第5回定例会議(令和3年7月14日開催)

開催概要

議決事項

奈良県教員指導力審議会委員及び奈良県教員メンタルヘルス委員会委員の選任について <教育研究所> 
県立高等学校におけるBYODによる1人1台端末環境の活用について(pdf 139KB) <学校教育課>
   リンクのない事項は、非公開で審議されたものです。  

その他報告事項

1

県立高等学校適正化の推進に係る検証委員会の開催について(pdf 216KB) <教育政策推進課>
2 令和4年度奈良県立青翔中学校入学者選抜実施要項について(pdf 561KB) <学校教育課>
3 ヤングケアラー及び家庭の情報機器等に関する調査の結果について(pdf 1108KB) <学校教育課>
4 令和4年度奈良県立特別支援学校幼稚部・高等部等入学者選抜・選考実施要項について(pdf 113KB) <特別支援教育推進室>
5 新型コロナワクチンの接種に関する差別の防止に向けた児童生徒向けプリントについて(pdf 716KB) <人権・地域教育課>
6 令和3年度安全功労者内閣総理大臣表彰の受賞について(pdf 59KB) <保健体育課>
,,

令和3年度第5回(定例)教育委員会議事録(テキスト版)

概要

<開会>
 令和3年7月14日 
 10時30分

 

<閉会>
 令和3年7月14日
 12時20分

 

<会議場所>
 教育委員室

 

<委員出欠>
 花山院弘匡(出席)
 高本恭子(出席)
 上野周真(欠席)
 伊藤忠通(出席)
 田中郁子(出席)

議案及び議事内容

<議案>

議決事項1 奈良県教員指導力審議会委員及び奈良県教員メンタルヘルス委員会委員の選任について(可決)

議決事項2 県立高等学校におけるBYODによる1人1台端末環境の活用について(可決)

 

<議事内容>

○吉田教育長 「花山院委員、高本委員、伊藤委員、田中委員おそろいですね。それでは、ただ今から、令和3年度第5回定例教育委員会を開催いたします。本日は、上野委員が欠席ですが、定足数を満たしており、委員会は成立しております。」

○吉田教育長 「議決事項1については、奈良県教育委員会会議規則第17条第1項第2号に該当する案件のため、当教育委員会においては非公開議案として審議すべきものと考えます。委員のみなさまにお諮りします。いかがでしょうか。」

     ※ 各委員一致で可決

○吉田教育長 「委員の皆様の議決を得ましたので、本日の議決事項1については、非公開で審議することとします。」

○吉田教育長 「議決事項2『県立高等学校におけるBYODによる1人1台端末環境の活用』について、ご説明をお願いします。」

○山内学校教育課長 「県立高等学校におけるBYODによる1人1台端末環境の活用について、ご説明いたします。まず背景としましては、『GIGAスクール構想』が現在、小学校、中学校、高等学校、特別支援学校ともに進んでおり、それを受けて、本県の県立高等学校においても、ICTを活用した教育を推進したいところです。具体的な内容としては、県立高等学校において、新しい学習指導要領が適用される令和4年度入学生から、学年進行をもって、個人所有のキーボード付き端末を学校に持ってきていただいて、1人1台端末を活用することを実施したいと考えています。このような方式のことをBYODによる1人1台端末の活用と申しております。ただ、保護者に経済的な負担が発生するということもありますので、まず1つは、経済的に困難を抱える家庭の支援としましては、端末の貸与を予定しています。この他、保護者の経済的負担軽減のために、まずは修学旅行に係る費用の上限額を税抜きで8万円から6万円に減額しています。これに加えて、個人のパソコンを使うことによって、各学校での教材費を縮減できるものがないか精査を行って、保護者負担となる経費の見直しを行いたいと考えております。実際の端末の仕様につきましては、中学3年生の保護者対象のチラシの裏面に標準的な仕様として、各OSごとのスペックを示しております。基本的には、国が『GIGAスクール構想』の際に示したスペックに沿って標準的なものを示そうと考えております。なお、各学校で学習内容に応じて特別な仕様を指定する場合もございます。そのような場合は、各学校での学習で必要となる仕様を9月末までに各校のホームページに示し、それを各家庭でご覧いただいて、ご用意いただくように考えております。県教委としての環境整備については、1人1台端末を効果的に活用するために、まず1つは、全普通教室のWi-Fiは整備済みです。2番目は、クラウドを活用するための高速大容量インターネット回線、これも整備済みです。そして3番目は、全普通教室に電子黒板を今後順次導入してまいります。さらに学習に必要なアプリケーションライセンスの生徒への付与を検討しているところです。これらを総合的に活用して、教育のデジタル化を図りたいと考えております。最後に、この教育のデジタル化によって目指すものを端的に申し上げますと、論理的思考力を高めることです。学校の教育において様々な場面でICTを活用することによって、探究的な学びの過程で様々な力を育み、そして問題解決能力の基礎となる論理的思考力を育成してまいりたいと考えております。
 以上です。」

○吉田教育長 「このことについて、何かご意見、ご質問はございませんか。」

○伊藤委員 「学校の中の環境は整備されていくと思いますが、家庭学習をする場合に、おそらく各家庭の環境面で違いがあると思います。インターネット回線を引いている家庭は良いでしょうが、そうでない家庭の場合はどうするのでしょうか。それから、全普通教室に電子黒板を順次導入とありますが、どのくらいの期間で整備が進むのでしょうか。」

○吉田教育長 「電子黒板は導入予定ということではないのですか。」

○山内学校教育課長 「資料に記載しておりませんが、導入予定です。」

○吉田教育長 「BYODで端末を持ってくる来年度の1年生から、まずは全普通教室に電子黒板を導入することを考えています。」

○伊藤委員 「では、2年生、3年生についてはどうなりますか。」

○吉田教育長 「2年生、3年生も導入して欲しいという声もありますから、導入したいと考えています。」

○伊藤委員 「個人端末はありませんが、学校にコンピュータルームのようなものがあるのですよね。そこで、何らかのフォローができないですかね。」

〇大石教育研究所長 「来年度の1年生全員が端末を持って入学してきますので、最優先としては1年生の教室へ電子黒板を導入することになりますが、予算要求としては全学年への導入を目指していきたいと考えています。仮にそれが十分に行き渡らない場合や、予算化されましても4月に全て導入できるわけではなく、導入が年度の遅い時期になる可能性もありますので、そこまでの間は各学校にあります大型提示装置などを使いながら進めていきたいと思っています。」

○伊藤委員 「家庭での接続環境はどうですか。」

○吉田教育長 「家庭の調査結果はどうでしたか。Wi-Fi環境が無い家庭はどれほどありましたか。」

○山内学校教育課長 「約0.5%です。」

○伊藤委員 「Wi-Fi環境の無い家庭が、ゼロではないということですね。」

○吉田教育長 「その場合、低所得者用の貸し出しは可能ですか。」

○大石教育研究所長 「貸し出しはできます。」

○伊藤委員 「ポケットWi-Fiみたいなものですか。」

○大石教育研究所長 「おっしゃるとおりです。」

○吉田教育長 「低所得者用は、ChromebookとポケットWi-Fiを貸し出すという予定で進んでいます。」

○伊藤委員 「できるだけ平等になるように配慮をお願いしたいと思います。」

○吉田教育長 「電子黒板の予算をいただいても、購入可能な時期が秋、冬になる可能性を考えると、実質、3年生は難しいかもしれませんね。」

○花山院委員 「経済的困難を抱える家庭への支援はされるとのことでしたが、支援を行う対象には入っていないが、うちは端末を買えない、といってきた家庭に対し、どういう対処をしていくのでしょうか。また、端末は例えば5万円以上もする大変高価なものを毎日学校へ持ってくることになるので、管理をどういう形で行っていくのでしょうか。さらに、セキュリティの問題は、いたちごっこで非常に難しいが、人数が多く、学校が持たせて管理している以上、責任を問われることが起こってくると思われます。それに対してどういう回答を持っているのでしょうか。
 私は、皆、端末を持つべきだと考えていますし、本議案には賛成します。ただ、いろいろ細かい問題が出てくると思いますので、それをどう対処していくのかお伺いしたいです。他府県も同じことをしていると思いますが、他府県では現状どれくらい進んでいるのでしょうか。先進的なところではどういう問題が起こっているのか、他府県の状況も知りたいところです。」

○吉田教育長 「まず、校務用のPCは教員1人に1台配備しています。校務用は完全にセキュリティをかけ、成績処理や名簿管理など個人情報も入っているので、ハッキングされることのない状況でクローズにしています。」

○花山院委員 「Wi-Fi環境での使用はできないのでしょうか。」

○吉田教育長 「それはできないようになっています。次に、教育用のPCは、教員も自ら用意してもらう予定です。」

○花山院委員 「教員も用意してもらうのですか。」

○吉田教育長 「そうです。教育用のPC環境は、授業を基本的にはGoogleのアカウントで入ってクラウド上の処理になります。公開が原則なので、例えば自分の授業で用いるパワーポイントファイルが仮にとられても問題は無いと思います。」

〇花山院委員 「極論で言うと、外部からハッキングなどで端末を使用できなくすることも可能です。そういうことは非常に高度ですが、起こったときにどういう対処をするのでしょうか。」

○吉田教育長 「それは補償などで対処することが可能ではないでしょうか。」

○花山院委員 「補償は万全ではないのではないでしょうか。ハッキング、ウイルスなどいくらでも考えられますし、セキュリティ対策はいたちごっこです。端末購入費用が安かったら別ですが、高価なものなので対処が求められるのではありませんか。問題が起こったときはこうですよ、という県のスタンスを示す必要があると思います。基本的にはどこの会社もコンピュータを使っているのでセキュリティ対策は真剣にやっています。」

○大石教育研究所長 「小中学校では、ほとんどChromebookを使っています。そこにはセキュリティをかけており今のところトラブルはありません。高校生がBYODで端末を持ってきた場合、OSは自由になりますが、学校で行う教育活動に関してはGoogle Workspaceというクラウド上のやりとりになります。そこに関してはセキュリティも大丈夫だと考えております。それ以外の部分を子どもたちが使うことに関しては、家庭である程度フィルター等を考えていただかなくてはいけません。」

○花山院委員 「子どもが端末を学校に持ってきたら、携帯電話を持ってくるのと同じで、休み時間に学習とは違うことにも使ってしまうと思います。」

○大石教育研究所長 「学校のWi-Fiを使う限りにおいては、セキュリティをかけます。」

○花山院委員 「そのあたりが問われる部分なので明確にしておくべきです。このように管理しています、などと提示しておくべきです。パソコンなどについては、いろいろと言ってくる方が多いと思います。しっかりとこちらのスタンスを伝えてほしいと思います。」

○吉田教育長 「学校は、機器を統一すれば授業や管理が楽なので、統一したいと思います。しかし、統一できるのでしょうか。例えば、今、家庭でWindowsパソコンを持っているとします。しかし、学校がChromebookで統一するのでBYODでChromebookを買っていただきます、とはできないと思います。それはiPadでも持っている物を持ってきてはいけないとは言えないので、各学校では、基本的に推奨するモデルはあるけれども、家にあるパソコンを持ってくることも可としていただくよう進めています。」

○伊藤委員 「それぞれの生徒が端末を利用するにあたって、注意すべきことなどを定めたガイドラインのようなものを用意されないのですか。自己管理の問題だと思いますが、何もやらずに放置しておいてはいけません。使用にあたり守るべきことを記載したガイドラインのようなものを作って、これを皆さんに教育してください、とすべきなのではないでしょうか。」

○花山院委員 「端末は、特に高価なものなので、ガイドラインのようなものがあった方が良いと思います。ペーパー1枚か2枚のシンプルなものでも良いので、徹底することが重要だと思います。生徒が、その日休んでいたから聞いていません、などとならないようにする必要があります。」

○吉田教育長 「休み時間中も自由にスマートフォンを使用することができるのですか。」

○大石教育研究所長 「できます。」

○吉田教育長 「それも考えてルール作りが必要ですね。」

○花山院委員 「いろいろなことが起こりうることに関して、事前に使い方のルールを徹底して、ルールから外れていることがあるなら、それを指摘できるようにしなければならないと思います。」

○吉田教育長 「奈良朱雀高校の情報科や国際高校では、家庭にiPadを用意してもらっています。それに対して、今のところ、どうしても買えないという家庭は出てきていない、と聞いています。さらに、低所得者ではないのだけれども、どうしても用意しないという家庭が出てきた場合にどうするのかという話ですが、地道に説得することが第一かなと思います。理解をどうしても得られない場合は、子どもが被害を被ってはいけないので、当然、低所得者用をレンタルするということができるかと思います。また、低所得者であっても買おうとする家庭もあるかもしれませんので実際に進めてみないとわかりません。資料の4番に『学習に必要なアプリケーションライセンス』について、括弧書きで『検討中』と書いてありますが、これでは意味が分からないのではないでしょうか。これは学校が独自に必要なアプリケーションだから、書く必要はないでしょうし、生徒及び保護者向けのチラシを見たら、Microsoft Office 365のライセンス付与を検討していますと書いてあるが、ライセンスは付与するのではないのですか。」

○山内学校教育課長 「Adobe製品の場合、限定的に付与することになるので、全員がもらえるという誤解を与えてはいけないと思い、検討中ということを残しておくため、一旦このような表記にしたものです。」

○吉田教育長 「Microsoft Office 365は全員に付与できるということは、PCを買う前に明示すべきです。また、Adobe製品は全員に付与することができないけれど、学習に必要な個人には付与していくということで、Microsoft Office 365とAdobe製品を分けて書く方が良いのでないでしょうか。」

○山内学校教育課長 「わかりました。」

○花山院委員 「他府県の状況は分かりますか。」

○吉田教育長 「聞いている範囲になりますが、BYODを正式に打ち出したのは、京都市、東京、札幌市です。今、小中学校を対象に国が端末を配布していますが、5年後の更新時にどうなるか分かりません。高等学校に対して、県教育委員会としては、端末は自分で、ソフト、電子黒板も含めて授業ツールは県で準備するという方向で進めていきたいと考えます。」

○花山院委員 「端末も見方を変えると、学習に必要な教材、文房具の一種ですよね。今から始まることなのでいろいろな意見は出るでしょうが、世の中の潮流が普通になれば、何の問題も無くなると思います。」

○吉田教育長 「他にご意見、ご質問が無いようですので、原案どおり議決してよろしいか。」

     ※各委員一致で可決

○吉田教育長 「議決事項2については可決いたします。」

○吉田教育長 「その他報告事項について、ご報告をお願いします。」

○熊谷教育政策推進課長 「県立高等学校適正化の推進に係る検証委員会の開催について、ご報告します。先日の定例教育委員会で報告しました『県立高等学校適正化の推進に係る検証委員会』の第1回会議を、6月16日14時30分より奈良県文化会館の会議室において開催しました。検証委員会委員の皆様には『県立高等学校適正化推進方針』及び『県立高等学校適正化実施計画』について、策定の時期、方法等や、高校教育改革、教育環境整備についての視点で、ご意見をいただきました。当日は委員会の委員、4人全員のご出席をいただきました。また、会議は公開で行い、3名の傍聴者と報道関係からは5社が来られました。
 議事の概要については別紙のとおりです。まず、吉田教育長より今回の検証委員会を実施する目的等についてご挨拶をいただきました。その後、奈良教育大学名誉教授の重松氏が委員長に選出され、事務局から資料に基づく説明の後、活発な協議が行われました。1回目ということで、適正化に対する委員の皆様からの率直な疑問や資料に対する質問等が多く出されました。いくつか紹介させていただきますと、
・適正化実施計画の結果を中心とした議論になったが、結果の選択に至るプロセスや妥当性について検証したい。
・基本方針と特色化との関係など、委員から質問があった内容に関わって、できるだけ資料に基づき検討したい。
・高等学校の新しい教育改革の方向性について検討したい。
等のご意見をいただきました。
 協議の中では、個別の学校や個人に関わるような内容も出てきたことから、委員から率直な意見が交わしにくい、また、個人や個別の対応に係る内容を公にすることで不当に権利が損なわれたり、利益不利益を不当に与える危険性があると判断され、重松委員長から第2回の検証委員会は非公開で実施するご提案があり、決定されました。
 第2回委員会は7月7日13時より非公開で開催をしました。現在概要をとりまとめております。次回は8月25日に公開での開催予定になっています。随時報告してまいりたいと思っております。以上です。」

○山内学校教育課長 「令和4年度奈良県立青翔中学校入学者選抜実施要項について、ご報告します。本年度も県立青翔中学校の募集について、80人の募集を考えております。1クラス40人から2クラス80人の募集に変更になってから6回目の入学者選抜を実施することになります。これまで、競争倍率は全て1倍を超えており、2クラスでの募集になってから競争倍率が高いときは、1.73倍の年度もございました。
 今回の実施要項については、1点大きな変更点がございます。資料の『5検査』をご覧ください。検査内容が適性検査1、2、3となっております。昨年度までは、適性検査1、2と集団面接となっておりました。今回は、集団面接を適性検査3とさせていただき、テーマを決めて集団の中で、意見を述べるようなことを通して、子どもたちの思考力、表現力等を見ていきたいと考えております。以上です。」

○山内学校教育課長 「ヤングケアラー及び家庭の情報機器等に関する調査の結果について、ご報告します。調査方法は県内公立中学校3年生全員、公立高等学校全生徒を対象に、Google Workspace for Educationを使用しパソコンを用いて実施しました。実施期間は7月22日まででありましたが、生徒からの回答が続いていたため30日まで延長し集計を行いました。回答率は中学生で86.8%、高校生で67.2%でした。調査(1)はヤングケアラーの認知についてです。『聞いたことがあり、内容を知っている』は中学生で8.2%、高校生で12.4%でした。当初の全国の結果よりは上がっていますが、認知についてはまだまだ課題があります。調査(2)では、家事や家族の世話を日常的に行っている生徒の頻度を見ました。『週に3日以上行っている』生徒は中学生で9.7%、高校生で9.0%でした。調査(3)では、1日当たり3時間以上世話を行うのは時間的に厳しいと判断し、絞り込んだ結果、『1日に3時間以上世話を行っている』生徒は、中学生で76人、高校生で101人でした。これらの生徒には何らかの働きかけが必要だと考えています。調査(4)では、(2)(3)で申し上げた、週3日以上かつ1日3時間以上世話を行っている生徒に絞って生徒の状況を調べました。アではどのような世話をしているのか、上位5項目をあげました。中学生、高校生とも、最も多かったのが『家事』、続いて『きょうだいの世話』が上がっています。イでは本人が、身体的・時間的・精神的にどれか一つでも『きつさ』を感じている割合を調べました。中学生では43.4%、高校生では30.7%であり、一定数の生徒が『きつさ』を感じていると読み取れます。ウでは出欠状況について調べました。『ほとんどしない』生徒が割合的には多いですが、『よくする』『たまにする』生徒も一定の割合でいることが分かりました。こういった状況ですので、週3日以上さらに1日3時間以上世話を行っている生徒には、今回設置したメールによる専用相談窓口から、相談するように呼びかける予定です。家庭の情報機器に関する調査では、中学3年生において『自分専用のパソコンを使用できる』と回答した生徒は14.9%でした。通信環境について『インターネットに接続できない』と回答した生徒は0.5%でした。最後に、女子高校生のみ対象とした『経済的な理由で、生理用品を購入することができず、困っている』との問に、『はい』と答えた生徒は51人でした。これらの生徒には、個別に声かけや対応を行うよう学校に連絡しています。以上です。」

○中井特別支援教育推進室長 「令和4年度奈良県立特別支援学校幼稚部・高等部等入学者選抜・選考実施要項について、ご報告します。資料の実施要項概要をご覧ください。要項の左端に入学者を募集する学校名と障害種別を記しています。応募資格は、障害の程度が学校教育法施行令第22条の3に規定されている程度の障害のある者です。高等養護学校については、自力通学ができる等、一定の社会的適応力を有する知的障害者です。また、保護者とともに奈良県内に居住する者です。募集する部及び学科は記載のとおりです。なお、盲学校とろう学校には幼稚部を設置しています。募集人員については、高等養護学校は72名、他の特別支援学校については入学予定人数を把握した上で設定します。次に、願書交付期間、受付期間、選抜・選考日、結果通知について記載をしております。入学者選抜・選考の実施内容については、障害の状態に応じた検査を実施します。以上です。」

○大橋人権・地域教育課長 「新型コロナワクチンの接種に関する差別の防止に向けた児童生徒向けプリントについて、ご報告します。今後、生徒についても、新型コロナワクチンの接種を受ける機会が増えることが想定されることから、ワクチンの接種を受ける又は受けないことによって、偏見や差別、いじめなどが起きることがないよう、学校における児童生徒への指導に活用していただくための啓発プリントを作成いたしました。プリントは、市町村教育委員会及び各県立学校に配布するとともに、人権・地域教育課ホームページでもデータを公開することといたしまして、各学校において、ワクチン接種の有無による差別やいじめの防止に努めるよう働きかけてまいりたいと思います。以上です。」

○稲葉保健体育課長 「令和3年度安全功労者内閣総理大臣表彰の受賞について、ご報告します。この度、御所市立名柄小学校が令和3年度安全功労者内閣総理大臣表彰を受賞されました。
 名柄小学校は、学校教育目標『あいさつ・笑顔・元気な名柄っ子~知徳体の調和のあるたくましく自立した子どもの育成』の下、全校児童が、健康で安全な生活を送るために必要な資質と能力を養い、心身の調和的な発達を促すことや学校環境の衛生と安全を維持することを目指し、『自らの命を守り抜くために「主体的に行動する態度」を身につけさせる』ことを安全目標として活動しています。各関係機関と連携した取組を進め、児童に地域と共に『生きる力』を身につけさせ、正しい判断と行動ができるようにするとともに、地域内外において児童の被害防止の推進に貢献したことを評価され、平成28年度に学校安全表彰文部科学大臣表彰を受賞されました。
 その後も学校安全に関する取組の継続・更なる充実に努められ、今回の受賞となりましたのでご報告いたします。以上です。」

○吉田教育長 「このことについて、何かご意見、ご質問はございませんか。」

○伊藤委員 「青翔中学校入学者選抜実施要項について、変更点と説明された『5検査』の適性検査3について伺います。『提示されたテーマの内容を聴き取って要約し、自分の考えや意見を発表する』とあります。例えば、1グループ5人程度でいくつかの会場に分かれて実施されることと思いますが、生徒同士でのディスカッションはせず、テーマの内容を聴き取って発表するということでよろしいですか。」

○山内学校教育課長 「実施の内容については、実施要項に書いてあるとおりでございます。実際にどのような発言を求めるかについては、検査当日でということになります。」

○伊藤委員 「受検生からすれば、聴いて発表すればいいと思っていたのに、もし他の受検生の意見を聞いてどう思うかなど、追加で考え等を求められた場合、戸惑いますよね。」

○山内学校教育課長 「今回の変更の趣旨としましては、面接として検査官との1対1の応答のみを見るのではなく、聴いたことを基に、自分の考えをまとめ、集団の中で発表する力等も見るというものです。」

○吉田教育長 「どのような形で検査、評価するかを受検生に正しく理解してもらった上で、受検していただく必要があると思います。」

○山内学校教育課長 「実施要項に書いてあることと異なる内容の形で検査が行われると、受検生は混乱してしまうという趣旨のご意見をいただきました。そのようなことがないよう考えていきたいと思います。」

○吉田教育長 「ヤングケアラーについては、定義が明確にされているわけではありませんが、奈良県教育委員会としては、ヤングケアラーの疑いがある生徒として、まずは週3日以上世話をしている生徒で、さらに1日3時間以上世話をしている生徒を抽出したら、中学3年生が76人、高校生が101人おり、これらの生徒に対する支援体制を作る必要があると思っています。対応は、どのような世話をしているか、きつさはどうか、欠席状況などを確認して考えなければならないと思っています。なお、現在のところ、メールによる相談は来ていません。」

○田中委員 「『よく欠席する』とはどの程度ですか。また、ヤングケアラーではない生徒との違いはあるのですか。」

○吉田教育長 「その調査はできていますか。」

○山内学校教育課長 「できていません。この調査ではヤングケアラーと答えた生徒のみを対象として欠席等の状況を調査しましたので、全体との比較はできていません。参考になりますが、『中学生で、日常的に家事や家族の世話を行っている』と答えた中学生1,310名を対象とすると、『よく欠席する』は14.0%、『たまに欠席する』は13.2%となります。これに比べて、『週3日以上、平日3時間以上家事や家族の世話をする』と答えた中学生76名を対象とした数値は上がります。高校生では『よく欠席する』は9.6%、『たまに欠席する』は14.2%となり、中学生の値より若干上昇します。」

○吉田教育長 「『家事や家族の世話を行っている』の回答が『いいえ』の生徒については、調べていないということですね。『はい』の生徒についてはあまり変わらないということですね。」

○高本委員 「これからこの生徒たちは、スクールソーシャルワーカーに委ねていくのでしょうか。」

○吉田教育長 「それはすべてに当てはまるかは分かりません。まず、76名と101名には、コーディネーターからメールを返します。きつさを感じているとか、欠席をよくする子にはメール文を変えて、表現を変えてメールを送ります。我々の対応と市町村教委との対応で見守っていきます。」

○花山院委員 「こういうことを調べることは非常に良いことですが、調べた結果、次にどういうことをするのかが大切です。そこも公開していかないと調べただけということになります。数字が表に出る以上、次の方向性、対応もはっきりと示しておくべきです。」

○吉田教育長 「例えば欠席の多い子は、心に様々な思いを持っているから、例えば『スクールカウンセラーと話をしたらどうですか』というような、子どもたちの心に寄り添えるような内容のメールを学校教育課で準備してもらえると思っています。」

○花山院委員 「県教委としても、中学、高校と調べたので、中学校での情報が高校にも共有されるように努力されることが必要になってくると思います。」

○吉田教育長 「県教委として調査したときに、中学時の家庭へのケア等の情報を高校に伝えることは可能ですね。」

○山内学校教育課長 「今回の我々の持っているデータは、中学生分は中学校に返さないと個人を特定できないので、継続的な見守りを行うためには、中学校から高校への情報提供は必要になってきます。」

○吉田教育長 「そこができるかどうかですね。中学、高校へデータを返し、個人を特定しケアをする。その次の段階ですね。」

○花山院委員 「その子どもが本当にフォローされているのかという結果こそ問題であり、きちんとフォローされていること、フォローするためにしていることを提示することが必要ではないでしょうか。」

○吉田教育長 「我々は情報を中学に与え、ケアしてくださいとするのは良いけれど、それを返してもらい、情報を高校に働きかけてくださいと言うだけでは、調査をした県の姿勢としてどうかと思います。」

○山内学校教育課長 「県の実施した調査ですので、県として子どもの支援を継続的に行える方法論を考えたいと思います。個人情報の取扱いとしてどうするのが一番望ましいか、方法論として一番可能なのは中学校からの引き継ぎですが、その他の方法も検討します。」

○吉田教育長 「その方法については、また研究してください。」

○伊藤委員 「きつさを感じるところで、身体的・時間的・精神的の3つがありますが、その内訳で、精神的なきつさを感じている生徒の分布はどうなっていますか。」

○山内学校教育課長 「絞り込んだ生徒に対するデータが手元にないので参考程度となりますが、日常世話をしていると答えた生徒の数値では、3つのうちいずれかにきついと答えた生徒は中学生で333名います。身体的にきついと答えた生徒が70名、時間的に余裕がないと答えた生徒が242名、精神的にきついと答えた生徒が64名です。答えた生徒の1月5日程度が精神的にきついと答えています。」

○伊藤委員 「当然、週3日以上、平日3時間以上と答えた生徒の中で、多くの生徒が時間的に余裕がないと答えるでしょう。精神的にきつさを感じていることが積み重なっていくと、生徒の将来に大きな問題となる引き金になるのではないかという心配があります。今回初めてヤングケアラーに関する調査を行い、現状把握ができ、課題が見えてきました。今後の対策について、身体的、時間的、精神的にきつさを感じている生徒それぞれに、どうフォローするのか細かい対応も考えなければいけません。例えば、精神的にきつさを感じている生徒は、カウンセラーにつなぐなどです。ある程度対象が見えてきたことは大事なことです。高校生はどうですか。」

○山内学校教育課長 「高校生で精神的にきついと答えたのは、575名中149名です。」

○伊藤委員 「高校生の方が、中学生よりもやや高いですね。高校生になると、将来の進路のことも出てくるので、家庭状況の厳しさも含め悩みが多くなると思います。さらに、対策と分析をしていただきたいと思います。」

○吉田教育長 「精神的にきついと言っている生徒のことは心配です。高等学校では、生徒の名前もわかっているので、学校で個人面談等対応することができます。中学3年生にはメール対応などで、これからも相談に乗れるように対策を検討してください。」

○山内学校教育課長 「はい。」

○花山院委員 「この相談は、学校が行うものですよね。」

○山内学校教育課長 「メールの返信があれば、こちらで対応します。」

○花山院委員 「でもそれだと、顔が見えませんし家庭環境も分かりません。文章上で得られる情報量は少ないと思います。最終的には学校へフィードバックをしなければなりません。」

○吉田教育長 「学校はもう対応してくれているので、県教委がどう対応するのかと、学校での対応との連携が重要です。学校で相談できている生徒に県教委が対応する必要はないと考えます。質問のメールを送るときに工夫すれば良いです。」

○花山院委員 「とにかくその子が、少しでもフォローされる方法を見つければ良いです。」

○高本委員 「精神的にきつさを感じている生徒に一番良いのは、精神保健福祉士につなぐことだと思います。精神保健福祉士だと、この子が何を求めているのかすぐに分かります。まず、家で面倒見なければいけない家族がいるのなら、そこから少しでも離してやるべきです。それだけで、その子は精神的に安定期に入れることができます。精神保健福祉士はこういう場合にはどういう医療を受けさせることができるのか、どういう補助を受けることができるのか、経済的なところからも支援していきます。全然知識がない子どもにとっては、『えっ、もうお金の心配しなくていいの』となります。」

○吉田教育長 「精神保健福祉士はどこにおられるのですか。」

○高本委員 「精神科がある病院にいます。県にもいるはずです。」

○花山院委員 「子どもの状態にはグレードがあり、グレードを超えて現場では対応できない、能力を超えているときに、連携が必要だと思います。」

○田中委員 「『欠席する』、『よく欠席する』子がかなりいるので、学校から家庭に行けば、どんな様子か事情も状況もすぐに分かり、すぐに関係機関につなげることもできると思います。中央から現場に手を伸ばそうとするけれど、実は現場では既に掌握していることが圧倒的に多いので、現場から中央にいかに挙げてくるかを考えた方が早いと思います。県から情報を出す時点で、その子の学校、担任はすでに分かっていると思います。これくらいの人数だったら、すぐにグリップできると思います。」

○山内学校教育課長 「おっしゃるとおりだと思います。ただ、現在は二本立てで確認を進めようと考えています。現場は既にデータを持っており、確認は既に進んでいると考えています。県では報告についての整理はまだできておらず、一定の期間で報告を受け状況を把握したいと思っています。そこで、どうしても学校に相談できない子どもがいる場合に、このメールが生きると思いますので、複線で対応していきたいです。」

○吉田教育長 「どう相談するのかを聞くことが一番の目的なので、場合によっては『もうすでに学校の先生に相談しています』とか、県教委からのメールの聞き方を考えないと回答が返ってこないことがあると思います。メール内容を精選してください。」

○山内学校教育課長 「わかりました。」

○高本委員 「義務教育なら、養護教諭の先生が、たくさん症例もご存じだと思います。」

○吉田教育長 「ヤングケアラーは、家にも学校にも相談できないのではないかということから調査を開始しています。学校と相談できているのであれば、我々としては役割を果たしていることになります。学校に投げかけて聞くのか、子どもに投げかけて聞くのかを考えてください。」

○花山院委員 「特に思春期の子は言えない子が多いので、学校現場と県教委からのメールの二本で、その子をフォローできるような方法を作るしかないですね。」

○吉田教育長 「県教委が勝手にやっていても意味がありませんので連携を取るしかないですね。」

○伊藤委員 「県立高等学校適正化の推進に係る検証委員会について確認です。この検証委員会で何を検証するかについては、再編のプロセスについて検証するということで、結果を改めて考え直すということではないですね。」

○吉田教育長 「そうです。結果は何ら変わりません。全体を振り返ったときに、どのように決めたのかというプロセス等を検証していただいております。やはり情報の公開について大きな課題として受け止めております。」

○花山院委員 「適正化検証委員会についてはこれで良いと思います。
 学校が再編される時には、奈良県の教育状況が、少子高齢化であったり、生徒数の減少であったり、教育が大きく変わろうとしている部分があったりすると思います。前回の再編では、個々にはそのような情報やデータが出てきましたが、全部の情報がまとめて出て、だからこういう方向で進んで行きますという、パッケージできっちりと出す形には、なかなかできていなかったと思います。これからも子どもの数は減っていくのであれば、そういった危機感をきちんと明示して、議論を経ていった方が良いでしょうね。最初に、こういうことでやられてはどうでしょうというものがあって、当然それには否定的な意見もいっぱい出るわけですから議論はあると思います。そういうことが見えることが、進みやすいか進みにくいかは別にして、納得される議論になるのではないかと思います。検証委員会が結果を出して、それを受けて、次回の適正化ではそのようになっていくのではないかと思います。」

○吉田教育長 「平成16年から再編が具体的な計画としてスタートしたわけです。11校を統合する統合再編案が進められていきました。その前に審議会を開いて、どんな高校教育にするかということを審議されたわけです。この審議された内容が、すべて実現できていたかというと、実現できていないものもあったわけです。例えば、中高一貫教育の推進が実現できていなかったから、青翔高校に中高一貫教育を導入したなどです。再編における課題が出てきたときに、再編の課題を検証する委員会を立ち上げて、外部の方にも入ってもらって、新しい教育の状況も含めて議論してもらい、普通科高校をどうするのかという議論もして、次の適正化計画になっていけば良いという思いを今持っています。おそらく、花山院委員のおっしゃっていることと一致すると思います。」

○花山院委員 「今回の場合はこうせざるを得なかったし、私はやってきたことは正しいと思います。ただ、それが理解されてるかどうか、ということはまた別の次元の話です。やはり理解してもらうことが、どうしても後手後手に回ります。いろいろな意見も聞いていますが、それはやはり伝わりきっていないからとも思います。県民の方がどれくらい理解してくださっているかは分かりませんが、こちらはなるべく最善の理解を求めるような形をとっていますと、分かってもらえた方が良いです。最善は尽くしたけれども、今回は足りなかったところがあったのは事実だと思います。」

○吉田教育長 「この適正化は1回で全部終わろうという適正化ではなくて、今、中部や西部に課題があるとしたら、中部や西部の課題を検証する委員会を立ち上げて、どのような学校づくりをしていくのかについて、いろいろな方の意見を聞いて、教育委員会に諮って、等を繰り返していった方が良いのでしょうね。適正化に係る検証委員会で、そういう方法が良いのではないかとなれば、中部や西部をどうするかという委員会を立ち上げないといけませんね。1年、2年かけて議論してもらって、適正化をどうするかということになりますから、早い方がいいかもしれませんね。」

○花山院委員 「何を進めるにしても、いずれかで揉めると思います。」

○吉田教育長 「この適正化を進めている中で、議会では高校入試をどうするかについて検討したらどうかという意見が出ています。今の入試制度では複数回の入試を実施していますが、1回に戻したりする等です。今までは2回、3回実施したら良いのではないかという入試制度ですが、入試の期間は授業ができない等、やはり在校生に対する影響がものすごく増えるものです。」

○花山院委員 「当たり前のことですが、学校は地域に支えてもらって、地域とともにやっていくものです。教育委員会が、生徒の人数が減ってきたから、学校にいろいろなことを実行しているのは正しいと思いますが、やはり、これは県教育委員会の所管ではありませんが、小学校は特に地域とともにあって、小学校が無くなったら地域が大変困るような基幹的なものになっている部分もあります。以前に比べたら地域と学校は連携を深めているけれども、より理解をしていただいて、連携していくしかないですね。」

○吉田教育長 「学区制を導入して地域性を維持するという考え方には、なかなか戻りにくいです。けれども、入試をどうするかということについて検討するなら、地域からその地域の学校へ行く入試の在り方等も含めて、議論できたら良いと思っています。」

○花山院委員 「良いことだと思います。」

○吉田教育長 「他にご意見、ご質問が無いようですので、その他報告事項について、承認してよろしいか。」

     ※各委員一致で承認

○吉田教育長 「その他報告事項については承認いたします。」

 

非公開議案

議決事項1 奈良県教員指導力審議会委員及び奈良県教員メンタルヘルス委員会委員の選任について

 非公開にて審議

 

○吉田教育長 「それでは、議案の審議が終了したと認められますので、委員の皆様にお諮りします。本日の委員会を閉会することとしては、いかがでしょうか。」

     ※各委員一致で承認

○吉田教育長 「委員の皆様の議決を得ましたので、これをもちまして、本日の委員会を閉会します。」