
 わかりました。ありがとうございます。

担当課:
 今からやるのは全て県営です。国から補助をいただいた上でという。

知事:
 そうそう、今の。

産経新聞:
 今、知事がおっしゃったのは、それは北側の話。

担当課:
 全体を含めての話をおっしゃった。

知事:
 朱雀門の北側を国営。言い方が変だったですか、すみません。

読売新聞:
 南側の公園整備、県営公園ですが、これは現時点ではいつ完成予定ですか。

知事:
 いや、まだ具体的な目途は立ってない。先ほど申し上げましたように、所有者との調整、これは前向きに進んでいる。市との調整、で、国との調整。すぐに補助が出なくても、そういう公園にするよということがありましたら、普通だったら半額補助が出る対象になりますので、ある程度感触が得られましたら、来年度予算でその感触を踏まえて措置すると。来年度予算で何するかはまだこれからですけど、所有者の方で今、工場が大分撤去されましたので、あとの地面の整備とかされると思いますので、それがどのくらいかかるのかもまだ存じませんので、それを確かめて、段取りを決めていくことになると思います。

産経新聞:
 そうすると、もしその調整がついた場合、来年度予算に入るのは、土地の取得費。

知事:
 取得ということになりますね。それは積水との調整になると思いますけど。

産経新聞:
 それと、今後そこをどうしていくかを考えないといけない。

知事:
 そういうことですね、それの検討委員会みたいなのは。

産経新聞:
 そういう検討委員会の費用なんかが入ってくる。

知事:
 今の想定ですけども、急に進んだ面がありますので。

産経新聞:
 わかりました。

毎日新聞:
 さっきの質問で1問だけなんですが、その北側の今後近鉄の移設を踏まえた朱雀門前駅というのは、方針は変わらず、駐車場と。

知事:
 県の方針は変わってないです。

毎日新聞:
 話がつけばですけど、もし来れば、それも見据えた、とりあえず駐車場にしておくという考えは変わらないままですか。

知事:
 変わらない。

毎日新聞:
 その全体を県営公園にして。

知事:
 駐車場、駐機場ですね、当面利用ということになります。将来利用になるかもしれませんけど、駅が来ても利用できれば、駐車場があってもあのあたりはいいかなと思っていますけど、平城宮跡の利用が朱雀門とか南のほうに来られる方がありましたら。それと、青バスの連結の構想がつながってますので、青バスが近鉄大和西大寺駅の南口から出ますと、西大寺駅南口から大仏殿前にピストンで往復するパターンになりますので、その鉄道が来る前にも平城宮跡、朱雀門前は大きなスポットになってくると思います。南口も1年ぐらいで整備されると聞いてますけど、そうなりますと、この大宮通りのにぎわいが、コンベンション、ホテルが行くのと、さらに西の平城宮跡前に行くというイメージになってくると思います。


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奈良県内における政治意識調査について

毎日新聞:
 政治意識調査でございますが、知事が議会で答弁いただけなかった部分ですが、県の統計分析専門員の方、近畿大学の先生だそうですけども、そのご指摘が10月15日、つまり調査の開始日の前日にあったわけですけども、この指摘をまず知事がお知りになったのはいつでしょうか。

知事:
 報道ですね、あれは。報道が出て知りました。
 統計分析専門員の長年していただいている方ですけども、あれはもう一度確かめられたらいいと思いますよ。安孫子さんという立派な先生ですけども、どういう意味であのような言い方をされたのかというのをね。あれは文書で聞いた跡が残っていて、文書公開されてわかったということです。そこから報道がありまして、文書公開してましたというので、私のところに来たんですけれども。そのような経緯ですので、報道で知ったということです。安孫子さんは立派な先生ですので、どういう意味で言われたのかをもう一回確かめられたほうがいいと思います。こちらで確かめないといけないじゃないかと言われたら、そういうことだと思いますが。統計の専門家ですから、どういう意味ですかということを、よかったらもう一度聞きましょうかね。もう一度聞いておきますよ、どういうことでしたかということを。担当はいるかどうか。安孫子さんに意味を聞いて、私にも報告するようにしてください。皆さんにも報告するようにいたします。

毎日新聞:
 いや、そもそも県の立場で、誰に投票したのかを調べてもよいのでしょうかと書かれているわけで。

知事:
 それはどういう意味だったのかということを、もう一度、そういう切り取りがあったわけですから。報告も切り取りだから、その真意をもう一度聞いたほうがいいと私は思っていますので、また聞いて報告しますよ。

毎日新聞:
 いや、普通に考えると、こういうことをしていいんですかという、疑問を投げかけられたように思うんですが。

知事:
 思われるでしょ、本当かなということをもう一度聞いてみますから。

毎日新聞:
 ただ、そういう意見があったというのがね。

知事:
 どういう意見かということを聞きますからと言っています。そういう意見と切り取らないで、安孫子さんの意見は貴重ですから、ちゃんと聞いたほうがいいんじゃないかと私は思います。

毎日新聞:
 いや、意見がね、スムーズに知事に行くべきものだったと思うんですが。

知事:
 それは担当の判断だったんでしょう。

毎日新聞:
 担当の判断でしょうね。

知事:
 行くべきかどうかというのは、改めて、私としても、どういうことで聞いて、どういうことだったのかということをもう一度トレースしてもいいかなと思っていますけども、皆さんのご関心もあるようでしたら、ちゃんと報告するようにいたします、ご真意をですね。何よりも真意が大事ですから。立派な先生ですよ。

毎日新聞:
 このご意見に対して、改めて知事の考えをお聞かせ願えますか。

知事:
 だからそれを聞かないとどういう意味かわからないから、聞きますよと言っている。聞かないとわからない。

毎日新聞:
 それは12月5日の日に出たわけなんですけど。

知事:
 言葉尻とは言わないけど、そういう言葉が出たからというふうにおっしゃるけど、「安孫子さんの真意は何ですか」と聞いて、またお答えいたしますよ。そのほうがよっぽど大事じゃないですか。

毎日新聞:
 大事ですよ。

知事:
 大事でしょう。

毎日新聞:
 大事ですが、もう1週間たっているわけですから、もうてっきり聞かれていると思いましたけど、まだ聞かれてないわけですか。

知事:
 いや、報道で知りました。

毎日新聞:
 とはいえ、もう1週間たっているんですよ、今日は13日なのでもう1週間たっている。聞いているんだったら、すぐ聞くべきなんではないんですか。

知事:
 聞くとよくわかるじゃないですか。そういうことも大事だと思われてると思いますから、きちんと聞きますよ。せっかく質問もしていただいたんだから。お待ちくださいよ。大事な話であれば、余計に経緯、真意を聞くというのは大事じゃないでしょうか。

毎日新聞:
 わかりました。
 それから、答弁を聞いてもよくわからないんですが、今回の調査が、地方自治、奈良県の政治などをどうよくしていくということになるんでしょうか、具体的にお答えいただけますか。

知事:
 具体的に奈良県の政治をどうこうするという意図はありません。地方政治を勉強しようという学問的な意図はあります。だからどういうふうにしようとしてるんですかというものは、お答えはありません。そのようにお答えしてるんだけども、答弁では明確に言いましたけども、地方行政の論考はたくさんありますが、地方政治の論考というのは余りなかったんですよね。ご存じだったらご紹介していただきたいぐらいですけども。地方政治の民主主義とか、地方政治のことを書いている先生が関西に出てこられて、購入して読み始めたらなかなか立派な本だと思いました。地方政治は住民自治と言われる分野ですので、住民自治は、団体自治と言われる地方行政の文献とはまた違って、地方自治の中でも大きな分野になると思います。それもご存じだと思いますけども、住民自治の分野の研究が余り進んでなかったのかなと思って、その分野の先生に教えを請うというのでシンポジウムを始めたのが最初です。

 シンポジウムを始めて反応が随分ありました。市議会議員の人がたくさん来られましたし、研究を続けようということになったわけです。そのときに調査もしましょうと。政治意識というのは、政治の中でとりわけ重要なことです、ご存じのように。政治意識というのは、定常的じゃなしに移ろいやすいものです。投票のときの政治意識で物が全て決まるわけじゃなく、立場が決まるわけですね。こんな解説するのは恐縮ですけども、「私の考え」ということをお聞きになったと思って、考えを言っているつもりですけども、投票のときだけの参加かとよく言われるように、日ごろの、住民投票という形もありますけど、決定じゃなく、住民意識を反映して政治が動くというものもありますので、その都度、住民意識が政治を動かす、激しいのは韓国の政治だと言われていますけども、韓国の政治はもう住民の意向でどんどん政治が変わっていく、動いていくと言われておりますが、そのような政治の流儀が隣国にはあるということです。日本はそれほどでもないかと思いますけども。だから政治の意識というのは移ろいやすいけども、皆さんも関与されておりますから関心はおありになると思いますが、政治意識をどのように捉えるかという学問もまだ余り進んでませんでした。だから、それは先生の世界ですので、行政の世界ではなく、先生の世界で、いろいろ教えてもらうというのが我々の役目ですので、教えてもらう会議を主催してシンポジウムをしたわけです。

 で、それは感銘を与えたように思います。地方政治のあり方について、アメリカのあり方、また日本のあり方、地方ごとに随分違いますねというようなことも出てましたので、それには奈良の政治のあり方、政治意識はどうなっているのかというのを把握する必要がありますね、というようなことから、この研究が始まったということですので、どのようにしようかという意図は全くなく、どうなっているのかと探求するのが地方政治をよくする第一歩じゃないかというのが発端です。繰り返しになりますけども、そのように言っているつもりです。

毎日新聞:
 そうするとね、直接奈良というか地方政治ね、どう向上していくかという部分が見えてこないと思うんですが。

知事:
 だから、そういう調査ではありませんと言ったでしょ。

毎日新聞:
 するとそもそもそういうことを、それは趣味の世界じゃないんですか。

知事:
 いや、そうではないでしょう。

毎日新聞:
 学問の世界。

知事:
 学問の世界ではあると思う。

毎日新聞:
 だから、それをなぜ県がお金を出して、県主催の一調査としてやる必要があるんでしょうか。

知事:
 あると思います。学問は、地方政治というのはとても大事な隣接ですから、調査ですから、調査費はいろんなところで出してますが、事業の調査費とか、制度をよくするためのアンケートは随時、県民意識調査というのは毎年やってますよね。毎年大々的にやってますよ、奈良がよくなったかどうかというのをやってますから、それも学問といえば学問ですから、県民意識調査はもう本も出てます。政治の部分の政治意識調査にもなり得る調査だと思いますよ。そもそもやる必要ないんじゃないか、いや、県民意識調査みたいなのもやってますよというようにもお伝えできると思います。

毎日新聞:
 県民意識調査とは、またかなり色合いが違うと思うんですが。

知事:
 そうかな、県民意識調査の中の、県民の生活調査、政治意識調査、皆同じだと思いますけどね。政治はタブーでもないから、生活の一部だと思いますよ。今のこのいろんな反応も、奈良県の政治意識のあらわれだと思いますけどね。それも一つの研究してもいい対象かなと今、思いましたけどね。政治、とても大事ですから。

毎日新聞:
 8月に地方政治研究会を1回されてて、その中に議事録も出ているわけですけど、その中で、今回出席された7人の先生のご発言がありますが、今回のこういう調査で、奈良の有権者や高校生はこういう言い方をすると反応するということがわかるし、客観的に把握することは大切だと説明できるのではないかというご指摘があるわけですけど。

知事:
 客観的に把握する。

毎日新聞:
 この発言については知事はどう受けとめますか。

知事:
 正当な発言だと思います。ごく普通の学者として正当な、正しい発言だと思いますね。

毎日新聞:
 で、今回の県の政治意識調査でも、こういった狙いも一つにはあるんでしょうか。

知事:
 こういった狙いというのはどういうことですか、具体的に。「こういった」というのは曖昧だから。

毎日新聞:
 今申し上げたように、奈良の有権者や高校生はこういう言い方をすると反応するということがわかると。
 そういうものを客観的に把握すると。

知事:
 それは手法の一つかもしれませんけどね。客観的に把握という点は正しいということを言いたいと思います。客観的に把握できる、先ほど言いましたように政治意識というのは移ろいやすいわけですけども、それをその都度観測するというのは、どこの国でもやっている話ですから。しかも公的な機関がやっているわけですので、意識調査というのはどのように反映するのかというのは、そこから考えると。県民意識調査で、これをしたい、あれをしたい、分かれますから、それを見て意識調査の所在を判断するというのは行政の役割ですけども、政治の意識調査を判断して、それを関係者、行政もそうですけど、参考にさせてもらうというのは大変いいことだと思いますね。意識調査を客観的にというのは、県民意識調査も同じですけど、このように思っておられる方は何割もおられますよ、あるいはそのトレンドはこうですよというふうに、県民意識調査は長年してますから定着してますよね。だから政治意識調査と県民意識調査は違うんだとおっしゃるんですけども、私にはその延長のように思いますけどね。

毎日新聞:
 なるほど。そうすると、今回のこういう言い方をすると反応するということがわかるというのは、ある意味、県政としてもこんな施策をとったら理解、支持してもらえる、いわゆるコントロールね。

知事:
 いや、そんなん入ってないでしょう。

毎日新聞:
 いやいや、そういうことできないじゃないですか。

知事:
 だから僕が言っている、このとおりですからいいですか、それはコントロールする意識があるから、知事がいいと言った、そういう記事にしようというんだったら間違いですよ。

毎日新聞:
 いやいや、コントロールしかねない可能性がある。

知事:
 そういうふうに思われるかもしれない、コントロールしかねないかどうかはよく吟味しないと。

毎日新聞:
 いや、傾向がわかれば、こういうことをすればいいといったことは、ある意味コントロールすることになると。結局ご自身のね……。

知事:
 そうは思いません。コントロールするから正しいと言ったわけではない、あなたはこれが正しいですか、そのとおりですとか聞いて、後でコントロールすると思われますがと言われて、うんと言ってコントロールするというのに賛成したと、そういう記事の仕立てになるとすれば、それはおかしいと思いますから。

毎日新聞:
 いやいや、しかねない。

知事:
 いやいやでなく、そういうことをきちんと、そういう意図はないように思いますけども、少なくともこちらにはないということです。

毎日新聞:
 いや、そちらになくても。

知事:
 ならないと思いますけどね。

毎日新聞:
 なぜならないと言えるんでしょうか。

知事:
 いや、結果見ればわかりますよ。

毎日新聞:
 どういうことですか。

知事:
 いや、分析結果見れば。

毎日新聞:
 いや、傾向が出てくるわけでしょう。

知事:
 結果見ればわかると思いますけどね。また結果出て、論争しましょうよ。あなたの言ってることが……。

毎日新聞:
 いや、逃げないでくださいよ、だから。

知事:
 えっ。

毎日新聞:
 だからコントロールしかねない懸念があるわけですけど。

知事:
 ないと思います。

毎日新聞:
 それは主観でしょう。

知事:
 それは主観だ。どちらも主観でしょう、物がないんだから。

毎日新聞:
 でき上がってませんよね、確かに。

知事:
 どちらも主観でしょう。主観どうし闘っても議論にならないですよ、いつもどおりだけど。

毎日新聞:
 いや、それはお答えにならないからです。

知事:
 議論にならないですよ、質問にもならないよ。主観どうしでやってもしようがない。物を見ないとわからないじゃない。
 そんな心配はないと私は思っていますということだけ申し上げておきますよ、主観だとおっしゃっても。

読売新聞:
 政治意識調査で、今後のことですけども、今年度中に政治家へのインタビュー調査を予定されてたと思うんですが、スケジュール的にかなり、年度内にやろうとするとかなり厳しいと思うんですけども、インタビュー調査はやられますか。

知事:
 あのね、今まで分析、アンケートが950ほど出てきてますので、この分析はしてもらおうかと思っています。その後の調査については、いろんな意見が出てますので、その意見の内容をよく検討して慎重に判断していきたいと思っています。だからやらないとも申し上げませんが、やりますよというふうでもない、慎重に判断しますと申し上げておきたいと思います。

 どういう意味で意見が心配なのかという、インタビューですから、「そんなの俺は受けないよ」とそれで事実上できないということもありますし、逆に、「俺はインタビュー受けるよ」という人が出てこられるかもしれませんし、その人は、お断りするというのもどうなのかと思ったりしておりますけども、そのような意見の出方をもう少し慎重に検討して、やるかどうかというのは慎重に判断していきたいと。今年度の予算ですけども、慎重に判断していきたいと思っています。

読売新聞:
 大体めどとして、いつごろまでに判断は。

知事:
 そうですね、年明けてからだと思いますけどね。

読売新聞:
 続いて、これ2カ年のですね。

知事:
 2カ年の予定でね。

読売新聞:
 来年度の、そろそろ予算編成の時期に入ってくるんですけども。

知事:
 そうですね。

読売新聞:
 来年度の調査をどうされるのかというのは。

知事:
 今の延長になりますけども、いろいろ出てきてる意見、分析の結果は年度内に出ると思いますので、その様子を、できればその分析の結果を見ていただいて、来年度をどうする、これからどうするかという段取りが望ましいと思います。そういうことをわかったのかというふうに思ってもらえたら、それにこしたことはない。それと、ご懸念のようなものが入っているかどうかというのは、それでわかると思いますけども、結果を見て判断していただいた上で、さらに慎重な判断するというのが望ましいかなと今は思っています。

読売新聞:
 来年度やるかどうかについても、年明けに。

知事:
 含めて、そういうことですね、その様子を見てというふうに今は思っています。

毎日新聞:
 1つだけ。今のお答えでわかりましたけど、そうすると、今回の調査は引き続きされるわけですね。中止というお考えはないわけですか、中止とか、破棄するだとか。

知事:
 アンケートの結果。

毎日新聞:
 はい。

知事:
 しますよ。

毎日新聞:
 するわけですね。

知事:
 ああ。

毎日新聞:
 妥当だというお考えは変わりませんか。

知事:
 当然でしょう。

毎日新聞:
 当然。

知事:
 当然でしょう。ご懸念のことはないと思いますということを自信を持って申し上げております。


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豚コレラワクチン接種について

時事通信:
 うちの報道なんですが、農林水産省が豚コレラ発生県の隣接県、未発生の地域であってもワクチン接種を行うことを検討しているということですが、それに関して知事のお考えもしくは希望、期待があればお聞かせください。

知事:
 隣接県の豚コレラワクチンの接種も要望していました。知事会からも要望していただいて、未発生の隣接県もワクチンの対象にしようと検討を始めたという報道がありましたので、歓迎です。やはり予防にまさるものはありません。イノシシが来ないようにという、感染源を絶つというのも一つの手法で、それは引き続きいたしますが、ワクチン接種というのも隣接県、地上から伝わってくるようですので、大事なことかと思っています。だからいつ、どのような形で国が正式に判断されるか待っていますが、そのような方向性が出ましたので、豚コレラワクチンの接種の準備をしておきたいと思います。

時事通信:
 準備されると。
 関連して、豚コレラの発生予防等に関しては、県独自でもいろいろと体制を整えられると思いますし、たしか9月議会でもそういった予算が出ていたと思いますが、来年度に向けて県として豚コレラ予防等に取り組まれていくお考えはありますか。

知事:
 今の時点で来年度どのようにするかまだ報告を受けておりませんが、防護フェンスの設置費用の農家負担分を全額補助するということは聞いています。それは感染予防ということです。その防護フェンスの設置は、奈良県内の全ての農家が年内の設置完了に向けて取り組んでおられるというところまで聞いています。それを踏まえて、来年度どうするかというのはこれから、担当は考えているかもしれませんが、予算措置になるのかどうか、また報告を受けたいと思います。


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税制改正大綱について

時事通信:
 昨日、自民党、公明党の税調(=税制調査会)で、来年度の税制改正大綱が決定されましたが、その中にはひとり親家庭の支援や、ゴルフ場利用税などさまざまありましたが、何か着目されているところはありますか。特に知事がご関心があるかなと思うのが、土地の利用者、登記が出されなくて誰の所有地か不明のところで、使用者に税金を課せるというのがあったと思いますが、何か注目されているところはありますか。

知事:
 そうですね、地方消費税の清算基準のときは、2年にわたって随分税調にも働きかけに行きました。税調会長を初め、幹部の人にも全て陳情いたしましたが、今年は全然しておりません。県としては、税調の人には陳情を直接したことはございません。したがってというか、個別の深い関心項目というのはあまりございませんでした。関心が全くないというわけではなく、もちろん関心はあるんですが、直接働きかけるレベルの関心はございませんでした。

 その中で、何が関心事項かと言われますと、奈良県というよりも多少個人の趣味といいますかね、感想みたいになってまいります。そうですね、税制の大きな流れからいいますと、我々地方ですので、地方に元手をくださいよというのが一番の願いです。国の全体の流れにももちろん関心がありますが、1つは、今度の税調で具体的にどう話されているのかわからないのですが、まだ分析が十分じゃないんですが、やっぱり国の経済が一番大きいと思います。経済と社会保障の関係、消費税が上がりましたが、予算措置で経済を落ち込ませないようにしようという動きがある。

 税制のほうではどうするのかなというのが、投資減税とか、そういうふうに動いているのかなと思いますが、日本の経済全体が人口減少ですので、高度成長と全く様子が変わってきている。だから就職氷河期の方の手当なんかがやっと出てきたなと、そういう仕組みの弊害を乗り越えて、税制が一番社会の動きを反映する大きな場ですので、それを正確に、かつ詳細、できれば近い将来のことを見据えて反映していただきたいと常に思ってました。1つ大きなのは、日本の経済がどすんと落ち込まないようにというのが一番の願いです。それと、これは人口減少があるのにもかかわらずというのが願いですが、もう一つは、高齢化社会があれば社会保障の費用が増嵩してまいります。これは地方も関心が深いところですが、お金だけで解決できる話ではありません。医療提供体制とか、高齢者の暮らし方、終末期の迎え方、高齢化社会の過ごし方という大きな社会保障のテーマがありますので、それは税制の中でも反映してくると思います。ひとり親の税制の手当というのも、平等性といいますか、いろんなご家庭のバラエティーがありますので、以前、佐藤慎一さんという、元財務事務次官をされて、国税、主税のエースだった人が調査されて、標準家庭を前提に税制ができてきたけども、標準家庭というのは少数派になってますよという論文を書かれました。標準家庭での税制でなく、少数がいろいろ出てきているのを、うまく拾えるような税制に転換される過程かなと思っています。

 政治家の中には、標準家庭こそ、二人親がいて、両親に育てられるのが一番いい家庭だと思われている方もおられるんですけども、そうでない家庭が現実にたくさん出ておられる中で、税制がどのように手を差し伸べるのかという課題はずっとあるように思っていました。標準家庭を中心にされるのではなく、いろんな方がおられる中で、なるべく救っていくという税制のパターンも必要かと思っていましたので、ひとり親控除などはそのタイプかなと思って個人的には喜んでいます。


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神奈川県での情報機器転売事案について

時事通信:
 神奈川県で、廃棄したハードディスクが下請業者に転売されてしまって、大量の県民の個人情報などが流出した事案がありましたが、これに関する知事の率直なご感想、受けとめと、それから今後そういったことを防いでいく何か対策、案、考えがあればお聞かせください。

知事:
 深い関心を持って報告を受けております。個人情報、秘密情報、国際的な観点で言われることがありますが、日本の中でも個人情報・秘密情報が、不注意によって、あるいは意図的によって、あるいは商業目的のため、あるいは安全保障目的のために流出する可能性が出てきていると思っています。それを防御する仕組みが要るように思います。システムとしては、私は専門的じゃないのでよくわかんないとこが正直あるんですが。ただ、神奈川県で、地方団体でも起こったということで、奈良県では情報システム課が担当していますが、そういうことのないように、いろいろ厳重な保管とディフェンスをしていますという報告を受けております。

 こういうのはリスクはゼロにはならないと私は素人なりに思うんですが、リスクが顕在化しないようにいろんな仕組みをしているという報告は受けています。だからせめて関心を持って、このようなことが起こらないように、奈良県はやっているんだろうなということをチェックはしています。システムのことは正直あまりわからない面が多いので、また多少勉強を深めておきたいと思いますが、今日の時点ではそのようなことです。


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県立橿原公苑と橿原市運動公園の交換について

NHK:
 先日の橿原市議会の補正予算案です。国体の招致を進めておられると思いますが、市議会で報道にもありましたように、県立橿原公苑と橿原運動公園の交換に係る調査費用が取り除かれた形で可決されたということで、市議会のことなので受けとめというのもちょっと変なんですが、どう思っていらっしゃるのかとか、県へのこれからの影響であるとか、市との協力の動きであるとか、そのあたりお考えをお聞かせ願えますか。

知事:
 亀田市長が調査の予算を要求されて、修正されたという話を報道で知りましたし、事務的にも報告を受けました。亀田市長からは、橿原市で国体の会場、そのための施設整備をしてほしいという意向は聞いています。市長は、県のアイデアに前向きだと聞いております。議会との調整が要るという段階だと思いますので、亀田市長は今回の予算というケースではまだ議会の納得は得られなかったわけですが、じゃあ議会が橿原市で県が運動公園を交換して整備するのに反対かというと、今回反対された先生からも「荒井さん、ちゃんとここでやってくださいよ」と個別に聞いたこともありますので、議会の中でもまだこれからのご意見かと、全部あたったわけではありませんが、そういう方もおられるという程度ですが、亀田市長からも、議会の反対に回られた先生からも、熱心にアピールされたこともあるという経験だけを言っているだけですが、個人的にはそのような感触です。

 一方、国体の会場あるいは県の施設整備の会場では、五條市からは陳情書が出ております。五條市が陳情最初だから決めたというわけではありませんが、橿原市も市長のそういうご意向がありますので、その様子をしばらくおうかがいしたいと思っています。

NHK:
 注視されて、議論というか、進展していくのを見るという。

知事:
 そうですね。一方、県では国体の予算、国体の施設整備は10年後を想定していますが、場所を決めたり、施設のレイアウトという、ゼロから始めなきゃいけない施設もありますので、やはり検討の予算も今年度ついていますし、県庁内での検討は進めたいと思っています。場所の決定は未定のままで、検討を進めたいと思っています。


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奈良クラブ観客数水増問題について

NHK:
 先日報道で、奈良クラブが観客数を水増ししていたという問題が明らかになりました。県としてもスポーツ振興の一つとして応援されていた部分があるのではないかと思うんですが、県として何か今後の支援とか応援に影響があるのか、どう思っていらっしゃるのか、お聞きしたいと思います。

知事:
 そんなに何か影響あるぞと、積極的に頭に浮かぶことはないんですが、へえと思いましたけどね。何かあれかな、成績低迷と焦っておられるのかな。よくわかりませんが。奈良クラブでされている人は皆真面目な人ですのでね。だから応援したいなと思っていますが。スポーツの振興でバスケットとサッカーですけどね、おっしゃるように今の施設整備、スポーツ振興と関係すると思います。スポーツ振興は施設整備だけじゃないということは確かですし、プロスポーツがレベルアップするとみんな、よりスポーツ好きになると思います。また、会場が先かイベントが先かということになりますが、イベントの会場がなくても、道でする奈良マラソンは、10年してあれだけ盛り上がってきていますので、奈良の人はスポーツ嫌いじゃなかったんだと感慨を持っています。健康にもいいし、マラソンというスポーツを楽しむ人が着実に県内でも増えておられると思いますので、これはマラソンというパターンを通じてのスポーツ振興の一つの形だったと思います。イベントを通じて参加型でしましょうよというスポーツ振興だったと思います。

 もう一つの振興は、プロスポーツ。ラグビーでも出てきて、それを県内でやってみせてくれると見るのも楽しみ。ラグビーはあんなに盛り上がりましたので、奈良県の高校ラグビーは強いですし、大学ラグビーも強いですから、県内でハイレベルな試合があるとうれしいなという人はたくさんおられると思います。これにはちょっと施設が関係してくると思います。

 もう一つは、日常のスポーツがもっと身近でできたらと。皆さんもスポーツされてると思いますけど、私はとんとしないもんだから、スポーツを日常でできたらいいなと思います。日ごろのスポーツは奈良の健康寿命日本一につながる大事な分野だと思ってますので、スポーツ振興の仕方のパターンの、年代にもよりますし、バリエーションもあります。奈良のハンディになっていますのは、中学、高校まではすごくよくスポーツされて、大学の数が少ないから、大学駅伝とかすごく力が弱くなって、それから実業団も弱くなっているというような、プロもスポンサーが少ないから弱くなって、と。これは経済の反映でもありますので、何とか改善できたらと願ってますが。経済から、あるいはスポーツだけ実業団振興するといってもなかなか難しい面があります、ちょっと格闘はしていますが。ただ、いろんなパターンでスポーツ振興を図っていきたいなと思っています。国体に向けての施設だけではなく、スポーツ振興も一緒に取り組めたらと思っています。

 やり方は、いろんなやり方を工夫してと思います。まだこれからですが、スポーツ振興計画とか大綱とか、そんなことも検討はしてたんですが、ちょっと今、頭に浮かびません。

NHK:
 スポーツ振興でいくと、以前、何かスポーツアカデミーとか、奈良メソッドを確立したいという構想があったかと思うんですが。

知事:
 よく覚えておられますね。

NHK:
 その件は、その後どうなったんですか。

知事:
 スポーツアカデミーというか、ナショナルトレーニングセンターを見学に行ったこともあります。ナショトレは北区に日本で一つあるだけなんですが、西日本にもつくるという動きがあると聞きつけて、西日本にもしナショトレがつくられるならば、奈良、手を挙げられないかなという思いで実はナショトレに働きかけて、「そういう動きはないですか、奈良のスポーツアカデミーというような形で地方も協力しますから」というふうに言ったことがあるんです。

 ナショトレはすごく大きな設備ですので、北区の設備は1,000億円以上かけてるんですね。だから集中的に金メダリストを養うんだというんで、オリンピックももう来てしまいますから、西の方につくるのはすぐにないよと言われて、少しがっかりしたことがあります。奈良スポーツアカデミーを独自でというようにも並行して考えたんですが、あまりにもナショトレがハイレベル過ぎて、似たようなものもなかなか難しいなとその当時思った。それからしばらく経っていますが、大きなナショトレクラスの奈良県スポーツアカデミーというのは、ちょっと難しいなとは思っています。

 ただ、奈良県のレベルにふさわしいスポーツ振興のパターンはあるんじゃないかと、国体もくるということを念頭に置いて、また改めて計画をつくり直そうかなという感じです。


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就職氷河期世代対策について

読売新聞:
 就職氷河期対策、宝塚市と兵庫県がされるということなんですが、奈良県もちょうど就職氷河期の年代が、採用を抑制していて人数少ないと伺っているんですが、奈良県では採用されるご予定はないですか。

知事:
 県庁の採用自身はまだ聞いていませんが、就職氷河期問題というのはすごく関心を持っています。いろんなとこで中途採用というのはもうやり始めていますので、就職氷河期という名前をつけて中途採用していたわけじゃありませんが、いろんなところで中途採用をやり始めています。

 もう一つは、奈良県内でもニートや閉じこもりがあって、就職氷河期世代と多少密接関連があるというふうな、統計でフォローしたわけじゃありませんが、ちょっと思ってきましたので、離職した人の就職に結びつけるということを地方でできないかと。

 日本は新規採用中心雇用主義ですが、ヨーロッパなどは中途採用中心主義なんですよね。だから新卒は就職しないのはむしろ普通だというのがヨーロッパでは多い。席があいたら就職できるだけだと。公務員なんか特にそうですが。日本は新規採用中心で、だから中にちょっとアイドル(=空き)ができるという会社なんかが、それを全体で補ってきたという労働政策でしたが、もう少し満遍なく採用して、満遍なく働くような、人口減少社会では知恵が要るように個人的には思ってきました。

 だから就職氷河期のかわいそう世代というふうに見ていて社会現象として捉える、もちろんそういう面はありますので捉える一方、労働政策のあり方として捉えられたらなと個人的には思ってきましたが、地方政府としては、多少のことはできますけども、就職氷河期世代対策という国のほうで大きな取り上げ方をしていただいたのは内心歓迎しています。それの勉強が進むと、地方政府でやることも見えてくるなと思っています。見えてくれば、積極的に対応したいなと思っています。

読売新聞:
 ぜひ、100人ぐらい採用すればインパクトがあって全国ニュースになるんですが、いかがでしょうか。

知事:
 定年と関係します。定年後でも働ける人は結構おられるんですよね。定年後のマーケット、労働市場マーケットは狙い目かなと思ったり、程度の高い定年後の人は狙い目かなと思ったりしますけど、今からでもね。

 昔、個人的な思い出、相変わらずで恐縮ですけど、広報室長(=運輸省大臣官房文書課広報室長)のときに、毎日新聞のOBになられたオノさんという人がいて、すごく行政広報心得みたいなのを教えてもらった人だから、その方を定年後も役所で採用してもらって、しばらく働いてもらった。それはすごく役に立ったという単なるエピソードで、昔はそういうこともあまりなかった時代ですが、悠々と分筆活動をされた方をね、役所のためにしばらく働くよといって働いてもらったことがあって、すごく助けていただいたと。そういう方もプロフェッション(=職業)を持っておられる方おられますので、今は皆様の職業分野の話で、もっと広くいろんなプロフェッションを活用できる機会があればと思っています。よく役人の天下りだけ言われますが、民間の人の活用というのもうまくその仕組みとしてできたら、非常勤職員とかね、いろんな雇い方のバラエティーが多少公務員の世界でも出てきていますので、それをうまく活用できたらいいのかなと思ったりしています。


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奈良県ビジターズビューローについて

読売新聞:
 ビジターズビューローの件なんですが、知事の答弁を議会で伺っていて、結構踏み込んだ発言をなさっていてちょっと驚いたんですけども、知事がおっしゃっていた運営の適正化とは具体的にはどういうことを想定されているんですか。

知事:
 ビジターズビューローが発足いたしましたのは、もとは奈良市の、どちらがどういう名前だったか、観光協会と観光連盟と似たようなことをしてたんですよね。だから一緒になって誘客活動をしたほうがいいんじゃないかと思いついて、その当時、奈良市にいって、合同でしませんかと呼びかけた経緯があります。それは知事になってしばらく経ってからです。

 ビジターズビューローというのは、県の職員も奈良市の職員も、誘客をする専門家がまだ育ってなかったように思いますので、最初は知り合いだったもんですから、舩山さんというJTBの会長のところまで行って、そちらで、退職されて役に立ちそうな人にビジターズビューローで働いてもらえませんかと頼みに行ったことがある。とてもいい人だけどね、たまたま奈良出身で、よく働く、能力のある人が奈良出身で、会長からこの方はいいからといって推薦していただいて、最初になってもらったんですよね。そのようなきっかけで、それはすごくよかった。招聘して働いてもらったというので、ビジターズビューロー発足時の民間人活用でよかったんですけどね。

 それで、誘客をするのはなかなか人脈が要りますし、ノウハウも要るので、そのノウハウを蓄積するという仕事がずっとあるわけですけど、DMO(=官民の幅広い連携によって観光地域作りを推進する法人)というような名前でそういうビジターズビューローの組織が認知されるようになってきました。それで奈良市と奈良県で合同のビジターズビューローをつくろう、それが発展して、県下のDMOにしようという動きです。

 その中で、いろんな問題が発生してきた。多少過渡期で、そのような志で始まったわけですが、まだやっぱり人で動く組織ですので、いろんな人がおられる、来られるケースもあるし、民活って民間の人に任せてできるというわけでもないし、自前の人脈育成も心がけなければいかんというようなタイプの組織だと思っています。

 今回もそのようなことだと思いますので、今回のいろんな問題が発生しまして、これは答弁で言いましたが、11月19日に監事に監査をお願いすると。その内容をもう少しよく調べてくださいと。昨日に第1回目の監事の監査が実施されたと聞いています。監事はお二人です。県の上田会計局長と、南都銀行の春日執行役員のお二人が監事になっておられます。補助員もいると思いますが、監査を実施して、今年度中に監査を終え理事会に報告されると、正式コースに入ってきたと思っています。で、理事会で議論されてこの財団法人の行く末を吟味してもらうと、理事会で決定してもらうというのが筋だと思います。それは理事長ですので監視していきたいと。

 理事長は、思えば日常業務にほとんどタッチすることはなかったんですが、外でこのDMOのセールスの役目はあると思って、コンベンション誘致したいのでよろしくとか、この前、外務省、外務大臣と一緒にセールスしたり、コンベンションのセールスは随分ずっと続けております。国交省にも、霞が関の会議も多いもんですから、県内の団体の会議もありますが、霞が関の会議は公的な会議が多いもので、一番の大きなのはG7ですね、あんなのも手を挙げたことあったんですよ。もうポッと蹴られましたけどね、外務省に。G20は、より大きいのでちょっと大変ですけど、G7ぐらいだったらと思って随分昔に手を挙げたんですけど、いや、ホテルがないからといって蹴られました。

 だけど、また今回いろいろ陳情に行ってますと、励まされて、G7また来ますねとおっしゃった外務省の方がおられたので、覚えていていただいているんだなと思って。それは、もしそういうレベルのね、いろんな誘致が成功すれば、このDMOのビジターズビューローの役目はすごくあると思います。いいおもてなしで帰ってもらうというのは、コンベンションのときはより重要です。そのような役目があるという組織ですので、やる気もまだ随分あるように報告を受けていますが、ただ、コンプライアンスといいますか、ちゃんとしたことができていないとやっぱり恥ずかしいと思いますので、遺憾だと申し上げましたが、これを直すように監事さんにまずお願いしてというところで、正常コースになるようにお願いしたところです。日程的には、今年度中に報告を受けて、理事会が開かれると聞いています。

読売新聞:
 これから4月にコンベンションセンターができたりとか、特にここの組織はやっぱりその実行部隊といいますか、誘客の大変重要な組織なので、やはり早く建て直さないと、県の観光戦略にやっぱり影響を及ぼしてくると思うので、そういう人事的な、人事の一新とか体制の建て直しとか、そういうことも必要かなと。

知事:
 そういうことですね、大事だと思います。やっぱり人で動いている組織ですからですね。

 先日、飯倉公館で外務大臣とレセプションしたときの設営をしてくれたのが、今度の奈良県コンベンションセンターのPCO(=会議運営サービス会社)というんですけど、指定管理者なんですね。その人が奈良県コンベンションセンター張り切ってやりますからといって、東京の飯倉公館も、あれPCOに外務省が発注されましたけど、ちょうどたまたま、コンベンションの出ぐあいというのもなかなかいいんですよといって励ましていただいて、ちゃんと運営しますからという言葉を東京で聞きました。その会社の名前は何といったかな。それとDMOのコンベンションセンターというのはMICE(=マイス。ビジネストラベルの一つの形態)の双璧ですので、奈良県コンベンションセンター、MICE、それと県の大きなコンベンションの誘客、その三本柱でコンベンションを活用して、今までにない分野ですので、大規模コンベンションというのを奈良で続々とできたらと思っています。

 大きな働きかけもしてまして、国交大臣に昨日陳情したら、荒井さんの執念がちょっと実りそうなとこもあるよとか、また励ましていただいて、まだ大きなコンベンション誘致を国交省にお願いしてましたのでね。感触を大臣も気にしていただいて、ほかの国に働きかけていただいていると、励ましの言葉を賜りました。

読売新聞:
 ここの組織、県が7割出資して、残りを3つの市町が出資、ほぼもう公的な、公共性の非常に高い組織なんで……。

知事:
 そうですね。

読売新聞:
 これちょっと要望なんですけども、この監査結果が出たら発表していただきたいということと、実際組織の中で何が起こっていたかというのがつぶさに出てくるということと……。

知事:
 そうですね。

読売新聞:
 あと、年度内ということは、おそらく3月になろうかと思うんですが、理事会が開催されたら、もうすぐ今後の方針が決まってどういうふうなことが決まったか、知事から、理事長として記者会見をお願いしたいなと。

知事:
 わかりました。私も注視しています。で、監事、監査、理事会、次の対処方針という、この流れは大事ですので、私ももちろん関心を持っていますので、ちょっとフォローして、お耳に届くようにしたいと思います。

司会:
 ほかにご質問はどうでしょう。よろしいでしょうか。
 幹事社さん、よろしいでしょうか。
 それでは、これで知事定例記者会見を終わらせていただきます。ありがとうございました。

知事:
 ありがとうございました。


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(発言内容については、読みやすくするために、広報広聴課で編集しています。)

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