第3回臨時会議(平成29年11月30日開催)

開催概要


その他報告事項

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 県立高等学校の適正配置に関する検討に係るヒアリングの実施について(pdf 353KB)  <教育振興大綱推進課>

平成29年度第3回(臨時)教育委員会議事録(テキスト版)

概要

<開会>
平成29年11月30日
14時00分

<閉会>
平成29年11月30日
16時00分

 
<会議場所> 
ホテルリガーレ春日野

(奈良市法蓮町757-2)

<委員出欠>
花山院弘匡(出席)
佐藤進(出席)
森本哲次(出席)
高本恭子(出席)
上野周真(出席)

 

議案及び議事内容

<議事内容>

〇吉田教育長 「ただ今から、平成29年度第3回臨時教育委員会を開催いたします。本日は委員全員出席で委員会は成立いたしております。」

○吉田教育長 「本日の議案は、第2回の臨時会に引き続いて、県立高等学校の適正配置に関する検討に係るヒアリングを行いたいと思います。」
○前田教育振興大綱推進課長 「前回、第2回の臨時会では6つの学科に関するヒアリングを実施いたしましたが、今回は、工業、家庭、芸術に関する学科及び高等学校長協会会長からヒアリングを実施したいと思います。
 それでは、工業科からヒアリングを開始したいと思います。ご説明いただきますのは、県立御所実業高等学校の岩崎校長先生です。どうぞよろしくお願いします。」
○岩崎御所実業高等学校校長 「レジュメの1ページと2ページに工業科の現状について書かせていただいております。全日制の工業科は現在は4校ございます。各学科の定員については資料のとおりですが、吉野高校だけは、建築と土木、森林科学の三学科合わせての一括募集をしており、2年生から3学科に分かれていくこととなっています。
 2ページには、卒業生の進路についてまとめています。工業科の就職はかなり良好で、有効求人倍率でいうと、本校(御所実業高校)で7倍程度となっております。学校推薦で140件、前年度は841件程度の求人がありました。全国工業高校校長会では、毎年離職率を調べています。これは本人と会社に調査票を送付して返してもらうため、かなり確かな数字だと思います。その調査で今年、3年の離職率が、近畿の工業高校では22%となっております。よく「七五三現象」と言われますが、全国の高校で40%程度、大学で30%程度ですので、工業科出身者の定着率はかなり高いといえます。
 進学率は、奈良県は少し低いですが、全国的には進学が4割です、そのうちの半数が大学進学、半数が専門学校進学となっています。本校は特殊で、大学が多くなっておりますが、これはスポーツ推薦が多いためです。
 学科編成につきましては、各学校の校長、学科長とヒアリングを行いましたが、特に意見はございませんでした。ただ、吉野高校については、将来的には吉野材を使った建築や土木の学科を設置したらどうかというような話がありました。
 それから今後の在り方については、県外の大企業に就職する生徒もいますが、やはり県立ですので、県内の工業を背負って立つ人材を育成することも大事だと考えております。今年、本校でもデュアルシステムとして、自動車を専攻する3年生10名ほどが地元の企業にお世話になっております。本校OBも中小企業の経営をしており、人材を欲しがっていますが、生徒たちがなかなか中小企業を希望しないという現状があります。地元で学んで地元で就職する『地学地就』の推進が、これからも必要ではないかと思っています。また、更に学びたい生徒たちのために、工業高校の専攻科や工業大学校等があれば良いのではと考えています。経済的に厳しい生徒が工業科にもおりますが、なかなか大学に行くことができない。本校の生徒の中でも都市工学科の生徒は、特に地方公務員に毎年2,3名ずつ就職しますが、就職してもなかなか現場で力を発揮できない、大学、専門学校卒業の先輩と比べると、まだまだ力不足を感じるということがあるようです。そういった意味で、専攻科や工業大学校等のようなところがあれば、1年なり2年なり力を付けた上で、社会に出れるのではないかと感じています。
 以上です。」
○吉田教育長 「はい、ありがとうございました。それでは委員の皆さん、ご質問、ご意見等はございますか。」
○花山院委員 「一般的な話ですが、例えば日本の高度成長期には、やはりものづくりが中心で、機械化も進んでいなかったので、多くの人間の力が必要でした。遠くから金の卵みたいに就職してこられたりということもありました。
 ただ今の我々のイメージですと、高校を卒業して勤めても、特殊なことはなく、機械化も進んだ工場の中で何かの作業をしたりするというようなことが多く、また正規の社員だけでなく、パートの方や契約社員もおられます。
 卒業後の進路を拝見させていただいて感じたのですが、例えば工業で習ったことを生かせるような就職先が本当に多いのかどうかというのが分からない。普通科の生徒よりも、商業科や工業科の生徒の方が就職は良いようですが、専門性を生かして働ける職場がどの程度あるのか、現状を教えてください。
 高校で学習していることが、就職に必要なものであることが大切ですが、その一方、学習した内容を生かせないような仕事に就いても、そのことを知ってるということが、人生の厚さや楽しみが増すということがあると思います。それら両方の考えがある中で、どちらが子どもたちにとって大切かというのを考えるに当たって、実際のところを教えていただきたいと思っています。」
○岩崎御所実業高等学校校長 「例えば機械工学科を出たら、どの程度機械関係に進んでるかというと、奈良県全体でざっくりというと7割ぐらいという感じがします。ただし、本校の薬品科学科37名のうち就職は20名くらいですが、その半分くらいは薬品関係、または化粧品関係に就職しています。ただ、学校OBの方に話を聞くと、高校時代に機械を触ってるというのが、かなりプラスになるということです。それと、例えばパン製造業に就職すると、他にも普通科を卒業した方やパートの方もおられますが、その中で工業科卒業の生徒たちに求められるのは、ラインの機械の整備等になります。機械が壊れたときには、手際良く対応できるということでかなり専門性を求められることになります。7割くらいは他の学科よりは専門に進んでると思います。
 本校は農業科もありますが、農業という産業は求人が少ないので、それに比べたらかなり専門性の高いところに就職できていると思います。」
○吉田教育長 「まず、学科を工業の中でどのように配置していくか考えていくことになります。都市工学は土木ですが、土木という学科はどうですか。」
○岩崎御所実業高等学校校長 「重機を扱ったり、土木施工管理技士の資格を取ったりしますが、確かに管理の2級をとるのは、私は校長に就任して3年目ですが、1人くらいしかいません。高校卒業レベルではなかなか厳しい状況です。他府県、特に地方の工業科や専門科等は、かなり学力レベルの高い生徒が入ってきますが、奈良県の場合はそういう子はあまり多くありません。
 奈良県の中でどの産業を重視するかによると思います。特に本校にもある薬品科学科は全国で4つしかありません。要するに、工業の基幹・基本は機械工学科だと思います。機械工学科はどの産業でも必要としています。
 意外と就職はたくさんきますが、中学生から人気がないのは電気です。機械にしても、自動車関係に携わろうと思えばハイブリッドがありますので、電気も扱わないといけない状況です。そうなると、機械だけではなく、専門学校へ行って電気も学ぶという生徒がでてきます。
 後は情報が奈良朱雀と王寺工業にありますが、王寺工業は、元は違う学科であったものが十何年前に情報工学に変わりました。奈良朱雀は奈良商業との統合再編の中で、工業の情報が県内に一つ必要だということで設置されました。情報の分野ではその二つが重なっています。専門の学科の先生からみると中身は全く違うということですが、中学にとっては同じように見えるところがあります。
 電気も、中学生にとっては同じように見えてしまいます。昔から機械、建築、土木、電気は全国的にもいろいろな資格があったり、電気工事士等資格を取ったりということが、企業の間では認められていますので、(就職には)非常にとっつきやすいですが、情報については、かなり技術が進歩していますので、進学する生徒も意外と多いと聞いてます。」
○吉田教育長 「土木の施工管理というのは、かなり難しいのですか。」
○岩崎御所実業高等学校校長 「はい。本校では1人、取得してから大学に進学しました。もうちょっと勉強したいということで。」
○吉田教育長 「施工管理というのは試験ですか。」
○岩崎御所実業高等学校校長 「はい、試験です。」
○吉田教育長 「実務経験は必要ないのですか。」
○岩崎御所実業高等学校校長 「2級では必要ありません。」
○花山院委員 「前回の再編では、どのような学科構成でしたか。」
○岩崎御所実業高等学校校長 「(奈良工業の)工業化学は廃科になり、一部は御所実業高校の薬品科学科へ移りました。」
○前田教育振興大綱推進課長 「奈良工業高校は、平成17年度からの再編でしたが、その時には機械、電気、土木、建築の4つの科がありました。再編が始まる前に工業化学が廃科となったようです。」
○吉田教育長 「再編で新たにつくった学科は情報工学ですか。」
○前田教育振興大綱推進課長 「はい。王寺工業高校も、かつては科学技術、電気、電子機械の3学科でしたが、平成17年度に電子機械工学、総合電気工学、情報電子工学という3つに変わりました内容として少しは変わりましたが、基本は引き継ぐ形だったかと思います。その名称が分かりにくいというようなことで、名称変更して今のような形に整ったということです。」
○花山院委員 「名称が変わるのに、なかなかカリキュラムは変えにくいですね。だからニーズに応えながらも、基本的には引き継いできているということですね。」
○吉田教育長 「学習指導要領上で工業はどうなっていますか。」
○岩崎御所実業高等学校校長 「工業の中に機械等があります。」
○前田教育振興大綱推進課長 「様々な科目がありますので、その配置は学校で選択して、それぞれの系統に合わせて設定していきます。専門学科の工業科として、25単位以上とれば良いということになっています。それぞれの学科ごとに例えば課題研究のテーマとして、電気や土木等中身を変えたりされていると思いますが、科目の選択としては必ずしも何をどれだけとらないといけないということが決まっているわけではありません。」
○岩崎御所実業高等学校校長 「薬品科学科では、ほとんどが学校設定科目で教科書もありませんので、専門学校の教科書を使ったり自校で作ったりしています。」
○森本委員 「私は電気を勉強したことがありますが、そのときには電気理論や、応用電気、電気機械等、『電気』、『電子』とは何とかという感じでした。社会に出て、国家試験を受けるときにそのような項目はありません。電気工学の中にも情報電気の中にも(国家試験に出る項目は)あると思いますが、どうでしょうか。」
○岩崎御所実業高等学校校長 「情報の中にはありませんが、電気の中には必ず国家試験に出るような項目はあり、卒業生も国家試験を受けるための証明を取りにきます。」
○森本委員 「前も言いましたが、昔は企業の体制がしっかりしていて、高校卒業後に就職した人たちを企業内で教育しました。長ければ2年教育して、その企業で成熟させていくことがありました。それが今、その期間が1か月や2か月と短くなってきて、資格もなかなか取りづらいということになっています。だから、一元的に学校で教えてもらって就職して、社会の中で適応するかどうかは分かりません。次のステップが必要ということになるのかも分かりません。
 離職率は少ないということは良いことだと思いますが、あとは資格が取れれば良いですね。資格は企業で使ってもらえるものがありますから。様々な資格がありますので、資格が取れるような形がうまく作れれば良いと思います。あと専門学校、工科大学校と一般大学との連携があれば、子どもたちが飛躍しやすくなるのかなと感じています。」
○吉田教育長 「それと情報は、平成16年に設置したときに、就職させる企業が情報科にはあまりないので、出口がないのではという現場の先生方の不安がありました。」
○花山院委員 「出口は大切です。」
○森本委員 「情報に関する資格は、高校では難しい。」
○吉田教育長 「就職先については、何か分かりますか。」
○岩崎御所実業高等学校校長 「就職先については分かりませんが、学科については、全国で学校によってロボット工学科とか制御工学、情報工学、マルチメディア学科等いろいろあります。ロボコンにも本県から奈良朱雀が出場していましたが、高校の3年間だけでは、極めるのはちょっと厳しいと思います。」
○吉田教育長 「極める学科を作ってからということですね。」
○岩崎御所実業高等学校校長 「情報に関する就職先が少ないので、そういう関係の専門学校に行く生徒が多い状況です。高専の場合は、4年生に編入することができます。王寺工業高校でも、高専に編入する生徒が、過去1,2名います。地方の高専へ行って、今、しっかりとロボットのことをやってる学生もいます。」
○吉田教育長 「例えば奈良高専の4年生に編入しよう思ったら高い学力が必要ですか。」
○岩崎御所実業高等学校校長 「かなり学力が必要だと思います。そのような生徒は高校入試の段階で機械をやりたいということで、学力以外の理由で専攻してきたのだと思います。」
○花山院委員 「(再編を)検討するに当たり、今現場で、こういうことがあればもう少し生徒たちのプラスになるのではないかと提案されるようなことはないですか。」
○岩崎御所実業高等学校校長 「総論的には現在の学科編成で良いと考えます。学科を細分化することはかえって日々進歩する技術や内容についていけなくなる恐れがあります。今、これが流行っているからこの学科にしようという流れにすると、またすぐ変えなくてはいけなくなります。今のように、機械、電気、土木、建築とか、そういう名前の中で各学校が技術内容を生かしてやる方が良いのではないかなというのが一つです。
 もう一つ、工業や農業等専門学科の教員の力量について、大学を出て工業の免許持ってるからといって機械科に入って、旋盤をきっちり教えることができるということではないです。職人や実習助手に教えてもらって、自分で資格を取りにいって初めて技術が身に付くものです。教員の力もしっかり伸ばしていくことが、最終的に生徒に返っていくと思います。旋盤のスペシャリストが実習助手にいますが、今年で退職です。溶接も、もう2,3年で退職です。後継者をしっかり育てるということが大切です。教員の研修についても、どの教科も一緒ですが、特に技術を伴う学科は安全が第一です。旋盤をみていてよく指をとばさないなと思うくらいですが、そのような事故は奈良県では一切、聞いたことがありません。それだけみんな緊張感をもってやっています。」
○吉田教育長 「工業の実習の研修はできていますか。」
○岩崎御所実業高等学校校長 「個人的に技術者のところへ行って資格を取ったりしている教員はいます。休みの日にどこかの工場とか、工業団体の研修会へ行っています。」
○花山院委員 「出張ではなくですか。」
○岩崎御所実業高等学校校長 「授業がありますから。土曜日に生徒と一緒に、専門の方を呼んで、旋盤とかの技術を磨いています。卒業生もたまに習いたいと言ってきます。」
○花山院委員 「自分で休暇をとって資格を取りにいくというのは、あまり良くないですね。」
○吉田教育長 「これからの工業教育を支えていってもらえるように、研修を県教委として何か組む必要があるかもしれません。」
○岩崎御所実業高等学校校長 「今は、マイスターという制度があって、生徒を教えてもらうときに教員も一緒に教えてもらってる感じです。」
○森本委員 「私たちも、実際には、技術習得のために機械の専門家に来てもらったりすることがあります。昔はスイッチ入れたら動きましたが、今はソフトを組まないといけませんので、情報コンピュータ等も関係しています。
 『人材は工業高校にあり』といえるように、専門的なところで、就職したら即戦力になるくらいが大事です。」
○吉田教育長 「プログラムを専門に学ばせるというのは情報工学ですか。」
○岩崎御所実業高等学校校長 「情報工学については、やはり大学等がそのニーズに応えてきていると思います。」
○森本委員 「高校は3年間だけですから。今、おっしゃったマイスターは、ポリテクセンターから来ていただいているのですか。」
○岩崎御所実業高等学校校長 「はい。ポリテクセンターから生徒向きに、社会人講師に来ていただいています。」
○吉田教育長 「情報系は一番課題になるんですね。商業の中でも情報を学ぶコースがある。工業の中にも情報を学ぶコースがある。情報科の在り方というものをもう少し、研究して考えていく必要があるのかなと思います。」
○岩崎御所実業高等学校校長 「商業と工業では使ってるプログラミングの言語も違います。やっていることはかなり楽しいです。産業教育フェアで情報がやっているロボットの研究は楽しいですけど、それが実際に就職や産業の中にどうつながってるかが課題だと思います。」
○吉田教育長 「そこですね。それでは校長先生、ありがとうございました。」

○前田教育振興大綱推進課長 「以上で工業科からのヒアリングを終了いたします。岩崎校長先生ありがとうございました。
 では、続きまして、家庭科に関するヒアリングを行います。ご説明いただきますのは、県立郡山高等学校匠原校長先生です、よろしくお願いします。」
○匠原郡山高等学校校長 「資料の3ページ、家庭科の現状についてをご覧ください。現在、本県における家庭科の学科は、全日制では磯城野高校のみです。学科名はフードデザイン科のシェフコースとパティシエコースの、それぞれ20名で計40名。ライフデザイン科の40名、ヒューマンライフ科の40名の、計120名の枠です。それぞれ、調理師の免許が取得できる、あるいは製菓衛生師の受験資格が得られる、それから家庭科技術検定、これは文科省の認定のものですが、そのような検定を得られる。ヒューマンライフは保育・福祉系です。介護職員初任者研修、これは旧のホームヘルパー2級ですが、そういう資格を取れるという特色をもっています。全コースともに、磯城野高校は全てそうですが、中学生にも大変人気があり、一定の評価を県民の皆さんから得ることができているという状況にあります。資格取得が大きな魅力であるといえます。家庭科が他の工業、商業と違うところは、とにかく高校家庭科は全員履修をしています。家庭基礎又は家庭総合という科目を履修しているその上に専門学科、専門の教科があり、家庭科のスペシャリストを育てる、そういう専門的な学科になっております。教育課程で、特別、特色のある教科名を挙げてございます。
 次のページは進路状況です。就職に関しては、それぞれの科の特色を生かした就職先に就いています。そこでは即戦力で評価をいただいております。また、それぞれの科で学んだ知識や技術を生かした専門学校、短大等に進んでいます。
 学科の現状としては、例えばフードデザイン科は、奈良の特産品である三輪そうめん等を練りこんだ大仏の手クッキー、これはお菓子屋さんで商品化をしていただいていたりします。ライフデザイン科も、ファッションショーを行い、それぞれ様々な賞をいただいています。(ヒューマンライフ科は)様々なところでボランティア活動をしたりすることで県民の皆さんにPRする面をもっており、独特の活動をしています。豊かな感性を育てる。地域に根差して良く生きていくという教科の目的を踏まえて、その中で家庭科、専門学科はより一層技術も磨いて、プロも育てるし、家庭科のそういう豊かな感性を育てるというような学科です。
 今後に関しては、家庭科の専門的なところに進みたいという中学生の希望が一定程度あり、家庭科に進ませてその先のことを考えておられる保護者の方もおられます。やはり、家庭科というのは必要だと考えます。
 ただし他府県では、家庭科を総合学科に変えてきてるところが多く、大阪府では家庭科の専門学科というのが無くなる等変わってきています。一方で、三重県の相可高校では食物調理科、これはテレビ等でもよく紹介されますが、スペシャリストを育てている学科があります。奈良県も家庭科が一つしかありませんが、田原本にあるということで、地域的には南部からも北部からも通いやすいところにあるので、存続させていただきたいと思います。別に設置するよりも、磯城野高校で充実させていく方が良いと考えます。工業のヒアリングでもありましたが、家庭科も専門的な技術をもった教員が必要となりますので、被服にしても調理にしても製菓にしても、専門性の高い教員の集まった磯城野高校で教育することが重要であると思います。ただ二階堂高校の総合学科にも、家庭科の専門的なもの、内容を配置してもらっていますが、あのように普通科高校の中に家庭科に特化したようなコースを作っていただくようなことはあっても良いと思っています。(例えば)将来保育士や幼稚園の教諭の資格を取るには、ピアノを中心に音楽の技術の習得が必要であったりします。もちろんそれは音楽科がやることですが、最終的にその道に進むための音楽や美術、図画工作を教育できるような科目があれば良いのかなとは思っています。」
○前田教育振興大綱推進課長 「ありがとうございました。」
○吉田教育長 「進学が6割ですが、どういった事情で進学は多くなっているのですか。設置した時期から6割位だったのでしょうか。」
○前田教育振興大綱推進課長 「それ以前の北和女子高校、田原本農業高校時代から比べると、やや、進学が増えたかなという感覚がありますが、家庭科からそのまま就職ということが以前からそれほど多くなかったというのも事実としてございます。」
○吉田教育長 「進学先はどのようなところですか。」
○前田教育振興大綱推進課長 「例えばフードデザイン科では、調理師だけではないので専門学校も含めてということになります。さらに栄養士の資格を取ろうということで大学の家庭系に進む生徒も、保育系に進む生徒もおります。それからライフデザイン科は、どちらかというと専門学校が多く、ファッション系のさらに高い技術を身に付けたいということで進学する生徒もいます。ヒューマンライフ科は、保育と福祉の両方を学ぶという特徴があります。いわゆる介護職員初任者研修の修了ということで介護施設に就職する生徒もいますが、さらに高い資格を求めて専門学校や、看護、保育等の家庭系に進学する生徒が一部います。」
○吉田教育長 「フードデザイン科シェフコースの20名は、全員が調理師の資格を取るのですか。」
○前田教育振興大綱推進課長 「調理師の資格は卒業と同時に取得できます。」
○吉田教育長 「パティシエ(製菓衛生師)の方は、試験を受けるのですか。」
○前田教育振興大綱推進課長 「パティシエ(製菓衛生師)の試験が夏頃にありますが、(高校では)その受験資格を得ることができるということで、必ずしも全員が試験に合格しているというわけではありません。」
○吉田教育長 「何割くらいですか。」
○前田教育振興大綱推進課長 「受けた生徒はほぼ合格しているようです。」
○吉田教育長 「パティシエの養成施設にするために、パティシエコースを設置したわけですが、パティシエの資格を20名のうち、何割が試験を受けますか。」
○前田教育振興大綱推進課長 「細かいデータが今手元にありませんが、かなり高い割合で合格していたと思います。また改めて資料を提出させていただきます。」
○森本委員 「生徒は男性女性両方ですか。比率はどうですか。」
○匠原郡山高等学校校長 「女性が圧倒的に多いです。」
○前田教育振興大綱推進課長 「フードデザイン科は毎年、5名以内くらいの男子生徒がいます。ライフデザイン科はやはり女子生徒が圧倒的に多くて、1,2人の男子生徒が入学する年もあるというぐらいです。ヒューマンライフ科は男子生徒もいますが、それでもやはり一桁台の前半くらいです。」
○吉田教育長 「女性のニーズが高いということですか。」
○匠原郡山高等学校校長 「はい。」
○森本委員 「工業高校とは逆です。工業高校は男性の比率が高い。これからは増えてくる可能性ありますが。」
○前田教育振興大綱推進課長 「はい。」
○花山院委員 「およそ家庭科というのは、女性の大学進学率が低い時代に、高校を卒業して就職したり仕事したりする中でそういったことを身に付けないといけないということを目的として設置されたように思います。あまり勉強にはあまり興味・関心が高くなくて、料理をしてみたい、洋服を作ってみたいという生徒たちの受け皿として当時は適切だったと思います。
 これから高校進学する生徒の保護者の思いになってみると、正直、シェフコースに行ったらシェフになれるのかということです。高校受験する保護者が、ここを卒業すればどうなるだろうか、ここはどういう目的があって、うちの子どもはこういうことが好きだけど、でもここで勉強しても次の大学とか専門学校行くための下ごしらえで行くのか等、はっきりしたものが分かりにくいのではないでしょうか。
 進学が多いという状況もあり、調理師になかなかなれるような感じがしません。資料からは高校進学の時のイメージが分かりにくい気がします。パティシエもそうですけれども、専門学校へつなげるのか、それとも一生の趣味としてやっていくのか、位置付けが分かりにくいですがいかがでしょうか。」
○匠原郡山高等学校校長 「おっしゃるとおりです。勉強が苦手で選んだという生徒もいると思います。でもこの3年間、高校へはほとんどの生徒が進学をしてきます。必ずどこかの高校へというのがほとんどの中学生の進路選択だと思いますが、そういったときに、勉強が苦手という生徒もいるだろうし、逆にプラスで考えて、料理が得意、人と関わったり保育に関わったりする方が得意であるという生徒たちが選択する学校です。3年後の進学にしろ就職にしろどこまでをどう見越して選んできてくれてるかは分かりませんが、ただその3年間でどうしていくかなというところと思います。
 資格さえもっていればというところもあると思います。特に介護系のヒューマンライフ科では、介護職員初任者研修は、合格するように教育しますので必ずとれます。3年後、進学を選ばない状況にあるときに、何らかの資格があった方が良い、資格を取っておきたいという思いの生徒たち、その保護者が選択はしてくれると思います。」
○吉田教育長 「介護職員初任者研修の資格というのは、ヒューマンライフ科で専門の教科をどの程度勉強するのですか。」
○前田教育振興大綱推進課長 「総時間数が130時間、科目の内容が県の規定で決まっていますので、介護福祉士とは全然違います。実習日数も少ないですし。4単位分あれば取得できます。」
○吉田教育長 「4単位ですか。この資格を取るためだけだったら専門学科にする必要ないですね。」
○前田教育振興大綱推進課長 「はい。この資格は今、二階堂高校でも取っていると聞いています。」
○吉田教育長 「家庭科という専門学科を総合学科に変えた方が良いメリットというのは、ライフデザイン、ヒューマンライフを2年生で興味・関心によって選択できるということではないかなと思います。」
○前田教育振興大綱推進課長 「介護職員の資格はあくまでも家庭科ではなく福祉科の内容になってくると思うので、家庭科としてそれを主に考えるのはいかがなものかとは思います。」
○吉田教育長 「家庭科は、それぞれで選択させる必要性があるのか、家庭科という専門学科に仮にするにしても、2年生から選択させる方が良いのか。
 奈良県は、農業にしろ家庭にしろ、細かく分かれた専門学科で生徒を募集しています。それで農業は一定程度うまくいってると聞いていますが。家庭のライフデザインとヒューマンライフはいかがでしょうか。」
○匠原郡山高等学校校長 「ライフデザインとヒューマンライフは、確かにそのような形でいけなくはないです。ただ、フードデザインの方はちょっと難しいです。」
○吉田教育長 「フードデザインは厚労省の養成施設なので無理だと分かっています。ただ、ライフデザインとヒューマンライフは定員割れの状況ですので、場合によっては隔年で。」
○匠原郡山高等学校校長 「今はないです。」
○前田教育振興大綱推進課長 「ライフデザイン科にファッションコースとインテリアコースがあったときには、インテリアコースの人気というのは非常に厳しいものがありましたけども、今はインテリアコースを閉じてファッションコースのみにしています。それ以来倍率が少ないということもありません。
 2年生から分かれるのは、一つの方法として可能であると思います。ただ、ライフデザイン科ではファッションの基礎の部分のほか、デザインや縫製等を1年生でもある程度の時間を確保して6時間置いていますが、それを本当に基礎的な部分だけということであれば、2年生から3年生で技術的な伸びがかなり期待できなくなると思います。やはり1年生から、共通の部分ではなく、ある程度専門科目を置くというのは意味があると思います。」
○吉田教育長 「大阪は総合学科にもっていっているということですが、全国的にはどうですか。」
○匠原郡山高等学校校長 「全国的には、家庭科は減ってきてるかもしれません。」
○前田教育振興大綱推進課長 「大阪のようにゼロにしているのは極端だと思います。家庭科の専門学科の設置としては全国的には1.1%、奈良県は1.4%ですので全国の平均よりは少し高い設置率ということになります。」
○吉田教育長 「別に総合学科にするといったことでなく、ライフデザインとヒューマンライフで、例えばベースは家庭にして、1年生のときにベースとなる専門学科をおいて、2年生から選択させる方が良いのか、それとも今この学びで中学校から選択させて生徒たちは十分満足してるのか、そこを教えていただきたい。
 例えば、40名と40名の80名で、家庭の専門学科を例えばライフデザインとヒューマンライフの基礎的なものを何単位かずつおいて、それから次に選択させるということもできる。」
○前田教育振興大綱推進課長 「はい。できます。」
○花山院委員 「結局学校の中で選択権があれば良いということであればそうした方が良いし、現状では両方とも人気があって、より効率的にものを覚えやすいので分けて募集という場合もあります。」
○吉田教育長 「仮に一方の倍率が高かったとしても60,20にはできないですね。」
○前田教育振興大綱推進課長 「はい。」
○吉田教育長 「それなら2年生から選択させるという意味に応えるということにもなると思いますが、どうですか。」
○前田教育振興大綱推進課長 「倍率は隔年現象がありますので必ずしも言えませんが、29年度入試で、今の1年生はライフデザイン科が40に対して40でした。昨年度はライフデザイン科が40に対して50、ヒューマンライフ科は40に対して50の希望でした。」
○花山院委員 「毎年、同じような傾向ですか。」
○前田教育振興大綱推進課長 「一昨年は、ライフデザイン科が51、ヒューマンライフ科が63の希望で、年によって違います。」
○吉田教育長 「総合学科を設置して、ヒューマン系統、ライフ系統にして2年生に選択させるということもできますね。割合はできる限りのニーズに応えるということでかまわない。」
○匠原郡山高等学校校長 「実習室のキャパの問題があります。」
○吉田教育長 「40人でも実習は20人ずつ行っていますか。」
○匠原郡山高等学校校長 「半々でやっています。」
○吉田教育長 「60も可能だとは思います。どちらの学科が高いかの傾向は無いとしたら後は満足度です。ライフデザインとヒューマンライフの学習体制や満足度を調べてください。」
○匠原郡山高等学校校長 「はい。」
○花山院委員 「家庭科は人気があって定員が割れてもいない状況ですが、今後の課題はあるのでしょうか。」
○前田教育振興大綱推進課長 「フードデザイン科はシェフもパティシエも人気が高く、資格が取得できるということもあって、中学生がたくさん受験してくれているという状況が続いています。しかし維持していくためには、資格をもった教員の維持ということが一番の課題と感じています。単に教員免許だけでなく、教員自身に調理師の資格があるとか、養成施設として何年か勤務したものでないと、転勤していきなり授業を一人でもつのは難しいです。ティームティーチングで2,3年資格をもった教員と一緒に指導をしながら、資格を得ていくというようなことも必要になってきます。10年前にパティシエが順調にスタートしましたが、それをきっちり維持し伝えていかないといけないというのが大切な課題であると感じております。」
○吉田教育長 「教員が課題ですね。
 シェフもパティシエも倍率は高くニーズはある。倍率はどのくらいですか。」
○前田教育振興大綱推進課長 「シェフ、パティシエの順で、20名の募集に対して、去年(平成29年度募集)は36名と37名。その前年(平成28年度募集)は少なくて22名と32名、その前年(平成27年度募集)は39名と51名でした。さらにその前年(平成26年度募集)は56名と28名で、こちらも年によって変動があります。地域別協議会でも、磯城野のフードデザイン科について募集人員を増やせないかということでご意見をいただきました。推薦は20名で厚労省から認可を受けておりますが、施設は一応40名が対応できるようには造っていただいています。
 しかし40名を同時に実習をするのは、時間数も増え、教員数も変わってきますので、なかなか難しい部分があります。とにかく専門教員が年齢的もあがってきていますので、教員の維持はしっかり考えないといけません。数合わせだけでは難しい部分があると考えています。」
○吉田教育長 「それはこちらの体制の問題であって、子どもや親が定員を増やして欲しいと思っているなら、教員が絶対的に増やせないのでというのは無理がある。教員の数を増やす努力をしないといけません。それも、教員は事前に採用していかないと増やすことができない。事前の準備が必要です。」
○前田教育振興大綱推進課長 「はい。」
○森本委員 「先ほどご説明いただいた三重県の相可高校は食堂を経営して、就職も全員されてるということが一般に知られてます。あのような取組をしていけば、誰でも『良いなぁ』って言うのではないでしょうか。やりがいとか、奈良県の良さを出して皆でつくっていくというのも一つの希望です。」
○吉田教育長 「クラブを指導してくれる専門のシェフを置いたのでしょうか。」
○前田教育振興大綱推進課長 「クラブではなく、学校の授業をもっていただく方を辻調理専門学校から呼んでこられました。部活動は通常の家庭科教員も担当しています。」
○匠原郡山高等学校校長 「調理師の資格もった男性の方が来られました。」
○吉田教育長 「自分の腕で生きていける人が地方公務員としてとして来てくれたということですね。」
○花山院委員 「県には、なら食と農の魅力創造国際大学校があります。直接の連携は難しいかもしれませんが、やはりどこかで何かの線でつながるところがあれが良いと思います。」
○吉田教育長 「ありがとうございました。」

○前田教育振興大綱推進課長 「続きまして芸術科のヒアリングを行います。ご説明いただきますのは、県立十津川高等学校の西田校長先生です。どうぞよろしくお願いいたします。」
<資料の追加配付:近畿圏の芸術科関係の高等学校 西田校長調べ>
○花山院委員 「音楽をやりたい中学生は他府県では私立にいきますが、高円高校には県立の音楽科があります。御所実業高校では、クラブ活動で全国募集を行って他府県から来ることができていますが、高円高校も、芸術系の優秀な生徒に他府県から来てもらうということはできるのですか。他府県の熱心な生徒が来てくれるくらいの学校の方が、より切磋琢磨できるのかなと思っています。」
○西田十津川高等学校校長 「可能であれば非常にありがたいと思いますが、音楽は個人に個人の先生がついておられることが多々あって、高円高校だけでその個人の先生方を賄うのはちょっと難しいのかなという気はします。もしそうなれば高円高校の音楽の体制や内容が充実するとは思います。」
○吉田教育長 「三重県には音楽科がないですね。三重県の生徒は奈良県の高円高校への受験は可能ということですか。」
○前田教育振興大綱推進課長 「奈良県としては、薬品科学科しか他府県からは取ってなかったと思いますので、音楽科については、対象とはなっていません。」
○吉田教育長 「特色のある学科で、近畿圏で通学の範囲でということで、三重県から音楽を受けに来ても良いのではないですか。」
○深田学校教育課長 「制度上、今は受けられません。」
○吉田教育長 「今後受けられるようにすることは、検討できるのでしょうか。」
○深田学校教育課長 「検討はできますが、可能かどうかは(分かりません)。」
○吉田教育長 「だから三重県の生徒は、音楽科へ行きたい場合には、高円高校を受験を可とするように三重県と協議したら可能ではないですか。」
○西田十津川高等学校校長 「私立で音楽コースとかがあるかも分かりません。」
○吉田教育長 「芸術の校長先生としては、集まってくれるような、そういった学科であって欲しい、芸術科の発展のためなら全国から募集しても良いと感じられるのではないですか。」
○西田十津川高等学校校長 「ありがとうございます。それはありがたいんですが、今、音楽科でいいますと、高円高校の音楽の教員は3名です。楽器がいろいろあり、それぞれ専門の方がいないと指導ができないという一面もあるため、講師は相当の人数がいて、その講師の先生方をまとめるのに非常にご苦労いただいているかと思います。子どもがいろんな形で奈良県へ来て、音楽、芸術が盛んになることは非常にありがたいですことですが、先生方を束ねられるかどうか、若干不安が残ります。」
○吉田教育長 「教育とマネジメントということですね。
 美術科の方は、現場の教員中心にまとまってやっていける。美術科は募集はどうですか。」
○西田十津川高等学校校長 「例年、美術・デザインで100名程度の出願があると聞いています。たまたま今年は少なかったですが、今までいろいろなところで広報・案内しながら募集をしていましたが、今年はそれを控えてみて、それでもニーズがあるのかどうか見てみたいとのことでした。」
○吉田教育長 「美術とデザインは分けないといけないのですか。」
○西田十津川高等学校校長 「本来的には全く別です。美術は内面、デザインが表面と若干内容が違う。ただ高校の間は基本は変わらないとは思います。1年生は基礎・基本で同じようなことをやっています。2、3年生になるとそれがどんどん変わってきます。個人的には、美術とデザインは全く違うと思っています。」
○吉田教育長 「中学生が高校で学ぶときに、美術科、デザイン科と分けている方がやはり良いのですか。」
○西田十津川高等学校校長 「現状はその方が良いようには聞いています。入ってくるときに、美術なのかデザインなのか、それぞれ意識の高い生徒が入ってきているとは聞いています。」
○吉田教育長 「片方で倍率が高いとか、それが隔年で起こる等という状況があるなら、美術科とデザイン科を70名で括った方が良いのではないですか。」
○西田十津川高等学校校長 「それはあると思います。2年生で例えば美術専攻、デザイン専攻。多分その中で、美術では彫刻や絵画、日本画。デザインではインテリア等いろいろありますので、そういう区分も十分考えられるし、個人的にはそれは良い形かなとは思います。」
○吉田教育長 「学ぶ中身が明確に変わらないのであれば、70名の募集で、どちらのコースも括るということにしたらどうでしょうか。それぞれで不合格者が減るのではないですか。」
○西田十津川高等学校校長 「はい。現場の意向は分かりませんが、子どもの可能性としてはその方が広がると思います。」
○吉田教育長 「現場の先生はどう考えていただいているか、聞いてみてください。」
○西田十津川高等学校校長 「はい。」
○花山院委員 「美術・デザインは安定的にずっと高い倍率ですが、ニーズはあるんですか。」
○西田十津川高等学校校長 「あります。美術・デザインで100名程度で、今年だけは少なかったということで聞いています。」
○花山院委員 「芸術の定員は35名ですが、これは多くないのですか。家庭科は20名の定員でしたが。」
○吉田教育長 「例えば工業は37名の定員です。美術・芸術は、あまり多いと指導が難しく、少人数の方がより良いということで、35名にしています。」
○西田十津川高等学校校長 「書道に関しては、30名募集という希望をもっておられようです。」
○吉田教育長 「書道はそうですよね。美術も音楽も書道も、十津川の工芸も、基本的には芸術系は進学が多いんですよね。」
○西田十津川高等学校校長 「音楽、美術はほとんど音楽系、美術系、デザイン系への進学です。ただし書道に関しては、ほとんどの生徒が進学をしますが、国語系の書写等以外は、進学先がない状況です。」
○花山院委員 「奈良教育大ですね。」
○西田十津川高等学校校長 「はい、毎年3,4名は書道で進学されてると聞いてます。」
○吉田教育長 「花園大にもありましたね。」
○花山院委員 「書道は進学先がなくても人気があるということですね。」
○吉田教育長 「文化・芸術県にしていくためには、この学科は充実させないといけませんね。」
○森本委員 「これは本当に専門的な分野で(ニーズがあるにも関わらず)、生徒数は少ないですよね。」
○吉田教育長 「やはり教員ですね。」
○西田十津川高等学校校長 「はい。芸術1・2・3がどこの学校にもあるという時代がありましたが、そこから2・3が無くなったり、美術1・2・3の2・3が無くなって、芸術は1単位でも良いということになった時代があり、その時に教員が随分減りました。しかし、今は美術の場合は、若手教員が非常に充実しています。これには感謝しています。ただ中堅がいないので、特に高円高校では20年勤務の2人、10年勤務の2人がおり、その者が抜けると次誰が担えるのかが課題です。他の学校を見ても、中堅の教員がいない。それは音楽にしても、書道にしても、全て同じ状況。ただし、ここしばらくは多くの音楽・美術・書道の教員を採っていただいて、美術は特に非常に盛り上がりもしています。若い教員中心で、年寄りがちょっと横に追いやられるような状況にもなってますので、それは非常に感謝しています。」
○花山院委員 「十津川高校は十津川という場所を生かした特色が必要じゃないですか、でも、なかなか難しいのではないですか。」
○西田十津川高等学校校長 「工芸コースを開設して今5年目です。卒業生を2期出しました。今年の卒業生がやっと人に見てもらえる作品を作ることができました。入学時にコースを希望して入ってくる生徒は非常に少ないです。でも卒業までの3年間で、一定の作品を作らせる指導をしてくれています。これは教員に感謝しています。今年は作品展を、村内2カ所、県内では教育研究所と橿原のアルルで開催しました。橿原アルルでは、『これ売ってくれないか。』とか『どうしたら手に入るのか。』という言葉を随分いただきました。まだ2期の卒業生を出しただけですが、これから知名度を上げていければ良いと思っています。そのような取組がやっとできるようになりました。いずれ工芸を目指して来てくれる生徒も増えてくるかなと思っています。今年、奈良県の高等学校総合文化祭の美術・工芸の展示会で、工芸部の生徒が優秀賞をいただき、来年全国へ出品できるようなことも出てきています。これからだと思っているので、しばらく我慢していただければ、何らかの成果がでると期待しています。」
○吉田教育長 「こうして育っていこうとすれば、時間がかかりますね。」
○西田十津川高等学校校長 「橿原アルルの時も、十津川高校の存在は知っているが、十津川に工芸コースあるのを知らなかったという声も随分と聞きました。これからこのような取組を積み重ね、知名度・認知度を上げていきたいという思いはあります。」
○花山院委員 「十津川高校は街の方から来て寮に入るという生徒が多いじゃないですか。そこで、入学時に工芸にどのくらい興味をもってコースに入ってきているのか分かりませんが、最終的には工芸に関心を非常に高くもって、その方面に進んでいくという状況になりつつあるのですか。」
○西田十津川高等学校校長 「最終的に、工芸で進学・就職というところは無いです。今年、工芸コースの卒業生が1人、将来、技術の小学校・中学校の教員を目指す京都教育大学に通ってくれました。ついていけるかなっていうことを心配しましたが、高校で気持ちも変わり、一生懸命やっているという話も聞いてます。このようなことも今後様々な形で周知していければと思いますが、工芸で自立するというのは難しいです。だから手に技術をもって、何かに就けていくことが今の目的ですね。」
○花山院委員 「高校で(工芸の)楽しみを覚えて巣立っていくというのは、素晴らしいことだと思いました。作られる物(の評価)は、最終的にはやはりニーズとの兼ね合いです。そのニーズに応えて、学校で受注をして、納品をして、そのことが社会で評価されるということにつながれば良いと思っています。自分たちで考えても、例えば大人がその知恵を絞っても、売れる物ばかり作れるっていうわけではないです。そういうことはあるのですか。」
○西田十津川高等学校校長 「実は売りたいと思っています。ニーズはあります。例えばベッド等の家具を作ってくれという遠方からの注文がありました。お年寄りの方が、家を改装するのに家具を作って欲しいという依頼がありましたが、できないと返答しました。」
○吉田教育長 「NPO法人を創る等で、仕組ができれば良いですね。」
○花山院委員 「その方が生徒の誇りになりますね。」
○西田十津川高等学校校長 「生徒にとっても、モチベーションが全く変わってくると思います。例えば、電気代や消耗品等の関係で、生徒の作ったものを売っても利益が還元できないような状況があると聞いています。今は、例えば醤油差しやソース差しを40個作って、ホテル昴に無料で置いてもらったりしています。十津川高校の印を入れることで、全国に十津川高校の宣伝をしています。」
○花山院委員 「生徒もサービスで置くよりも、商品として社会に自分たちの物が価値あるものとして魅入られる方が、もっとプライドもやる気も出ると思います。そういう仕組の問題ですね。」
○吉田教育長 「農産物の場合もそうですが、利益は全部、県の歳入になるのですね。NPOを創って電気代を県に支払えば良いのではないですか。」
○中西学校支援課長 「それには占用の問題があります。枠組の中での検討が必要だと思います。」
○西田十津川高等学校校長 「文化祭では100円、200円で生徒が作った物を販売しています。保護者が来て、ワーワー言って買って行くのを生徒が見て喜んでいます。『売れる』、『商品になる』ということは、生徒には非常に良い影響があると思います。」
○花山院委員 「ベッド等家具は良いですね。」
○西田十津川高等学校校長 「ベッドやベンチを何か所かに寄贈もしています。」
○吉田教育長 「それを売って県(の歳入)に入れるのは良いのですね。問題はないですか。」
○中西学校支援課長 「問題はありませんが、生徒には利益が還元されません。」
○西田十津川高等学校校長 「だから、現状は全て寄贈です。材は、十津川材がありますので。」
○花山院委員 「十津川材による県産品の広報にもなりますね。」
○花山院委員 「十津川村としても喜ばれると思います。」
○西田十津川高等学校校長 「支援会というものがあって、そこから買ってもらったり、県の方から材木代っていうのをいただいてたりしています。」
○吉田教育長 「そのような仕組を作って、介護ベッド等を作った等になれば、もっと生徒の自尊感情も高まります。」
○花山院委員 「良いのができて、値段があったら、注文がくると思います。」
○森本委員 「仕組が必要ですね。」
○花山院委員 「村には間伐材も余ってるいるので、良い提案ではないですか。」
○佐藤委員 「思考力ですね。」
○吉田教育長 「ありがとうございました。」

○前田教育振興大綱推進課長 「以上で、芸術科に関するヒアリングを終わります。ありがとうございました。
 最後に、高等学校全般に関しまして、県高等学校長協会の会長からヒアリングを行います。県立奈良高等学校、安井校長先生にご説明いただきますので、よろしくお願いします。」
○吉田教育長 「まず、校長協会として再編の検証をしているわけではないので、個人の意見でも、他の校長の意見を聞いてでも良いですが、平成16年から行った再編を検証して、現場を預かる校長先生として何かご意見がありますか。」
○安井高等学校長協会会長 「校長協会で全体の議題として意見いただいているということではありませんが、11校減って1校プラスで10校減りました。奈良朱雀の工業棟を建てていただいたり、磯城野高校のパテシィエであったり、学校の中で核になるようなコース、核になるような施設があって、学校全体の雰囲気として、目的意識をもって入ってくる子どもたちが多くなってきて、全体に良い影響を及ぼしたというような意見は聞いてます。
 ただ10校減りましたので、当然通学距離が相対的に伸びていること、普通科でコースの特色化が少し分かりにくかったり、特色を中学校に伝えきれていないというような話も聞いてます。」
○吉田教育長 「奈良県の場合は全県1区で、特色づくりといっても、普通科率は高いです。普通科よりも専門学科を中心に再編しました。再編によって距離が遠くなったというよりも、普通科の中に悪い意味でのランク付けのようなものがあって、少しでもランクの高いところへいくという、そういう距離の遠さみたいなものを感じるのではないでしょうか。」
○安井高等学校長協会会長 「中学校の先生とはよく話をしますが、中学生が地元の高校に以前はもっと行っていたと言っておられます。それが、成績、本人の志向、本人の希望もありますが、中南部の生徒が北部を目指す、北部でも公立高校がだめだったら(中南部へ行かずに)私学へ行く。北部志向、私学、大阪・京都辺りの都会志向、そのような流れがあります。北部から中南部の方の学校にというような流れがなかなか出にくいという話は聞きます。」
○吉田教育長 「磯城野高校は専門学科でちょうど中央にあるので、通いやすいというメリットはあるわけですね。」
○安井高等学校長協会会長 「普通科の中で定員に満たない学校等について、どのような特色や魅力があるのか、中学校や中学生に訴えや情報が届いてないと、中学校の先生方から聞きます。高校としては、普通科といえども一生懸命に特色を出しているのですが、いわゆる進学志向が割と強い県民意識というがある中で、特色がどれだけ魅力として映ってるのかということは、我々としても検証しながら、新たな提案をもっていかければならないと思っています。」
○花山院委員 「交通の便が良くなって都会志向があり、塾等学校以外でも勉強している中で、競うというわけではないが、塾には『どこに何人入りました。』とガラス戸に張り出したりしています。本来は地元に行くのが良いです。わざわざ通学時間をかけるより、同じ勉強するなら、もう少しゆとりある時間をもてるようになるのが、本来は良いのですが、なかなか難しいです。」
○吉田教育長 「大学へ行きたい、そしたら普通科だと(皆さん思っておられる)。でも今は、専門学科から専門大学校を創ろうという話もあったり、あるいは商業科から7割が大学へ行くっていう高校もあったりします。子どもたちが偏差値で当てはまった所へ行くのが良いのか、何を学びたいか、商業の勉強をしてみたいとか、工業の勉強をしてみたいとか、そのように普通科ももう少し特色が出せれば良いと思います。」
○安井高等学校長協会会長 「商業系や専門学科のある学校で、最近は割と進学を目指してる生徒が多くなってきています。実績として、専門学校も含めて進学といったところが出てきているようです。手に職をつけて、地場産業に直接貢献する生徒もいますが、産業構造が高度化し、技術的にも高度化していきますので、大学や専門学校で1ランク上の知識や技術をつけた上で、社会に貢献していきたいというような志向が強くなっているのかなと思いますね。」
○吉田教育長 「安井先生は奈良高校の校長ですが、奈良高校へ行く子どもは、恐らく、大学の何学部へ行くかを、ある程度自分の視野に入れながら入学していますよね。」
○安井高等学校長協会会長 「そうです。1年生の話を聞いていましても、この大学のこの先生に付きたいとか、目的意識をもって来てくれているのかなと思います。次どの大学へ行って、さらに海外のどういうところでどんな勉強したいといったような意識をもっている生徒もおりますね。」
○吉田教育長 「中学生が、できる限り目的意識をもって高等学校へ進学するような高等学校づくりをやっていくべきだと思います。」
○安井高等学校長協会会長 「そうですね。中学の3年間で、例えばこの分野、このジャンルのスペシャリストに絞るようなことになりますと、中学校のキャリア教育がどこまでどう充実しているかということにもなるのかなとも思いますが。」
○吉田教育長 「好きだけでも良いと思います。語学が好き、英語を勉強したいとか。では、どんな高校があるのかと。語学はどの高校にもあるからどこへ行っても良いとすることもありますが、さらに語学を幅広く、第二外国語ぐらいまで勉強できるようにすることもできます。外国だったら結構ありますよね。韓国でも、英語以外に日本語も勉強している高等学校等も数多くあります。」
○花山院委員 「英語プラスアルファということですね。」
○森本委員 「奈良は高校進学率、大学進学率が全国でも高い。その中で今、実学をもっと将来的に向けてやっていこうというムードが強くなってきています。特色のある新しい高校を作って、それで良くなってるというお話も先ほどされてましたが、ものすごく良いことと思います。これから検討をするに当たって、教員を目指す人、医者を目指す人、様々な語学を極める人など、そういう実学に関する特色を作っていく必要があると思います。今回の検討でも、いかにそれぞれの学校で特色を出していくかが大切なことだと思いますので、先おっしゃっていただいた前回の再編時に絞り込んで良くなったところがあるというような、実績が出てきているようなことを詰めていく必要があるのかなと感じます。」
○安井高等学校長協会会長 「産業技術、ICTであったり、AIであったりといったことが、あらゆる産業に関連付けられてきます。そうすると、専門学校や大学といった高等教育機関に行かないと、なかなか自分の思うような世界に行けないといったような志向が強くなってきています。地方都市でしたら故郷の産業振興に直結しやすいですが、奈良は大阪を中心とした大都市圏の一つですから、地場産業、県内の産業振興という志向とともに、大阪に出て行くとか、京都に出て行くとか、東京へ出て行くとか、やっぱり高等教育機関でいったん勉強してといった志向が出てくる地域性だと思います。」
○吉田教育長 「それは特に勤務している奈良高校で、その傾向が強いということですよね。」
○安井高等学校長協会会長 「全体的に実業科高校でも進学を目指してる生徒が多くなってきているという話の中で、そんな意識をもってる生徒が多いという話は聞きます。」
○吉田教育長 「普通科へ行って、偏差値に合わせてどの大学を何校も受けようというよりは、商業科へ行って、商学部へ行く方が良いような気がします。それが可能なようになればと思います。
 適正化に関して校長協会会長として我々に提言いただくことはございませんか。」
○安井高等学校長協会会長 「校長協会会長としては、普通科が進学、職業科系が進学しないということではないと思っています。ある県では、隣接する中堅普通科高校と実業科高校が同じぐらいの偏差値で、どちらへ行っても大学行けますよというような事例もあります。これも一つ理想的な形ではないかと思いますので、校長協会として何か研究が必要であるというようなことがございましたら、取り組んでいきたいと思います。」
○前田教育振興大綱推進課長 「ありがとうございました。以上で、校長協会に対するヒアリングを終了いたします。安井校長先生、ありがとうございました。
 本日のヒアリングは、これで終了です。ここで第4回以降の臨時会のことについて、ご連絡いたします。12月19日火曜日に第4回臨時会を予定させていただいています。この第4回では、昨日一昨日に実施いたしました地域別協議会、また、前回この会でご意見いただきました中学校の関係者へのアンケートの集約の結果、それから県の高等学校PTA協議会の会長からのヒアリングの内容、その3点について報告をさせていただいた後に、ヒアリング・地域別協議会・アンケートから得られた論点を整理したものをお示しさせていただき、ご意見を頂戴したいと考えております。さらに1月22日月曜日に第5回を予定させていただいております。ここでは、基本方針の素案を提示させていただき、ご意見を頂戴して、1月下旬に、第2回の地域別協議会の意見聴取につなげていきたいと考えております。引き続きどうぞよろしくお願いいたします。」

○吉田教育長 「はい、ありがとうございました。それでは、これをもちまして臨時会を終了いたします。ありがとうございました。」