奈良県立美術館 Nara Prefectural Museum of Art
「花蓮(かれん)」
久保田忠和(1927-1990)
一躰 昭和55年(1980)
木(樟) 高180.0cm
奈良県立美術館40選
絵画(近代・現代)
解説
ややうつむき気味に視線を落とし、腹前で軽く腕を組み、左足の踵をもう一方の足の甲に乗せ、るという自然なポーズをとった裸婦の像。肉体本来のヴォリュームと造形性に注目し、静かな動きと穏やかに整えられた鑿痕の中に現れる実存感には、作者の対象への真摯な観察が見られる。
久保田忠和(くぼたただかず)は和歌山県生まれ、東京高等師範学校(現筑波大学)を卒業、以降は肖像、鹿、抽象、そして裸婦と、主要なテーマを変えながら二紀展を中心に活躍。扱った素材も石膏・ブロンズ・木・スチール・樹脂・コンクリートと、多岐に渡る。また昭和23(1948)年より奈良師範学校(現在の奈良教育大学)に講師として着任して後、40年以上にわたり後進の指導にあたった。