奈良新聞掲載記事集

令和6年度 奈良新聞掲載「農を楽しむ」

令和5年度 奈良新聞掲載「農を楽しむ」

令和4年度 奈良新聞掲載「農を楽しむ」

令和3年度 奈良新聞掲載「農を楽しむ」

食を潤す「品種」の話

   皆さんは店で野菜や果物を買うとき、「品種」を気にしていますか?例えばスーパーで買い物をするとき、今日の晩ご飯はサラダを作りたいからレタスとキュウリとキャベツを買うことにしました。これらは野菜の種類、つまり「品目」です。追加でジャガイモも買うことにしたとします。すると「メークイン」、「男爵」、「キタアカリ」といった表記がされていました。どれもジャガイモですが、見た目や性質が異なるために別々の名前で分類されています。この分類が「品種」で、1つの品目のなかにいくつもの品種がある場合があります。レタスやキュウリも店頭では品目名の表示で売られていることが多いですが、実際にはたくさんの品種があるのです。
 奈良県では、精力的にイチゴの品種育成を行っています。近年、イチゴは高級果実店、外食店等との直接取引や観光農園、直売での販売が盛んです。そのため、それぞれの取引先や用途に適した品質を有する品種の育成が必要となっています。これまでに県で育成した主な品種としては、甘みと酸味のバランスがよくジューシーな味わいが特徴で、量販店向けの「アスカルビー」、糖度・酸度ともに高く濃厚な味わいが特徴で、百貨店や直売向けの「古都華」等が挙げられます。最近では新たに、極めて大きな果実と酸味が少なくさっぱりとした甘みが特徴で、高級果実店やレストラン・カフェのスイーツ向けの「珠姫」や、高温期でも食味が安定し首都圏等への遠距離出荷でも高い品質を保持できる「奈乃華」を育成しました。
 奈良県のイチゴに限らず、農作物には品種が多数あり、それぞれ違った特徴や用途があります。野菜をよりおいしく食べるために、また、用途にしっかりマッチしたものを食材として使うために品種を選ぶことは重要です。普段の食生活をより豊かにするためにも、まずは品種の存在やその特徴を意識してみてはいかがでしょうか。

珠姫

【豆知識】登録品種を守るPVP

 品種の海外流出のニュースをきいたことがありますか?第三者に勝手に優良な品種を持ち出され、販売されてしまうことで、品種の育成者が損害を被る他、日本の農産物の輸出や農業の発展にも支障が生じてしまいます。そこで品種やその育成者を守るために種苗法という法律があります。種苗法の品種登録制度で登録された品種(登録品種)には、権利(育成者権)が発生し、育成者は種苗の販売等を独占的に行うことができます。登録品種の例として、イチゴ「古都華」やブドウ「シャインマスカット」等があります。
 自分が見た品種が登録品種なのかどうかは、農林水産省の品種登録ホームページにある「品種登録データ検索」で調べることができます。また、種苗等を購入される際には「PVP」と書かれたマークを探してみてください。これは、Plants Variety Protection(植物品種保護)の略で登録品種であることを示しており、品種カタログや種子袋、苗札などに記載されています。

令和2年度 奈良新聞掲載「農を楽しむ」

平成31年度 奈良新聞掲載「農を楽しむ」

平成30年度 奈良新聞掲載「農を楽しむ」



奈良新聞で第2日曜日に連載中の「農を楽しむ」に掲載されたものです。
(平成20年まで「みどりのミニ百科」)
※過去に掲載されたトピックスは時間が経過し、現下と異なる点もございますのでご了承下さい。