第3回定例会議(平成29年5月11日開催)

平成29年度第3回(定例)教育委員会議事録(テキスト版)

概要

 

<開会>
平成29年5月11日
14時30分 
 

<閉会>
平成29年5月11日
15時45分
 
<会議場所>
教育委員室 

<委員出欠>
花山院弘匡(出席)
佐藤進(出席)
森本哲次(出席)
高本恭子(出席)
上野周真(欠席)

 

議案及び議事内容

<議案>

議決事項1
県立高等学校及び特別支援学校高等部用教科用図書の採択に関する基本方針について(可決)


<議事内容>

○吉田教育長「ただ今から、平成29年度第3回定例教育委員会を開催いたします。本日は上野委員が欠席ですが、定足数を満たしており、委員会は成立しております。」
○吉田教育長「まず、前々回と前回の定例教育委員会議事録の承認についてです。お手元に配布している議事録について、各委員内容をご確認ください。ご承認をいただけますか。」
(各委員一致で承認)

○吉田教育長「それでは、議決事項1『県立高等学校及び特別支援学校高等部用教科用図書の採択に関する基本方針』について、ご説明をお願いします。」
○深田学校教育課長「県立高等学校及び特別支援学校高等部用教科用図書の採択に関する基本方針について、ご説明します。資料の2番、採択手続についてをご覧ください。前回の資料4番の『選定についての留意点』としておりました項目を、(1)のなお書きのアとイとして、採択という文言が見出しになるように整理しました。前回の審議でのご意見を受け、『学校評議員等に意見を求める等、調査研究の充実改善に努めること』としました。これは、『奈良県立高等学校等の管理運営に関する規則』において、『学校評議員は校長の求めに応じて、教育活動の実施、学校と地域社会の連携の進め方等、校長の行う学校運営に関して、意見を述べ、助言を行うものとする。』となっていることを受けています。またウの項目は、教科書選定の公平確保の徹底に万全を期するため、追記したものです。なお『3採択結果及び採択理由の公表』については、文部科学省初等中等教育局長通知『教科書採択における公正確保の徹底等について』に、『高等学校等において使用する教科書についても、その採択結果及び理由の公表に努める等により、採択権者である教育委員会や学校長は、その説明責任を果たすことが求められること。』とあります。教育委員会では、奈良県教育委員会議事録(資料)として教育委員会WEBページに一括して掲載することにします。ちなみに全国で公表している都道府県は35でした。内容はホームページであったり、情報センター等での公表となっています。議事録での公表は、近畿府県では滋賀県が実施しています。以上のように、採択に関する手続きを明確にして、より丁寧で公正な選定を行うため、教科用図書の採択に関する基本方針を定めることを提案します。ご審議をお願いします。」
○吉田教育長「このことについて、何かご意見、ご質問はございませんか。」
○吉田教育長「ウを追記した理由は何ですか。」
○深田学校教育課長「例年、選定にかかわっての通知の際に、注意事項ということで周知をしていましたが、文部科学省から『教科書採択における公平確保の徹底等について』という文書が出ており、奈良県においても、基本方針の中に選定に関わっての公正確保の徹底に向けての文言を入れました。」
○吉田教育長「他にご意見、ご質問が無いようですので、原案どおり議決してよろしいか。」
(各委員一致で可決)
○吉田教育長「議決事項1については可決いたします。」

○吉田教育長「その他報告事項について、ご報告をお願いします。」
○前田教育振興大綱推進課長「学校指定物品の取扱に関するガイドラインを策定しましたので、ご報告します。昨年9月議会決算審査特別委員会で、民進党議員から県立高等学校の制服がもっと安くならないのか、不当に価格がつり上げられているのではないか等の質問があり、知事から『今後調査を実施し、物品調達の理想的な方法について研究していく』という答弁がありました。これを受け、学校の指定物品の価格や契約方法について、昨年10月に実態調査を行い、その後県会計局等庁内各課・室と協議した結果、学校の指定物品は基本的には保護者が購入するものであり、県費の扱いと同様に取り扱うものではありませんが、学校指定物品の必要性の点検の見直しや選定理由、決定の経緯等を明らかにすることで、競争性や透明性の確保、保護者の経済的負担の軽減や説明責任を確保するという観点から、学校指定物品検討委員会の設置等を盛り込んだガイドラインを県教委が策定することとなりました。ガイドラインに示した見直しの方針の骨子は1ページの2にあります。学校指定物品検討委員会には、各学校のPTA、育友会等保護者の代表の方も参加していただくこととしています。この委員会で保護者や教職員の意見を聴取し、学校指定物品の目的、内容、選定方法等についての点検を行うこと。現在の指定業者との契約期間にもよりますが、今後指定業者を選定する際にデザイン等の仕様を変える必要がなければ、可能な限り複数業者による競争入札等の方法を検討すること。デザイン等も含めて見直すのであればコンペ等を実施し、複数の提案の中から仕様や価格等を総合的に考え、委員会で選考する等の方法を検討すること等を示しています。この案については、これまで2月末から4月末にかけて、PTAや校長会、事務長会の方々の意見を伺い、策定に至ったものです。明日(5月12日)校長協会の総会があります。県立・市立・私立の校長先生が参加される会議で、このガイドラインを配布し説明をさせていただき、後日県立学校長あてに通知させていただく予定です。以上です。」
○吉田教育長「実態調査の結果についてご報告をお願いします。」
○前田教育振興大綱推進課長「入学時に購入する制服やシャツ、リボン、通学かばん、通学靴、上履き、体操服、体育館シューズ等様々な物品がありますが、指定をされている学校で高いところでは76,000円程度、安いところでは46,000円程度で、およそ3万円の開きがありました。契約方法では1社随契が約71%、見積もり合わせが約24%、入札が1校。検討委員会等を設置されているところが2校、そのうち1校は委員に保護者を含みます。それぞれの物品によって契約期間は異なりますが、単年度の契約又は昨年度までの契約が約3割、今年度末までが6%、平成32年度末までの契約が3%、契約期間が明確でないものが約6割でした。そのような状況の中、今年度から契約方法の見直しも含めて検討していただくということ、見直しを行う際は保護者の代表も入っていただく検討委員会を設置すること、物品の必要性や契約方法の検討をしていただくことをお願いするものです。特に購入される保護者の方々のご意見をきいていただくことを重視するよう周知したいと考えています。」
○花山院委員「どのような方法や内容が適正なのか分かりません。分かりやすい値段だけに固執せずに、生徒が不便や不利益にならないことを中心に考えていただくべきと思います。」
○前田教育振興大綱推進課長「制服その他指定物品について、必要かどうか、目的が不明確ではないか等、価格以外のことも含めて保護者の皆さんが納得できる形をとるべきが望ましいと考えています。定期的に見直しをしながら進めていくということをお示しするのがこのガイドラインです。全体の調査結果と個票を県立高校の校長にお示ししています。自校がどのような状況かを把握していただき、取り組んでいただきたいと考えています。」
○森本委員「地域の活性化のためという側面もありますので、一概には言えないこともあります。保護者の意見をきくとなると、制服の必要性についても議論になるのではないでしょうか。」
○前田教育振興大綱推進課長「制服のほうがかえって安くなるといった意見もあります。各学校で意見を聴取していただき検討していただくこととなります。」
○吉田教育長「制服に限れば、どのような状況ですか。」
○前田教育振興大綱推進課長「最低限必要な範囲で夏服と冬服を両方購入する場合、女子で最も高いのが72,350円、最も安いのが33,000円、男子で最も高いのが62,900円、最も安いところで33,200円でした。」
○吉田教育長「ガイドラインはどのように周知しますか。」
○前田教育振興大綱推進課長「県立高校には公文書で通知します。私立高校については明日(5月12日)の高等学校長協会総会で説明させていただき、配布する予定です。高等学校を対象としているため地教委への通知は現時点で考えていません。」

○吉田教育長「次をお願いします。」
○香河教職員課長「平成30年度奈良県公立学校教員採用候補者選考試験の実施について、ご報告します。概要をご覧ください。選考試験の日程です。願書の交付を昨日(5月10日)開始しました。5月10日から5月26日まで、郵送又はインターネットで受付を行っています。一次試験は7月1日、7月15日から17日に集団面接を予定をしています。試験結果は8月2日に発表します。一次試験については、昨年度より一週間早めて実施します。それにより滋賀県を除く近畿府県と同じスタートとなります。中学校及び高等学校の音楽、美術、保健体育、高等学校の書道の実技指導を伴う教科については、より専門性の高い教員を採用すべく、一次試験において一般教養、教科専門の筆記試験に加え実技試験を実施します。また教職経験特別選考において、教員として勤務している者は職務の遂行を通して教員として備えておくべき資質について研鑽を積んでいると考えられることから、一次試験において一般教養の免除に加え、集団面接も免除することとしました。また受験資格において県内で直近5年間に3年以上の常勤講師の経験がある者を対象に加えていましたが、学校現場で直接生徒に関わる実習助手についてもその勤務月数を通算できることとしました。その他、中学校・高等学校英語の一般選考では、英検準1級に相当する資格を有している場合には加点を見直し、10点を加点することとしました。二次試験については、8月11日から8月20日に実施し、9月15日に結果を発表します。採用の予定人数については、定数と今後の退職者数等を勘案し、採用数が平準化されること等を念頭に決定しました。教諭については、小学校と県立高校は昨年度と同数です。中学校については昨年度より26人減少し82人程度、特別支援学校は3人減少し35人程度です。養護教諭は2名増の10人程度、栄養教諭及び実習助手については昨年度と同数で考えています。全体で357人で、昨年度より27人の減です。平成30年度奈良県公立学校教員採用候補者選考試験の実施については、以上です。」
○香河教職員課長「続いて、教員の大学院研修の状況についてご報告します。県教育委員会から派遣する大学院等の研修には、大学院等への教員派遣研修と特別支援教育教員大学派遣研修の2つがあります。また県教育委員会の許可を受け、教職員の身分を有したまま、休学して大学院等で研修する大学院修学休業制度を設けています。これらの制度については、確かな指導力と高い専門性を身につけるとともに、昨今の教育課題に対応する実践力を高め、研修修了後はその成果を、本県教育の充実発展につなげることができるよう実施しているところです。教職大学院の派遣については、今年度新たに6名の先生方を派遣します。昨年度より実施している8名については、この2年目は大学院と教育研究所で研修をしていただきます。修了後は学校現場で十分に力を発揮されることを期待しています。教員の大学院研修の状況については、以上です。」
○香河教職員課長「最後に、奈良県ディア・ティーチャー・プログラム第10期の募集についてご報告します。これは奈良県の国公私立学校の教員を志望する意欲と熱意を持つ学生を対象として、学校現場における必要な知識や技術を中心に、教員として求められる資質や実践的指導力を身につけられるよう支援する事業です。平成20年に第1期を開講し、第8期まで595名が県内の教諭として活躍しています。現在は第9期の受講生が後期プログラムを学んでいるところですが、この9月にスタートする第10期の受講生を募集しています。募集の対象は、県内の国公私立学校の教員を志す大学3年生又は大学院1年生で、平成31年3月末までに教員免許を取得できる方を対象としています。プログラムについては、小学校、中学校の教諭を志望される方向けと、中学校の音楽・美術や、高等学校、特別支援学校の教諭、養護教諭、栄養教諭を志望される方向けのプログラムを用意しています。合わせて110名程度を募集しています。募集期間は5月2日から6月2日までで、面接及び書類審査で選考を行い、9月2日から開講したいと考えています。以上です。」
○花山院委員「教員採用受験案内の概要に記載されている採用予定者数、養護教諭12名、栄養教諭6名、実習助手3名の、小・中・高の内訳はそれぞれどうなっていますか。」
○香河教職員課長「養護教諭については小・中で10人、県立で2人です。栄養教諭については特に校種で分けておらず、小・中学校及び特別支援学校に配置されることになります。実習助手は県立学校です。」
○吉田教育長「休学制度の対象はどのような方ですか。」
○香河教職員課長「専修免許取得を目的として修学できる大学院を対象に、県内公立学校における3年以上の教職経験を有し、定年退職まで5年以上の期間を有する者が対象となります。」

○吉田教育長「次をお願いします。」
○深田学校教育課長「平成30年度奈良県立高等養護学校入学者選抜要項について、ご報告します。軽度の知的障害のある生徒を対象とする県立高等養護学校は、他の特別支援学校に先立って選抜要項を発表します。募集する学部学科は高等養護学校高等部産業科で、募集人員は88名です。募集資格は従前と変わりませんが、その適正を見極め進路決定に役立ててもらうために、事前に入学相談を実施します。入学者選抜の実施内容は、学力検査と実技検査です。奈良県立養護学校は、他の特別支援学校に先立って受付、選抜、結果通知を行うため、他校と併願することはできませんが、高等養護学校がもしも不合格となった場合改めて他校を受験することができます。平成30年度の高等養護学校の入学者は、第2学年から職業に関するコースに応じて、本校及び高等学校分教室で学習を行います。分教室を設置している高等学校は高円高等学校、山辺高等学校、二階堂高等学校です。以上です。」
○吉田教育長「他の知的障害を対象とする特別支援学校の、入学者選抜に関する日程はどうなっていますか。」
○深田学校教育課長「受付期間は昨年度では1月18日から20日の3日間、選考については2月15日でした。」
○吉田教育長「高等養護学校だけなぜこんなに早いのでしょうか。」
○深田学校教育課長「不合格となった場合は結果通知後、他の特別支援学校の受付期間までのおよそ2ヶ月間、十分に進路を相談、検討できる期間を設けるためです。」
○佐藤委員「昨年度の状況はどうでしたか。」
○深田学校教育課長「昨年度は募集88名に対して応募は105名、うち受験したのは103名でした。」
○森本委員「不合格となった人のフォローも十分にしていただきたいと思います。」
○吉田教育長「その他の学校と比べて、入学相談から出願受付、結果通知までの日程が開いていますが、理由はありますか。」
○深田学校教育課長「応募資格にある自力通学ができるか、一般的な社会的集団行動ができるか、知的障害者であることを入学相談で見極めることとしています。入学相談の結果を受けて進路について十分検討できるよう、受付期間までゆとりを設けています。」
○吉田教育長「他の養護学校も含めた全体のスケジュールを示してください。」
○深田学校教育課長「わかりました。」

○吉田教育長「次をお願いします。」
○石井教育研究所副所長「学力調査結果分析プロジェクト・チームの設置についてご報告します。設置目的に記載のとおり、現在、小学校及び中学校の児童生徒の学力や学習状況の実態把握については、小学6年生と中学3年生を対象に実施している全国学力・学習状況調査により行っています。また奈良県独自に小学4年生と中学1年生を対象に、平成27年度から実施している奈良県学力・学習状況調査があります。ちょうど本年は平成27年度に小学4年生であった者が小学6年生となり、中学1年生であった者が中学3年生となり、それぞれ4月18日に実施された全国学力・学習状況調査に臨んだところです。こうした状況は、同じ人或いは集団の学力や学習状況を、異なる時点で比較、検討することが可能となり、統計学的にはパネルデータ分析といわれる手法をもって分析することが可能となります。例えば、学力や学習意欲が著しく高まった場合は、当該学校に対するヒアリング調査等を実施して、具体的な実践例を抽出することもできます。3の任務に記載のとおり、こうした調査結果の分析を通して、学力向上に効果的な指導方法、望ましい生活習慣や学習習慣等を明らかにすることで、学校における学習指導等の充実改善を図りたいと考えています。プロジェクトチームは、教育研究所指導主事をはじめ県教育委員会事務局の各課室指導主事で構成し、教育研究所研究開発部長が統括します。またスーパーバイザーとして奈良教育大学から3名の先生に加わっていただき、直接的な指導助言を仰ぐ予定です。年度内を目処に報告書をまとめ、県内市町村教育委員会に参考となる分析データを提供するとともに、奈良県教育サミットや学力向上フォーラム等で分析結果の概要を報告したいと考えています。以上です。」
○花山院委員「分析の結果、必要な対応についてはどのように取り組むことになるのでしょうか。そこが重要です。」
○石井教育研究所副所長「教育研究所において、分析結果等を踏まえ教員研修の立案も行っていきたいと考えています。」
○吉田教育長「これまでの全国学力・学習状況調査の結果はどのように周知していますか。」
○深田学校教育課長「市町村教育委員会に分析結果を通知しています。またその後小学校、中学校の各校からの代表者を集め、それぞれ取組実践の報告もしていただいています。」
○吉田教育長「今回の分析結果は、各市町村教育長を集め、私から周知をしたいと考えています。」
○森本委員「学力のほか、体力、規範意識も分析対象として取り組んでいただきたい。」
○石井教育研究所副所長「全国学力・学習状況調査も、奈良県学力・学習状況調査も質問紙調査を実施しており、調査項目をそろえています。その中に規範意識等も含まれていますので、経年でみることができます。また研究所の統計分析ソフトを用いて、単なる相関だけでなく因果関係も含めて分析結果が出てくる可能性があります。」
○吉田教育長「小学4年生の体力テストの結果はありますか。」
○吉田保健体育課長「小学4年生は県下全校数分ありません。学校毎に実施の有無、実施種目のばらつきがあります。小学6年生はあります。」
○吉田教育長「体力テストを小学4年生で実施している学校において、同じ集団が小学6年生でどのようになっているかを、学力と比較してみる等、欠けていることもあるので正確でないかもわかりませんが、興味深い結果が得られる可能性があると思います。」
○石井教育研究所副所長「限られた学校、地域になると思いますが、ぜひ取り組んでみたいと思います。」
○吉田教育長「他にご意見、ご質問が無いようですので、原案どおり承認してよろしいか。」
(各委員一致で承認)
○吉田教育長「その他報告事項については承認いたします。」

○吉田教育長「それではこれをもちまして、本日の委員会を終了します。」