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高松塚古墳 たかまつづかこふん

記入年月日 2023/10/13

高松塚古墳
高松塚古墳壁画 西壁女子群像
所在地
明日香村平田字高松
区分
遺跡 | 古墳
指定内容
国指定特別史跡

※各歴史文化資源へのご訪問の際は公開日・公開時間・料金等を別途ご確認ください。

歴史文化資源の概要
高松塚古墳は中尾山古墳と文武天皇陵との中間の丘陵南西斜面に立地する 7 世紀末~8世紀初めに築造された終末期古墳です。
昭和 47 (1972)年の発掘調査により石室内部に日月星宿図及び四神図、男女人物群像が描かれた極彩色の壁画が発見され、考古学史上大発見として大きな話題となりました。
古墳は南東から北西へ伸びる尾根の南西斜面を平らに削平し、版築によって築かれています。墳丘は直径約 23m(下段)及び約 17.7m(上段)、見かけの高さ 8.5m の二段築成の円墳であり、周囲には幅 2.5m の周溝が巡っています。墳丘を築くにあたってはムシロを敷き版築を施しています。石室は二上山産の凝灰岩切石 16 枚で構成された横口式石槨で、石槨寸法は長さ265.5cm、幅IO3.5cm、高さ l13.4cm です。壁面には漆喰を全面に塗り、床面と南壁を除いて各壁面には壁画が描かれています。四神図は東西北の各壁面に描かれていますが、北壁玄武は発見当時すでに亀と蛇の顔部分が削り取られていました。また、南壁には本来朱雀が描かれていたと推定されますが、盗掘によって漆喰の遺存が悪く、残っていません。東西の壁面には青龍、白虎と共に、四人ずつの男子群像・女子群像が描かれています。天井には星宿図が描かれており、七宿ずつ東西南北に四角く配置され、中央に四輔が描かれています。星は直径 9mm ほどの金箔を貼り付けており、朱線で結ばれています。東壁青龍の上方には金箔の日像、西側白虎の上方には銀箔の月像も描かれています。
石室内からは漆塗木棺・棺金具・刀装具・海獣葡萄鏡・金銅製品・琥珀玉・ガラス玉・人骨が出土しました。漆塗木棺は身底部のみ遺存しており、長さ 202cm、幅 57cm であり、この木棺に付属する金具には金銅製透飾金具や金銅製円形飾金具などがあります。副葬品には大刀金具・海獣葡萄鏡・玉類があります。大刀金具は銀製の山形金物で刀身は残っていません。海獣葡萄鏡は直径 16.8cmの白銅製で、中国製品です。玉類は琥珀玉・アルカリ石灰ガラス玉の装身具があります。人骨は環椎・下骨・臼歯などがあり、熟年男性の被葬者であったことがわかります。
石室内の極彩色壁画は当時の大陸との交流を色濃く表し、芸術的にも東アジアでも傑作のひとつであるなど、高松塚古墳はその重要性から昭和 48 (1973)年に特別史跡、極彩色壁画は国宝(昭和 49 (1974)年)、高松塚古墳出土品は重要文化財(昭和 49 年)にそれぞれ指定され、また古墳周辺一帯について国営飛鳥歴史公園(現国営飛鳥・平城宮跡歴史公園)高松塚地区として整備(昭和 60 (1985)年)されるなど、現地保存のための処置がなされてきました。 平成 14 (2002)年に石室内の写真撮影が行われた結果、壁画を破損する恐れのある黒黴の発生が確認され、石室内への雨水や虫の侵入が顕著になるなど、壁画の保存環境の劣化が深刻な問題となりました。このため文化庁において平成 15 (2003)年に国宝高松塚古墳壁画緊急保存対策検討会が設置され、翌 16 (2004)年には国宝高松塚古墳壁画恒久保存対策検討会が発足し、壁画の劣化防止策や保存方法について種々の検討が続けられ、壁画の描かれている石室をいったん解体・移動して修復を行うという方式が採用されました。
 墳丘の発掘調査と石室の解体修理は平成 18 (2006)年10 月 2 日に開始され、翌年 3 月には国営公園内に壁画修理施設が完成し、石室はいったん解体・搬出した後、この修理施設へ移され、現在は修理が終了して施設内で保管されています。
地域にとって大切な歴史文化資源である、その理由
 高松塚古墳における極彩色壁画の発見は、日本全国に考古学ブームだけではなく、飛鳥ブームも巻き起こしました。停滞していた飛鳥保存運動も活発化し、その後の明日香法制定に結実します。
「記紀・万葉集」との関連とその概要
 『日本書紀』や『続日本紀』に記されている人物が葬られている可能性があります。
当資源と関連する歴史上の人物とその概要
 『日本書紀』や『続日本紀』に記されている人物が葬られている可能性があります。
当資源と関連する文献史料
『日本書紀』『続日本紀』
当資源と関連する伝承
高松塚古墳の名称の由来については、墳丘上に松が植生されていたことが要因と考えられています。
他地域の関連する歴史文化資源
同じく壁画を有する古墳として本村のキトラ古墳があります。
問い合わせ先
明日香村教育委員会事務局文化財課
電話番号
0744-54-5600

掲載されております歴史文化資源の情報は、その歴史文化資源が地域にとって大切であると考えておられる市町村、所有者、地域の方々により作成いただいたものです。
見解・学説等の相違については、ご了承ください。