奈良新聞掲載記事集

令和6年度 奈良新聞掲載「農を楽しむ」

令和5年度 奈良新聞掲載「農を楽しむ」

令和4年度 奈良新聞掲載「農を楽しむ」

冬花壇を彩るパンジー

 冬の花壇や庭を華やかに彩るパンジー。花が少ないこの季節に、街を明るくしてくれる貴重な存在です。実は、奈良県はパンジーの出荷量が全国第4位で、国内有数の生産地となっています。もともとは冬の寒さに遭遇したのち、昼が長くなる春に開花する花でしたが、品種改良により秋から初夏頃まで花を咲かせ続ける性質を持つようになりました。パンジーの名前は、フランス語の「パンセ(思想)」に由来し、うつむき加減で咲く花が物思いにふける人のように見えたからだと言われています。
 パンジーと似た花にビオラがあります。どちらも19世紀のヨーロッパにおいて、自生するスミレ属の野生種を交配したのが起源とされています。ビオラはパンジーの育種が進められる中で、極小輪で耐寒性のある品種群として育成されましたが、20世紀になってより複雑な育種が進み、今では明確な区別ができないようになっています。一般的には花の大きさが5cm以上のものをパンジー、それより小さいものをビオラと呼んでおり、パンジーは花が大きく存在感があり、ビオラは花数が多くパンジーより耐寒性が強いという特徴があります。
 どちらも民間育種が盛んで、新しい品種が次々と作り出されています。花色や花形のバリエーションが豊富で、パステルカラーや複色のもの、フリル咲き、八重咲き、うさぎの耳の形をしたものなど、お店に並んでいる苗を見ているだけでもワクワクしてきます。
 通常、花壇や庭で楽しまれているパンジーやビオラですが、摘んだ花を花瓶に挿してお部屋に飾ると、家の中が華やかになるのでお勧めです。また、押し花にしてフォトフレームで飾ったり、しおりとして楽しむこともできます。
 色とりどりの美しい花を半年間も咲かせ続けるパンジーとビオラ。ちょっとしたコツを押さえるだけで簡単に育てることができますので、この機会にぜひ栽培にチャレンジしてみてはいかがでしょうか。

【豆知識】

 パンジー、ビオラを長く楽しむためのポイントを紹介します。
栽培環境:日当たりの良い場所を好みます。プランターに植える場合の用土は、清潔で水はけと水持ちのよいものを用います。
苗の入手:暑さがやわらぎ寒くなる前の10~11月が適期です。徒長しているものや株元がぐらつくものは避け、充実した苗を選びます。
定植:深植えしないようにします。鉢底に根が密集している場合は、根を優しく崩して植えつけます。
水やり:定植直後にしっかり与え、その後は土の表面が乾いてから与えます。冬場は控えめで暖かい時間帯に与えます。
肥料:液体肥料を1~2週間に1回程度与えます。
花がら摘み:花がらを放置すると種を作って株が弱るため、花がしおれてきたら早めに花首の付け根から摘み取ります。
切り戻し:春になって株が徒長してきたら、草丈の半分程度で切り戻します。新芽が出ている節の上で切り戻すと株張りがよくなります。(写真:パンジーとビオラの寄せ植え)

1

令和3年度 奈良新聞掲載「農を楽しむ」

令和2年度 奈良新聞掲載「農を楽しむ」

平成31年度 奈良新聞掲載「農を楽しむ」

平成30年度 奈良新聞掲載「農を楽しむ」



奈良新聞で第2日曜日に連載中の「農を楽しむ」に掲載されたものです。
(平成20年まで「みどりのミニ百科」)
※過去に掲載されたトピックスは時間が経過し、現下と異なる点もございますのでご了承下さい。