奈良新聞掲載記事集

令和6年度 奈良新聞掲載「農を楽しむ」

令和5年度 奈良新聞掲載「農を楽しむ」

令和4年度 奈良新聞掲載「農を楽しむ」

ブドウの品種について

 ブドウは夏から秋にかけて主に国産のものが、冬から初夏にかけて外国からの輸入品がスーパーなどの果物コーナーに並びます。今回は現在、日本で主に栽培されているブドウの品種について紹介したいと思います。
 日本でブドウの栽培が本格的に始まったのは明治時代です。当時、政府は欧米から多くの品種を導入しましたが、欧州の品種は日本の気候に合わず失敗が続き、米国から導入した「デラウェア」などの品種がまずは根付くこととなりました。奈良県でのブドウ産地としての始まりも大阪府から「デラウェア」が導入されたことだとされています。
 まず、奈良県のブドウ栽培の礎ともなっている「デラウェア」について紹介します。収穫時期は露地栽培で7月中旬とブドウ品種の中ではとても早く、粒は小さく強い甘みと、ほどよい酸味が特徴です。奈良県において、現在、栽培面積が最も大きく30ha程あり、その内の20haは平群町椹原地区が占めています。
 本来、日本のように温暖で雨の多い気候は病害や虫害が出やすく、ブドウの栽培に向いていないとされています。その中で研究者や生産者が品種改良に取り組み、日本の気候に適し、耐病性を兼ね備えた品種を次々に誕生させました。ここで日本で開発された主要な2品種を紹介します。
 「巨峰」は、大粒系のブドウで、果皮は紫黒色で、粒は平均15g程度でフォクシー香といったブドウジュースの香りがあり、甘みとほどよい酸味が特徴です。年々様々な品種が開発されている中、現在も多数の生産者に栽培されている、日本を代表するブドウの品種の1つです。
 また、「シャインマスカット」は、2006年に品種登録された比較的新しい品種です。種なし栽培が容易で皮が薄く、皮ごと食べられます。この食べやすさや味、香りが現在の消費者に好まれることもあって近年栽培面積が急増しており、2022年には日本で栽培面積がブドウ品種の中で最も大きくなりました。

【豆知識】

ここでは近年登場した品種を1つ、ユニークな品種を1つ紹介します。
 「涼香」は2017年に登録された品種で、大粒で黒色の品種です。果皮は厚く、「巨峰」よりやや粒が小さめです。収穫時期が8月中旬と「巨峰」より1週間早く、より濃い黒色となります。また、近年、「巨峰」や「ピオーネ」などが高温下で着色しづらくなっている地域でもよく色がつく品種として注目されてます。
 「マニキュアフィンガー」は近年人気が高まっているユニークなぶどうで、果実は細長いラグビーボール状の形をしており果実の先端が赤紫に染まります。その色と形がマニキュアを塗った女性の指に見えることから、この名前がつけられたそうです。特徴的な形の他にも渋みが無く、さっぱりとした甘みを楽しめる点、皮ごとパリパリと食べられる点などが人気の要因となっています。
 他にも日本には様々な品種があります。珍しい品種を見つけた際にはぜひご賞味ください。(写真:果樹・薬草研究センターの今年のシャインマスカットの栽培の様子)

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令和3年度 奈良新聞掲載「農を楽しむ」

令和2年度 奈良新聞掲載「農を楽しむ」

平成31年度 奈良新聞掲載「農を楽しむ」

平成30年度 奈良新聞掲載「農を楽しむ」



奈良新聞で第2日曜日に連載中の「農を楽しむ」に掲載されたものです。
(平成20年まで「みどりのミニ百科」)
※過去に掲載されたトピックスは時間が経過し、現下と異なる点もございますのでご了承下さい。