洛中洛外図帖

奈良県立美術館 Nara Prefectural Museum of Art
40選 富本憲吉作品
コレクション
絵画
(江戸時代以前)
絵画
(近代・現代)
浮世絵 書跡 彫刻 工芸

 

「洛中洛外図帖(らくちゅうらくがいずじょう)」

「元信(もとのぶ)」印
一帖(二十四図)  室町時代(16世紀)
紙本金地著色  各図 24.0×33.0cm

 

                    四条橋  清水寺

                                                                  (四条橋)                     (清水寺)

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解説

 

京都の代表的な社寺、橋、邸宅、町並や祭礼、風俗を描いた図を貼り付けた画帖。各図の主題は、現装の順に挙げると鞍馬寺、賀茂の競馬(上賀茂社)、祇園社、祇園会の山鉾巡行、四条橋(祇園会の神輿渡御)、清水寺、五条橋、天竜寺、嵯峨釈迦堂、金閣(鹿苑寺)、北野社、大徳寺、相國寺、伊勢邸、祭礼(付箋には「一条御領祭」)、内裏、宝鏡寺・南御所、洛中の町並(付箋には「立売」)、公方邸、細川邸、百万遍・革堂、誓願寺、因幡堂、東寺である。

 鞍馬寺の図と清水寺の図に桜、北野社の図に梅、内裏の図に3月の年中行事である鶏(とり)合せ、宝鏡寺・南御所の図に正月の羽子板遊びと振々毬杖(ぶりぶりぎっちょう)、金閣の図、細川邸の図、百万遍・革堂(こうどう)の図に紅葉、相國寺の図に積雪というように、季節の景物や年中行事も描き加えている。金地・濃彩を用い、細部まで緻密に表した作品である。

 各図に朱文壺印「元信」が捺されており、室町時代に狩野派を率いた狩野元信(1477?-1559)の工房の作と考えられる。画風の上から、元信の子である狩野松栄(しょうえい)(1519-92)が主導したとみなされている。室町時代から江戸時代前期に盛んに制作された洛中洛外図の中で、制作時期が16世紀に遡る古い作例の内の一点である。

 


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