梅毒

梅毒について

梅毒とは、早期発見・早期治療が大切な感染症のひとつです。

治療することで完治することができますが、放置しておくと死に至ることもあります。

また妊婦が感染すると、胎児にまで影響を及ぼします。

梅毒を疑う場合は、パートナーも一緒に必ず検査を受けるようにしましょう。

奈良県では、2016年以降報告数は増加しており、患者の年齢層は、男性は20~40代、女性は20代が多い状況です。

また感染経路は異性間性的接触が最も多くなっています。

原因と症状

【原因】

梅毒トレポネーマという病原菌による感染症で、主に性的接触が原因で感染します。

【症状】

感染後の経過した期間により症状が異なります。

・早期顕性梅毒Ⅰ期(感染後3~6週間程度)

感染後、3~6週間の潜伏期を経て、症状がみられ始めます。

感染箇所(陰部、口唇部、口腔内、肛門など)にしこりができたり、股の付け根の部分のリンパ節が腫れることもあります。

治療をしなくても症状は一旦軽快するため、受診せず放置し、検査や治療の遅れにつながることがあります。感染した可能性がある場合や、気になる症状がある場合には必ず検査を受けるようにしてください。

 

・早期顕性梅毒Ⅱ期(感染から数ヶ月)

治療をせず数ヶ月を経過すると、病原体が血液により全身へ運ばれます。

手のひら、足の裏など身体全体の皮膚や粘膜などに発疹がみられるようになります。

発疹は、治療をしなくても数週間以内に消える場合がありますが、病原体は体内に残っており、治ったわけではありません。また発疹は、アレルギーや麻しん、風しんなどと間違われることもあるため、注意が必要です。

この時期に適切な治療を受けなかった場合、数年後に複数の臓器障害につながるおそれがあります。

 

・晩期顕性梅毒(感染後数年)

数年を経過すると、皮膚や筋肉、骨などにゴムのような腫瘍(ゴム腫)がみられることがあります。また、複数の臓器に病変が生じ、場合によっては死に至ることもあります。

 

・先天梅毒

妊娠しているヒトが梅毒に感染すると、胎盤を通して胎児に影響を与えます。

死産や早産、奇形が起こる場合があります。

 

感染経路

主に性的接触により感染します。

男女ともに異性間性的接触の報告数が増加しています。

妊婦が感染していると、胎盤を通じて胎児にも影響を及ぼします。

不特定の人との性的接触がリスク因子になります。

また、コンドームを適切に使用しないことがリスクを高めます。

オーラルセックスやアナルセックスでも感染します。

予防方法

不特定の人と性交渉を行うことがリスクを高めます。

性交渉の際には、感染部位と粘膜や皮膚が直接接触しないようコンドームを使用することが勧められます。

ただし、コンドームが覆わない部分の皮膚などでも感染がおこる可能性があるため、完全に予防できると過信しないでください。

皮膚や粘膜に異常を感じるときは、性交渉を控えて下さい。

また梅毒は、一度感染しても生涯にわたる免疫(終生免疫)を獲得しない感染症です。自分自身が治療を行い、完治しても、梅毒患者と性的接触があれば再び感染するリスクがあります。完全な予防はできませんが、リスクを下げるよう自分自身で注意して下さい。

治療方法

一般的には抗菌薬による治療が行われます。

医師が治療終了とするまでは、必ず処方された薬を飲みましょう。治ったことを確認せず途中で治療をやめることのないようにしてください。

一度感染し、治療を受け、完治したからといって免疫は十分ではありません。再び感染する可能性があります。

皮膚や粘膜に異常があった場合は性的な接触を控え、パートナーも一緒に医療機関を受診してください。

お問い合わせ

奈良県感染症情報センター  (奈良県保健研究センター内)

〒633-0062 桜井市粟殿1000
電話番号 0744-47-3183