特別展
奈良ゆかりの現代作家展 安藤榮作 -約束の船-
2025(令和7)年9月13日(土)ー11月16日(日)
主催・会場 奈良県立美術館

安藤榮作 《約束の船.2025》2025 年 撮影:木奥惠三
~奈良ゆかりの彫刻家、初の大規模個展~
■概要
本展は、奈良県天理市を拠点に活動する彫刻家・安藤榮作による展覧会です。安藤は、2011年にそれまで拠点としていた福島県いわき市で東日本大震災に被災し、自宅、アトリエと作品を津波で失い、福島第一原発事故を機に奈良県に避難移住してきました。以降、現在まで、奈良県を拠点に、吉野のヒノキをはじめ奈良の様々な樹木の原木や廃材を手斧で叩き刻む技法で制作を続けています。展示室では、2011年の被災後、奈良に拠点を移して以降の約15年間に制作された作品群より、代表作である木彫作品《鳳凰》(2016年)や《福島原発爆発ドローイング》(2013年~2019年)をはじめ、本展覧会のための新作インスタレーション、魂たちの約束の旅を意味する《約束の船.2025》(2025年)などを展示し、安藤芸術の現地点を紹介します。これら展示された作品のエネルギーを感じながら、奈良の自然や風土にも想いを馳せていただければ幸いです。
■みどころ
1. 初開催 奈良ゆかりの現代作家・安藤榮作の個展
本展は、奈良県立美術館が開館以来初めて開催する、地元・奈良在住の現代作家の大規模個展です。 彫刻家・安藤榮作(1961 年、東京都生)は、2011 年にそれまで拠点としていた福島県いわき市で東日 本大震災に被災し、自宅、アトリエと作品を津波で失い、奈良県に避難移住してきました。原木や廃材 の木材を手斧で叩いて刻んで制作する安藤は、吉野の林業など木材の生産が豊富な奈良に出会い、この 地で制作を続けていくことになりました。本展では、奈良に拠点を移して以降の約 15 年間の近作・新作 を中心に展覧します。
2. 変わり続ける展覧会 公開アトリエ&アーティストとの交流
本展では、完成された作品を展示するだけでなく、公開アトリエやパフォーマンスなど、充実した鑑 賞プログラムを企画しています。まず、展示室に常設された公開アトリエでは、不定期に作家が来館し 作品制作を行います。したがって、会期中に作品の姿がどんどん変化していきます。また、安藤自身が 出演するトークやパフォーマンスイベントでは、作家の肉声を聞き、理解を深めることができます。最 も目玉となるのは、安藤が斧を振るい、木を刻む音とピアノや歌のコラボレーションをお楽しみいただ けるパフォーマンス&トークの開催です。斧で木を何度も打つ行為は、作家にとって作品の素材となる 樹木との対話でもあり、作品に刻み込まれた無数の斧の痕は、安藤作品の最大の特徴ともいえます。
3. 関連展示も充実 吉野の木材や白髪一雄らのアクション・ペインティングから安藤榮作を眺める
安藤の作品をより深く理解するための、関連展示も企画しています。まず、奈良県立民俗博物館によ る企画「吉野林業の世界」では、重要有形民俗文化財の「吉野林業用具と林産加工用具」などを展示し ます。安藤の制作を支える吉野林業について、林業に関する思想も合わせて紹介し、「木」を利用した人 間生活とは何か考えていただくきっかけを提供します。 また、当館所蔵の大橋コレクションを中心に、白髪一雄・元永定正・田中敦子ら、戦後日本で作品を 制作する際の”行為”を重視した作家の作品を特集する関連展示「行為と作品」も同時開催します。白髪 や元永らは、足で描いたり、絵具を流し込んだり、実験的な絵画制作を行い、作品が生まれる過程にも 意味を見出していました。彼らの制作態度は、斧を何度も振るい続ける行為を重視し、その痕跡が作品 の特徴となる安藤芸術に繋がる部分があります。 これらの多角的な視座からの関連展示によって、展覧会を深く理解する機会を提供します。
■会期 2025(令和7)年9月13日(土)~11月16日(日)
■休館日 9/16(火)、9/22(月)、9/29(月)、10/6(月)、10/14(火)、10/20(月)
■開館時間 9:00~17:00(入館は 16:30 まで)
■観覧料 一般=1,200(1,000)円、大学生=1,000(800)円
※( )内は団体料金(20 名以上)
※小・中・高生及び 18 歳未満は無料
※身体障がい者手帳・療育手帳・精神障がい者保健福祉手帳(アプリを含む)をお持ちの方と介
助の方 1 名は無料
■主催 奈良県立美術館
■後援 奈良テレビ放送、奈良新聞社、西日本旅客鉄道株式会社、近畿日本鉄道株式会社、
奈良交通株式会社、公益社団法人奈良市観光協会、奈良県教育委員会、奈良市、
奈良市教育委員会
■協力 春日山原始林を未来へつなぐ会
■助成 芸術文化振興基金、公益財団法人三菱 UFJ 信託地域文化財団
■作家プロフィール
安藤 榮作 (あんどう・えいさく)

1961 年、東京都生まれ、1986 年東京藝術大学彫刻科を卒業後、1990 年に制作の場を求め て福島県いわき市に移住。福島県立美術館やいわき市立美術館を中心に若手作家として活 躍。2011 年、東日本大震災にて被災。自宅、アトリエ、数百点の作品と愛犬を津波で失う。 同年、福島第一原発事故を機に奈良県に避難移住する。最初は明日香村に移住し、その後、 2012 年に天理市にアトリエを構える。2016 年、川崎市岡本太郎美術館「つくることは生きること 震災《明日の神話》」展に出品。2017 年、第 28 回平櫛田中賞受賞。2019 年、第 10 回円空大賞にて円空賞を受賞。2025 年、川崎市岡本太郎美術館「戦後 80 年 《明日の神話》 次世代につなぐ原爆×芸術」展に出品。現代を代表する木彫作家として評価されている。
島根県「宍道鼓動芸術祭・こども Art の 森 PJ」にて 2023 年 撮影 桐山尚子
■関連イベント
■アーティストトーク
日時 9月13日(土)14:00~15:30(13:30開場)
講師 安藤榮作(出品作家)
定員 60名(当日先着順)
会場 レクチャールーム
■ハローミュージアム 午前の部
日時 9月15日(月・祝)10:00~11:00(9:45受付開始)
対象 0~2歳の乳幼児とその保護者およびきょうだい
定員 5組(事前申込み制・先着順)
※後日、申込みフォームのリンクをこちらに設けます。
■ハローミュージアム 午後の部
日時 9月15日(月・祝)13:30~14:30(13:15受付開始)
対象 3~5歳の未就学児とその保護者およびきょうだい
定員 5組(事前申込み制・先着順)
※後日、申込みフォームのリンクをこちらに設けます。
※ハローミュージアムについて(pdf 1354KB)
■公開制作&トーク
春日山原始林の保全のために伐採されたナギの木を使い公開制作を行います。
日時 10月4日(土)公開制作 14:00~14:45/トーク 14:45~15:00
講師 安藤榮作(出品作家)、杉山拓次(春日山原始林を未来へつなぐ会 事務局長)
定員 30名(開始30分前より整理券配布)
会場 展示室
協力 春日山原始林を未来へつなぐ会
■パフォーマンス&トーク
展示室内で斧とピアノとウタのコラボレーションを行います。
日時 10月18日(土)18:30~20:30(17:30開場)
出演 安藤榮作(出品作家)、徳山美奈子(ピアノ)、玉井夕海(ウタウタイ)
定員 100名(事前申込制・先着順)
会場 展示室
※後日、申込みフォームのリンクをこちらに設けます。
■講演会 「約束の船」をめぐる対話
日時 10月25日(土)14:00~16:00(13:30開場)
講師 岡村幸宣(原爆の図丸木美術館 学芸員・専務理事)、安藤榮作(出品作家)
司会 山本雅美(当館学芸課長)
定員 60名(当日先着順)
会場 レクチャールーム
■クロージングトーク
日時 11月15日(土) 14:00~16:00(13:30開場)
講師 安藤榮作(出品作家)、仲野泰生(京都場 館長)、勺禰子(歌人)ほか
定員 60名(当日先着順)
会場 レクチャールーム
■公開アトリエについて
会期中、展示室に作家のアトリエを常設し作品制作を行います。作家の来館は当館SNSにてお知らせします。会期始めから終わりにかけて、常に変化していく作品制作の様子をご覧いただけます。また、制作日以外は制作途中又は完成した作品をご覧になれます。
■図録について
・仕様:B5版、約100頁(図版編:カラー/テキスト・資料編:モノクロ)
・図版編:主要な作品画像、展示風景の写真等
・テキスト編:美術評論家による寄稿論文、担当学芸員の論考
・資料編:年譜、文献リスト、作品リスト等
・部数:700部(予定)
・発行:奈良県立美術館
・発行日:2025年10月下旬頃予定
■関連展示
■奈良県立民俗博物館企画 吉野林業の世界
重要有形民俗文化財の「吉野林業用具と林産加工用具」などを展示します。
※ギャラリートーク
日時 10月5日(日)・10月19日(日)14:00~(約45分)
講師 高橋史弥(奈良県立民俗博物館 学芸員)
会場 ギャラリー
■コレクション企画 行為と作品
当館のコレクションから、安藤と同様に制作“行為”を重視した作家の作品を展示します。
※ギャラリートーク
日時 9月28日(日)・11月8日(土)14:00~(約45分)
講師 村上かれん(当館学芸員)
会場 第6展示室