奈良新聞掲載記事集

令和6年度 奈良新聞掲載「農を楽しむ」

令和5年度 奈良新聞掲載「農を楽しむ」

令和4年度 奈良新聞掲載「農を楽しむ」

令和3年度 奈良新聞掲載「農を楽しむ」

土のpHについて

 花や野菜を栽培するときに土の性質を知ることは、上手に育てる上で重要なポイントになります。そこで、今回は土の性質の一つであるpH(ペーハー)についてお話します。
 pHは、酸性やアルカリ性の強さを表す値で、酸性度とも言います。0から14までの数値で表され、0に近いほど強い酸性、14に近いほど強いアルカリ性で、pH7が中性です。私たちの身近な例では、レモン果汁は概ねpH2の酸性で、石けんがpH9~11のアルカリ性です。土のpHは通常、降雨によって石灰質が流れ出ていくことで徐々に酸性に傾いていきます。そしてpH4.0以下の酸性の土になると、土に含まれるアルミニウムイオンなどが過剰に溶け出しやすくなり、植物の根に障害が発生することがあります。また、長年耕作している畑の土では炭酸カルシウムなどの土壌改良資材の使いすぎでアルカリ性に傾いている場合があります。強アルカリ性の土では、植物が鉄や亜鉛を吸収しにくくなり欠乏症が発生します。このように、土のpHが極端に酸性やアルカリ性に傾くと、植物が正常に生育できなくなってしまいます。
 一般的な植物はpH5.5~6.5の弱酸性の土を好みますが、ブルーベリーはpH5.5~6.0の酸性を、ホウレンソウはpH6.5~7.0の中性に近い土を好み、植物の種類によって最適な土のpHが微妙に異なります。これらのことから、現在の土のpHがいくらなのか把握し、栽培する作物にとって最適な状態になるように調節する必要があります。
 市販されているpHメーターやpH試験紙を用いて土のpHを調べて、必要に応じて土壌改良資材を施します。酸性の土を改善するには炭酸カルシウムや草木灰を入れて耕します。1m2あたり炭酸カルシウムを100g入れるとpHが1上がります。反対に、アルカリ性の土を改善するには普段よりも深めに耕したり、硫黄華などを入れて耕すことで調節することができます。1m2あたり硫黄華を80g入れるとpHが1下がります。

【豆知識】

 アジサイの花は赤色や青色のものがあり、土のpHによって花の色が変化します。アジサイの色素であるアントシアニンはアルミニウムイオンと結合していないと赤色ですが、結合すると青色になります。酸性の土では多くのアルミニウムは植物が吸収することができるイオンの形で存在しており、根から吸収されると花まで移動します。そして、花にあるアントシアニンとアルミニウムイオンが結合し青色の花になります。反対に、中性やアルカリ性では、土中のアルミニウムがイオンになりにくいため、アジサイが吸収できず赤色を示します。
 土のpHを変えて、アジサイの花の色の変化を楽しんでみてはいかがでしょうか。

あじさい

令和2年度 奈良新聞掲載「農を楽しむ」

平成31年度 奈良新聞掲載「農を楽しむ」

平成30年度 奈良新聞掲載「農を楽しむ」



奈良新聞で第2日曜日に連載中の「農を楽しむ」に掲載されたものです。
(平成20年まで「みどりのミニ百科」)
※過去に掲載されたトピックスは時間が経過し、現下と異なる点もございますのでご了承下さい。