研修医時代は、一生続けられる分野を見つけること、それが今の自分につながる。

奈良県で働く総合診療医による座談会

~ 総合診療医が語る!奈良流・ジェネラリストの魅力と軌跡 ~

  • 武田 以知郎 先生
    明日香村国民健康保険診療所(以下、「明日香村診療所」)で所長をしております。家庭医・総合医として、奈良県の地域医療に従事しています。
  • 巽 恵美子 先生
    奈良県立医科大学附属病院(以下、「奈良医大」)の総合診療科を基本として勤務しており、2017年で医師として7年目です。週に一回、明日香村診療所の武田先生の下で診療を行っています。
  • 天野 雅之 先生
    南奈良総合医療センターの総合内科で勤務しながら、五條市立大塔診療所で所長をしています。2017年で医師として6年目です。「南和地域」と呼ばれる奈良県の南の地域全体の医療の要として、日々勤務しています。

2017年2月15日開催

皆様、医師としての勤務年数は違えど「総合診療医」としてご活躍ですが、これまでにどのような経緯で総合診療を専門とされたのでしょうか。まずは天野先生、いかがでしょうか。

天野先生 天野先生

私がそもそも総合内科を意識するようになったきっかけは、学生の時に経験したアメリカ・ニューヨークでの短期研修です。病院で働く総合医であるホスピタリストの存在を知りましたし、彼らと連携を取りながら病院でもクリニックでもご活躍されている桑間雄一郎先生(Mount Sinai Beth Israel Japanese Medical Practice)のような指導医の姿を見て感銘を受けました。

日本に帰ってきてからは、総合診療医として働く志水太郎先生(獨協医科大学 総合診療科診療部長・総合教育センター長)や佐藤健太先生(北海道勤医協 札幌病院 内科科長・副院長)の姿を見て「格好良い」と思い、彼らの姿を勝手に自分のロールモデルに掲げていました。もともと私は自治医科大学出身なので総合診療に関わる機会も多かったかもしれませんが、実際に主治医として診療に携わるようになればさらに楽しくて、気づけば総合診療に魅了されていました。

やってみて、総合診療のどんな部分が自分に合うと思いましたか?どんな部分が素晴らしいと思いましたか?

診断学はもちろんとても面白いのですが、それに加えて「目の前の患者さんのどのようなニーズにも応えられる」という点が総合診療の最大の魅力だと思います。自分ひとりの能力を超えている場合でも、臓器別専門医の先生方や多職種からなるスタッフでチームを作って患者さんの診療にあたり、患者さんと一緒にハッピーになれるように最大限の努力をしていくプロセスが素晴らしいと感じています。

天野先生はアメリカで研修をされたとのことですが、アメリカの総合診療医と日本の総合診療医とでは立場は同じなのでしょうか?

アメリカでは、日本と少し違っており、「病院で働く医者」、「クリニックで働く医者」、という形でしっかり分かれており、さらには集中治療医、ER医、ホスピタリスト等というふうに分かれているのが一般的です。一方、日本の多くの市中病院はその境界があいまいですが、そこが逆に良い点でもあります。診療所や定期外来で継続的に診ている患者さんに入院が必要な事態が生じたら、自分の病院の救急外来で自ら処置をして、入院主治医も担当し、退院されたら在宅診療だって担当できてしまう。私は大塔診療所で所長として勤務しながら南奈良総合医療センターでも勤務していますが、まさにこの状況を経験させていただいており、日々勉強になっています。

また、診療所で困ることは診療所に勤務してみないとわからない部分もありますし、逆に病院ならではの苦労もあります。例えば患者さんを診療所と病院の間で紹介する時にも、双方の立場を知っているからこそ尊重しあえる部分があると感じています。総合診療において継続性は大事なポイントだと思いますが、ここまでの継続性を実現できるのは日本ならではの文化だと思いますし、この良さを学べるプログラムが奈良県には多数あると感じています。

巽先生は、現在大学病院で勤務されていらっしゃいますが、総合診療医を目指されたきっかけは何だったのでしょうか?また、奈良で働こうと思ったきっかけも聞かせてください。

私が奈良県で働くことを選んだ理由は、単純ですが、私自身が奈良県出身で、奈良医大を卒業し、そのまま附属病院で研修を行ったからです。また、私は初めから総合診療医を目指していた訳ではありませんでした。初期研修で総合診療科をローテートした時に、西尾先生の外来診療に立ち会わせていただく機会があったのですが、その際に、患者さんが色々な話を西尾先生にされた後、涙を流して安堵されていました。それは、今まで自分が経験したことのある診察や想像していたような診察とはまるで違っており、患者さんの気持ちを捉えた診察に感動を覚えたことが、私が総合診療医を目指した一番の理由だと思います。また、問診と身体診察から患者さんの病態に迫っていくという点で、他科とは違う魅力を感じたこともきっかけの一つです。指導医の先生方が私自身の探究心にも応えて下さったので、総合診療科を専門にすることに決めました。

私は大学病院で研修をしていましたので、他科ではある程度診断がついている患者さんが来られていましたが、総合診療科では診断がついていない患者さんが来られることが多く、診断のアプローチを見ることができました。そこでは問診と身体診察から患者さんの過去や未来を推論しながら診断しておられ、色々な病院で多くの検査を受けてきても改善しなかった患者さんが元気になっていく課程を見ることができ、感動すら覚えることがありました。

巽先生 巽先生

武田先生は、現在までに奈良県内の各地の診療所で勤務され、2003年には(社)地域医療振興協会に招聘されるなど、全国的にへき地医療を支援されていらっしゃいますが、どのような経緯で地域医療に関わることになったのでしょうか?

私は自治医科大学を卒業していますので、まずはへき地の医療を守らなければいけないということで、地域医療に従事する形となりました。当初は「病院で専門研修を受けて、最先端の医療を地域に届けるんだ!」という意気込みでいたのですが、どうも病院で学んだ医療と、地域の場で必要とされる医療の間にはギャップがあることに気付きました。すごく良いことをしているはずなのに、お互いにハッピーにはなれないんですよね。そういうことがあり、やはり地域生活に寄り添った医療が大事であると感じました。
私の専攻は小児科ではあるのですが、地域の子供から100歳を超えるおじいちゃんやおばあちゃんまで、幅広く診られるということはすなわち、家族全体を診られるということです。家族全体を診ることが出来れば、地域まで診られる。視野を広く持ち、患者さんの人生に寄り添う医療が出来るという点が、総合診療の一つの特色だと思います。

武田先生が奈良県で総合診療医として勤務しようとお考えになられたのは何故ですか?

最先端の医療は大学や病院で学ばせていただいたものの、現場の医療というのは奈良県のへき地の患者さんたちから学ばせていただいたという意識がありますので。彼ら・彼女らは本当に良い生き方をされているなと感じます。そうした生き方に触れられることと、また、大学も県立医科大学のため県とも接点があり、色々な地域に関することも行っていますので、県立大学なりの地域密着的なところもあります。明日香村も県とはとても密接に連携が取れており、フィールドとしても奈良は面白いところだと思います。

県との連携というお話が出ましたが、武田先生が考える奈良県のネットワークの特長はどんなところでしょうか?

奈良県は、プライマリ・ケア学会、または家庭医療学会など、大体顔ぶれが同じであり、学会で何度か顔を合わせている内に「奈良県のメンバーだね」という形で、皆で飲みに行くまでに仲が良くなったのです。今の学会のコアメンバーたちは皆顔見知りですね。そのメンバーたちが今や天理よろづ相談所病院や民医連、奈良医大のメインになっていたり、または県の中のメインになっていたり、県としての繋がりを持っているところが他にはない奈良県の魅力だと思います。他の県にもそのような繋がりがない訳ではないとは思うのですが、奈良県の繋がりは他県に比べても歴史が深いですね。
また、奈良県には年に一回程度、「万葉衆」という、医師やコメディカル、ケアマネージャーなど、奈良県の医療や介護に関わる人々の集まりがあるのですが、そこでは自分たちの日常診療の中の「ぶっちゃけ話」や困った事例などをお互いにシェアできるような場づくりをしています。そこに若い先生方も入ってこられたりして、奈良県にはこんな繋がりがあるのだと、医学生や研修医の先生方にも、奈良県の総合医療、家庭医療、あるいは地域医療に興味を持っていただいています。そういう意味では、臨床研修で有名であり歴史もある天理よろづ相談所病院や奈良医大、市立奈良病院、南奈良医療センターなど、それぞれの病院とも連携している点は強みだと思います。

武田先生 武田先生

人間関係で繋がっているということですね。奈良県は個別の病院ごとの強みもあり、県全体の繋がりも強いのですね。

それぞれの病院が、「こういう医師を育てたい」という思いはある程度は同一だと思います。病院総合医はスペシャリストであるだけではなく、地域で活躍できる医師に育てたいという思いも共通していると思います。ただ、大学の学術的なところも欠けてはいけないし、地域だけに偏るのも良くありません。そうした部分に関しては、奈良県は大学が学術的な部分を担当しており、へき地での地域医療も、フィールドとして一番近いところを担当させてもらえますし、その内ドクターヘリなどもどんどん飛ばせるようになってくると思います。色々なことを経験できるネットワークが奈良県にはあると思いますよ。

奈良県で積めるキャリアについて教えてください。

奈良県で積めるキャリアについて教えてください

私は大学の家庭医のプログラムを修了したのですが、その研修として、奈良医大、市立奈良病院、最後に明日香村診療所の武田先生の下で研修を受けました。市中病院と大学病院、地域の診療所の3つを経験させていただいており、どれも経験しておいて良かったと感じています。何故なら、それぞれの施設での限界や、求められる役割を知ることが、医師としての奥行きの深さをつくってくれる気がしたからです。つまり、患者さんの多種多様な訴えや不安に対して、対応しやすくなったような気がします。

巽先生が経験された市中病院・大学病院・診療所での勤務の中で、これまでに最も印象に残っていることを教えてください。

この3つの経験を繋げるものとして、診療所の診療は特殊で、武田先生が仰っていたように、子供からお年寄りまで診ます。
例えば、私はある家族のおばあちゃんを大学の総合診療科で診ていますが、その娘さんとお孫さんは診療所で診ています。
おばあちゃんを大学で診察したら、診療所でお孫さんたちにおばあちゃんの話をしたり、逆におばあちゃんからお孫さんたちの幼稚園での風邪の流行など、地域の情報を仕入れたり、といった幅広い会話ができるのは、大学にいるだけでは絶対に経験できないことだと思います。

臨床面と、それ以外で分けて考えてみると、臨床の部分では巽先生がおっしゃったように、様々な診療の場所で研修できるのが大きかったと思います。例えば南奈良総合医療センターでは、地理的な特性もあり、南和地域の患者さんが一手に集まってきます。病棟、外来、ドクヘリ、救急、診療所、在宅、へき地など、南和地域の全てのフィールドを経験でき、地域をまるごと診られるというところが個別病院として南奈良総合医療センターの強みだと思います。
もちろん、当院でも対応できないような専門的なケースに関しては、奈良医大さんや天理よろづ相談所病院さんにご紹介させていただくことになります。その場合でも、各サイトの横の繋がりもありますので、「あの患者さん、いまはどう?」と友人に聞くとすぐにフィードバックをくれます。患者さんの状態が安定したら、また住み慣れた家に戻ってこられることもあるでしょう。こうした県内での施設をまたいだ継続性を持って診療を続けられる環境がある点、また、それをサポートしてくれる指導医やスタッフの協力的な環境がある点も、奈良県ならではの大きな魅力だと思います。

臨床以外の部分では、奈良県には病院の枠を超えた繋がりを作る場があります。さきほど武田先生がおっしゃったように中堅から上級医クラスの横の繋がりもあるのですが、卒後3~6年目くらいの若手医師にもしっかりとした横の繋がりがあります。例えば「SHIKATEN(シカテン)」という団体があります。もともとは感染症の大きな勉強会(IDATENセミナー)の準備をきっかけに奈良県の感染症診療を盛り上げるために設立された団体です。
今は、奈良医大と天理よろづ相談所病院、市立奈良病院、南奈良総合医療センターから集まった有志が中心となって、「横の繋がりを作り、奈良県で研修を受けてよかったと思ってもらえるように教育的な文化を創る」ということをテーマにして、部活動のノリでワイワイ活動しています。このように県単位で皆が集まって活動できるのも、奈良県の良いところだと感じています。

奈良県では地域医療のワークショップなども行われているそうですが、
それも「SHIKATEN」の活動にあたるのでしょうか?

SHIKATENと地域医療ワークショップは別の活動です。地域医療ワークショップは、奈良県の後援のもと、奈良県の地域医療の魅力をもっと知ってもらうために毎年の夏に開催されています。この準備の過程で私たちも奈良県庁のスタッフの皆様とお話させていただくのですが、皆さんとても熱意を持っていらっしゃって、毎回一緒に創りあげている感じです。行政と医療の距離が近いというのも、奈良県の大きな特徴ですね。

大学の域を超えた繋がりがあるというのは、他の県ではなかなか見られないことですよね。
一部の有志の研修医だけの集いというのはよくありますが、全体的な集いというのはなかなか見られないと思います。

私ももっと若かったら、そういう若い人たちの集まりに参加したかったんですけどね。上の繋がりも結構楽しく話ができるんですよね。だから、また皆で話したいなという気持ちはあって。指導者側もかなり良い雰囲気ですね。

「シカテン」の集まりのような企画の発案は、研修医の方から上がったのでしょうか?それをバックアップしてくれる環境はもちろんあると思いますが・・・。そのような企画は武田先生がいらっしゃった頃から上がっていたのでしょうか?

シカテンは比較的新しいですね。私たちはへき地医療勉強会とかやってましたけどね。今でもずっと続いている勉強会であったりとか、国保の診療所がへき地には多かったので、その勉強会とか。総合診療研究会とか、色々な場所でメンバーが顔を合わせる機会がありました。あとは、家庭医療の研究会が世襲になりますね。歴史が長いといえば長いです。

奈良県では地域医療のワークショップなども行われているそうですが、それも「SHIKATEN」の活動にあたるのでしょうか?

指導医の先生方同士が楽しそうに連携されているのをいつも見ているので、私たち若手は知らず識らずのうちに刺激を受けているのかもしれません。上から言われたわけでもなく、私たちは自分たちで計画して活動しています。こうした活動の中で、隣の施設の指導医の先生と顔見知りになれるなど、ナナメの繋がりも自然に出来上がってきます。こういう繋がりがあるのも奈良県ならではだと思います。

上級医だけではなく、全国の医学生が集まってくるプライマリ・ケア連合学会の夏季ワークショップを毎年湯河原で行っているのですが、オール奈良のメンバーでセッションをもらい、そこで研修医に近い先生たちと一緒にプロジェクトを組んで、2014年からもう3年ほど病院総合医と地域の総合医によるワークショップを行っています。その後は、飲み会ばかりやっていますが(笑)そういうオフの場では、上から下まで皆で楽しんでいます。

「楽しい」という言葉が出てくるのは良いですよね。本当に雰囲気が伝わってきますね。

地域では「楽しくやりたい」というのがモットーですからね。2015年に、プライマリ・ケア連合学会の近畿地方会を奈良医大が主になって「総合診療医の在り方」をテーマにしたのですが、奈良医大が主なのに、奈良医大以外のメンバー皆が力を合わせていて、面白かったんです。学会によって他職種連携とか、地域がどう動くかとか、色々な奈良県の地域に関わる方々と一緒に作り上げたという印象があって、そういうプロジェクトもいざとなったら一緒になってできるという力を持っているんですね。

シンポジウムやイベントごとなど、他にも県単位で色々とやられているんですね。

結構他の地域から見学に来てくれたりする学生さんや先生もいらっしゃいますよ。明日香村診療所に来てくれた方には、「他の連携している診療所にも見学に行ってみたら?」とか、「天理よろづ相談所病院にも頼んであげるよ」とか、声を掛けてみたり。大学にお願いすることもありますよ。また、大福診療所で非常に頑張っている先生がいるので、その先生にお願いしたり。明日香村に来てくれた方には、ソフトクリームや美味しいものを食べていただいて、送り出します。「色々なものを見て来いよ」と(笑)

奈良県での生活はいかがでしょう?また、奈良県のことをあまり知らない方にもお勧めしたいところなどありましたら、教えて下さい。

奈良県は、飛鳥や橿原神宮など、歴史的な文化財が多い土地です。実はそういった歴史のことには疎いんですが(笑)
私自身、まだ見られていない古墳などもたくさんあります。都心部から近いところにもありますし、戸塚山古墳や、他にも温泉地などもあります。おそらく皆様が想像されているよりも色々なものが奈良県にはあると思いますよ。私は、春になったら飛鳥にお花見に行きたいですね。

桜は確かに綺麗ですよね。吉野の桜も春になったらすごく綺麗ですよ。私は初期研修を奈良市内で行ったのですが、ならまちには古い町並みが残っていますし、おしゃれなカフェがすごく多いですね。路地を少し入ったところに、いわゆる「隠れ家」的なカフェが沢山あります。そういうお店を見て回るのも楽しいと思いますよ。あと、奈良県は「そこら辺を掘ったら何かしら出てくる」ようなところです(笑)。歴史に溢れる土地ですので、少し歩いただけで、歴史の教科書に載っているような建築が目の前に現れたりします。散歩するにはもってこいですね。
また、静かにのんびり暮らしたい方にもすごく向いていると思います。

飛鳥の桜と石舞台 飛鳥の桜と石舞台

意外とコンパクトで、住むには丁度良い土地なんですよね。例えば兵庫県や京都府にしても、勉強会等に行くのも、日本海側からずっと行かなければならず、根性がいりますよね。滋賀県から和歌山県に行くとかも。奈良盆地は、ほとんど全てが、大体30分~1時間の圏内で行けるんですよね。集まろうと思ったらすぐに集まれるのは、奈良県に暮らす大きなメリットだと思います。
今はテレビ会議など遠隔のツールもありますが、奈良県に住んでいればすぐに直接顔を合わせて話をすることができるのが魅力ですね。例えば隣県の勉強会に来たら、ついでに奈良県に寄って、天理よろづ相談所病院や市立奈良病院、奈良医大など、一日で回ろうと思えば回れます。そういう意味では、土地がとてもコンパクトであることが奈良県の売りですね。
何より、奈良県で一番感じていただきたいのは、県内随所で感じられる日本の原点というものです。例えば、飛鳥の田舎の田園風景を眺めながら思いを巡らせると、昔ここに日本の中心となる都があり、インターネットも新幹線も飛行機もない時代に全国から貢物が届けられ、政治が行われていたことが思い描かれます。実は、この「空想する」ということは医療でも大事で、患者さんの生活や背景を想像する・思いを馳せる力が必要になります。休日は二上山や飛鳥の石舞台を見ながらぼんやりと患者さんの生活を空想してみるのも良いでしょう。石舞台も、ただの石かと思いきや、それだけではなく、何か感じるものがあると思いますよ。
私も初めて見たとき、風景の中にも重みを感じて、飛鳥が大好きになりました。そういう訳で、今ここに定住させてもらっています。

武田先生はもうずっと奈良県にいらっしゃるんですね。武田先生にはお子様もいらっしゃるとのことですが、お子様が小さい頃はどの辺りで遊ばせていらっしゃったのでしょうか?

子供が小さい頃はへき地におりましたので、へき地で遊ばせていました。子供がある程度大きくなった頃には、市街地を拠点にして、自分が動いて・・・という感じですね。勤務先がへき地であっても、大体通える範囲のため、子供の進学なども考慮の上で自分は市街部に住むということも可能です。私自身としては転勤族ではありましたが、ある程度子供が進学する頃には一軒家に定着できて、そこを拠点にしていくらでも奈良県内の病院で働くことができています。また、奈良県には有名校もありますし、子供を育てるのに奥さんも喜んでくれると思います(笑)
奈良県は大阪にも近いですしね。奈良県の閑静な土地で子育てをして、夫婦では大阪で美味しいものを食べたり、遊びに行ったりとか、そういうことも自由にできますね。

最後に、若い医学生や研修医に向けて、メッセージをお願いします。

若い医学生や研修医に向けて、メッセージをお願いします

とにかく、経験させてもらえることは何でもチャレンジ!指導医や医療スタッフ、患者さんや住民の皆さんとの出会いの中に沢山の学びが詰まっています。奈良県の総合診療研修は楽しく充実した毎日です!吉野の桜を見るついででも良いので、是非一度見学に来ていただいて、雰囲気を感じてみてください。奈良県で一緒に働ける日を心待ちにしています!

私は、総合診療医といっても初期研修の2年間を入れて7年目なのですが、総合診療科に入ってから患者さんに言われて嬉しかった一言があります。それは、「先生は、何を聞いても答えてくれるね」という言葉です。総合診療医は、どんな症状も「自分の専門ではない」という言葉が言えないため、それが苦しい時もありますが、その分本当にたくさんのことを考える機会が日々の中にあります。また、自分が経験したことのないことも、たくさん起こります。ぜひ色々なことを経験していただいて、患者さんの傍らにすっと立ち、患者さんの疑問に何でも答えてあげられるような医師を目指したい方は、一緒に奈良県で働けると嬉しいです。

私たちは、自分たちのネットワークに自信を持っていますので、ぜひ一度、見学に来てください。また、見学の際には、県内の色々な病院を見てほしいですね。他院への紹介も気軽にできますので。まず来ていただければ、この繋がりを実感できるのではないかと思います。ご自分の多様な働き方やキャリアを考えていただいた上で、それに合ったプログラムを自由に組めるようなメリットが奈良県にはあります。私たちは教育に関しては大きな自信を持っていますし、奈良県の地域のフィールドで働くことにも、地域なりの魅力があると思います。
まずは見学に来ていただいて、感じていただくのが良いと思いますね。

参加者プロフィール

武田 以知郎 先生

武田 以知郎 先生

出身大学
自治医科大学(1985年卒)
在 籍
明日香村国民健康保険診療所 所長(2010年~)

自治医科大学卒業後、天川村や大塔村の山間部に勤務。
県立五條病院では、へき地医療支援部長としてへき地医療に尽力。
2003年からはへき地医療を支援する(社)地域医療振興協会に招聘され、山添村での勤務のほか、同協会近畿地域支援センター長として全国的に地域医療を支援。
2010年から明日香村国民健康保険診療所所長に就任。

巽 恵美子 先生

巽 恵美子 先生

出身大学
奈良県立医科大学(2010年卒)
臨床研修病院
奈良県立医科大学附属病院
在 籍
奈良県立医科大学附属病院 医員
専門医・資格等
日本内科学会認定内科医
日本家庭医療学会 専門医
日本プライマリ・ケア連合学会 認定医
天野 雅之 先生

天野 雅之 先生

出身大学
自治医科大学(2012年卒)
臨床研修病院
奈良県総合医療センター
在 籍
南奈良総合医療センター 総合内科 医員/五條市立大塔診療所 所長(~2017年3月)
専門医・資格等
日本内科学会認定内科医
シカいの広い総合診療医は君だ!

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