奈良県産業連関表第1章


1syo-b

1 産業連関表とは

 産業連関表とは、国あるいは地域経済の生産活動や取引関係を、数量的にとらえた加工統計資料です。
 ある一つの産業部門は、他の産業部門から原材料や燃料等を購入(投入)し、これらを加工(労働・資本等を投入)して別の財・サービスを生産します。さらに、これらの財・サービスを別の産業部門における生産の原材料等として、あるいは家計や政府などの最終需要部門の最終消費や投資として販売(産出)します。このような「購入→生産→販売」の連鎖によって、各産業部門が相互につながった経済循環構造を把握しようとするのが、産業連関表です。

(1) 産業連関表の構成

 産業連関表は、一定地域(国や都道府県)において、一定期間(通常1年間)に行われた、生産物(財・サービス)の産業間の取引関係を行列形式の一覧表で表したものです。


(2) 産業連関表の利用

 産業連関表は、表をそのまま読み取ることで、表の対象年次の産業構造や産業部門間の相互依存関係など、県経済の構造を総体的に把握・分析することができます。
 また、産業連関表の各種係数を用いた産業連関分析によって、経済の将来予測、経済政策の効果の測定・分析等が可能となります。
 このように産業連関表は、地域経済の把握・分析のための重要な基礎資料として利用することができます。


2 平成12年奈良県産業連関表作成の経過

 本県では、昭和35年表、昭和38年表(延長表)、昭和60年表、平成2年表及び平成7年表を作成しており、今回の平成12年表が6回目の作成となります。
産業連関表はあらゆる産業や経済主体を網羅する精細な統計資料であるため、その作成期間は、対象年次の統計資料の蓄積に時間がかかることや、推計に必要な作業量が膨大なものになることから、長期に渡ります。このことは国においても同様であり、そのため、関係省庁が合同で、国全体を対象とした産業連関表を西暦の末尾に0と5のつく年次を対象として5年毎に作成しています。 こうしたことから、本県でも5年毎に、国と同年次を対象として、奈良県産業連関表を作成することとしています。


3 平成12年奈良県産業連関表作成の概要

(1) 表の対象

 平成12年(暦年)1年間の奈良県内における財・サービスの生産活動及び取引を対象とします。

(2) 部門分類

 産業連関表の部門分類は、「基本分類」を最も詳細な分類とし、これを統合した「統合分類」からなります。
 基本分類及び統合分類は次の5段階からなります。
      1 基本分類 行517部門・列405部門
      2 統合分類 行列188部門
      3 統合分類 行列104部門
      4 統合分類 行列32部門
      5 統合分類 行列13部門

(3) 表の形式

ア 価格評価
 表における価格評価は生産者価格とします。
イ 表形式
 表の形式は、奈良県内1地域のみを対象とし、県内産品と移輸入品の区別を行わずに取り扱う、地域内競争移輸入型とします。


(4) 作成した統計表

 13部門表、32部門表、104部門表それぞれについて、各種表を作成しています。
 ただし、ここに掲載しているのは13部門表のみです。


4 産業連関表の構造と見方

(1)産業連関表の構造

 産業連関表では、タテ方向の計数の並びを「列」と呼びます。列を表頭の部門ごとにみると、その部門が財・サービスを生産するために要した費用の内訳(費用構成)が示されています。その内訳は、表側の各産業部門から購入した原材料・燃料等の費用(=中間投入)と雇用者所得や営業余剰等(=粗付加価値)からなります。このようにみた場合、産業連関表は各産業の投入(Input)構造を表していることがわかります。
 一方、ヨコ方向の計数の並びを「行」と呼びます。行を表側の部門ごとにみると、その部門の生産物(財・サービス)がどの部門に対して販売されたか(販売先構成)が示されています。その販売先は、表頭に並ぶ各産業部門で原材料・燃料等として使用される場合(=中間需要)と、最終需要部門に消費や投資されたり、地域外へ移輸出されたりする場合(=最終需要)とがあります。このようにみた場合、産業連関表は各産業の産出(Output)構造を表していることがわかります。
 以上のように、産業連関表は、各産業部門における財・サービスの投入・産出の構成を示していることから、「投入産出表」(Input-Output Tables(略してI-O表))とも呼ばれています。


  第1図 産業連関表の構造

1zu-kouzou

(2)産業連関表の具体例

 第1表は、平成12年奈良県産業連関表を、第1次、第2次、第3次産業別の3部門に統合したものです。この表で実際に産業連関表を見てみます。

 まず、この表をタテ方向にみると、第1次産業は自部門から107億円、第2次産業から114億円、第3次産業から146億円の計367億円の原材料、サービスを購入し(=中間投入)、新たに574億円の価値を付け加えて(=粗付加価値)、941億円の生産を行っていたことがわかります。このことは、第2次、第3次産業についても同様のことがいえます。

     中間投入 + 粗付加価値 = 県内生産額
      367億円    574億円      941億円

 次に、この表をヨコ方向にみると、第1次産業は自部門に107億円、第2次産業に466億円、第3次産業に114億円の計687億円を、各産業が生産活動を行うために必要とする原材料等として販売し(=中間需要)、さらに、消費、投資、移輸出などに計862億円を販売しており(=最終需要)、1,549億円の需要(=需要合計)があったことがわかります。しかし、第1次産業の県内生産額は941億円であるため、不足分の608億円は県外あるいは国外からの移輸入で賄われたことがわかります。このことは、第2次、第3次産業についても同様のことがいえます。

     中間需要 + 最終需要 - 移輸入 = 県内生産額
      687億円    862億円   608億円    941億円

  第1表 平成12年奈良県産業連関表(3部門)
H01


【トップへ】 【進む】

お問い合わせ

政策推進課
〒 630-8501 奈良市登大路町30

お問い合わせフォームはこちら


政策推進係 TEL : 0742-27-8472
広域調整係 TEL : 0742-27-8306
統計企画分析係 TEL : 0742-27-8439
人口統計係 TEL : 0742-27-8441
生活・産業統計係 TEL : 0742-27-8452