奈良県立美術館 Nara Prefectural Museum of Art
「松本米三郎のしのぶ（まつもとよねさぶろうのしのぶ）」
東洲斎写楽
一枚 江戸時代（寛政６年=1794）
大判錦絵 37.0×23.6cm
奈良県立美術館４０選 
浮 世 絵
解説
遊女に身をおとして父の仇討をねらう娘信夫（しのぶ）を描いている。微妙でしなやかな線、効果的な黒で引き締められる抑制された格調高い色、歌舞伎の誇張された演技に通じるデフォルメなどは、人間のなまなましい情念を実在感をもって浮き彫りにしている。
東洲斎写楽（とうしゅうさいしゃらく）については、役者絵、相撲絵など１４０余種の作品と、それから推定される寛政６年（1794年）５月から翌７年１月までの作画期間しかわからない。近年、『諸家人名江戸方角分』に「写楽斎」と号する浮世絵師が八丁堀地蔵橋辺に住んでいたという記載があることが発見され、一時否定的であった「俗称斎藤十郎兵衛 居江戸八丁堀 阿波侯の能役者也」という『増補浮世絵類考』の記事が再び注目されている。
