奈良県立美術館ギャラリー企画 奈良ゆかりの現代作家展
・奈良ゆかりの現代作家展 03 佐竹龍蔵 「いつかのリバーサイド」
2026年1月17日(土)~2月15日(日)
・奈良ゆかりの現代作家展 04 野田ジャスミン「あの日のロストバゲージ」
2026年2月17日(火)~3月15日(日)
奈良県立美術館では令和5年4月にギャラリーを開設し、地域ゆかりのアートや文化、教育活動などを紹介してきました。今年度の奈良ゆかりの現代作家展は、他の土地にルーツを持ちながら奈良に移住し、現在奈良を拠点に活動している若手アーティスト、佐竹龍蔵(1987年高知県生、奈良県奈良市在住)と野田ジャスミン(1996年タイ生まれ、奈良県斑鳩町在住)を取り上げます。
佐竹龍蔵は、2012年に京都造形芸術大学大学院修士課程芸術研究科芸術表現専攻を修了し、現在は奈良県を拠点に活動。日本画材の岩絵具の透明感を生かした独自の点描法で描き、見る距離によって色や形が変化して見える人物画や風景画を描いています。近年は、生まれ育った高知県の四万十川を取材した風景画や、奈良県の吉野川を取材し、妖怪や架空の生き物などのモチーフと組み合わせた作品を制作しています。2021年に奈良に移住し、作家活動の傍ら、美術教師として後進の指導もしています。
野田ジャスミンは、2019年に奈良県に拠点を移し、本格的にアーティスト活動を始めました。大学で陶芸を学び、陶芸や器物の制作、それらを用いたインスタレーションを発表しています。自身のルーツに取材した作品や今日の陶芸領域に内在する工芸とアートの対比をテーマとしています。また、そこから派生した現代社会の「多様式化した価値観」より生じるアンビバレントな感覚も扱っています。
本展では、両者の新作を含む近年の代表作を個展形式で紹介します。会期中にはアーティストトークも開催します。今回取り上げるふたりの作家にとって、本展は初めての地元美術館での展覧会になります。地域で活動するアーティストの表現をぜひご覧ください。
会場:奈良県立美術館ギャラリー 開館時間:9:00~17:00(入場は16:30まで)
休館日:月曜日(ただし、2/23、3/2、3/9は開館)、2/24(火) 観覧料:無料
主催:奈良県立美術館
【関連イベント】
アーティストトーク
佐竹龍蔵 2月1日(日)14:00~15:30(13:30受付開始)
野田ジャスミン 3月1日(日)14:00~15:30(13:30受付開始)
※いずれのイベントも参加無料、会場はレクチャールーム/ギャラリー
(定員60名、予約不要、当日会場にお集まりください)
奈良ゆかりの現代作家展03
佐竹龍蔵 「いつかのリバーサイド」2026年1月17日(土)~2月15日(日)
プレス向け内覧会(作家在廊)1月16日(金)14:00~16:00

佐竹龍蔵 《川のイメージ/おそれ》 2024
【作家メッセージ】
奈良では初めてとなる今回の個展では、ここ数年取り組んでいる「川」を題材に制作した作品を展示します。旅先や地元で出会った景色や人々の生活の痕跡、その土地に伝わる昔話などを描いた近作のほか、吉野の左曽川あたりに伝わる河童の昔話をもとに描いた新作を展示する予定です。
この個展が始まる頃には奈良に移住してきて5年が経ちます。奈良ゆかりの作家として県立美術館で個展を開催することになるとは当時は考えもしませんでしたが、今とてもわくわくしています。
【作家プロフィール】
1987年 高知県四万十市生まれ、2012年 京都造形芸術大学大学院 芸術研究科 芸術表現専攻(修士課程) 修了、現在 奈良県在住。近年の展示に個展「東京」(2025年、Gallery Yukihira/東京)、「旅のあとかた」(2024年、新宿高島屋 美術画廊、大阪高島屋 ギャラリーNEXT)、「水辺を歩く/人間の森」(2024年、YOD Gallery/大阪) 、グループ展「voices −京都芸術大学大学院修了生選抜展−」(2025年、ギャルリ・オーブ/京都)、「第9回 東山魁夷記念 日経日本画大賞展」(2024年、上野の森美術館/東京)、「ANONYMAT vol.4「under / over MASK」」(2023年、Gallery OUT of PLACE/奈良)、「日本画、近代の作家と高知のこれから」(2016年、中土佐町立美術館/高知)、「VOCA展 2011」(2011年、上野の森美術館/東京)などがある。受賞歴として、「京都日本画新展 2019」奨励賞、「2016京展」館長奨励賞、「京都府美術工芸新鋭展」毎日新聞社賞(2014年)など。
作家HP:https://stkrz62.com
奈良ゆかりの現代作家展04
野田ジャスミン 「あの日のロストバゲージ」2026年2月17日(火)~3月15日(日)
プレスツアー(作家在廊) 2月16日(月) 16:00~17:00
※取材を希望の方は事前に美術館にご連絡ください

野田ジャスミン 《cherry blossom and swallows / ghost series》(部分)2025
【作家メッセージ】
私が生まれた町は、見渡すかぎりの田園と、それを遮るように不自然に敷かれたアスファルトの道路、ポツポツと並ぶ古民家と畦道、そして遠くの岩山が空を低くさせていた。
来日した8歳の頃、山の上の公園の桜の前で、父が私の写真を撮ってくれた。言葉もわからず、帰属意識のないままに大阪へ、そして京都へと移り住んだ。
もしかしたら、行きの飛行機で郷愁の心をロストバゲージしたまま、ここまで来てしまったのかもしれない。そうして今、私は故郷と同じ低い空の町に住んでいる。
【作家プロフィール】
1996 年タイ・ウタイタニー生まれ。2004 年に日本へ移住。2019 年より奈良県に拠点を移し活動を開始。近年の主な個展は、「うつわのサイコメトリー」(2024年、奈良郡山城追手問櫓 /奈良)、「comet 彗星」(2023年、阪急メンズ東京 B-OWND gallery/東京)、「湖面に沈む」(2020年、KITAHAMAgallery/大阪)、主なグループ展は、「TOOL OR ART」(2025年、大阪・関西万博)、「和を以て景を綴る」(2025年、WALL_alternative /東京)、「工芸のいまのかたち Vol.2」(2024年、AMPLITUDE KYOTO/京都)、「Beautilitty:Tha Betweenness of Kogei」(2024年、WHAT CAFÉ_寺田倉庫/東京)、「伝統のメタボリズム 様式の変容 」(2023年、SHUTL_shochiku/東京)、「ゆらめくいきものたち」(2022年、galleryTerra-S/京都)、「明滅するクオリア」(2022年、TENSHADAI/京都)、「間を抜く、或いは」(2021年、建仁寺両足院/京都)など。