第13回定例会議(令和5年3月22日開催)

開催概要

議決事項

 1  奈良県立教育研究所管理運営規則の一部を改正する規則について <企画管理室> 
 2  奈良県教育委員会事務局組織及び事務分掌規則の一部を改正する規則について(pdf 894KB) <企画管理室>
3

奈良県立高等学校入学者選抜の改善について
1(pdf 392KB)><2(pdf 284KB)><3(pdf 1171KB)><4(pdf 1214KB)><5(pdf 1985KB)><6(pdf 1879KB)

<高校の特色づくり推進課>
 

報告事項

 1  令和5年度公立学校・園の設置・廃止等について <学ぶ力はぐくみ課> 
 

その他報告事項

1

令和4年度における高校生等への修学支援制度の実績等について(pdf 157KB)

<学校支援課>
2

第1回「いのちの作文コンクール」実施報告について
1(pdf 452KB)><2(pdf 2063KB)

<学ぶ力はぐくみ課>

令和4年度第13回(定例)教育委員会議事録(テキスト版)

概要

<開会>
 令和5年3月22日 
 10時30分

 

<閉会>
 令和5年3月22日
 12時00分

 

<会議場所>
 教育委員室

 

<委員出欠>
 伊藤忠通(出席)
 上野周真(欠席)
 田中郁子(出席)
 伊藤美奈子(出席)
 三住忍(出席)

議案及び議事内容

<議案>

議決事項1 奈良県立教育研究所管理運営規則の一部を改正する規則について(可決)
議決事項2 奈良県教育委員会事務局組織及び事務分掌規則の一部を改正する規則について(可決)
議決事項3 奈良県立高等学校入学者選抜の改善について(採決未了)
報告事項1 令和5年度公立学校・園の設置・廃止等について(承認)

 

<議事内容>

○吉田教育長 「伊藤忠通委員、田中委員、伊藤美奈子委員、三住委員おそろいですね。それでは、ただ今から、令和4年度第13回定例教育委員会を開催いたします。本日は、上野委員が欠席ですが、定足数を満たしており、委員会は成立しております。」

○吉田教育長 「議決事項1『奈良県立教育研究所管理運営規則の一部を改正する規則』について、ご説明をお願いします。」

○香河教育次長 「『議決事項1 奈良県立教育研究所管理運営規則の一部を改正する規則について』『議決事項2 奈良県教育委員会事務局組織及び事務分掌規則の一部を改正する規則について』ですが、2つの内容が関連しておりますので、合わせて説明させていただいてよろしいでしょうか。」

○吉田教育長 「はい。」

○香河教育次長 「資料1枚目をご覧ください。議決事項1及び2における改正内容の概要を記載しております。
 まず、教育研究所組織の改編についてご説明します。1点目は、教職員の資質向上に向けた環境づくりを推進するため、教育研究所内にネットワーク型組織『次世代型教職員支援センター』を設置いたします。2点目は、『次世代型教職員支援センター』設置に伴い、『教育経営部』を『教育企画部』に改称し、現行の3係体制から、『研究推進係』と『教職員研修係』の2係体制に改編いたします。3点目は、『教育情報化推進部』において、高校におけるICTを用いた新しい学びの創造を研究開発するため、『学習指導係』を『高校教育情報化係』に改編いたします。4点目は、『教育支援部』において、不登校児童生徒への支援業務を充実するため、『生徒指導係』、『支援・相談係』に改編いたします。
 次に、教育研究所職員の職の追加です。『次世代型教職員支援センター』の設置にあわせ、センター所長およびセンター次長の職を追加します。
 最後に、分掌事務の見直しです。『次世代型教職員支援センター』の設置に伴い、研究所内の分掌事務を見直します。また、県立中学校に関する事務を『学ぶ力はぐぐみ課』から『高校の特色づくり推進課』へ移管し、次世代教員養成塾及びキャリア教育等の事務について、『高校の特色づくり推進課』と『教育研究所』間で分掌事務を整理します。
 資料3枚目以降に、今回の規則改正の内容の資料を添付しております。始めは、議決事項1『奈良県立教育研究所管理運営規則の一部を改正する規則』についての資料です。『新旧対照表』も添付しています。先ほどご説明した教育研究所における組織改編を第2条に、分掌事務の見直しについては第3条に、職の追加については第4条及び5条に、記載しております。
 次に、議決事項2 『奈良県教育委員会事務局組織及び事務分掌規則の一部を改正する規則』についての資料をご覧ください。『新旧対照表』も添付しており、『高校の特色づくり推進課』と『学ぶ力はぐぐみ課』の分掌事務の見直し内容について記載しております。
 以上です。」

○吉田教育長 「議決事項1及び2について、何かご意見、ご質問はございませんか。」

○伊藤(忠)委員 「教育研究所組織の改編について、次世代型教職員支援センターの前にある『ネットワーク型組織』の内容はどういうことか。組織図を見てもネットワーク型のという意味が分からないのですが。」

○山内教育研究所長 「ネットワーク型組織というのは、外部との連携を促進しているという意味であり、NITSと呼ばれている教職員支援機構や大学の組織等にネットワークを張り巡らし、新しい研修体系や教職員の資質向上を図るという点でネットワークと呼ばせていただいています。」

○伊藤(忠)委員 「組織図の中でネットワーク型に該当するのは他にはないのでしょうか。ここだけネットワークをつけるのは特別な意味があるのですか。」

○山内教育研究所長 「研究所におきましては一部連携していますが、今回センターを設けて中核的に行っていく予定です。」

○吉田教育長 「教員免許更新制が廃止され、免許更新講習がなくなったことに伴い、今後の研修をどのようにしていくかを検討するため、職員を教職員支援機構へ派遣し、国と連携をしながら研修メニュー作成等の取り組みを進めていく予定をしています。」

○伊藤(美)委員 「仕事柄不登校に関わることが多いのですが、どの都道府県も不登校の生徒が増えていることに対してどのように対処するかが議論となります。今回改編が行われて支援業務を充実するということですが、具体的に考えていることがあれば教えて下さい。」

○山内教育研究所長 「相談係を支援相談係に名称変更し、支援の意味合いを含めたことと、フレキシスクールという不登校の生徒を対象にしたオンライン型の支援を考えています。」

○吉田教育長 「フレキシスクールについては、28日に記者発表してから報告させていただく予定ですが、年間の出席日数が10日以下の中学生に対する支援をしていきます。具体的には、大和高田市、橿原市、桜井市、生駒市、葛城市の5市に担任を置いて対応し、それ以外の市町村は教育研究所の支援相談係が担任をすることになります。6月1日を開校としており、学習支援や保護者支援のため、PTAと共同設置することを考えています。」

○伊藤(美)委員 「幅広いですね。できたら素晴らしいと思います。」

○吉田教育長 「スクールマネージャーを置いているので校長の役割を、教育支援部長は教頭の役割をしてもらおうかなと考えています。1時間目から6時間目と決めずに、学習をする日や奈良教育大学の学生が学習支援をしてくれる日など、曜日毎の設定をするような柔軟な教育課程も考えています。」

○伊藤(美)委員 「文科省の特例校とする予定はありますか。」

○吉田教育長 「今後検討していきますが、特例校は学習指導要領に基づいた700時間超の授業が必要であり、オンラインが認められていません。10日も登校できない中学生に700時間超もの授業は難しいのではと考えており、特例校とするにはかなりのハードルがありますが、県としてのセーフティーネットをはれたらいいと考えています。」

○伊藤(美)委員 「特例校の対象にならない生徒もしっかり支えていくということですね。ありがとうございました。」

○三住委員 「フレキシスクールというのは、不登校の子供を学校に登校させて支援するということですか。」

○吉田教育長 「家庭にいるのが基本で、オンラインで学習支援を行い、対面ができるようになれば研究所の図書館でも使って担任の先生とオンラインでつなぐというイメージをしています。」

○伊藤(美)委員 「PTAも支援をするというのは特徴的であり、そこまで含めてやっていくのは大変有効だと思いました。」

○吉田教育長 「他にご意見、ご質問が無いようですので、議決事項1及び議決事項2について、原案どおり議決してよろしいか。」

     ※各委員一致で可決

○吉田教育長 「議決事項1及び議決事項2については可決いたします。」

○吉田教育長 「議決事項3『奈良県立高等学校入学者選抜の改善』について、ご説明をお願いします。」

○山内高校の特色づくり推進課長 「奈良県立高等学校入学者選抜の改善について、説明いたします。
 この件について、2月8日の定例教育委員会において、その他報告として、検討状況をご報告さしあげたところです。そのうち、教育委員会の議決事項とされている高等学校入学者選抜に関する基本方針のうち、特に現在の小学6年生に伝えなければならない事項を、まずは本日ご審議の上議決をいただいて、できるだけ早急に周知をしたいという趣旨で、本日ご提案させていただくところです。
 まず1枚目の資料について、一部実施年度が明確に分かるように表現の変更はしましたが、2月8日に説明した内容と変わらない内容となっております。そこにいたるまでの意見収集と、またそれに対する考え方について説明します。A3の用紙で、寄せられたご意見等についての参考資料がございますので、これに沿って説明します。
 大きな1番ですが、まずは奈良県パブリックコメントの手続きに基づく意見募集を3月16日終了いたしました。頂いたご意見は49件で、詳細については、次の資料にまとめているところです。このパブリックコメント手続きにつきましては、現在のところ県の考え方の案を、先の資料でお示ししているところですが、少し整理し、来月には頂いた意見、また県の考え方を公表してまいりたいと考えております。
 大きな2番ですが、奈良県PTA協議会に依頼をし、できるだけ多くの保護者の皆様等からご意見を頂くという趣旨で、意見募集を行いました。その結果、総数4990件のご意見を頂いたところです。一つ一つをご紹介することは、数的に不可能ですが、パブリックコメントで頂いたご意見、またPTA協議会から頂いたご意見をこのA3の資料の大きな3番に取りまとめました。大きく分けまして4つ、選抜機会の一本化、また主体的に学習に取り組む態度の評価の活用、1年生の学習成績の取扱い、そして調査書と学力検査の比率の4つについてご意見を頂いております。まず、ローマ数字1の(1)、なぜ一本化するのかについては周知が足らず、ご質問をかなり頂いているところです。一本化することで、中学、高校とも教育活動に余裕を生み出すということが、受検生にとっても入学後の教育活動の充実というメリットにつながると考えております。また、一本化を図ることで進路決定が早いことを理由にしていた学校選択がなくなるのではないかとも考えています。(2)受検機会が減るのではないかということにつきましては、第2希望を申告できる制度を設けることで、二次募集を待たずとも、合否を確認できるということで、一本化と第2希望申告はセットで考えてほしいというご意見もいただいています。(3)第2希望申告においては、第1希望を優先すべきではないかということについて、案としては、特色ある学科(コース)を志望する生徒を、第2希望を書いていた場合に募集人員の一部については、第1希望、第2希望を合わせて選抜をするという案を作っています。この趣旨については、これまで特色選抜によって、特色ある学科(コース)を志望する生徒は、時期を優先していましたが、選抜機会を複数化し、この第2希望を認めることで、志望を持つ生徒に応えたいと考えています。ローマ数字2ですが、評価についてです。ここの部分のご意見をかなり頂戴いたしました。まず、なぜ1・2年だけ観点別評価の第3観点で、3年生は三つを総括した評定なのか、というご意見を頂いております。これは、学力検査で測りにくい学習の状況を見取る必要があるということが一つと、当日の学力検査ではなく、日頃の学習状況を見取る必要があるという二つの考え方をしております。前者からは主体的に学習に取り組む態度の評価を活用すべきであろうと考えます。後者は、その当該学年、第3学年の学年の評定を用いることで、当日の点だけではない評価ができるのではないかと考えます。これらを合わせますと、第3観点については全ての学年、第3学年については評定となりますので、結果的に1、2年が三つめの観点による評価で、3年については、全ての観点による評価、つまり評定を用いるということになります。
 (2)について、この第3観点である主体的に学習に取り組む態度の評価は、基準がなく主観的なものになっていないかというご意見を頂戴しているところです。ただ、まず前提として、現在活用している評定、これについても三つの学習の観点を総括した評価ですので、現在も、この第3観点の評価というのは、実際に行っています。例えば、通知表とかにも記載しているため、もうすでに説明責任というものが発生しており、適正な評価を行っているということが必要です。ただ、こういったご懸念もありますので、県教育委員会からガイドラインを示すことによって、各学校において共通理解を深めていただき、より信頼される学習評価を確立していきたいと考えております。ローマ数字の3、1年生の学習成績の取扱いについても、いくつかご意見、ご質問を頂いております。(1)なぜ1年からなのかについて、これは3年間の学習状況、これを全て評価をしたい、特に主体的に学習に取り組む態度を評価したいということです。これには賛成意見も多数頂いています。(2)不登校生徒や障害のある生徒が不利になるのではないか、といったご意見も頂きましたが、現行の入学者選抜においても、例えば不登校で評価が出来ない、数的な評価が出来ない場合、また知的な障害のある生徒で、評価を文章表記している場合には数字で取り扱わない、ということを実施しておりますので、今後も同じ運用をしたいと考えております。(3)1年生からの学習成績を取り扱うのであれば、この4月からの評価が調査書に用いられます。これが時期的に厳しいのではないかというご意見を頂いております。年度中、本日に議決を頂いて、結論を出して、今後の予定では、3月29日に中学校対象の説明会を予定しておりますし、その内容も生徒や保護者に伝わるように、計画しています。ローマ数字の4、調査書の比率が高くなるのはいかがなものかというご意見も頂いております。調査書点がこれまでの135点から144点になるというところのご懸念を頂いているところですが、現行の比率と大きな変更にならないという認識の上で進めていますと回答を差し上げたいと考えています。
 以上、主な意見をご紹介させていただいて、この上でやはり当初の検討していた案で進めるのが適当であると考えまして、今回ご提案いたしますので、審議のほどよろしくお願いします。
 以上です。」

○吉田教育長 「このことについて、何かご意見、ご質問はございませんか。」

○三住委員 「質問にも出ていたと思うのですが、主体的に学習に取り組む態度の評価を1年生からするというのは奈良県以外ではいくつあるのですか。」

○山内高校の特色づくり推進課長 「数字としては、まとめておりませんが、活用しているのを確認した都道府県を申し上げますと、まず、神奈川県につきましては、募集人員の一部について、調査書の成績全体を第3観点のみで活用されております。もう一つ、確認しておりますのは、東京都で、神奈川県は全ての学校で活用していますが、東京都では一部の学校で、その第3観点を用いた評価を活用することができるという規定を設けて運用されています。私の方で確認したのはその二つです。」

○三住委員 「近畿圏内では奈良県だけということですね。」

○山内高校の特色づくり推進課長 「はい。」

○吉田教育長 「調査書の一番のオーソドックスな取扱いは、1年生、2年生、3年生の評定を点数化するということです。1年45点、2年45点、3年45点。それから3年だけというのが全国的に見ても一番多いです。委員が仰っているのは主体的な学習に取り組む態度を入れているところはあるのか、ということですから、それは極めて少ない。ほとんどないです。今課長が申したように、一部分で活用することはあっても、全面的に入れるというところはありません。」

○三住委員 「1年生からこのように評価をすると、良い先生は一生懸命自分の生徒が主体的にやっているかを考えて、評価を出す。悪い先生は、言うことを聞かない生徒に悪い点を付けるぞと、子どもを管理する。良い先生と悪い先生との間で差が出ると思うのです。基本的に、これは主体的な子どもを作ると言いながら、実質的には子どもを管理することにつながります。主体的かどうかは学校や先生が判断し、管理しようという発想で、主体的に生きていこうという子どもを作ろうという発想とは矛盾すると私は思います。どうでしょうか。」

○山内高校の特色づくり推進課長 「何のための評価か、というところが議論の根本だと思います。あくまでも評価というのは、子どもたちを伸ばすためのものであって、指導と評価の一体化と、我々は呼ぶのですが、子どもたちにもう少しどの力を付けてあげなければならないかを示すことが必要で、それを評価するというところに返ることが一番大事だと思っています。ただ委員から仰っていただいたことは、実はこの何ページにも渡るご意見の中にもあって、これで子どもたちが1年生から成績のことを気にするのはかわいそうではないかというご意見も確かにあります。もし、その現実があるのなら、教員の評価観、評価の考え方が間違っていると言わざるを得ないので、我々としては評価の適正化をしっかり進める必要があり、そのためのガイドラインだと考えます。今後の研修に努めたいと考えおります。」

○三住委員 「こういう場合は主体的に勉強していると、ガイドラインに今後入れるべき一つの例はありますか。」

○山内高校の特色づくり推進課長 「ガイドラインには評価の方法と、評価の具体的な運用と申しますか、在り方について書くことになると思いますが、今委員にお尋ねいただいた評価の方法、例えば、主体的に学習に取り組む態度は、どのような資料を用いるかを、まず明示したいと思います。その中にはレポートがあり、本人の学習の記録、ポートフォリオというものを活用する場合もありますが、そういうもので本人がどう粘り強く、どう自らの学習を調整したかで評価をすることになります。まず、一点示したいのは、この三つの観点、第1観点、第2観点、第3観点が密接に結びついている、つまり、第3観点の評価については、第1観点の知識・技能、第2観点で示している三つの力、これらも関係しているということを明示したい。第1観点、第2観点に関する資料も使えるということをお示ししたい。なぜそのことをご説明したかと言うと、その評価の結果、三つの観点をAAB等で表しますが、三つの観点が互いに関わっていますので、例えば、CCAはあり得ないということもガイドラインに明示したいと考えています。明示することにより、懸念されている第3観点だけが、どの生徒にも高い評価を付けるというインフレを起こり得なくする。このようにして、学校間で評価の在り方を統一するということにつなげたいと考えております。」

○三住委員 「例えば、子どもが主体的にやっている、というのは具体的にどのような場合を言うのでしょうか。」

○山内高校の特色づくり推進課長 「ポートフォリオというようなことで申しましたが、例えば、レポートを作って提出した場合、内容について評価する訳です。調べ学習のレポートならば、どのように調べているのか。調べたことだけを書いているのか。自分で問いを立てて調べて、その結果、更にその課題について考えられているのか。ここで大きな違いが出てくると思います。独自性ということも含まれるかもしれませんが、自らがどのように学習に取り組んでいるかというのは、レポートの例のように十分に判断できると考えています。」

○三住委員 「このレポートを親が代わりに作成したかというのは、判断できないわけですね。」

○吉田教育長 「授業中に文章を書かせるなどが考えられます。親が書くなどということはあり得ないでしょう。」

○三住委員 「主体的に学習しているかどうかはレポートで分かるということですね。」

○吉田教育長 「授業の時間に、どのような課題があるかを自分で振り返らせるわけですから。」

○三住委員 「判断は、授業中に出させたレポートがまず一番大きいということですね。」

○吉田教育長 「振返りをさせる、自己評価させる。教員が調査書を低く付けるという声を聞いてると言われますけれども、逆です。Cのように全然できない、座ってるだけ、自分で変えようとしないという学習の姿勢でも、真面目にやっているからAを付けようか、Bを付けようかと考える先生の方が圧倒的に多いです」。

○三住委員 「主体的に学習するのは、教室外でする勉強です。例えば、家庭で図鑑などを見て面白いからどんどん興味が広がって、調べていくなど。そういう主体性は、学習の成績に表れないのでしょうか。」

○吉田教育長 「それは、思考・判断・表現のどこかに表れます。家庭で図鑑などを見ていたならば、例えば自分の理科の勉強の中で、自分の得意なものについて、家庭で学びを主体的に広げていることがポートフォリオ等に表れ、教員はそれを見取ることができます。」

○三住委員 「レポート等を出させるわけですね。これだけ主体的に学習していますというのをレポート等を提出させて、先生が判断する。レポートが多いのでしょうか。」

○山内高校の特色づくり推進課長 「単に1回のレポートではなく、それを重ねていくことでポートフォリオ化もしていきます。」

○三住委員 「判断資料は、教室内で出させた資料が判断材料になるということですね。」

○山内高校の特色づくり推進課長 「もちろん、そこには、教室外の学習によって得られたものも入ってくると思います。」

○三住委員 「先生の判断材料は、提出されたものということですね。」

○山内高校の特色づくり推進課長 「提出されたもので当然判断するということになると思いますけれども、委員が先ほど仰ったような、保護者が書いている書いていないという問題については、評価の議論とはなかなか整合性が取れないのではないでしょうか。」

○三住委員 「1回持って帰って提出させたレポートは評価の資料として使わないということですか。目の前で書かせたものだけを使うということでしょうか。」

○吉田教育長 「いや、当然宿題も使います。それを親が書いたかどうか分からないという問題は、また別の問題です。」

○三住委員 「小学校でも、とても立派な作品を作ります。ほとんど親が作っています。ちょっとでも子どもの意思が入っていたら、子どものものと言います。そのようなことが起こるわけです。持って帰ったものだったら、親が書く。書く部分は本人に書かせる場合もありますが、こう書いたら先生がA評価してくれる、主体的にやっていると評価してくれると、親が子どもの評価のために一生懸命考える場合の子どもはA評価で、親が一生懸命考えない場合は、子どもだけの力で一生懸命考えてもB評価となります。」

○吉田教育長 「親が書いた場合、教員は分かります。親が考えたことが分からないように書いたり、ごまかして書いたりすることに対しては、指導します。その上で、主体的に学習に取り組む態度を評価すると言っています。」

○三住委員 「2つくらいの県しかないわけでしょう。主体的な力を付けるのはもちろん大事です。それを先生が評価することによって、子どもを管理することになると、点数を付けることによってマイナスになるのではないでしょうか。」

○吉田教育長 「すでに現在も評価しています。指導要録に記録しています。」

○三住委員 「これについては、新しく評価の規準のガイドラインを出すと言っておられますよね。」

○吉田教育長 「既に付いているのですが、どういうことが起こっているかというと、知識・技能が例えばCで、その力が身に付いていない、思考・判断・表現の力も身に付いていない場合でも、真面目に授業を聞いているから、宿題出しているから、主体的に学習に取り組む態度をBにしようか、ということが起こっています。」

○三住委員 「内申書は開示請求の対象になりますよね。そうすると、うちの子どもはなぜCを付けられないといけないのか。テストの点数はAなのに、なぜCなのかと争いになって、開示請求や裁判などが起こる。そういうことになったら先生が尻込みをしてしまって、全員にAを付けることになるのではないでしょうか。
 1年生から評価するのは、情報公開の裁判が起きるなど、先生に負担が大きくなりすぎる可能性がある。また、子どもも、1年生に入った途端に緊張しないといけなくなる。かえって、中学校に入っていろいろ頑張ろうという子どもの力を弱くするのではないでしょうか。マイナスはあってもほとんどプラスはないのではないかと。
 1年生で入った時はもっとゆったりさせてあげたらいいと思います。自主的な働きかけで学習させるべきで、点数で評価するべきでないと思います。」

○吉田教育長 「それでは、調査書を点数化すること自体が反対ということですか。」

○三住委員 「テストの点数がなく、調査書だけで評価することに反対です。評価すること自体が反対ではないです。少なくとも1年生はゆっくりさせて自由に主体性を伸ばしてあげたいと考えます。
 先ほど、不登校の話がありましたが、本人が原因で来られない場合もあるけれど、いじめで来られない場合もいじめが見つからなければC評価となる。子どもは隠しますから、いじめかどうか分からないですよね。」

○山内高校の特色づくり推進課長 「今、仰った点は大きな3番の(2)になります。 以前はそのような状況があったことは否めないという認識はあります。しかし、ここ数年はそのような評価はしていません。」

○三住委員 「不登校で欠席した生徒をどのように区別しているのですか。本当に出席できなかった者とそうでない者とどうやって区別しているのですか。」

○山内高校の特色づくり推進課長 「不登校で評価ができない場合は、その生徒について評定の点数は付けない。当日の学力検査の点数を参考に合否を決定します。」

○三住委員 「学力検査の点数をその生徒について増やすのですか。」

○吉田教育長 「按分するのです。一つの教科について評価が付いていなければ点数で按分します。」

○三住委員 「そういう形ですね。分かりました。」

○吉田教育長 「では、1年生を入れるのは反対ですか。」

○三住委員 「反対と賛成の割合はどれぐらいですか。」

○山内高校の特色づくり推進課長 「明確に書かれていない意見が多いため、比率は出していません。」

○三住委員 「明確な賛成と明確な反対との比率はどうですか。」

○山内高校の特色づくり推進課長 「それについても比率は出していません。」

○三住委員 「私は反対の意見が多いように思うのですが、反対が多いからこそ、意見を出しておられるというイメージがあります。」

○山内高校の特色づくり推進課長 「反対意見をたくさん頂いているのは認識していますが、賛成と書いてあっても、そこには意見が書かれていない場合もあります。やはり、頂いた意見を一つ一つを見ていくのが、意見の取扱いとして正しく、割合で決めるものではないと思います。」

○三住委員 「親からのクレームが増える可能性はないですか。」

○山内高校の特色づくり推進課長 「開示請求も含めてとなりますが、もう一度戻りますが、現在もこの第3観点は通知票で保護者に通知しています。保護者にとって既に見ている評価であって、既になぜC評価になったのかという問合せは実際に中学校に入っています。問合せが入る頻度は調査書における成績の取扱いを変えることにより一時的に上がると思われますが、そのやり取りが大事なことだと思います。なぜこの成績が付いたのかを保護者や生徒が知らないと意味がありません。どこまでの頻度になるかにより、心配していただいているとおり、学校の負担になるかは気を付けないといけないと思うのですが、本来はそのようなやり取りがあるからこそ、より良い評価につながると考えています。」

○三住委員 「教職員の回答もあり、反対意見が多いように思うのですが、先生全体の意見はあるのですか。アンケートを取っていますか。」

○山内高校の特色づくり推進課長 「中学校の校長会と複数回、意見交換を行っています。また、各教科等研究会、例えば、数学の研究会とかがありまして、その会長、これも中学校の校長になるのですが、集まって意見交換を行いました。
 あと、教務主任、成績を扱う責任者、教諭の立場の方にも集まってもらって一緒に意見交換をしました。保護者に理解してもらうにはしっかりと説明しないといけないという課題意識はお持ちです。だからこそ県教委として、三つの観点は関わり合っているから、例えば、CCAはありえないというような、基本的な決め事、ガイドラインを県でしっかりと示すことで、学校としても、しっかり説明がしやすくなるということが改めて必要ではないかという意見は頂いております。」

○三住委員 「ガイドラインが適切かどうかは、ここで審議されず、事務局が決められるのですか。」

○山内高校の特色づくり推進課長 「現在事務的な手続きはしておりますが、もちろん、出す前に委員の皆様にはお届けしようと思います。」

○三住委員 「私の意見は、1年生には評価を付けず、自主的に伸ばす方がいいと考えます。評価することは管理することになり、子どもを萎縮させることになると思います。」

○伊藤忠通委員 「反対の意見ということですけど、三住委員のご意見は、どうもネガティブな方ばかりを考えられているように思います。この主体的に学習に取り組む態度を評価するということをもっとポジティブに見ていけば反対ということは無いと思うのですが。」

○三住委員 「主体的に学習に取り組む態度に関する評価がきちんとできるのか、という点に疑問を持っています。」

○伊藤忠通委員 「100%は無いのかもしれませんし、ご心配があるのかもしれませんけども、今回の案の形で子どもたちの学習を評価してあげれば、先生方もその気持ちで評価にあたられます。基本的に子どもたちの学習態度、成果を見ていきましょうという全体の大きな方向性があれば良い方向に向かっていき、その方が子どもたちに良い教育を提供する環境づくりになると思います。」

○三住委員 「自主的な子どもを育成することは賛成ですが、それを評価するのは別だと思います。」

○吉田教育長 「多数決で採決をするということは避けたいと思います。もちろん全員が反対であれば、可決はできません。」

     ※採決は行わず終了

○吉田教育長 「報告事項1『令和5年度公立学校・園の設置・廃止等』について、ご報告をお願いします。」

○熊谷学ぶ力はぐくみ課長 「令和5年度公立学校・園の設置・廃止等について、ご報告します。
 本日の報告は、本年度届けがあったものです。資料をご覧いただきますと、幼稚園では、廃止9件、休園3件の計12件、小学校では、廃止2件、中学校の廃止1件の計3件、義務教育学校では、設置1件、最後に中学校の二部授業実施が3件、合計19件となっております。
 では、詳細について幼稚園から順に申し上げます。
 廃止する幼稚園は9園です。奈良市立大宮幼稚園、明治幼稚園、登美ヶ丘幼稚園、大安寺西幼稚園、田原本町立東幼稚園、広陵町立広陵西幼稚園、広陵西第二幼稚園、大淀町立大淀東部幼稚園、大淀西部幼稚園です。休園する幼稚園は3園ございます。継続して休園している御所市立大正幼稚園、香芝市立志都美幼稚園の2園に加え、御所市立秋津幼稚園が新たに休園となります。このことにより、園児が在籍する公立幼稚園は本年度より9園減り、来年度は90園となります。
 廃止する小学校は2校で、再編統合に伴う五條市立北宇智小学校、義務教育学校設置に伴う下市町立下市小学校です。このことにより、本年度より2校減り、計180校となります。
 廃止する中学校は1校で、義務教育学校設置に伴う下市町立下市中学校です。このことにより、公立中学校は、合計95校となります。
 義務教育学校につきましては、下市町立下市あきつ学園が新たに設置され、令和5年度の義務教育学校は、8校となります。
 最後に、中学校の二部授業については、本年度と同じく奈良市立春日中学校、天理市立北中学校、橿原市立畝傍中学校の3校で実施されます。
 以上です。」

○吉田教育長 「このことについて、何かご意見、ご質問はございませんか。」

○伊藤(忠)委員 「廃止される幼稚園に関しては、こども園となり、実際に子どもが少なくなり廃止される園は2件だけですね。あとは義務教育学校設置に伴う再編統合での廃止なので受け入れざるを得ない。夜間中学の存在は必要であるので継続されているのはありがたいです。」

○吉田教育長 「他にご意見、ご質問が無いようですので、承認してよろしいか。」

     ※各委員一致で承認

○吉田教育長 「報告事項1については承認いたします。」

○吉田教育長 「その他報告事項について、ご報告をお願いします。」

○喜夛仲学校支援課長 「令和4年度における高校生等への修学支援制度の実績等について、ご報告します。
 修学支援制度については、『1.制度の概要』に記載のとおり3つの制度があります。1段目の就学支援金は、授業料を国が負担するものです。2段目の奨学給付金は、非課税世帯を対象に授業料以外の教科書代、制服代などの教育費に充てられるようお金を給付するものです。3段目の奨学金は、教育費を無利子で貸与するものです。
 『2.各修学支援制度の予算と実績』をご覧ください。表の真ん中に実績を記載しています。
就学支援金につきましては、令和4年度は18,641人が利用されました。次に奨学給付金につきましては、2,766人に支給しました。奨学金につきましては、354人に貸与しました。
 就学支援金と奨学給付金については、県立高校生徒における利用率は例年と比べあまり変化はございません。奨学金の利用者は平成21年度をピークに年々減少しています。
 いずれの制度も高校生等が経済的な不安なく、安心して教育を受けられるようにするために重要なものであり、学校支援課としては必要とする方に支援が届くよう、引き続き制度の周知に努めてまいります。
 以上です。」

○熊谷学ぶ力はぐくみ課長 「第1回『いのちの作文コンクール』実施報告について、ご報告します。
 子どもたちが考えた『いのち』の大切さについて表現する機会を設けることで、子どもたちの『いのち』を尊重しようとする態度を育むことを目的に、コンクールを開催しました。
 資料にございますように、県内外から1391名の応募がありました。最優秀賞、優秀賞、佳作、学校賞を各部門ごとに選出しました。令和5年2月12日に、うだ・アニマルパークで表彰式を開催し、受賞者に表彰状及び副賞の盾を授与しました。
 また、最優秀賞と優秀賞の作品を掲載した作品集を作り、受賞者、県内義務教育諸学校及び各市町村教育委員会に配布しました。
 以上です。」

○吉田教育長 「このことについて、何かご意見、ご質問はございませんか。」

○三住委員 「作文はすばらしいものばかりであったと思うのですが、学年に応じて、習う漢字以外は使ってはいけないという指導をされているのですか。」

○熊谷学ぶ力はぐくみ課長 「担任は、習った漢字を使うように指導をしています。習っていない漢字の使用に対する制限はしていません。上の学年で習う漢字を使っている場合は、正しく、きちんと書くようには指導しています。」

○三住委員 「作品集を見ると、ひらがなが目立つ気がしました。子どもたちの能力は非常に高いので、もっと漢字を調べさせて、漢字を使わせる指導があってもよいのではないかと思いました。積極的に調べ、上の学年の配当漢字も使ってよいという指導があってもよいと思います。」

○吉田教育長 「主体的に学習に取り組む態度は大切にしたいです。」

○吉田教育長 「他にご意見、ご質問がないようですので、承認してよろしいか。」

     ※各委員一致で承認

○吉田教育長 「その他報告事項については承認いたします。」

○吉田教育長 「それでは、議案の審議が終了したと認められますので、委員の皆様にお諮りします。本日の委員会を閉会することとしては、いかがでしょうか。」

     ※各委員一致で承認

○吉田教育長 「委員の皆様の議決を得ましたので、これをもちまして、本日の委員会を閉会します。」