奈良新聞掲載記事集

令和2年度 奈良新聞掲載「農を楽しむ」

大豆の新奨励品種

   農業研究開発センターでは、水稲、小麦および大豆について、本県での栽培に適し高品質安定生産が可能で広く普及させる品種を奨励品種とし、その選定を行っています。最近では、昨年3月に大豆「サチユタカA1号」を新しく奨励品種に選定しました。
 「サチユタカA1号」は、多収で良質であるこれまでの奨励品種「サチユタカ」に、莢(さや)がはじけにくい性質、難裂莢性(なんれっきょうせい)を付け加えた品種です。
 植物は、子孫を広めるため、遠くに種子を飛ばす手段を備えています。大豆の場合は、莢がはじけることにより、種子を飛散させます。野生大豆ではこのような莢がはじけやすい特性を備えていることは重要ですが、栽培大豆の場合、この特性のために収穫前に莢がはじけてしまうと収穫量が減少してしまいます。
 これまで、アメリカなど、収穫期の気候が乾燥し、かなり大規模で栽培され、早くからコンバイン収穫が行われてきた国では、莢がはじけにくい難裂莢性品種が普及してきました。しかし、小規模栽培で、収穫期があまり乾燥条件ではない日本では、莢のはじけやすさはあまり問題になってこなかったため、「サチユタカ」のような裂莢しやすい品種が主に栽培されてきました。ところが、日本の大豆栽培も、農地をまとめ大規模化されるにつれ、農作業の競合や天候不順により適期に収穫作業ができない場合、莢がはじけることによる減収が問題となってきました。そのため、近年、難裂莢性を備えた品種の育成が重点的に進められてきています。
 今後、新奨励品種「サチユタカA1号」の大豆産地への普及を進めることにより、生産現場では、刈り取り適期が伸び、作業時間に余裕のある丁寧な刈り取りが行われるようになります。その結果、収穫ロスの低減による県産大豆の増収と品質向上が期待されます。

大豆莢はじけ

                     成熟後に大豆の莢がはじけている様子

【豆知識】

 大豆の日本での需要量は約350万トンで、そのうち約7割は搾油用、約3割は食用に利用されています。世界では生産される大豆のほとんどが搾油用としての需要であるのに対し、日本では、主には豆腐、味噌や納豆、また、煮豆、きな粉等の伝統的な食品に加工され、食用に利用される割合が高くなっています。
 国内での生産量は約20万トンあります。国産の大豆は味、風味や加工適性が優れると評価されており、ほとんどが食用に利用されていますが、その自給率は約20パーセントにとどまっています。
 県産大豆の生産も全国的に見ると多くはありませんが、主に豆腐に加工される他、農業者自らが味噌に加工して販売も行っています。また、県内の直売所では、地元の大豆やきな粉などの大豆加工品が販売されています。是非、県内産の様々な大豆やその加工品を味わってみてください。

平成31年度 奈良新聞掲載「農を楽しむ」

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奈良新聞で第1日曜日に連載中の「農を楽しむ」に掲載されたものです。
(平成20年まで「みどりのミニ百科」)
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