簿記カフェ 鈴木カナコさん

西大寺駅のすぐそばで、簿記・会計の教室「boki cafe」を経営

 

簿記カフェ 代表 鈴木カナコさん

奈良市西大寺のすぐそばにある簿記・会計関連の講座の教室である「簿記・会計スクール boki cafe」は、コワーキングスペースや貸し教室も提供しており、有料の自習スペースとしても利用していただけます。
鈴木カナコさんは、長らく簿記講師として勤務後、2015年9月に「簿記・会計スクール boki cafe」をオープンされた奈良県でご活躍の女性起業家です。

鈴木カナコ

名称:簿記カフェ
業種:簿記・会計関連の教室運営、コワーキングペーススや貸し教室を提供
住所:奈良市西大寺小坊町1番6号西大寺ビル4階 Tel 0742-81-9528
創業:教室開設は2015年
URL:http://www.bokicafe.jp/


1.事業やスペースの特徴を教えてください

私は大手会計スクールで簿記1級を取得した後、学校からスカウトされ簿記の講師としてデビューしました。講師としてお客様と接している中で、簿記を会社できちんとつけたい、自分で数字が見たい、税金について知りたいという経営者が簿記の勉強に来て下さっていました。簿記検定試験の合格を目的としていないお客様です。そして、そういう方から具体的な質問が出ることが多くありました。 

講師

私自身も会計の数字は会社経営に活かしてこそだと思っていましたし、そういう質問に答えたいと思ったのですが、本来の講師の仕事の範囲を超えていて、何とかできないかと思っていました。「楽しみながら学んでほしい」と考え、世の中にそういう学校がないなら自分でそういった塾を作ろうという思いから起業を決意しました。誰でも数字に強くなれる簿記・会計スクールを目指しています。

「簿記カフェ」としたのは、「英会話カフェ」のように、気楽に楽しみながら簿記を学んでほしいという気持ちからです。このスペースは自社開催のスクールのときにも使うし、1時間300円で自習室として、たとえばゆっくり本を読みたい人にも利用してもらえる雰囲気を目指しています。会社と家の往復の中で、いわゆる「サードプレイス」として利用してもらいたいとも考えました。奈良で簿記を経営に活かすための勉強をする人たちの一つのハブになりたいという思いがあります。

簿記カフェ風景


2.あなたの起業ストーリーを教えてください

最初はFacebookを立ち上げ、友人達の集まりで、団体等の会議室を借りて簿記スクールを4年前から始めました。そのFacebookの名称が「boki cafe」で、それをそのまま当社の名称にしました。 

いろいろ検索していると、創業支援のための創業補助金があることがわかり、採択された人のリストの中に奈良県の女性起業家の方のお名前を見つけました。簿記検定試験日に試験会場で、試しに無料の解答速報会のビラを配ってみようと思い、そのために必要な道路使用許可を警察にもらいに行こうとした道の途中で、その女性起業家の会社をたまたま見つけ、これもご縁だと思い、ドアをたたいてみました。

テキスト

その方がネットワークをつないでくださるタイプの方で、奈良県商工会連合会が大和郡山で開催されている創業スクールを紹介していただきました。その担当者の方から、次のお仕事を紹介していただくことができました。 




3.起業のときのご苦労をお教えください

今、振り返ってみると、「こうしたい」という思いがあり、講師の経験や実績はありましたが、未来が見えない時期がありました。実績はあるけれど、自分を披露する「場」がなく、どうしていいかわかりませんでした。
 そのように未来が見えない中、奈良県商工会連合会の創業スクールに参加したことで次の仕事の紹介を受けることができ、自分を披露するチャンスへとつながっていったと思います。

鈴木カナコ

その時、「一人で考えていても無理だ」と痛感しました。私自身は簿記講師の実績があり、事業計画作成や数字を見ることは得意です。しかし、創業当初の自分には人との関わりが不足していました。たとえ、事業計画の作成ができたとしても、一方で足りないものがありました。 

ただ、事業計画は女性起業家の方にぜひ作成していただきたいと思います。事業計画を作成する中で、自分の考えが整理できるからです。自分自身にどれほど熱い思いがあっても、事業計画としてまとめると、人に伝えることができます。そして、伝えることができれば、新しいチャンスが生まれます。その点はぜひ、女性起業家を目指す方にお伝えしたい点です。


4.どのように乗り越えてこられましたか?

私は最初、自分を打ち出すのがいやで、顔写真を出すのも嫌だったのですが、女性起業家支援の専門家の方に、「自分が商品なのだから、もっと写真を出していった方がいい」とアドバイスを受けました。顔写真を出してみたら、「楽しそうな簿記教室だったので行きたいと思いました」と受講生の方から言ってもらえるようになりました。 

鈴木カナコ

起業してからは、「お客様が何を求めているか?」を考えながら、自分がしたいことでかつビジネスになることが何かを考えてきました。その中で「自分本位」ではお客様が集まらないとわかりました。
また、知ってもらうためには、いろいろなやり方で発信していくことが重要だとわかり、今、動画も作成中です。
私自身はこれまでの経験から、「不安になったら動く」ことを自分のルールとして決めています。大きな判断をする時は、誰だって不安です。その中で、信頼できる相手に相談しながら進めてきました。信頼できる人の判断を仰ぐのもいいと思います。

資金調達については、ネットで調べて、創業補助金等の情報を集めました。申請にあたってはポイントの見せ方等について、奈良県商工会連合会の方に教えてもらいました。信用保証制度と創業補助金を利用しましたが、相談に行く時も、窓口の方に味方になってもらう気持ちで相談しようと努力したと思います。その中で、ヒントを得ることもできました。
一生懸命動いていると周りの方が色々助けてくださるので本当に感謝の気持ちでいっぱいです。


5.これまでの成果や誇りについて教えてください

実は、創業前に執筆にとりかかり、『ネットで稼ぐ人の確定申告』(鈴木カナコ著、セルパ出版)という本を2016年1月に出版しました。これはフリーランスの人やネットで稼いでいる人のための確定申告のための具体的な方法を解説した本です。

鈴木カナコ

たまたま遠方で講師をされている方との出会いにより、本を書くことができたのです。当時は大変でしたが、本を出しているということが、私の信用につながり、書いてよかったと思っています。 
これもお伝えしたい点の一つですが、起業後すぐは焦ってしまいます。しかし、目の前のことに囚われすぎず、長期的な視野でぐっと時間をかけて取り組むことも、創業準備の段階では必要だと私は思います。自分が考えているのと同じような事業は世の中に既にあることも多く、その中で自分がいかに抜きん出ていくかをきちんと考えておく必要があります。


6.後輩女性起業家へのメッセージをお願いします

 
「行動してください。動くことでチャンスが生まれる。」

鈴木カナコ

本を書くきっかけになった方とは、最初はその人のFacebookを一方的に読んでいただけでした。開業準備を進める中で、「こういう学校をしたいし、先生のようになりたいと思うので、時間をつくっていただけないか」というコメントをいきなり送り、お時間を作っていただきました。

その先生から「不安になったら、今できることをこなすことが大切」と教えていただきました。それ以来、それが私のルールになってます。 
私にも、じっと考えていた時期もあります。それでも行動してみたところ、道が開けました。ぜひ、皆さんにも行動してほしいと思います。今、お勤めをされている方も、起業を前提にされると、電話の受け方一つでも全く違ってくると思います。頑張ってください。

印刷用PDFデータ

簿記カフェ 鈴木カナコさん インタビュー記事(pdf 789KB)


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