奈良新聞掲載記事集

令和6年度 奈良新聞掲載「農を楽しむ」

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スイートコーンの栽培

 みなさん、スイートコーンは栽培されていますか?私の仕事は農業経営の研究で、農作業の省力化について考えることがあります。また、自宅では省力的な作業方法を考え、野菜を栽培しています。そこで、今回は実体験や以前の職場での栽培講習会の内容を交え、スイートコーン栽培のポイントをお話しします。
1.苗について
 育苗(いくびょう)する場合、128穴のセルトレーに種をまきます。このとき、種子のとがっている方を下向きにまくことで、根が下に伸びやすくなり、発芽が揃いやすくなります(写真1)。苗を購入する場合、茎が太くしっかりして、葉の色が濃い健全な苗を選びましょう。
2.定植(植え付け)について
 元肥、マルチングは定植の1~2週間前に行います。また、夏に定植する場合、地温上昇を防ぐため白黒マルチを使用することで、敷きワラ作業を省くことができます。育苗した方は、根傷みが起きにくい本葉2~3葉期の定植を心掛けて下さい。根が切れると初期生育が不良となるので、定植時は株元を強く押さえないようにしましょう。また、1条より2条植えの方が受粉しやすく、実入りが良くなります。
3.追肥について
 本葉5~6葉期に1回目、雄穂(ゆうすい:花粉が発生する穂)の出穂期に2回目の追肥を行います。それぞれ雄穂、雌穂(しすい)の分化時期にあたり、この時期の追肥により、充実した株に成長します。追肥後のかん水が望ましく、露地栽培の場合、雨天の前日に追肥を行うことで、かん水作業を省くことができます。
4.除げつ(分げつの除去)、除房について
 分げつには、葉面積の増大、主茎への養分転流、倒伏防止の役割があることから、除げつを行わないのが主流です。また、除房は周囲の葉を傷つけることがあるため、無理に行わなくてもよいでしょう。
 これらのポイントを踏まえて、スイートコーンの栽培に挑戦してみて下さい!

【写真1】とがった方を下向きにまくことで発芽が揃いやすくなります。

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【写真2】穴開けから追肥まで、足腰を曲げずに行うことが可能です(本葉5~6葉期)。

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【豆知識】省力的な作業方法

 家に不要となった鍬(くわ)の柄のような棒はありますか?スイートコーンの栽培で、この柄が定植と追肥の際に活躍します。植え穴を開ける作業は、この柄を使用することで足腰を曲げずに行うことが出来ます。柄の太さは、セルトレー(128穴)の1穴とほぼ同じ大きさなので、植え穴に苗がスッポリ収まります。一株定植し、かん水して周囲の土と馴染むことを確認すると、その後の定植では株元の押さえつけや土寄せ作業を省いてもよいでしょう。根鉢が崩れにくいため、根傷みを防げます。
 追肥(穴肥)では、この柄で株間に穴を開けます。そして、柄より少し細い塩ビパイプ(約1m)に、じょうごを繋ぎ合わせたものを片手に持ち、開けた穴へじょうごから肥料を落とします(写真2)。そうすることで、足腰を曲げずに追肥を行うことが可能です。
 お金をかけず、少しでも楽に行う作業方法のご紹介でした。参考にして農を楽しんで下さい!

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奈良新聞で第2日曜日に連載中の「農を楽しむ」に掲載されたものです。
(平成20年まで「みどりのミニ百科」)
※過去に掲載されたトピックスは時間が経過し、現下と異なる点もございますのでご了承下さい。