奈良新聞掲載記事集

令和2年度 奈良新聞掲載「農を楽しむ」

夏ホウレンソウの話

ホウレンソウの年間国内生産量は、23万トン弱(2018年)あり主要な野菜のひとつです。
生育適温は15~20℃で、冷涼な気候を好み、今の時期は作りにくい野菜です。そのため、東北や関東地方の高冷地、そして岐阜県の飛騨高山地域が主要産地となっています。
奈良県でも東部山間の宇陀市、曽爾村、御杖村は、標高が300mを超え夏場が比較的涼しく、この立地条件を利用して「夏ホウレンソウ」を生産しています。
奈良県中央卸売市場での昨年の「夏ホウレンソウ」(7~9月)の産地別取扱量を見てみると、県内のこの地域からの入荷が岐阜県産を抑えてトップとなっています。
ちなみに、奈良県の生産量は3千トン強であり、同市場での年間取扱量1,100トン弱(2019年3月~2020年2月)のうち4割を県内産が占めています。
さて、この時期に売られている「夏ホウレンソウ」ですが、様々な課題を乗り越えて生産されています。
まず、生育環境条件をコントロールしやすくするために、一般的にビニールハウス内で栽培されています。栽培上で最初に問題となるのは、種が発芽しにくいことです。ホウレンソウの種は硬い殻に包まれており、しかも発芽適温は15~20℃です。これには、種を蒔く前に先に芽を出させておいたり、蒔いてからすぐに芽が出るようにあらかじめ処理してある種を用いることで対応しています。地表面の温度を下げるために遮光ネットを張ったりもします。
次に問題となるのが、生育中に日長が長くなる6~7月に花を咲かそうとして急に茎が伸びてトウが立ってしまうことです。これには、種苗会社が開発したトウ立ちしにくい夏向きの品種を使用しています。
このほか、播種後から発芽が揃うまでの細やかな水やりや、夏場には短くなる収穫までの日数に合わせた播種時期の調整など、様々な工夫や技術の積み重ねによって「夏ホウレンソウ」は生産されています。

夏ホウレンソウの栽培状況の写真

[豆知識]

機能性表示食品も出ている「ホウレンソウ」
機能性表示食品とは、事業者の責任で科学的根拠を基に商品パッケージに機能性を表示するものとして、消費者庁に届け出された食品のことです。
新岩手農業協同組合が生産する生鮮食品「寒じめほうれんそう」、(株)ジェイエイフーズみやざきが生産する冷凍加工食品「宮崎育ちのほうれんそう」などが、届け出されています。
これらの商品の機能性関与成分は「ルテイン」で、光による刺激から目を保護するとされる網膜(黄斑部)色素を増加させることが報告されています。
ホウレンソウを成分面から見ると、野菜の中では鉄分が多く、鉄分の吸収を助けるビタミンCも豊富に含まれています。ルテイン含量は、栽培の方法や時期、品種などによって増減します。また、これらの成分のほか、ビタミン類、葉酸、食物繊維も豊富に含まれているので、ホウレンソウは非常に栄養価の高い野菜といえます。

 

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奈良新聞で第1日曜日に連載中の「農を楽しむ」に掲載されたものです。
(平成20年まで「みどりのミニ百科」)
※過去に掲載されたトピックスは時間が経過し、現下と異なる点もございますのでご了承下さい。