一昨年はカメムシが大発生して様々な果物に被害を与え、ニュースでも取り上げられました。吸汁の被害を大きく受けた果実は、樹から落ちたり、表面がでこぼこになります。果樹のカメムシは発生の多い年と少ない年を交互に繰り返す傾向にあります。2025年は発生が少なかったので、2026年は発生が多くならないか注視しています。
奈良県で果物に被害を与えるカメムシは主に3種類で、「チャバネアオカメムシ(以下、チャバネ)」は名前のとおり体が緑色で、羽根が茶色く、体長が10~12mmのカメムシです。そのほか、全身が緑色で体長が約15mmの「ツヤアオカメムシ(以下、ツヤアオ)」や、全身が茶色で体長が13~18mmの「クサギカメムシ」がいます。
「チャバネ」は成虫で冬を越すと夏頃には主に山林のスギ・ヒノキなどに寄生し、実を吸汁して繁殖し、秋頃には吸い尽くすと果樹園に飛んできて、柿などの果実を吸汁して被害を与えます。
「ツヤアオ」は近年増加傾向にあり、一昨年には「チャバネ」よりも多い時期もありました。しかし果樹に与える被害や詳しい生態について未解明な点もあるため、今後明らかにしていきたいと考えています。
県では、果樹カメムシ類の被害対策の参考にするべく、春以降の発生量を予測するために、冬に落ち葉の下で越冬している「チャバネ」の数を調べています。また、カメムシがよく活動する5~10月には、リアルタイムでの発生状況を知ってもらうため、夜にライトをつけた専用の機械で捕獲数を毎日調査し、ホームページで公開しています。さらに、山林からの離脱時期を知るため、6~10月にスギ・ヒノキの樹で、寄生頭数や、実が吸われた跡の数を調べています。また、果樹園での実際の被害状況を調べ、他の病害虫とあわせて情報提供していますので、防除作業等の参考に活用して下さい。
【豆知識】
果物への被害を防ぐには、カメムシの飛来時に農薬を散布するのが最も効果的です。農薬は容器のラベルを見て、その果物とカメムシに登録があることを確認のうえ、濃度や収穫前使用時期などを守って使用してください。散布するタイミングは、園地の中でカメムシを見かけたり、枝をゆすってカメムシが飛び立つような場合です。カメムシは6月以降の蒸し暑い夜によく活動します。また、秋には台風などにより山林が荒らされるとスギ・ヒノキから離脱して果樹園に飛んでくることがありますので注意してください。
農薬以外の対策として、果実への袋かけや黄色灯の点灯などがあります。袋かけはカメムシの飛来前に行いますが、果実が大きくなって袋と密着すると、袋の上からカメムシに吸われることがありますので注意が必要です。また、黄色灯は「チャバネ」以外の果樹カメムシ類には効果がないので、発生するカメムシの種類により利用できるか判断してください。
(写真:左:主に被害を与える「チャバネアオカメムシ」、右:被害を受けた柿果実)
