奈良新聞掲載記事集

令和7年度 奈良新聞掲載「農を楽しむ」

堆肥の種類とその効果 New!

 ホームセンターなどの園芸コーナーでは、様々な土や肥料が販売されていますね。これらは野菜や果物を作るための材料です。ここには、園芸培土や化学肥料などと書かれた商品が並んでいますが、その一つに「堆肥(たいひ)」があります。堆肥とは、有機物を微生物によって分解・熟成させてできる有機質の土壌改良資材です。堆肥には、植物由来の有機物が原料である稲わら堆肥やバーク(樹皮)堆肥、家畜の糞尿が主な原料の牛ふん堆肥や鶏ふん堆肥などがあります。そこで今回は、それぞれの堆肥の効果について紹介します。
堆肥には大きく2つの効果があります。1つ目は、植物が育ちやすい土を作る効果です。土作りによって土が柔らかくなると、根が伸びやすくなり、空気や水分も根に届きやすくなります。また、土の粒が団粒化することで、水持ちや肥料持ちが良くなります。2つ目は、肥料としての効果です。堆肥に含まれる窒素・リン酸・カリウムなどの肥料成分が分解すると、根から吸収されます。これら2つの効果の大きさは、堆肥の種類によって様々です。
稲わら堆肥やバーク堆肥は、土作り効果が主であり、肥料としての効果は僅かです。そのため土作り資材として使われることが多いです。一方、牛ふん堆肥には、土作り効果と肥料効果の両方があります。この堆肥に含まれる窒素成分は土の中で徐々に分解され、その一部が根に吸収されやすい形となります。また、鶏ふん堆肥は、土作り効果は小さいですが、牛ふん堆肥より肥料成分が多く、その効果は比較的早く現れます。そのため、肥料として扱われることが多い資材です。ただし、牛ふん堆肥や鶏ふん堆肥は、窒素に比べてリン酸やカリウムの割合が高いことが多いため、過剰投入とならないように注意が必要です。
このように堆肥の種類によって土作り効果や肥料としての効果が異なりますが、上手に活用することで、植物をより元気に育てることができるでしょう。

【豆知識】

堆肥は、主に作物を育てる前に使用します。栽培開始の1か月ほど前に畑に散布し、土壌中にすき込みます。散布量は、堆肥の種類や農地の栄養状態にもよりますが、総じてとても多く、運搬や散布作業も大変です。また、写真(左と中央)にあるように粒が細かい素材なので、散布中に風で飛び散ることもあります。
そこで簡単に散布ができるように加工した堆肥があります。それは、ペレット堆肥というもので、写真(右)にあるような粒状の堆肥です。粒状で取り扱いやすいので比較的簡単に散布ができます。密度が高く、散布量を減らせますし、一粒に重みがあることで、散布後の強風によって飛ばされる心配もありませんので、作業負担を軽減することが可能です。
このように扱いやすい堆肥もありますので、興味を持たれた方は使ってみてはいかがでしょうか。

(写真:牛ふん堆肥(左)、鶏ふん堆肥(中央)、ペレット状の鶏ふん堆肥(右)の写真)

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奈良新聞で第2日曜日に連載中の「農を楽しむ」に掲載されたものです。
(平成20年まで「みどりのミニ百科」)
※過去に掲載されたトピックスは時間が経過し、現下と異なる点もございますのでご了承下さい。