第6回定例会議(令和元年7月9日開催)

令和元年度第6回(定例)教育委員会議事録(テキスト版)

概要

<開会>

令和元年7月9日
13時30分

<閉会>

令和元年7月9日
14時40分

 
<会議場所> 
教育委員室

<委員出欠>
花山院弘匡(出席)
佐藤進(出席)
森本哲次(出席)
高本恭子(出席)
上野周真(欠席)

議案及び議事内容

<議案>
議決事項1 奈良県教員指導力審議会及び奈良県教員メンタルヘルス委員会委員の選任について(可決)


<議事内容>

○吉田教育長「出席者の点呼をとります。花山院委員、森本委員、高本委員、佐藤委員おそろいですね。上野委員は欠席ですね。それでは、ただ今から、令和元年度第6回定例教育委員会を開催いたします。本日は上野委員が欠席ですが、定足数を満たしており、委員会は成立しております。」

○吉田教育長 「議決事項1『奈良県教員指導力審議会委員及び奈良県教員メンタルヘルス委員会委員の選任』について、ご説明をお願いします。」

○香河教職員課長 「奈良県教員指導力審議会及び奈良県教員メンタルヘルス委員会の委員の選任について、説明いたします。
 教育公務員特例法の規定により、教育委員会は、児童生徒に対する指導が不適切であると認定した教諭等に対して、指導の改善を図るため指導改善研修を実施しなければならないとされています。その認定を行うにあたっては、教育学、医学、心理学その他の児童等に対する指導に関する専門的知識を有する者及び任命権者の属する都道府県の区域内に居住する保護者である者の意見を聴かなければならないとされ、教育委員会では、教員指導力審議会の意見を聴いているところです。
 審議会は、委員5人以内で組織することとされ、学識経験者3人、保護者1人、その他教育長が適当と認める者として民間企業から1人の5人を委員に委嘱しています。委員の任期は2年で、この7月末で任期が終わりますが、4人については、引き続き委員をお願いしたいと考えています。保護者としてお願いしています奈良県PTA協議会会長につきまして、今年度会長が代わられたことから、新たに新会長である筒井義一氏に委員をお願いしたいと考えています。
 また、教員メンタルヘルス委員会は、教員指導力審議会の要請によりメンタルヘルスに課題をもつ教員の措置を始め、精神疾患により長期にわたり休職している教員の復職の適否などについて専門的立場から審議をいただいています。現在3人の学識経験者に委員をお願いしています。同じく2年の任期が7月末で終わりますが、引き続き3人の委員にお願いしたいと考えています。
 ご審議のほどよろしくお願いいたします。

○吉田教育長 「長くお願いしている委員もおられますが、年数に制限はありませんか。」

○香河教職員課長 「年数や重複就任などに制限はありますが、例えば、教員メンタルヘルス委員会の委員はみなさん平成24年12月の就任で基準内になります。」

○花山院委員 「昨年は開催されていますか。」

○香河教職員課長 「指導が不適切である教諭の認定を半年に1回行っており、教員指導力審議会は、昨年度2回開催しました。今年度も9月頃に1回目を開催の予定です。」

○森本委員 「教員メンタルへルス委員会は定期的に開催されているわけではないのですね。」

○香河教職員課長 「教員メンタルヘルス委員会は、必要に応じて開催しています。昨年度は開催はありませんでした。」

○吉田教育長 「他にご意見、ご質問はございませんか。」

○吉田教育長 「ご意見、ご質問が無いようですので、原案どおり議決してよろしいか。」

     ※各委員一致で可決
○吉田教育長 「議決事項1については可決いたします。」

○吉田教育長 「その他報告事項について、報告をお願いします。」

○中西学校支援課長 「まず1点目は今年度の高等学校等奨学金の採用状況について報告いたします。お手元の資料『令和元年度 奈良県高等学校等奨学金の採用状況について』をご覧ください。
 奈良県の高等学校等奨学金制度は、勉学する意欲がありながら経済的な理由により、就学が困難な生徒に奨学金を無利息で貸与するものです。裏面をご覧ください。制度の概要でございます。当奨学金制度には、平成13年度まで実施されていた県単独事業の『高校全日制課程等修学奨励金』等の後継である『修学支援奨学金』と旧日本育英会高校奨学金を移管、後継として平成17年度に制度発足した『育成奨学金』の2つの制度がございます。対象者は、親権者又は未成年後見人が県内に住所を有している者であって、修学支援奨学金は世帯収入が生活保護基準額の1.5倍以内、育成奨学金は評定平均値が3.0以上であって、世帯収入が生活保護基準額の3倍以内が採用要件となっています。
 貸与額は、国公立の自宅通学で月1万8千円、自宅外通学で2万3千円、私立の自宅通学で月3万円、自宅外通学で3万5千円です。生活保護受給者については、保護費に含まれる高校就学費との調整がされています。
 表面をご覧ください。令和元年度の募集については、4月8日から5月10日まで受付を行いました。9月にも追加募集を行う予定ですが、4月の新規募集にかかる採用状況等につきまして、ご報告いたします。申請は、144名(前年167名)の申請があり、申請後、審査時点で取り下げた者が1名、所得制限等審査の結果不採用となった者が4名ありました。審査の結果時点で139名(前年161名)を新規採用としております。4月の新規募集の他、中学3年時点で予約申請・内定済の者17名を含め、156名(前年178名)を新規採用としています。予算的には、資格要件を満たしている者については、全員採用できている状況にあります。
 なお、継続貸与者345名を含めますと、現時点で501名(前年同時期651名)の生徒が令和元年度において貸与を受けていただくことになります。
 下欄に、昨年度の状況を示しております。このうち、4月の新規募集後の時点の数字で比較しますと、新規採用で22名の減、継続貸与者を含めますと150名の減となっています。さらにその下に、『奨学金貸与人数推移』として、昨年度までの貸与者の推移を示しておりますが、経年で減少している状況にあります。これは、昨年度も報告いたしましたが、授業料無償化にかわる『就学支援金制度』とともに、授業料以外の教育費負担を軽減するため支給される『奨学給付金制度』、これは給付型のものですが、この給付額が年々増額されていることも影響していると考えられます。ちなみに第1子の高校生の公立の場合で昨年度8万8百円でしたが今年は8万2千7百円、私立では昨年度8万9千円でしたものが9万8千5百円にそれぞれ増額されている状況であります。
 以上です。
 続きまして、『県立高校の耐震未完了建築物の耐震化対策と耐震化完了までの安全対策(進捗状況)』についてご報告します。お手元の資料の一番最後の資料をご覧ください。
 まず、耐震化対策については、昨年度決定しました『県立高等学校適正化実施計画』に基づき、2022年度(令和4年度)に完了するよう取り組んでおります。
 そして、耐震化完了までの安全対策等については、学校内の耐震性能を有する建物を利用した教室等の代替運用や、仮設校舎の設置、また、近隣の校外施設を利用した代替施設の確保など、カリキュラムや運営上の工夫によりできる限り耐震性能の低い建物の使用を回避するとともに、使用回避が難しいものについては、耐震性能を少しでも向上させるため、柱の応急補強等を実施するなどの対応を行います。
 各高校別の進捗状況ですが、はじめに、奈良朱雀高校です。
 耐震補強工事を2020年度(令和2年度)に完了させる予定で、現在工事の入札手続き中です。
 耐震化完了までの安全対策として、仮設校舎を本年9月から利用開始する予定です。
 また、柱の応急補強等を前年度に実施し、平成31年3月に完了しています。
 次に、奈良高校です。『県立高等学校適正化実施計画』に基づき、2021年度末(令和3年度末)に、平城高校校地に移転することにより完了します。耐震化完了までの安全対策として、仮設校舎を6棟設置し、本年9月から利用開始する予定です。なお、うち1棟は本年6月から先行して利用を開始しています。仮設体育館については、現在、移設可能な木造仮設体育館の設計業務の契約手続き中で、設計完了後、本年9月に工事発注を行う予定であり、2020年度(令和2年度)1月から利用開始できるよう進めています。仮設体育館も仮設校舎と同様、9月から利用開始する予定でしたが、当初予定していなかった地盤調査が必要となり、設計業務の発注手続きが遅れ、工事着手も遅れることとなりました。
 また、現在、管理特別教室棟(1)の応急補強を実施しているところで、本年7月末に完了する予定です。
 なお、奈良高校については、表の一番下『2.学校の管理運営面の工夫による対応』に記載のとおり、本年4月から仮設校舎の利用を開始するまで、1・2学年の生徒は、大和郡山市の城内学舎を利用しており、法蓮学舎と城内学舎での部活動を円滑に行うため、両学舎間のシャトルバスを本年4月から本格運行するとともに、学校行事等を円滑に行うため、近隣の代替施設、例えばならでんアリーナ、近隣公立小中学校の体育館等を利用するなどの運用をしています。
 次に、生駒高校の屋内運動場については、耐震補強工事を2020年度(令和2年度)に完了させる予定で、現在、基本・実施設計中です。
 次に、郡山高校については、改築工事を2021年度(令和3年度)に完了させる予定で、現在、基本・実施設計中です。耐震化完了までの安全対策として、耐震性能を有する別の建物に教室を確保する工事を実施中で、本年8月に完了する予定です。
 次に、山辺高校については、改築工事を2021年度(令和3年度)に完了させる予定で、現在、基本・実施設計中です。耐震化完了までの安全対策として、仮設校舎を2棟設置し、本年11月から利用開始する予定です。なお、うち1棟は本年9月から 先行して利用を開始する予定です。
 次に、磯城野高校については、改築工事を2020年度(令和2年度)に完了させる予定で、現在、基本・実施設計中です。耐震化完了までの安全対策として、耐震性能を有する別の建物に教室を確保する工事を実施中で、本年8月に完了する予定です。
 次に、大宇陀高校については、改築工事を2022年度(令和4年度)に完了させる予定で、現在、基本・実施設計中です。耐震化完了までの安全対策として、仮設校舎を1棟設置し、本年11月から利用開始する予定です。また、普通教室棟(3)について、柱等の応急補強を実施し、本年8月に完了する予定です。
 次に、王寺工業高校については、改築工事を2021年度(令和3年度)に完了させる予定で、現在、基本・実施設計中です。耐震化完了までの安全対策として、改築工事を着工する2020年度(令和2年度)から仮設校舎の設置を予定しています。また、教室棟(2)と屋内運動場について、柱等の応急補強を実施し、本年8月に完了する予定です。
 最後に、高田高校については、耐震補強工事を2021年度(令和3年度)に完了させる予定で、本年6月に工事を着工しています。耐震化完了までの安全対策として、仮設校舎を1棟設置し、本年6月から利用を開始しています。また、普通教室棟(23)について、柱等の応急補強を実施し、本年8月に完了する予定です。
 以上が、県立高校の耐震未完了建築物の耐震化対策と耐震化完了までの安全対策の進捗状況です。
 今後とも、遅滞なくすべての耐震化を完了できるよう、鋭意、進捗管理を徹底するとともに、生徒が安全に安心して学べる環境づくりを進めてまいります。以上です。」

○大石学校教育課長 「『令和2年度奈良県立特別支援学校幼稚部・高等部等入学者選抜・選考実施要項概要』をご覧ください。
 左の端に入学者を募集する学校名と障害種別を記載しています。応募資格のある者は、学校教育法施行令第22条の3に該当する障害者となります。募集する部及び学科は記載のとおりです。なお、盲学校には幼稚部と専攻科、ろう学校には幼稚部も設置しています。募集人員は高等養護学校88人、他の特別支援学校は入学予定人数を把握した上で定めます。入学者選抜・選考の実施内容については障害種別に応じた検査を実施します。
 以上です。
 続きまして『令和2年度奈良県立青翔中学校入学者選抜実施要項』について説明いたします。
 ポイントだけになりますが、まずは1つめ、応募資格です。奈良県内に保護者とともに居住している者で、ここにあります(1)から(3)のいずれかに該当するものといたします。県外の方でも中学校入学式の日までに保護者とともに奈良県内に居住することが確実な方は、手続きを行うことで出願が可能になります。
 2つめの募集人員は、2クラスにあたります80名といたします。
 3つめの通学区域は県内全域といたします。
 4つめの出願の手続の方法ですが、専願扱いとなっており、入学願書の提出は、郵送を基本とすることになっております。
 5つめの検査ですが令和2年2月1日土曜日に青翔中学校において行います。検査内容は、例年どおりですが、2つの適性検査と面接を実施します。適性検査1は主に言語や社会に関する内容とし、配点は100点、検査時間は40分です。適性検査2は主に自然や数理に関する内容とし、配点は150点、検査時間は40分です。面接は集団面接です。
 6つめの入学者の選抜方法については、適性検査1・2と面接の結果及び小学校から提出されました調査書を資料として総合的に判定することになっています。
 7つめの合格発表につきましては、2月5日水曜日に、郵送により発表することとしています。
 以上です。」

○大山人権・地域教育課長 「新しい『奈良県人権教育推進プラン』について、ご報告します。
 本県における人権教育は、これまで、平成20年に策定した、『人権教育の推進についての基本方針』に則り、『人権教育推進プラン』に沿って、そして学校現場においては、具体的に、お手元に参考に置かさせていただいておりますが、小、中、高それぞれで『なかまとともに』を元に、お手元にはございませんが、先生方は、授業の展開例や解説をいれた『なかまとともに』指導者資料集を使って、人権学習に取り組んでいただいております。
 今般の改定についてご説明します。2ページをご覧ください。
 人権を巡る今日的状況は、多様化・複雑化し、また平成28年には、国において、いわゆる人権3法が制定され、本年3月には、本県においても『奈良県部落差別の解消の推進に関する条例』が制定されるなど、教育の取り組みは一層強く求められており、また多様化する課題に対応できる資質や能力を身につけた人材の育成が求められております。
 併せて、前回のプラン策定から17年から18年が経過するなか、教員の世代交代も急速に進んでいることなども踏まえ、今般の改定に至った次第です。
 3ページをご覧ください。今回の改定のポイントは、
   直近の平成30年度、奈良県が行った、『人権に関する県民意識調査』の結果の中から、次のような調査結果を引用しております。
 『人権問題とは差別を受けている人の問題であって、自分には関係がない。』という問いに対し、『そうは思わない』『どちらかといえばそうは思わない』と回答した県民は86.8%にのぼり、多くの人が人権問題を自分に関わりがあるものと、捉えています。
 しかしながら、その下の表で具体的に、子どもの結婚相手が同和地区出身者や障害のある人、外国人であった場合、『考え直すように言う』または、『親としては反対だが、子どもの意思が堅ければ仕方ない』と否定的に回答した人の割合は、同和地区出身者・障害者・外国人のいずれも60%を超えていました。また、この調査結果は平成20年度の調査と比べても、大きな変化が見られないとの結果でした。
 これまでの長きにわたる人権教育の取り組みにより、人権問題は自分と関係があるという認識は持ち、あらゆる人を『差別』してはいけないとの『認識・意識』は持ちながらも、一方それを『自分事』と捉えているとは言いがたい状況がうかがえます。
 この『プラン』の中では、『人権』は決して『誰かの』問題ではなく、『私の』問題として捉えることができるよう、一人一人が、人権問題と身近な暮らしを、具体的に結びつけて取り組みを進めていくことを提起しております。
 その他改定のポイントは3ページ下段に記載のとおりです。
 4ページ、5ページには基本的な3つの視点、7つの具体的な取り組みについて記載しておりますが、また後ほど全体版、概要版でご覧ください。
 最後に、6ページ、この改定プランは現在、市町村、学校、また関係する社会教育団体等に広く配布を行い、とりわけ学校現場には、全ての教職員に概要版をお渡しするとともに、学校毎にポスターの掲示もお願いしております。
 また、来年以降、本県に採用される新規採用教員に対してもお渡しをしてまいりたいと考えております。
 併せて、配布で終わるのではなく、今後は当課の各種研修会や、また学校からの要請訪問、社会教育関係団体等の研修会においても丁寧に周知とその活用について図ってまいる予定です。
 以上です。」

○深田教育研究所副所長 「『令和元年度奈良県立教育研究所“教育セミナー2019”』についてご報告します。資料をご覧ください。6月7日、県立教育研究所において、『教育セミナー2019』を開催いたしました。今年度は、『次世代の教育を考える』をテーマとし、まず、全体会では、「『21世紀型授業』~子どもたちのプレゼンテーションがなぜ重要か~」と題して、関西外国語大学教授のガー・レイノルズ氏に全体講演をいただき、これからの授業作りや教材提示のあり方について考えることができました。
 全体会終了後は、分科会として、本県の教育に関する課題の解決や授業改善を目指して、教育研究所が平成30年度に取り組んだ研究報告を中心に、17の研究発表を行い、その成果を共有しました。
  掲載しております写真は、開会式、全体会での講演の様子です。一昨年度から手話言語条例が施行されたこともあり、本年度も開会式と全体会において手話通訳を配置いたしました。研究発表1と2は、分科会での研究発表の様子です。御覧のように発表者が一方的にしゃべるだけでなく、研究で行った実践を参加者にも体験してもらうということも行いました。次の2枚は、研究所2階ロビーに設置しましたパネル展示と教材・教具展示のコーナーの様子です。
 当日は、各校種の教職員を中心に、357名の参加者を得て、盛況のうちに終えることができました。
 参加者のアンケートでは、『全体講演のテーマがよかった』という回答が99%にのぼり、研究発表1・2についても、テーマ設定、内容、活用度のすべてにおいて90%以上の参加者から肯定的な回答が得られました。感想として『基調講演が非常によかった。今までとは違う視点からのアプローチが大変参考になった。』というものなど、資料の黒丸にありますような好意的な感想が寄せられました。
 御参加いただいた皆様には、本県の教育について共に考え、課題の共有を図り、解決の糸口を見いだすことが、できたのではないかと思っております。
 以上です」

○花山院委員「今年度の高等学校等奨学金の採用状況の報告についてですが、貸与基準に『生活保護基準の1.5倍以内』とあります。これは昔からの基準ですが、県内の子供たちがいる世帯で、そういう状況の世帯数の推移は分かりますか。貸与を受ける人数は、国の給付が充実したため減ってきてるとのことですが、奈良県のそういう世帯の割合が減っているのか増えているのか、変わらないのか、いかがでしょうか。答えるべき人がいないかもしれませんが、全体的に奈良県の家庭状況は経年で良くなっているのか悪くなっているのか、パーセンテージとしてはどうでしょうか。」

○中西学校支援課長 「県内生徒世帯の経済状況について、今手元に資料はありません。奨学金の貸与を受ける人数が減っていることについて、給付型のものが充実してきているという点では明るい話です。一方、県で行っているのは貸与型奨学金であり、それを返還する上での不安から、借りること自体が難しい家庭もあると考えられます。特に大学奨学金と合わせての返還に関して負担があり、先般から報道等でも取り上げられているのでそういうことも影響しているのでは、と想像しています。花山院委員のご質問の、生徒世帯がどういう経済状況にあるのかについてですが、授業料無償化に関する就学支援金制度では各世帯の所得を見ていますので、これを分析できないか、少し調べてみたいと思います。」

○佐藤委員 「奨学金の返還について、滞納されているケースもあると以前聞きました。その後、返還状況はいかがですか。」

○中西学校支援課長 「残念ながら期限通りに返していただけない方はいらっしゃいます。毎年新たな返還分の請求が起こりますが、その年度中に期限通り納めていただいているのが全体で75%程度。残りは期限に遅れられたり、またその中でも返せないという状態の方もいて、金額的には過去からの分が積み上がっていっているのが現状です。」

○高本委員 「先月橿原で母子福祉の総会がありました。今、ひとり親家庭がものすごく増えています。そんな中で奨学金はすごく大事なんですね。この灯火を消さないようにきちんと守っていくように、それはなんとしてもお願いしたいと思います。」

○中西学校支援課長 「奨学金を受けておられる方の1人親世帯の関係ですが、国民生活基本調査ではひとり親世帯の割合が6.9%です。奨学金の利用者では全体の38%がひとり親世帯であり、ひとり親世帯の厳しい状況が見て取れます。」

○花山院委員 「20年以上前ですが、私が務めた学校では授業料減免を受ける生徒がクラスの約3分の1、半分ほどが1人親世帯でした。もっと比率が高いところもあると聞いたことがあります。それが良い、悪いということではなく、現実的に担任はその環境が常のものとして仕事をしていて、学校としてもそういう保護者に対応しています。母子家庭等が昔と比べて非常に増えました。保護者あっての生徒ですから、そういうところにも目を向けましょうという、細かい目配りの思いや教育精神を奈良県は持っていることが分かる何か一文のようなものがあってもいい時代ではないかという気がします。難しいとは思いますが、そういうスタンスが求められる時代になってきているのも事実だと思います。」

○高本委員 「私は奈良県の母子父子寡婦福祉資金の貸付を受けてピアノ室を建てました。それで生計を維持できました。仕事の帰りに交通事故で夫を失って、それから1人で子どもを育てました。自分が自信を持ってできるのはピアノを教えることぐらいでしたから、それで生きていこうと思ってのことでした。生徒もたくさん来てくれて、借りたお金はきちんと返して、自分も自信がつきました。そうしているうちに、たくさんの有志ができました。今は寡婦会という名前になっています。この近畿大会に出てみたら、ひとり親家庭に対して奈良県は物心両面にいたって他府県よりも温かいと分かりました。」

○吉田教育長 「セーフティネットとしてお金を借りられる制度があったのですね。」

○高本委員 「はい。また、私はたまたま仕事があったから良かったのですが、特に女性の場合で仕事がない人の資格取得を支援してくれる制度があります。看護師や介護士、理学療法士、作業療法士や美容師などの免許を取ることを勧められ、その間の生活費は給付される制度もあります。晴れて免許をとれたら、祝い金がもらえたり、ハローワークに行けば仕事も探してくれる。そういった面で、奈良県は近畿の中では恵まれていると思います。それをずっと継続してもらえたら、高等学校も卒業させ、大学にやることもできると思います。奈良県には感謝しています。」

○佐藤委員 「県立高校の耐震未完了建築物の耐震化対策と耐震化完了までの安全対策の進捗状況の報告について、令和4年には耐震基準になるということで、令和4年には、全部の校舎が耐震できますように、よろしくお願いします。」

○森本委員 「令和2年度奈良県立青翔中学校入学者選抜実施要項のご報告についてですが、県外から来られたときの対応について、何か新しい考え方をもっておられますか。例えば寮などを設けて提供するなどの対応も含めて教えてください。」

○大石学校教育課長 「青翔中学校の入学者選抜では、県外からの受検につきましては、中学校入学の日までに奈良県内に保護者とともに居住していただくということを前提としておりますので、寮等そういったものは考えておりません。」

○花山院委員 「奈良県人権教育推進プランのご報告についてですが、私も昔教員をしておりましたが、プランの中で今どれぐらい授業数として行っているのか教えてください。」

○大山人権・地域教育課長 「過去と比べて多いか少ないといったことは、今把握できていません。従前より、ホームルームであるとか、総合的な学習の時間で行われていると聞いております。人権も昔は同和問題が中心でしたが、今は課題が多岐にわたっており、当課で毎年行っております学校へのアンケート調査では、身近な課題である、障害者や外国人児童生徒や同和問題については、多くの学校が取り組んでいる、アイヌや拉致問題等は学校によって差異が見られるといった結果となっています。」

○吉田教育長 「アンケート結果は教育委員会会議で報告していますか。」

○大山人権地域教育課長 「今年のアンケートは現在照会中であり、今後夏にまとめ、秋には学校へのフィードバックをする予定なので、まとまり次第報告させていただきます。」

○森本委員 「人権教育の関係で、今後、道徳教育と人権教育の兼ね合いについては、どうされますか。」

○大山人権・地域教育課長 「人権教育と道徳教育は今、少し切り離されたのかなと思っておりますが、人権教育は総合的な学習の時間やホームルーム等において引き続き取り組んでまいりたいと考えています。」

○吉田教育長 「実際、道徳が教科化される前は、道徳の時間で人権教育の教材などを使って、やっていたところもありました。ただ、道徳のテキストができて、教科となったので、今道徳は道徳の教科書で行っておりますが、道徳の教科書にも人権的な視点も入っています。」

○森本委員 「両方をミックスして、人権に関する意識をアップしてもらえたらと思います。」

○吉田教育長 「他にご意見、ご質問が無いようですので、その他報告事項について、原案どおり承認してよろしいか。」

     ※各委員一致で承認

○吉田教育長 「その他報告事項については承認いたします。」

○吉田教育長「その他連絡事項はありませんか。」

○香河教職員課長 「7月6日に実施しました令和2年度奈良県公立学校教員採用候補者選考試験の第1次試験において、試験時間を誤って実施する事案がありましたので報告いたします。
  誤りがありましたのは、中学校・国語の一般教養試験で、38人が2教室に分かれて受験しましたが、そのうちのひとつの教室で、試験時間を誤って開始しました。試験途中で誤りに気づき試験を終了しましたが、すでに本来の試験時間である45分を超えていました。
 また、あらかじめ伝えていた試験終了時刻より前に急遽終了していることから、公平な結果を得ることができない状況と判断し、中学校・国語の一般教養試験について、再試験を実施することとしました。再試験は、第1次試験の集団面接を予定している7月15日に実施します。
 なお、該当の受験者には、昨日電話で事情を説明し謝罪いたしました。
 今後はこのようなことがないよう再発防止に努めてまいります。」

○吉田教育長 「それでは、議案の審議が終了したと認められますので、委員のみなさまにお諮りします。本日の委員会を閉会することとしては、いかがでしょうか。」

     ※各委員一致で承認

○吉田教育長 「委員のみなさまの議決を得ましたので、これをもちまして、本日の委員会を閉会します。」