第5回臨時会議(平成30年1月22日開催)

開催概要


その他報告事項

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 奈良県立高等学校の適正配置検討に関する論点整理について
奈良県立高等学校の適正配置検討に関する論点整理(案)(pdf 219KB)
同資料1(pdf 325KB)
同資料2(pdf 1400KB)
 <教育振興大綱推進課>

平成29年度第5回(臨時)教育委員会議事録(テキスト版)

概要

<開会>
平成30年1月22日
14時30分

<閉会>
平成30年1月22日
15時50分

 
<会議場所> 
教育委員室

<委員出欠>
花山院弘匡(出席)
佐藤進(出席)
森本哲次(出席)
高本恭子(出席)
上野周真(出席)

 

議案及び議事内容

<議事内容> 
○吉田教育長 「それではただいまから、平成29年度第5回臨時教育委員会を開催いたします。本日は全員出席で、委員会は成立しています。」
○吉田教育長 「それでは本日の案件に入ります。奈良県立高等学校の適正配置に関する論点整理について、ご報告をお願いします。」
○前田教育振興大綱推進課長 「その他報告事項といたしまして、『奈良県立高等学校の適正配置検討に関する論点整理』についてご報告いたします。
 適正配置検討に関する論点整理につきましては、前回の第4回臨時会で報告し、本日の第5回臨時会におきましては、基本方針の素案をご提示すると申し上げていたところでございますが、論点整理につきまして前回いただいたご意見等を踏まえ修正をいたしましたので、改めてご報告をさせていただき、ご意見をいただくところでございます。なお、本日いただいたご意見をもとに、さらに修正したものを、来週1月29日及び30日に開催を予定しております県内3か所での地域別協議会において提示し、地域別協議会でのご意見をいただいた上で、2月議会文教くらし委員会で説明する基本方針案を作成したいと考えております。
 それでは、論点整理の内容について説明させていただきます。資料をご覧ください。『1今回の検討について』では、県立高等学校の現状を確認した上で、今後の教育内容や教育環境の充実を含めた適正な配置について、不断の見直しが必要であることを明示しております。その上で、『2今後の県立高等学校の在り方に関する基本的な考え方』といたしまして、社会の変化を生き抜く力を身に付けさせるために、生徒の興味・関心を最大限に高める学校づくりが必要であるという考え方を示しています。
 また、そのためには、各校の特色化が必要であることを示した上で、欄外に、地域別協議会や中学校関係者へのアンケートで話題となった特色化を進める際に配慮すべき事項として、1ページの下からの脚注3に『進路に応じた教育の重視』、『柔軟な教育課程』、『広報の充実』の3点を示しています。
 また、2ページの上の部分でございますけども、生徒の興味・関心を高めるためのアプローチとして、『実学教育の充実』と『地域と連携した教育の充実』の2つを挙げ、それぞれの具体として、グローバル人材の育成に関する学科の設置やキャリア教育の推進、地域の活性化に資する学科の設置や地域とともにある学校づくりの推進等についてお示ししています。
 『3各学科等の今後の在り方について』では、(1)から(5)まで5つの学科ごとに現状と、今後の在り方について記述しています。内容は概ね前回の論点整理のとおりですが、まず(1)の職業に関する専門学科では、社会での即戦力となる人材育成のための取組の充実について触れながら、進学への対応についても記述しています。また、本県の産業等と連携した専攻科の設置についても書いています。この他情報科、福祉科の検討事項についても示しています。3ページ目の(2)のその他の専門学科では、グローバル人材育成に関する学科設置について再度触れるとともに、理数科の課題についても触れているところです。(3)の普通科では、多様な興味・関心に応えるために普通科のコースの総合学科等への改編について触れています。(4)の総合学科につきましては、今後の設置に向けた考え方を整理しています。4ページ目の最後(5)の定時制・通信制課程では、検討のタイミングについて記述しているところです。なお、『4県立高等学校の配置等について』では、前回どおり、定員率の維持や、今後10年間の生徒数や学級数の減少の見込、さらには、配置に関する考え方について述べているところです。なお、中長期的な年少人口の見込につきましては、資料1-2として、国立社会保障・人口問題研究所のデータを用いて作成した表とグラフを示させていただいています。2060年には現在の半数を切ると推計され、今後の人口減少への対応も必要であると考えられます。最後に『5施設整備について』では、適正配置計画策定後の速やかな耐震対策実施を確認するとともに、特色化に伴い施設等の環境整備の検討が必要であるとの記述も加えさせていただきました。
 以上で、奈良県立高等学校の適正配置検討に関する論点整理についてのご説明とさせていただきます。」
○吉田教育長 「資料も全て全部基本方針に載せることになるのでしょうか。」
○前田教育振興大綱推進課長 「はい。」
○吉田教育長 「この論点整理は、1月29日の地域別協議会に提示するためのもので、将来の基本方針に繋がっていくということですね。ここには適正配置のコンセプトのようなものは示されているのでしょうか。」
○前田教育振興大綱推進課長 「はい。2番の基本的な考え方がコンセプトになります。1番の今回の検討については、基本方針に先立って、前回の適正化から今回にかけて、見直しが必要であるということを記載しています。」
○吉田教育長 「1番を読みあげてください。」
○前田教育振興大綱推進課長 「はい。では、『今回の検討について』です。
 県立高等学校については、平成16年度から平成20年度にかけて大規模な再編を行い、最大43校あった県立高等学校は、現在33校となっている。前回再編以降も、学科再編等、教育内容の見直しを行うなど、魅力ある高等学校づくりを推進している。
 前回再編時に示された『時代を担うスペシャリストを目指す高校』『好きな分野・得意な分野を伸ばす高校』『基礎的な事項を幅広く学ぶ高校』『学びたいときに学べる高校』という構成は、現在においても中学校関係者から概ね支持を受けており、今後もこの構成を基によりよい学校づくりをさらに推進すべきである。
 県立高等学校が、時代の要請や社会の変化に対応し、その役割を果たせるよう、今後の教育内容や教育環境の充実を含めた適正な配置について不断の見直しを行う必要があり、今後、概ね10年毎に見直しを行うこととしている。」
○吉田教育長 「はい。それではご意見いただけますか。」
○花山院委員 「社会のことを学校の中でどう生かしていくかということを考えました。多分、学校は保守的なところもあるので、今の時代より先を進むということは無く、今の時代に追いつきながらニーズに応えていくものだと思っています。
 例えばスマートフォン、友人とつながるツール、人と人が繋がるツールから始まりましたが、会議の時も、上司との話の時も、分からないことがあれば、直ぐにスマートフォンを出して調べます。それこそ辞書のようになっているわけです。他にも、ほとんどテレビを観ないで、スマートフォンでニュース等を観る。このように、人と繋がる、ものを調べる(という機能だけでなく)、食べ物や行きたい場所等自分たちの生活を楽しむための全ての情報が、この持ち歩ける端末から入ってきて、これによって全ての生活がいろいろに変わっていく時代です。10年程前にスマートフォンが出てきてからの変化は、改めてすごいと感じますが、今の若者にはもう当たり前になっている。
 そのような変化の激しい時代であることを踏まえて、奈良県だけということではないですが、全国の教育現場で(今の時代に合う)力を付けてあげることも必要だと思います。今もいろいろ取り組んでいただいていると思うのですが、私たちの想像以上に時代は進んでいると思います。ここに書いてあるような『時代を担うスペシャリスト』や、『好きなところを伸ばす』、『IT』等については、逆に我々が今の学校で勉強する生徒より理解していないのではないかと思うところもあり、それを踏まえながらこれからどのような学校にしていこうか、どのような子どもたちを奈良県は育てていこうか、外国でも通用するようなグローバルな人間をどのように育てていこうかと検討することになる。そのようなことが、少しここで反映されて欲しい。タイトルだけでなく、中に一歩入ったようなところで何か見えてくるものがあったら、10年後にはもっと変わっていると思います。」
○前田教育振興大綱推進課長 「検討させていただきます。」
○吉田教育長 「二つ目の、前回再編時に示された4つの構成が、概ね支持を受けているというのは、どのような根拠でしょうか。」
○前田教育振興大綱推進課長 「平成15年の再編計画についての報告がなされたときに、県立高校の構成ということで、1から4までの表現がなされておりますので、これをとらせていただきました。
 概ね支持を受けていることについては、資料2-4に中学関係者で行いましたアンケートの結果を示しております。前回もご説明を申し上げたところでございますが、1から4で示した学校を置くのが良いかどうか尋ねたところ、肯定的な意見があったため、支持を受けていると書かせていただいたところです。」
○吉田教育長 「例えば『時代を担うスペシャリストを目指す高校』というのは、具体的にはどのような高校として作るのですか。『好きな分野・得意な分野を伸ばす高校』としてはどのように考えていますか。『基礎的な事項を幅広く学ぶ高校』というのは、普通科のことですか。」
○前田教育振興大綱推進課長 「3番のところに、今後の在り方として(1)から(5)として示しております。『時代を担うスペシャリストを目指す高校』は、(1)職業に関する専門学科です。『好きな分野・得意な分野を伸ばす高校』といいますのが(2)その他の専門学科で、奈良県では体育や芸術、英語、理数といった学科がこれにあたります。『基礎的な事項を幅広く学ぶ高校』というのは(3)普通科にあたります。『学びたいときに学べる高校』といいますのが(5)定時制・通信制ということです。
 なお、これに加えて総合学科、中高一貫教育がございます。」
○吉田教育長 「中学校関係者から支持を受けているということですが、現在、前回再編時の構成で再編したものに対して、支持を受けているから今後もこの構成を基によりよい学校づくりを推進すべきという考えだけでは、新たな方向性ができるということはないですよね。この構成に何も課題が無かったのでしょうか。この構成を基に、よりよい学校づくりを推進すべきであるというのは、それは事実として良いのですか。
 例えば、総合学科はどの構成に含まれるのでしょうか。」
○前田教育振興大綱推進課長 「今回の『基礎的な事項を幅広く学ぶ高校』として、普通科を見直して総合学科の設置に移行していくというということで書かせていただいているところですけれども、この4つの構成に直接的に含まれるということではなく、独立的な扱いになっています。表現が不足しているので検討します。」
○吉田教育長 「総合学科は、どちらかというと、時代を担うスペシャリストを目指すのか、それとも好きな分野・得意な分野を伸ばすのか。」
○前田教育振興大綱推進課長 「横断的なものとして捉えられるかと思います。前回の再編には山辺高校が存在していました。農業系、商業系、ビジネス系、家庭・福祉系、それから普通科、進学対応といった内容の構成だったかと思います。今、二階堂高校がございますけども、内容といたしましては、この一つ目と二つ目にまたがるようなものです。」
○吉田教育長 「では、新たな横断的な高校づくりをするということですね。それは4つの構成に含まれるのですか。」
○前田教育振興大綱推進課長 「はい。この構成を基に、ということです。」
○吉田教育長 「新たな高校づくりということを入れる必要はないのでしょうか。総合学科による新たな高校づくりというのを表現すべきではないのですか。」
○前田教育振興大綱推進課長 「はい。そのため3番の各学科等の今後の在り方のところで、一つ独立して挙げさせていただいているところです。」
○吉田教育長 「それは学科として独立しているだけで、根拠となる考え方には示さないのでしょうか。」
○前田教育振興大綱推進課長 「そこは検討します。」
○吉田教育長 「他にご意見はありませんか。1番に関しましては基本方針の前文になるということで、花山院先生からは、もう少し時代の変化、要請を具体的にとのご意見をいただきました。」
○花山院委員 「平成16年と今と課題が当然共通する部分もあるけども、これから先のためにやっていくので、何か少し新しくあった方が良いと思います。」
○森本委員 「前回の評価に基づいて整理されていますが、知っている人は少ないと思います。だから花山院委員がおっしゃったことも含めて、今の時代にマッチした分かりやすいことを出していくのが良い。前のことを反復するよりも、今回はこれ、奈良としてはこれ、ということを具体的に出した方が分かりやすいかもしれません。」
○吉田教育長 「論点整理から基本方針に移るときの話として受け止めていただくことになるので、論点整理の中でもう少し文章表現を変えることを検討してください。」
○吉田教育長 「それでは2番に移ります。『今後の高等学校の在り方に関する基本的な考え方』についてお願いします。」
○前田教育振興大綱推進課長 「2番でございます。先ほど教育長からもございましたが、ここでは、コンセプトや方向性について記述しております。読ませていただきます。
 少子高齢化やAI・IoTなどの進展、グローバル化の加速など、変化がますます激しくなるこれからの時代においては、予測困難な変化に受け身で対処するのではなく、主体的に関わり、その過程を通じて、自らの可能性を発揮することが求められる。そのためには、全ての生徒が主体的に学ぶ態度を身に付けることが重要であることから、生徒の興味・関心を最大限に高める学校づくりを推進することが求められる。
 生徒の興味・関心を高めるためには、幅広い興味・関心に応える学校づくりが欠かせない。そのために、各校の特色化をさらに推進し、特色ある教育課程を編成する必要がある。
 また、県立高等学校においても、社会(地域・国・世界)の持続的な発展を支える多様な人材を育成する必要があることを踏まえ、生徒が自ら興味・関心をもつ分野において社会で役立つ知識や技能を身に付けることができるよう実学教育の充実を図る必要がある。
 実学教育の充実の具体としては、例えばグローバル人材の育成に関する新たな学科の設置などのほか、各校でインターンシップを充実させるなどキャリア教育のさらなる推進を図ることが考えられる。
 生徒の興味・関心を高めるためには、地域の教育資源を活用し、教育内容を充実させることなどが有効であるほか、学校での学びが地域や社会への貢献につながるという実感は生徒の学ぶ意欲を高めると考えられる。このため、地域と連携した教育を推進する必要がある。
 地域と連携した教育の充実の具体としては、例えば地域の活性化に資する新たな学科の設置などのほか、各校に学校運営協議会を設置するなど地域とともにある学校づくりのさらなる推進を図ることが考えられる。」
○吉田教育長 「それでは、基本的な考え方についてご意見をお願いします。」
○花山院委員 「生徒が主体的に学ぶ態度を身に付けるために、生徒の興味・関心を最大限に高める学校づくりの推進ということですが、その上で特色ある教育課程を編成するということは、(予測困難な変化に主体的に関わり、自らの可能性を発揮する生徒を育てるために)今までに無い新たな、さらに特色ある教育課程を編成するということですね。このことは、3番の各学科等の今後の在り方にどうつながっていくのですか。」
○前田教育振興大綱推進課長 「新たなというところで、(1)職業に関する専門学科であれば、例えば三つ目の、本県の産業等とより密接に連携した専攻科を設置するということが当たりますし、(2)その他専門学科であれば、二つ目のグローバル人材を育成する学科、例えば国際科を設置するといったこともこれに当たるかと思います。」
○花山院委員 「分かります。これから考えていくところだと思いますが、実学教育やグローバルというのは今も実際にやっていることがあると思います。でも今言ったように、特色ある教育課程を編成するのは新しいことなので、これから変えるというイメージがないと、進む方向性がなかなか出せないのではないですか。具体的には、どのようなことを想定するような内容でしょうか。」
○前田教育振興大綱推進課長 「まだ具体に何が決まっているという状況ではありませんが、例えば林業などをより振興していく、また本県には文化財等も非常にたくさんございますけども、将来的に伝統建築に関わって行けるような人材を育成するといったようなことです。そういったことも視野に入れて検討しているところでございます。」
○花山院委員 「基本方針になる場合は、もう一つ具体的にどのような再編をしていけば良いのか、イマジネーションがないと進みにくいと思います。」
○吉田教育長 「他、基本的な考え方のところでご意見はございませんか。」
○上野委員 「生徒の興味・関心を高めるためには地域の教育資源を活用し、教育内容を充実させるというのが有効であるとあります。学校での学びが地域や社会の貢献につながる、もちろんそうだと思います。奈良県では文化財が多く、興味をもってもらえると思います。その次に、例えば地域の活性化に資する新たな学科の設置とありますが、検討中だとは思いますが、具体的にどのような学科になるのでしょうか。」
○前田教育振興大綱推進課長 「はい。こちらの方は3の(3)普通科の二つ目でございます。例えば今、西の京高校の普通科に地域創生コースがあり、その中の限られた教科の時間数で実際に行っているわけでございますが、そのようなコースを専門学科に再編する、総合学科の中に位置付ける等することによって、さらに深い学びにつなげることができるといったようなことで、普通科のコースから新たな学科への移行ということも視野に入れて、考えているということでございます。」
○上野委員 「奈良県は文化財が多くて、高校生も郷土について学べるような、そういったところを生かしていただけたら良いと思います。」
○吉田教育長 「西の京高校の地域創生コースを地域創生学科にするということが、地域の活性化に資する新たな学校の設置と受け止められるのか。何か、具体的に想定していることはありますか。」
○前田教育振興大綱推進課長 「検討しております。」
○吉田教育長 「何か実現できるようなものがないとイメージが描きにくい。」
○花山院委員 「文化財は分かりやすいと思いますし、個人的には薬のことでも良いと思います。他のことでも新しく考えられるものがあると思います。
 以前に吉田教育長がおっしゃっていたように、その専門を学んで、4年制大学に進学し、それが自分の教養となって人生のプラスになるっていうことは、これは大変素晴らしいことです。普通科を卒業して同じように大学に行くのも、またそれはそれで素晴らしいですが、何か一生のそういったものが身に付く大変素晴らしい勉強の時間になると思うので、いろいろなことが考えられるのではないかと思います。」
○高本委員 「例えばですが、吉野町の国栖っていう所には、こうぞ、みつまたを使って、和紙を漉く産業がありますが、今まで20軒以上あったものが、もう今は2,3軒になり、消えゆく産業です。でも吉野で作られた和紙というのは、表装等をするのにすごく大切なものだそうです。それをまた、一つの学科として紙漉科みたいなものはどうかと。そこで終わらずにそれこそ新しい科学等を導入して、日焼けをしない紙を作る、火に強い紙にする等、どんどん進化させていくのはいかがでしょうか。」
○花山院委員 「奈良の紙、吉野の和紙は、日本で有数の紙です。(産業としては)大変な状態ですが、学校教育の中でそのようなことを学んで、それこそそれが仕事になる、或いは、そのような技術をもっている人達が広がっていくというのは、奈良県の伝統産業を守ることになると思います。
 学科までいくのは難しいかもしれませんが。」
○吉田教育長 「本県の伝統産業と密接に連携した高等学校の系列や学科ということであれば、そのようなイメージになると思います。また、総合的な学習の時間でやることもできると思います。」
○高本委員 「国栖小学校は統合されて今は吉野小学校になりましたが、6年生は毎年、自分で漉いた紙を使って、校長先生に卒業証書作ってもらっています。だから本当にそうなれば、地域も元気が出ると思います。」
○森本委員 「国際芸術家村の設置が検討されていると聞きますが、そこと連携することも新たに作っても良いのではないかと思います。」
○吉田教育長 「大学との連携については、どこかに示していますか。」
○前田教育振興大綱推進課長 「情報に関する学科については、大学等との連携を書かせていただきましたが、それ以外のところでは、特に今回は明記しておりません。」
○森本委員 「奈良県の大綱の中で本県の歴史や文化を生かしてという内容があったと思いますが。」
○吉田教育長 「芸術家村との連携がそれに当たります。」
○花山院委員 「他にも県立大学には地域創造学科があるし、私立であれば奈良大学に文化財学科があります。奈良大の考古学は日本で屈指の考古学です。ただ、私立(との連携)は難しい部分もあります。」
○森本委員 「単独で取り組むのではなく、せっかく教育振興大綱があるので、県の組織と連携できるようなことも考えてはいかがでしょうか。
 芸術家村は県の施設です。県との連携、表現を検討して書いてもらったら良いと思います。」
○吉田教育長 「そこだけではなくて、大学との連携、高大接続、高大連携は、基本的な考え方に含めるべきだと思います。」
○森本委員 「それと、せっかく奈良にはたくさんの薬屋さんがありますが、大学には薬学がありません。京都、大阪、兵庫にはある。そのような大学と連携して取り組むのも良いと思います。
 あと、教員の働き方改革が求められています。また部活動の在り方についても議論されています。この先10年の間に具体的な動きがあると思うので、そのようなことは、この論点整理に入れなくても良いのですか。」
○前田教育振興大綱推進課長 「今回は適正化ということで、その部分についてはこの中に盛り込むというような考えをもっておりませんでしたが、ご意見については検討したいと思います。」
○佐藤委員 「実学教育は、結構重要視されているように思いますが、実際に高校で実学教育を受けて就職する率は非常に低くて、逆に進学が多いですよね。実学教育を受けて、また大学で勉強していく、大学進学も普通科だけではなくて、専門の方でも結構あります。実学教育とたくさん書かれている割には、高校を出て就職している人が、案外少ないという気がしています。」
○吉田教育長 「広義の実学教育ということで、直接就職するという意味ではありませんが、説明が必要かも分かりません。」
○前田教育振興大綱推進課長 「実学教育の定義は非常に難しいと思っています。将来の実生活や社会で役に立つ知識や技能ということで、そういったものを学ぶということでございますが、それを学んだからイコール就職ということではなく、全く知らないようなことを少しだけでも知っていると、将来の道は変わってくる部分があるかと思います。職業に関わる学問だけではなく、生活に関わってくる、社会に関わってくるというように広義で捉えているようなところです。分かりにくい部分がございましたら、表現も検討させていただきたいと思います。」
○吉田教育長 「地域と連携した教育の充実で、その中に地域の活性化に資する新たな学科の設置等と書いてありますが、再編統合も含まれるのでしょうか。」
○前田教育振興大綱推進課長 「統合を視野に入れてという内容は、4番の県立高等学校の配置等についてのところで、年少人口の長期的な減少に関係して書いていますが、分かりにくいので基本的な考え方にも入れるよう検討します。」
○高本委員 「地域連携の在り方として、例えば酪農家のところへ出向いて乳搾りを体験する。牛はこうやって乳を搾るのか、この牛乳が大きな工場に運ばれるのか、それを実際に体験して、それで酪農の勉強をしたいということになれば、畜産科がある学校につながると思うのです。そのような地域の産業のところへ飛び込ませて、そこから上の学校を目指しても良い。それで成功している事例が他府県でもあります。」
○花山院委員 「普通科以外の特色あるものを作っていくことの方針は、それぞれの子どもにとって大きなプラスと思うので良いですが、就職ということにつなげるべきかどうか。今の産業構造をみれば、多くはサービス業に就くのではないかと思います。ただサービス業のことは、学校ではなかなか教えられないと思いながらも、やはり何か学校で習ったことが将来の仕事に役立つと良い。
 産業構造が変化する前の高度成長期だったら、農業や工業がもっと重宝されましたが、今は数が少なくなってきている。何が必要なのか、何を求められているのか。既存の工業科も、農業科も、林業科も私は必要だと思いますが、このような分野のスペシャリストの育成といっても『ピンとこない』といったことが普通にあると思うのです。
 商業だったらパソコンが使えるように、それも実際には商業でなくてもパソコンを打つのは当たり前で、簿記会計についても、ソフトがやってくれるということもある。社会から求められているものと、既存の学校教育との間を埋められるような方向性が出れば良い。
 高校生が将来どのような分野の仕事に就くのかというのは、おおよそ社会構造で分かるので、そういったものに対してプラスになる何かが必要と思います。」
○高本委員 「他府県に観光科がある高校があります。観光科って一口にいっても、ベッドメイキングから、それからベルボーイ、ベルガールのお仕事や、二カ国語ぐらい話せて案内もできる。観光に関係なく一般企業に就職しても、やはりリーダー的存在になり、すごく頑張っている人がいます。観光立県であるこれからの奈良県にとって、観光ビジネスというものが必要かも分かりません。」
○吉田教育長 「工業科(の就職率は)は高く、比較的仕事につながっていると思います。」
○花山院委員 「それは分かっています。今のそれは良いのですが、ただ多くの人達は違う仕事に就きます。その時にためになる教育、普通科以外で特色ある教育課程という方向性が出ているので、それは何なのかと思います。」
○吉田教育長 「NPOの立ち上げ、起業するという教育も必要かもわかりません。」
○花山院委員 「商業高校で組みやすいところから始めたら面白い。ニーズはあると思います。」
○花山院委員 「起業科を仮に設置するとすれば、『このようにした人が、こういった会社を創って、このように成功した。』といったモデルが要ると思います。子どもたちはモデルケースがないと歩みにくい。学習の現状のレベルから考えられる起業であれば、それは良いと思う。
 起業といっても、規模にもよるし内容にもよります。今は起業といえばIT産業のように思いますが、観光立県なのでベッドメイキングの会社を創る、そのような人材派遣の会社を創るというのでも良い。」
○森本委員 「基本的なことですが、私がいつも思うのは、このような論議する時は、人を育てる先生になる人をきっちり作り上げていく、そういったことが大切だということ。
 そして、例えば家を建てるためには、大工さんがいるし、左官屋さんもいるし、電気屋さんもいるし、配管工もいるし、タイル屋さんもいて、そのそれぞれが仕事に就いていることを踏まえていろいろ考えていくことも必要かなということです。前にも発言しましたが、今はただ大学に行けば良いのではないです。昔は、地域に瓦屋さんもある、トタンを葺くところもある、左官屋さんもある。そして、家業を継ぐということも多かったですが、今はそうではない。だから、自分で将来的にどうするかを考える必要があると思います。」
○吉田教育長 「それでは続いて、次のページの定時制・通信制課程についてはいかがですか。ご意見はございませんか。
 今、大和中央高校に、通信制課程を置いていますが、減少傾向にあるのでしょうか。」
○前田教育振興大綱推進課長 「10月31日開催いたしましたヒアリングの際に、定時制・通信制課程の今後の在り方について、検討懇話会の論点整理の資料をお渡しさせていただきました。通信制課程につきましては、平成24年から27年度にかけて非常に少なくなりましたが、28年度以降徐々に増えてきています。
 10年前の平成20年度は募集人員150人に対して88名でしたが、平成29年度は99名ということで、一旦下がっていたのが増えているという現状がございます。
 定時制については、平成21年度がピークで、再編後に一旦増えましたが、その後は少しずつ減少が続いてきたというところです。平成29年度については少し上昇しています。」
○吉田教育長 「生徒数が少ない学校もあります。検討は求められているので、基本方針に後送りにせず、見直しを行うとしていただいた方が良いのではないでしょうか。」
○前田教育振興大綱推進課長 「検討します。」
○吉田教育長 「よろしくお願いします。他にご意見がございましたらよろしくお願いします。」
○吉田教育長 「ご意見がないようですので、以上でよろしいでしょうか。」
○前田教育振興大綱推進課長 「ありがとうございました。今後の予定についてご説明させていただきます。次回は2月19日に、第6回の臨時会を予定しております。冒頭に申し上げましたが、来週に地域別協議会を開催いたしますので、その内容につきましてご報告をさせていただき、この論点整理を基本方針案に作り替えていくというような形で、その際のポイントについてご意見をいただきたいと考えております。その後、3月上旬に第7回の臨時会を予定しています。基本方針案の審議をお願いして、議決をいただいた後、その後の文教くらし委員会でご報告させていただき、パブリックコメントを実施したいと考えています。
 引き続きよろしくお願いします。ありがとうございました。」
○吉田教育長 「はい、それではこれをもちまして本日の委員会を終了します。ありがとうございました。」