第1回臨時会議(令和2年4月9日開催)

令和2年度第1回(臨時)教育委員会議事録(テキスト版)

概要

<開会>
令和2年4月9日
13時30分

<閉会>
令和2年4月9日
14時10分

 
<会議場所>
教育委員室

<委員出欠>

花山院弘匡(出席)
森本哲次(出席)
高本恭子(出席)
上野周真(出席)
伊藤忠通(出席)

議案及び議事内容

<議案>

議決事項1  新型コロナウイルス感染症拡大防止のための県立学校における「在宅教育」の実施について(可決)

<議事内容>

○吉田教育長 「花山院委員、森本委員、高本委員、上野委員、伊藤委員おそろいですね。それでは、ただ今から、令和2年度第1回臨時教育委員会を開催いたします。本日は委員全員出席で、委員会は成立しております。
 なお、本日の臨時会については、奈良県教育委員会会議規則第2条第3項前段の規定に基づき、2名の教育委員より、『新型コロナウイルス感染症の感染拡大に伴い、4月7日、知事から県教育委員会に県立学校における在宅での教育の実施について要請があったことを踏まえ、教育委員会で検討をする必要がある。』ことを、会議に付議すべき事件として、書面により会議の招集の求めがありましたため、同項後段の規定に基づき招集し開催するものです。奈良県教育委員会会議傍聴規則第2条の規定に基づきまして、1名の方が傍聴券の交付を受けられています。」

○吉田教育長 「それでは本日の案件に入ります。議決事項1『新型コロナウイルス感染症拡大防止のための県立学校における「在宅教育」の実施』について、私からご説明をさせていただきますので、議事進行は花山院教育長代理に交代をさせていただきます。」

○花山院教育長代理 「議決事項1『新型コロナウイルス感染症拡大防止のための県立学校における「在宅教育」の実施』について、ご説明をお願いします。」

○吉田教育長 「県立学校を休業するかどうか、という判断を踏まえながら、今回新たに在宅教育の導入を皆様方にお諮りするものでございます。骨子を中心に提案をさせていただいて、ご意見をいただき、手引きにまとめてまいりたいと思います。
 本日までの全国的な感染者の大幅な増加傾向の下、本県においても厳重な警戒が必要となっています。このような中、通学時における感染防止、医療的ケアが必要な幼児児童生徒や基礎疾患を持っている幼児児童生徒の感染防止などを図りつつ、各学校が編成した教育課程を踏まえた教育を行うため、県立学校において在宅教育を実施するものです。この在宅教育の取組を着実に進めることは、感染症対策としての役割だけでなく、遠隔教育やオンライン学習など、時代に即した教育手法の導入・普及に資するものと考えております。
 まず、在宅教育とは、各学校が編成した教育課程を踏まえて、生徒等が在宅を基本として、必要な支援を受けながら学習に取り組み、生徒自らが学習の状況を評価し、学習目標の達成を目指すための教育を在宅教育と定めました。
 在宅教育を実施する学校は、全ての県立学校です。今週は始業式や入学式等の行事が実施されていますので、在宅教育を実施する期間は、来週の13日から5月1日までの3週間といたします。各教科・科目において教科書の単元など内容のまとまりごとに学習をし、子供たちが対話をしながら深い学びができるように3週間を単位として定めて実施します。期間の終了・延長に関しては、感染者の状況などの情勢を踏まえて適時判断しますが、基本的には3週間単位で延長していきたいと考えております。
 在宅教育の実際については、中学、高校、特別支援学校の各教科の学習、自立活動、特別活動、特にホームルーム活動、さらには人権教育なども含めた学校で行っている教育活動を在宅で実施するものです。基本的な指導の流れは、1週目は自分で学習する。例えば、本をしっかり読んで単語の意味を調べる。自ら、分かることと分からないことを把握する。新しいことなので、分からないことも多く出てくると思いますが、自ら主体的に分かる努力をしていく。2週目は、内容の理解と疑問の解消をする。ホームルーム等の登校の際に、学習の疑問点等を出し合い、生徒間で話し合い解決するケースもありますし、教員が入って疑問を解決するケースもあります。対話的な活動をしながら解決していこうということです。3週目は、内容を深めて学習をしていく。数学で言いますと応用問題を解ける力を付けていくということです。
 在宅教育の特徴は、まずは教科書の内容を中心とした学習であることです。在宅教育期間が終わり登校した際には、教科書の終えたところから進めていけるので、教科書を再度1からやり直す必要は無くなります。それから自己評価を大切にしていくことです。例えば、進み具合や理解度を自己評価しながら教育活動を進めていくということです。オンラインによる動画配信や、ホームルームの実施、あるいは教員が定期的にメールで子供たちに投げかけ質問に答えたりすることができるかと思っています。それから学習の記録を基に、教員が評価をしっかりとしていく。自己評価と教員の評価を組み合わせて、3週間の評価をしていきます。
 この骨子を基に、指導事例も掲載したガイドラインを作成していきたいと思っています。
 以上です。」

○花山院教育長代理 「このことについて、何かご意見、ご質問等はございませんか。」

○花山院教育長代理 「最初に私の方からよろしいでしょうか。子供の健康を第一に考えることが重要という中で、このオンライン学習というものは学力のためにも大変重要だと思います。多くの生徒たちがメールを受けられる環境があると想定した場合、毎朝、担任の先生が一斉メールで、体調のことや今日一日のこと、それから相談ごとや質問などをしていただいて、教育環境のリズムができたら良いと思います。
 もう一つは、アクティブラーニングをすることは大変良い機会だと思います。自己評価とともに、習熟度達成評価という、3週間の中での習熟度を確認しないといけないと思います。
 今、お分かりになる範囲でお答えしていただければと思います。」

○吉田教育長 「現在、一斉メールは配信だけとなっていて双方向にはなっていないようです。双方向のやりとりを何で行うのかを検討しています。3週間分の客観的な評価をどのように行うかについては、おそらく登校日にテストをやって、次の単元にいくかどうかの判断を行っていくと思います。」

○山内学校教育課長 「仮に在宅教育が長期に続いた場合は、登校日を設けて小テストなどを実施することが考えられると思います。目標に準拠した評価が必要になってくると思いますので、子供たちに課題を出すときに目標を示して、目標に対する自己評価や、教員による評価をすることになると考えます。」

○吉田教育長 「その目標は、学校によっても違うし、個々人によっても違うものとなりますね。その目標に対して、1週間でどこまで達成できたか、自己評価をしていくということですね。」

○森本委員 「昨日、知事が会見で話されていますが、学校が始まるとされていたことが在宅教育に変わりますので、生徒、保護者はもちろん、県民の皆さんにも内容を理解していただくことが大切だと思います。」

○吉田教育長 「なぜこの在宅教育を考えたか、その理由ですが、特別支援学校に通っている生徒たちの保護者から学校へ行く不安が多く寄せられました。このまま学校を再開するのか、それとも保護者の不安にどのように応えるのかを考えた時に、臨時休業をして学習支援をする方法よりも、より深めた学習をする方法を知事から要請されていますので、学習支援よりも教育活動全般に広めて対応が必要と、この在宅教育を考えました。明日、各学校の教務主任等の代表者に集まってもらって理解をしてもらい、14日には校長会で説明を行います。保護者については、今は、学校再開に向けての方針を配布しているので、在宅教育に切り替えることの説明を十分にしなければならないと考えております。」

○森本委員 「なるべく早く、周知できるように進めていただきたいと思います。」

○高本委員 「オンライン学習は、すでに山間僻地で行われていて効果も出ているので、それを大きく取り入れることはすごく良いことだと思います。本日、マスコミの方々も多くいらっしゃっていますけども、これをより充実させるために、テレビの前の皆様のお力も貸していただきたいと思います。」

○吉田教育長 「環境整備は、教育委員会が遅れているところがあります。情報化を進めていくため、教育研究所に今年度から教育情報化推進部を作ったところです。」

○大石教育研究所長 「奈良県教育委員会はマイクロソフトと契約を結んでいるので、ライセンスを教員や生徒に配れる状態にはあります。現在は、子供たちの環境等について調査を進めており、できることから行っていこうとしています。将来的にはリモート授業等も含めて考えていこうと思っています。」

○吉田教育長 「環境が整っていない家庭への配慮が必要なので、パソコンの貸し出しができるのか、Wi-Fi環境がどうなのか、環境が無い場合に学校に来てもらって支援をするのか、などを対応していかなければならないと考えております。」

○伊藤委員 「奈良県は休業ではなくて、教育の質の保証ということで、在宅教育を取り入れようとすることは非常に意味があることだと思っています。技術的な課題はいろいろあると思いますが、ガイドラインの作成の中でご検討いただきたいと思います。
 学習支援から主体的な学びにシフトしたいということですよね。今、よく言われているアクティブラーニングで、子供たちが自分たちで学んでいくことを尊重するということを、この機会に是非進めていただければと思います。
 子供たちが学校に来て教員が授業をすることは一斉型の教育ですが、今回の在宅教育は、ある意味、個別型の教育になるので、子供たちのレベルや能力に合った教育ができる可能性があります。この機会にと言っては何ですが、子供たちが自分で学びをしていくというきっかけになってもらったら良いですし、今後、緊急事態から平常時に戻ったときも、奈良県として、このような教育の在り方というものを進めていただければと思います。
 登校日も分散登校になるということなので、現場での教員の対応もこれから議論をしていただいて、効果の出るような指導の仕方、それは子供たちにも理解できるような、保護者の方にも理解していただけるような、そういう仕組みを是非ともご検討いただきたいと思います。」

○吉田教育長 「ありがとうございます。在宅教育は、不登校の子供たちにも有効ではないかと思っています。」

○上野委員 「各教科とありますが、例えば、体育や音楽、家庭科も在宅教育で行っていくのでしょうか。」

○稲葉保健体育課長 「保健体育について現在検討していることをご説明します。運動面では、スポーツ庁等のホームページに子供たちのための運動例が出ていますので、それを利用して、自宅でできる運動を自分で行いながら組合せを考えていくこと、また、ダンス等を利用しながら手洗い等の動きを入れながら自分でダンスの動きを考えていくこと、学習面では、体育理論を学習すること、保健所から出ている新型コロナウイルス感染症予防の資料を用いて考えさせる機会を持たせること、などを検討しております。」

○吉田教育長 「完全に実技等ができるわけではないので、実技や実習に関しては、代替の授業や補習が必要になるかもしれません。ただ、ある程度、体育教科の目標を達成するための家でできる実技も在宅教育に取り入れていきたいと思います。部活動は原則禁止にしたいと思っていますが、子供たちが感染予防に努めながら運動やスポーツをする機会は、提供した方が良いと考えています。」

○花山院教育長代理 「子供たちの中には、学習面や活動・行動面など、いろいろな部分で気にかかる子供がいると思います。顔を見てあげないといけない子供たちのために、家庭訪問について、濃厚接触に気を付け、教員に過度の負担が無いようなルールを定めて、できる範囲で行っていく必要もあると思います。」

○吉田教育長 「保護者との連絡、連携を取ることが基本になると思いますが、場合によっては、家庭を訪問して指導をするという対応も必要だと思います。」

○花山院教育長代理 「経済的にも生活的にも大変な状態にある家庭も少なからずあると思います。そのような家庭の子供たちについては、これだけで必ずしも解決できるわけではないと思います。当然、学校現場でも考えていくことですが、県教育委員会としても考えていくことが重要だと思います。」

○吉田教育長 「特別支援教育では個別の支援計画に基づいて在宅教育が行われます。内容の説明をお願いします。」

○中井特別支援教育推進室長 「全ての幼児児童生徒に個別の教育支援計画、指導計画がありますので、それを踏まえて、一人一人の実態に応じて目標を定め、家庭でできる内容を選択して詳細を準備することを検討しています。また、評価においては、自らの振り返りを重要視して、他者評価、自己評価を入れながら学校の再開時につなげていきたいと考えております。」

○伊藤委員 「ガイドラインを作成されますが、各学校によって状況が異なると思います。各学校の校長先生などにある程度裁量権があって進められ、差が生じてくると思います。あまりにも差が出てくると困ると考えますがどのようにチェックされるのでしょうか。」

○吉田教育長「学校長への裁量権というものは、元々教育活動全般についてあります。今回、教育委員会としては、教科の学習は時間割どおりに行うことよりも、子供の主体的な学びを取り入れていきたいので、例えば、数学としては、3週間で授業が7時間あるから、家で、50分を7コマ学習すれば良いというようなことは外させていただきます。学校長がどのようにバランスよく行っていくかの裁量があります。ただ、あまりにも差が付きすぎることは考えなければいけないので、最初の3週間時点で大きな差が出るということは無いとは思いますが、3週間単位が継続した場合には、公平性を担保できる状態に近づける必要があると思っております。3週間単位が継続する場合には、校長に対するヒアリングを実施する必要があると思います。」

○花山院教育長代理 「経過状況を集約しながら、場合によっては、校長会や教育委員会で、途中経過や、次の方向性をご報告していただきたいですし、県民へ公開することも必要だと思います。」

○森本委員 「新入生には、中学校までの勉強の仕方と高校の勉強の仕方は違うと思うので、きっちりと教えてあげていただきたいと思います。」

○吉田教育長 「本日、国際高校の入学式に行きました。夢や希望を持って入ってきた新入生が、いきなり来週から登校できないとなる時に、臨時休業での学習支援ということで、子供たちは満足できるのだろうか、夢を持って生活ができるのだろうか、と感じたことからも、この在宅教育を進めていこうという思いを強く持ちました。
 新入生は、今はホームルームの担任が紹介されただけで教科担任が誰かも分からない状況です。このような中、臨時休業になりプリントが配布され学習支援をしていくことだけでは問題があるのではないかと思います。在宅教育で、ホームルーム担任がホームルーム活動を行う、それから教科担任が誰であるかをきちっと伝える。その教科担任が2週目になったときに質問に答えられる状況を作っていく。まさに学校で行っている教育活動を在宅の中にできるかぎり取り入れていくことによって、子供たちと教員との顔がお互いに見えるようになることを、しっかりやっていきたいと思っております。本日いただいたご意見は、ガイドラインへの反映を検討してまいります。」

○花山院教育長代理 「他にご意見、ご質問が無いようですので、原案どおり議決してよろしいか。」
          ※各委員一致で可決

○花山院教育長代理 「議決事項1については可決いたします。議事進行を吉田教育長に交代をさせていただきます。」

○吉田教育長 「それでは、議案の審議が終了したと認められますので、委員の皆様にお諮りします。本日の委員会を閉会することとしては、いかがでしょうか。」

     ※各委員一致で承認

○吉田教育長 「委員の皆様の議決を得ましたので、これをもちまして、本日の委員会を閉会します。」