第10回定例会議(令和3年11月18日開催)

令和3年度第10回(定例)教育委員会議事録(テキスト版)

概要

<開会>
 令和3年11月18日 
 14時30分

 

<閉会>
 令和3年11月18日
 17時00分

 

<会議場所>
 教育委員室

 

<委員出欠>
 花山院弘匡(出席)
 高本恭子(出席)
 上野周真(出席)
 伊藤忠通(出席)
 田中郁子(欠席)

議案及び議事内容

<議案>

議決事項1 県立高等学校適正化の推進に係る検証の報告書案について(可決)

議決事項2 11月県議会予算外議案の提案について(可決)

議決事項3 懲戒処分について(可決)

議決事項4 奈良県立高等学校等の管理運営に関する規則の一部改正について(可決)

 

<議事内容>

○吉田教育長 「花山院委員、高本委員、上野委員、伊藤委員おそろいですね。それでは、ただ今から、令和3年度第10回定例教育委員会を開催いたします。本日は、田中委員が欠席ですが、定足数を満たしており、委員会は成立しております。奈良県教育委員会会議傍聴規則第2条の規定に基づきまして、4名の方が傍聴券の交付を受けられています。」

○吉田教育長 「議決事項2については、議会の議決を経るべき議案についての意見の申出に関することであり意思形成過程であるため、議決事項3については、職員の懲戒処分に関する事案の審査であるため、当教育委員会においては非公開議案として審議すべきものと考えます。委員の皆様にお諮りします。いかがでしょうか。」

     ※ 各委員一致で可決

○吉田教育長 「委員の皆様の議決を得ましたので、本日の議決事項2及び議決事項3については、非公開で審議することとします。」

○吉田教育長 「議決事項1『県立高等学校適正化の推進に係る検証の報告書案』について、ご説明をお願いします。」

○熊谷教育政策推進課長 「県立高等学校適正化の推進に係る検証の報告書案について、ご説明いたします。
 10月26日に開催されました前回の教育委員会におきまして、『県立高等学校適正化の推進に係る検証について』の報告書案(未定稿)を委員の皆様にご覧いただき、ご意見をいただきました。その後も教育委員の皆様や、検証委員会委員長である重松氏のご意見を賜りながら、本日お配りしている報告書案を作成いたしました。
 まず、報告書の構成について修正していますので、改めて説明させていただきます。
 報告書案の目次をご覧下さい。『はじめに』があり、『1 検証の目的』、『2 検証事項と視点』、『3 検証の方法』、『4 検証委員会からの意見聴取結果』、『5 県立高等学校適正化の推進に係る検証のまとめ』、『6 対応策』、そして『おわりに』としています。
 前回の教育委員会で、検証委員会からの意見聴取結果は『結果』として記載し、検証委員会からの『結果』を踏まえて、教育委員会として考えをまとめ、記載した方がよいとのご意見をいただきましたので、4の『意見聴取結果』を受けて、5で『検証のまとめ』を示し、6でその『対応策』を記載しています。

 概要版をご覧下さい。
 『1 検証の目的』ですが、奈良県教育委員会が『推進方針』及び『実施計画』の検討から実施に至るまでの様々な角度から検証し、次期適正化を含む本県における今後の県立高等学校に関する施策に生かしたいと考えています。
 『2 検証事項と視点』として三つ、策定の時期・方法等、教育環境整備、高校教育改革をあげています。
 『3 検証の方法』として、検証委員会を設置し、意見聴取を行ったことについて書いています。
 『4 検証委員会からの意見聴取結果』として、『推進方針』と『実施計画』の二つの検証の対象について、三つの視点ごとに、検証委員会からの主な意見について掲載しています。
 そして、『意見聴取結果』の最後に、『委員長のまとめ』を掲載しています。教育委員の皆様には、視点ごとに分類した案で、先日の教育委員会でお示しをさせていただきましたが、『委員長のまとめ』の中でも、早急に改善策をとりまとめ、報告書に盛り込むべき事項と、今後検討を継続して取り組むべき事項に整理してはどうかとのご意見をいただきました。そこで委員長に相談の上、『改善策をとりまとめ報告書に盛り込むべき事項』として三つ、『今後検討し、取り組むべき事項』として二つに整理させていただきました。
 概要版2枚目をご覧ください。
 『5 県立高等学校適正化の推進に係る検証のまとめ』として、検証委員会の意見聴取結果を受け、教育委員会として検証課題をまとめたものを、こちらに記載しております。
 視点1では策定の時期・方法等について四つの課題、視点2の教育環境整備について三つの課題、視点3の高校教育改革について四つの課題、合わせて11の課題に整理し、教育委員会の見解を記載しております。
 『6 対応策』では、『検証のまとめ』を踏まえて、課題に対する県教育委員会の主な対応策を記載しています。先ほどの11の課題に対する対応策との関係が分かりやすいように、線で結んで示させていただきました。
 それでは、対応策について説明させていただきます。『委員長のまとめ』の一つ目にも、『適正化を検討する際、教育委員会内部の組織による状況分析を行い、できるだけ早期に外部有識者を組織に入れて検討を進め、その内容を県民に丁寧に伝えるプロセスが大切』とありますが、対応策の一番上に記載の『(仮称)高校教育改革推進会議』を今後、設置します。『適正化検討開始の時期』や『高等学校教育のニーズ』等をはじめ、検証で明らかになった視点1から視点3にわたる六つの課題や、その他、教育課題全般に対する検証や協議を継続的に行い、次期適正化につなげていきたいと考えております。
 また、『委員長のまとめ』の二つ目に『高等学校における生徒の自己実現を図るためには、入試の見直しや特色化の推進により、生徒が本当に行きたい、成長を促してくれるような学校づくりが大切』とあります。対応策の上から二つ目にあげていますが、本年10月に外部委員による新たな組織『奈良県立高等学校入学者選抜検討委員会』を設置し、既に第1回会議を11月8日に開催しました。令和4年度末までに、今後の入学者選抜の在り方をとりまとめることとしています。これらの会議では、意見聴取や情報の提供を行ってまいります。今回の適正化においては、情報の公開や情報提供、また、パブリックコメント等、意見聴取の在り方についても、多数ご意見をいただきました。今後、情報発信に関する教育委員会内の方針を検討し、指針のようなものを策定して、取り組んでいきたいと考えております。
 また、耐震化等の課題に関わりましては、委員長からも『耐震化の状況や今後の方針、課題、進捗状況等について、丁寧に公表すべきであった』というまとめがありました。本年2月に策定した『奈良県立学校施設長寿命化整備計画』に則り、今後の適正化の動向を注視しながら、計画を適宜見直しつつ、円滑に進めていくこととしております。

 対応策の一番下の令和4年度末までのコミュニティ・スクールの導入については、現在、『地域と共にある学校づくり』の推進は重要であり、すべての県立高等学校での導入を目指し、引き続き取り組むこととしています。加えて、重松委員長が継続的に取り組むべき事項としてあげられている、平城高校の歴史的・文化的な役割と成果の奈良高校への継承についての対応についても、県立学校全体のコミュニティ・スクール導入と併せて個別に検討するよう、教育委員の皆様よりご意見をいただきましたので、その議論を踏まえ、今年度末までには具体的な対応策について検討して参りたいと考えております。
 最後になりますが、これまでのことを真摯に受け止め、今後は教育行政の継続性、安定性の確保に努めて参ります。報告書について、議決をいただきましたらこの後、県議会にも報告させていただく予定です。
 以上です。」

○吉田教育長 「このことについて、何かご意見、ご質問はございませんか。」

○花山院委員 「この報告書の最後が教育委員会のまとめになっており、ここに理念や考えがまとめてあると思います。まず県民との情報共有について、もう少しきっちりとしていかなくてはならないということです。情報はそれぞれの段階で変化していきますから、計画策定までの長い期間では、変化の度に情報発信をしていくとともに、県民の皆さんからのご意見を受け取ることが、システム的にあまりよくできていませんでした。そこで、対応策の上から三つ目の情報発信に関する方針を作成し、それがスムーズになるようにということです。これは1日も早く作らなければならないと思います。叩き台となる案が無いと内容については言えませんが、どんな形で進めていくのか、大まかな方向性をお伺いしたいです。
 また、『高校教育改革推進会議』という組織が、どんなメンバーで、いつ頃から設置して進めていくのか、教えていただきたいと思います。」

○吉田教育長 「入学者選抜検討委員会の第1回目を開きましたが、メンバーは学識経験者が2人、PTAの代表の方、校長会の代表の方などです。入試を検討する委員会なので、委員を公募するということはしていませんが、中間まとめをして公表し、方向性を知っていただいた上で、ご意見を伺おうと考えているところです。
 『高校教育改革推進会議』はこの入学者選抜検討委員会を母体にし、例えば弁護士や、公募の委員を入れるといったことが可能か検討します。また、附属機関として常時置くという考えです。」

○花山院委員 「常設で、永続的な機関となる方がいいですね。」

○吉田教育長 「要綱で設置すると、曖昧になるかもしれません。だから、議会にあげて条例により、附属機関として位置付けたいと考えています。」

○花山院委員 「議会に上げて、きちんとした形で進める方がいいですね。長い間に協議のメンバーも替わっていきますし。」

○吉田教育長 「そう思います。また、情報発信に関する方針は、原案をある程度事務局で作成するよう進めてくれています。教育委員会にかけるのはいつ頃ですか。」

○熊谷教育政策推進課長 「今年度中の作成を目指したいと思っています。」

○吉田教育長 「情報発信や、受信についてもおっしゃいましたが、想定していたのは、情報発信についてです。このことについてはいかがですか。」

○伊藤委員 「視点1の三つ目に『情報の公開』があり、四つ目に『意見の聴取等』があります。これが情報の受信のことだと思います。問題は、両者の間に情報の格差があることです。教育委員会の方々は当然いろいろな情報を持っていますが、なかなか県民に伝わっていないと思います。また、伝わっていないから、県民からの情報発信もできないと思います。そこで、情報共有の話になり、ガイドラインを作るということです。『情報発信に関する』ではなくて『情報受発信に関する』方針として、どういった仕組みで情報を受けたり、発信したりするかということだと思います。一方通行ではなく、情報をキャッチボールしながら進んでいくということが必要かと思います。
 もう一つは『(仮称)高校教育改革推進会議の設置』とありますが、常設にしたいと教育長からお話がありました。その前身が、現在の『奈良県立高等学校入学者選抜検討委員会』で、これは発展的解消する区切りの予定が令和4年度末までということです。条例の問題がありますが、継続性を考えると、令和5年4月に設置を目指すと考えていいのでしょうか。」

○吉田教育長 「そう思っています。」

○伊藤委員 「いろいろな条件や準備があるでしょうから、できるだけ速やかにしていただければと思います。もう一つ、県立学校施設長寿命化整備計画が策定されていますが、今日の説明では、適正化の方向性や検討状況を常に確認しながら、適宜計画を見直していくという、今後の方向性が書いてあります。『円滑な』という意味は、決めたらそれを早く進めるという意味ではなく、適正化の動向を見ながら、進めていくという意味で考えていいのですよね。」

○吉田教育長 「そのとおりです。
 では、まず一点目の『情報発信に関する方針』は、『情報受発信に関する方針』としてよろしいですか。」

○花山院委員 「『受ける』ということも、はっきりと言っておかないといけないと思います。」

○吉田教育長 「『受発信等』は曖昧ですね。『受発信』でよろしいですか。」

○花山院委員 「『受発信』が良いと思います。」

○吉田教育長 「他のご意見が無いようですので、ここは変更します。」

○熊谷教育政策推進課長 「はい、わかりました。」

○吉田教育長 「『情報受発信に関する指針』のようなネーミングになるわけですね。それから、『奈良県立高等学校入学者選抜検討委員会』を『高校教育改革推進会議』を母体にして、分科会にするといった方法も考えられます。来年度にまた検討いただき、ご意見をいただけたらと思います。」

○花山院委員 「今の話に関連してですが、簡単に言えば少子高齢化だから再編が必要になるということだと思います。歴史がある学校はたくさんあり、それが小中学校だったら地域のコミュニティの中核になるわけです。高校の場合も長い歴史により、地域のコミュニティの基幹になることがあると思います。今後も子どもが減少する中で、『高校教育改革推進会議』で、少子高齢化の状況やどこに学校を置くかということなどを話し合う場合には、南部や東部の山間地域の方の意見を聞く必要があると思います。そういう地域では、子どもたちがいて、学校教育があって、地域をどのように活性化させるか、ということを考えておられるから、コミュニティ・スクールが進んでいるように思います。そういう地域の人たちから意見を聞き、視点も入れた方が、将来的に良いという気がします。」

○伊藤委員 「今回のコロナ禍で、ICTを使ってのオンライン教育の導入など、高校教育の在り方が随分変わりました。県内どこでも一定の水準の教育を受けることができる、教育の機会均等が必要です。北部と南部等、地域による違いを解消する一つの手段として、ICTをうまく活用すれば、地理的に不便なところであっても、質の高い教育のサービスを受けることが可能になります。そういう工夫も含めて、高校教育の在り方や、教育の質の問題について、できれば『高校教育改革推進会議』で議論していただければと思います。現場でしか教育できないという時代からは変化してきましたから、是非検討していただければと思います。」

○吉田教育長 「例えば、国際高校は北部にありますが、南部であっても、オンラインで国際高校の授業を双方向で受けられるような仕組みなど、イメージとしてはそういうことですよね。」

○高本委員 「伊藤委員のお話の延長なんですが、筋ジストロフィーの子どもさんがいらっしゃいます。そんな子どもさんは、自分の力で通学できる範囲は非常に狭いです。今のお話のような教育を取り入れてもらえると、そういった身体障害の人たちも、いろいろな未来が開けると思います。是非検討をお願いしたいと思います。」

○吉田教育長 「現状の国の制度では、74単位のうちオンラインは36単位までしか認められないとなっています。大学もそうだと思います。百何単位のうち、オンラインの単位が半分より少なくないと認められません。通信制はまた別です。だから、今おっしゃったような筋ジストロフィーで通学が困難な子どもや、化学物質過敏症などいろいろな状況で通学が困難な子どもに対する教育を、普通科の中でと考えると、半分以上は学校に登校しないといけないという制度になっています。通信制はそうではないので、N高校など民間の通信制の高校は人気があり、いろいろな子どもたちが学んでいます。そうすると、県立でそのような通信制の高校も考える必要があるのではないかなど、『高校教育改革推進会議』ではいろいろな議論をしていく必要があると思っています。」

○上野委員 「検証の報告書ができましたが、教育委員会で議論しているときに一番意見として多かったのは、より早期に始めるべきだという、検討開始の時期についてだと思います。できるだけ早くといっても、10年、20年前からはできませんが、生徒数の減少は予測できるので、できるだけ早期に検討を始めることが一番大切だと思います。
 また、再編や適正化では、ニーズに応える教育、高等学校の社会的役割、特色化の推進等についての検討は大事ですが、一番大きな課題は、花山院委員が言われたように少子高齢化による生徒数の減少です。平成元年から約半分に減っているということを、もっと前面に出していれば県民の理解を得やすかったのではないかと思います。誰でも自分の通った高校が無くなるというのは嫌なものです。できるだけ、理解を得やすい事実を発信していくことも大事だと思います。今後、近いうちにまた適正化はあるわけですから、そういったことを生かしてほしいと思います。」

○吉田教育長 「それでは、他にご意見、ご質問が無いようですので、『情報受発信に関する方針を作成』に変更することで、議決してよろしいか。」

     ※各委員一致で可決

○吉田教育長 「議決事項1については可決いたします。」

○吉田教育長 「議決事項4『奈良県立高等学校等の管理運営に関する規則の一部改正』について、ご説明をお願いします。」

○山内学校教育課長 「奈良県立高等学校等の管理運営に関する規則の一部改正について、ご説明いたします。
 9月6日の定例教育委員会で新型コロナウイルス感染症の対応といたしまして、2学期の課業期間を9月13日から12月28日に変更する旨、議決をいただきました。それに伴い、所要の改正をするため、管理運営規則の附則に、冬期休業期間を従来であれば12月24日からですが、今年度に限り12月29日からに定めるものでございます。
 以上です。」

○吉田教育長 「このことについて、何かご意見、ご質問はございませんか。」

○吉田教育長 「ご意見、ご質問が無いようですので、原案どおり議決してよろしいか。」

     ※各委員一致で可決

○吉田教育長 「議決事項4については可決いたします。」

○吉田教育長 「その他報告事項について、ご報告をお願いします。」

○山内学校教育課長 「令和2年度奈良県公立学校における生徒指導の課題に関する諸調査について、ご報告します。前々回の定例教育委員会で文部科学省が実施しております『生徒指導上の諸課題に関する調査』の国公私立を合わせたものをご報告させていただきましたが、公立のみの数字がまとまりましたので、改めまして報告をいたします。1ページ目の暴力行為をご覧ください。国公私立を合わせたものと同様、本県は、全国よりは低い数字になっていますが、小学校で若干の増になっております。具体的な(2)の暴力行為別で見ますと、生徒間暴力が令和元年度1,000人率で1.0から1.9に増えています。これは、9月から11月に集中しておりましたので、学校再開時の影響が一部考えられると分析しております。2番目のいじめです。これにつきましても全国の動きとほぼ同じですが、小学校だけ全国と違う動きになっております。全国は少し減少しているものの、本県は増加しております。要因としては、積極的な認知ということが背景にありますが、もう少し探りましたところ、年度後半に認知が増加しておりました。この原因は明らかではございませんが、それに伴って(3)の解消率も下がっているという現象が見られます。4ページの不登校です。これにつきましても、小中学校ともに全国的に増加している中、本県でも増加をしております。特に真ん中の中学校のグラフで増加率が高く、これも調べますと、12月以降、年度後半での不登校が増加しておりました。今後の対策に関係しますが、5ページ(3)に欠席状況別の児童生徒数という3色のグラフを示しております。白が欠席日数30日から90日、薄い色が欠席日数90日以上かつ出席日数が11日以上あるもので、1番色が濃いものが出席日数が10日以下のものとなっておりますが、このような色がついている部分で、特に中1、中2と増加するという傾向が見られますので、中学1年生への対策が重要になってくると分析しております。最後に、6ページの5番の中途退学、これは県立高等学校の数字です。依然全国より少し高い数字になっています。一方で全日制については1%を切りまして、平成12年からの統計で過去最少となりました。昨年度、高校1年生を対象に12月に適応度を測る調査を行いましたが、やはり生徒の約1%が中途退学につながる恐れのある進路に関する悩みを持っているという結果もありましたので、引き続き1年生を対象として対策を検討したいと考えております。
 以上です。」

○大橋人権・地域教育課長 「いじめやハラスメントのない学校にするために~人権を確かめあうアンケート~の実施について、ご報告します。本アンケートは、本年6月に公布された『教育職員等による児童生徒性暴力等の防止等に関する法律』への対応として、第6回の定例教育委員会においてご議論いただき、人権を確かめあうという括りの中で実施することさせていただいたものです。
 県教育委員会では、いじめやハラスメントは、その行為を受けた児童生徒の教育を受ける権利を著しく侵害するだけでなく、その心身の健全な成長や人格の形成に深刻な影響を与え、その生命または身体に危険を生じさせるおそれがある重大な人権侵害であると考えております。
 そこで、子どもたちがいじめの被害者にも加害者にもならないよう、また、教職員等の言動によるハラスメントが起きることのないよう、生徒自身がお互いに人権を確かめあうとともに、『一人ひとりが大切にされる学校づくり』に向け、各学校における教育環境を点検する機会とするために、本アンケートを実施します。
 実施については、県内の公立学校の全児童生徒を対象に、Google Workspace for Educationを利用し、12月11日の『人権を確かめあう日』を挟んだ前後各一週間程度の間に、回答した個人が特定されないようにして実施する予定です。
 お手元の資料は、ふりがながある表現を多少分かりやすくした小学生用と、ふりがなのない中高生用のものです。いじめに関する問い、次に教員からのハラスメントに関する問い、そして、自分自身を振り返る問いという形で構成しているものです。
 以上です。」

○大橋人権・地域教育課長 「令和3年度社会教育功労者文部科学大臣表彰について、ご報告します。本表彰は、地域における社会教育活動を推進するため多年にわたり社会教育の振興に功労のあった者及び全国的見地から多年にわたり社会教育関係の団体活動に精励し社会教育の振興に功労のあった者等にその功績を称え文部科学大臣が表彰するものです。
 令和3年度は、地域における『社会教育計画』の分野で王寺町の川辺省二氏と地域における社会教育功労者『青少年教育』分野で大和高田市の中西達氏が受彰しましたのでご報告いたします。
 なお、表彰式については、新型コロナウイルス感染症の影響もありまして人数を絞って、11月5日にオンラインで実施されたことをご報告申し上げます。
 以上です。」

○大橋人権・地域教育課長 「令和3年度『障害者の生涯学習支援活動』に係る文部科学大臣表彰について、ご報告します。本表彰は、障害者が生涯を通じて教育やスポーツ、文化などの様々な機会に親しみ、豊かな人生を送ることができるよう、障害者の生涯を通じた多様な学習を支える活動の普及及び発展のために尽力し、顕著な成果を上げた個人及び団体に対し、その功績を称え文部科学大臣が表彰するものです。
 本県からは、視覚障害者の学びを長年にわたって支援し、文学や歴史などの多様なジャンルのほか、年齢層に応じた雑誌、県内の伝統行事に関する書物などの点訳の活動を行うボランティア団体である『奈良県点訳グループ青垣会』と、いろいろな特技や知識、情報を持つ人たちが集まって互いに教え合い、市民同士で相互に学習する活動や感性の交感をする活動を通して障害のある人とない人がつながり、新しい人間関係と可能性を生み出す活動を行っている『社会福祉法人わたぼうしの会「たんぽぽの家」』が功労者表彰を受賞しましたのでご報告いたします。
 なお、表彰式については、12月7日にこれもオンラインで執り行われる予定となっております。
 以上です。」

○大石教育研究所長 「令和2年度学校における教育の情報化の実態等に関する調査結果〔確定値〕について、ご報告します。この調査は、各都道府県における初等中等教育における教育の情報化の実態を把握し、情報教育関連施策の推進を図るために文部科学省が実施しているものです。この調査結果は、令和3年3月1日現在のものとなります。
 調査対象は、全国の公立学校と、公立学校で授業を担当している全教員となっています。
 資料表面の『教員のICT活用指導力の状況』に関してましては、授業にICTを活用して指導する能力など、大項目AからDの全ての項目において、本県では大幅に上昇が見られました。
 以前、本県のICT活用指導力は、このAでは45位からと書いているように非常に低位であったわけですけれども、全教職員がGoogle Workspace for Educationを活用して授業が行えるようになることを目標にして、昨年度10月から『先生応援プログラム』を実施しました。昨年度は延べ5,000人が研修を受講し、満足度に関して参加者の約90%から肯定的な回答を得られ、こういったことが向上につながったと考えています。
 教員のICT活用指導力向上のためには継続的、積極的に研修に取り組む必要がございまして、今年度は教員のニーズに応じた内容も新たに取り入れて実施し、奈良県教員の情報活用指導力の更なる向上を図っているところです。
 裏面ですが、『学校におけるICT環境の整備状況等』におきましても、GIGAスクール構想の実現の補助金等を利用し、市町村立学校においては県域で端末の共同調達をするなどして、『教育用コンピュータ1台当たりの児童生徒数』が大幅に上昇したところです。
 もちろんまだまだ、環境整備というところでは課題もございますが、今後も一層取り組んで参りたいと思っております。
 以上です。」

○吉田教育長 「このことについて、何かご意見、ご質問はございませんか。」

○花山院委員 「生徒指導の課題に関する諸調査と、人権を確かめあうアンケートに関わるのですが、新型コロナで今までと教育環境や学校状況などが変わってきました。新型コロナが終わるかどうか分かりませんが、コロナによって弊害を受けた子どもたちの学年が進行していきますので、どこかで総括しないといけないと思います。コロナによって違ってきた部分に対して、どういう取組をしていくべきなのかが必要となってきます。特に、生徒指導上のことについて、そういうことを総括して、次はフィードバックしてやっていきます、ということをしないといけないと思います。調査やフィードバックの方法の問題はありますが、ひとまず状況を把握して、それを教員が理解して、フィードバックするという機会を見つけるということが必要となります。これは本県だけでなく、各県でも起こってくることだとは思います。
 いじめやハラスメントのない学校にするために、アンケートを無記名で行う中で『いじめを受けている』と子どもたちが回答した場合、いじめがあると確認したにも関わらず、現実的には把握できないと思います。今度何かが起こった時に、そういうことを無記名のアンケートでは把握したけれど、この方法では特定して対応することができませんでした、ということが起こらないように、もしくは、そういうことがある可能性を理解した上で、何らかのことをしておかないと、間接的には把握しているが情報が生かされなかったという形にならないように考える部分があると思います。」

○山内学校教育課長 「コロナ禍の中で子どもたちにどのような影響があり、それがどのように続いていき、どのようにフォローするのかについてです。例えば、この調査の中で、小学校でいじめが増加しているが、全国的には、子どもたちの関係が薄くなったので、減ったのかもしれないというのが文部科学省の見識です。それに対して、本県では別の傾向を示しています。年度が変わり、この傾向が続いているかどうかを見ていきたいと思います。一つ一つの事象を捉えて、今後もチェックをしていきたいと考えています。」

○花山院委員 「そういうことを教育委員会もしっかりと注意をして、報告を出し、そういうことでやっていきますということを県民の方へ流れることがないと、せっかくやっていても、本当にやっているのかということになります。こういうことは総括しておいた方がいいと思います。」

○吉田教育長 「何か総括しようとしていますか。市町村教育委員会は新型コロナによる影響を何かで把握しているのでしょうか。」

○山内学校教育課長 「市町村教育委員会が単独で影響を図るということは聞いてはいません。」

○花山院委員 「例えば、家庭内虐待が増えているというマスコミの声があると思います。市町村教育委員会はそのようなことに関してアンテナを立てているのか、そうでないのか、などと同じ路線の話だと思います。」

○山内学校教育課長 「検討させていただきます。」

○花山院委員 「日常的なことの積み重ねとは違うことが起こったので、何か確認してやるべきです。子どもに聞くのが一番分かりやすいと思います。」

○吉田教育長 「Googleアカウントのフォームを活用して、子どもに直接聞くという方法もありますね。」

○山内学校教育課長 「聞くことをするかどうかも含めて検討させていただきたいと思います。学力状況調査によると、学力的にはコロナの影響はなかったのですが、質のところまで分析できる調査ではないと思うので、どういう手法が可能かも含めて検討したいと思います。」

○吉田教育長 「学力状況調査は去年のことを問うたものであり、今年度とは違うので、今年度の状況は把握できないと思います。」

○山内学校教育課長 「二つ目のご質問についてです。無記名、記名それぞれのメリット、デメリットが言われています。今回はGoogleを使った無記名のアンケートになります。完全な無記名となるので、生徒たちが安心して行えると思っています。活用の方法としては、実際の対応で掴んでいるいじめの件数と、本アンケートで上がるいじめ件数に乖離がある場合、把握方法に問題があるとなります。具体的には個人面談を実施するしかないと思っています。乖離があるかないかについては明確にできます。」

○花山院委員 「どういう場合はどう対処するかというものがないと、そのまま行って数字だけ出てきて、こうでしたということになります。結果が出た上でもう一度検証して、その乖離については対処していくしかありません。『いじめをされてますか』と聞くということはいじめをなくそうというアンケートです。その中でいじめをされたと書かれても誰か分かりません。いじめをなくすためのアンケートであるので、それがなくす方向にならなかったら、意味をなさないという話になります。」

○吉田教育長 「いじめをしてるかどうかは、アンケートのどこで聞いていますか。」

○大橋人権・地域教育課長 「一番が『いじめと感じるようないやな思いをしたか』ということで、いわゆる今までのいじめアンケートにあるような設問があります。一方、自分がいじめや人にいやな思いをさせたかについても5番で挙げており、自分を振り返る形となっています。」

○吉田教育長 「1番2番は、いじめと感じるようなことをされたかで、3番4番は、先生からいやな思いをさせられたかで、5番は自分はいやな思いをさせたことがあるかですね。」

○花山院委員 「5番の『むりやりお金を払わせた』は、おごらせた方のことですか。」

○大橋人権・地域教育課長 「自分がいやな思いをさせることに加担したかどうかということです。」

○花山院委員 「これと2番の無理矢理払わされたというのが、数が一緒にならないといけないということになりますか。」

○吉田教育長 「確かめあうことが大事だということですね。まずは、自分で確かめあおう、正直にしたと言おうということです。」

○花山院委員 「被害者の問題をどうするかが問題です。いじめをした人も自分で振り返り、なくしていかないといけません。結論から言うと、被害者をなくすということです。」

○吉田教育長 「そのときに相談して欲しい、というところも載せています。」

○花山院委員 「見られた人がどう思うかが重要なので、『悩んでいる人は必ず相談してください』の方がいいと思います。」

○大橋人権・地域教育課長 「『必ず相談してください』に変更します。」

○伊藤委員 「生徒指導の課題に関する諸調査で、高学年になるほど、いじめの認知件数が下がってきています。なぜでしょうか。つまり、低学年の間は人間関係がうまく作れない、だんだんと物事が分かって理解度が高まってくるということですかね。」

○吉田教育長 「以前アンケートをしたとき、低学年から『悪口いわれた。いじめられた』などいっぱい上がってきました。」

○山内学校教育課長 「そこまでの分析ができる可能性があるのが、(5)のいじめの態様です。いじめの質がどう違うかがそこで見えてきます。傾向ではっきりしているのは、学校段階が上がるに従って、パソコンや携帯電話等のいじめが増えるというだけです。ここからは、減っていくということの説明は難しく、人間関係の質なのか、訴えにくくなることも想定されます。」

○吉田教育長 「例えば消しゴムをがっと取られたときに、低学年ではいじめと思うことも、高学年では思わないということも考えられます。」

○山内学校教育課長 「低学年の方が『いじめられた』と感じる基準が低いこともあります。今の数字でいうと(4)です。アンケート調査により発見している率があり、小学校では77%、中学校では55%です。やはり、小学生がいじめられたと答えるのが多いという結果は明らかです。」

○伊藤委員 「教師が見えないところでいじめが学校を介してあります。そういうところのいじめが問題視されています。それに対して、『パソコン、携帯等で悪口を書き込まれた』という漠然とした聞き方なのか、もう少し、『分からないようにやる』という現代のいじめの状況を踏まえ、一番見えにくいところを探すようなアンケートが必要だと思います。自殺した事象も、学校でいじめを受けていて、裏アカウントでやっていたという先生は分からないということがありました。そういうところを調べること、見えなくなっている陰湿な差別など、一番事件が起こりやすいパターンも探していこうとする努力が求められていると思います。」

○山内学校教育課長 「いじめの態様の分類は、国の調査をそのまま行っているものです。県独自のいじめアンケートもするので、次年度のアンケートに生かしていこうと思います。」

○花山院委員 「昔は、お笑いの人が笑いのためにちょっといじめまがいのことをしても何も無かったことが、ここ数年で『それはいじめ』というように、いじめの基準が厳しくなっています。時代の流れをきっちりと写していかなければなりません。学校側としては、それを過敏に掌握していかざるを得ないと思います。」

○吉田教育長 「これは、『複数から』などは聞かなくてもいいのでしょうか。一番悪質なのは、複数の人間が集団で攻撃することだと思います。」

○山内学校教育課長 「一人対一人、多対一人といういじめの構図があります。多対一人の方が重くなるのは当然の傾向だと思います。一人対一人から多対一人に移っていくことも考えられますので、対策としては一人対一人から始めるべきと考えます。」

○吉田教育長 「『複数からいじめを受けた』ということが、一番辛いのではないでしょうか。」

○花山院委員 「聞くのであれば、両方聞かないといけないかと思います。」

○山内学校教育課長 「1対1であろうが多対1であろうが、網で拾い上げて実際は聞き取りができます。そこで対応を分けていくことができます。」

○吉田教育長 「他にご意見、ご質問が無いようですので、その他報告事項について、承認してよろしいか。」

     ※各委員一致で承認

○吉田教育長 「その他報告事項については承認いたします。」

非公開議案

議決事項2 11月県議会予算外議案の提案について
議決事項3 懲戒処分について

 非公開にて審議

○吉田教育長 「それでは、議案の審議が終了したと認められますので、委員の皆様にお諮りします。本日の委員会を閉会することとしては、いかがでしょうか。」

     ※各委員一致で承認

○吉田教育長 「委員の皆様の議決を得ましたので、これをもちまして、本日の委員会を閉会します。」