奈良新聞掲載記事集

令和5年度 奈良新聞掲載「農を楽しむ」

令和4年度 奈良新聞掲載「農を楽しむ」

令和3年度 奈良新聞掲載「農を楽しむ」

シソの話

   お刺し身やお寿司によく添えられるシソですが、シソはヒマラヤからミャンマー、中国中南部にかけてが原産地と言われており、縄文時代の遺跡から種が出土するなど古くから日本に入ってきている野菜です。香りが爽やかで食欲をそそられ、人を蘇らせるので「紫蘇(シソ)」という名前であるという説もあります。シソはシソ科シソ属の野菜で、大きく分けて青ジソと赤ジソの2種類があり、「紫蘇」という名前の漢字が表すように赤ジソが元々のシソで、赤ジソの変種が青ジソであると言われています。赤ジソは梅干しや漬物の色づけによく使われ、出回るのはちょうど今頃だけです。一方、青ジソは薬味などに用いられ、一年中流通しています。青ジソの葉を買いにスーパーに行くと、「大葉」は売っているけど、「シソ」が見当たらない、という経験をしたことはないでしょうか。実は、「大葉」というのは青ジソの若い葉を販売するときに用いられている名称です。青ジソは葉以外にも様々な部分が利用されていますので、それぞれに別の名称が使われているのです。「芽ジソ」は、発芽して間もない本葉の出始めの頃に刈り取ってお刺身のつまなどに用いられます。青ジソの芽ジソは「あおめ」、赤ジソの芽ジソは「あかめ」とも言われています。「穂ジソ」は、生育段階で細かく名称が変わります。花軸のうち3割ほど開花したものを花穂ジソと言い、つま用に用いられます。青ジソの花は白色、赤ジソの花は紫色です。一部が実になったものは束穂(たばほ)と言われ、天ぷらや佃煮の材料などに用いられます。「シソの実」は、花穂についたシソの実で、香りがよく、漬物や佃煮などに用いられます。
 ジメジメとした梅雨が続きますが、シソをお料理に添えて爽やかなアクセントにしてみてはいかがでしょうか。使い切れずに余ったシソ(大葉)はコップなど縦長の容器に入れ、切り口の部分のみを水につけラップなどで密閉すると冷蔵庫で保存しておくことができます。

大葉と青じそ

【豆知識】スーパーの野菜売り場では大葉と並んでエゴマが販売されているのを目にするかと思います。大葉より大きく、丸みを帯びた形をしていますがこの野菜はいったい何でしょうか。エゴマは漢字で「荏胡麻」と書きますが、胡麻の仲間でしょうか。ゴマはゴマ科ゴマ属ですが、エゴマはシソ科シソ属の植物でシソの仲間です。「食べると体によく、10年は長生きする」という言い伝えから、別名「じゅうねん」とも言われています。エゴマの種子は油分を多く含み、古くから食用油脂原料として用いられ、α-リノレン酸を含む「えごま油」として販売されています。日本ではエゴマは主に種子が利用されてきましたが、韓国料理の影響などもありエゴマの葉もよく見かけるようになりました。焼肉を巻いて食べたり、醤油漬けにしたり、シソとはまた違った風味や香りが楽しめます。

令和2年度 奈良新聞掲載「農を楽しむ」

平成31年度 奈良新聞掲載「農を楽しむ」

平成30年度 奈良新聞掲載「農を楽しむ」



奈良新聞で第2日曜日に連載中の「農を楽しむ」に掲載されたものです。
(平成20年まで「みどりのミニ百科」)
※過去に掲載されたトピックスは時間が経過し、現下と異なる点もございますのでご了承下さい。