第5回定例会議(令和4年8月4日開催)

開催概要

議決事項

 1  教育職員免許に関する規則の一部改正について(pdf 90KB) <教職員課> 
 2  義務教育諸学校等の教育職員の給与等に関する特別措置に関する条例の改正について <教職員課> 
3 令和5年度に使用する県立中学校及び特別支援学校(小学部・中学部)の教科用図書の採択について(pdf 4066KB)

<学ぶ力はぐくみ課>

<特別支援教育推進室> 

4  令和4年度奈良県社会教育委員の選任について <人権・地域教育課> 

リンクのない事項は、非公開で審議されたものです。

報告事項

1

学校運営協議会を設置する学校の委員の委嘱、任命について <人権・地域教育課>

リンクのない事項は、非公開で審議されたものです。

その他報告事項

1

県立学校施設の耐震化について(pdf 723KB) <学校支援課>
2 令和5年度奈良県・大和高田市・県立大附属高公立学校教員採用候補者選考1次試験の結果について(pdf 86KB) <教職員課>
3 宇陀市、曽爾村、御杖村、奈良県立宇陀高等学校、奈良県教育委員会、奈良教育大学の包括連携協力に関する協定について(pdf 66KB) <高校の特色づくり推進課>
4 令和4年度全国学力・学習状況調査調査結果の概要について(pdf 3607KB) <学ぶ力はぐくみ課>
5 令和4年度ヤングケアラー等に関する実態調査の結果について(pdf 520KB)  <教育研究所>

令和4年度第5回(定例)教育委員会議事録(テキスト版)

概要

<開会>
 令和4年8月4日 
 10時30分

 

<閉会>
 令和4年8月4日
 12時00分

 

<会議場所>
 教育委員室

 

<委員出欠>
 花山院弘匡(出席)
 上野周真(出席)
 伊藤忠通(出席)
 田中郁子(出席)
 伊藤美奈子(出席)

議案及び議事内容

<議案>

議決事項1 教育職員免許に関する規則の一部改正について(可決)

議決事項2 義務教育諸学校等の教育職員の給与等に関する特別措置に関する条例の改正について(可決)

議決事項3 令和5年度に使用する県立中学校及び特別支援学校(小学部・中学部)の教科用図書の採択について(可決)

議決事項4 令和4年度奈良県社会教育委員の選任について(可決)

報告事項1 学校運営協議会を設置する学校の委員の委嘱、任命について(承認)

 

<議事内容>

○吉田教育長「花山院委員、上野委員、伊藤忠通委員、田中委員、伊藤美奈子委員おそろいですね。それでは、ただ今から、令和4年度第5回定例教育委員会を開催いたします。本日は委員全員出席で、委員会は成立しております。」

○吉田教育長 「議決事項2については、議会の議決を経るべき議案についての意見の申出に関することであり意思形成過程であるため、議決事項4及び報告事項1については、各種委員の委嘱に関する案件のため、当教育委員会においては非公開で審議すべきものと考えます。委員の皆様にお諮りします。いかがでしょうか。」

     ※ 各委員一致で可決

○吉田教育長 「委員の皆様の議決を得ましたので、本日の議決事項2、議決事項4及び報告事項1については、非公開で審議することとします。」

○吉田教育長 「議決事項1『教育職員免許に関する規則の一部改正』について、ご説明をお願いします。」

○東村教職員課長 「教育職員免許に関する規則の一部改正について、ご説明いたします。
 『教育公務員特例法及び教育職員免許法の一部を改正する法律』が7月1日に施行され、免許更新制度が廃止されたところですが、更新しなかったことにより失効している免許状の再授与申請において、奈良県教育委員会の原簿情報で確認できる書類については、添付を省略し、手続きの簡素化を図ります。
 以上です。」

○吉田教育長 「このことについて、何かご意見、ご質問はございませんか。」

○伊藤(忠)委員 「名簿に載っていない人はいるのですか。」

○東村教職員課長 「奈良県で発行した分については載っていますが、他府県の場合は分からないのでこちらは省略できません。」

○伊藤(忠)委員 「他府県の免許を持ってて奈良県で申請することはあり得るのですか。」

○東村教職員課長 「奈良県にお住まいの方で申請が出てくる可能性はあります。」

○伊藤(忠)委員 「その時は他府県へ問い合わせるのですか。」

○東村教職員課長 「基本的には添付書類が必要ですので、それを省略できなければ、申請時に添付していただきます。」

○吉田教育長 「他府県で発行した免許は書類をもって申請する、奈良県で発行した場合は名簿があるので参考書類で確認する、ということですね。

○吉田教育長 「他にご意見、ご質問が無いようですので、原案どおり議決してよろしいか。」

     ※各委員一致で可決

○吉田教育長 「議決事項1については可決いたします。」

○吉田教育長 「議決事項3『令和5年度に使用する県立中学校及び特別支援学校(小学部・中学部)の教科用図書の採択』について、ご説明をお願いします。」

○熊谷学ぶ力はぐくみ課長 「令和5年度に使用する県立中学校及び特別支援学校(小学部・中学部)の教科用図書の採択について、ご説明いたします。
 今年度は、県立国際中学校において令和5年度に使用する教科用図書の採択と、特別支援学校(小学部・中学部)において令和5年度に使用する教科用図書及び文部科学省が著作の名義を有する文部科学省著作教科書、並びに学校教育法附則第9条の規定により、特別支援学校(小学部・中学部)における一般図書、拡大教科書等の採択替えを行います。
 県立国際中学校における令和5年度に使用する教科書一覧についてです。お手元の資料1ページをご覧ください。
 県立国際中学校の教科書採択については、県教育委員会が設置した『教科用図書選定審議会』から、各教科書の『内容』及び『構成上の工夫』について、令和2年度及び令和3年度に県教育委員会が示した教科用図書選定資料を参考に、調査・研究をするように予めご意見をいただいております。
 これを受けまして、県立国際高等学校の教員及び県教育委員会指導主事で組織された調査員が調査・研究を行った上で、県立国際中学校開校準備委員会において選定されたものを事務局で審査・検討し、一覧を作成したものがお手元にある県立中学校用資料となっています。この資料を基に本日ご審議をいただき、種目ごとに1種の教科用図書を採択していただくことになります。
 以上です。」

○岡田特別支援教育推進室長 「続きまして、特別支援学校の小学部・中学部で使用する教科用図書の採択についてご説明いたします。
 特別支援学校で使用する教科書は、文部科学省の検定教科書、文部科学省著作教科書、学校教育法附則第9条の規定による教科用図書の3種類となります。
 文部科学省検定教科書の採択については、小学部は令和元年度において、中学部は令和2年度において採択替えを行っております。同一の教科書を4年間採択することになっているため、今年度は採択替えがございません。
 まず資料の5ページをご覧ください。文部科学省著作教科書は視覚障害、聴覚障害、知的障害の障害種別に応じて文部科学省が作成したものになっております。5ページから8ページ上段の表が視覚障害者用、8ページ中段の表が聴覚障害者用、9ページから11ページまでが知的障害者用に選定された教科書となっております。
 次に資料の12ページ以降になります。児童生徒の実態によっては文部科学省検定教科書及び文部科学省著作教科書の使用が適当でない場合、これらに替えて、学校教育法附則第9条第1項の規定による教科用図書を使用することができます。採択に当たっては、児童生徒の障害の種類、その状態、また能力や特性等を踏まえ最もふさわしい内容のものであるかについて留意する必要があるため、毎年採択替えを行うことができることとなっております。
 令和5年度に使用予定の教科用図書については、各特別支援学校において選定されたものを事務局で審査・検討し、一覧を作成しております。
 以上の選定結果については、教科用図書選定審議会からは、適正に選定されているとの答申をいただいております。令和5年度の県立国際中学校及び特別支援学校の使用教科書の採択についてご審議どうぞよろしくお願いいたします。」

○吉田教育長 「このことについて、何かご意見、ご質問はございませんか。」

○吉田教育長 「特別支援学級では、どういう教科書を使っていますか。」

○岡田特別支援教育推進室長 「特別支援学級の教科書は、文部科学省検定教科書が多いのですが、文部科学省著作教科書を使用し、児童生徒の実態に合わせて学習を進めている特別支援学級も増えてきています。」

○吉田教育長 「国際中学校でMYPを導入するので、来年度には英語で授業できる教員、例えば、社会の免許を持ちながら英語で授業ができるとか、そういった採用試験も考えてもどうかと思っているのですが、バカロレアは教員の資質の問題にもなってくるので検討をしていかなければならないと思います。
 採用試験に関わってになりますが、国際中学校でどのような人材を採用するのかということと、英語の教員採用を考えなければなりません。国は中学校では5割、高校では7割の教員が英検準1級を持っていることを目指しています。来年度から資格を持っていれば教科試験を免除してはどうかと考えています。さらに3年後には、受験資格に入れてはどうかとも思っています。
 他に教員採用試験で変えなければならない部分については、3年間定数内講師をしていた者の1次試験免除、次世代養成塾の修了者の1次試験免除を考えておりますが、また、9月の定例教育委員会でご検討いただくことになると思っています。もし、今ご意見がございましたらお願いいたします。
 大学を卒業して講師経験のない者でも1年目は初任者研修があります。しかし、2年目に小学1年生を担任するとどうなるでしょうか。ものすごく不安になります。現に、大学を卒業してすぐ、1年生を担任している者が3人いますが、少ないです。やはり経験がいるし、子供の数が35人以下であってもなかなか大変です。そのとき、ベテランの先生が週5日の再任用には希望していただけないが、週2や3日で、その初任者の担任とペアを組んで授業してもらったらどうかと考えています。小学校の教員不足の解消のために、内容が大変なところを支援できないかということも考えています。」

○花山院委員 「中学校、高校は自分の担当授業だけなのですが、小学校の再任用教員は、体力的にも大変なので希望がない状況があると思います。」

○吉田教育長 「大分では小学校の受験倍率が1.0倍でした。」

○花山院委員 「熊本も教員の確保に苦労しており、いくら講師を募集しても来ないと聞きました。」

○吉田教育長 「本県でも4月当初、教員が不足していました。特に、小学校の教員不足に対応しなければならないと考えています。」

○花山院委員 「再任用の先生に、体に負担にならないようなところで持っている能力を生かしてもらいたいということですね。」

○吉田教育長 「プールとか、体育とか、外遊びを一緒にするとか、担任業務をフルにするということに対して抵抗がある先生もいるので、違う形で働いてもらえれば、若い先生にも良い効果が出るのではないかと考えています。」

○吉田教育長 「他にご意見、ご質問が無いようですので、原案どおり議決してよろしいか。」

     ※各委員一致で可決

○吉田教育長 「議決事項3については可決いたします。」

○吉田教育長 「その他報告事項について、ご報告をお願いします。」

○喜夛仲学校支援課長 「教育委員会としても大きな課題のひとつであった『県立学校施設の耐震化』について令和4年7月末をもって完了したことをご報告します。
 県立学校施設の耐震化については、平成25年度から平成29年度までを耐震整備集中期間として予算や人員を投入して取組み、まず、特別支援学校の耐震化が平成27年度に完了しました。
 その後も、高等学校について、配付資料の真ん中の右側に掲載しています『近年の耐震化の取組』の表に記載のとおり耐震化を進めてきました。
 令和元年度からは、奈良朱雀高校など3校の耐震補強工事に加え、耐震補強が困難であった郡山高校など5校について改築、いわゆる建て替え工事を進めてきました。3校の耐震補強工事と4校の改築工事については、令和3年度末までに完了し、残り1校となっていた大宇陀高校の改築工事についても、この令和4年7月末をもって完了しました。
 また、奈良高校については、令和4年4月に旧平城高校校地へ移転が完了しています。改築工事を行った各校の工事完了後の写真は配付資料の下段のとおりです。
 以上です。」

○東村教職員課長 「令和5年度奈良県・大和高田市・県立大附属高公立学校教員採用候補者選考1次試験の結果について、ご報告します。
 1次試験の合格者は、8月2日に発表したところですが、小学校は335名、中学校199名、高等学校190名、特別支援学校83名、養護教諭36名、栄養教諭11名、実習助手・寄宿舎指導員6名の計860名、合格倍率は、全校種・教科の合計で1.8倍となっております。
 2次試験は、8月11日に小学校実技を、8月13日から17日まで個人面接を実施いたします。2次試験の結果発表は、9月9日を予定しております。
 以上です。」

○山内高校の特色づくり推進課長 「宇陀市、曽爾村、御杖村、奈良県立宇陀高等学校、奈良県教育委員会、奈良教育大学の包括連携協力に関する協定について、ご報告します。
 この協定は、宇陀高等学校が所在または近隣の市村及び奈良教育大学と連携・協力しまして、高校、市村の就学前教育施設や義務教育諸学校の教育の充実、さらには、各市村の活性化を実現することを目的として、協定を締結するものです。具体的に申しますと、宇陀高等学校の情報科学科の生徒が、奈良教育大学の指導のもと、市村の小学生にICTを活用して算数などを教えるなどの取組みを進めて参りたいと考えております。
 現在、市村や奈良教育大学で必要な手続きを進めておりまして、本日、ここでご報告させていただいた後、8月18日に協定を締結する予定です。
 なお、この協定につきましては、第3条にございますが、令和6年3月31日までを有効期間としておりますが、その後も第3条第3項において、申し出がない限り自動的に1年間延長するという形で進めて参りたいと考えております。
 以上です。」

○熊谷学ぶ力はぐくみ課長 「令和4年度全国学力・学習状況調査調査結果の概要について、ご報告します。
 1番の調査概要についてはレジュメ記載のとおりでございます。
 2番の教科に関する調査の結果について説明します。国からは各都道府県別の平均正答率の提供が整数値となっていますので、全国平均と奈良県の数値が比較できる、平均正答数を用いてご説明します。
 小学校においては、全国平均正答数を国語は0.3ポイント、算数は0.1ポイント、理科は0.5ポイント下回る結果となりました。また、中学校においては、全国平均正答数を国語は0.2ポイント、数学は0.2ポイント、理科は0.4ポイント下回る結果となりました。
 次に、児童生徒質問紙の調査結果について説明します。資料の6ページをご覧ください。小学校の学習に対する関心・意欲等に関する質問項目のうち、『国語、算数・数学、理科の勉強は大切だ』について、前回より肯定的な回答の割合が上昇しています。また、中学校の学習に対する関心・意欲等に関する質問項目について、全項目で前回より肯定的な回答の割合が上昇しています。全国平均との比較において、小・中学校ともにほとんどの質問項目では、0.3~5.3ポイント下回る結果となりました。
 資料の7ページをご覧ください。自尊心・利他心等についての質問項目は、前回よりほとんどの項目で、肯定的な回答の割合が上昇しています。全国平均との比較においては、児童生徒の『人の役に立つ人間になりたい』についての回答を除いて、小学校で0.3~3.2ポイント、中学校で0.4~6.3ポイント下回る結果となりました。
 続いて、ICTを活用した学習状況についての質問項目です。『前学年までに受けた授業で、ICT機器をどの程度使用しましたか』について、小・中学校ともに前回より肯定的な回答の割合が大幅に上昇しています。活用場面での全国平均との比較において、小学校ではほとんどの項目で 0.8~1.8ポイント上回っていますが、中学校では6.4~10.4ポイント下回る結果となりました。

 資料の8ページをご覧ください。学習者を主体とした授業改善に関する取組状況では、全国平均との比較において、小学校で2.3~7.1ポイント、中学校で4.3~15.4ポイント下回る結果となりました。『授業で、自分の考えを発表する機会では、自分の考えがうまく伝わるよう、資料や文章、話の組立てなどを工夫して発表していた』について、前回より肯定的な回答の割合が増加しています。
 これまでからも本県の児童生徒の課題であった学習意欲において、特に中学校で改善の傾向が見られるものの教科に関する調査や質問紙調査の項目によっては全国平均を下回る状況が見られる状況です。さらに調査結果の分析を進め、各学校において、ICTを効果的に活用した学習改善や、学習者を主体とした授業改善が図られるよう取り組んでまいりたいと考えています。
 県の学ぶ力の育成に関する取組としましては、8月下旬に市町村教育委員会教育長を対象に説明会を開催する予定です。9月中旬には、教員等を対象にした説明会も予定しています。また、『学ぶ力育成実践研究事業』を県内小学校6校で取り組んでいただいていますので、その研究成果等を2月に開催予定の研修会でも周知していきたいと考えています。
 以上です。」

○山内教育研究所長 「令和4年度ヤングケアラー等に関する実態調査の結果について、ご報告します。
 本調査は、生徒へのヤングケアラーの認知度向上を図り、その実態の把握及び必要に応じた支援につなぐことを目的として昨年度に続き実施いたしました。また、高校生には『生理の貧困』に係る実態調査も併せて実施しました。
 昨年度からの変更については、実施対象を中学生第3学年のみから中学生全学年へと拡大した点と、期間を7月20日まで延長した点の2点です。
 調査結果につきまして説明します。(1)は『認知度』についての実態です。『ヤングケアラーについて、聞いたことがあり、内容を知っている』と回答した中学生が20.3%、高校生が32.2%であり、昨年度の中学生8.2%、高校生12.4%から、それぞれおよそ2.5倍増加しました。
 (2)及び(3)は、『家事や家族の世話を日常的に行っている生徒』の実態です。(2)で、『週に3日以上、家事や家族の世話を日常的に行っている』と回答した生徒、これは中学生2,289人、高校生1,130人ですが、このうち(3)で『平日1日当たり3時間以上行っている』と回答した中学生が207人、高校生が100人で、合計307人となり、一定数の生徒が存在していることが分かります。
 さらに、(4)ではその307人を対象に調査を行いました。(4)(イ)では、『きつさを感じている』と回答した生徒が、中学生で79人、高校生で42人であり、今年度は特にその中身を尋ねたところ、『時間的に余裕がない』と回答した生徒の割合が中・高生とも大きい結果となりました。また、(4)(ウ)では、『よく欠席する』と回答した生徒が、中学生で7.7%16人、高校生で17.0%17人でした。
 (4)(エ)(オ)につきましては、今年度新たに追加した質問です。(エ)『困りごとや不安』について、中学生では、『自分の時間が取れない』が最も多くの回答がありましたが、高校生では回答がほぼ同じ割合でした。ただ、高校生では、『宿題や勉強する時間がない』『将来の夢や進路について不安がある』と回答した割合が中学生より大きい結果となりました。その一方で、(オ)にあるように、教員に対して、『家族のことだから相談したくない』・『相談しても解決しないから相談したくない』と回答した中学生は65人・31.4%、高校生で45人・45.0%いました。
 以上の結果を踏まえて、必要に応じた働きかけを進めていきたいと考えております。具体的には、所属する生徒の回答データを各市町村教育委員会並びに各県立学校に戻しまして、『週に3日以上かつ平日3時間以上』と回答した307人に対して個別の聞き取りをお願いするとともに、特にその中で『きつさ』や『困り感、不安感』を抱えている生徒、欠席を『よくする』と回答した生徒に対して、丁寧な見守りと声かけなどの適切な働きかけをお願いしていくところです。また、必要に応じて市町村の担当福祉窓口へ相談することもお願いしているところです。
 また、ヤングケアラー自身が1人で抱え込むことなく、自分の置かれた状況をきちんと認識し、支援を求めることができる力を身に付けることができるよう、ヤングケアラー専用相談窓口を開設しております。この窓口では、相談することの大切さや相談方法の情報を入れたメールを該当生徒へ直接発信するなどの働きかけも行っております。
 また、『生理の貧困』につきましては、その結果、『何らかの理由で生理用品を用意することができず困っている』と回答した生徒は30人で、回答者全体の約0.4%でありました。この30人のうち、誰にも相談していない生徒が23人おり、相談していない理由として『相談しても解決しないから』と回答した生徒が10人でした。今後は、生徒が相談しやすい環境を整え、気持ちに寄り添い、共に解決に向けて考えるなどの積極的な支援が必要と考えています。
 以上です。」

○吉田教育長 「このことについて、何かご意見、ご質問はございませんか。」

○花山院委員 「教員採用候補者選考試験のことですが、小学校の1次合格倍率は1.9から1.5に下がっています。これが続いていく傾向なのか、下げ止まりなのか、受験者のうち県内在住者がどれくらいか、県外からがどれくらいか、母数が分からないので何とも言えませんが、県内の卒業者が減っているのであれば、倍率はどんどん下がっていくであろうし、今後をどのように見込んでいますか。」

○東村教職員課長 「採用数を昨年度から20名増やしています。また、1次の合格者も40名増やしています。倍率としては下がっていますが、教員確保の策を講じて受験者を増やしていきたいと考えています。受験者の県内外の人数については、持ち合わせていません。」

○花山院委員 「不安な傾向が続いていて、対策を打たなければならないということでしょうか。県としてどういう方向性で、どういうことが問題点だと思ってこれから取り組んでいくのでしょうか。」

○吉田教育長 「1次試験の倍率なので、ある程度2倍弱ということで決めているということです。令和5年度の1次合格者が1.5倍ということなので2次試験で落ちる人数はどれくらいになりますか。」

○東村教職員課長 「200人くらいになります。」

○吉田教育長 「その落ちた者に対して、講師任用を予定するという通知は出せますか。」

○東村教職員課長 「講師登録の働きかけはしています。」

○吉田教育長 「講師に任用予定であるという通知を200人なら出せるのではないですか。元々試験を受けない講師もいますが、今落ちた講師を足したときに、小学校なら何人ぐらいいるのでしょうか。それを計算して2次で落ちた者に対して講師任用する予定です、という通知を出したらどうかと思います。市町村教育委員会の教育長からもそういう話を聞いています。」

○東村教職員課長 「200人のうち、どれくらい講師として任用が可能か検討します。」

○花山院委員 「予定していたのに任用できないということになったらどうするのですか。」

○東村教職員課長 「そういうことになってはいけないと思いますので、ならないように検討します。」

○伊藤(忠)委員 「教員の採用に関して講師に話が及びましたが、県内講師の就労条件は厳しいのではないですか。」

○香河教育次長 「給与は、以前に比べると良くなっています。」

○伊藤(忠)委員 「教員確保に苦労されていますが、講師の数字を把握しておくべきと思います。」

○吉田教育長 「講師の人数は校種、教科によって差はありますが、平均すると定数の1割ぐらいです。学校統合などの定数減に対応できるように講師を一定数任用しています。」

○伊藤(忠)委員 「講師も含め、県全体の教員確保を常に眺めておくことが大事かと思います。」

○吉田教育長 「ここ1、2年で急に講師不足が進んでいる状況です。」

○花山院委員 「ヤングケアラー等に関する実態調査について、ヤングケアラーは数年前から出てきた新しい言葉ですが、昔からこのような問題を抱えている子どもたちはいて、学校では人権教育担当が中心となり、クラス担任や地域と連携しながら取り組んできたと思います。今は、各学校の中で、どういう形で組織として取り組んでいこうとしているのか教えてください。また、高校生は家庭の収入のためにアルバイトをして学校に来れないことがあります。これもヤングケアラーの一種かと思いますが、調査の中で目を向けることも必要かと思います。」

○山内教育研究所長 「委員がおっしゃった通り、従来から、家庭の家事や手伝いをしている子どもたちがたくさんいたと思います。学校で人権教育部や学年主任などで対応しておりますし、また、小学校から中学校、中学校から高等学校と連絡調整をしながら情報共有をしていたのですが、昨今は、それでは対応をしきれないという実態が浮かび上がってきました。
 県として一番重点を置いているのは、認知度の向上です。まず子どもたちが自分が置かれている状況をしっかりと認知することが重要と考えております。現在、子ども向けのヤングケアラー周知促進のためのコンテンツを開発して、今後開設予定の小学校、中学校、高等学校向けの子ども応援サイトを作りますので、その中で相談を促すための周知をしていきたいと考えておりますし、サイトが出来たら、県の高等学校等生徒会連絡会がありますので、高校生の力、アイディアも借りながら一緒に作って行ければと考えております。
 また、教職員への認知度を高めることも重要ですので、今後、教員向けのチェックリストを作成しまして、アンケートは中高生に行いましたが、チェックリストは小学校にも配付をして、教員の認知力を高めていきたいと考えております。
 そして、そのような子どもたちがいて教員が対応に困る場合があれば、県でスクールソーシャルワーカーを派遣し、教員への支援を充実していきたいと考えております。そのように、今までとは違う形で、しっかりとグリップしながら対応をしていきたいと思っております。」

○花山院委員 「分かりました。これからのことですので、よろしくお願いします。」

○吉田教育長 「ヤングケアラーのアンケートは昨年から実施しているので、今年のアンケートで、ヤングケアラーを聞いたことがないという回答が一定数あることは興味深いですね。昨年、ほとんどの子どもたちがアンケートに回答しているので、1学年上がった今年のアンケートでは、ヤングケアラーを聞いたことがないという回答は、ほぼゼロになると思うのですが。」

○山内教育研究所長 「アンケートは年に1回ですので、認知の持続性が無くそのような結果になったと思われます。認知力を高めるために先ほど申しましたように、今後は違う形でアプローチを考えていきたいと思います。」

○伊藤(忠)委員 「一つ気になったことは、『困りごとや不安がある』と回答した生徒のうち、(4)の(オ)で、教員への相談希望について、『相談しても解決しないから、相談したくない』の回答が最も多いことです。これは先生に相談しても答えが出ないと思われており悲しいですね。何か良い案はないものかと思いますね。普段から生徒が先生に相談をしにくい状況なのでしょうか。」

○山内教育研究所長 「ご指摘の通り、生徒が情報を発信して相談したいと思える環境作りは非常に大事だと考えておりまして、まず先生方にはヤングケアラーというものをしっかりと認知してもらって、自分の接している子どもたちがヤングケアラーに該当していないのかチェックリストを使って、常に問いかけが出来るような環境にしていきたいと思っております。また、県としても、学校長や生徒指導担当者、教育相談担当者をそれぞれ別に集め、研修会を実施して、学校として全体でそのような雰囲気作りの醸成に協力をお願いする形の動きは現在取っているところです。何よりも先生方の一人一人子どもたちに寄り添う気持ちをしっかり作っていきたいと考えております。」

○田中委員 「全国学力・学習状況調査調査結果についてですが、8ページの『自分で考え、自分から取り組んでいた』や、『自分の考えをまとめる活動を行っていた』が、全国平均よりも低いですね。『和をもって貴しとなす』という精神が奈良県の県民性としてはありますが、それだけでは伸びないと思います。自分のアイデンティティを表現することで自分の考えをまとめ、相手のことも理解できるような授業にできないかと思います。自分の言いたいことを相手に分かってもらうことは至難の業です。ただ、その部分を伸ばしていく必要があると思います。産業界はそういう人材が欲しいと思っています。輩出するのが学校の役割とするのであれば、ここを直さないといけません。急には直らないと思いますが、教育の一貫で取り組むべきだと考えます。」

○熊谷学ぶ力はぐくみ課長 「どうしても学習者主体の授業になりきれていないと感じます。子どもたちが自分の考えを発表し、自分の考えを外に表していくということができているかが大きな課題です。授業改善にも取り組むべきですし、基本的なことも大事にした上で、自分の本当の気持ちが出せる取組もしていきたいと考えています。また、8月末に開催予定の市町村教育長対象の説明会で、さらに分析したものをお伝えできるようにしたいと思います。」

○吉田教育長 「中学校では、『自分の考えをまとめる活動を行っていた』が、全国と比較して15.4ポイント下回る結果となっています。ここがとても低いですね。」

○熊谷学ぶ力はぐくみ課長 「教員主導の授業から抜け切れていない部分があると思います。学習指導要領でもうたわれている、主体的・対話的で深い学びにまだつながっていない部分があるのではないかと感じています。」

○伊藤(美)委員 「特に中学校が、理科、ICT等、全国と比べると低いことが気になります。どうすればよいのかと考えたときに、うまくいっている学校がどのような取組をしているのか知りたいです。まとめる活動等が、効果を上げている取組例を県下で広げるようにすればよいと思います。学校もどうすればよいか分からないところもあると思います。大学でもアクティブラーニングと言われていますが、ノウハウがなく、悩んでいるところもあります。成功例やモデルを示すことができればよいのではないでしょうか。」

○花山院委員 「子どもたちの結果は、社会の鏡としてこの数字が出ているのではないでしょうか。学校の問題でもあり、地域の問題でもあると思います。学校の生活は子どもの生活の一部です。地域にもフィードバックして理解してもらい、地域でアイデンティティが持てる教育がどのようなものか考えてもらう必要があると思います。」

○吉田教育長 「これだけ低いのは、教員の意識、姿勢の問題もあるのではないでしょうか。授業で、考えをまとめさせるのは、意識しないとできないと思います。意見を自分で述べられるようにしていかなければなりません。」

○花山院委員 「点数化して、そういうことができる人を評価していく状況を作らなければならないと思います。それが、学校の到達目標にならなければいけないと思います。」

○吉田教育長 「自分の考えをまとめていくことは、観点別評価の中では主体的に学習に取り組む態度ではないですか。」 

○山内高校の特色づくり推進課長 「3観点のうち、知識・技能を除く主体的に学習に取り組む態度、思考・判断・表現の部分にあたります。この部分の子どもたちの見取り、フィードバックが弱いことがこの結果につながっているならば対策を打たなければならないと思います。」

○吉田教育長 「教育長対象の説明会で、ここを全面的に打ち出していきましょう。分析を進めてください。」

○伊藤(忠)委員 「自分の考えをまとめる活動については、教科で学んだことが社会や地域とつながっていることが分かっていないから考えがまとまらないのではないでしょうか。肯定的な回答の割合が高いところは、学校の中で、教科で学んだことが地域、社会の中で気付きがある取組がされているかもしれません。」

○上野委員 「3ページ以降の各教科の文部科学省の分析は、奈良県の課題として示しているのですか。」

○熊谷学ぶ力はぐくみ課長 「奈良県ではなく、全国的な傾向です。奈良県においても、同じような傾向が見られます。」

○吉田教育長 「県としての課題を伝えるべきです。まだ、分析できていないということなので、今後、分析が出てくると思います。」

○熊谷学ぶ力はぐくみ課長 「今後、分析します。」

○吉田教育長 「よろしくお願いします。」

○吉田教育長 「他にご意見、ご質問が無いようですので、その他報告事項について、承認してよろしいか。」

     ※各委員一致で承認

○吉田教育長 「その他報告事項については承認いたします。」

非公開議案

議決事項2 義務教育諸学校等の教育職員の給与等に関する特別措置に関する条例の改正について
議決事項4 令和4年度奈良県社会教育委員の選任について
報告事項1 学校運営協議会を設置する学校の委員の委嘱、任命について

 非公開にて審議

○吉田教育長 「それでは、議案の審議が終了したと認められますので、委員の皆様にお諮りします。本日の委員会を閉会することとしては、いかがでしょうか。」

     ※各委員一致で承認

○吉田教育長 「委員の皆様の議決を得ましたので、これをもちまして、本日の委員会を閉会します。」